過去の議事録(過去の議事録を閲覧できます)
第1292回
一覧へ
平成29年10月27日(金)公表
  ※2 審議事項(1) NHK3か年計画(2018−2020年度)要綱案
  ※NHK3か年計画(2018−2020年度)について・意見交換  は平成30年2月2日(金)公表

日本放送協会第1292回経営委員会議事録
(平成29年10月10日開催分)

第1292回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1292回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成29年10月10日(火)午後1時00分から午後5時50分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原  進 本 田 勝 彦 井 伊 雅 子
    小 林 いずみ   佐 藤 友美子 堰 八 義 博
    高 橋 正 美   中 島 尚 正 長谷川 三千子
    森 下 俊 三   渡 邊 博 美  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  上 田 会 長 堂 元 副会長 木 田 専務理事
  坂 本 専務理事 児 野 技師長 根 本 理 事
  松 原 理 事 荒 木 理 事 黄 木 理 事
  大 橋 理 事 菅   理 事 中 田 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

付議事項

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(立命館大学)開催報告(資料)

 

1 会長報告(資料)

 

2 審議事項

 (1) NHK3か年計画(2018−2020年度)要綱案(資料1)(資料2)

 

○ NHK3か年計画(2018−2020年度)について

 ・ 意見交換(資料)

 ・ 集中討議

  (1)「多様な地域社会への貢献〜地域改革プロジェクトの取り組み〜」

  (2) 集中討議「次期3か年の要員施策と育成方針」

 

 

議事経過

 

 石原委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1291回(平成29年9月26日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成29年10月13日に公表することを決定した。

 

 

付議事項

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(立命館大学)開催報告(資料)

 (歌川経営委員会事務局長)

 平成29年度、3回目の実施となりました「語る会」は、7月7日金曜日、対象を大学生、大学院生に限定した企画型の会として、京都府京都市の立命館大学で開催しました。
 登壇は、経営委員会から佐藤委員、宮原委員、森下委員の3名。執行部から根本理事、荒木理事、大橋理事の3名を加えた合計6名で、司会は、住田功一アナウンサーでした。
 公募の結果、ホームページなどを通じて45名の方から参加の申し込みがあり、そのうち35名の方が参加されました。
 「語る会」終了後には、「『バリバラ』の作り方」と題して、真野修一チーフ・プロデューサーによる講演会を開催しました。概要や反響等については、報告書の1〜2ページに記載しています。
 冒頭、協会の基本方針や重要事項の説明として、佐藤委員から公共放送の役割、経営委員会の役割を説明後、「NHKのインターネットサービス」について説明しました。その内容は3〜6ページに記載しています。
 意見聴取は、参加者を3つのグループに分けたグループディスカッションを中心に行い、「公共放送NHKはどうあるべきか」「公共放送の財源『受信料』について」などをテーマに実施しました。参加者からは、「公平公正な報道」「若い世代の接触率向上に向けた取り組み」「受信料制度の理解促進」「インターネット向けサービスの取り組み」など、多岐にわたる意見や提言が寄せられました。これらは7ページ以降に掲載しています。
 終了後の参加者当日アンケートの結果とアンケートに記された具体的内容は51ページ以降に記載しています。

 

 

1 会長報告

 (上田会長)

 先週10月4日、4年前に病気で亡くなった首都圏放送センターの佐戸未和記者が労働基準監督署から長時間労働による過労死として認定されたことを公表しました。翌5日には、定例の会長記者会見で私からも説明をさせていただき、その翌日6日には、佐戸記者のご両親のご自宅を訪ね、過労死を防げなかったことをNHK会長として謝罪しました。公共放送を支えるために頑張ってきた優秀な記者を失ったことは痛恨の極みです。そして、労災認定を受けたことを大変重く受け止めています。会長として、二度とこうしたことを起こさないように、「働き方改革」を推し進めていきます。なぜ、この時期に公表になったのかを含め、詳細は担当の根本理事より説明します。
 (根本理事)
 職員の長時間労働による労災認定、いわゆる過労死につきましては、今ありましたように、今月4日、夜7時半から放送センター内にある記者クラブで記者会見を開いて公表させていただきました。
 報道資料の概要ですが、平成25年7月、NHK首都圏放送センターの佐戸未和記者(当時31歳)が、都内の自宅においてうっ血性心不全で亡くなり、翌年5月に渋谷労働基準監督署から過労死と認定されました。NHKとしては、二度とこうしたことを繰り返さないという決意を組織内で共有し、「働き方改革」の徹底を図るために、この事実を全職員に伝え外部に公表することにいたしました。
 当日のNHKからのコメントです。「ともに公共放送を支えてきた職員が亡くなり、労災認定を受けたことを重く受け止めています。このことをきっかけに、記者の勤務制度を見直すなど、『働き方改革』に取り組んでおり、職員の健康確保の徹底をさらに進めていきます。」
 事実関係の補足をさせていただきます。佐戸未和記者は平成17年にNHKに入局され、鹿児島放送局でまず勤務をし、平成22年に首都圏放送センターに異動しました。当時、経済担当を1年、東京都庁の担当を2年しておられました。
 NHKでは、佐戸さんが亡くなられた当時のご葬儀の対応をはじめとしまして、平成25年10月から労働基準監督署の労災認定の判断が迅速に進むように、資料の作成や同僚職員の聞き取り調査等に協力してまいりました。労災が認定された平成26年5月には、労働基準監督署から、記者の勤務制度について健康確保を重視した制度に見直すことを明記した指導票を受領しております。2年にわたる労使協議の末、ことし4月から専門業務型裁量労働制を導入いたしました。
 佐戸さんが亡くなったことをきっかけに、報道現場での働き方を見直す取り組みも進めてきました。平成25年9月から、報道の各職場でノー残業デーの設置を規定し、長時間労働の抑制を図りました。平成26年6月には、報道局に働き方プロジェクトを立ち上げ、コンサルタント会社のアドバイスを受けながら改善につなげてきました。特に、平成27年1月、全国の記者、映像取材、映像制作の取材3職種の全職員約2,100人を対象に、働き方に関するアンケート調査を初めて実施し、浮き彫りになった課題の解消に取り組んでまいりました。また、NHK全体では、平成24年度から「働き方改革」に取り組みまして、休暇の確保、年間総労働時間の削減などを進めてきたところです。
 発表に至る経緯です。NHKでは佐戸さんが亡くなってから、ご両親の心情に沿って誠実に対応してきたと認識しています。ことしのご命日、7月ですが、その日以降、ご両親と数度にわたって話し合いが持たれ、ご両親からは「娘の死を風化させず、再発防止につなげてほしい」という強い要請がございました。また、過労死家族の会などの活動でも、佐戸さんのことを語り継いでいきたいとの強い意向もお聞きしました。NHKとしましては、佐戸さんの死をきっかけに「働き方改革」に取り組んでいますが、昨今のさらなる社会的関心の高まりも踏まえまして、二度と同じようなことを起こさないという決意を組織内で共有し、改革を一層促進するために改めて内部への周知を徹底するとともに、外部にも公表する必要があると判断しました。
 NHKが記者会見を行いました10月4日の夜、「ニュースウオッチ9」で事実関係とともに、NHKの「働き方改革」の取り組み、ご両親のコメント、NHKのコメントを約2分間にまとめ、放送いたしました。
 ご両親のコメントをご紹介します。「4年たった今でも娘の過労死を現実として受け入れることができません。志半ばで駆け抜けていった未和の無念さ、悔しさ、遺族の悲しみを決して無駄にすることなく、再発防止に全力を尽くしてもらいたい。」
 放送の翌日に寄せられた視聴者の意見ですが、当日、そして翌日、翌々日の3日間で330件余りご意見をいただきましたが、中には、「他社の過労死を放送しているNHKから過労死が出たことは話にならない。」また、「NHKが隠していたのではないか。」、「二度とこうしたことが起きないようにするべきだ。」などと厳しいご意見をいただいております。
 今後の取り組みですが、公表した翌日の10月5日、会長会見があった日ですが、この日にNHKと関連団体の職員、社員に向けて人事労務担当役員の私から文書を発出し、過労死の概要やこれまでの「働き方改革」の取り組みに加え、健康で活力ある職場づくりに向けて一丸となって不退転の決意で取り組むことを呼びかけました。それから、来年4月に入局する内定者に対しましても、メールで概要や「働き方改革」の取り組みなどを伝え、不安の払拭を図りました。また、報道職場では先月から各部局で佐戸さんが亡くなった経緯や問題点の共有、今後の取り組みなどの説明をはじめ、「働き方改革」をさらに加速することにしています。
 今後は人事局から各部局の労務担当者に対して、改めて勤務管理や健康確保の徹底を要請するほか、各階層の職員研修や勤務に関する勉強会などで、過労死の概要などを説明し、過労死は二度と繰り返さないという意識を根づかせていきたいと考えております。

