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第1305回
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平成30年5月11日(金)公表

日本放送協会第1305回経営委員会議事録
(平成30年4月24日開催分)

第1305回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1305回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成30年4月24日(火)午後1時00分から午後5時30分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原  進 森 下 俊 三 井 伊 雅 子
    槍 田 松 瑩   小 林 いずみ 佐 藤 友美子
    堰 八 義 博   高 橋 正 美 中 島 尚 正
    長谷川 三千子   村 田 晃 嗣 渡 邊 博 美
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  上 田 会 長 堂 元 副会長 木 田 専務理事
  坂 本 専務理事 児 野 技師長 根 本 理 事
  松 原 理 事 荒 木 理 事 黄 木 理 事
  大 橋 理 事 菅   理 事 中 田 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(福岡)・(神戸)登壇者報告

 

付議事項

 

1 議決事項

 (1) 平成30年度経営委員会委員の報酬について(資料)

 

2 委員長報告

 

3 監査委員会報告(資料)

 

4 議決事項

 (1) ラジオ中継放送局の設置計画について(資料)

 (2) 「職員の給与等の支給の基準」の一部改正について(資料1)(資料2)

 

5 報告事項

 (1) テレビジョン中継放送局およびラジオ中継放送局の開局について(資料)

 (2) 視聴者対応報告(平成30年1〜3月)について(資料1)(資料2)

 (3) NHK情報公開・個人情報保護の実施状況(平成29年度)(資料)

 (4) 平成29年度契約・収納活動結果(資料)

 (5) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (6) 平成29年度第4四半期業務報告・3か年の総括(資料)

 

6 その他事項

 (1) 「NHK経営計画2018−2020年度」3か年工程表について

 

○ 平成29年度役員目標年間総括ヒアリング

 

 

議事経過

 

 石原委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(福岡)・(神戸)登壇者報告
 4月14日土曜日に福岡放送局で開催された「視聴者のみなさまと語る会(福岡)」に登壇した石原委員長、渡邊委員から感想の報告を受けた。続いて、4月21日土曜日に神戸放送局で開催された「視聴者のみなさまと語る会(神戸)」に登壇した高橋委員、小林委員から感想の報告を受けた。

 

 

1 議決事項

  (1) 平成30年度経営委員会委員の報酬について(資料)

 ※ 議事に先立ち、評価・報酬部会を開催し、平成30年度経営委員会委員の報酬について審議を行った。

 (石原委員長)

 「平成30年度 経営委員会委員の報酬」 について、高橋評価・報酬部会長から、評価・報酬部会の審議結果を報告いただきます。
 (高橋委員)
 平成30年度の経営委員会委員の報酬についてお諮りします。
 お手元にあります議案書「平成30年度経営委員会委員の報酬について (案)」をご覧ください。表紙に続き、2枚目に「経営委員会委員報酬支給基準」、3枚目に別表として報酬額を記載しています。
 評価・報酬部会としては、昨年度と同じ報酬額で提案します。前回の経営委員会で役員報酬を前年度と同額で議決しております。経営委員会委員の報酬は、役員報酬と同様に、これまで段階的に減額してまいりましたが、今年度についても役員報酬と同等の対応をするのが適当だと考えております。
 また、他の公共性の高い企業や法人との比較、昨今の経済状況の考慮を踏まえましても、昨年度と同額とすることは妥当であり、十分説明責任を果たすことができると考えております。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1304回(平成30年4月10日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成30年4月27日に公表することを決定した。

 

 

2 委員長報告

 (石原委員長)

 本日、執行部との合同会議の前に開催した経営委員による経営委員会で、平成30年度経営委員会委員の報酬について、評価・報酬部会からの議案を受け、昨年度と同額で議決いたしました。

 

 

3 監査委員会報告(資料)

 (高橋委員)
 平成29年度の経営委員会委員の服務に関する準則の遵守についてご報告いたします。
 席上に、経営委員会への報告表紙「監査委員会活動結果報告について」と報告内容「監査委員会活動結果報告書」を資料として配付しております。
 資料の2枚目をご覧ください。
 1.監査委員会は、4月10日開催の第1304回経営委員会の際に、放送法、定款および監査委員会規則などに基づきまして、経営委員会委員に対して服務に関する準則の遵守につき確認書の提出を依頼しました。
 2.平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間の経営委員会委員の業務執行について、経営委員会委員12名全員からそれぞれ当準則に基づき行動したとの確認書を受領いたしました。
 この件につきましては、日本放送協会平成29年度業務報告書に添える監査委員会の意見書に記載する予定ですが、取り急ぎご報告申し上げます。

 

 

4 議決事項

  (1) ラジオ中継放送局の設置計画について(資料)

 (児野技師長)
 ラジオ中継放送局の設置計画につきましてご審議をお願いいたします。
 設置に向けた検討などが完了し、放送局免許の申請を行った段階となりました6局所の設置を提案いたします。
 今回の設置計画局所は、ラジオの受信改善を目的とする4地区、それから津波による浸水被害が想定されているラジオ中継放送局の災害対策を目的とする2地区に設置を行うものです。いずれも総務省が平成26年度に制度整備を行いましたFM波を利用したラジオ中継放送局の開局の制度を活用しています。地区名等はお手元の表のとおりです。いずれも平成31年度の開局を予定しております。
 ラジオの受信改善につきましては、静岡県の富士宮市の一部地域で3,500世帯、長崎県の西海市大瀬戸町の一部地区で2,700世帯、鹿児島県の薩摩川内市と出水市の一部で約3万5,000世帯の受信状況の改善となります。参考として地図をつけています。設置する場所と中継局名を書いておりますので、ご覧ください。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (2) 「職員の給与等の支給の基準」の一部改正について(資料1)(資料2)

 (根本理事)

 平成30年6月1日から職員の給料等の支給の基準を別冊のとおり一部改正することとしたいので、ご審議をお願いいたします。職員の給与等の仕組みの基準は放送法の第61条におきまして支給の基準を定め、これを公表しなければならないとされており、その改正につきましては定款第13条第1項第1号タの定めによりまして、経営委員会で議決いただくことになっております。
 4月10日の経営委員会でご説明いたしましたとおり、ダイバーシティー経営をより一層積極的に進める姿勢を示すために、組合との春季交渉を経て、平成30年6月1日より子育て・介護中の負担を軽減するための施策を拡充することとします。
 具体的には、子育てを行う職員への施策の対象を全職員に拡大します。参考ですが、1名の場合、月額9,500円、2名の場合は月額1万7,500円、以降1名につき8,000円を加算します。また、介護を行う職員への施策を新設いたします。金額は今、申しました子育て加算と同じ額です。
 給与制度の見直しに伴う支給の基準の変更箇所は別冊資料の新旧対照表の下線の部分でございます。支給基準の2、給与の一般職、管理職の各項目に文言を追加いたします。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

5 報告事項

 (1) テレビジョン中継放送局およびラジオ中継放送局の開局について(資料)

 (児野技師長)

 今度は先ほどのような手続きに従って設置計画されました中継放送局が工事を終えて開局した場合の報告事項として経営委員会に報告することになっている案件です。
 テレビジョン中継放送局1局、それからラジオ中継放送局5局の開局についてご報告いたします。
 テレビジョン中継放送局につきましては、平成28年熊本地震により南阿蘇中継局が被災し、停止しましたため、南阿蘇村および高森町の一部エリアを補完することを目的に南阿蘇高森中継放送局を1局開局しました。今回の開局によりまして、3月末現在でテレビジョン放送は総合テレビで2,215局、Eテレで2,186局で放送しております。
 続いて、ラジオ中継放送所の開局についてご報告いたします。ラジオの受信改善を目的としまして、兵庫県の新温泉ラジオ放送局、宮崎県の五ヶ瀬ラジオ放送局、鹿児島県の徳之島ラジオ放送局の3局を開局いたしました。新温泉のラジオ放送局は中波ですが、そのほかの2局はFM波を利用したラジオ中継放送局となっております。こちらの3局の申請世帯数は合計で2万3,000世帯となっておりまして、このうち約1万1,700世帯で聞こえづらい状況を改善することができました。
 津波対策を目的としたラジオ中継放送局は徳島県の日和佐ラジオ放送局と宮崎県の延岡ラジオ放送局の2局です。これらの局につきましては、自治体のハザードマップにおきまして、ラジオ放送所への津波浸水被害が想定されているために新たに開局しました。2局ともFM波を利用したラジオ中継放送局となっています。今回の開局によりまして、3月末現在、ラジオ第1放送は256局、ラジオ第2放送は146局で放送しております。各放送局の送信出力や周波数、申請世帯数、開局年月日などはそれぞれお手元にお配りした資料のとおりです。参考に地図を示しておりますので、ご覧ください。

 

 (2) 視聴者対応報告(平成30年1〜3月)について(資料1)(資料2)

 (中田理事)

