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第1296回
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平成29年12月29日(金)公表
  ※2 審議事項(1) NHK3か年計画(2018−2020年度)案
  ※2 審議事項(2) 平成30年度予算編成方針
  ※2 審議事項(3) 平成30年度国内放送番組編集の基本計画について
  ※2 審議事項(4) 平成30年度国際放送番組編集の基本計画について は平成30年2月2日(金)公表

日本放送協会第1296回経営委員会議事録
(平成29年12月12日開催分)

第1296回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1296回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成29年12月12日(火)午後1時00分から午後5時40分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原  進 本 田 勝 彦 井 伊 雅 子
    小 林 いずみ   佐 藤 友美子 堰 八 義 博
    高 橋 正 美   中 島 尚 正 長谷川 三千子
    森 下 俊 三   渡 邊 博 美  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  上 田 会 長 堂 元 副会長 木 田 専務理事
  坂 本 専務理事 児 野 技師長 根 本 理 事
  松 原 理 事 荒 木 理 事 黄 木 理 事
  大 橋 理 事 菅   理 事 中 田 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

付議事項

 

1 会長報告(資料)

 

2 審議事項

 (1) NHK3か年計画(2018−2020年度)案(資料1)(資料2)

 (2) 平成30年度予算編成方針(資料1)(資料2)

 (3) 平成30年度国内放送番組編集の基本計画について(資料1)(資料2)

 (4) 平成30年度国際放送番組編集の基本計画について(資料)

 

3 報告事項

 (1) 「NHK28年度業務報告書」に付する総務大臣の意見について(資料)

 

4 その他事項

 (1) 平成29年秋季交渉の結果について(資料)

 

○ NHK3か年計画(2018−2020年度)について

 (1) 集中討議「4K・8K放送について」

 (2) 集中討議「インターネット同時配信に向けた取り組みについて」

 

○ 今後の議事運営について

 

 

議事経過

 

 石原委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 (石原委員長)

 経営委員の体制についてお知らせします。すでにお知らせしているとおり、宮原委員は12月11日付で経営委員を退任されました。したがいまして当面の間、11人の経営委員による経営委員会の体制となりますので、ご承知おきいただきたいと思います。

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1295回(平成29年11月28日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成29年12月15日に公表することを決定した。

 

 

1 会長報告(資料)

 (上田会長)

 前回の第1295回経営委員会で報告した「NHKグループ 働き方改革宣言」について、経営委員の皆さまからいただいたご意見も踏まえ、配付資料のとおりで決定し、12月7日の定例記者会見で公表しました。
 長時間労働を改め、過労による健康被害を起こさないという強い決意のもと、私を先頭に関連団体を含めたNHKグループが一丸となって、NHKで働くすべての人の健康を守り、働き方改革をさらに加速させていきたいと考えています。今後のスケジュールとしては、まず、私をトップに理事や本部・拠点局の局長等で構成する「働き方改革推進委員会」を設け、できるだけ早く開催します。また、新しい組織として「働き方改革推進室」を立ち上げます。この組織を現場の改革の司令塔と位置づけ、「働き方改革推進委員会」の事務局を務めます。そのほか、具体的な取り組みについては、担当の各部署ですみやかに検討を開始し、順次、実施していきます。
 続いて、平成29年12月6日の最高裁大法廷判決について報告いたします。
 最高裁大法廷判決では、公共放送の意義を認め、受信契約の締結を義務づける受信料制度が合憲であるとの判断等が示されました。判決の内容や今後の対応について、松原理事より説明いたします。
 (松原理事)
 最初に今回の判決に至る経緯です。本件は、平成23年11月に未契約世帯に対して、契約の締結と受信料の支払いを求めた訴訟となります。
 まず東京地裁で、平成25年10月に、NHKの一部勝訴という判決が出ました。一部勝訴というのは、後ほど説明いたしますが、争点のうち「契約成立の時点」において、NHKの主張が認められなかったものです。この点について、上級審の判断を求めるため控訴しました。その後、東京高裁で、平成26年4月に、東京地裁と同じ判決が出ました。そこで、最高裁の判断を求めるため上告をしました。そして、最高裁大法廷で、平成29年12月6日、双方の上告が棄却され、高裁判断が維持されました。その判断は、「受信料制度は合憲であり、受信契約の締結は法的義務である」というものでした。
 最高裁における争点は、5つありました。まず、放送法に係る争点として、「放送法64条1項の合憲性」、「放送法64条1項の解釈」がありました。その概要は、受信契約の締結義務は憲法の各条項に反するか、私法上の契約締結義務を負うのかというものでした。最高裁は、受信料制度は憲法上許容される立法裁量の範囲内にあるという理由で、それぞれ「合憲」、「契約締結義務を負う」と判断しました。
 続いての争点は、「契約成立の時点」についてです。これは契約の成立が、NHKが契約を申し込んだ時点で成立か、それともNHKが訴訟を提起し、判決が確定した時点で成立かというものです。最高裁は、契約はNHKの一方的な契約締結の申込みによって受信料の支払義務を発生させるものではないという理由で、「判決が確定した時点」と判断しました。
 続いての争点は、「受信料の支払始期」についてです。これは、受信契約成立以前分について、受信設備の設置月にさかのぼって請求することができるかというものです。最高裁は、受信設備設置月に遡って請求することは受信設備設置者間の公平を図るうえで必要かつ合理的であると判断しました。
 最後の争点は、「時効の起算点」についてです。受信料の消滅時効は、5年であると平成26年9月に最高裁で判断されています。本件ではその起算点について受信設備設置日か契約成立日かというものです。最高裁は、受信契約が成立する前にNHKは受信料債権を行使できないという理由で、「契約成立日」と判断しました。
 合憲性については、財政的基盤を受信設備設置者に受信料を負担させることにより確保するものとした仕組みは、憲法21条の保障する表現の自由の下で国民の知る権利を実質的に充足すべく採用され、その目的にかなう合理的なものである、そして、適正・公平な受信料徴収のために必要な内容の受信契約の締結を強制する旨を定めたものとして、憲法13条、21条、29条に違反するものではない、とされています。契約締結については、原告、つまりNHKの目的、業務内容等を説明するなどして、受信契約の締結に理解が得られるように努め、これに応じて受信契約を締結する受信設備設置者に支えられて運営されていくことが望ましい、とされています。
 最高裁判決は、マスコミやインターネットでも大きく取り上げられているところです。受信料徴収の強制力を強めるとの反発を招かないよう、公共放送の役割や受信料制度の意義について、丁寧に説明したうえで、ご契約をいただくという活動を徹底していきます。このことについては、12月6日判決当日に、職員および訪問要員に向けて、営業局長名の文書を発しました。その後のマスコミやインターネット等での反響が予想以上に大きいことから、12月8日には、営業局長名の文書で改めてお客さまへの丁寧な説明に徹することを周知するとともに、お客さま対応において、最高裁判決や裁判ということばを使わないことについて徹底するよう、注意喚起を行いました。

 (長谷川委員)

 これは、大変ありがたいことだったと思います。確認ですが、この最高裁の判決の出る前日の新聞に、いろいろな識者のコメントがある中で、受信料制度等検討委員会の委員のコメントが載っていました。内容は非常に当然な当たり障りのないコメントでしたが、この受信料制度等検討委員会は、専門の委員の先生方がご就任されているということで、各委員のコメントは自由という原則になっているのでしょうか。

 (上田会長)

 はい。諮問内容や諮問に付していることに関しては、原則はやはり秘密保持、つまり外に対する公表は避けていただきたいという理解です。第1回諮問の答申など、すでに出ている答申に関しましては、その内容と同じような形であれば、と思います。

 (経営企画局長)

 今会長が申し上げたように、受信料制度等検討委員会の諮問に関することについては、基本的に答申の公表までは非公表にしていただいております。審議の過程などについても公表したものの範囲で、ということを徹底させていただいています。今回の記事は、それぞれの法律の専門家の立場として一般的な質問に答えられたと理解しておりますので、受信料制度等検討委員会の諮問内容とは違う範囲でのお答えではないかと考えます。

 (長谷川委員)

 直接にかかわりがなければ自由にご意見を、ということですね。

 (経営企画局長)

 それぞれの分野で専門的に有名な方々もいらっしゃいますので、専門的な見解を求められて、それにお答えになったことだと思います。

 

 

2 審議事項

 (1) NHK3か年計画(2018−2020年度)案(資料1)(資料2)

