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第1336回
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2019年9月27日(金)公表
※3 審議事項(1)「インターネット実施基準の改定について」は2019年11月1日(金)公表

日本放送協会第1336回経営委員会議事録
(2019年9月10日開催分)

第1336回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1336回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2019年9月10日(火)午後1時30分から午後4時40分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原  進 森 下 俊 三 明 石 伸 子
    井 伊 雅 子   槍 田 松 瑩 佐 藤 友美子
    堰 八 義 博   高 橋 正 美 中 島 尚 正
    長谷川 三千子   村 田 晃 嗣 渡 邊 博 美
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  上 田 会 長 堂 元 副会長 木 田 専務理事
  板 野 専務理事 荒 木 専務理事 松 原 理 事
  黄 木 理 事 中 田 理 事 鈴 木 理 事
  松 坂 理 事 正 籬 理 事  

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

付議事項

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(高松)の開催について

 

○ 説明会「インターネット実施基準の改定について」

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(名古屋大学)開催報告(資料)

 

1 議決事項

 (1) 国際放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

2 報告事項

 (1) 2019年度後半期の国内放送番組の編成について(資料1)(資料2)

 (2) 2019年度後半期の国際放送番組の編成について(資料)

 (3) 予算の執行状況(令和元年7月末)(資料)

 (4) 契約・収納活動の状況(2019年7月末)(資料)

 (5) 総務省「改正放送法の施行に向けたNHK関係の省令等の整備についての意見募集」の結果について(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 

3 審議事項

 (1) インターネット実施基準の改定について(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)

 

 

<議事経過>

 

 石原委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(高松)の開催について
 2019年度の「視聴者のみなさまと語る会」の第5回目を、2019年10月26日土曜に高松放送局で開催することを決定した。

 

 

○ 説明会「インターネット実施基準の改定について」
 担当理事より「インターネット実施基準の改定について」の説明を受け、意見交換を行った。

 

<会長、副会長、専務理事、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1335回(2019年8月27日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、2019年9月13日に公表することを決定した。

 

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(名古屋大学)開催報告(資料)

 (経営委員会事務局長)
 2019年度、3回目の実施となりました「語る会」は、7月12日金曜に参加対象を学生に限定し、名古屋大学で開催しました。登壇は、経営委員会から森下委員長職務代行者、井伊委員、中島委員の3人。執行部から中田理事、松坂理事、正籬理事の3人を加えた合計6人で、司会は内山俊哉アナウンサーでした。公募の結果、ホームページなどを通じて44人の方から参加の申し込みがあり、そのうち27人の方が参加しました。
 「語る会」終了後には、「もっと知りたい『チコちゃんに叱られる!』」と題して、制作局の水高満チーフ・プロデューサーによる講演会を開催しました。
 概要や反響等については、報告書の1ページから2ページに記載しています。冒頭、協会の基本方針や重要事項の説明として、井伊委員が経営委員会の役割、NHK経営計画、受信料制度などについて説明しました。その内容は3ページから4ページに記載しています。意見聴取は、参加者を3つのグループに分け、「ネット時代の公共メディア」をテーマにグループディスカッションを実施しました。参加者からは、「受信料制度の理解促進」、「インターネット向けサービスの取り組み」、「公平・公正な報道」、「若い世代の接触率向上に向けた取り組み」、「地域発信」など、多岐にわたる意見や提言が寄せられました。これらは6ページ以降に掲載しています。各グループのディスカッションで活用した「ネット時代の公共メディア」についての課題や意見のキーワードは、51ページから52ページに掲載しています。終了後の参加者当日アンケートの結果とアンケートに記された具体的内容は53ページ以降に記載しています。

 

 

1 議決事項

 (1) 国際放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (正籬理事)
 国際放送番組審議会委員につきまして、次のとおり委嘱を行いたいと思います。
 10月1日付で、新規委嘱お一人です。株式会社大和総研理事長の中曽宏さんです。略歴は別紙のとおりです。日本銀行から、国際決済銀行に出向され、国際金融機関での経験も豊富で、2013年からは日本銀行の副総裁を務められました。
 今回の新規委嘱によって、国際放送番組審議会の委員数は、11人となります。11人の委員の顔ぶれは、別紙の「委員名簿」のようになります。
 また分野別、年代別、性別については「委員構成」として最終ページにまとめています。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

2 報告事項

 (1) 2019年度後半期の国内放送番組の編成について(資料1)(資料2)

