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第1277回
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平成29年3月3日(金)公表

日本放送協会第1277回経営委員会議事録
(平成29年2月14日開催分)

第1277回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1277回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成29年2月14日(火)午後1時30分から午後4時15分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原  進 本 田 勝 彦 井 伊 雅 子
    小 林 いずみ   佐 藤 友美子 堰 八 義 博
    中 島 尚 正   長谷川 三千子 宮 原 秀 夫
    森 下 俊 三   渡 邊 博 美  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  上 田 会 長 堂 元 副会長 森 永 技師長
  今 井 専務理事 坂 本 理 事 安 齋 理 事
  根 本 理 事 松 原 理 事 荒 木 理 事
  黄 木 理 事 大 橋 理 事  

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

○ 「視聴者のみなさまと語る会(名古屋)」の開催について

 

○ 今後の経営委員会体制について

 

○ 監査委員会報告

 

付議事項

 

1 委員長報告

 

2 監査委員会報告

 

3 会長報告(資料)

 

4 報告事項

 (1) 「平成29年度収支予算、事業計画及び資金計画」に付する総務大臣の意見について(資料)

 (2) 超高精細度テレビジョン(4K・8K)実用放送業務の認定について(資料)

 (3) 「NHK受信料制度等検討委員会」の設置について(資料)

 

○ 説明会「最新の8Kコンテンツ制作について」

 

 

議事経過

 

 石原委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

○ 「視聴者のみなさまと語る会(名古屋)」の開催について
 平成29年度の「視聴者のみなさまと語る会」の1回目は、平成29年4月15日(土)に名古屋放送局で開催することを決定した。

 

○ 今後の経営委員会体制について
 新たな常勤の経営委員として、高橋正美氏の任命が衆参両議院で同意されたことをうけ、常勤の監査委員の不在を早期に解消するため、高橋氏が経営委員に任命される日を以て監査委員に任命することを決定した。
 また、本田委員は同日を以て監査委員の任を解くこととした。

 

○ 監査委員会報告
 職員の逮捕について、監査委員より報告があった。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1276回(平成29年1月31日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成29年2月17日に公表することを決定した。

 

 

1 委員長報告

 (石原委員長)

 経営委員会体制について報告いたします。
 すでにご承知のとおり、近く高橋正美氏が経営委員に任命されます。それに伴い、高橋氏に経営委員会委員に任命される日をもって監査委員を務めていただくことを決定いたしました。
 また、新たな常勤監査委員が決まるまでの間、監査委員を務めていただいた本田委員の任を、同日をもって解くこととします。これにより、高橋氏が経営委員会委員に任命される日以降、監査委員会は、佐藤委員、高橋委員、森下委員の3人の体制となります。

 

 

2 監査委員会報告

 (森下委員)
 監査委員会から報告をさせていただきます。
 石原委員長からの説明にあったように、高橋正美氏に経営委員会委員に任命される日をもって監査委員を務めていただくこととなったことを受け、先ほど臨時の監査委員会を開催し、高橋監査委員を選定監査委員に選定することを決議しました。
 選定監査委員は、放送法第44条に定められており、放送法に規定されている調査権や報告聴取権を持つ監査委員であり、監査委員会が選定することとなっております。
 これまでは、監査委員全員が選定監査委員になっております。放送法も全員が選定監査委員になることを妨げておりませんので、先ほどの監査委員会で高橋委員を選定監査委員として選定したことを報告します。

 

 

3 会長報告(資料)

 (上田会長)