 (石原委員長)
 NHK3か年計画案について、上田会長より説明を受け審議します。
 (上田会長)
 それでは、本件については、坂本専務理事から説明させていただきます。
 (坂本専務理事)
 それでは、お手元の「経営計画(案)」についてご説明します。前回11月28日の経営委員会で「要綱(案)」をご説明した際に、経営委員長から方向性について了承をいただきましたので、今回の冊子から表題を「経営計画(案)」としております。
 前回以降、執行部でさらに検討を行い、「働き方改革」や「受信料の負担軽減策」などについて、加筆、修正しています。なお、前回の冊子から変更した箇所は赤字に変えています。
 では、「計画(案)」の変更点を順に説明します。
 まずは、1ページの前文をご覧ください。下から2段落目のところ、NHKの役割・使命について述べた部分ですが、「放送」の持つ意義をさらに肉付けし、「憲法が保障する表現の自由の下で、国民の知る権利に応え」と書き加えました。
 次に、3ページをご覧ください。下段右側の「5つの重点方針」の4つ目、これまで「視聴者理解・公平負担」としていましたが、他の重点方針と表現を合わせるため、「視聴者理解・公平負担を推進」と書き加えました。
 次に、6ページをご覧ください。重点方針の4つ目について、先ほどと同様の修正をしています。
 次に、7ページをご覧ください。施策の4つ目、インターネットを活用した「同時配信」という表現ですが、より丁寧に「放送と同時の配信」としました。
 次に、11ページをご覧ください。施策の2つ目と3つ目の順番を入れ替えることで、1つ目と2つ目を国際の放送・サービス、そして3つ目をそれらの取り組みに関する調査、というように施策のくくりを見直しました。
 次に、13ページをご覧ください。東京オリンピック・パラリンピック関連の施策の3つ目ですが、「AR(拡張現実)」の説明として、「実際の映像とCGなどを組み合わせた」という言葉を加筆しました。
 次に、15ページをご覧ください。重点方針4の修正については、先ほど申し上げたとおりです。
 続いて、16ページをご覧ください。営業関連指標ですが、後ほどご説明する「受信料の負担軽減策」の実施を2018年度に一部前倒すことによる影響で、2018年度計画の支払数、契約総数がそれぞれ21万件、衛星契約数が11万件、前回から減少しています。グラフと表をそれぞれ修正しています。
 次に、17ページをご覧ください。「NHKグループ 働き方改革宣言」を反映するなど、重点項目①の(1)について、いくつか加筆・修正しています。まず、表題ですが、「『NHKグループ 働き方改革宣言』を実現するとともに、活力ある組織に向けた人事施策を実施」としました。その下の施策については、1つ目に掲げていた「『働き方改革』を推進」という表現を、「働き方改革宣言」を踏まえ、「長時間労働の抑制などを推進」に改めました。3つ目に掲げていた「AIの導入」については、「AIやICTを活用した業務支援の導入」と内容をよりくわしく記しました。4つ目に掲げていた「人材育成策を推進」については、より表現を強めて、「人材育成策を強化」としました。さらに、これも「働き方改革宣言」を踏まえてですが、「『働き方改革』の取り組みを点検・検証する仕組みを構築し、着実に推進」という一文を最後に追加しました。
 続いて18ページには、参考として「働き方改革宣言」に関する説明のページを挿入しました。
 次に、19ページをご覧ください。(2)の表題ですが、「コスト意識を高め、業務運営の効率性に資する経営を推進」としていましたが、「業務の見直し」という視点をより強め、「業務全般の不断の見直しと効率的な経営を推進」と改めました。そして「業務の見直し」に関して、2020年度以降の放送・サービスのみならず、当然次の3か年も業務全般にわたって見直していくことを明確にするため、施策の1つ目に「『公共的価値』の実現の観点から業務全般を不断に見直し、効率化を進めるとともに、重点業務に経営資源を集中」という項目を追加しました。また、効率性の観点から、関連団体への委託業務の“見える化”に引き続き取り組むなど、施策の2つ目に「関連団体との取引については、さらなる適正化を推進」という項目を追加しました。その下の3つ目の施策については、「2020年度以降の放送・サービスについて」の後に「も」を入れて、次の3か年のあり方についても検討の対象とすることが読みとれるようにしました。そして、3つ目と4つ目の施策の順番を入れ替え、前の3つで効率的な経営に向けた取り組みを述べた後に、その評価手法に関する取り組みを書くことにしました。
 次に、23ページをご覧ください。前回の要綱(案)では、「受信料の負担軽減策」を、「収支計画」の後に記載していましたが、経営計画(案)では順序を入れ替え、重点方針、それから「負担軽減策」を説明した後で、それらの施策について財政面から「収支計画」としてまとめる流れにしました。
 24ページをご覧ください。負担軽減策の2つ目に掲げている「奨学金受給対象などの学生への免除」については、開始時期を「2019年4月」から「2019年2月」へと2か月前倒しいたしました。「奨学金受給対象などの学生への免除」については、社会福祉施設の免除と比べても対象者が極めて多く、経済的に厳しい状況にある学生の負担を軽減する施策であるため、少しでも早く実施することができないか、執行部として引き続き検討してまいりました。その結果、2か月の前倒しであればシステム改修の対応や受信料徴収の委託先への対応も可能であるという判断に至りました。2月開始とすることで、4月の入学シーズン前に運用を開始することができ、円滑な移行も可能になると考えています。なお、委員のご意見を踏まえ、表の右側に各施策の年度ごとの軽減額を記載しました。前倒しにより、2018年度の軽減額が新たに4億円生じることとなり、4つの施策の3か年合計も170億円から174億円に増加します。また、ページの下段には、3か年の受信料収入の推移と負担軽減策による影響をグラフにして分かりやすく表示しました。
 なお、24ページに掲げた4つの負担軽減策につきましては、受信料体系の変更に係ることから、本日「NHK受信料制度等検討委員会」に諮問し、現行の受信料制度との整合性や受信料の負担の公平性などの観点から、妥当性について見解を求めることとします。本諮問に対する委員会の答申は、来年1月の計画案議決の前にとりまとめていただく予定です。
 次に、25ページをご覧ください。収支計画ですが、負担軽減策の開始時期の一部前倒しによる影響で、前回に比べ、2018年度の事業収入、受信料収入および事業収支差金がそれぞれ4億円減少しました。これに伴い、各年度末における「財政安定のための繰越金」も4億円ずつ減少しています。

 (長谷川委員)

 1ページ目の変更ですが、「憲法が保障する表現の自由の下で、国民の知る権利に応え」とご説明があったのは、最高裁の合憲判断の文言をほぼそのまま書き写したと考えてよろしいでしょうか。

 (坂本専務理事)

 NHKの役割・使命というところは改めて加えたということです。

 (長谷川委員)

 そこで、この最高裁の合憲性についての説明にある文言を入れるということは非常に適切だろうと思うのですが、「国民の知る権利」というものは、プライバシー保全の権利などとの絡みで、線引きがとても難しい問題です。それを「国民の知る権利に応え」と表現してしまうと、「知る権利だから放送しろ」と言われたら、いわばクッションなしに、すべて応じなければならないかの印象を与えてしまう。最高裁の判決では、「国民の知る権利を実質的に充足する」という言い方になっていて、こちらのほうが、NHKの自主的な判断の姿勢を保つことができて、よいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 (坂本専務理事)

 今いただいたご意見は、表現に工夫が必要だということですので、検討させてください。

 (石原委員長)

 負担軽減策は、受信料制度等検討委員会に諮問するとのことですが、それはいつでしょうか。

 (上田会長)

 きょう私が行ってきます。

 

 (2) 平成30年度予算編成方針(資料1)(資料2)

