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第1292回
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平成29年10月27日(金)公表

日本放送協会第1292回経営委員会議事録
(平成29年10月10日開催分)

第1292回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1292回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成29年10月10日(火)午後1時00分から午後5時50分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原  進 本 田 勝 彦 井 伊 雅 子
    小 林 いずみ   佐 藤 友美子 堰 八 義 博
    高 橋 正 美   中 島 尚 正 長谷川 三千子
    森 下 俊 三   渡 邊 博 美  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  上 田 会 長 堂 元 副会長 木 田 専務理事
  坂 本 専務理事 児 野 技師長 根 本 理 事
  松 原 理 事 荒 木 理 事 黄 木 理 事
  大 橋 理 事 菅   理 事 中 田 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

付議事項

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(立命館大学)開催報告(資料)

 

1 会長報告(資料)

 

2 審議事項

 (1) NHK3か年計画(2018−2020年度)要綱案

 

○ NHK3か年計画(2018−2020年度)について

 ・ 意見交換

 ・ 集中討議

  (1)「多様な地域社会への貢献〜地域改革プロジェクトの取り組み〜」

  (2) 集中討議「次期3か年の要員施策と育成方針」

 

 

議事経過

 

 石原委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1291回(平成29年9月26日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成29年10月13日に公表することを決定した。

 

 

付議事項

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(立命館大学)開催報告(資料)

 (歌川経営委員会事務局長)

 平成29年度、3回目の実施となりました「語る会」は、7月7日金曜日、対象を大学生、大学院生に限定した企画型の会として、京都府京都市の立命館大学で開催しました。
 登壇は、経営委員会から佐藤委員、宮原委員、森下委員の3名。執行部から根本理事、荒木理事、大橋理事の3名を加えた合計6名で、司会は、住田功一アナウンサーでした。
 公募の結果、ホームページなどを通じて45名の方から参加の申し込みがあり、そのうち35名の方が参加されました。
 「語る会」終了後には、「『バリバラ』の作り方」と題して、真野修一チーフ・プロデューサーによる講演会を開催しました。概要や反響等については、報告書の1〜2ページに記載しています。
 冒頭、協会の基本方針や重要事項の説明として、佐藤委員から公共放送の役割、経営委員会の役割を説明後、「NHKのインターネットサービス」について説明しました。その内容は3〜6ページに記載しています。
 意見聴取は、参加者を3つのグループに分けたグループディスカッションを中心に行い、「公共放送NHKはどうあるべきか」「公共放送の財源『受信料』について」などをテーマに実施しました。参加者からは、「公平公正な報道」「若い世代の接触率向上に向けた取り組み」「受信料制度の理解促進」「インターネット向けサービスの取り組み」など、多岐にわたる意見や提言が寄せられました。これらは7ページ以降に掲載しています。
 終了後の参加者当日アンケートの結果とアンケートに記された具体的内容は51ページ以降に記載しています。

 

 

1 会長報告

 (上田会長)