 先週の10日、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会は、平成26年7月に放送した「NHKスペシャル 調査報告 STAP細胞 不正の深層」につきまして決定し、NHKに通知しました。決定の概要とNHKの今後の対応について、担当の荒木理事が報告いたします。
 (荒木理事)
 この番組について審理しておりましたBPOの放送人権委員会は、先週金曜日、「元留学生が作成したES細胞を小保方氏が不正行為により入手して混入し、STAP細胞を作成した疑惑があると受け取られる内容になっていて、名誉毀損の人権侵害は認められる」として、NHKに対して再発防止に努めるよう勧告しました。
 STAP細胞は、番組が放送された年の1月に小保方氏が発表し、世界的な話題になりましたが、4月には理化学研究所が研究不正を指摘し、「小保方氏の研究はどうなっていたのか」といった点に国民の関心が集まっていました。この番組は、当時のこうした関心に応えようと、関係者への取材を尽くし、客観的な事実を積み上げて制作いたしました。事実関係の誤りはなく、NHKとしては人権を侵害した内容ではなかったと考えています。
 BPOの指摘で問題とされたシーンも、小保方研究室の冷凍庫から元留学生が作成したES細胞が見つかったという事実や、その元留学生本人が、自分がつくった細胞がその冷凍庫から見つかったことに驚いていたという事実を紹介し、なぜこのES細胞がその冷凍庫から見つかったのか、小保方氏には疑問に答えてほしいとコメントしたものであります。委員会の指摘のような、小保方氏がこのES細胞を不正行為により入手したという内容を伝えているわけではありません。
 一方で、BPOは、NHKと民放連が独立した第三者の立場から放送倫理上の問題に対応してもらうために設立した組織です。規約上、NHKと民放各社は勧告を遵守するとなっていますが、決定をどのように生かしていくかは各放送局の自主的な判断に任されています。
 NHKは、第三者機関であるBPOに助言をいただく立場ですので、勧告は、まずは真摯(しんし)に受けとめます。勧告のうち、番組放送前の取材で小保方氏とトラブルになった件につきましては、NHKとして安全面での配慮に欠ける点があったため、今後の教訓とすべき点であると考えております。3年前の番組放送前に、すでに小保方氏側に謝罪していますが、今回改めて、放送倫理上の問題を指摘されたことを受けて、再発防止を徹底してまいります。
 一方、番組内容については、人権を侵害したものではないと考えていますので、BPOにNHKの見解を伝えて、BPO側と意見交換をしていきたいと考えています。今回の勧告では、委員のうち2人の委員長代行がいずれも今回の番組内容は人権侵害には当たらないという意見を付記しています。委員の間でも見解は分かれている状況です。NHKとしても、意見交換を通じて議論を深めていきたいと考えています。
 (上田会長)
 続いて職員の逮捕について報告します。事案の概要と今後の対応につきまして、コンプライアンス担当の今井専務理事が報告します。
 (今井専務理事)
 山形放送局の記者が女性の住宅に侵入して乱暴し、けがを負わせたとして2月6日に逮捕されました。報道に携わる職員がこのような悪質な事件で逮捕され、NHKへの信頼を大きく損ねた責任は極めて重く、皆さまに深くおわび申し上げます。
 山形放送局の記者(28歳)は、2月6日午前、自宅で住居侵入と強姦致傷の疑いで山形県警に逮捕されました。容疑は、平成28年2月23日午前5時ごろ、20代女性の住宅に侵入して強姦し、その際、全治2週間の傷害を負わせたというものです。
 警察によりますと、被害者に残された証拠と同記者のDNAが一致したということです。また、同記者が山形の前に勤務していた山梨県内でも同様の事件が起きていたため、警察は関連についても捜査しています。
 翌日の2月7日に、私が謝罪会見を行ったほか、山形県の夕方のローカルニュースに山形放送局長が出演して、視聴者の皆さまにおわびいたしました。
 2月9日に、同記者の懲戒免職の処分を決めて発表いたしました。
 また10日には、会長が全職員に対して、みずからを律した行動をとるのはもちろん、信頼回復に全力を挙げるよう指示するメッセージを発信いたしました。
 今後は警察による事件の全容解明に全面的に協力してまいります。また、NHKといたしましても上司や同僚から本人の勤務態度等についてヒアリングを進めており、捜査の推移、今後の展開を注視していきたいと考えています。
 報道に携わる職員が逮捕されましたことはまことに遺憾であり、職員への倫理教育のあり方などを含め、コンプライアンスの徹底という観点から、何が問題だったのか、問題があるとすればどうすべきなのか、十分に検討してまいります。

 (石原委員長)

 ただいま2件の報告がありました。1件ずつ伺いたいと思います。まず、STAP細胞の件につきまして、何かご意見、ご質問ありましたら、どうぞ。

 (長谷川委員)

 今回、NHKがBPOに反論のコメントを出したことについて、新聞によっては、微妙なニュアンスを持たせて「異例なこと」だと報じていましたが、私はこれは大変よいことだったと思います。
 先ほどもご報告に「真摯に受けとめ」という言葉がありましたが、普通、「真摯に受けとめ」という言葉を全然真摯でなく言うことが多いんですね。「ごめんなさい」って頭を下げれば済む話だと思っている。これは、本当の意味での真摯な受け止め方ではありません。

 きっちりとなすべき反論をすることで、そこから意見交換が展開し、よりよい番組づくりへとつながってゆく。今回のNHKの対応は、まさに本当の意味での真摯な対応であって、今後こういう勧告が出たときのお手本になると言ってよいかと思います。これから実りあるコミュニケーションを続けてゆかれますよう、よろしくお願い申し上げます。

 (荒木理事)

 私たちも、BPOの勧告を真摯に受けとめるというのは、おっしゃったとおりの意味で使っています。BPO側としっかりと意見交換をし、どこに問題点があったのか、そして、どこを直せばよいのかということを具体的にしっかりと位置づけて、それを今後に生かしていくということが本当の意味での真摯に受けとめるということだと理解しております。今後、そうした立場で、BPOとよく意見交換をしていきたいと思っております。