 平成30年度予算編成方針についてご説明します。これは、11月28日の経営委員会で、「NHK経営計画(2018−2020)」の要綱(案)をご了承いただいたことを受けて、その経営計画の考え方に基づき、30年度予算編成の具体的な考え方や収支の概要等をまとめたものです。
 2ページは予算編成方針として、平成30年度予算編成の基本的な考え方をまとめたものです。まず、第1段落で、平成30年度は3か年経営計画の初年度として、メディア環境の変化に対応し、経営計画に基づいた事業運営を着実に実施して、公共メディアの実現に向けて取り組んでいくことを説明しています。第2段落では、経営計画に掲げた“6つの公共的価値”に基づいて、平成30年度に取り組む放送・サービスについて説明しています。自主自律を堅持し、放送を太い幹としつつインターネットも活用して、正確な情報を公平・公正に伝え、命と暮らしを守る報道に全力を挙げるとともに、多彩で質の高いコンテンツを充実します。また、積極的な国際発信により日本と国際社会の相互理解を促進するとともに、放送・サービスを通じて地域社会に貢献します。更に、平成30年12月から4K・8Kスーパーハイビジョンの本放送を開始し、普及に努めるとともに、最新の技術を活用した放送・サービスの創造に積極的に取り組みます。人にやさしい放送・サービスの充実にも取り組みます。第3段落では、受信料の公平負担の徹底として、受信料制度の理解促進と営業改革を推進して支払率の向上を図ります。また、平成30年度より、受信料の免除対象の拡大などの受信料の負担軽減策を順次実施していきます。第4段落では、NHKグループが一体となって創造的で効率的な経営を推進することと、“働き方改革”を進めることについて説明しています。また、東京・渋谷の放送センターの建替を着実に進め、平成30年度は、建設工事に着手します。これらの考え方に基づき、平成30年度予算編成にあたっては、収入の増加と業務全般にわたる経費削減を徹底し、生み出した財源を重点事項に充てるとともに受信料の負担軽減策の実施を織り込んだ予算・事業計画を策定します。
 3ページは事業運営の重点事項です。これは経営計画に掲げた5つの重点方針と同じですので、個別の説明は省略します。
 続いて4ページは、平成30年度の収支構造です。3か年の収支計画の初年度と同じです。なお、先ほど説明がありました学生免除の前倒しの実施に伴う収支の変更を織り込んでいます。まず、事業収入は、受信料の増収などにより、平成29年度に対して50億円の増収となる7,168億円です。うち受信料は6,995億円で、平成29年度に対して103億円の増収を見込んでいます。事業支出は、4K・8Kスーパーハイビジョン、インターネットサービス、東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組み、地域放送・サービスの充実等の重点事項に経営資源を重点的に配分する一方で、業務全般にわたる経費の削減を実施することで、平成29年度に対して108億円の増となる7,128億円とします。以上により、事業収支差金は40億円となります。この40億円は、平成30年度の4K・8Kなどの建設費に使用します。事業収支の表の下に、建設積立資産と財政安定のための繰越金の見込みをまとめています。建設積立資産は、平成30年度に放送センター建替の第1期工事の設計関連業務の費用に充てるため5千万円を使用し、平成30年度末に1,707億円となります。財政安定のための繰越金は、減価償却費を上回る建設費に対応するため156億円を使用し、平成30年度末には767億円となる見込みです。以上が、平成30年度予算の収支構造です。
 次に、5ページには事業支出の増減の構造を図でお示ししました。下の図の左端のとおり、平成29年度の事業支出は7,020億円です。ここから、赤矢印でお示しした119億円の経費削減を行います。一方で右側の青色の矢印のとおり事業計画の重点事項に236億円の財源を配分します。これにより、平成30年度は一番右の柱のとおり7,128億円とする構造です。このうち、赤矢印の経費の削減については、下の赤い囲みに記しましたが、番組の廃止や制作本数の見直し、放送設備の維持・運用経費の削減、地域スタッフの減などを行います。一方、右の青矢印で示した重点事項として配分するのは、青い囲みに記しましたが、4K・8K本放送開始に伴う経費の増、インターネットサービスの充実、地域放送・サービスの充実、東京オリンピック・パラリンピック関係などで、3か年経営計画の重点事項に対応しています。このように、重点事項に配分する236億円を、赤矢印の経費削減と、一番右の細い青矢印で示した108億円の増収で賄うこととします。事業支出全体では前年度比で108億円の増となっていますが、このように経費見直しによる削減を行い、それらを財源に重点事項にはしっかり配分する形でメリハリをつけた予算編成を行っています。
 ページをめくって6ページは受信料の概要についてです。29年度の受信料収入の見込みは、予算と同額の6,892億円となる見込みです。そして、29年度見込みに対して30年度予算は103億円の増収となる6,995億円としています。この中には、負担軽減策として、奨学金受給対象などの学生への免除および社会福祉施設の免除対象の拡大の実施を合わせた減収影響の6億円を織り込んでいます。30年度の営業目標につきましては、下側の表に赤枠でお示ししたとおり、契約総数で24万件の増加、未収数で4万件の削減、衛星契約数で46万件の増加を計画しています。この結果、30年度末の支払率は81%、衛星契約割合は52%の達成を見込んでいます。下の6ページの棒グラフは、次の3か年の受信料収入等の推移をお示ししています。30年度は、先ほどご説明した負担軽減策の実施により、負担軽減策を実施する前に比べて6億円の減収影響を見込んでいます。ページの一番下には、次期の3か年における負担軽減策の項目と開始時期、年度ごとの影響額をまとめています。このページの一番右の下に記したとおり、3か年合計で174億円の影響を見込んでいます。
 次の8ページからは、事業計画の重点事項の概要についてご説明します。各項目は3か年経営計画の5つの重点方針に対応するもので、経営計画初年度の事業遂行に必要な予算措置を行っています。まず、1つ目は4K・8Kスーパーハイビジョンについてです。これは、青色の囲みに記していますが、経営計画の重点方針1の「“公共メディア”への進化」に該当します。平成30年12月から4K・8K本放送を開始し、世界トップクラスの超高精細映像で感動を届けます。4K放送は、ドラマ・自然・紀行・スポーツなど多彩なコンテンツを2Kとの一体制作で実施します。また、8K放送は、芸術・音楽・エンターテインメントなどのジャンルから、“8Kならではの圧倒的な映像と音響”を提供します。30年度予算のうち、事業費は29年度に対し38億円増の141億円、建設費は98億円増の202億円で実施します。2つ目は、インターネットサービスについてです。これも経営計画の重点方針1の「“公共メディア”への進化」に該当します。インターネットの特性を生かしてニュースや災害情報などの放送番組や理解増進情報の提供、国内放送の試験的提供や国際放送の放送同時提供を実施します。特に30年度は、各地域の災害気象関連サイトの充実や2018FIFAワールドカップロシアなどのスポーツコンテンツの充実、モバイル向けアプリを通じた訪日外国人への災害情報の提供などを実施します。予算は29年度に対し15億円増の156億円となり、これは受信料収入の2.2%にあたり、インターネット実施基準に定める上限2.5%の範囲内となっています。3つ目は下の9ページの上段の地域放送・サービスの充実です。経営計画の重点方針2の「多様な地域社会への貢献」に該当します。拠点局が域内の経営資源をマネジメントするブロック経営を推進し、地域の特性を生かした放送・サービスを充実します。具体的には、地域に身近な情報や課題を取り上げた放送の充実や本部による地域番組制作支援の強化等に取り組みます。30年度は29年度に対し11億円増の396億円の予算で実施します。下段の4つ目は東京オリンピック・パラリンピック関係です。経営計画の重点方針3の「未来へのチャレンジ」に該当します。2020年に向けて、関連番組の制作やパラリンピックに関連したスポーツ中継の強化に取り組みます。また、AIやVRなど新しい技術を活用したデジタルサービスの開発や番組と連動したイベント・プロモーションも実施します。30年度予算は29年度に対し22億円増の26億円です。10ページの5つ目はサイバーセキュリティーの強化です。放送・サービスの維持継続や情報漏えい防止のためのサイバーセキュリティー対策の強化を行います。平成30年度は特に各部局固有の情報システムに対するセキュリティー調査・対策と管理体制の構築を実施します。30年度は29年度に対し12億円増の51億円で実施します。
 次の11ページは営業経費の概要です。この営業経費は、契約収納費に職員の人件費と減価償却費を合わせた総経費です。30年度は、訪問要員の処遇改善等を行って、法人委託の体制を強化します。これらに要する経費の増や受信契約者の増加に伴う口座振替やクレジット等の手数料の増などにより、29年度から26億円増の761億円としています。具体的な内訳については、左側の棒グラフをご覧ください。一番上の地域スタッフ等の手数料・給付金で、地域スタッフ体制の見直しにより29年度予算に対し13億円減の84億円となる一方で、その下の法人委託手数料は、法人委託をさらに拡大していくことや訪問要員の処遇改善に取り組むことなどにより35億円増の249億円とします。このほか、3つ目の契約収納促進費等については、受信契約者の増加に伴う口座振替やクレジット等の手数料の増や困難者対策の強化などにより、29年度予算より17億円増の294億円で実施します。なお、受信料収入に対する営業経費の割合である営業経費率は、30年度は29年度に対して0.3ポイント上昇し10.9%となります。なお、経営計画では、31年度以降、営業経費率を毎年0.1ポイントずつ減少させる計画です。
 ページをめくって、12ページは給与と退職手当・厚生費の概要です。30年度の給与は29年度と同額の1,164億円の中で効率的に実施します。退職手当・厚生費は29年度に対し165億円減の492億円としますが、これは、平成15年度に退職給付会計を導入した際の会計基準変更時差異の償却が終了したこと等により、退職給付費が減少しているものです。なお、要員については、ダイバーシティー推進への対応等のために、15人増の10,318人としています。
 13ページをご覧ください。収支予算案について、主な科目別にお示ししています。事業収入は、29年度に対し50億円増となります。これは、主に受信料が29年度に対し103億円の増となる一方、財務収入が子会社からの特別配当を行わないことなどで40億円の減となることによるものです。なお、特別配当については、経営計画では31年度と翌年度の2か年に計画的に行うこととしています。次に、事業支出は全体で108億円の増となります。科目別では国内放送費が182億円増となり、4K・8Kやインターネット、東京オリンピック・パラリンピック関係や地域放送・サービスの充実などに重点配分したことなどによるものです。契約収納費は、訪問要員の処遇改善等で39億円の増となります。退職手当・厚生費は退職給付費の減などで165億円の減、減価償却費は4K・8Kの設備投資など償却対象資産の増加等で59億円の増としています。また、その他の事業支出も、予備費を過去の使用実績もふまえ29年度の30億円から20億円に減額しています。
 次に14ページをご覧ください。ページ上段は建設費の概要です。30年度予算は1,023億円とし、29年度に対して125億円を増額します。30年度に特に重点的に実施する事項は2つです。1つは4K・8K設備の整備です。来年12月の本放送開始に向け、制作設備や送出設備の整備を29年度に対し98億円増の202億円で実施します。2つ目は、地域の番組設備の整備です。地上デジタル放送の開始時に整備した地域番組の送出設備が更新時期を迎えており、29年度に対し160億円増の286億円で実施します。この他、青色の放送会館は主に熊本や仙台などの整備が終了することで158億円減の56億円で、番組設備や放送網設備等の整備は、昨年度とほぼ同規模で実施します。
 下の15ページは、放送番組等有料配信業務勘定です。事業収入は、NHKオンデマンドの視聴料収入の減により0.5億円減の22.2億円としています。一方、事業支出は、配信システムの改修経費の減などにより、0.5億円減の21.9億円とします。以上により、事業収支差金は、0.2億円の黒字を確保します。
 最後に今後の予算編成スケジュールをお示ししています。本日、この予算編成方針をご了承いただきますと、これをもとに、さらに詳細な予算編成作業を進め、次回の12月26日には、「収支予算編成要綱」として事業計画の詳細や予算科目別の内訳などをお示ししてご審議いただく予定となっております。その後、年明けの1月16日の経営委員会で、放送法施行規則の記載事項に則って作成した「収支予算、事業計画及び資金計画」、いわゆる予算書を審議・議決していただきたいと考えております。