 (長谷川委員)

 今回、謝罪をされたという報告があり、また新聞記事でも会長謝罪と書いてありました。ただし、その前の会長定例会見で、記者から、謝罪をしますかという質問が寄せられたことに対して、会長は、非常に慎重に「気持ちを述べたい」とおっしゃいましたが、私は、これは非常に見識のあるすぐれた対応だと感心しておりました。つまり近ごろ余りにも軽々に謝罪ということばが使われており、かえって謝罪ということばの意味が薄れてしまっている気がしています。それに対して、心から真摯にお悔やみを申し上げるという、人としての対応というのは別のことだと思います。そこのわきまえを非常にしっかりしていらして、会見内容を見て非常に感心しました。これに関して、会長ご自身はどう考えていらっしゃいますか。

 (上田会長)

 ご両親のところをお訪ねしたときには、いわゆる過労死を防げなかったのは事実ですので、それに対しておわびのことばを述べました。

 (森下委員)

 平成26年5月に労働基準監督署から判断が出た後、NHKとしては働き方プロジェクトを設置して改善に取り組んできているということで、それはNHKとしても事の重大性を真正面から受け止めて対応してきたということだと思います。この3年間、働き方プロジェクトで取り組んできて大きく変わった点として、どういうところがありますか。

 (上田会長)

 一番大きいのは、記者の働き方としてことし4月に導入した「専門業務型裁量労働制」です。これは組合との交渉なども含めて最終的にそういう結論に至ったのですが、これがいま考えられる、記者の働き方に最もふさわしい労働管理のあり方であるということです。それから、医師との面談など、細かいことは幾つかあります。

 (根本理事)

 記者の場合、以前は、「事業場外みなし勤務」といいまして、何時間働いても同じという考え方で、外へ出っ放しの業務という考え方に基づいた制度でした。今回導入した「専門業務型裁量労働制」は、どうしてもある程度の自主裁量を任せなければいけない業務の人でも、健康管理をきちんと行おうということを目標につくられている制度です。健康管理時間を設定し、1日の仕事に入って終わるまでのすべての時間数を積算して、規定のある時間を超えると、産業医に面談をしたり、上司面談を受けたりというように、だんだん対応のレベルが上がっていくというしくみになっています。また、この「専門業務型裁量労働制」は、休日出勤の勤務時間数や深夜労働の時間数については、すべて完全に時間で管理するというしくみになっており、以前のように朝から晩まで走りっ放しということはできないよう、上限設定がなされています。その辺がかなり大きく変わっています。

 (森下委員)

 私の経験から2点申し上げますと、1つは業務の効率化です。そうは言ってもやはり業務量が非常に多い。ましてや外に出ていると、きちんとそのレポートを出さなくてはいけないとかいうことが重なって、結局個人への負担が非常に大きくなりがちです。そうした業務をいかに効率化するかということです。今でも、記事をスマートフォンで送るとか、直行直帰だとか、いろいろと取り組んでいると思うのですが、できる限りそうした外での活動が効率よくできて、余計な間接業務をやらなくてよいようにすることで、負担を減らすということもあると思います。
 もうひとつは、やはりマネジメントの問題です。私は、過労死ではありませんが、現場で事故を起こしたときによく見てみるのですが、マネジメントをしている人たちは、自分の部下たちがどういう健康状態でいるかということを常に把握していないといけません。具体的に言うと、風邪をひいているとか、熱が出ているとか、無理してやっているとか、あるいは家族の病気の状態があって精神的にまいっているとか、要はそういったことをマネジャー層がいかに把握できているか。そういう兆候を早く見つけるということがやはり大事なのです。
 業務の効率化をどう進めていくかということと、マネジメント。記者は外に出ていていつも同じ場所にいないだけに、マネジメントのしかたを工夫していかないと難しいところがあると思います。今説明されたように、個人の問題は個人の問題として、きちんとした健康管理意識は大切です。しかし組織として取り組み、早く問題を見つけるということも大事ですので、ぜひそうしたことをやってほしいと思います。
 先ほどのご報告で、NHKグループの各関連会社でもいろいろと意識合わせはされているようですから、ぜひきちんとしたマネジメントができるようにしてほしいと思います。

 (根本理事)

 おっしゃるとおりだと思いますので、ぜひ参考にさせていただきながら前向きに取り組みます。現場でも今、管理職とは何かという勉強会から勤務管理のしかた、それについて基礎的なところから勉強会を始めております。今ご指摘いただいた点は十分考慮しながらやっていきたいと思います。

 (中島委員)

 現在、過労死に基づく労災認定があったかどうかということが社会的に非常に問題になっていますが、労災認定の対象としては、ほかにも、例えば危険な場所での作業や取材など、いろいろと広がりを持っていると思います。そういうことについても配慮はなされているのでしょうか。もしされているのであればどのような取り組みをしているのでしょうか。かつて雲仙普賢岳の噴火活動の取材のときに、報道関係者が十何人か犠牲になったことがあったと思います。ある一線を越えると非常に危険な状況がある場合、その危険を事前に防ぐような環境づくりも大切だと思います。

 (木田専務理事)