 放送法第27条に定める視聴者対応の状況について、平成30年1月から3月分を取りまとめました。放送法第39条第3項の規定に基づき報告します。
 視聴者の声の総数は1月が32万8,064件、2月が31万7,750件、3月が35万8,132件でした。主な内容をご報告します。
 まず、1月からです。お手元の資料4、視聴者対応報告の2ページをお開きください。まずは大河ドラマ「西郷どん」です。初回から4回までの放送に寄せられた反響は1,677件でした。2ページ一番下の横棒のグラフをご覧ください。直近の3つの作品と1月分の視聴者の意向を比較いたしました。
 まず件数では「西郷どん」は最も多くなっています。また、好評意見は14%で、これまでとほぼ同じですが、厳しい意見は「おんな城主直虎」より多い26%で、「真田丸」、「花燃ゆ」とほぼ同じでした。好評意見には、主役の鈴木亮平さんの演技や西田敏行さんのナレーション、それに脚本、演出、テーマ音楽がよいなどの声がありました。一方、厳しい意見では、当初は薩摩ことばが分かりづらいという声が目立ちましたが、回が進むにつれて数回見ているうちにやりとりやニュアンスで伝わってくるようになったという声も寄せられています。
 次は4ページです。NHKスペシャル「未解決事件File.06『赤報隊事件』」です。仲間の記者を殺された朝日新聞特命取材班の知られざる内幕を元SMAPの草g剛さんらが熱演する実録ドラマで描き、360人を超す捜査関係者への取材や入手した警察の極秘資料から浮かび上がった犯人像に迫りました。左の円グラフをご覧ください。幅広い年代から696件の反響があり、このうちの54%が好評意見でした。綿密な取材に基づく内容やドラマとドキュメンタリーによる構成などを高く評価する声のほか、草gさんをはじめとするドラマの出演者の演技がすばらしかったという声が255件寄せられました。
 一方、厳しい声には、震撼させた事件だったが、なぜこの時期にこの内容の放送をするのかよく分からなかったというご意見もありました。
 2月、3月のピョンチャンオリンピック・パラリンピックについてです。18ページを開いてください。まずオリンピックです。ピョンチャンオリンピックにはおよそ1万5,600件の反響が寄せられました。真ん中の左の円グラフをご覧ください。放送時間やサブチャンネルの視聴方法など問い合わせが全体の57%に上りました。また、各競技のルールや戦術などの解説が分かりやすかったとか、中継の実況などに好評意見が寄せられる一方、厳しい意見では放送時間が長過ぎる、ニュースやほかの番組ももっと放送してほしいという声がありました。
 22ページをご覧ください。今度のオリンピックでは競技の動画ライブ配信やハイライト動画の配信などインターネット独自のさまざまなサービスを実施いたしました。このうちユーチューブのNHKチャンネルは視聴回数が4,481万回、ツイッターのNHKスポーツは3,129万回に達し、羽生結弦選手の実況なしのノーカット版の演技などに人気が集まりました。
 42ページ、こちらはパラリンピックです。3月のピョンチャンパラリンピックには1,125件の反響がありました。真ん中の円グラフをご覧ください。40代以上を中心に幅広い年代から反響があり、選手が障害にかかわらず懸命に滑走する姿に感動した、NHKしか放送していないのでよくやってくれたと思うなどの好評意見が寄せられました。厳しい意見としては、できるだけ生放送で見たいという声がありました。放送時間が少ないという意見と放送が多過ぎるという、相反する意見も寄せられました。視覚障害者向けの副音声の解説放送や競技動画のインターネットでの配信なども行い、テレビでは中継されない競技でもネット配信されたので楽しむことができたという声も届きました。
 次は、ETV特集「長すぎた入院」への反響をご紹介します。日本の精神科病院の病床数はWHO世界保健機関の資料に基づけば、世界のおよそ2割を占めています。福島第一原発の事故をきっかけに人生の大半を精神科病院で過ごした人たちの実態が見えてきています。入院する必要のなかった人たちがなぜ長期入院となったのか、当事者の証言でつづりました。
 グラフをご覧ください。60代を中心に女性からの声が69%を占めました。好評意見は21%で厳しい意見を大きく上回り、衝撃的な内容で実態がよく分かった、ようやく退院した人たちの表情やことばから人が生きる意味を改めて考えさせられたなどの声が寄せられました。
 続いて3月です。東日本大震災7年関連の「NHKスペシャル」です。3月11日の前後に5本を「NHKスペシャル」として放送いたしました。番組別の反響です。最も反響が多かったのは、放射性物質の放出がなぜとまらなかったのか。AIを使った分析や2月に亡くなった大杉漣さんらが出演するドラマで再現をした「メルトダウンFile.7 そして冷却水は絞られた〜原発事故迷走の2日間〜」で150件反響がございました。そのほか「“河川津波”〜震災7年 知られざる脅威〜」には75件、「被曝(ばく)の森2018〜見えてきた“汚染循環”〜」には65件の反響が寄せられました。
 次の37ページ、左の円グラフをご覧ください。この全体の反響を見ますと、好評意見は13%、厳しい意見は18%、男女別では男性の反響が61%で、特に60代男性の声が多く届きました。7年が経過した被災地の現状がよく分かったなどの声や、各番組のテーマへの持論も寄せられました。
 また、今後の復興をどう進めていくのか、具体的な方法などを放送してほしいなど、東北に目を向けた放送をこれからも続けてほしいという声が寄せられました。
 39ページ、連続テレビ小説「わろてんか」です。半年間の放送に寄せられた反響は5,079件でした。直近の3つの作品「ととねえちゃん」、「べっぴんさん」、「ひよっこ」と比べますと2,700件から5,500件少なくなっています。上の左の円グラフをご覧ください。問い合わせが半数を占め、好評意見は14%でした。ヒロインをはじめとする出演者の演技や、何もないところから立ち直っていこうとする主人公の生き方に元気をもらったなどの声が寄せられました。厳しい声は25%で、ストーリーや時代考証などへの声が目立ちました。
 男女の年代別で見てみますと、男性は50代以下の年代では好評意見が多く、60代以上では厳しい声が多くありました。一方、下のグラフで女性は20代以下で好評意見が厳しい意見をやや上回り、それ以外の年代では厳しい意見が多くなりました。
 52ページをご覧ください。1月から3月までの間に再放送希望の多かった番組です。上位10本の番組のうち6本をNHKスペシャルの「人体」のシリーズが占めております。
 そして最後、56ページです。平成29年度に寄せられた意見、問い合わせの総数、合わせて392万8,261件となりました。左上の円グラフをご覧ください。意向内容を見ますと、放送関係が119万5,000件で前の年度、平成28年度と比べて8万3,000件減りました。件数が減少したのは、平成28年度は熊本地震や津波警報、夏のリオデジャネイロオリンピック、さらに紅白歌合戦の審査方法など多くの問い合わせが寄せられた番組、ニュースがありましたが、平成29年度はそういったものが平成28年度に比べると少なかったことなどによるものだと見られます。受信料関係は217万9,700件で前の年度より5万7,000件減っています。そして、一番下の棒グラフをご覧ください。個別の番組で最も多く反響が寄せられたのは「あさイチ」のおよそ3万2,600件でした。次いで「NHKスペシャル」3万2,200件、「ニュースウオッチ9」で2万8,700件、「おはよう日本」の2万5,400件となっています。

 (長谷川委員)

 いつもこの報告はすごく丁寧に読者の声を披露してくださっていて、よい考える材料になっていると思います。2点、非常に考えさせられる意見がありますので、これをどう捉えたか、お聞かせいただきたいと思います。
 一つ目は25ページ、「長すぎた入院」の下から2番目のところに、ご家族に患者さんを抱えていらっしゃる方からの意見で、「家族の側にも視点を置いた番組も放送してほしい。両者あっての問題だと思う。」とあります。これは本当に切実な問題だと思います。NHKの基本方針からいうと、こういう番組をつくるときは、家族の側からの視点というのは、常にこの番組自体の中でしっかりと押さえておく必要があるのではないかと思うのです。
 あともう一つは、4ページの「NHKスペシャル 未解決事件」の、「ドラマ自体は悪くなかったが犯人があたかも右翼であるような放送だった。」というご意見です。これはドラマとドキュメンタリーを合わせるという番組の性格につきものの非常に難しい点だと思います。当時、いわゆるよく知られている右翼団体の人たちがこの事件に非常に強い批判を持っていて、「こんな人間は右翼とは呼べない。」というような意見もありました。ドキュメンタリーだと、そういうところを必ず載せるという約束ができ上がっているわけですが、ドラマ仕立てだとその側面が薄れてしまうのではないかと思います。ドラマ仕立てだから感動するという部分もあると思うのですが、その危険な側面も、このご意見が指摘しているのではないかと思います。この2点についてどう捉えていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。

 (木田専務理事)

 ご意見はご意見として、こういうご意見が来たということとして受けとめておりますが、どういう考えでつくったということについてまでは、経営委員会の場ではそぐわないと思いますので、ご意見があったことは受けとめていますとさせていただきたいと思います。

 (長谷川委員)

 もちろん経営委員会は個々の番組について批判をするという場ではありません。ただ番組づくりの姿勢はどうあるべきかという、「そもそも論」については、経営委員会はむしろディスカッションをする義務がある場だと捉えているのですが、いかがでしょうか。