 (木田専務理事)
 資料を2種類ご用意しています。ひとつは、「2019年度 後半期の国内放送番組の編成について」と書かれた資料で、後半期番組の概要をまとめたものです。もうひとつは放送番組の「時刻表」です。本日は、主に番組の概要をまとめた資料を使って説明します。時刻表については、随時ご覧ください。
 後半期につきましても、今年度の番組改定で定めた各波の大きな方針を堅持し、定時番組のさらなる定着と認知度の向上をめざします。そのうえで、主な変更点は次の2点です。
 1点目は「連続テレビ小説」や「大河ドラマ」の新シリーズなど、定期的な番組の変更です。2点目は毎年恒例の野球のシーズンオフや欧米の夏時間の終了に伴う改定です。後半期から新たに開始する番組もありますが、これまで放送して好評を博したものをブラッシュアップしたものが中心になっています。
 また、改定の時期ですが、各波とも9月30日月曜から実施します。ただし、BS1につきましては、野球のシーズン終了や欧米の夏時間の終了に伴う改定のため、11月4日月曜から実施します。
 それでは、主な番組を説明します。まず1ページ、総合テレビからです。
 朝の連続テレビ小説は、「なつぞら」にかわって9月30日から「スカーレット」が始まります。焼き物の里・信楽に生きる女性陶芸家の波乱万丈の物語です。主演は戸田恵梨香さんです。
 続いて2ページです。金曜夜10時のドラマ10は、10月18日から「ミス・ジコチョー」を放送します。天才工学者の女性が、さまざまな事故を第三者の目で調べる「事故調査委員会」いわゆる「事故調」に招かれ、秘められた真相に挑むミステリー・エンターテインメントです。主演は松雪泰子さんです。
 続いて3ページです。土曜夜11時30分の「よるドラ」では、「決してマネしないでください。」を放送します。恋愛経験ゼロで、物事を科学的に解析することしかできない主人公が、恋という理屈のない感情に対し、仲間たちの助けを受けながら、ピュアで突拍子もない努力をする姿をコメディータッチで描きます。
 続いて4ページをご覧ください。来年1月5日から、大河ドラマ「麒麟がくる」が始まります。下剋上の代名詞・美濃の斎藤道三を主君として、その教えを胸に織田信長の盟友となり、多くの群雄と天下をめぐって争った智将・明智光秀。彼の生涯を中心に据え、戦国の英傑たちの運命の行く末を豪華キャストで描きます。
 次に5ページです。1月からは月に1回、「2020スタジアム」を放送します。アスリートの素顔や支える人たちとの絆、オリンピックやパラリンピックの見どころなど、さまざまな角度からわかりやすく伝えます。司会を務めるのは嵐の5人です。
 金曜夜11時50分からは「金曜日のソロたちへ」を新設します。ひとり暮らしの若者たちの部屋に定点カメラを設置し、それぞれの暮らしぶりを4分割した画面で伝えます。その自由さや苦労など、ひとり暮らしの“リアル”を楽しむ新感覚のバラエティーです。
 続いて7ページ、「Eテレ」です。学校放送番組の新シリーズ、金曜午前9時40分からは「もやモ屋」が始まります。ふしぎな映画館で上映される子どもの悩み・迷い・葛藤などを描く物語に、「自分なら、どんな答えを出すか?」、道徳の理解を深める小学生向け番組です。
 続いて8ページをご覧ください。水曜夜7時25分からは、冒険ファンタジーの第2シリーズ「アニメ ラディアン2」を放送します。また土曜午後5時35分からは、少年マンガ誌で連載中の「魔入りました!入間くん」を放送します。お願いされると「NO」と言えない主人公が悪魔学校に入学して、自由奔放な悪魔と接する中で、諦めない強い心を獲得していく姿をユーモラスに描くコメディーです。
 火曜夜10時50分からは、“地球の神秘”を壮大なスケールで描いた、ハリウッド発のドキュメンタリー・シリーズ「奇跡の星」を放送します。
 10ページをご覧ください。火曜午前0時25分からは「アラビーヤ・シャベリーヤ!」を放送します。俳優の金子貴俊さんが、“アラビア語をしゃべらざるをえない”珍ツアーに参加したという設定で、課題を乗り越えながらアラビア語を身につけていきます。
 11ページ、BS1です。土曜夜10時からの「ザ・ヒューマン」は、さまざまなジャンルで世界を相手に新時代を切り開くトップランナーたちに長期密着、挑戦や葛藤の裏側に深く迫る、本格派ヒューマンドキュメンタリー番組です。
 12ページです。平日深夜0時台に地域応援ゾーンを編成し、地域貢献の取り組みを強化します。
 次に13ページ、BSプレミアムです。木曜夜9時からは「ザ・プロファイラー」。今回で第8シーズンになります。歴史上の有名人の知られざるエピソードを、最新の調査をもとに独自の視点で、岡田准一さんがプロファイルします。
 木曜夜11時からは「まいど!修繕屋です」。お笑い修繕屋が、みなさんからの注文に応えて、思い出の品から人間関係まで壊れたモノを、家族やご近所さんの力をかりて修繕。そこから見えてくる人間模様を映し出すドキュメントバラエティーです。
 14ページ、BS4Kです。平日午後0時45分と6時45分からの15分、土・日は午後6時50分からの10分、4Kのデイリーニュース「BSニュース4K」を新設します。この番組は、BS1と同時放送です。BS8Kは前半期の編成を継続します。
 続いて音声波です。15ページ、ラジオ第1では、プロ野球の終了に伴って、土曜午後1時5分からは「ミュージック・バズ」を放送します。今、本当にヒットしている音楽を、専門家の解析を交えながら、音楽プロデューサー今井了介さんが、解き明かします。
 その後、午後4時5分からは「鉄旅・音旅 出発進行!〜音で楽しむ日本の鉄道旅〜」を放送します。車の走行音、駅の発車メロディーから、鉄道マニアでも聞いたことがないような貴重な音まで、幅広く「鉄道の音」を紹介し、スタジオでは熱い「鉄トーク」を繰り広げる、ラジオならではの「鉄道バラエティー」番組です。
 16ページ、ラジオ第2では、土曜午後6時45分から「ポルトガル語ステップアップ」を放送します。ポルトガル語の基礎を学んだ人を対象に、日常生活で使える自然な表現やコミュニケーションを学ぶ語学番組です。
 FMにつきましては、後期は新設番組がございません。
 17ページ以降は、新たに実施する補完放送などの放送計画について記載しています。

 

 (2) 2019年度後半期の国際放送番組の編成について(資料)

 (正籬理事)
 「2019年度 後半期の国際放送番組の編成」について報告します。
 1ページをご覧ください。まず「NHKワールド JAPAN」のテレビですが、Eテレ・BS4Kと共同で採択した、東京オリンピック・パラリンピックに向けて共生社会への機運を高めるミニ番組「no art, no life」を新設します。また、日本の魅力をさまざまな切り口で紹介するミニ番組「Selfie Japan!」を新たに定時化するなど、スマートフォンでも視聴しやすい短い番組を刷新・強化します。
 次の2ページ、3ページの時刻表にありますとおり、「no art, no life」は日本時間で日曜午後8時台ほか、併せて4枠で放送します。また、各地域での最も見やすい視聴時間帯に合わせて放送していくことを計画しています。
 次に 4ページのラジオ日本ですが、日本語放送は、ラジオ第1のプロ野球終了に伴う例年通りの措置となっています。
 後半期の番組編成につきましては、9月30日月曜から実施します。

 (3) 予算の執行状況(令和元年7月末)(資料)

 (石原委員長)
 報告事項(3)について、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきます。

 

 (4) 契約・収納活動の状況(2019年7月末)(資料)