 (石原委員長)

 もう一つの職員の逮捕について、ご意見、ご質問ありましたら、どうぞ。

 (森下委員)

 本件については、まだ捜査段階ということで、状況は不透明だと思いますが、全く個人的な事件であったとしても、NHKという立場で考えますと、やはりNHKの信頼に傷がつく、視聴者の皆さまから見た場合に不安感を持たれるということがありますので、ぜひこれを機会に、職員管理のあり方、あるいは、職員の倫理教育についても、一度振り返って検討をしていただいて、視聴者の皆さまからしっかりと信頼されるように、襟を正さないといけないと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 (今井専務理事)

 今ご指摘の点につきましては、関係部局と議論を開始しております。具体的にどういう対応策をとる必要があったのか、あるいは、もっと根本的に、職員の倫理教育に問題はなかったのかどうか、よく調べ、また対応策について質を上げて整えたいと思っています。

 (上田会長)

 森下委員からありましたように、私も会長という責任ある立場で、本件は重く受けとめて、今ご指摘にありました点を踏まえて、今後しっかり対応していきたいと考えています。

 (渡邊委員)

 私からもお願いしたいと思います。地方におりますと、NHK、あるいはNHKの職員は、非常に信頼の高い存在になっています。特に記者というのは、例えば選挙のときとか、災害のときとか、いろいろなときに非常にレベルの高いお仕事をなさっているというのが、地方での評価です。そういうことが背景にございますので、今回のような事件、あるいは福島で起こったような事案もそうですが、こういう報道を聞きますと、やはり見ている方だけでなくて、職員の方もモチベーションが下がるようなことでもあると思います。職員が多いのでなかなか難しい面もあるとは思うのですが、年齢層別、あるいは分野別に、やはり徹底して教育なり指導していただいて、それを記録に残すとか、そういうことを世間にも示していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 (上田会長)

 本当に痛恨の極みです。今、渡邊委員からありましたようなご意見、しっかり踏まえて対応していきたいと思います。

 (小林委員)

 今のお二人の意見と重なることではありますが、このところいろいろ続いている不祥事については、ケース・バイ・ケースで、組織の責任があるもの、あるいは、完全に個人の責任に帰するものというものがあるとは思いますが、NHKという立場上、どういうことがあってもやはりNHKの職員という立場に焦点が当たると思います。ここの部分は、やはり倫理教育などでしっかり教育をしていただくしかないとは思うのですが、あわせて、上司と周囲の、本人もそうですけれども、組織の中のコミュニケーションをできる限りよくすることが重要です。そうすると、何か少し異変があったときに、何かちょっと様子がおかしいということが耳に入ってきます。コミュニケーションを密にするということが一つ。それから、これはなかなか難しいとは思うのですが、採用に当たって、いろいろな基準を持ってらっしゃるとは思いますが、やはり人としての質をできる限り見るような採用の視点を強化されたほうがよろしいのではないかと思います。

 (上田会長)

 私も先月25日に会長に就任したときから、コミュニケーションの大事さ、まずは一緒に働いている人たちに対する関心をしっかり持つ、無関心にならないということを言ってきております。それから、今回、山形の案件ですが、どちらかというと、やはり縦といいますか、職種によって本部から、ある程度縦の形でいろいろ管理されていたものを、一義的にはやはり現場で管理すべきだと思います。私は、「戸籍と住民票」という言い方をしているのですが、「戸籍」ではなくて、まずは「住民票」で、今所属している放送局の局長が、しっかりと自分の下にいる職員を見ていく。何かがあった場合には、その責任をしっかりとってもらうという形でやっていこうと考えています。今ご指摘がありましたように、やはりみんなが関心を持って、何か行動などで少し変だなと気がついたら、やはりそこはちゃんとフォローするということをお願いしていきたいと思っています。
 それから、採用に関して人を見るというのは、おっしゃるとおりだと思います。それに加えて、具体的にはもう少し詰めたところでご報告できるかと思いますが、いまの研修のあり方は、採用して簡単な研修を行ってすぐ地方に出しています。渡邊委員からもありましたが、特に記者の場合は若干の特権的なものがあります。恐らく今回は検察などが調べるにあたり、かなり慎重に行ったと思います。したがって、それだけに責任も重いということを自覚してもらうためにも、これはどこまでできるか分かりませんが、採用した後の学生から社会人になったとき、入局した後の教育を少し徹底的にやるということで、まずは職業倫理を根づかせるということをやってみようと考えています。今、コンプライアンス担当の今井専務理事と、いろいろ相談しているのですが、具体的なプログラムなどができましたらご報告させていただきます。