 (堰八委員)

 12ページの給与と退職手当・厚生費の概要で、退職手当と厚生費の、会計基準変更時の際に償却終了により退職給付債務の減が160億円であるとありましたけども、これはすごく大きいので、どういう変更をしたのか、もう一回教えてください。

 (大橋理事)

 NHKでは、平成15年度に退職給付会計を導入しました。そのときに、いわゆる積み立て不足が発生しており、その積み立て不足が、当時2,428億円ありました。これは、15年かけて償却をする計画でした。一括償却という選択肢もあるのですが、NHKは公共放送で、一時期に大きな赤字を出すのは許されないので、15年かけて償却して、それがちょうど終了するということで、今までかかってきた償却分の費用がここで落ちるということです。

 (石原委員長)

 4ページの3行目、30年度増減のところで、財政安定のための繰越金が156億円マイナスになっています。これは設備投資に対する充当ですが、設備計画との関係では、どういう説明になるのでしょうか。

 (大橋理事)

 30年度の設備投資額が1,023億円ということを、建設費の概要のところで説明しています。これは、減価償却費だけでは賄い切れない額になっております。減価償却費は平成30年度は803億円です。1,023億円のうち、まず、減価償却費が803億円ありますので、それは設備投資に充て、不足する部分を賄うために、156億円をストックの中から取り崩して設備投資に充てます。そのほかにも、原資となるのは、固定資産除却・売却によるものとか、いくつかございますけれども、大きいところでいうと、この156億円を設備投資の原資に充てています。次回、要綱の中で資本収支を記載しますので、それがあると説明しやすくなると思います。次回、詳しくご説明させていただきます。

 (森下委員)

 10ページのサイバーセキュリティーの関係で、2点ほど質問させていただきます。いろいろとサイバーセキュリティーに対する攻撃があるわけですが、この各部局固有の情報システムに対するセキュリティーソフト開発というのは、全体としてはもちろん対応はとってあるが、個別のものについては、まだのものがあるので対策をとるという意味ですか。

 (児野技師長)

 そういう意味です。

 (森下委員)

 グループ会社にも、かなり連動してるところがあると思いますが、そこはどう考えていますか。

 (児野技師長)

 イントラネットなど、いわゆる業務系については共通基盤を構築するということで進めていて、年明けぐらいから具体的に始めるように計画進行中です。

 (森下委員)

 各部局、各単位、つながっているところがあると思うので、そこをよく見ていただいて、対策をとっていただきたいと思います。よろしくお願いします。もう1点は、この運用監視体制の強化とは、具体的にはどういうことでしょうか。

 (児野技師長)

 CSIRT(シーサート)の強化です。CSIRTを作っているのですが、要員的にも強化することなどです。

 (森下委員)

 常時監視をしているのですか。

 (児野技師長)

 そうです。

 (石原委員長)

 よろしいですか。それでは、この方針を了承します。予算編成要綱案の作成に向けた準備をお願いします。

 

 (3) 平成30年度国内放送番組編集の基本計画について(資料)(資料)