 (松原理事)
 2019年第2期(7月末)の契約・収納活動の状況について報告します。
 まず全体の状況ですが、訪問要員数が前年度を大幅に下回っているうえに、インターネットなどによる自主申し出の減や、負担軽減策、これは学生免除ですが、それにともなう契約数の減少等もあり、高い水準を確保した前年度の実績を契約総数増加で大きく下回りました。
 1ページをご覧ください。当年度分受信料収納額の状況です。第2期の収納額は1,181億1千万円で、前年同時期を16億4千万円上回りました。累計では、前年同時期を39億9千万円上回りました。また負担軽減策により、約15億円の影響があると見込んでいます。
 次に、前年度分受信料回収額は、第2期が9億6千万円となり、前年同時期と同じ水準となりましたが、累計では3億円下回りました。また、前々年度以前分の回収額は、第2期が7億1千万円となり、前年同時期を1億5千万円下回りました。前々年度以前分の回収額は、振り込み数が大きく増えた前年を下回っていますが、計画に対する進捗は堅調に推移しています。
 2ページをご覧ください。契約総数の増加状況です。第2期の取次数は49万9千件となり、前年同時期を6万件下回りました。また、減少数は45万8千件と、前年同時期を2万3千件上回ったため、差し引きの増加数は4万1千件となり、前年同時期を8万3千件下回りました。累計では前年同時期を19万2千件下回っています。なお、学生免除によって、累計で約3万件の減少が発生しています。
 次に衛星契約数増加です。第2期の取次数は32万6千件となり、前年同時期を1万3千件下回りました。また、減少数は23万3千件と前年同時期を 1万9千件上回ったため、差し引きの増加数は9万3千件となり、前年同時期を3万2千件下回りました。累計では4万5千件下回っています。また、衛星契約割合は年度内で0.4ポイント向上して52.3%になりました。
 3ページをご覧ください。口座・クレジット払等の増加状況です。第2期の口座・クレジット払等増加は、5万件となり、前年同時期を9万2千件下回りました。支払数が前年度ほど伸びなかったことが要因です。また、口座・クレジット払等の利用率は90.8%でした。
 次に、未収数削減の状況です。第2期は、9千件の削減となり、前年同時期を1万5千件下回りました。振り込み数の減少などが主な要因です。長期未収現在数は74万8千件となりました。一番下段にあります、契約総数増加と未収数削減を合わせた支払数増加も前年同時期に比較して9万8千件下回りました。累計では前年同時期を23万件下回っています。

 (森下代行)

 訪問活動に際してのお客さまのご意見については、手間がかかっても、一度はお客さまの言うことをよく聞いて対応しないといけないと思います。ぜひこうした指導を徹底していただければと思います。

 (松原理事)

 かしこまりました。より丁寧なお客さま対応を心がけてまいります。それが大事だと思います。

 (明石委員)

 7月末の口座・クレジット払等の利用率が90.8%ということは、契約者の大半が口座・クレジット払等でお支払いいただいているということで、口座・クレジット払等の方は、営業経費がかからずに収入が得られるものと思います。営業経費は、お支払いいただいていない方に対しての新規開拓での訪問費用だという理解でよろしいのでしょうか。

 (松原理事)

 それも含むということです。営業の大きな課題のひとつは公平負担の徹底で、現在、未契約の方を訪問し契約をいただいて支払率を着実に上げていくという取り組みを行っています。一方で、営業経費をきちんと予算の範囲内におさめるということも重要です。現在訪問要員が訪問しているのは、契約のない未契約のお客さまと長期に支払いが滞っているお客さまで、そこに向けた取り組みを続けています。この取次には、未契約の人から新規の契約をとるという新規契約と、もともと契約がある人が、住所が変わった場合の住所変更があります。この住所変更の手続きのうち、3割ぐらいは訪問要員が契約しています。あとの7割は、訪問によらないさまざまな方法で契約しています。一方で、新規契約は、そこにどのような方が住んでいるかわかりませんので、とにかく訪問して契約するということです。新規契約の7割弱を訪問要員がとっており、そこに多くの経費がかかっているものとご理解ください。今の課題は、残っている未契約数を少なくするということですから、そこに重点的に経費をかけています。残りの2割の方の割合をいかに下げていくかということが今一番求められていることです。

 (明石委員)

 営業経費率の数字は、契約者全体に対して営業経費としていくらかかっているかという割合が出されているのですか。

 (松原理事)

 営業経費率は、今受信料を支払っている人のすべての収入に対する経費の率となります。口座・クレジット払等の人も収納管理手数料や管理費などの経費がかかっています。以前は、口座振替でお支払いいただいた方にはがきで領収書を送付していたのですが、営業経費を圧縮するという観点からやめています。そうした経費も含め、営業経費ということです。他にもこの中には、営業職員の人件費やシステム経費なども入っており、それが営業経費の合計とご理解いただければと思います。

 (明石委員)

 ありがとうございました。

 (長谷川委員)

 明石委員がお聞きになったのは、純然たる利益勘定だけから見ると、営業経費が本当にペイしているのかという意味合いもある質問だったと思います。営業経費は、今、松原理事が説明されたように、NHKの場合、公平負担の徹底ということが非常に大事な大義となっているわけです。その意味では、多少金銭的にペイしない部分があるように見えても、ここには力を入れないわけにはいかないという面もあるのでしょうか。

 (松原理事)

 先ほど申し上げたように、営業で一番大事なのは、まずは公平負担の徹底に向けて、経営計画に掲げた支払率を着実に上げていくということです。それが、NHKが公平負担に向けて努力をしている証だということです。例えば、この支払率が伸びないとか、逆に下がるということになれば、受信料制度が崩れていくことにつながりかねず、受信料制度そのものの議論になってくるということです。一方で、無制限に資金をつぎ込んで、人海戦術で契約を取り次げばよいのだとはまったく思っていません。今の受信料制度において、営業経費については、これまでもさまざまなご指摘をいただいています。その可能な範囲の中で、具体的には中期経営計画の目標として、営業経費率を10.9%とすることを掲げていますから、そこはしっかり守ったうえで、支払率を上げていくことに取り組んでいきたいと思います。

 