 先週10月4日、4年前に病気で亡くなった首都圏放送センターの佐戸未和記者が労働基準監督署から長時間労働による過労死として認定されたことを公表しました。翌5日には、定例の会長記者会見で私からも説明をさせていただき、その翌日6日には、佐戸記者のご両親のご自宅を訪ね、過労死を防げなかったことをNHK会長として謝罪しました。公共放送を支えるために頑張ってきた優秀な記者を失ったことは痛恨の極みです。そして、労災認定を受けたことを大変重く受け止めています。会長として、二度とこうしたことを起こさないように、「働き方改革」を推し進めていきます。なぜ、この時期に公表になったのかを含め、詳細は担当の根本理事より説明します。
 (根本理事)
 職員の長時間労働による労災認定、いわゆる過労死につきましては、今ありましたように、今月4日、夜7時半から放送センター内にある記者クラブで記者会見を開いて公表させていただきました。
 報道資料の概要ですが、平成25年7月、NHK首都圏放送センターの佐戸未和記者(当時31歳)が、都内の自宅においてうっ血性心不全で亡くなり、翌年5月に渋谷労働基準監督署から過労死と認定されました。NHKとしては、二度とこうしたことを繰り返さないという決意を組織内で共有し、「働き方改革」の徹底を図るために、この事実を全職員に伝え外部に公表することにいたしました。
 当日のNHKからのコメントです。「ともに公共放送を支えてきた職員が亡くなり、労災認定を受けたことを重く受け止めています。このことをきっかけに、記者の勤務制度を見直すなど、『働き方改革』に取り組んでおり、職員の健康確保の徹底をさらに進めていきます。」
 事実関係の補足をさせていただきます。佐戸未和記者は平成17年にNHKに入局され、鹿児島放送局でまず勤務をし、平成22年に首都圏放送センターに異動しました。当時、経済担当を1年、東京都庁の担当を2年しておられました。
 NHKでは、佐戸さんが亡くなられた当時のご葬儀の対応をはじめとしまして、平成25年10月から労働基準監督署の労災認定の判断が迅速に進むように、資料の作成や同僚職員の聞き取り調査等に協力してまいりました。労災が認定された平成26年5月には、労働基準監督署から、記者の勤務制度について健康確保を重視した制度に見直すことを明記した指導票を受領しております。2年にわたる労使協議の末、ことし4月から専門業務型裁量労働制を導入いたしました。
 佐戸さんが亡くなったことをきっかけに、報道現場での働き方を見直す取り組みも進めてきました。平成25年9月から、報道の各職場でノー残業デーの設置を規定し、長時間労働の抑制を図りました。平成26年6月には、報道局に働き方プロジェクトを立ち上げ、コンサルタント会社のアドバイスを受けながら改善につなげてきました。特に、平成27年1月、全国の記者、映像取材、映像制作の取材3職種の全職員約2,100人を対象に、働き方に関するアンケート調査を初めて実施し、浮き彫りになった課題の解消に取り組んでまいりました。また、NHK全体では、平成24年度から「働き方改革」に取り組みまして、休暇の確保、年間総労働時間の削減などを進めてきたところです。
 発表に至る経緯です。NHKでは佐戸さんが亡くなってから、ご両親の心情に沿って誠実に対応してきたと認識しています。ことしのご命日、7月ですが、その日以降、ご両親と数度にわたって話し合いが持たれ、ご両親からは「娘の死を風化させず、再発防止につなげてほしい」という強い要請がございました。また、過労死家族の会などの活動でも、佐戸さんのことを語り継いでいきたいとの強い意向もお聞きしました。NHKとしましては、佐戸さんの死をきっかけに「働き方改革」に取り組んでいますが、昨今のさらなる社会的関心の高まりも踏まえまして、二度と同じようなことを起こさないという決意を組織内で共有し、改革を一層促進するために改めて内部への周知を徹底するとともに、外部にも公表する必要があると判断しました。
 NHKが記者会見を行いました10月4日の夜、「ニュースウオッチ9」で事実関係とともに、NHKの「働き方改革」の取り組み、ご両親のコメント、NHKのコメントを約2分間にまとめ、放送いたしました。
 ご両親のコメントをご紹介します。「4年たった今でも娘の過労死を現実として受け入れることができません。志半ばで駆け抜けていった未和の無念さ、悔しさ、遺族の悲しみを決して無駄にすることなく、再発防止に全力を尽くしてもらいたい。」
 放送の翌日に寄せられた視聴者の意見ですが、当日、そして翌日、翌々日の3日間で330件余りご意見をいただきましたが、中には、「他社の過労死を放送しているNHKから過労死が出たことは話にならない。」また、「NHKが隠していたのではないか。」、「二度とこうしたことが起きないようにするべきだ。」などと厳しいご意見をいただいております。
 今後の取り組みですが、公表した翌日の10月5日、会長会見があった日ですが、この日にNHKと関連団体の職員、社員に向けて人事労務担当役員の私から文書を発出し、過労死の概要やこれまでの「働き方改革」の取り組みに加え、健康で活力ある職場づくりに向けて一丸となって不退転の決意で取り組むことを呼びかけました。それから、来年4月に入局する内定者に対しましても、メールで概要や「働き方改革」の取り組みなどを伝え、不安の払拭を図りました。また、報道職場では先月から各部局で佐戸さんが亡くなった経緯や問題点の共有、今後の取り組みなどの説明をはじめ、「働き方改革」をさらに加速することにしています。
 今後は人事局から各部局の労務担当者に対して、改めて勤務管理や健康確保の徹底を要請するほか、各階層の職員研修や勤務に関する勉強会などで、過労死の概要などを説明し、過労死は二度と繰り返さないという意識を根づかせていきたいと考えております。

 (長谷川委員)

 今回、謝罪をされたという報告があり、また新聞記事でも会長謝罪と書いてありました。ただし、その前の会長定例会見で、記者から、謝罪をしますかという質問が寄せられたことに対して、会長は、非常に慎重に「気持ちを述べたい」とおっしゃいましたが、私は、これは非常に見識のあるすぐれた対応だと感心しておりました。つまり近ごろ余りにも軽々に謝罪ということばが使われており、かえって謝罪ということばの意味が薄れてしまっている気がしています。それに対して、心から真摯にお悔やみを申し上げるという、人としての対応というのは別のことだと思います。そこのわきまえを非常にしっかりしていらして、会見内容を見て非常に感心しました。これに関して、会長ご自身はどう考えていらっしゃいますか。