 (木田専務理事)

 それぞれの番組はともに編集の基本計画に沿ってつくられていると考えております。

 (長谷川委員)

 そうですか。了解です。

 (森下代行)

 2点、お伺いしたいと思います。いつもよく分析してもらっているのですが、例えば23ページ、「金メダルへの道 逆境を乗り越えて」という番組の部分です。好評意見が3%、厳しい意見が62%とあって、厳しい意見がどこに書いているのかとなるわけですけれども、下の主な内容のところを見ると、厳しい意見が6割もありながらその内容がよく分からない。例えば、ほかの番組の意見だと、場合によっては好評意見と厳しい意見と分けて整理してもらっているのがあるのです。先ほど長谷川委員がおっしゃったように、何のためにこの意見を聞いているかというと、視聴者がこれをどう評価したかということを知ることであり、こういうものも見てNHKとしてこの番組は適切だったのかどうかという評価をするためだと思うのです。編成はNHKがやるから意見を聞かないという姿勢ではなくて、むしろやはり厳しい意見ということがこれだけあるということは、この番組のつくり方に何か配慮すべきことがあったのではないかと思うわけです。それが分析のところには何も出てきていません。そういった意味では、もうちょっと謙虚に資料を整理しないといけないのではないかと思います。もう一点、37ページの「“河川津波”〜震災7年 知られざる脅威〜」という番組です。好評意見が13%、厳しい意見が18%となっているのですが、主な意見のところを見ると、厳しい意見が見えません。この整理の仕方をもっと工夫すべきではないかなと思います。例えば41ページを見ると、この番組については、好評意見と厳しい意見を分けてあります。この整理をする基準は、いったいどうなっているのかが気になるのです。まず23ページ、この整理の仕方がちょっと理解できません。

 (中田理事)

 そもそもこの視聴者対応報告は分析のためのものではなくて、視聴者からどういうご意見があったかということを示す資料となります。分析については、それぞれの視聴者のご意見はそのまま番組担当者に行きますので、その番組担当者がもちろん分析をして、視聴者のご意見を伺って、反省することは反省して、次の番組に生かすという形をとっています。

 (森下代行)

 それだったら、ここにもうちょっときちんと書いてほしいと思います。厳しい意見が6割で、好評は3%にもかかわらず、この主な内容を見ても、厳しい意見の内容が分かりません。今おっしゃったのは、悪く言うと、NHKは自分たちでやっているのだから、あなたたちの言うことは聞かない、何も文句を言われる筋合いはないという言い方に聞こえるわけです。

 (中田理事)

 そういうつもりはございません。視聴者の意見がすべてだと思ってやっています。

 (森下代行)

 それだったら、こういう厳しい意見が6割もあるのに、分析内容は不適切でしかないと思います。

 (中田理事)

 分析をする資料ではないということです。これは、いただいた意見をまとめて、要約してお示したものです。

 (森下代行)

 まとめて示すときに、大半の意見が示されないのでは、まとめになっていないのではないかと言っているわけです。

 (中田理事)

 おっしゃるとおり、分かりにくいかもしれません。実は、この65%の中では、「羽生選手がけがをしたシーンを何度も放送する必要があるのか」という意見がものすごく多かったということがこの数字に反映しています。要するに同じ意見がたくさん来た場合は、その意見は1つしかご紹介しないので、こういう結果になっているということです。

 (森下代行)

 この表で見ると、それは全然理解できません。報告書として不適切ではないかと言っているのです。同じ意見が何十件もあるというのであれば、それはそれで意味があるわけです。それを、30件、40件と書けばよいのです。

 (黄木理事)

 いま申し上げていたところは、次の24ページに286件として書かれています。いくつかの番組をまとめてしまっているのですが。

 (森下代行)

 それだったら、好評意見と厳しい意見と分けて整理したほうが分かりやすいのではないかと言っているのです。特に、この場合は厳しい意見が6割もあるわけです。ほかの番組とちょっと違う気がします。それが分かるように報告書を書かないと、報告書にならないのではないかということを言っています。

 (中田理事)

 検討させていただきます。

 (村田委員)

 いろいろ番組ごとに視聴者から意見が来る。この報告書はそれを分析したものではない。それは承ったのですが、そのさまざまな批判とか意見というのは、今のお話だと、それぞれの番組をつくっている担当者の方に、こういうポジティブな意見やネガティブな意見があると伝わる。それはもちろんよいのですが、私ども大学の世界で、学生に授業評価でアンケートをとるのです。その先生の授業はおもしろくなかったとか、板書の仕方が悪かったとかとクレームが来ます。それは、当然、担当教員には開示されるのですが、それだけではだめですね。やはりその全体として、じゃあ、そのカリキュラム上の問題はなかったのか、教務上の運営の問題がなかったのかというような構造的な分析がされないと、それぞれの教員にフィードバックして、あなたの授業にはこんな意見がありましたよと言うだけでは、なかなか実際授業は改善されないのです。だから、この場合、個々の番組をつくっていらっしゃる方々に、こういうご批判がありましたと渡されるのは大事なことですが、それ以外に構造的に分析をされて、何か是正をするとか改善を考えるとかいうことは別になされているのでしょうか。それについて、教えていただければと思います。

 (中田理事)

 それはもちろんやっています。もちろん担当者にこれが行きますけれども、その番組を制作している部局にもこれはちゃんと行っています。これではなくて、もっともとのご意見があって、ウェブでどこからでも見られるようになっています。

 (村田委員)

 ウェブで、社内の方にですか。

 (中田理事)

 はい。ですから、それはいろんな形で構造的な分析もできるようになっています。

 (村田委員)

 構造的な分析をどこかが責任を持ってやっているのですか。

 (中田理事)

 基本的には、その担当の制作部局が責任を持ってやっています。

 (堰八委員)

 52ページですが、再放送の希望上位15番組についてです。教えていただきたいのは、結果的に再放送しているものと、再放送されていないものがあるのですが、それはどういう基準で再放送するしないを決めているのか、もし差し支えなければお聞かせいただきたいと思います。それから、私はかつて13番の「赤報隊事件」はオンデマンドで見させていただいた記憶があるのですが、こういう人気のあるというか、もう一回見たいという番組を優先的にオンデマンドで流すということも、営業上プラスになるのではないかと思います。詳しいことは分かりませんけれども、そのような気がするのですが、何か基準があるのでしょうか。

 (木田専務理事)

 放送については、定時で再放送があるものもあります。NHKスペシャルは大体定時で行っているものがあります。再放送できないのは、権利上の問題です。「赤報隊事件」については、NHKスペシャルですので、ドラマと両方なので非常にサイズが大きくて、なかなか枠がないということもこの段階ではあったかもしれません。基本的には、さまざま固有の理由で再放送ができないということはあります。

 (堰八委員)

 ありがとうございます。

 (長谷川委員)

 改めて確認をしたいのですが、今度、「視聴者のみなさまと語る会」にまいります。視聴者のみなさんがお聞きになりたいのは、「自分たちが出した意見をNHKはどれだけ真摯に受けとめてくれるのか」ということだと思います。「もしNHKとして、『その意見は違う』と思ったならば、『それはこういうふうに違う』と言ってくれればよいのに。」というご意見によく出会うのです。先ほどのお返事は、「厳しい意見はあった。でも自分たちは放送法の放送基準に従ってつくっているから、ただ報告して終わり」という姿勢を持っているというふうに聞こえてしまいます。これだと、視聴者の皆さまに対して「NHKは真摯に受けとめています」という答え方ができなくて、ちょっと困るのです。先ほどのお答えは、「真摯に受けとめて誠実な応対をしたいと思う」ことを否定するというわけではないお返事だと捉えてよいですね。

 (木田専務理事)

 先ほど言いましたが、一応経営委員会の場ですと、あり方として、ここではやはり編集の基本計画などをご審議いただきますので、そういうふうに今お答えしました。日常的には、番組を放送した翌日、視聴者からの問い合わせであるとかご意見は、番組担当者だけはなく、その他の部局、例えば制作局で制作した番組のいろいろなご意見は、編成局でも報道局でも全部、朝から一覧表になって出てきますので、それぞれ関係のある部署の人間は必ず見ております。制作部局からは、これにはやはりすぐお答えしたほうがよいのではないか、事実関係の把握に何か間違いがあるのではないか等々、いろいろなご意見の内容に応じてすぐレスポンスをするようにしています。おもしろかった、おもしろくないとかいうことについては、それほどそのご意見への対処はしていないですが、お問い合わせがあった点等については、すぐお答えするように努めています。ですから、現場での視聴者の皆さんとの対応については、非常にきめ細かく行っているとお考えいただければと思います。

 (長谷川委員)

 われわれ経営委員会というのは執行部を指導する責任を負うという役目を担っているわけです。これは本当に公正な番組づくりをしているかどうか、それをわれわれは監視する責任があるわけです。だからこそ、こういう丁寧なご報告を3か月に1回受けているわけです。それを、経営委員会の場ではこれはふさわしくないとおっしゃるのはどういうことかしらという疑問が浮かぶのです。