 (5) 総務省「改正放送法の施行に向けたNHK関係の省令等の整備についての意見募集」の結果について(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 (荒木専務理事)
 総務省「改正放送法の施行に向けたNHK関係の省令等の整備についての意見募集」の結果について、説明します。
 前回の経営委員会でご報告しましたとおり、総務省は、改正放送法の施行に必要となる省令等の整備として、「NHKのインターネット活用業務の対象の拡大」、「NHKグループの適正な経営を確保するための制度の充実」等に関して、「放送法施行規則の一部を改正する省令案」等を作成して意見募集を実施し、NHKはこの意見募集に対して意見を提出しました。
 9月6日、この意見募集の結果が公表されました。あわせて、意見募集の結果等を踏まえた「放送法施行規則の一部を改正する省令」、「日本放送協会のインターネット活用業務の実施基準の認可に関するガイドライン」、「日本放送協会の子会社等の事業運営の在り方に関するガイドライン」が公表されました。
 別紙1、意見募集結果についての資料をご覧ください。表紙にありますように、提出意見の件数は4万8,165件です。うち、放送事業者等からの意見が48件、個人等からの意見が4万8,117件でした。
 資料のうち、赤枠で囲んでおります部分、NHKからの提出意見とそれに対する総務省の考え方について説明します。1ページの意見は常時同時配信・見逃し配信サービスを実施するにあたっての執行部の意思表明を行ったもので、「総務省の考え方」にも、常時同時配信の実施にあたり、NHKが「自ら国民・視聴者や関係者の意見を幅広く聞きながら、具体的な業務内容等の検討を行うことに加え、ガバナンス改革の取組とともに、既存業務全体の見直しや受信料額の適正な水準を含めた受信料の在り方について、不断に検討を行うことが求められると考える」という基本的な考え方が述べられています。
 2点目、21ページの上段をご覧ください。子会社等の事業運営の在り方に関するガイドラインに関する監査委員会の意見を記したものです。監査委員会が子会社等の役職員の職務執行を直接監査対象とする趣旨ではないことを再確認しましたが、「総務省の考え方」でも、「御指摘の箇所については、御理解のとおり、監査委員会が子会社等の役職員の職務執行を直接監査対象とする趣旨を記述したものではありません」と明記されています。
 3点目、21ページの下段から23ページをご覧ください。NHKの意見は、子会社等の事業運営の在り方に関するガイドラインで、「監督と執行」という経営委員会と執行部のそれぞれの役割を明確にすることを求めるものです。執行に関わる、子会社の「運営基準」は、執行部で定めるべきであり、その執行の状況を監督するのが経営委員会であるという整理を踏まえて、ガイドラインの記述の明確化を希望するものです。
 これに対する「総務省の考え方」ですが、22ページの中段、「総務省としては、子会社の利益剰余金の還元に関するNHKの今後の取組が一過性のものに終わらず継続的なものとなるよう、本ガイドライン案に示したように『例えば、放送法第29条第1項第1号ハの規定により経営委員会が議決する内部統制議決の一部として定める子会社等事業運営基準の中で、子会社の配当方針を適正かつ明確に定めることが適当』と考えて」いること、その明確化のために脚注を追記することが記載されています。
 そのうえで、「経営委員会と執行部がそれぞれ担う監督と執行の役割が十分に明確になっていないとの御指摘については、本ガイドライン5(1)及び(2)において、役割がより明確なものとなるよう記述を修正する」としています。
 修正結果につきましては、別紙4をご覧ください。10ページです。NHKグループの内部統制システムについての記載部分ですが、3段落目の下3行の記載が、「例えば、内部統制議決の一部として、こうした観点から各子会社の事業運営に共通する基本的な事項を定めた運営基準を策定することが考えられる。」という表現になっています。そのうえで、「執行部の職務の執行を監督、監査する経営委員会や監査委員会の役割についても、子会社等の事業運営の効率性、適正性及び透明性を確保する観点から、運営基準の中で併せて明確にすることが適当である。」としています。ここでいう「運営基準」は、現在執行部が策定している「関連団体運営基準」とは異なり、あくまでも「基本的事項を定めた」ものであることが明記されました。また、次のページ、11ページの上から6行目には「執行部をはじめとする」という表現が加えられています。
 これらの修正により、監督と執行という経営委員会と執行部のそれぞれの役割が明確になるとともに、ガイドラインのいう「運営基準」は基本的事項を定めるものであることが明確になったと考えています。
 なお、「放送法施行規則」は後日公布され、改正放送法の施行日から施行される予定です。また、2つのガイドラインについては、総務省からNHKに対して、ガイドラインが公表された旨通知されています。

 

 

3 審議事項

 (1) インターネット実施基準の改定について(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)