 (上田会長)

 ご両親のところをお訪ねしたときには、いわゆる過労死を防げなかったのは事実ですので、それに対しておわびのことばを述べました。

 (森下委員)

 平成26年5月に労働基準監督署から判断が出た後、NHKとしては働き方プロジェクトを設置して改善に取り組んできているということで、それはNHKとしても事の重大性を真正面から受け止めて対応してきたということだと思います。この3年間、働き方プロジェクトで取り組んできて大きく変わった点として、どういうところがありますか。

 (上田会長)

 一番大きいのは、記者の働き方としてことし4月に導入した「専門業務型裁量労働制」です。これは組合との交渉なども含めて最終的にそういう結論に至ったのですが、これがいま考えられる、記者の働き方に最もふさわしい労働管理のあり方であるということです。それから、医師との面談など、細かいことは幾つかあります。

 (根本理事)

 記者の場合、以前は、「事業場外みなし勤務」といいまして、何時間働いても同じという考え方で、外へ出っ放しの業務という考え方に基づいた制度でした。今回導入した「専門業務型裁量労働制」は、どうしてもある程度の自主裁量を任せなければいけない業務の人でも、健康管理をきちんと行おうということを目標につくられている制度です。健康管理時間を設定し、1日の仕事に入って終わるまでのすべての時間数を積算して、規定のある時間を超えると、産業医に面談をしたり、上司面談を受けたりというように、だんだん対応のレベルが上がっていくというしくみになっています。また、この「専門業務型裁量労働制」は、休日出勤の勤務時間数や深夜労働の時間数については、すべて完全に時間で管理するというしくみになっており、以前のように朝から晩まで走りっ放しということはできないよう、上限設定がなされています。その辺がかなり大きく変わっています。

 (森下委員)

 私の経験から2点申し上げますと、1つは業務の効率化です。そうは言ってもやはり業務量が非常に多い。ましてや外に出ていると、きちんとそのレポートを出さなくてはいけないとかいうことが重なって、結局個人への負担が非常に大きくなりがちです。そうした業務をいかに効率化するかということです。今でも、記事をスマートフォンで送るとか、直行直帰だとか、いろいろと取り組んでいると思うのですが、できる限りそうした外での活動が効率よくできて、余計な間接業務をやらなくてよいようにすることで、負担を減らすということもあると思います。
 もうひとつは、やはりマネジメントの問題です。私は、過労死ではありませんが、現場で事故を起こしたときによく見てみるのですが、マネジメントをしている人たちは、自分の部下たちがどういう健康状態でいるかということを常に把握していないといけません。具体的に言うと、風邪をひいているとか、熱が出ているとか、無理してやっているとか、あるいは家族の病気の状態があって精神的にまいっているとか、要はそういったことをマネジャー層がいかに把握できているか。そういう兆候を早く見つけるということがやはり大事なのです。
 業務の効率化をどう進めていくかということと、マネジメント。記者は外に出ていていつも同じ場所にいないだけに、マネジメントのしかたを工夫していかないと難しいところがあると思います。今説明されたように、個人の問題は個人の問題として、きちんとした健康管理意識は大切です。しかし組織として取り組み、早く問題を見つけるということも大事ですので、ぜひそうしたことをやってほしいと思います。
 先ほどのご報告で、NHKグループの各関連会社でもいろいろと意識合わせはされているようですから、ぜひきちんとしたマネジメントができるようにしてほしいと思います。

 (根本理事)

 おっしゃるとおりだと思いますので、ぜひ参考にさせていただきながら前向きに取り組みます。現場でも今、管理職とは何かという勉強会から勤務管理のしかた、それについて基礎的なところから勉強会を始めております。今ご指摘いただいた点は十分考慮しながらやっていきたいと思います。

 (中島委員)

 現在、過労死に基づく労災認定があったかどうかということが社会的に非常に問題になっていますが、労災認定の対象としては、ほかにも、例えば危険な場所での作業や取材など、いろいろと広がりを持っていると思います。そういうことについても配慮はなされているのでしょうか。もしされているのであればどのような取り組みをしているのでしょうか。かつて雲仙普賢岳の噴火活動の取材のときに、報道関係者が十何人か犠牲になったことがあったと思います。ある一線を越えると非常に危険な状況がある場合、その危険を事前に防ぐような環境づくりも大切だと思います。