 (木田専務理事)
 「平成30年度国内放送番組の基本計画(案)」について、説明します。本基本計画案については、定款第63条第1項の規定により、平成29年12月18日の「第643回中央放送番組審議会」に諮問し、答申を得た上で、あらためて来年1月16日に開催される経営委員会に議決事項として提出する予定です。本日は議決にむけて、この基本計画の考え方や概要をご説明したあと、審議をお願いいたします。
 「編集の基本計画」は、次期3か年経営計画の初年度にあたる平成30年度に、社会情勢やメディア状況の変化を見据えて、どのような方針に基づき国内放送を組み立てていくか、その内容を書いたものです。作成にあたっては、新たな経営計画の内容を踏まえ、来年度のNHKの国内放送の各波における使命は何か、どういう役割を担うかについて、ことしの5月から放送総局での議論をスタートさせ、その後、半年かけてさまざまなレベルで議論を積み重ねてきました。また、四半期ごとの、経営指標に対するNHKの放送への評価、中央放送番組審議会での審議、意見などを踏まえたものになっております。
 それでは、お手元の資料の1ページを開いてください。全体の構成としては、1ページに、「編集の基本方針」、2ページから6ページには、「編集の重点事項」、そして、7ページ以降に「各波の編集方針」をまとめています。
 まず、「編集の基本方針」です。最初の段落で、「大切なことを、より深く、より身近に」という新3か年経営計画のメッセージに触れ、“公共メディア”実現という大きな目標を、「編集の基本計画」にも反映しています。平成30年度は12月にスーパーハイビジョン(SHV)本放送を開始し、インターネットを活用した新しいサービスも充実させます。そして、2020年に“最高水準の放送・サービス”の実現をめざし、視聴者の期待にしっかりと応えます。次の段落では、新3か年経営計画が掲げている「6つの公共的価値」を1つ1つ挙げながら、基本計画の中でその実現を追求していくことを示しています。具体的な内容につきましては、次のページ以降の「編集の重点事項」のなかでご説明します。そして最後の段落では、これまでもNHKは「公共的価値」を基本原理としてきましたが、それを「より深く、より身近に」していくことで、多くの視聴者に役立ち、喜ばれ、感動を与えられる“公共メディア”を目指すことを宣言しています。
 続いて「編集の重点事項」についてご説明します。全部で7つの項目があります。
 最初の項目は「安全・安心を守るために、防災・減災報道、緊急報道を充実し、被災地の復興を支援」です。これは、「安全で安心な暮らしに貢献」という公共的価値を踏まえたものです。命と暮らしを守る報道に全力を挙げて取り組み、大規模な災害が発生したときは、多様な手段で被災者が必要とする情報をいち早く届けます。非常事態に備えて本部代替機能を充実させ、全国の放送局が連携して危機を乗り越える体制を整備します。また、全国の被災地の復興を支援し、原発事故後の対策についても継続して伝えます。
 2つ目の項目は「国内外の課題や最新事情を、正確に、早く、わかりやすく」です。これは、「正確で、公平・公正な情報で貢献」という公共的価値に対応したものです。国際的にも、国内においても、さまざまな課題が山積しており、不確かな情報の氾濫や拡散が、事態を深刻にしています。私たちは、これまで培ってきた取材力・制作力を生かし、正確で公平・公正な情報を、早く、わかりやすく伝え、健全な民主主義の発達に寄与します。また、インターネットの活用や、データジャーナリズムなどの調査報道によって、日本と世界の今を、深く、多角的に伝えます。
 3つ目は、「多彩なコンテンツでNHKのファンを増やし、身近で親しまれる放送局に」です。これは「質の高い文化の創造」という公共的価値を踏まえています。本文の上から3行目ですが、若年層から現役層、そして高齢者層にいたるまで、幅広い世代に届くコンテンツを積極的に開発します。また、各チャンネルや番組の役割を明確に定め、より見やすく親しみやすい時間帯に編成します。さらに、子どもたちの好奇心を育て、学びと遊びを支援するサービスや、暮らしやすい社会に向けて、教育・福祉番組を充実させます。
 4番目の項目は「4K・8K放送で、これまでにない感動の視聴体験を」です。これも主に「質の高い文化の創造」という公共的価値に対応しています。12月にスタートするSHV(4K・8K)本放送は、世界トップクラスの超高精細映像で、かつてない感動を視聴者に届けます。4Kは、地上波・衛星波の中から多彩なコンテンツを選んで一体制作し、SHVの先導役を果たします。8Kは圧倒的な映像と音響にこだわり、本物と向き合っているかのような没入感・臨場感を視聴者に味わっていただきます。
 5つ目は、「東京オリンピック・パラリンピックに向け、“公共メディア”にふさわしい挑戦を」です。これは、「日本と国際社会の理解促進」や「教育と福祉への貢献」など、さまざまな公共的価値を踏まえています。東京オリンピック・パラリンピックは、スポーツを通して多くの人たちに感動を与えるとともに、日本の文化・芸術・科学技術の素晴らしさを世界に知ってもらう大きな機会です。私たちはこの機会を捉えて、“公共メディア”にふさわしいイノベーションに挑戦し、SHVや音声認識AIなどの技術革新を積極的に進めます。また、地域が主体となって日本全国がひとつになる取り組みなど、「共生社会」の実現を目指します。
 6つ目の項目は、「地域社会への貢献」という公共的価値を踏まえたもので、「全国の放送局は、地域放送・サービスを充実し、地域社会に貢献」です。全国の放送局は、地元に身近な放送局として、常に地域の人の目線で取材・制作し、暮らしに役立つ情報、関心の高いテーマを取り上げて放送します。大規模災害のときは、きめの細かい情報提供を行い、各地共通の課題については、NHKの全国ネットワークを生かして、解決策のヒントを探ります。
 7つ目は、「国際発信を強化し、世界との相互理解を促進」です。日本のいまを世界に発信し、世界の動きを日本へ積極的に伝えることで、相互の理解を促進します。また、国際放送との連携を強め、共同制作による大型シリーズで、国際展開を進めます。
 最後に「多様な価値を認め合い、ともに生きる社会を実現する放送・サービス」です。これは「教育と福祉への貢献」という公共的価値を踏まえたものです。「共生社会」を実現するために、放送・サービスを通じて、障害者が積極的に社会に参加・貢献する機会や、日本と世界の子どもたちが交流を深める機会を提供します。また、ユニバーサル放送・サービスの拡充に取り組むほか、字幕・解説・手話放送については長期計画に基づき準備を進めます。
 以上の重点項目を実施するにあたって、勘案すべき点を上げました。
 1つ目、これまでの質的、量的評価の手法に加えて、個々の放送・サービスの「役割」や「到達度」などの視点を取り入れ、適切な評価・管理体制を構築していきます。
 2つ目、放送倫理やコンプライアンス意識を徹底します。
 3つ目、NHKの業務に携わるすべての人の健康確保に留意し、「働き方改革」やダイバーシティの推進、職場環境の整備に取り組みます。適切なアウトソーシング、AIの導入などによって、業務フローの抜本的な見直しを実施します。
 4つ目、SHVでは試験放送で得られた知見を生かし、技術発展の先導的な役割を果たすほか、限られた経営資源を効果的・効率的に活用します。
 次は「各波の編集方針」です。「総合テレビジョン」は、基幹波として、公共メディア実現のための中心的な役割を果たします。上から2段目の「編集のポイント」ですが、幅広い世代、とくに現役世代、若い世代の接触を増やすために、多様なラインナップの番組を提供するほか、国際マーケットで通用する大型番組、インターネットなどを活用した番組開発などに取り組みます。また、地域放送を充実し全国発信を推進します。
 「教育テレビジョン」です。教育・福祉などの重要課題に加え、語学・教養・趣味実用など多彩な番組をそろえ、幅広い世代の「知りたい」「学びたい」に応えます。「編集のポイント」としては、2つ目の、インターネット・データ放送・アプリなどを活用した“参加・体験するテレビ”や、3つ目の、視聴者の関心や疑問に答える“役に立つインターネットサービス”を目指します。
 BS1です。“ライブ感あふれる情報チャンネル”として「国際」「スポーツ」「ドキュメンタリー」の各分野を充実させます。「編集のポイント」としては、“東京2020”に向けてスポーツへの関心が高まるなか、オリンピック関連番組を幅広く編成します。また、パラリンピック競技の放送枠を拡大し、障害者リポーターを積極的に起用して「共生社会」の実現に貢献します。
 BSプレミアムです。本物志向の爽快エンターテインメントチャンネルとして、スペシャル感、スケール感、良質な笑い、深い感動などを与える多彩な番組をそろえます。編集のポイントとして、魅力ある大型特集番組を充実させるほか、定時番組を充実させてゴールデン・プライム帯を強化します。
 スーパーハイビジョン試験放送です。来年度は7月まで試験放送が継続し、その後およそ4か月の休止期間を経て、12月から本放送がスタートします。4K本放送は、超高精細映像時代への先導的な役割を果たし、2Kと一体制作を基本としながら、見やすいジャンル編成や先行放送で独自性を打ち出します。8K本放送は、テレビの新しい世界を切り開く“NHKのフラッグシップチャンネル”を目指します。
 次に音声波です。ラジオ第1放送は、「音声基幹波」として、命を守り、暮らしに役立つ情報を伝えます。また、「らじる★らじる」の普及、インターネットの活用を推進し、より一層サービスの充実を図ります。
 ラジオ第2放送は、インターネットサービスとの連携で“いつでも”“どこでも”学べる機会を提供します。FMについては、今年度と大きな変更はございません。

 (中島委員)

 編集の重点事項として、2ページにまず第1項で、「安全・安心を守るために、防災・減災報道、緊急報道を充実し、被災地の復興を支援」と、重要な役割と位置づけているかと思うのですが、これが具体的に7ページ以降の各波の編集方針の中で、どのように展開されているかが分かりにくいと思います。例えば、7ページの、「総合テレビジョン」のところで、「基幹波として命と暮らしを守る報道に全力をあげて取り組み」とありますが、それをより具体化したと思われる「編集のポイント」では、このような災害などに関することが読み取りにくいと思います。これは、番組と報道とは使い分けているのですか。どうしてここに織り込まれていないのでしょうか。

 (木田専務理事)

 安全・安心の放送というのは、総合テレビが多いことは多いのですが、大規模災害とかになりますと、もう全波一斉に、音声波もそうですが、使って放送しますので、各波の編集方針というのは、そういったことをすべて前提とした上で、さらにそれぞれの、各波のポイントという形で整理させていただいています。

 (中島委員)

 ポイントとして改めて表現するまでもない、もっと前提だということでしょうか。

 (木田専務理事)

 これはもうすべての波を挙げて取り組むことになると思います。

 (中島委員)

 一方で、教育テレビジョン、Eテレのほうでは、この「編集のポイント」に、教育、福祉、防災とあります。これは、ニュースよりも特に防災に関する一般的な情報を、教育的な視点から放送するという意味ですか。

 (木田専務理事)

 やはり小学生とか、お子さまたちに向けての防災教育ということは、教育テレビでの「編集のポイント」ということです。防災一般については、もちろん総合テレビとかBS1でも、いろいろなところで、各番組でお伝えしますが、教育テレビでの、ここでの防災というのは、特にお子さまをイメージしています。

 (中島委員)

 「編集のポイント」のところで、そこだけ見ても全体の構想が読み取れるような、表現があってもよいかなと思いました。

 (木田専務理事)

 「編集の重点方針」は抽象的な書き方をしており、「編集のポイント」は具体的に書いてあるので、1対1で対応するわけではないのですが、あくまでも「編集の重点方針」をまず前提として、その上で、各波でポイントとなる点だけピックアップしたと受け取っていただければと思います。

 (森下委員)