 国内、海外を問わず、取材あるいは制作に当たっては、事件、事故のないように万全な配慮をすべく、事前に計画が出ているものについては、複数のレベルでチェックするようにしています。それから、特に国内の大災害という場合、取材地に入る記者やディレクターについては、まずは自分たちの安全・安心を確保したうえで取材、報道にあたるような形をとっておりますし、必ず安全管理者を現場近くに置くように努めています。

 (根本理事)

 今、社会的に非常に問題になっていることとして、長時間労働による労災が出てきていますが、そもそも業務上、いろいろな災害が起きるということは十分考えられるわけです。今、木田専務理事から説明があったように、NHKでも取材現場などでは安全管理に配慮して、安全管理者の体制をつくって、必ず連絡をとりながら取材しておりますし、それから、例えば美術のセットの立てつけ、NHKホールでのちょっとしたセットの上げ下げなど、そうした細かい作業でも、必ず現場の安全管理監督者を置いて行うなど、ふだんから労働基準監督署とも話し合いをしながら行っています。ですから、そこについてはすべての業務について、こうした災害、労災を起こさないという対応を十分しているという認識です。

 (荒木理事)

 災害現場においては、「安全なくして取材なし」ということで、安全を最重要課題、大前提として取材しています。今、各記者はスマートフォンを持っていますので、スマートフォンでその取材クルーがどこにいるのか、取材現場が危険でないか、これからどこに展開して取材をするのかということが、地図上で分かるような装置を開発しました。取材拠点が東京なら東京の放送局で、取材拠点が地域放送局なら地域放送局で、それを見て、取材クルーが危険なところに行かないように指示をするなど、システム的に安全が確保できるような仕組みを取り入れていきます。

 (高橋委員)

 この件につきまして、監査委員会としての見解を申し上げます。選挙報道など、社会的関心の高い事象について取材、報道を行うことは、公共放送であるNHKの重要な使命ですが、その過程で、職員の健康が害されるようなことがあってはなりません。亡くなられた佐戸未和さんの死をきっかけに、記者の勤務制度が抜本的に見直されるなど、「働き方改革」が進められていますが、監査委員会としては、さまざまな対策が全局的に浸透し、すべての職員が健康を確保しながら勤務に従事できる職場が実現されることを願い、協会の取り組みを注視してまいります。

 (石原委員長)

 私からも一言申し上げます。経営委員長コメントです。今、ご報告いただいた件については、重く受け止めなければなりません。記者をはじめ、NHKの職員は皆、日々、「いのちと暮らしを守る報道」に全力で取り組まれていることと思いますが、どのような仕事であっても、働くひとりひとりの健康と活力が守れる環境があってはじめてできる、ということを、今、改めて強く認識しなければなりません。これまでも、組織をあげて、「働き方改革」に取り組んでいるところですが、NHKで働くすべての方が、みずからのこととして、改革の意味、重要性を今一度重く受け止め、強く進めていただきますようお願いします。

 (上田会長)(資料)
 ”出家詐欺“報道の再発防止策の実施状況につきまして、担当の木田専務理事より説明します。
 (木田専務理事)
 この問題は3年前、2014年5月に放送した「クローズアップ現代『追跡”出家詐欺”』」に匿名で出演した男性について、根拠が不十分なのにブローカーと紹介したり、ふだん使っていない部屋を活動拠点と紹介したりするなど、過剰な演出や事実の誤りが問題となったものです。
 再発防止策はおととし5月に放送でも公表し、それ以降、実施状況を定期的にまとめて外部に公表しています。今回が3回目で、去年8月からことし7月末までの1年間の状況を調べました。
 1点目は、人を匿名で扱うことへのチェックです。匿名で扱うというのは事件報道などでよくある、顔の映像を出さずに腰から下や背中から撮影した映像を使う場合、それに声の証言だけを使うケースをイメージしていただければと思います。画面を見ても誰なのか分からないので、安易にこうした証言が使われていないか、話している内容が本当に真実なのかを、より慎重にチェックする必要があります。このため、匿名チェックシートという紙を使って、本当に匿名にする必要があるのか、また内容の真実性を確認したのかなどを取材前に確認しています。
 この1年間のシートの使用回数は、報道番組やニュースを中心に、合わせて331の番組で471回となっています。単純に割り算すれば、ほぼ毎日1番組、匿名チェックシートを使った番組が出ている計算になります。「NHKスペシャル」や「クローズアップ現代+」「おはよう日本」や「ニュースウオッチ9」などを中心に、この2年間で匿名の証言を使うときは、漏れなくシートを使ったチェックが定着していると考えています。今後も引き続き、シートの使用を現場に徹底させていきます。
 それから2点目は、「複眼的試写」の実施状況です。これは、取材制作の直接の担当者とは別の職員や上司、局内で高い専門性を持つ者などが放送前の試写に参加する取り組みで、いわゆる広い視点で事実の誤りや誤解を与える表現をチェックします。
 この1年間に実施された番組とニュースは、「クローズアップ現代+」や「NHKスペシャル」など主要な番組で完全に定着し、本部、地方合わせて450本を超えました。特に地域放送局の金曜夜7時半からの番組でジャーナルな問題を取り上げた際に使われることが多くなっています。なお、ことし2月に放送した「ガッテン!『血糖値を下げるデルタパワーの謎』」では、睡眠薬によって糖尿病が治るかのような印象を視聴者に与えてしまい、批判を受けました。以後、「ガッテン!」では、担当外の管理職のプロデューサーがリスク管理だけに特化して試写に参加しています。
 それから3点目は、取材制作の確認シートによるチェックです。このシートには、番組の提案段階で想定されるリスクや課題、取材・制作の過程で留意したことなどを書き出すとともに、著作権に配慮しているか、演出や編集に問題はないかなどを記入します。番組制作上のリスクの「見える化」に当たります。この1年間で本部と地方の放送局の番組・ニュース合わせて460本でシートを使用し、前回の調査、このときは179本だったのですが、その2.5倍以上に増えています。導入から2年がたち、放送現場からは、目に見える形でリスクを共有できることに前向きな声が多い一方で、報道番組の危機管理の検討は多岐にわたるため、確認シートを形式的に使わないようにしたいという声もありました。
 次に、ジャーナリストとしての再教育につきましては、再発防止に向けた勉強会を去年10月以降、本部の各部局と11の地域放送局で実施しています。事実を正確に伝えることの大切さや、おかしいと思ったら職種を超えて自由に意見を言い合える、タテヨコのコミュニケーションの大切さを伝えています。
 今回の調査を終え、再発防止策は導入から2年余りがたって、より広く運用されていることが確認できました。ただ、問題を繰り返さないためには、マニュアルや手続きに沿ったチェックのみに依存することなく、事実を追究し、事実で語るというジャーナリストの原点を職員一人一人が常に見つめ直していくことが大切だと考えています。この問題が起きた後に入局した職員も増えているため、今年度も11月以降、本部や各放送局で改めて「出家詐欺問題」を振り返りながら、最新のリスク事例を通じて議論を深め、勉強会を開催し、より効率の高い再発防止策を常に模索しつつ、着実に取り組みを続けてまいりたいと考えています。

 (長谷川委員)