 (木田専務理事)

 国内、海外を問わず、取材あるいは制作に当たっては、事件、事故のないように万全な配慮をすべく、事前に計画が出ているものについては、複数のレベルでチェックするようにしています。それから、特に国内の大災害という場合、取材地に入る記者やディレクターについては、まずは自分たちの安全・安心を確保したうえで取材、報道にあたるような形をとっておりますし、必ず安全管理者を現場近くに置くように努めています。

 (根本理事)

 今、社会的に非常に問題になっていることとして、長時間労働による労災が出てきていますが、そもそも業務上、いろいろな災害が起きるということは十分考えられるわけです。今、木田専務理事から説明があったように、NHKでも取材現場などでは安全管理に配慮して、安全管理者の体制をつくって、必ず連絡をとりながら取材しておりますし、それから、例えば美術のセットの立てつけ、NHKホールでのちょっとしたセットの上げ下げなど、そうした細かい作業でも、必ず現場の安全管理監督者を置いて行うなど、ふだんから労働基準監督署とも話し合いをしながら行っています。ですから、そこについてはすべての業務について、こうした災害、労災を起こさないという対応を十分しているという認識です。

 (荒木理事)

 災害現場においては、「安全なくして取材なし」ということで、安全を最重要課題、大前提として取材しています。今、各記者はスマートフォンを持っていますので、スマートフォンでその取材クルーがどこにいるのか、取材現場が危険でないか、これからどこに展開して取材をするのかということが、地図上で分かるような装置を開発しました。取材拠点が東京なら東京の放送局で、取材拠点が地域放送局なら地域放送局で、それを見て、取材クルーが危険なところに行かないように指示をするなど、システム的に安全が確保できるような仕組みを取り入れていきます。

 (高橋委員)

 この件につきまして、監査委員会としての見解を申し上げます。選挙報道など、社会的関心の高い事象について取材、報道を行うことは、公共放送であるNHKの重要な使命ですが、その過程で、職員の健康が害されるようなことがあってはなりません。亡くなられた佐戸未和さんの死をきっかけに、記者の勤務制度が抜本的に見直されるなど、「働き方改革」が進められていますが、監査委員会としては、さまざまな対策が全局的に浸透し、すべての職員が健康を確保しながら勤務に従事できる職場が実現されることを願い、協会の取り組みを注視してまいります。

 (石原委員長)

 私からも一言申し上げます。経営委員長コメントです。今、ご報告いただいた件については、重く受け止めなければなりません。記者をはじめ、NHKの職員は皆、日々、「いのちと暮らしを守る報道」に全力で取り組まれていることと思いますが、どのような仕事であっても、働くひとりひとりの健康と活力が守れる環境があってはじめてできる、ということを、今、改めて強く認識しなければなりません。これまでも、組織をあげて、「働き方改革」に取り組んでいるところですが、NHKで働くすべての方が、みずからのこととして、改革の意味、重要性を今一度重く受け止め、強く進めていただきますようお願いします。