 (木田専務理事)

 個々の番組について、ここで、どのような考えでつくられ、どういうことを伝えようとしたかということについては、お答えをできませんとお答えしたつもりです。

 (黄木理事)

 放送法上は、番組の中身については、放送番組審議会、これは中央と地方でございます。この放送番組審議会では、その個々の番組についてのご意見、まさに公平・公正であるかと、そういったこともいただいておりますし、この視聴者対応報告というのは毎月、月次で広報局からご報告するという形にしております。そういった意味では、放送法上では、そういった中身は番組審議会で、NHKの執行の部分については経営委員会でという立てつけになっています。それに基づいて、こういうお話を差し上げていると理解しております。

 (森下代行)

 今の意見については、私はかなり疑問があるのですが、だから文句を言うなという話に聞こえてしまいます。そういう態度に非常に問題があるのではないかと思います。何のためにこれだけの立派な報告書をつくっているのかということは、やはりNHKが真摯に視聴者の意見を聞いているということですよね。おっしゃっていることに、ちょっと違和感があります。

 (大橋理事)

 私も広報局にいたので、そういうご意見をいただきましたけれども、この視聴者対応報告は、放送法第39条で、視聴者から寄せられた苦情・意見と、その処理状況について、経営委員会に報告しなければならないと定められています。それに基づいて、3か月に1度、経営委員会にご報告をしています。この中には、単にこういう意見があったということだけを書いているわけではなくて、例えば11ページに、「指摘・意見・要望への対応」という項目があります。視聴者からこういうご意見があり、それに対してNHKとしてはこういう形で対応いたしましたということを、放送法に基づき報告をしています。ただ、何十万件と来ているさまざまな意見があるので、すべての苦情に対してどう処理したのかということを、逐一全部申し上げるわけにいかないという面もあります。編集にかかわる部分へのご意見もございますが、それは、現場で次の編集に生かすようにフィードバックをしています。「VOIS」というシステムで、そういう対応をしているということです。

 (森下代行)

 だから、報告すれば終わりではないでしょう。何のためにこれを報告するかといえば、どういう対応をきちんとやったかということを経営委員会に報告して、それで経営委員としては、その報告の内容は適切なのか、もうちょっと改善すべき点があるのかについて、意見を言うのは当たり前だと思います。だから、この報告書について、理解しにくいので、もうちょっと整理してはどうかと言っているわけです。それは編集権とは全然関係ない話です。

 (大橋理事)

 おっしゃるとおりです。そのとおりです。

 (中島委員)

 個々の番組に関しては、確かに番組審議委員会が責任持っていろいろと判断されていると思います。その議事録を毎回読ませていただいておりますが、審議委員の個人がご覧になっての意見とか感想というような表現が非常に多いと思うのです。このように全体としては意見がこういう分布であったというようなことを投げかけて、全体として審議委員会ではどう判断するか、そういうことも必要なのではないでしょうか。そうすれば、われわれにとってもまた、審議委員会でこういうふうにこの意見に対しては判断されたということが報告されれば、納得性が高くなるのではないでしょうか。ちょっと検討していただければと思います。

 (村田委員)

 事実関係の確認だけですが、番組審議会の場合は、NHKが各地方にも番審を置いていますが、われわれに関係するものは中央番審の部分とされています。地方番審の方々が回覧されている資料は、今日われわれが拝見している資料と同じものか、あるいは、もっと詳しいものが配られているのか。その辺のところを教えてください。

 (木田専務理事)

 番組審議会の委員の皆さんには、この資料と同じものでありませんが、月ごとの資料が配られています。番組審議会の皆さんは、こちらから見ていただく番組を指定する場合と、あとは皆さんが見てきたものについてのご意見いただく場合があります。

 (村田委員)

 では、こういう統計データ的なものは、例えば番審の場ではあまり出てないのですか。

 (木田専務理事)

 中央番審には出ています。四半期業務報告を経営委員会にもご報告していますが、あれとほぼ同じものは、データとしては3か月に1度、ご説明しています。

 (石原委員長)

 大分議論が白熱しました。大事な問題であるということは間違いないわけで、今日はこの辺でこの議論は打ち切り、また別の機会で時間をとりたいと思います。

 

 (3) NHK情報公開・個人情報保護の実施状況(平成29年度)(資料)

 (中田理事)

 平成29年度の情報公開と個人情報保護の実施状況について、ご報告いたします。
 1ページをご覧ください。平成29年度は9人の方々から32件の開示の求めを受け付けました。まず、折れ線グラフですが、受付件数の年度内の累計の推移を、そして、下の棒グラフは平成28年度と平成29年度の月別の受付件数を示しております。開示の求めの受付件数は、平成25年度に824件と一気に落ちましたが、平成26年度に1件300円の手数料を導入して以降、減少いたしまして、平成29年度は平成28年度の3分の1近い32件、求めを寄せた人の数も過去最少の9人となりました。
 2ページです。開示の求めを分野ごとに分けますと、不祥事や勤務管理に関する事案が含まれる総務・経理が15件と、全体の半分近くを占め、28年度より1件増加、次いで、放送、営業がいずれも8件となりました。(3)は、開示の求めに対するNHKの判断結果です。年間32件のうち、開示が11件、一部開示6件、不開示8件、検討中1件、ほか、対象外6件で、これは、NHKの情報公開制度では、放送番組の編集にかかわる文書を、番組編集の自由を確保する観点から、開示の求めの対象外としているものです。結果として、平成29年度の開示率は68%で、平成28年度に比べ14.5ポイント上がりました。また、不開示、対象外の場合であっても、両方の合計14件に対して12件に当たる86%については情報提供も行いました。情報公開への姿勢を示す意味で、一定の成果が得られたものと考えております。
 続きまして、3ページをご覧ください。平成29年度は、下半期に受け付けた開示の求めの中から5つ事例を挙げました。右側は、それぞれの開示の求めに対するNHKの判断です。
 そして、4ページからは再検討の求めについてです。NHKが不開示等の判断を行い、それに不服の視聴者から再検討の求めがあったときは、第三者機関の情報公開・個人情報保護審議委員会が、客観的・中立的な立場から審議し、結果はNHKに答申する仕組みです。
 審議委員会の委員5人のうち、平成29年度に4人が任期満了を迎え、うち1人が退任して新たな委員と交代し、残る3人はいずれも再任されました。4ページの右上枠内をご覧ください。再検討の求めは6件で、前年度の30件の2割でした。前年度は30件中25件が特定の2人の方の求めだったのに対し、平成29年度は同じ2人から5件の求めになりまして、これが影響した形です。折れ線グラフ、実線のほうをご覧ください。諮問準備中などで滞留している再検討の求めは、前年度末20件でございましたが、ことし1月にはゼロとなりました。滞留件数ゼロは平成24年3月以来、5年10か月ぶりです。平成25年ごろより特定の視聴者数人から大量の再検討の求めが寄せられ、滞留件数が一時270件に達して、これを減らすことが課題になっておりました。審議会の精力的な審議により、滞留は平成26年度末に211件、平成27年度末に63件、平成28年度末20件と着実に減少いたしまして、ことし1月、2月で0件、平成29年度末の先月末段階で1件となっております。
 そして、5ページ、再検討の求めの答申結果です。平成29年度、25件の諮問をし、すべて即日答申をいただきました。NHKの当初判断がそのまま認められたものが23件と、92%を超しました。前年度は88%でした。NHKは、25件すべてについて、審議委員会の答申どおり最終判断を行いました。6年近くかかって到達した滞留ゼロの状況を、極力維持していけるように努めてまいります。
 6ページには、年度後半の特徴的な答申結果を載せております。
 7ページからは、個人情報保護についてです。平成29年度に起きたNHKが保有する個人情報の漏えいは、昨年度と同数と7件でした。10月の経営委員会でのご指摘を踏まえ、今回から事例ごとに対象の人数も記載いたしました。7件のうち、6件は個人情報を含んだ受信料の帳票紛失等営業に関わるもの、1件はイベント観覧者に関わるもので、紛失した帳票にご記入いただいたお客さまにおわびと説明を行って、ご理解を得ています。いずれも再発防止策を実施するとともに、NHKオンライン上で公表しています。
 8ページをご覧ください。NHKが保有する個人情報についての開示の求めは、昨年度から3件増加の20件で、うち17件は放送受信契約の帳票、ほかは対応履歴等です。開示16件、一部開示2件、不開示2件の判断を行い、うち、一部開示の1件に3年ぶりとなる再検討の求めが出され、審議委員会に諮問しております。

 

 (4) 平成29年度契約・収納活動結果(資料)

 (松原理事)