 4ページ、6番の2行目以下を読むと、何となく全国発信することばかりのように感じます。「暮らしに役立つ情報、関心の高いテーマを積極的に取り上げ、豊かな自然・文化・人々の営みなど」となっていますが、後ろのほうには「世界に向けて発信」ということばが入ってきています。これは、たぶん、文章をあとで変えてしまったと思うのです。「暮らしに役立つ情報、関心の高いテーマを取り上げる」というのは地域放送の話で、それから「豊かな自然・文化・人々の営みなど、地域の魅力を広く発信していく」というのは全国放送の話だと、分けて考えたほうがよいと思います。次期経営計画の文章の中では、ここはきちっと分けられていますので、トーンを合わせていただきたいと思います。

 (木田専務理事)

 検討させていただきます。

 (森下委員)

 世界へ発信するのも大事なのですが、まず大事なのは、やはりその地域にきちんとした情報を伝えることです。そうしないと、その地域の人たちがNHKを信頼してくれないと思います。次期経営計画の中には、そこについては、しっかりと書いてもらっていますので、ぜひそこを直してもらいたいと思います。7ページの「総合テレビジョン」の「編集のポイント」を見れば、「地域放送の充実」ということばがあります。いろいろな環境の中で、私が関心を持っているのは、地域放送についてです。ばらばらになっている制作能力を拠点局に集めることによって、よい番組をきちんとつくることができるという集約効果を狙っていると、私は理解しているのですが、ただ、それが本当に地域にとってよくなっているのか、逆に弱体化しているのではないか、ということに高い関心を持っています。だから、「地域放送の充実」と書いてありますが、これは本当に、制作上、拠点局に集約した効果を出していくべきだと思います。そういう意味で、ぜひこれを、番組を制作する人に情報発信していただきたいと思います。私どもは、本当に効果が出ているのかということに非常に関心を持っていますので、ぜひよろしくお願いします。

 (木田専務理事)

 検討させていただきます。この案件につきましては、誤解のないように、きちんと職員に情報発信したいと思います。

 (佐藤委員)

 編集の基本方針のほうを見ていただくと、放送の自主・自律と不偏不党というのが書いてあるんですね。ただ、NHKの3か年経営計画のほうにはそういうことばが全然出てきていないと思うのです。普通だったら、表書きにそういうのがあってもよさそうな気がします。放送の自主・自律、不偏不党が、本当にいかに必要か、ということがやはり文言の中に入っていたほうが自然な感じがしています。それが抜け落ちてしまっているのではないかと、逆に気がつきました。

 (木田専務理事)

 経営計画のほうですか。

 (佐藤委員)

 経営計画のほうです。どこかにありましたか。

 (坂本専務理事)

 前文のところ、「放送法を順守しながら自主・自律を貫き」というところで、表現をしています。

 (佐藤委員)

 はい。これは「不偏不党」のような直接的な感じではないのですね。今まで、そのことばをよく聞いてたので、それが違う形になってしまって、ちょっとぴんとこなかったのですね。大事な部分を逆にそいでしまっていると誤解が生まれないか心配になりました。

 (坂本専務理事)

 公共放送の基本姿勢を堅持とか、放送法を順守しながら、という文言に含まれていますので、すでに応えていると考えています。

 (佐藤委員)

 十分それでよいということですか。

 (坂本専務理事)

 はい。

 (小林委員)

 総合テレビジョンの編集方針で、編集のポイントの中に「国際マーケットでも通用する高品質の大型番組を制作」とありますが、この趣旨と意味についてです。「国際マーケットでも通用する高品質の大型番組」という表現に違和感があります。国際マーケットに通用するというのは、私は「国際マーケットでも販売できるようなコンテンツ」という意味と捉えましたが、この解釈が正しいとすると総合テレビジョンの編集方針に国際マーケットへの販売という目的が組み込まれることに違和感を覚えますが、いかがでしょうか。

 (木田専務理事)

 販売はあるのですけれども、ここで「通用する」と書いているのは、例えば、国際コンクールで高い評価を受けるというようなことも想定されます。その上で販売することもあるかもしれません。ただ、販売はNHK本体の業務ということではありません。大型番組はやはり総合テレビで放送することが多いものですから、ほかのBSプレミアムとか教育テレビとかでの番組も、もちろん国際コンクールに参加するのですが、ここでは大型番組を制作するということで、総合テレビにポイントとして挙げさせていただいているつもりです。

 (小林委員)

 「国際コンクール等」と説明していただくと意味が分かるのですが、「国際マーケット」であると、誤解される可能性があると思いましたので、ちょっと表現を考えていただいたほうがよいかもしれません。それから、4ページ目の5番目の東京オリンピック・パラリンピックのところ、下から3行目の、「地域が主役となり、日本中が全員参加で盛り上げる聖火リレーなど、人と人をつなぐメディアの機能を大きく高め」で、「日本中が全員参加で盛り上がる聖火リレーなど」というのがどこにかかっていくのか、この文章がよく分かりません。これも意味は、何となく気持ちは分かるのですが、それを放送がどうするのかというところは書いていないので、もうちょっと書かれたほうがよいのではないかと思いました。

 (木田専務理事)

 検討させていただきます。

 (長谷川委員)

 むしろ「国際マーケット」というのはBSプレミアムなどのほうに出してもよいのかなと思います。例えば、具体的な成功体験として、ダイオウイカの放送、「ワイルドライフ」で、あれはもう、私が経営委員になったときに、もう国際的マーケットで引っ張りだこということでした。お金をかけてつくれば、それだけ売れるという、ある意味、非常によい意味の成功体験だと思います。もしそれを念頭に置いて「国際マーケット」というのでしたら、むしろ大型でじっくりつくれるBSプレミアムのほうにこそというか、ほうにも、国際マーケットに通用する高品質というのを入れてよいのではないかと思います。いかがでしょう。

 (木田専務理事)

 どの波ももちろんそういう世界的に通用するものをつくれる可能性はあるのですが、まず大体、入り口になるのは総合波が多いのです。先ほどのダイオウイカも、まず総合波の「NHKスペシャル」でやって、さらにそれをまた長い尺で見せることをプレミアムで放送したという経緯がありますので、どこへ書いても意味は通じるのですが、いつも入り口になる総合波のところで、こういうふうにして挙げさせていただいています。

 (長谷川委員)

 入り口という意味ですね。

 (木田専務理事)

 はい。

 (長谷川委員)

 分かりました。

 (編成局長)

 今、「NHKスペシャル」の「人体」という番組を放送してるんですけども、そういったような番組は国際的に通用するんではないかと思っており、そういう意味の番組を国際マーケットでも通用するということで、そういう意味で総合テレビで、あえて書かせていただきました。来年は来年で、またそういう大型番組を、国際的に通用する番組も制作したいと思います。

 (石原委員長)

 ほかにないというわけではないと。

 (編成局長)

 はい。たくさんあります。

 (長谷川委員)

 あれも大変よい番組ですね。分かりました。

 (堰八委員)

 表現の問題ですけれども、障害者の「害」ですが、漢字で「害」と書くことについて、今、官公庁は一般的に平仮名で書くケースが多いと思うのですが、NHKの基準はどうなのですか。

 (木田専務理事)

 NHKの放送では、この漢字を使う形になっております。

 (堰八委員)

 何かいろいろ考えると、無難なのは平仮名を使っておいたほうがよいかなという気がします。少なくとも、ここには3か所、本体の6か所が「障害」ですけれども、こういうのは「害」を使っているのですか。

 (木田専務理事)

 今のところはそうしています。

 (石原委員長)

 ほかに、いかがですか。それでは、今までのご意見を踏まえて、直せるところは修正するということで、本件につきましては、中央放送番組審議会の答申を踏まえ、改めて議決事項としての提出をお願いいたします。本件、本日は終了いたします。

 

 (4) 平成30年度国際放送番組編集の基本計画について(資料)