 最初、この取り組みを伺ったときには、制作現場はずいぶん手間暇かかって大変だろうと思ったのですが、今説明を伺って、しっかり定着し、しかも前向きに活用しているとのことで、すばらしいと思いました。専らリスク管理というか虚偽報道に関してということで、こうした取り組みを行っているとのことですが、「複眼的試写」によるチェックには、単にその間違いのリスクのチェックだけではなく、本当に公正な番組かどうかというチェックも含まれているのでしょうか。

 (木田専務理事)

 もともと試写というのは、リスク管理のためではなくてクオリティー管理のために行っているものです。公平・公正もそうですし、分かりやすく、誤解のないようにきちんと伝えられているかなども総合的に判断する中で、さらにリスク管理の面からも、改めてそこで確認するという形で取り組んでいます。

 

 

2 審議事項

 (1) NHK3か年計画(2018−2020年度)要綱案(資料1)(資料2)

 (石原委員長)
 NHK3か年計画要綱案について、説明を受け審議したいと思います。
 (坂本専務理事)
 それでは、お手元の資料「NHK3か年計画(2018-2020年度)要綱(案)」について、ご説明します。
 7月25日の経営委員会で次期3か年経営計画についての基本的な考え方をお示しして以降、8月29日、9月26日と、3回にわたってご説明させていただきました。執行部では、これまでの経営委員会でのご議論、ご意見を踏まえつつ、9月に実施した意見募集に寄せられたご意見なども参考に検討を重ねて、この「要綱(案)」として取りまとめました。今回お配りした、この「NHK経営計画(2018-2020年度)要綱(案)」は、前回お示しした案から内容自体は大きくは変わっておりませんが、今回も変更点を中心にご説明させていただきたいと思っております。変更した部分を赤字で示しています。
 まずは2ページ目をご覧ください。NHKが追求する「公共的価値」6項目の1つ目、前回までは、「正確で公平・公正な情報提供」としておりましたが、他の5つの公共的価値と同様に、NHKが実施する「手段」ではなく、「目的」に統一するため、「正確、公平・公正な情報で貢献」としました。
 13ページ目の2つ目、「競技の多面的な魅力を紹介する番組や、選手を応援する企画、訪日外国人向けの日本文化紹介番組など、多彩なコンテンツを開発・展開」としてあります。前回まではこの「訪日外国人」を「外国人観光客」としておりましたが、日本を訪れるのは観光客だけではないため、この表現に改めました。
 次に16ページです。(2)の「コスト意識を高め、業務運営の効率性に資する経営を推進」の2つ目、これまで「2020年以降の放送・サービスを見据えて、適宜業務の見直しを行い、経営資源をシフト」としておりましたが、取り組みの決意を示すため、「4K・8Kの普及段階を見据えた衛星放送のあり方など、2020年以降の放送・サービスについて検討を進め、業務の見直しと再構築、経営資源の再配置に着手」としました。
 続いて17ページ、「経営計画の達成状況の評価・管理」の、四角で囲った項目の一つ目、「経営指標」について、前回は「視聴者のみなさまの経営指標に対する期待度と、それに対するNHKの実現度で、公共放送としての役割の達成度を評価する」としておりましたが、よりわかりやすく表現を改め、「14の経営指標に対する視聴者のみなさまの期待度と、それに対するNHKの実現度で、達成度を評価する」としました。2つ目では、「VFMは1以上を保つ」としていたものを、より経営としての意思を込め、「1以上を確保する」に改めました。いただいた受信料に対して、きちんとそれ以上の価値をお返しできているかどうか、という評価のための区切りは「1」以外には考えにくいため、このようにしています。もちろん、公共的価値の実現度を高めていく中で、経営としては、高い数値を目指してまいります。また、これまで3つ目に「事業運営の効率性についての評価を導入・運用する」という項目を入れておりましたが、それを次の項目に合わせ、冒頭部分に「効率的な事業運営の取り組みを定期的に示すとともに」という表現を加えました。
 続く18ページには、次期3か年の収支計画を追加しました。この収支計画は、前回9月26日の経営委員会でお示しした収支に負担軽減策を織り込んだものとしています。まず、上の枠内には、3か年収支計画の3つのポイントを記載しています。1つ目は、「受信料をはじめとする収入の増加を確保」として、支払率・衛星契約割合を毎年1ポイント向上させて、受信料の増収を図るということと、2019、2020年度の2か年で関連団体からの特別配当を実施するということです。2つ目は、事業支出の考え方として、「経営計画の重点事項等への財源配分と経費の削減」です。「4K・8Kスーパーハイビジョン」、「インターネット・サービス」、「東京オリンピック・パラリンピックの放送」、そして「地域放送」などの重点事項に財源を配分します。その一方で、業務全般にわたる経費の削減を徹底し、生み出した財源を重点事項等に充てるとともに、その他の経費については極力抑制し、メリハリのある収支としています。そして、3つ目として、収入の増加と経費の削減により、2018年度は23億円、2019年度は72億円、2020年度は74億円、3か年であわせて170億円規模の「受信料の負担軽減策」を実施します。なお、負担軽減策につきましては、このあと執行部の案をご説明しますが、今後概要をこの要綱案にも記載していく予定です。
 これらのポイントに基づき、以下の収支計画を策定しました。事業収入全体では、各年度33億円から109億円の増収、このうち受信料収入は負担軽減策による減収を織り込んで、各年度52億円から98億円の増収を確保します。事業収支差金では、2018年度に38億円発生しますが、全額を4K・8Kスーパーハイビジョンの建設費に充当することとします。また、2019年度および2020年度の事業収支差金はゼロとしています。
 この「要綱案」の資料についてのご説明は以上となります。
 続いて、受信料の負担軽減策についてご説明いたします。お手元の資料1ページをご覧ください。負担軽減策の基本的な考え方です。次期経営計画においては、収入の増加と経費の削減により、事業収支差金で各年度70億規模の黒字を確保し、この財源をもとに、3か年で170億円規模の視聴者の負担軽減策を実施したいと考えています。視聴者の負担軽減策としては、受信料の「一律値下げ」や「免除」「割引等」が考えられます。年間70億円の原資を「一律値下げ」した場合、受信契約1件あたりの値下げ額は月額15円程度となるところです。対象は限定されますが、1件あたりの負担を大きく軽減させることが可能な「免除」「割引等」について、NHK受信料制度等検討委員会の諮問第3号「受信料体系のあり方」の答申等を踏まえ、検討を行ったところです。
 その具体策については、2ページをご覧ください。負担軽減策については、諮問第3号答申を踏まえつつ、より合理的な受信料体系に変更する観点から、受信料免除として、「社会福祉施設への免除拡大」、「親元非課税世帯の学生への免除適用」、割引等として、「多数支払いにおける割引の併用」、「設置月の無料化」の4項目を実施したいと考えています。負担軽減策につきましては、経営委員会によってご議論、ご検討いただき、その具体策を経営計画に盛り込んでいきたいと考えているところです。
 それでは、それぞれの内容をもう少し詳しくご説明申し上げます。
 1つ目は、「社会福祉施設への免除拡大」についてです。4ページをご覧ください。社会福祉施設における免除については、社会福祉法の改正により免除対象の範囲が拡大することがないよう、免除基準を変更し、平成13年以前に社会福祉法に規定された施設のみに限定して実施しています。こうした取り扱いについて、課題が生じてきています。平成13年以降も、多くの施設が社会福祉法に法定化されており、免除基準における同一法律内の公平性が担保されていない状態が顕在化してきています。
 5ページをご覧ください。こうした状況等を踏まえ、「社会福祉施設への免除拡大」を実施したいと考えています。実施内容は、平成13年以降に規定された社会福祉施設についても全額免除の対象とする、というものです。対象件数は約2万件、年間影響額は約2億円、開始年月は平成30年4月からと考えています。これにより、実施イメージとして記載のとおり、現行、社会福祉法に規定された時期により免除の適否が分かれているものが、規定された時期にかかわらず、免除対象となります。