 それでは、平成29年度契約・収納活動の結果について、ご報告をさせていただきます。
 3か年経営計画の最終年度の平成29年度は、すべてのブロックで全営業目標を達成することできました。また、収支・事業計画で設定した平成29年度末の支払率80%、衛星契約割合51%を達成することができました。
 それでは、資料6、1ページをご覧ください。当年度分受信料収納額の状況です。年間累計は6,863億6,000万円となり、前年度と比較して143億8,000万円上回りました。年度前半は厳しいスタートでありましたが、年度後半の契約増が当初計画を上回る前年比の増収につながりました。
 次に、未収回収状況ですが、前年度分の受信料回収額は年間累計で52 億6,000万円。前年度を2億1,000万円上回りました。また、前々年度以前分回収額については59億3,000万円となり、前年度を30億2,000万円上回りました。文書請求などの強化による払込み数が前年度を大きく上回ったことが大きな要因となっています。
 それでは、2ページをご覧ください。契約総数の増加状況です。年間累計で76万6,000件となり、前年度を25万2,000件上回り、年間計画50万件に対する進捗率は153.2%になりました。なお、単年度の増加数としては、平成元年以降では最も高い水準となっています。1年間を通じて訪問要員体制の強化・育成に取り組んだことや、ポスティング等の施策を加重実施したこと、そして、12月の最高裁判決を受けて、ネット等の新規契約の自主申出数が増加したことなどにより、高水準の業績が確保できました。
 次に、衛星契約数増加です。年間累計では77万1,000件となり、前年度を7万8,000件上回り、年間計画60万件に対する進捗率は128.5%になりました。
 続いて、3ページをご覧ください。口座・クレジット払等の増加状況です。前年度は唯一、この項目が目標を達成できなかったのですが、年間累計では91万2,000件となり、前年度を30万5,000件上回り、年間計画61万件に対する進捗率は149.5%となりました。なお、口座・クレジット払等の利用率は90.7%になり、過去の最高値となっています。
 次に、未収削減の状況です。年々未収削減が進む中、年度を通して厳しい展開となりましたが、年間累計では15万2,000件の削減となり、前年度を4万1,000件上回り、年間計画11万件に対する進捗は138.1%になりました。これによって、未収の現在数は83万7,000件となっています。
 支払数増加も、年間累計では91万8,000件で、前年度を29万3,000件上回り、年間計画61万件に対する進捗率は150.4%となっております。
 平成29年度の営業活動の報告は以上ですが、平成30年度も引き続き、視聴者の皆さまに公共放送の存在意義や受信料制度について丁寧に説明し、事業計画の達成を目指して、全力で取り組んでいきたいと思います。

 (佐藤委員)

 質問ですが、口座・クレジット払等の増加が伸びているとおっしゃったのですが、これは継続的な支払いに移動があったことが要因にあると思うのですが、なぜこの期に大きく伸びたのでしょうか。何か施策を講じたのですか。

 (松原理事)

 継続振込、つまり振込用紙で払っているお客さまに口座・クレジット払等を勧奨する活動を行っていることもありますが、一番の要因は、平成29年度の支払数の増加数91万8,000件のうちの大半が口座・クレジット払等による支払方法だったということです。

 (佐藤委員)

 移動があったわけではなく、ただ増えたというわけですか。

 (松原理事)

 はい。ただ、口座振替も、ご承知のように請求したら100%振り替えられるわけではないのです。口座残高がないと支払方法は継続振込に戻ることになります。継続振込を利用する方に口座振替・クレジット払等に切り替えていただくこと、新規契約時に同時に口座・クレジット払等にすること、両方の活動を行ってこの数字になっています。

 

 (5) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (石原委員長)

 報告事項(5) については、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきます。

 

 (6) 平成29年度第4四半期業務報告・3か年の総括(資料)

 (坂本専務理事)

 平成29年度第4四半期の業務報告をいたします。今回は3か年経営計画の最終四半期となります。まず、この約1年間の取り組みを報告した後、3か年の達成状況等について、ポイントを絞ってお話させていただきます。
 まず最初に、お手元の冊子3ページから4ページをお開きください。
 左上、平成29年度の総括です。この網かけ部分ですが、経営計画最終年度の“公共メディア”への進化を見据えた、さまざまな取り組みを進めております。
 まず報道の分野ですが、この1年間、さまざまなスクープを発信しております。北朝鮮が発射した弾道ミサイル落下の特ダネ映像や、臨時国会冒頭での衆議院解散の見通し、あるいは、歌手の安室奈美恵さん引退など、幅広いジャンルで取材力を発揮して、正確・迅速に情報を発信してまいりました。
 番組のほうですが、NHKスペシャルや大河ドラマをはじめ、さまざまな番組でホームページ、あるいはSNSを活用して、放送をより楽しむための情報発信なども行っております。また、番組に関連したイベントも開催し、映像資産を活用したVRコンテンツを体験していただく機会なども設けております。メディア環境の変化に合わせ、視聴者の皆さまと多角的な接点をつくるための取り組みを進めてまいりました。
 「NHKワールドTV」は、平成29年度の番組改定の柱を「地域から世界への発信を大幅に増やす」ということにしました。4月には東北キャラバン、1月には北陸飛騨キャラバンを組みまして、地元の放送局と連携して地域のニュースや話題を生中継で伝えたり、地域に関連した番組を集中編成したりしています。多彩な地域の魅力を世界に発信することができたと考えています。
 インターネットの活用ですが、去年10月から4週間にわたりましてテレビ放送の同時配信実験を、見逃し配信とあわせて実施をしています。総合テレビとEテレの2波を配信し、初めて地域を限定した配信を行いました。得られました知見やデータを活用し、本格サービスに向けて準備を進めてまいります。こうしたデータについては、民放連の皆さまとも共有しながら、理解を深めているところであります。
 2月のピョンチャンオリンピックでは、8Kによります開会式や競技の生中継を行っております。また、パラリンピックも含め、地上波のすべての競技中継や、開・閉会式、関連番組に字幕を付与しております。最高水準の放送・サービスの実現に向け、大規模なスポーツイベントの貴重な機会に、今後もさまざまなチャレンジを行っていきたいと考えています。
 受信料収入は、支払率の低い大都市圏などに重点を置いた営業対策を行ってまいりましたが、契約総数、衛星契約ともに、3年連続で目標を上回っております。支払率は80%、衛星契約は50%を達成することができました。
 12月に公表しました「NHKグループ 働き方改革宣言」の取り組みを迅速に進めるために、「働き方改革推進委員会」を設置し、抜本的な業務フローの見直しに着手しました。
 この3か年の取り組みの成果、課題を踏まえまして「NHK経営計画(2018−2020年度)」を作成し、1月に経営委員会から議決をいただきました。
 29年度の主な取り組みには、重点方針ごとにポイントとなった取り組みについて記載をしております。
 29年度の収支につきましては、現在、決算に向けて集計中ですので、別途、ご説明の機会を設けたいと思います。
 続きまして、「5つの重点方針」の達成状況をはかる世論調査です。2ページから6ページにあります。
 6ページ、1月に実施しました経営指標についての世論調査の結果です。前期、前年同期の結果と比べますと、期待度と実現度の差が統計的に連動しているものがあります。今後とも放送を幹としつつ、インターネットサービスの改善を図り、視聴者の皆さまの期待に応えていくことで評価改善を目指すほか、さまざまな施策への取り組みにつきまして、公共放送としての役割を果たし、評価全体の維持・向上に努めてまいりたいと考えています。
 次の7ページから22ページは、「5つの重点方針」の達成状況を詳しく掲載をしております。後ほどご覧いただければと思います。
 続きまして、25ページをご覧ください。各指標による評価です。
 25ページと26ページには、放送、インターネット、録画視聴など、さまざまな形でのNHKのコンテンツの質的評価及び接触状況などについて記載をしております。
 まず、総合テレビなどの放送とインターネットの質的10指標であります。ご覧のように、前期と比べまして有意に変動した項目はありません。
 25ページの量的指標ですけども、リアルタイムのリーチや視聴率は、2月のピョンチャンオリンピックがあり、よく見られています。総合テレビを中心に、前年同期を上回っております。
 総合リーチ、総合視聴率の3月分データおよび中央番組審議会の意見が出そろった後、来月の会議で別途詳細を紹介させていただきます。
 次に、国際放送です。27ページになります。
 国際戦略調査、今回はワシントン、ニューヨーク、タイ、インドネシアの4か所で調査を行っております。
 3か月以内に国際放送への接触があり、NHKのテレビチャンネルにおける視聴経験のある人、すなわち国際放送のリーチ者については、これで大きな変化はありません。リーチされた方のほうが日本についての理解度が高いということもこれまでと同じであります。
 量的視聴のところで、タイで認知率が減っております。これは、その前の第2四半期並みに戻った形になります。
 引き続き各種施策を進め、理解度と認知率の向上を目指してまいりたいと思います。
 以上が第4四半期業務報告の説明でございます。
 続きまして、28ページ以降、この3か年の総括をご報告申し上げます。
 29ページ、経営計画の達成度を測ります経営14指標の3か年の推移です。29ページをご覧ください。3年前の平成27年7月と今回の平成30年の1月との比較であります。
 項目でいいますと、「②正確・迅速な情報提供」、それから「④記録・伝承」、これについては、期待度は一定の高さで推移し、実現度が高くなっております。この3か年を見ても、期待度と実現度、期待・実現差という部分も高い水準を維持することができております。
 それから、「⑪インターネットの活用」です。これは前回、期待度が実現度を上回って上昇して、その差が大きくなったと報告させていただいておりますが、今回は、その差はそのままということになっております。インターネットサービスの利用実態を見ますと、訪問者数は徐々に伸びてきておりますし、質の10指標も改善が見られております。利用していただく人の間では評価が向上していると考えております。さらに利用者の広がりというところを、今後の改善につながるよう考えていきたいと考えています。
 それから、30ページ以降、「3か年事業運営の総括」です。網掛けの「3か年の総括」の部分を軸に、今後を見据えた課題とあわせてご説明をしていきます。
 重点方針1「判断のよりどころとなる正確な報道、豊かで多彩なコンテンツを充実」です。
 放送・サービスについては、平成28年4月の熊本地震や平成29年7月の九州北部豪雨災害などの大規模災害時に全局的な応援体制を組み、「命と暮らしを守る報道」に全力を挙げました。テレビとラジオ、インターネットを活用し、さまざまな状況に置かれた人たちに最新状況が届くよう、情報を発信しております。
 平常時も、北朝鮮関連の動きや、アメリカをはじめとする世界各国の情報、日本の政治、経済、社会、文化などについて、ビッグデータの分析や、新しい映像表現、また、インターネットを活用した情報収集なども取り入れて、丁寧に伝えているところであります。
 平成28年度には、総合テレビの平日夜間を中心に、大規模な、大幅な番組改定を行い、多くの番組が前年度の平均視聴率を上回り、高い評価を得るなどの成果を上げることができました。
 NHKへの接触者率は一定のレベルを確保しているものの、世代でいきますと、59歳以下のいわゆる現役世代の方々の接触が回復できていないことが大きな課題だと捉えているところです。視聴者の期待に応える形で、番組の質の向上やインターネットサービスの充実を引き続き図ってまいりたいと考えています。
 それから、重点方針2「日本を世界に、積極的に発信」のところです。
 国際放送の「NHKワールドTV」は、この3か年で日本とアジアの情報発信を強化しました。大型報道番組や討論番組、観光情報番組など、40の番組を新たに設け、その充実、内容の充実に努めてまいっております。また、ビデオ・オン・デマンドサービスも番組を41に増やして、多言語化も進めているところであります。
 国際戦略調査によりますと、北米とアジアの重点地域において、NHKワールドTVの認知率は、この3年間、おおむね上昇傾向ではあります。接触者の日本への理解も上がっております。
 引き続き、国際発信の充実とNHKの強みを生かした国際展開を図り、プレゼンスを高めてまいりたいと考えております。
 重点方針3「新たな可能性を開く放送・サービスを創造」です。
 インターネットでは、「NHK for School」、「NHKニュース・防災」、「NHKゴガク」などの新しいアプリやウェブサイトのサービスを開始し、アクセス数も増えてきております。テレビ放送の常時同時配信を見据えた試験的提供も毎年実施して、本格的なサービスに向けてのノウハウの蓄積と、課題やニーズの把握を進めているところです。公共的価値を実現する“公共メディア”への進化を見据えまして、視聴者の期待に応えられるよう、サービスの開発を進めてまいります。
 それから、4K・8Kですが、試験放送を平成28年8月に開始しました。ことし12月からの本放送開始に向けて、着実に設備整備を進め、コンテンツ制作の知見を蓄積しているところであります。本放送開始に向けて、4K・8K放送の周知を含めた取り組みを加速させることが喫緊の課題となっております。
 それから、重点方針4「受信料の公平負担の徹底に向け、最大限努力」です。
 受信料収入に関しては、全局体制による理解促進活動「ターゲット80」や、より効率的な契約・収納体制を目指してきた営業改革の成果もあり、目標であります支払率80%、衛星契約割合50%を達成できました。引き続き、視聴者の皆さまに公共放送の役割や受信料制度の意義をご理解いただくために、コミュニケーション活動に注力しながら、丁寧な対応で公平負担の徹底を図ってまいります。
重点方針5「創造と効率を追求する、最適な組織に改革」です。
 グループ経営に関しましては、この3か年で関連団体の指導監督機能の強化や業務の見える化、事業統合を見据えた検討など、生産性の向上とガバナンスの強化を進捗させております。
 新たな3か年経営計画におきましても、2020年、さらにその先のNHKのあり方を見据えまして、「働き方改革」、「地域改革」、「グループ経営改革」を一体に進めながら、皆さまの期待に応える“公共メディア”への進化を目指して、その充実に努めてまいります。コンプライアンスの徹底や、情報セキュリティーの強化にも手を尽くしてまいります。
 業務報告および3か年の総括は以上です。