 (荒木理事)
 「平成30年度 国際放送番組 編集の基本計画(案)」につきまして、説明します。この基本計画については、定款により、12月19日に開催される予定の第642回国際放送番組審議会に諮問し、答申を得た上で、あらためて来年1月16日に開催予定の経営委員会に議決事項として提出する予定です。本日は議決に向けて、この基本計画の考え方や概要をご説明したあと、審議をお願いいたします。
 1ページ目、「編集の基本方針」から説明させていただきます。11月28日の経営委員会の際に経営計画の要綱案でお示ししたとおり、NHKの国際放送は、平成30年度より「NHKワールド」から「NHKワールド JAPAN」に名称を変更します。最初のパラグラフで、「NHKワールド JAPAN」の目指すところについて述べておりますので、この部分だけ読み上げさせていただきます。東京オリンピック・パラリンピックまで2年となり、日本に対する関心が最も高まるこの時期こそ、豊かで多彩な日本・地域の情報を発信し、その魅力を世界に伝えることが求められています。NHKの国際放送は、日本発の公共メディアであることをより広く世界にアピールするため、「NHKワールド JAPAN」として新たなスタートを切ります。「NHKワールド JAPAN」は、公平・公正で信頼できるニュースや多様で良質なコンテンツを発信し、日本と世界をつなげる“公共メディア”へと進化していきます。国内放送との連携をさらに強化し、テレビ、ラジオ、インターネットなどさまざまなメディアを通して、最高水準の放送・サービスを提供することで、世界の視聴者の期待に応えます。
 以降のパラグラフでは、各波のポイントを説明しています。名称は、外国人向けテレビの「NHKワールド JAPAN」、在外邦人向けテレビの「NHKワールド・プレミアム」、外国人向けラジオの「NHKワールド JAPAN」、在外邦人向けラジオの「NHKワールド・ラジオ日本」、インターネットサービスの「NHKワールド JAPANオンライン」になります。
 各メディアの「編集方針」につきまして、次のページ以降で説明させていただきます。2ページをご覧ください。「NHKワールドTV」改め「NHKワールド JAPAN」は、5つの柱を立てました。まず、日本の視点を生かしたニュース・番組の拡充、アジア報道の強化です。地域ならではの最先端技術など、日本の取り組みをより深く伝えていきます。アジア各総支局から多彩なニュースを伝えるなど、アジア報道を強化します。またネットやSNSでの展開も拡充し、スマホアプリのプッシュ通知を使い災害情報などを迅速に発信します。次に、2020年に向け、機運を高める番組の新設です。日本発祥の競技や日本が世界トップレベルの競技などの魅力に迫るスポーツ番組を新設します。また、日本やアジアの経済情報やトレンドを伝える番組など、あらゆる切り口で海外の視聴者の関心に応えます。3つ目は、地域と世界をつなぎ、地域に貢献する番組の拡充です。全国の小中学校が2020年に向けて海外の国を応援する運動を取り上げる番組を新設します。また日本語化する番組を大幅に増やすなど、地域支援に注力します。4つ目は、多言語・インターネット展開向けコンテンツの大幅増です。ウィークリーの15分開発枠を新設し、多言語やネット展開に適した番組を開発します。また、人気番組の短尺動画をSNS向けコンテンツとして展開します。最後に、国内連携強化と番組の選択・集中です。国内放送との連携を強化し、良質なドキュメンタリーなどを共同開発していきます。既存番組の定着を図る一方で、働き方改革を推進し、視聴者のニーズがより高いコンテンツに制作パワーをシフトしていきます。
 続いて3ページをご覧ください。「NHKワールド・プレミアム」につきましては、日本語のニュース・情報番組を通じて、日本と世界のいまを伝えます。主要ニュースを国内と同時放送し、災害時には迅速な情報の提供に努めます。世界の動きもわかりやすく伝えます。また、2020年に向けて変わり行く日本の姿を多様な角度から伝えていきます。
 4ページをご覧ください。ラジオ国際放送です。外国人向けの「NHKワールド JAPAN」は、ニュースをはじめ防災情報、日本各地の産業や技術・文化・芸術の話題、地域の取り組みなどを17の言語で全世界に向けて発信します。在外邦人向けの「NHKワールド・ラジオ日本」は、在外邦人のライフラインとして安全・安心を支える情報を届けます。
 最後5ページ目のインターネットの「NHKワールド JAPANオンライン」につきましては、まず、英語ニュース発信の拡充ということで、英語ニュースのネット展開をより強化します。ホームページ・アプリ・SNSそれぞれの特性を生かして迅速、的確に情報を発信します。次に、映像コンテンツの多言語化では、VODでの多言語化を大幅に拡充し、世界のより多くの人が楽しめ、日本への理解が深まる機会を提供します。テレビ・ラジオ・ネットすべてに展開するコンテンツを制作します。3つ目の、SNSを活用した多彩な情報発信については、ニュースや番組と連動し、スマートフォンでの視聴に適した動画を配信するなど、SNS利用者の多い国に向けて多言語による発信を行っていきます。

 (長谷川委員)

 2ページ目の一番上ですが、「NHKワールド JAPAN」になって、そこで「日本の視点を生かしたニュース・番組の拡充」という、これは次期経営計画の「重点方針」にもあった非常に重要なポイントです。この「日本の視点を生かした」というのが、具体的にはどういうことなのか、この下の文章では唯一、「地域ならではの最先端技術など」というあたりかと思うのですが、これは「日本の視点」ではないので、「日本の視点を生かしたニュース」とは、具体的にどういうことをやるのかをお聞かせ願えないでしょうか。

 (荒木理事)

 まず一つは、NHKの報道というのは日本人の価値観といいますか、日本が国として大事にしていること、目指しているもの、そういうものに根差している。今われわれの報道そのものがそういうものからできているということだと思います。そういうことから見ますと、世界で起こるさまざまなこと、日本で起こるさまざまなことについて、日本人が持っている一つの価値観、目指すもの、目標とか、そういったものに基づいた一つのニュース、レポートを出していくことによって、ああ、日本というのはこういう国なんだと。あるいはまた、日本人というのはこういう人たちなんだ、こういう価値観を持っているんだということを、しっかり世界の人たちに理解していただくということが、私はNHKワールドの大きな目標でありますし、目的であると思っています。そうしたニュースを出していくということです。

 (長谷川委員)

 非常によく分かりますし共感を持ちます。一番最初にある「公平・公正で信頼できるニュース」という、これが実は日本の視点そのものであると、これ日本人向けには非常によく分かるんですが、それを国際展開するときにはそのことを大声で言わないと通じないのです。ですから「日本の視点を生かし」という、すなわち「公平・公正」ということをきちんとするのが、わが国の日本的価値だという、そういう言ってみればメタ説明、これを確実に一緒にするということを、上手な表現でこの中にもし入れられたらぜひと思います。非常に重要な点だと思いますので、わが国は「公平・公正を重んじる価値観を絶えず発信し」というようなところも一言入れていただくと非常によいのではないかと思います。

 (荒木理事)

 検討させていただきます。

 (井伊委員)

 先ほどの国内放送の「国際マーケットで通用する」ということとも関連すると思うのですが、総合テレビなりBSで放映されたものを、そのまま例えば字幕をつけて放送するというようなことは、どの程度あるのでしょうか。もしあるとしたら増える傾向にあるのか、またどういった将来像を描いていらっしゃるのでしょうか。

 (荒木理事)

 現在でも国内で放送したものをそのまま英語化して出すということをやっています。それ以外に、例えば「NHKスペシャル」を、国際放送向けにつくり直して放送するという番組もあります。具体的には、例えば「クローズアップ現代+」の英語版をつくりましたし、それから「NHKスペシャル」、「ドキュメント72時間」、「プロフェッショナル仕事の流儀」、「世界ふれあい街歩き」、「サラメシ」、「美の壺」、「猫のしっぽカエルの手」の英語版などをつくる。それから、つくり直すということもやっています。国際放送と総合の相互の乗り入れといいますか、国際放送で放送したものを総合で放送する場合もあるなど、そういうものがかなり進んできております。最初から両方でやることを念頭につくる共同の番組もつくっております。そういうことで、できるだけ波を越えて総合力を発揮して海外発信ができるような展開を考えています。

 (渡邊委員)

 3ページの「NHKワールド・プレミアム」で上のほうに、「海外で暮らす日本人や旅行者の“日本語の情報源”」と書いてあります。その「放送時間」のところに、「およそ5時間」と書かれています。ヨーロッパとアジアなどで、時差があっていろいろあると思うのですが、旅行しているときに、日本の情報について、例えば災害だけではなくてニュース的に大きな動きをどうしても知りたい、というときに、その5時間という時間のタイミングを外すということを経験したことがあります。この5時間というのは、何か意味があるのですか。

 (荒木理事)

 基本的なことで申し上げますと、例えばヨーロッパやアメリカで5時間、アジア地域とかアフリカ諸国5時間ということでやっています。ただ、時間帯をその国の最適時間帯、いわば見やすい時間帯に合わせて5時間をずらすというようなこともやっていまして、そうした工夫はしています。ただ、おっしゃるように、その時間を見逃すと見られないという部分は確かにあるのですが、緊急のときには、例えば短波放送とかそういうようなことも利用して、海外に情報を発信していくようなことも、やっています。

 (渡邊委員)

 できればアジアのほうを増やしていただきたいという気がします。

 (中島委員)