 (石原委員長)
 インターネット実施基準の改定について、荒木専務理事から説明をいただきます。
 (荒木専務理事)
 お配りした「NHKインターネット活用業務実施基準(素案)主なポイント」という資料で説明します。
 前回の経営委員会で説明したように、ことし5月の放送法改正を受けて、現在、インターネット活用業務の実施基準の改定に向けた検討を進めています。この実施基準については、放送法の規定により、総務大臣の認可を得ることとされていますが、NHKとして認可申請する内容を固めていくにあたって、明日11日から意見募集を実施して、広く一般のご意見を伺いたいと考えています。
 前回の経営委員会で委員の皆さまからいただいたご意見などについては、文書でも回答しましたが、これらを踏まえつつ、とりまとめた実施基準の「素案」を説明し、審議いただきたいと存じます。
 資料の1ページは、実施基準の素案の構成です。
 まず総則、次にインターネット活用業務全体に関する通則、2号受信料財源業務、2号有料業務といったように、業務の種類ごとの規定を置いています。さらに、区分経理に関するパートや附則などを置いています。
 ポイントの資料の2ページで、インターネット活用業務に関する通則として、まず、業務実施にあたっての基本原則の規定があります。インターネット活用業務の目的などについて、別紙「NHKインターネット活用業務実施基準(素案)」の2ページにある第4条で定めています。
 毎年度の業務の実施計画に関する規定は、素案ですと、3ページの第7条です。現在もNHKは、年度ごとにインターネットサービスの実施計画を自主的に定め、これに基づいて業務を実施していますが、放送法改正によって、実施計画を策定し総務大臣に届け出ることなどが定められましたので、これに対応した規定を設けました。
 次の第8条は、実施状況の評価に関する規定です。実施計画の実施状況の評価を毎年度行うとともに、少なくとも3年ごとに、毎年度の評価も踏まえて業務の実施状況について評価を行うことを定めています。
 第9条はインターネット活用業務審査・評価委員会に関する規定です。
 いまの実施基準では、競合事業者からの苦情への対応にあたって「外部委員からなる審査委員会」に検討を求めることだけを書いていますが、今回、会長の諮問機関として委員会を設置することをまず規定して、実施計画の策定や実施状況の評価、苦情への対応にあたって委員会の見解を求めること、議事概要等を公表することなどを定めています。
 ポイントの資料の2ページの下のほうに、インターネット活用業務のうち「公益性の観点から積極的な実施が求められる業務」についてまとめています。
 放送法の改正によってNHKに課された2つの努力義務、「地方向け放送番組の提供」と、「他の放送事業者が行うインターネット活用業務への協力」に関して、取り組みの内容とその費用の取り扱いについて、第10条で規定しています。第11条ではユニバーサル・サービスへの取り組みについて、第12条ではラジオ・テレビの国際放送番組等を配信する業務について規定しています。
 これらの業務の費用の取り扱いについては、後ほど改めて説明します。
 「第3部、2号受信料財源業務」は、受信料を財源とした、いわゆるBtoC業務についてです。ポイントの資料の3ページでは、常時同時配信と見逃し番組配信についてまとめています。
 地上テレビの常時同時配信・見逃し番組配信を実施することは、素案の5ページから7ページ、第13条と第14条に規定しています。見逃し番組配信サービスにつきましては、「放送日の翌日から起算して7日以内に終了する」としています。
 地方向け放送番組の常時同時配信の際に地域限定を行うことを、素案の8ページの表の2に規定しています。技術面・費用面で合理的に可能な範囲で、当該放送番組の放送対象地域に限定して提供するとしています。ただし、設備整備が完了するまでの間、その地域では、東京と南関東3県で放送する番組、当該地域を含むブロックの拠点放送局が放送する番組を配信するとしています。
 素案9ページの第15条は、「料金その他の提供条件」です。第1項に利用者に対価を求めないことを明記しました。
 そして、第15条第2項に、受信料制度を毀損しないための「認証」に係る規定を設けています。現時点で想定しているID登録申請と認証の流れを、ポイント資料の4ページで説明します。
 ①NHKが常時同時配信を行っていることを知っていただき、②スマホやパソコンから常時同時配信のページにアクセスしてもらいます。この時には、コンテンツの画面の上にメッセージが表示された状態です。③利用上のルール等を定めた「利用規約」を読んでいただき、同意のうえ、必要事項を記入して利用申し込みをしていただきますと、このメッセージが消え、常時同時配信がご覧になれます。あわせて、見逃し番組配信も利用できるようになります。申し込みを受けて、NHK側で受信契約の照合を行います。そして、④契約者住所に確認コードを記載したハガキを送ります。これによって、契約者ご本人が登録住所に実際にお住まいで、ご本人が利用申し込みをされたことを確認します。なりすましを防止するための本人確認です。⑤利用者がハガキの確認コードを入力して、IDの登録が完了します。受信料制度を毀損しないための重要なプロセスです。1つのIDで、受信契約者本人と生計をともにする家族が利用することができることになります。同時に利用できる上限は、実施計画と利用規約で明示します。
 素案の第15条の2項四には、受信契約が確認できない場合や利用規約に反する利用があった場合にサービス提供を中止することがあることを規定しています。
 素案では10ページになりますが、第15条の3項には、災害時などには、臨時かつ一時的にメッセージを非表示にして、誰でも常時同時配信を見られるようにすることについて規定をしています。
 ポイント資料の5ページから7ページです。2号受信料財源業務の費用の管理についてまとめました。
 インターネット活用業務の実施にあたっては、受信料がNHKの放送を受信できる設備の設置者に契約をいただいてお支払いいただいていること、インターネット活用業務を放送の補完として実施することなどを踏まえ、費用を抑制的に管理します。そのうえで、公益性の観点から法令や社会の要請に応えるために積極的に実施することが求められる業務については、これとは分けて個別に費用上限を設けて管理する考えです。
 資料の6ページにありますように、常時同時配信・見逃し番組配信と、NHKオンラインなどそれ以外の既存業務、いわゆる「基本的業務」は、受信料収入の2.5%という上限を守り、抑制的に管理します。経費の見直しを不断に行って上限の範囲内に収めます。ただし、大規模災害時など命を守るための情報を伝える際に想定を大きく超えて利用されることがあり得ますので、上限を超えて業務を行うことについても規定しています。その場合には、予算の流用について経営委員会の議決を経たうえで、超過の理由等を公表します。
 一方、「公益性の観点から積極的な実施が求められる業務」については、これらを積極的に実施していくために必要な費用を適切に見積もるとともに、各業務の効率的な実施に努めます。費用については、後ほどご説明しますとおり、この実施基準を2023年度末までに見直すことにしていることを踏まえて、各業務の2023年度までの費用を試算して、上限を設定しています。
 ポイント資料の7ページをご覧ください。個別に管理する4つの項目を挙げていますが、それぞれの項目でお示ししている考え方に則って対象を明確にし、費用の上限の額を実施基準の第10条、第11条、第12条、附則第3条に明記して管理します。
 ①の改正放送法に盛り込まれた努力義務に係る取り組みは、地方向け放送番組を早期に提供するための拠点放送局の設備整備や、「TVer」や「radiko」を通じた番組提供など、民放との連携・協調のための取り組みを対象とするもので、その上限は28億円としています。②のユニバーサル・サービスは、自動字幕や手話CGなどをインターネット経由で提供する取り組みで、上限は7億円としています。③は、日本を世界に積極的に発信し、日本で暮らす外国人や日本を訪れる外国人への的確な情報提供をするための国際インターネット活用業務を対象とするもので、上限は35億円に設定します。④は国民的行事である2020東京オリンピック・パラリンピックのネット展開の取り組みです。これは1年限りのものということになりますが、上限を20億円としています。
 素案のほうを見ていただきますと、10ページの第17条に「2.5%」の上限について定めています。
 次の第18条には、費用の抑制的な管理を実行し、業務が膨らまないようにするため、コンテンツは、社会的意義を踏まえて点検し、必要性がなくなったものは提供を終了する規定を設けました。
 ポイント資料の8ページには、インターネット活用業務の区分経理等についてまとめました。素案では、19ページの第42条になります。インターネット活用業務の費用については、総務省の「放送を巡る諸課題に関する検討会」等において会計の透明性確保が求められ、その議論を反映した総務省令が整備されたところですが、その内容に対応する規定を設けました。複数業務に係る経費は適正な配賦基準によって配賦することや、業務ごとの経費をポイント資料の9ページにある「費用明細表」の形で整理し、年度開始前には実施計画に添付し、年度終了後には財務諸表の説明書に記載すること、会計監査人による監査などで適正性を確保することなどを規定しています。
 9ページの表は、業務の区分ごとに費用の明細を示し、費用の上限を記載する形になっているのがご覧いただけると思います。「科目」と書いてある行の右のほうをご覧いただきますと、「国内インターネット活用業務」というくくりの中で、「実施基準第10条関係」と書いているのが放送法上の努力義務規定に対応する取り組み、次の「第11条関係」とあるのがユニバーサル・サービスの関係、「附則第3条関係」とあるのが東京オリンピック・パラリンピックについての列になります。その右の「常時同時配信等業務」と「左記以外の業務」という列が、先ほど「基本的業務」として説明した部分に当たります。さらに右には「国際インターネット活用業務」があります。こういう形で費用を整理してまいります。
 ポイント資料の10ページは、附則部分の内容です。素案では、21ページです。
 今年度中の同時配信については、第2条に規定しました。認証の円滑な実施に向けて、設備負荷等を確認するため、総合テレビと教育テレビの同時配信を、一日17時間程度実施することにしています。開始時期は、改正放送法が施行された後に改めて策定する今年度の実施計画で明らかにする考えです。
 附則の第3条は、東京オリンピック・パラリンピックへの取り組みについて定めるものです。素案の22ページの6項で、大会期間中に、常時同時配信のメッセージを非表示、表示しないとするなど、広くサービスを利用していただくための措置ができるようにしています。
 第5条は、常時同時配信の利用に関する事業所契約の扱いに関する規定です。事業所契約については、一般世帯での利用方法とは大きく異なることが見込まれ、適切に利用を限定する上でさまざまな課題があるため、当面は常時同時配信サービスの対象としない考えです。
 附則の第7条で、この実施基準を遅くとも令和5年度(2023年度)末までに見直すことを定めています。常時同時配信などの新たな業務を開始しますので、一定期間経過後には業務の実施状況などを勘案して実施基準を見直すことが必要だと考え、あらかじめその時期を定めるものです。
 最後に、ポイント資料11ページに、この実施基準の素案に対する意見募集についてまとめています。9月11日から10月4日までの24日間、広く意見を募集します。インターネットと郵送により受け付けます。意見募集の結果とそれを踏まえた対応については、終了後、なるべく早く経営委員会に報告したいと考えています。
 本日の資料としては、もう一点、「インターネット活用業務実施基準の改定にあたって」という文書があります。これは、NHKが常時同時配信と見逃し番組配信のサービスを実施する目的、その背景、個人情報の扱い、インターネット活用業務の費用の抑制的な管理、放送法で新たに設けられた努力義務への対応などについて、NHKの姿勢や考え方を視聴者・国民の皆さまに対してしっかり説明するためのものです。意見募集と合わせて、NHKのホームページで公表します。
 NHKは、公共放送・公共メディアとして、メディア環境の大きな変化の中にあっても、常時同時配信と見逃し番組配信のサービスを適切に実施して、信頼される「情報の社会的基盤」の役割をしっかり果たしてまいります。