 

 

6 その他事項

 (1) 「NHK経営計画2018−2020年度」3か年工程表について

 (坂本専務理事)

 それでは、これからの3か年、2018年度から2020年度の工程表について、ご報告を申し上げます。
 工程表には、3か年経営計画の達成に向け、どのような最終成果を目指して、何をいつまでに実施するかを記しているところであります。3か年計画の議決をいただきました後、5つの重点方針に盛り込んだ主な施策について、それぞれ具体的な工程表を作成してまいりました。これらを、全役職員共有し、これから具体的に取り組みを進めてまいります。それぞれの部局、放送局は、これに基づきまして業務の進捗を管理しながらPDCAサイクルを回していくことになります。
 まず、「“公共メディア”への進化」、「世の中の課題や最新情報、信頼できる情報を早く、深く、わかりやすく」です。インターネットや新しい技術を活用して、正確・迅速な情報提供をすることや、NHKの多彩な番組をインターネットで視聴できる環境の構築に取り組んでまいります。常時同時配信についての取り組みは、ここに入ることになります。
 続いて、「より安全・安心な暮らしへ 防災・減災、緊急報道、復興支援を充実」です。「命と暮らしを守る」防災・減災報道や、災害時の緊急報道への取り組み、東日本大震災などの災害復興を支援する放送・サービスの実施。また、いかなる非常事態においても放送・サービスを継続する環境の構築などに取り組んでまいります。
 続いて、「多彩なコンテンツと最新の技術で、スペシャルな感動と体験を」です。ことし12月に本放送を開始します新4K・8K衛星放送への取り組みや、多彩なコンテンツの開発・放送・展開、字幕放送、解説放送、手話放送などのユニバーサルサービスの拡充や、手話CGなどの「人にやさしい放送・サービス」の充実に取り組みます。新たに開発します評価指標を導入し、2020年度以降の番組編成へとつなげてまいります。
 次に、「日本のいまを世界へ、世界の動きを日本へ」です。名称を変更しました「NHKワールド JAPAN」の発信力強化、認知度の向上への取り組みや、コンテンツや最新技術の国際展開を積極的に追求してまいります。また、訪日外国人へのサービスの拡充や、「東京2020」で多くの外国人の方が快適に放送・サービスを享受できる環境の構築などに取り組んでまいります。日本の理解度向上を示す指標の維持・向上、「NHKワールド JAPAN」のリーチの向上に努めてまいります。
 続いて、「多様な地域社会への貢献」です。地域放送サービスの充実や地域のきめ細かい防災・減災報道を充実させてまいります。地域放送局のホームページを見直し、地域のあらゆる情報を一覧できるサイトの構築を進めてまいります。このほか、AIや最新技術を活用して地域情報の発信強化に取り組んでまいります。地域発番組の充実など、きめ細やかなサービスを通じまして、地域の活性化に寄与していきたいと思います。地域に対するこうした取り組みの強化を都道府県ごとに図り、その向上を狙っていきます。
 それから、「未来へのチャレンジ」、「『東京2020』のメッセージを、最高水準の放送とサービスで」です。ここでは、重点項目のとおりに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで最高水準の放送・サービスを提供するための取り組みを進めてまいります。障害のある方も積極的に参加・貢献できる共生社会への理解を深めるとともに、人種・国籍などの違いを超えて多様な価値観を認め合う社会を目指した放送・サービスを充実します。
 次に、重点方針「未来へのチャレンジ」の「みなさまとともに新たなサービスを創造」です。「使えるテレビ ザ・ディレクソン」をはじめ、視聴者の皆さまとつくる新たなサービスを充実させ、視聴者のタッチポイントを広げる試みを進めてまいります。4K・8Kの認知向上と普及推進、さらに、医療分野など放送外での新たな活用方法の開発を進め、技術の社会還元に寄与してまいります。
 続いて、「視聴者理解・公平負担を推進」です。3か年で支払率を83%まで、衛星契約割合54%の達成、さらに、4つの負担軽減策を計画的に実施してまいります。受信料の理解促進活動として、「ターゲット80」を継承します「チャレンジ80+」を展開し、支払率の向上と視聴者の皆さまの納得感の創造を図ってまいります。
 続いて、重点方針「創造と効率、信頼を追求」の、「『働き方改革』などを通じて、創造性を発揮できる環境を確保」です。グループ全体で働き方改革を進め、職員・社員が働きやすく、創造性を発揮できる環境の構築に取り組んでまいります。放送センターの建て替えでは、東京オリンピック・パラリンピック終了後に情報棟建設工事に着工するべく準備を進めます。また、エネルギーの使用やCO2の排出量などの面で、環境に優しい経営を推進してまいります。
 それから、重点方針「創造と効率、信頼を追求」の「グループ一体となり、効率的で透明性の高い組織運営を推進」です。より効率的で透明性の高いグループの経営、グループ経営を目指し、本体、関連団体、外部事業者の役割の明確化と、グループ全体の要員管理、グループ全体の資源配分や業務プロセスの改善を進めてまいります。NHKの将来のメディアのあり方を検討し、次の経営計画に反映させてまいります。
 それから、「『信頼されるメディア』をめざし、グループでリスクマネジメントを強化」です。「東京2020」に向けたサイバーセキュリティー対策の強化に取り組むこと。もう一つは、リスクマネジメント強化で、ICT等も活用した、不正を起こさせない仕組みづくりや、コンプライアンスの徹底に向けた組織風土の醸成と、職員の教育などに取り組んでまいります。
 工程表をもとに進捗を管理しながら、PDCAサイクルを回して経営計画の達成について全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 (中島委員)