 (上田会長)(資料)
 ”出家詐欺“報道の再発防止策の実施状況につきまして、担当の木田専務理事より説明します。
 (木田専務理事)
 この問題は3年前、2014年5月に放送した「クローズアップ現代『追跡”出家詐欺”』」に匿名で出演した男性について、根拠が不十分なのにブローカーと紹介したり、ふだん使っていない部屋を活動拠点と紹介したりするなど、過剰な演出や事実の誤りが問題となったものです。
 再発防止策はおととし5月に放送でも公表し、それ以降、実施状況を定期的にまとめて外部に公表しています。今回が3回目で、去年8月からことし7月末までの1年間の状況を調べました。
 1点目は、人を匿名で扱うことへのチェックです。匿名で扱うというのは事件報道などでよくある、顔の映像を出さずに腰から下や背中から撮影した映像を使う場合、それに声の証言だけを使うケースをイメージしていただければと思います。画面を見ても誰なのか分からないので、安易にこうした証言が使われていないか、話している内容が本当に真実なのかを、より慎重にチェックする必要があります。このため、匿名チェックシートという紙を使って、本当に匿名にする必要があるのか、また内容の真実性を確認したのかなどを取材前に確認しています。
 この1年間のシートの使用回数は、報道番組やニュースを中心に、合わせて331の番組で471回となっています。単純に割り算すれば、ほぼ毎日1番組、匿名チェックシートを使った番組が出ている計算になります。「NHKスペシャル」や「クローズアップ現代+」「おはよう日本」や「ニュースウオッチ9」などを中心に、この2年間で匿名の証言を使うときは、漏れなくシートを使ったチェックが定着していると考えています。今後も引き続き、シートの使用を現場に徹底させていきます。
 それから2点目は、「複眼的試写」の実施状況です。これは、取材制作の直接の担当者とは別の職員や上司、局内で高い専門性を持つ者などが放送前の試写に参加する取り組みで、いわゆる広い視点で事実の誤りや誤解を与える表現をチェックします。
 この1年間に実施された番組とニュースは、「クローズアップ現代+」や「NHKスペシャル」など主要な番組で完全に定着し、本部、地方合わせて450本を超えました。特に地域放送局の金曜夜7時半からの番組でジャーナルな問題を取り上げた際に使われることが多くなっています。なお、ことし2月に放送した「ガッテン!『血糖値を下げるデルタパワーの謎』」では、睡眠薬によって糖尿病が治るかのような印象を視聴者に与えてしまい、批判を受けました。以後、「ガッテン!」では、担当外の管理職のプロデューサーがリスク管理だけに特化して試写に参加しています。
 それから3点目は、取材制作の確認シートによるチェックです。このシートには、番組の提案段階で想定されるリスクや課題、取材・制作の過程で留意したことなどを書き出すとともに、著作権に配慮しているか、演出や編集に問題はないかなどを記入します。番組制作上のリスクの「見える化」に当たります。この1年間で本部と地方の放送局の番組・ニュース合わせて460本でシートを使用し、前回の調査、このときは179本だったのですが、その2.5倍以上に増えています。導入から2年がたち、放送現場からは、目に見える形でリスクを共有できることに前向きな声が多い一方で、報道番組の危機管理の検討は多岐にわたるため、確認シートを形式的に使わないようにしたいという声もありました。
 次に、ジャーナリストとしての再教育につきましては、再発防止に向けた勉強会を去年10月以降、本部の各部局と11の地域放送局で実施しています。事実を正確に伝えることの大切さや、おかしいと思ったら職種を超えて自由に意見を言い合える、タテヨコのコミュニケーションの大切さを伝えています。
 今回の調査を終え、再発防止策は導入から2年余りがたって、より広く運用されていることが確認できました。ただ、問題を繰り返さないためには、マニュアルや手続きに沿ったチェックのみに依存することなく、事実を追究し、事実で語るというジャーナリストの原点を職員一人一人が常に見つめ直していくことが大切だと考えています。この問題が起きた後に入局した職員も増えているため、今年度も11月以降、本部や各放送局で改めて「出家詐欺問題」を振り返りながら、最新のリスク事例を通じて議論を深め、勉強会を開催し、より効率の高い再発防止策を常に模索しつつ、着実に取り組みを続けてまいりたいと考えています。

 (長谷川委員)

 最初、この取り組みを伺ったときには、制作現場はずいぶん手間暇かかって大変だろうと思ったのですが、今説明を伺って、しっかり定着し、しかも前向きに活用しているとのことで、すばらしいと思いました。専らリスク管理というか虚偽報道に関してということで、こうした取り組みを行っているとのことですが、「複眼的試写」によるチェックには、単にその間違いのリスクのチェックだけではなく、本当に公正な番組かどうかというチェックも含まれているのでしょうか。

 (木田専務理事)

 もともと試写というのは、リスク管理のためではなくてクオリティー管理のために行っているものです。公平・公正もそうですし、分かりやすく、誤解のないようにきちんと伝えられているかなども総合的に判断する中で、さらにリスク管理の面からも、改めてそこで確認するという形で取り組んでいます。

 

 

2 審議事項

 (1) NHK3か年計画(2018−2020年度)要綱案

※執行部からNHK3か年計画(2018−2020年度)要綱案について説明があり、審議を行った。
(NHK3か年計画議決後公表予定)

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

○ NHK3か年計画(2018−2020年度)について

 ・ 意見交換

  NHK3か年計画について、経営委員による意見交換を行った。
  (意見交換の結果は、NHK3か年計画議決後公表予定)

 

 ・ 集中討議

(1)「多様な地域社会への貢献〜地域改革プロジェクトの取り組み〜」
 NHK3か年計画(2018−2020年度)についての集中討議として、地域改革プロジェクトの取り組みについて執行部より説明を受け、意見交換を行った。

 

(2) 「次期3か年の要員施策と育成方針」
 NHK3か年計画(2018−2020年度)についての集中討議として、次期3か年の要員施策と育成方針について執行部より説明を受け、意見交換を行った。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成29年10月24日    

石 原  進

 

 

高 橋 正 美