 次に6ページ、検討委員会の諮問第3号における「免除対象」についての答申では、免除の対象について、あらためて検討することまで妨げるものではないとしたうえで、免除対象を検討する際の観点として、「他の負担者の理解を得られること」、「免除基準に生じた不公平性や不合理性の解消を目的とすること」、「将来にわたるNHKの財政状況への影響を十分に考慮すること」、「免除の条件について的確かつ簡素に確認・証明できるものを対象とすること」があげられています。
 「他の負担者の理解を得られること」については、すでに社会福祉法に基づく社会福祉施設に免除を実施していることや、減税措置等の事例においても、同一法律内での取り扱いに差を設けていないことが挙げられます。「免除基準に生じた不公平性や不合理性の解消を目的とすること」については、今回の免除拡大は、まさに、免除基準の合理性をより高めるものであると考えます。「免除の条件について的確かつ簡素に確認・証明できる」ことについては、社会福祉法に基づき事業を行っていることの公的証明書類等により、的確かつ簡素に確認・証明が可能であると考えます。
 次に、「親元非課税世帯の学生への免除適用」についてです。8ページをご覧ください。現行の受信契約の単位は、「同一生計かつ同一住居」となっており、同一生計であっても、別住居で生活する一人暮らしの学生は、自宅とは別に受信料の支払いが必要となっています。ただし、家族割引の適用を受けることで半額となっています。こうしたケースにおいて、「生計1つで2契約は負担が大きい」として、負担の軽減を求めるご意見が多くあります。また、教育に係る世帯の負担軽減に対する社会的要望もあります。
 9ページをご覧ください。先日実施した諮問第3号「答申(案)概要」に関する意見募集においても、「同一生計・別住居の学生について免除してほしい」とのご意見がありました。
 10ページに、諮問第3号答申の「世帯における契約のあり方」については、同一生計で別住居である場合の負担のあり方についても検討の対象となりうるとしたうえで、家族割引の割引率を拡大することは、半額免除との整合性の観点等からも慎重に検討すべき、としています。また、「世帯」の定義を変更することについても、大幅な減収が見込まれること等を十分に考慮すべき、としています。このため、家族割引の拡大や「世帯」定義の変更ではなく、他の施策による負担軽減策として、「親元非課税世帯の学生への免除適用」を実施したいと考えています。
 11ページをご覧ください。実施内容は、同一生計における負担軽減等のため、市町村民税非課税世帯と同一生計別住居の学生について、全額免除の対象とする、というものです。対象件数は約3万件、年間影響額は約3億円、開始年月は平成30年4月からと考えています。この規定につきましては、免除基準への追加が必要となります。非課税世帯等に限定する事由は、免除は原則、「経済弱者」に限定しており、例えば、障害者の場合も非課税等を条件としていること、給付型奨学金制度でも同様の対象を要件としていることがあげられます。
 12ページは、先ほどと同様、諮問第3号答申における「免除対象」についての答申となります。「真に免除が必要な『経済弱者』に対象を限定すること」については、市町村民税非課税等のみを対象とすることで、「経済弱者」に限定します。「他の負担者の理解を得られること」については、経済的に厳しい環境にある世帯や学生の負担軽減を求める声があり、給付型奨学金制度も同様の条件であることがあげられます。「免除の条件について的確かつ簡素に確認・証明できる」ことについては、学生証や収入要件に関する公的証明書類等により、的確かつ簡素に確認・証明が可能であると考えます。
 次に、「多数支払いにおける割引の併用」についてです。14ページをご覧ください。現在、多数支払いにおける割引として、「事業所割引」と「多数一括割引」があります。まず、右の図の「多数一括割引」ですが、平成元年度から、衛星放送の普及や収納コストの還元等を目的とし、衛星契約が10件以上の場合、件数に応じて1件あたり200円から300円を割り引く、というものです。次に、左の図の「事業所割引」については、平成20年度から、複数支払いに対する負担軽減等を目的として、同一敷地内に設置したすべての受信機の契約を締結する場合、2件目以降を半額に割り引く、というものです。
 15ページ、現在の取り扱いと課題としましては、現行は、「事業所割引」が適用されている事業所においては、衛星契約が10件以上ある場合でも「多数一括割引」は併用できないこととしています。こうした取り扱いについて、課題として、大規模事業者から「依然として負担が大きい」との指摘があります。もともと設定趣旨が異なる割引であり、両方の要件を満たしている場合、いずれも適用するという規定の仕方もありますが、収入影響等を考慮し、現在は併用できないとしていることが挙げられます。
 こうした状況等を踏まえ、「事業所割引と多数一括割引の併用」を実施したいと考えています。
 16ページをご覧ください。実施内容は、同一事業者における負担軽減等のため、2契約目以降半額とする「事業所割引」に加え、衛星契約数に応じて割引される「多数一括割引」の併用を可能にする、というものです。対象件数は約86万件、年間影響額は約31億円、開始年月は平成31年4月からと考えています。これにより、併用後の割引率は59%から63%まで拡大されます。
 17ページをご覧ください。諮問第3号の「事業所における契約のあり方」に関する答申となります。「設置場所単位という考え方を維持」については、今回の提案は、設置場所という単位を変更するものではありません。「事業所間の公平性」については、業種や業態等で差を設けるものではなく、事業者間の公平性を損なうものではないと考えます。
 最後に、「設置月の無料化」についてです。19ページをご覧ください。受信機を設置した月の受信料のお支払いについては、月初に設置された場合も、月末に設置された場合も同額をお支払いいただくことが必要となります。一方、廃止した月については、以前は支払いが必要としていたものを、契約者の負担軽減策として平成2年度から支払不要としています。この取り扱いに対し、月末に受信機を設置した視聴者から、「月初に設置した場合も月末に設置した場合も同額であることに納得がいかない」等のご意見を多くいただくことがあります。こうした状況等を踏まえ、「設置月の無料化」を実施したいと考えています。
 20ページをご覧ください。実施内容は、新たな契約者の負担軽減のため、受信機の設置月の支払いを不要とする、というものです。対象件数は、新規にご契約をいただく方と、地上から衛星契約に変更される方を合わせて約264万件、年間影響額は約38億円、開始年月は平成30年10月からと考えています。
 21ページをご覧ください。諮問第3号における「支払期間の算定」についての答申では、「受信機を設置した場合の支払期間の算定についても検討の対象となりうる」としたうえで、「設置月と廃止月の支払いをあわせて考えた場合、全体としての公平性が担保されている」、としています。制度的な公平性は担保されていますが、今回の施策は、廃止月を支払不要としたのと同様に、視聴者の声に応え、契約者に有利な取り扱いとするために実施したいと考えています。
 22ページをご覧ください。諮問第3号答申における「受信料体系のあり方」の検討の観点となります。「視聴者・国民の理解」と「負担の公平性」について、今回の提案は、新たな対象者のみが適用され、すでに受信契約を締結している方は対象となりませんが、新しい制度ができた場合、遡って適用されないという事例が他にもあり、許容されるのではないかと考えます。また、すでに受信契約を締結している方についても、地上から衛星契約への変更の場合は支払不要となり、負担軽減になると考えます。「現行の受信料制度との整合性」について、受信料の支払期間の取り扱いであり、受信料制度を毀損するものではないと考えます。
 最後のまとめとなりますが、23ページです。これまでご説明申し上げた4つの負担軽減策により、負担軽減策の額は、平成30年度が23億円、31年度が72億円、32年度が74億円ということで、3か年合計で170億円規模となっています。
 負担軽減策につきましては、先ほども申し上げましたが、経営委員会においてご議論、ご検討いただき、その具体策を次期経営計画に盛り込んでまいりたいと考えるところです。
 1月の経営計画公表後、視聴者からの意見募集を行い、経営委員会にそれらを踏まえた最終的な議決をいただいたうえで、総務大臣への認可申請等の手続きを進めていきたいと考えています。