 重点項目④「日本のいまを世界へ、世界の動きを日本へ」の「世界の国際放送の中の占める位置が分かるような具体的な指標を研究開発」について、現状では四半期リーチの取り組みに基づいて評価しているのでしょうか。現状とも関係しますが、国際放送の場合は、視聴率を適用していない、あるいは適用しにくいようなことがあるのでしょうか。ほかの国の放送局もやはりリーチに基づいて評価しているということなのでしょうか。

 (坂本専務理事)

 国際戦略調査をやっておりますので、これを引き続き継続して、そこをまず見ていくということになります。今後、さらにプラスアルファの具体的な指標が、どういう形が開発できるのかということは検討していきたいと思います。

 (中島委員)

 他国の国際放送との比較をする上において、日本独自の方法でやっても一般性がないのではないかと思います。世界的に何か共通するような指標で見ないと、公平ではないのではないかという気がします。

 (経営企画局)

 それもよく言われるのですが、それぞれの国で放送の狙いが違うので、同じ尺度で比較するというのがなかなか難しいのです。だから、NHKがやろうとしていることに引きつけることを考えています。まずは、それぞれの国における日本の理解度がどのくらい浸透しているのかを一義的に見るというのが、今の国際戦略調査の立てつけです。それから、どのぐらいまで広がっているかという理解度の広がりを見る、ということで今のような方法をとっています。

 (中島委員)

 世界の国際放送の中での占める位置というのが、その理解度でもって、世界全体の中でどうだということが分かるのでしょうか。

 (経営企画局)

 今、研究しています。やはり国によって狙いも違えば、放送の出し方や戦略もまったく異なりますので、それを一律で見ることの問題もあるわけです。ですから、3年かけてどういう形にするとよいかというのを調査しようと思います。

 (中島委員)

 いずれにせよ、完全な同じ尺度の比較は難しいと思いますが、「NHKワールド JAPAN」を世界の占める位置において高くなることを期待しています。

 (荒木理事)

 試験的に、去年実施した例ですけども、欧米・アジアの5か国で、例えば中国のCGTNとか、BBCというところと並べて、NHKワールドを知っていますかというような調査、またNHKワールドは、どこの国のメディアか知っていますかというような調査をやってみました。このようにNHKが世界各国の国際放送の中でどういう位置を占めているのかというようなことも、これから徐々に調べていくようにしたいと思っております。この調査では、調査母数が少ないので参考ですが、例えばドイツテレビやフランス24よりNHKワールドが比較的に認知度が高いというような結果もあります。今後、調査の方法をさらに工夫していきたいと思います。

 (中島委員)

 ぜひ期待しています。

 (森下代行)

 今回、“公共メディア”への進化ということで、「“公共メディア”とは何か」という解説カードをつくっていただき、職員の皆さんにも配られたと思います。基本的には“公共メディア”というものに対して、「協会の職員が意識をどうやって変えていくか。」というところが、根本的にあると思います。そういった意味では解説のカードを配ってやればそれでよいということではなく、職員の意識改革、単に放送ではなくて“公共メディア”を担っているのだという意識に、自然と変えていく必要があると思います。それをどう考えるべきかということが重要だと思います。

 (上田会長)

 「公共放送から“公共メディア”へ」今、常時同時配信に代表されるような、そういう転換を図ろうとしています。「放送+インターネット」です。一番肝心なのは、「『変えるもの』と『変えないもの』の識別」と私はよく言っているのですが、「公共」という部分に関しては、放送であってもメディアであっても変わらないと思います。そういうことで「公共的価値」というものを6つ掲げまして、今これを記載したカードをみんなに持たせています。どういう形でインターネットも取り入れてやっていくのか。電波は有限ですから、放送の場合はある程度限りがあります。1チャンネルで24時間しか放送はできません。しかし、インターネットの世界は無限の広がりがあります。したがってどこかよりどころがないといけないと思います。それが「公共的価値」ということです。具体的に、「“公共メディア”というのは一体どういうことをやってどういうイメージになるか」というのは、いろいろなところで質問を受けています。今まさに各役員との間で、私が中心となって、この3年間どのように経営のかじ取りをやるかということを話し合っているわけですが、現実具体的にそれぞれの分野で“公共メディア”というのは、もう少しそれを解きほぐして言えばどういうことになるのかというのは、今から詰めていこうと思います。そういうことで特にこのメディア、すなわちインターネットの世界への対応を、できるだけ早く取りかかりたいと思って、通信に詳しい人間を少しまとめまして、デジタルセンターという組織を4月2日付でつくりました。そこを中心としながら、今後どういう展開があるのかということを詰めていこうとしています。

 (森下代行)

 そういうことで、この中に「“公共メディア”へ進化」の精神を職員に浸透させるという項目が入っているほうがよいのかなという気がするのです。そうすると具体的にはどういうことをやっていくのかということが職員に浸透しやすいという気がするのです。

 (上田会長)

 分かりました。そのあたりはできるだけ工程表をチェックしながら、どういう形で自分たちを“公共メディア”に変えていくのか検討していきます。

 (小林委員)

 今回実施することになりました社会福祉施設への免除の拡大、奨学金受給者の学生の免除ということについてです。せっかくこうした免除ということをやるのであれば、それがNHKの視聴率の拡大、あるいはこの免除を使った方たちが、どのように生活にNHKを取り入れているのかということを測ることができるような指標があると、NHKは個人1世帯1世帯への受信料の引き下げはしないけれども、こういった形で社会に還元をしていますというようなことが言えるかと思います。そのあたり少し考えていただくとよいのではないかと思います。

 (松原理事)

 今年度は2つの負担軽減策を実施しますが、社会福祉施設への免除拡大は、4月からすでに実施しています。社会福祉施設の免除の拡大については、該当する施設にDMを複数回送って手続きをお願いしているところです。しかし免除の周知期間が少し短かったので、繰り返しご案内する必要があると思っています。DMとは別に社会福祉協議会のほうにも、周知をしてもらうようお願いしています。漏れのないように、該当する施設を等しく免除するということが大切なので、平成31年2月から実施する奨学金受給対象などの学生への免除については、各種奨学金について経済条件を課しているかどうか等、調べているところです。奨学金は相当な数がありますが、多くの学生は日本学生支援機構の奨学金を受給しています。学生支援機構に対しては、周知と手続きについて、依頼を行っているところです。

 (井伊委員)

 同じ受信料についてですが、毎年支払率が81%、82%、83%と年々1%ずつ上がっていきます。もう一つが支払数の増加件数です。2つの指標が掲げられています。支払率は、分母を小さくしていけば上がりますが、ここでは分母をどのように仮定しているのかどうか教えてください。世帯数は明らかに減少していきますし、免除が拡大すると分母が下がるのではないかと思うのですが、どのように予測しているのかというのが1点目です。もう一点は、支払数のカウントをするときに、今お話に出たような軽減される場合、その数がここに含まれるのかどうか教えてください。支払いがゼロであっても、対象になっているということで支払数にカウントされるのでしょうか、例えば奨学金受給者の場合など、今まで払っていなかった人が免除対象になるということで支払数にカウントされると、支払数は増加するけれども、受信料の総額は減ってしまうということもあり得ると思うのですが、そのあたりの理解が正しいのかどうか、2点お伺いします。

 (松原理事)

 まず支払率について、例えば分母になる対象世帯がどれだけあるかは、基本的には国勢調査をベースにして、人口問題研究所の予測を含めて、毎年予測をして向こう3年間を見ています。

 (井伊委員)

 分母は減っていますか。

 (松原理事)

 減っています。もう一つは、NHKが独自に、例えば平成28年度に各都道府県で調査をして、テレビの所有率とか故障率等の項目について調べています。分かりやすい例では、前回の調査でテレビを持ってない世帯が4%から5%になりました。母体に5,000万ぐらいの世帯があるので、1%で50万世帯が契約対象外ということになります。ほかにも例えば生活保護の世帯数等の確定により、分母の値を見直しています。公的なデータ等に基づいて必要な修正を行っています。