 (井伊委員)

 2点あります。1点目は、この主なポイントの資料4ページについてです。受信契約は世帯にひも付いているので、とてもアナログなやり方ですが、登録住所にはがきを送るとしています。インターネットの世界では個人認証が基本ですが、世帯単位ですと2段階認証ができませんので、今後セキュリティーを高める意味でも、世帯認証から個人認証へ移っていくのではないかということを今後の課題として議論しているのでしょうか。これが1点目の質問です。
 2点目は、権利関係の交渉の進捗状況はどうなっているのかということです。ふたかぶせだらけになってしまいますと、常時同時配信をする意義がなくなります。ほぼ全部出せる状況なのかどうなのか、差し支えない範囲でお答えいただければと思います。

 (荒木専務理事)

 利用者の申し込みがあった後に、はがきを出して住所を確認するのは、あくまでも受信契約は世帯にひも付いているからです。受信契約をいただいていることをはがきによって確認し、ひも付けることで担保したいと考えています。インターネットの場合は、個人単位の管理が必要になると考えておりますが、今後の常時同時配信の利用状態や使用状況などをよく勘案し、どのような点に問題が出てくるかも踏まえて進めたいと思います。それから、ふたかぶせ、権利関係については、いま鋭意検討しています。難しい対応を迫られることもありますが、権利については、なるべくふたかぶせで見られないことのないようにしたいと考えています。

 (堰八委員)

 ポイント資料の4ページについてですが、インターネット実施基準(素案)の条文だと、サービスを利用しようとするものは、住所などの情報を協会に提供することを定めています。ポイント資料の図を見るとインターネットで申し込むというイメージですが、例えば契約者が、お父さんはふだんモバイル端末を使わない人だけれども、奥さんや子どもたちが使いたいという場合には、はがきで申し込みを行うのでしょうか。

 (荒木専務理事)

 基本的には、いまはインターネットだけでとしています。

 (堰八委員)

 すると、お父さんがふだん使ってない家族のパソコンやモバイル端末から申し込みをする形になるのですね。

 (荒木専務理事)

 契約者の名前で、例えば息子さんのパソコンから申し込むこともあると思います。

 (堰八委員)

 もう一点、そのような方が申し込みをすると、そのメールアドレスがNHKに開示されます。登録内容の中にメールアドレスと書いていますが、これは必要ないのではないでしょうか。あえて積極的に登録させるかどうかは、とても大きな問題なので、そこを聞かせてください。

 (荒木専務理事)

 メールアドレスを入れていただく必要性について、例えば転居されたのに住所変更していない世帯があった場合や、NHKで把握している契約者の住所はあっても実際に住んでいる人が違う場合は、このはがきでは認証ができないという事態になります。メールアドレスをお聞きすることによって、そうした対応ができるのではないかと思います。

 (堰八委員)

 それもよく分かります。インターネットの契約をするといろいろなお知らせがついてきますので、今後NHKとして、例えばNHKの新しいサービスをお知らせする場合に、メールアドレスを積極的に利用したいと思う人もいるかもしれません。今後、前向きにメールアドレスを活用する前提で、本人の同意を得ていれば、NHKとのいろいろな事務連絡など、正々堂々とお知らせできるのではないかと思います。私はNHKに積極的にメールアドレスは登録したくないという人は、そのチェックをしなければよいわけです。そのようなつくり込みをしたほうが、NHKに前向きでメールアドレスを使ってよいという人に対して、サービスを拡大する意味で使えるのではないかと思います。新たに申し込むよりも、この機会にそれをやるほうがとても効率的ではないかと思います。

 (荒木専務理事)

 そういったことについても検討しています。

 (村田委員)

 常時同時配信を海外でもパソコンやスマートフォンで見られるのかが1点目の質問です。
 もう一つは、NHKは4Kや8Kなど技術的な面でいろいろ努力していますが、この常時同時配信とあわせ、今度は5Gへの対応など課題について教えていただければと思います。

 (荒木専務理事)

 はい。対象範囲につきましては、素案の8ページ第14条第4号の2ですが、常時同時配信は「日本国内に限る」と記載されています。ですから、現状では海外に行って見ることはできません。

 (村田委員)

 それは技術的に難しいということですか。それとも別の理由で日本国内ということですか。

 (荒木専務理事)

 1つは技術的な理由です。そのほかにも、放送権の問題で日本国内だけということなどもありますので、現状では対応できないのです。それから、5Gについては今、まだ対応については考えておりません。これからの課題です。

 (槍田委員)

 一般論でもよいのですが、意見募集で意見がたくさんきて、ある部分について強い反対意見が多く出てきた場合、どのように対処されるのでしょうか。

 (荒木専務理事)