 (森下委員)

 非常によいと思います。この「多数支払における割引の併用」や「設置月の無料化」を行うと、かなり業務が効率化できると思います。特にこの「設置月の無料化」などは、契約締結時の困難性の緩和につながり、ある意味では、経費節減のほうにも若干効果が出てくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 (松原理事)

 まず、「設置月の無料化」は、先ほど坂本専務理事から説明があったように、営業現場で一軒一軒お訪ねする際、たとえば月末の31日に訪問して、その月の分から受信料をいただきますとお伝えすると、お客さまから相当反発もありました。その問題についてはスムーズになると思います。営業職員や、訪問した者の業務量は、ほとんど変わりません。現金を扱わなくなるというメリットもあると思いますが、このことによって、そんなに業務効率化が図られるということはないと思います。
 多数一括割引と事務所割引の併用は、大口のお客さまの負担が減るということです。契約の締結をお願いする際には、今よりも割引が多い、負担が減るということですから、契約交渉の円滑化にも寄与するのではないかと見ているところです。

 (森下委員)

 もう1点、学生への免除適用についてです。親元が非課税世帯という場合に無料にするというのは分かるのですが、若い人がパソコンやスマートフォンでも見るという世代に入ってきていて、これからやはり若い人にどんどん見てもらおうと思うと、単身の学生に対しては、もうちょっと割り引くなり無料にするなり、少しそうした誘導的な施策をやるというのもあると思います。全部の単身世帯にするのはちょっと難しいかもしれませんが、今は半額というパターンだけですし、もう少し若い人を誘導する施策はあってもよい気がします。

 (松原理事)

 今の家族割引の半額を、さらに割引率を高めるということも一つの考え方だというご意見だと思います。割引や免除は、基本的にほかの人の負担の上に成り立っているという考え方があります。受信料制度等検討委員会では、特に家族割引の割引率の拡大については、半額免除という制度との整合性で、慎重に検討すべきだと言われています。
 それから、すべての学生を免除にすればよいのではないかというご意見ですが、昨今、国としても教育的な配慮といいますか、授業料の無償化などに力を入れているということも承知しており、そのようなご意見があることも十分承知しています。ただ、今回の答申の中でも、免除については「経済弱者」に限定すべきだという答申もいただいております。また、家族割引の適用を受ける学生の契約は約41万件あります。毎年約10万件の契約を新規に増やし、10万人が卒業するということで、トータルすれば41万人です。これらを全部免除すると45億円程度の減収になるということもあります。学生の中には親から仕送りを受けているということを考えると、学生のすべてが「経済弱者」というのかどうかということもあります。今回は答申に沿って、親元の非課税の学生について免除を検討したいと思います。
 営業の実務の側面から申し上げますと、相手が学生かどうかは分かりませんので、ひとり暮らしの家を1軒1軒訪問します。学生ですと、まず契約をしてもらって、その上で免除の手続きをとってもらうことになります。年間で見ると、特に4月、5月にそうした手続きを相当しています。NHKの受信料収入として入ってこないところの対応を相当するということですが、非効率で、労力もかかるのではないかと思います。それはあくまでわれわれの中での事情ですが、営業の業績にも影響が出るのではないかと思います。すべての学生を免除の対象とするという考え方はあるとは思うのですが、それは慎重な検討が必要になるのではないかと思います。

 (井伊委員)

 負担軽減策の11ページ、受信料免除についての質問です。まず1点目は学生の定義です。今、ロースクールや、ビジネススクール、専門学校の学生など、特にこれから生涯教育が重要になってくるようになると、学生と言っても、18歳から23、24歳ぐらいの、親から仕送りを受けている若い世代だけというわけでは決してないと思います。公平性を担保するということは、私は大切だと思うのですが、割引や免除についてこまごまと手間をかけ過ぎると、経費がよけいにかかってしまうので、ある程度シンプルにしたほうがよいと思います。
 もう1点、11ページの市町村民税非課税世帯というのは、つまり住民税非課税世帯のことですが、これを「経済弱者」とすることについてはいろいろと問題があると各所で指摘されています。日本では、それをもって「経済弱者」として、いろいろな給付金制度などをすることが多いですが、なぜ問題かというと、比較的裕福な高齢者に有利な制度になるからです。公的年金等控除がありますので、現役世代と同じ収入の年金受給者と比べた場合、現役世代は課税世帯になるのに、高齢者世帯は非課税になる場合があります。住民税非課税世帯を「経済弱者」とするということは問題だということを税や財政の関係者が指摘している中、NHKの受信料の免除を検討するときもこれを参考にするというのは、非常に残念だと正直思いました。

 (松原理事)

 まず、1点目の学生の定義ですが、学校教育法で学校、幼稚園などが規定されていて、基本的にはその学校の学生です。
 それから2点目は、今、全額免除について、障害者がいる世帯の構成員全員が市町村民税非課税という基準も免除基準の中には取り入れていますので、それと齟齬がないようにしています。

 (井伊委員)

 せっかく受信料をお支払いいただいている比較的豊かな高齢者を免除対象にする制度だということだけは、ご指摘したいと思います。

 (堰八委員)