 (井伊委員)

 この数字自体がどんな意味があるのかなというので聞きました。そう考えると、なかなか目標として理解が難しいところがあるかなと思います。

 (松原理事)

 支払率の向上は営業として目指すべきものです。一番大事なのは、どれだけ支払数を増やして最終的には受信料収入を増やしていけるかということだと思います。

 (井伊委員)

 支払率が増えていても総額が減るということもあるのではないですか。それは先ほどの2番目の質問なのですが、例えば今まで払っていなかった学生たちは支払率の中にカウントされていなかった、それが免除されるというようなことでカウントされると支払率が増えるということですか。それとも、支払率は増えないのですか。

 (松原理事)

 それは違います。分子になる支払数というのは有料契約数ですから、免除になる無料契約は、もともと分母からも対象として除いていますし、分子にも入れないということです。奨学金受給などの学生への免除については、今受信料をお支払いいただいている学生の方のうち奨学金をもらっている人が約半分としたら、約21万件が有料契約から無料契約になります。つまり支払数は21万件減るということになります。

 (井伊委員)

 減額されている場合は支払数にもちろん入ると。

 (松原理事)

 割引は別の制度なので契約としては有料契約。免除は無料契約で、無料契約は分子にも入っていませんし、無料契約の対象になる生活保護世帯等は、分母からも除いてあります。

 (井伊委員)

 分かりました。それが2番目の質問でした。ありがとうございます。

 (堰八委員)

 長時間労働による健康リスクが高い人に対して健康確保休暇を付与するということについて、そもそも長時間労働による健康リスクが高いという状態をつくってはいけないと思います。健康確保休暇とはどういう休暇ですか。私は違和感があるのですが、こういう人たちだけを抜き出してきて休暇を与えるというのは、そもそも考え方としては何かおかしい気がします。

 (根本理事)

 それは、働き方改革宣言を出して、その後に具体的施策を出した中の一つの柱で、長時間労働の、例えば80時間以上の時間外が2か月、3か月連続に続いているような職員とか、ピークが2か月とかそういった人については健康を害するリスクが高いので、そういう場合には上司が判断して面談とかを行います。

 (堰八委員)

 違法超勤ではないけども、その範囲内の人をということですか。

 (根本理事)

 そうです。もちろんいわゆるルールの中でなのですが、非常に高いようなことが続く人については、これは既存のいわゆる有給休暇とは別に、強制的に健康を守るために休んでいただきましょうという新しい制度をつくったのです。

 (堰八委員)

 超過勤務の管理を適切に行っていくと言うくらいにとどめておいたほうがよいのではないでしょうか。ちょっと何か誤解を招くのではないかと思います。

 (根本理事)

 超過勤務を適正に管理するのは当たり前のことですが、それでもなおかつやらざるを得ないような人に対してのさらなる措置という位置づけです。

 (堰八委員)

 強制的に休みを取らせるのですか。

 (根本理事)

 そうです。

 (渡邊委員)

 2020年を目指してすべてが最高水準とか、この3か年計画は非常に順調にいくとすばらしいと思います。われわれ企業などでも、その先のことをどのように準備しているかということは非常に気になるところです。例えば人口は減る、それから県によっては本当に地方が変化して、今、変化もしておりますけれども、そういう中でNHKがもっと今の状況をより安定的にできるような形にするために、例えば支払率83%という目標もそうなのですが、将来的にはどこまでが可能性があるというような、そういう現場の声、NHKの若い方々の意見なども入れて、いわゆる2020年の先のことをどのような形で準備しているのかということについて、ちょっと気になっています。それが大切なことのような気がします。そこはどのように今やっているのかということをお尋ねします。

 (松原理事)

 支払率のところは、3か年の中で何が起こるのかということをよく尋ねられます。予期せぬ出来事、例えば東日本大震災とかリーマンショックとかがあったときには、3か年計画を組んでいても支払率もそのとおり上がるわけではありません。今、渡邊委員が言われたその先の話ですけれども、まずわれわれは、少なくともこの3か年の支払率を着実に上げていくということを最優先で取り組みます。それ以降は、そのときの状況を見ながら、次の経営計画をつくるときに適切に検討していくしかないと思っています。ただ、世帯の伸びが鈍化しても、今も約900万件の未契約があるわけです。私の感覚では、未契約の900万件のうち半分以上は、大都市圏を中心に面接ができないお客さまだと思います。ですから、そこについてきちんとリーチできるような仕組みをいろいろ考えていけば、まだまだ都市部の支払率は上げていけると思いますし、もとより上げていかないといけないと思います。そこは最大限努力していこうと思っています。

 (坂本専務理事)

 放送サービスのほうですけれども、経営計画にも書いておりますが、4K・8Kが12月から始まり、BSが4波になります。これをどう考えていくのか。2020年以降を見据えていろいろな議論を進めることになろうかと思います。

 (佐藤委員)

 この受信料の件です。指標管理するとき、悪い指標をどう扱うかというのもあると思うのです。数値を上げるということだけではなくて。理解促進がなされてないと「語る会」などでよく言われる、そういう視聴者の方が持っているマイナスイメージを、どうやって減らすかというので、例えばクレームの数を年間何%でもいいから減らすとか、何かそういうことも具体的に考えられないでしょうか。コミュニティー・スクールを実施していくということですが、今クレームになっているところをどう解決するかという意味では、その辺への対策がさらにいるんじゃないかと思うのですが。

 (松原理事)

 コミュニティー・スクールの取り組みというのは、タワーマンションでなかなかお会いできないという問題に対して、教育委員会と、お子さまを中心にイベントをやるというものです。タワーマンションでイベント等を実施して理解を深めてもらうということです。もう一つは、営業局では、訪問活動を契機としたお客さまのクレームを減らしていくために、まずは第1段階の指標ということで、いまおよそ3,000件の水準にあるものを2,900件を切るということを目指して取り組んでいます。各営業部・センターに指標を割り振って、達成したいと思います。今までは業績の評価だけでしたけれども、そのことを営業のそれぞれの部署の評価にも入れていくことを考えています。まずは2,900件を指標にして取り組みたいと考えています。

 (佐藤委員)

 そういう指標を準備されるのはよいことだと思います。

 (石原委員長)

 大変ご苦労さまでした。営業の質問が多かったですが、ぜひ頑張って目標達成していただきたいと思います。執行部におかれましては、新しい経営計画を協会全体で一致団結して取り組んでいただくとともに、実際の進捗管理に当たっては、経営委員会は執行部への適切な報告を求めていきますので、よろしくお願いします。

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 (石原委員長)
 それでは最後に、本日をもって退任されます根本理事、大橋理事からごあいさつをいただきたいと思います。
 (根本理事)
 2年間お世話になりました。ありがとうございました。
 総務と人事・労務を担当させていただきましたけれども、2年前ちょうど熊本地震のさなかで就任いたしました。総務関係で言いますと全国の放送局の災害対応への機能強化を着実に進めてこられたと思っております。
 人事・労務では、ここで何度もご説明させていただいたように、働き方改革関連でさまざまな制度改正、制度設計をいたしました。これからその制度の中身を高めて、職員が働きやすい環境を充実してほしいと思っております。
 この場でいろいろ皆さまからご助言やご指導いただいたことに感謝しております。2年間ありがとうございました。
 (大橋理事)
 大変お世話になりました。明日からNHKアイテックに参ります。
 経営企画局時代から8年か9年ぐらいこの経営の議論の近くでずっと見る機会を得ましたけれども、この10年近く見て、たぶん今の執行部と経営委員会との対話は、例のない建設的な議論ができる環境にあると思います。そういう中で働くことができたことは、大変光栄でありがたく思っております。
 これからNHKは、“公共メディア”を目指す訳ですが、それは単にネットをやればよいということではなく、会長が申し上げた6つの価値、公共的価値がそれによって高まって信頼が増すこと。そのためにあるということを忘れてはいけないと思います。そのためにはこれからまだまだ大きな改革、場合によっては業務の取捨選択をして捨てていく部分が必要なのかもしれない、非常に大きな改革がこれから待っていると思います。たぶん今の経営委員会との良好な関係の中でしか、そういう大きな改革をできるチャンスはないと思います。“公共メディア”になって信頼が増したと言われるように、私も別の立場から貢献をしてまいりたいと思っております。
 入局以来NHKのため、それだけでやってきたと、今36年たって自らそう言えることを誇りに思っています。グループ会社に行っても引き続き同じ気持ちで貢献をさせていただきたいと思いますので、よろしくご指導をお願いいたします。どうも2年間ありがとうございました。

 

 

○ 平成29年度役員目標年間総括ヒアリング
 上田会長同席のもと、中田理事、菅理事、児野技師長、坂本専務理事、堂元副会長に対して、平成29年度役員目標年間総括ヒアリングを実施した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成30年5月8日    

石 原  進

 

 

高 橋 正 美