 総務省のガイドラインについては48,000件を超えるご意見が寄せられておりますので、われわれのこの案についても多くの意見をいただくことになると思います。前もってなかなかお答えすることはできないのですが、意見募集については、ご意見をよく踏まえて検討し、経営委員会において審議いただくことになると思います。きちんと受けとめて、しっかり対応させていただきます。

 (森下代行)

 認証の話もありましたが、基本的にはまずは補完サービスとして、できるだけみんなに見てもらう、認知してもらうということだと思います。現在の受信料制度について、これは世帯単位であり、携帯の世界とは違うので、整合性の問題もあるでしょうが、今はまず普及を前提として、それを令和5年までにはきちんと見通しを立てるという説明でした。しかし、世の中は動画配信もどんどん進んでおり、令和7年(2025年)ごろには5Gが一般的になると言われています。そういうことを考えると、やはり令和5年ぐらいまでの間に、早く受信料制度そのものを議論しないといけないと思います。当面は普及させることを目的とするということなので、認証の方式は理解できますが、これが本当に利用者が増えてきたら、いろいろな問題が出てくることは想定できます。認証の方法についても議論しないといけません。当面の問題としては、これでまず開始するとしても、根本的には受信料制度や料金の徴収方法についても議論しなければなりません。現状のやり方をこのままやっていくと、ますます営業経費がかかることになります。難しい状況になって資金がかかるということですから、営業経費が下がりません。それもあわせて解決しないといけないと思います。だから、ぜひ受信料制度を執行部でも積極的に話していただきたいと思います。その裏側には今の営業体制、徴収方法をどう変えるかです。例えば韓国は電気料金と一括して徴収しています。あるいはインターネットでやる、別な方法でやるなど、いずれにしてもよく研究していただき、少なくとも令和5年の見直しまでに、ある程度の方向性を出さないと、そこからまた議論していくと時間がかかるので、それをぜひ執行部で積極的に議論していただきたいと思います。裏側には営業経費の節減をいかに合理的にやるかという課題がありますので、ぜひ議論していただきたいと思います。

 (荒木専務理事)

 放送と通信の融合時代の受信料制度のあり方につきまして、受信料制度等検討委員会でご意見をいただいております。われわれとしても常時同時配信を実施した後、1つの検討課題として考えていきたいと思っています。そして常時同時配信を始めることで、ニーズがどのくらいあるのか、どんな問題点があるのかも明らかになってくると思いますので、それを踏まえて実施基準についても見直しをしていきたいということです。

 (長谷川委員)

 今の森下さんのご意見、非常に大事なところだと思います。これを発信するときに難しいのは、既存の受信料制度を毀損しないということが、片方では非常に大事になってきます。しかし同時に、われわれは一生懸命に新しい受信料制度を検討していくことも大事です。この両方を常にきちんと区分しながらアピールしていくということが大事なのではないかと思います。

 (荒木専務理事)

 さまざまなご意見等が寄せられると思いますし、そうしたことも踏まえ、これからのあり方、受信料のあり方も含めて検討していきたいと思います。

 (渡邊委員)

 素案の主なポイントの5ページですが、私たちが常時同時配信について議論をする際、2.5%という枠、それからインターネットは補完業務、という2つがポイントになっていて、すべての焦点が当てられていると思います。その中で、「公益性の観点から積極的な実施が求められる業務」という4つの項目ですが、私自身はこの4つの中の、①放送法上の努力義務とか、②ユニバーサル・サービス、あるいは③国際インターネット活用業務というのは、すでに基本業務の中に本来入っていなければおかしいのではないかと感じます。オリンピック・パラリンピックは来年だけのことですが、「基本的業務」で約175億円、7,000億円の2.5%。一方の4つの項目すべてが最大ではないにしても単純に上限の数字を足してしまうと90億円。そうすると一般の人は175億円に90億円を足した265億円がインターネット活用業務費用だという理解をするのではないかと思います。そうすると7,000億円の中でのこの265億円は3.8%近くなります。おそらく数字的に今までの2.5%との乖離について、「基本的業務」の整理をもう少ししたらよいのではないかと私自身は思いました。もう少し「基本的業務」と「公益性の観点から積極的な実施が求められる業務」の中身について、きちんと説明をしないと納得されないのではないかと感じました。

 (佐藤委員)

 インターネットを持つ人は何%などと書いていますが、実際にNHKをよく見る層は、あまりインターネットやタブレットをやっていないのではないかと危惧しています。その方たちにとっては、新たな負担をいただくことなく放送を補完するもの、と言われても、そのメリットがなく、結局受信料でその分を賄うと受け取られることもあり得るのではないかと思います。具体的には当然いま検討している方向に向かうのは分かっていますが、今ちょうど過渡期ですので、いろいろな意見が出てくるのではないかと思います。それに対してNHKとしてインターネットを利用されない視聴者の方のことも十分に考えながら対応していくことが求められると思いますので、ご配慮をお願いします。

 (荒木専務理事)

 あくまでも受信料で成り立つという点、そしてあくまでも放送の補完であるという点、その2つの点から、常時同時配信を行うに際して抑制的な管理が求められるということは、非常によく肝に銘じています。
 ただ、大きな災害のときに、情報を的確に届けきることができるという公共メディアとしてのNHKの役割を考えた場合、多くの人たちにNHKの情報をさまざまな伝送路で見ていただくことは、非常に重要なことだとも思っています。
 「基本的業務」と「公益性の観点から積極的な実施が求められる業務」について、どのように分けられているのかというご指摘もあります。確かにテレビだけをご覧の方について、この業務がどのぐらいメリットがあるのか、多くの意見を出されるであろうことはよく分かります。ただそれぞれの業務については、決して大幅に予算が膨らむことはありません。公益性が非常に高いものについては、むしろNHKに積極的にやってほしいというご意見もありそれぞれに上限を設けて、限定的にやらせていただくことをご理解いただきたいと思っています。ご指摘の意見もよく踏まえて、説明に努めていきたいと思います。

 (森下代行)

 今の件について、基本的にはどのように説明して納得していただけるかということだと思います。端的に言えば、従来言っていた「民業圧迫」の問題と同じです。「公益性の観点から積極的な実施が求められる業務」については、民業圧迫とは関係ないのではないかと思います。だから、「基本的業務」は、世間で言われている2.5%という上限について、NHKは肥大化しないよう2.5%の範囲内に抑え、そのほかの部分については、説明して納得してもらわないといけないと思うのです。そこを何となく言い訳的に整理してしまうと、本当はそうではないのではないかと疑われかねません。ぜひそのあたりは理解してもらえるような説明の仕方が必要だと思います。この「基本的業務」という言い方だと伝わらないと思います。実施基準での書き方はおまかせしますが、そのあたりの説明の仕方は、うまくやる必要があると思います。