 まず、経営計画の要綱案の18ページの収支計画(一般勘定)についてです。「受信料をはじめとする収入の増加を確保」の2番目のところに、「2019、2020年度に関連団体からの特別配当を実施します。」という記載があるのですが、まずお聞きしたいのは、そもそも関連団体の配当方針については、どういう考え方に基づいて実施するのかということと、今の段階でこのように言い切って、果たしてそれができるのかということです。明らかに内部留保が積み上がっている会社があるとすれば、待たずに今、配当を実施したほうがよいのではないかという考え方もあると思います。もっと言うと、そもそも今から決め打ちしてここに書くこと自体がどうなのか、という気がします。その配当方針やその辺の考え方について。そして、金額的に、この事業収入の中に、2019年、2020年は入っていると思うのですが、それはこの数字の中へすでに組み込んでいるのかということも含めて、ご説明を伺いたいと思います。

 (黄木理事)

 まず、特別配当の考え方について説明します。関連団体については、これまでの利益剰余金のうち、配当可能な額を割り出すことを行っています。昨年度からは、配当可能原資として、その数値をご説明していますが、現在、100億円を超える規模の配当可能原資が、今、関連の子会社にはあると認識しています。それに加えて、毎年度、通常の配当になる利益が出てまいります。基本的には、通常配当は、事業計画内の利益については50%を配当してもらう。それから、事業計画を超えた部分の利益については80%を配当してもらうという基準を決めています。それに加えて、最初に申し上げた配当可能原資を計画的に視聴者に還元していく施策をとる必要があると考えていますので、それは随時実施するという方針で進めています。その随時実施については、3か年の経営計画の中で、経理当局と相談をしながら、どの時期に適切に通常配当を超えた形で特別配当してもらうかを決めたいと考えています。これから3年間の中で、最初の年度ではなく、2年目、3年目となる考え方については、大橋理事から説明をお願いします。

 (大橋理事)

 今、黄木理事からお答えしたとおり、現在、関連団体の剰余金の中に配当可能原資があるということは、すでに明らかにした部分です。それを戦略的に本体に配当、特別配当という形で、どのように配当していくかということについてですが、この3か年の中では、後半の2年間の収入の減を補う必要があると考えています。全体の収支を見て、2019年度と2020年度の収入の中には、それぞれ特別配当として2019年度に23億円、2020年度に23億円を当て込んだ形で全体の収支を組んでいます。戦略的にそういう形で使わせていただいています。

 (堰八委員)

 23億円ずつですね。

 (大橋理事)

 はい。23億円ずつです。

 (石原委員長)

 配当というのは結果から出てくるので、結果が出る前から特別配当を計画するというのも変だというご意見だと思います。

 (大橋理事)

 これまで関連団体の剰余金に関する議論が大変いろいろ活発にされた中、現時点で精査したら、配当可能原資が125億円あると、外部にも申し上げております。

 (石原委員長)

 原資があるが、一度にもらうのではなく、状況を見ながら、3年間で分けて実施するということですね。

 (大橋理事)

 そういうことです。

 (小林委員)

 設置月の無料化について伺います。新たな契約者というのは、どういう契約者なのでしょうか。といいますのは、設置月に設置して、翌月末までに解約することを繰り返すと、ずっと無償で済んでしまうということになるのではないかと思います。新たな契約者という定義をしっかりしておかないと、そういう例は結構発生するのではないかと思います。

 (松原理事)

 例えば10月に契約をして、11月に入って解約をしたら、規定上は2か月間無料になるということがないよう、設置月無料とする場合には、受信規約の規定の中にきちんと、その場合は少なくとも1か月分の受信料をお支払いいただくということを盛り込むことを考えています。悪意を持ってそのようなことをする人はそんなにいないと思うのですが、防止しないといけません。

 (小林委員)

 結構いるのではないかと思います。

 (松原理事)

 きちんと受信規約の条文の中に書き込みたいと思っています。

 (中島委員)

 先ほど教育施設の無償化の説明がありましたが、最近では、義務教育以前の幼少教育についても関心が持たれているようです。今、幼稚園や保育園の受信料の免除、割引などはどうなっていますか。

 (松原理事)

 幼稚園は、学校教育法における学校に定義されており、免除対象となっています。

 (中島委員)

 幼稚園もその対象になっているのですか。

 (松原理事)

 はい。

 (中島委員)

 しかし高校は学校教育法に規定されていますが、免除対象ではありませんよね。

 (松原理事)

 高校は、学校教育法に規定されていますが、そこに規定されているすべての学校が免除になるということではありません。

 (中島委員)

 そうですよね。しかし幼稚園はすべて免除の対象となっているのですか。

 (松原理事)

 はい。少し説明しますと、まず義務教育は免除対象です。以前は高校も大学もすべて免除対象でしたが、昭和55年に大学や高専の免除を廃止し、昭和58年に高等学校の免除を廃止しました。その後、平成11年には、義務教育の小学校、中学校に関して、教育専用の施設に限定しました。つまり職員室や校長室は、免除対象外としています。

 (中島委員)

 保育園などは学校教育法には含まれていません。そういうところは、無償化や軽減の対象とは考えていないのですか。

 (松原理事)

 社会福祉法に規定された施設であれば免除になります。今検討しているのは、平成13年以降に規定された小規模事業などです。ここに保育園と同じような施設も含まれるのですが、平成13年以降に規定された施設は、現状、免除の対象になっていないため、保育園と同じような施設なのに不公平ではないかということで、今回の提案で平成13年以降に社会福祉法に規定された施設についても免除の対象とするようにしています。

 (中島委員)

 確認ですが、現在、高校は免除の対象とはしていませんね。

 (松原理事)

 はい。高校は免除対象ではありません。義務教育までです。

 (長谷川委員)

 要綱のほうで質問なのですが、11ページで、「日本のいまを世界へ、世界の動きを日本へ」とあり、この最初の項目の1番目、「日本・アジアの視点を生かしたニュース」という表現がありますが、以前いただいた8月29日作成の案では、「日本ならではの視点のニュース」という表現になっていました。しかも、この文章の最後は「日本への理解を促す番組をより一層充実」となっていますので、これは前の表現のほうがすっきりと意味が通ると思います。これは明らかに8月時点の案のほうがよいと思います。しかも、2番目に、「重点地域の北米やアジアを」とあると、この「アジアの視点」という意味がぼやけてしまうと思います。北米に対して発信するときに「日本とアジア」なら分かるのですが、アジアに発信するときに「日本・アジアの視点を生かしたニュース」というのはどういうものでしょうか。「日本への理解を促す番組を」とある以上、最初の案の「日本ならではの視点」のほうが、意味はすっきりすると思います。何か狙いがあるのでしょうか。

 (坂本専務理事)

 国際放送、ワールドTVは、日本の情報発信ももちろんありますが、アジアの中の公共放送NHKとして情報を発信したいという思いがあります。「日本ならではの視点のニュース」という表現は大事だと思いますので、検討したいと思います。
 ただ、アジアの中における公共放送NHKの立ち位置というのは重要ですので、その部分を意識したところも検討したいと思います。ワールドTVの目指すところは、北米とアジアの両方を考えながら、NHKとしてのメッセージを発信しようということ、それが大きな狙いであるということは、ご理解いただきたいと思います。

 (長谷川委員)