 2ページの「地域と世界をつなぎ」ということで、全国の小学校が2020年に向けて海外の国を応援する、これはオリンピックに関連したことですか。

 (荒木理事)

 前にサッカーのワールドカップがあったときに、例えば大分の小学校がアフリカの国を応援するということをやってみたいという企画があるので、全国の小・中学校でそういう運動があったら、それに合わせて例えばその小学校の取り組みを、例えばアフリカとかアジアの諸国に伝えるような、そういう運動そのものを取り上げてみたいということです。

 (中島委員)

 相当広がりを見せているのですか。

 (荒木理事)

 はい。

 (小林委員)

 感想ですが、先ほどの3か年の経営計画の最終年度が2020年度ということで、経営計画の7ページに、「2020年、そして、その先の」となっています。一方この吹きかえ版の放送番組と再放送番組は、すべて「2020年に向けて」ということが大変強調されていて、2020年の先がないような、2020年で途切れてしまうのではないかという印象です。その先も見据えた、これは表現の問題かもしれませんが、もう少し長い視点が入ってもよいのではないかという印象を受けました。

 (菅理事)

 経営計画は3年の計画なのですが、国内も国際も放送番組編集の基本計画は、来年度の基本計画です。ですから、来年度の放送番組の基本計画で、4年先のことを書くというのはなかなか難しい。来年度の具体的なことを落とし込みたいというもので、2020年以降について全然考えていないわけではありませんので、そのようにご理解いただければと思います。

 (木田専務理事)

 小林委員がおっしゃるような意見は、現場レベルで議論していく中でも、来年度の計画だけでは済まないのではないかという意見も出ておりまして、2020年より先を見越した議論を、並行してこれから進めていこうと思っています。とりあえずこの計画は来年度のものに限っています。

 (石原委員長)

 本件につきましても、国際放送番組審議会の答申を踏まえて、改めて議決事項としての提出をお願いします。

 

 

3 報告事項

 (1) 「NHK28年度業務報告書」に付する総務大臣の意見について(資料)

 (坂本専務理事)
 平成28年度業務報告書に付する総務大臣の意見についてご報告します。ことし6月に、財務諸表とあわせて総務大臣に提出した28年度の業務報告書について、総務大臣の意見が付され、12月5日の閣議を経て、国会に報告されました。
 まず、この大臣意見の性格について申し上げます。協会の業務報告書は、いわば各年度の事業計画に対する結果報告ですが、これを総務大臣が国会に報告するにあたって、その年度の業務の妥当性などについて検討し、大臣の考えを国会に対して表明する、そういう位置付けのものです。
 それでは、今回の総務大臣意見の概要についてご説明しますので、「別紙」をご覧ください。
 冒頭では、総論として、受信料徴収の徹底や効率的な業務運営に努めた結果、予算を上回る収支差金を計上するなど、「おおむね所期の成果を収めたものと認められる」としています。続いて、平成25年に首都圏放送センターの記者が亡くなったことに触れ、「二度と働き過ぎによって尊い命が失われることのないよう、徹底した取り組みが強く求められる」としています。また、海外情報発信の強化や4K・8K等の先導的サービスの推進などについては、「引き続き、積極的な取組を進めることが期待される」としています。
 「記」以下の各論にあたる部分には、特記すべき具体的事項が挙げられています。まず、1の「国内放送番組の充実」では、(1)で「国民・視聴者の信頼と多様な要望に応えるための放送番組を提供すること等に努めた」としています。この項目では、そのほか、地域放送の実施、字幕放送や解説放送について計画値を達成したことなどを記述しています。
 2は、海外情報発信に関する項目で、テレビ国際放送「NHKワールドTV」については、諸外国と比較して、依然、認知度が高いとは言えない状況にあるとして、「国際放送のより一層の充実・強化を図ることが必要」としています。
 3の4K・8Kとインターネット活用業務に関する項目では、4K・8Kについて、試験放送の着実な実施とともに、実用放送の円滑な開始に向けた取り組みへの期待を示しています。また、インターネット活用業務については、インターネット同時配信の試験的提供に取り組んでいることなどについて記述し、公共放送としての実施のニーズや意義の明確化、民間放送事業者等の関係者間での共有や相互連携等に努めることが求められる、などとしています。
 4の「経営改革の推進」では、(1)で、平成28年度に不祥事が相次いで明らかになったこと、平成29年10月に個人情報が記載された帳票を紛失した事案が発生したことにふれ、「再発防止に向け、ガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底に組織を挙げて全力で取り組むとともに、協会全体の個人情報保護対策や委託先の監督の在り方についての抜本的な対策を講じることが強く求められる」としています。また、(3)で、働き方改革について、「適正な労務管理や不断の『働き方改革』に徹底して取り組むことが強く求められる」などとしています。このほか、受信料の公平負担の徹底、公共放送の機能の強じん化など、放送センターの建替などについても、項目を設けて記述しています。

 

 

4 その他事項

 (1) 平成29年秋季交渉の結果について(資料)

 (根本理事)

 労働組合「日放労」との秋季交渉については、当初見込みどおり、11月29日に収束しました。結果についてご報告します。
 勤務管理や「働き方チャレンジ」の取り組みをめぐり、労使議論を行いました。公共放送における持続可能な業務体制を構築していくには、長時間労働を抑制し、健康確保施策の充実が欠かせません。そのためには、適正な業務・勤務管理が重要であることを労使で確認し、引き続き周知・徹底していくこととしました。また、「働き方チャレンジ」のさらなる推進に向け、全職員が取り組みの目的や重要性を共有できるよう継続して発信するとともに、相談窓口を設置するなど、改革に取り組む現場を支援する施策を行うこととしています。
 住宅施策の抜本的な見直しについては、組合の要求に応え、職員の多様な働き方を支える観点から、育児・介護休職者への転勤者用借上住宅の借上経費を給付すること、親との同居を想定した制度設計等を回答し、組合との合意を得ました。単身赴任施策については、組合の要求に応え、近年の医療技術の発展などによる平均入院日数の減少をふまえ、単身赴任者の帰省旅費の支給要件を緩和する改善を行いました。
 職員制度の見直しについては、先月の経営委員会で骨子をご説明しましたが、職員の専門性を高く評価し、処遇に反映する仕組みを強化したいと考えています。交渉では、基本的な考え方の説明を行い、労使議論を開始しました。議論を通じて、組合とも課題意識を確認することができました。今後、制度の詳細設計を進め、合意に向け、組合と具体的な議論を行っていきます。
 組合との合意が得られた制度等については、今後、制度の円滑な運用開始に向けて準備を進めてまいります。

 (長谷川委員)

 相談窓口の設置について、今のご説明だと労務関係の相談窓口という印象なのですが、過労死を出さないようにという目的からすると、医療という観点が非常に大切だと思います。産業医の関与というお話はありましたが、より積極的に、ハイリスクの人に注意を促すといった取り組みが必要なのではないでしょうか。機械的に労働時間を規制するより、むしろ有効かともと思うのですが。そのあたり、組合からは特にリクエストは出ていないのでしょうか。

 (根本理事)

 冒頭、会長報告にございましたけれども、「NHKグループ 働き方改革宣言」について、総合的に職員の働き方については、今後、労使で検討を重ねていこうということで合意していますが、その中に「健康確保措置」ということで、産業医面談などがより実効性を持つように、やりやすい形になるように、ということが決まっています。これは今後の働き方改革推進委員会などでの検討事項として、おそらく上がっていくだろうと思っています。今、健康管理については基準を一応設けて、健康確保と実施のいろんな段階的取り組みを用意しているのですが、もう少しハードルを下げていろいろな人が使いやすいようにしたほうがよいのではないかとなりましたので、検討はしていきたいと思っています。

 (長谷川委員)

 そこについてはあまり光が当たっていないのですが、大事なことだと思いますので、ぜひ使う人が使いやすい医療制度ということに取り組んでいただきたいと思います。

 (根本理事)

 補足させていただくと、地域の放送局のほうが、産業医の体制の確保が難しいという現状がございます。今後どうしていくのかというのは、検討課題だと考えています。

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

○ NHK3か年計画(2018−2020年度)について

 (1) 集中討議「4K・8K放送について」

 NHK3か年計画(2018−2020年度)についての集中討議として、4K・8K放送について執行部より説明を受け、意見交換を行った。

 

 (2) 集中討議「インターネット同時配信に向けた取り組みについて」

 NHK3か年計画(2018−2020年度)についての集中討議として、インターネット同時配信に向けた取り組みについて執行部より説明を受け、意見交換を行った。

 

 

○ 今後の議事運営について

 議事終了後、NHK3か年計画について、経営委員間で意見交換した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成30年1月30日    

石 原  進

 

 

高 橋 正 美