 (石原委員長)

 もうちょっと分かりやすく説明をお願いします。いまの時点で2.4%ですから、それが常時同時配信を始めて、どうして2.5%に収まるのかという質問です。

 (荒木専務理事)

 確かに2.5%の枠を守ってほしいという意見があることは把握しています。それはNHKの肥大化やNHKが勝手にどんどん予算を使ってやるのではないかという懸念の中で出てきていることだと理解しています。「基本的業務」の中で、その部分についてはきちんと上限の2.5%を守ると説明し、こちらの「公益性の観点から積極的な実施が求められる業務」、いわば非競争領域と言えるかもしれませんが、この「公益的な部分」については、基本的業務とは別に、それぞれ上限の金額を決めて、それを管理していくということです。上限は現状2.5%で、新しく常時同時配信を始めても2.5%です。これについては既存の業務で不要なものを検討して、削っていくことにより、新たに始める常時同時配信業務とあわせて、この上限を守って管理していきます。

 (明石委員)

 インターネットという新しいサービスを、改正放送法にのっとって細部にわたって精査し、「インターネット実施基準」として明文化されました。短時間で本当によくできた内容であると思います。ただ1点非常に懸念されるのは、この素案の中に、セキュリティーについてのことが書かれていないことです。文言が一言もないというのは、これで大丈夫だろうかと心配になります。今の時代、ハッキングやなりすましなど、悪意を持って放送そのものを妨害する行為も起こるでしょうし、それからインターネットでお客さま情報を登録していただくので、顧客情報に対する不正アクセスも起こる可能性があります。NHKがインターネットの公共サービスを提供するにあたって、サービスを安全に利用していただくためにどういうシステム体制をとるのか、悪意ある行為に対してどういう体制で臨むのか。総則なのか附則なのかは分かりませんが、具体的な損害賠償を含めた文言なども明記しておく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 (荒木専務理事)

 セキュリティーは非常に重要な問題で、例えば個人情報等の保護などについて、それが外に漏れないようにすることを定めています。素案の18ページの第36条に「個人情報等の保護」とあり、個人情報の取り扱いについてきちんと適切な安全管理措置を講ずることという規定を盛り込んでいます。もちろん基盤の安定性、安全性は、この常時同時配信を始めるにあたって、われわれは非常に重要な問題だと考えています。システムの構築にあたっては、最近のセキュリティーの状況、それから最近の事故等の分析を踏まえて、適切かつ完全なセキュリティー対策を実施できるように留意していかないといけないと思います。

 (明石委員)

 内部で大変精査されて、そして対策をとられているのはよく分かります。もちろんそうしたところに不安感を持っているわけではないのですが、こうしたところに書いておかないと、それがされているということを、一般の方は理解してくださらないと思うのです。それから、先ほど申し上げたように、実際の妨害行為に対して、NHKはどういう対応をしていくのかという姿勢を明記しておくことによって、多少の抑止力になるかもしれないという点も含め、文言を記載する必要性があるのではないかと思います。

 (荒木専務理事)

 この「インターネット実施基準」以外にも、これから「インターネット実施計画」、「インターネットサービス利用規約」を作ります。例えば「インターネットサービス利用規約」の中にそうしたことを盛り込んで、申し込みのときに読んでいただくようなことを考えています。

 (明石委員)

 利用されるお客さまがされるわけではなく、悪意をもった第三者が外部からいつでも侵入してこれる環境にあるということを想定して、広く検討していただきたいと思います。

 (高橋委員)

 非常に苦労され、ここまでまとめられ、素案としては、私はおおむねよろしいのではないかと思っています。ただひとつ、世の中の民間企業では極めて当たり前の評価軸が、やや曖昧ではないかという気がしています。これも3年ごとに見直すという話が出ているのですが、どう見直すつもりなのでしょうか。議論を見ていると、上限を突破したらまずいとかいう話ですので、絶対うまくいくことばかり考えて、失敗は全然想定されてない気がします。しかし世の中では、「うまくいく」、「スタンダードでいく」、「思ったより低いところでいく」と、いろいろ検討するのに、経営陣として3案ぐらいは考えるべきだというのが一般的だと私は思っています。そうすると、何がスタンダードで、何が非常によくて、何が悪いのかと考えて、悪いときには手を打たなくてはいけないのです。一般企業で200億円の資金を投じて、こうした議論をするときに、うまくいかないからといって放置することはまずあり得ません。そうすると、悪くなってきたときに、どういう警告を鳴らすのか。その警告を鳴らす基準とはどういうものかということを、これからまだ少し先ですから、しっかりと考えておく必要があると思います。インターネットについて補完的な役割で2.5%とはいえ、実額で考えると175億円ですから、いざというときの評価をどのようにしていくのか、今後の展開については、そこをぜひしっかりと取りまとめていただきたいと思います。

 (荒木専務理事)

 われわれが公共メディアへの進化を目指して、常時同時配信に取り組む目的、最初の出発点は、「6つの公共的価値」の実現です。それに基づいて、われわれにとっても非常に大きな事業、そうした評価をどのように行っていくのか。これは年度ごと、さらに3年ごとに見直すことが定められていますので、そうした見直しをきちんと行います。その見直しの基準、評価軸、指標というものを、さらに検討してまいります。

 (高橋委員)

 ぜひよろしくお願いします。

 (長谷川委員)

 いただいた「インターネット活用業務実施基準の改定にあたって」という、このA4、4ページの資料について、先ほどの説明ではこれは視聴者の方に向けたものという説明でした。上田会長ご自身のことばで、これを伝えたいということを、端的に作って出していただきたいと思います。NHKはこれがやりたいのだということが視聴者に伝わることがすごく大事だと思います。ぜひ知恵を絞って、メッセージを作っていただきたいと思います。

 (荒木専務理事)

 NHKは何を目指すのか、この「インターネット活用業務実施基準の改定にあたって」の中で考えをまとめて記しましたが、もっと端的に伝えよというご意見は、あると思います。しっかり検討して、メッセージを出していきたいと思います。

 (石原委員長)

 それでは、十分議論したと思います。執行部が苦労しながらお作りになられたということがよく分かりました。
 今回のただいまの審議を踏まえて、インターネット実施基準の改定について、経営委員会は執行部案を大筋で了承といたします。この実施基準を経営委員会で議決するかどうかについては、今後執行部が行う意見募集を踏まえて改めて審議します。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 2019年10月29日    

石 原  進 

 

 

高 橋 正 美