 それを理解するからこそ、この表現ではそれが曖昧になってしまうと思います。上手な修正をお願いします。

 (坂本専務理事)

 改めて文言を検討したいと思います。

 (佐藤委員)

 要綱の17ページの評価・管理のところです。「地域社会への貢献」に関するところで、「も」という表現に変えたとあるのですが、「『地域社会への貢献』については、地域に関する評価指標の調査も活用する」では、「も」以外に何があるのか全然分からないと思います。「こういうものとこういうものはやる」という、「も」の前提になるものがなくなってしまっていて、何かことばだけが残っているような感じになっています。もし書くのであれば、何がほかにあったのかということについても書いたほうがよいと思います。

 (経営企画局)

 もともと経営14指標の9番目に地域についての指標があり、それだけではなくという意味で「も」といたしました。

 (佐藤委員)

 たぶんこれを読む人は、それは全然分からないと思います。12ページの一番下にある「貢献度を評価する指標」でもないのですね。そもそも1行しか記載がありません。

 (経営企画局)

 経営の14指標のほかにもそれを支えるサブ指標があり、合わせて、「地域社会への貢献」について見ていきたいという意味です。

 (佐藤委員)

 それでしたら、「地域というのはさまざまで、大きく1つではくくれないので、各地域の状況に応じた評価ができるような指標を何とかする」というイメージが入っていたほうが、地域をクローズアップする意味が伝わると思います。これから拠点局をどうするか、地域局をどうするかという大きな話があるわけですから、評価は一律でやらないということだと思うのです。だからそういう意味づけが達成状況の評価のところにも入っていたほうが、より意図とするものと合っていくのではないかと思います。

 (坂本専務理事)

 今ご指摘の点を踏まえて対応します。

 (佐藤委員)

 「ほかに何があるか」というのと、「どういう意図で地域を評価するか」ということだと思います。そこがはっきり分かったほうがよりよいと思います。

 (本田代行)

 きょう初めて還元策についてご説明いただきました。先ほどの要綱の中で一番大事なのは収支計画です。収支計画の中で、特に、「経営計画の重点事項等への財源配分」と、経営全般にわたる「経費の削減」を徹底するということが、具体的にどういうことなのかということを考えていかなければならないと思います。還元の問題では、われわれは、昨年11月に受信料値下げを議論しました。その時は受信料を3%下げるという提案でした。そういう中で今回の金額が出てきました。これを見ると、「また経費が増えました」と言っているように思います。これについてはまた説明をお願いします。その中で、「経費の削減を徹底し、生み出した財源を重点事項等に充てるとともに」とありますので、これが何か具体的に答えられるようにして、われわれにも分かるように見せていただきたいと思います。
 先ほどの配当の問題にしても、グループ会社の3か年計画が当然あるわけでしょうから、そことの整合性がきちんと取られているかというところについて、当然のことですのでそういう作業をされているとは思うのですが、われわれにも理解できるようにお願いします。こういうところを削減して、逆に4K・8Kについては十分経費を見ていなかったとか、それが分かるような体裁で説明をお願いしたいと思います。還元策については、普通は皆さん、受信料の引き下げという形だと思ってしまうかもしれませんが、これもひとつの還元ですので、できるだけ分かりやすいようにお願いします。収支計画そのものについて、みんなが納得できるような形で、ぜひご説明をいただきたいと思います。

 (大橋理事)

 後発事象等を1億円単位で精査して、当初200億円ぐらいの黒字を確保できると思っていたものが、143億円の減になって、70億円程度の財源確保となった事情はご説明したつもりですが、また改めてそれはご説明できると思います。
 経費削減に関しましては、堰八委員からも何度かご指摘をいただいており、なおもう少し分かりやすく、どういう項目でどの程度の削減を行ったのかということについて、改めてもう一度資料を整理してお伝えしたいと思います。

 (渡邊委員)

 負担軽減策の23ページについてです。ここに全体像が描かれています。この中で額の多いものは、「多数支払いにおける割引の併用」と「設置月の無料化」ですが、平成31年度の合計額72億円、平成32年度の74億円のそれぞれほぼ全体を占めています。視聴者に還元するという意味からすると、特に「設置月の無料化」は、今まで真面目に負担していた方には、はっきり言ってあまりピンとこない施策だと感じます。新たに契約をした人に対して割引がされるということですので、還元策ということばとして、あまりピンとこないというのが1点めです。それからもう1点、「多数支払いにおける割引の併用」も、ほとんどの一般の方には該当しないということで、負担軽減策の全体の額の中で、それらがほとんどになるということが、本当に軽減策と言えるのかなというのがちょっとした疑問です。「視聴者のみなさまと語る会」に行くと、いわゆる年金生活をしている方からの、毎月の受信料を安くしてほしいという意見が結構多いのです。本当はそういう方々に対して何らかの負担軽減があったほうが、NHKらしいのではないかと感じるのです。

 (松原理事)

 「設置月の無料化」では、20ページに対象件数全体が264万件と書いています。このうち約202万件が新たに契約をいただいた人で、残りの約62万件は、地上契約の方が新たな衛星設備を設置して衛星契約に変えるときに、設置月の衛星の差額分を無料にするということです。すべての受信契約者の負担が軽減されるのではないですけれども、こういう形で行っていきたいということです。そうした措置をとったときに、今まできちんと払ってくださった人が損ではないかといったことは、例えばエコポイントや住宅ローン減税などと同様、期限を切って実施し、制度の期間外の人には適用されないという例は、いろいろな制度にもあるということもご理解いただきたいと思います。それからもう1点、「多数一括割引」ですが、これは世帯と違い、複数台分を払っている事業者は、もともとの負担が大きいということです。今回の4つの負担軽減策の中では、免除は社会福祉施設という事業所と非課税の学生という世帯を対象に実施しています。「設置月の無料化」は約9割と、圧倒的に世帯に対する施策になっています。一方で「多数一括割引」のほうは事業所が対象ということで、まったくバランスをとらずにどちらかをやっているということではありません。ただ世帯と違って、事業所は相当多くの台数を払っていただいていることに対する負担の軽減ということで、免除とはまったく違う考え方に基づいているというところも、ぜひご理解いただきたいと思います。

 (石原委員長)

 それでは、だいぶ質問がありましたが、3か年計画の議論について、本日の審議を終了いたします。ただいまの議論における指摘を踏まえて、次回の説明をお願いします。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

○ NHK3か年計画(2018−2020年度)について

 ・ 意見交換(資料)

  NHK3か年計画について、経営委員による意見交換を行った。

 

 ・ 集中討議

(1)「多様な地域社会への貢献〜地域改革プロジェクトの取り組み〜」
 NHK3か年計画(2018−2020年度)についての集中討議として、地域改革プロジェクトの取り組みについて執行部より説明を受け、意見交換を行った。

 

(2) 「次期3か年の要員施策と育成方針」
 NHK3か年計画(2018−2020年度)についての集中討議として、次期3か年の要員施策と育成方針について執行部より説明を受け、意見交換を行った。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成30年1月30日    

石 原  進

 

 

高 橋 正 美