 (中島委員)

 本人の勤務先の酒田支局が捜索を受けたということですが、これまで記者の不祥事で勤務先が捜索対象になったことはありましたか。

 (今井専務理事)

 こういう刑事事件が起きた場合、逮捕の捜査段階では、関連ロッカーや私物といったところは捜索を受けることは、一般的にあるだろうと承知しております。

 (中島委員)

 ただ、取材にかかわるような機密情報などがどこまで守れるか、機密情報の流出をどう防ぐかということは、これはNHKとして責任を持たなくてはいけないことと思います。一般の視聴者は、かなり関心を持っていると思いますが、どのように対応しようと考えていますか。

 (荒木理事)

 まず、家宅捜索の場合、どこを捜索するかということと押収予定の対象が決まります。例えば支局の本人の私物とか、そういうものが限定されます。それは捜索令状に書かれています。そして、捜索の際、今回の場合であれば、仙台放送局と山形放送局の職員が捜索に立ち会っています。令状に書かれたこの事件に関係する部分だけの捜索がきちんと行われるように、それ以外のものの捜索はないように、立ち会ってそれを確認するということでございます。

 (石原委員長)

 私から最後に意見を申し上げさせていただきます。
 まず、最初の「NHKスペシャル STAP細胞」に関するBPOの決定について、個別の番組制作の過程にかかわる部分に意見をする立場には私どもはありません。しかしながら、BPOの決定を真摯に受けとめて、信頼される番組づくりに今後も努めていただきたいと思います。
 もう一つの、職員の逮捕についてです。先ほど監査委員会からも報告を受けました。まだ必ずしも事件の全容が明らかにはなったわけではないかもしれませんが、公共放送への信頼を著しく損ねる行為と言わざるを得ません。NHKで働く者として、私生活でも公共放送の信頼を損なうような行為がないよう、執行部には改めて職員の気持ちを引き締めていただきたいと思います。この件につきましては、今後の状況と執行部の対応を注視していきたいと思います。

 

 

4 報告事項

 (1) 「平成29年度収支予算、事業計画及び資金計画」に付する総務大臣の意見について(資料)
 (坂本理事)
 平成29年度のNHK収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣の意見が先週8日の電波監理審議会への諮問、答申を経て取りまとめられ、収支予算等はこの意見を付して、10日の閣議を経て国会に提出されました。
 大臣意見は、総務大臣が国会に対して表明するものであります。NHK予算を国会で審議するにあたり、予算の内容の政策的妥当性などを検討し、予算の執行にあたってNHKが配意すべきことについての大臣の考え方を国会に対して表明する、そういった性格のものです。
 資料別紙をご覧ください。冒頭部分は総論です。NHKの収支予算等について、国民・視聴者の信頼と多様な要望に応える質の高い番組の提供、国際放送の充実等による海外情報発信の強化、我が国の経済成長の牽引力として期待される4K・8K等の先導的なサービスの推進、インターネットを活用した新たなサービスの創造、大規模災害等に備えた公共放送の機能の強靭化及び受信料負担の公平性の確保等に向けて取り組むこととしており、おおむね妥当なものと認められるとなっております。
 その上で次の段落で、放送を巡る社会環境は今後大きく変化することが想定され、単に従来の延長線上の取り組みだけでは中期的には協会が公共放送の担い手としての役割を十分に果たすことができないのではないかとして、協会のあり方について業務、受信料、ガバナンスの三位一体で改革を進める検討を協会においても早急に実施することを求めるとなっております。
 そうしたことを踏まえ、各論として配意すべき点が8項目にわたって述べられております。
 「1 国内放送番組の充実」では、正確、迅速な報道の確保や多様な要望に応える質の高い番組の提供。意見が対立している問題について、多角的な報道を行うこと。地方の魅力の紹介や地域経済の活性化に寄与するコンテンツの一層の充実及び国内外に向けた積極的発信に努めること。字幕、解説放送の拡充、を挙げています。
 「2 国際放送の充実等による総合的な海外情報発信の強化」です。我が国に対する正しい認識、理解、関心を培い普及させるとともに、国際交流、親善の増進や経済交流の発展、地方創生の推進等に資するよう国際放送のより一層の充実・強化を図ること。特に「NHKワールドTV」については、引き続き効果的な実施体制の確立、多言語化も含めたインターネットの活用、国内外の受信環境整備等の取り組みを効果的かつ積極的に一層推進することや、認知度等について具体的指標を設定し、PDCAサイクルの強化に努めることを指摘しております。また、海外への情報発信に関して株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構の活用も含めた放送コンテンツの戦略的かつ積極的な海外展開等を通じ、強化に努めることとしております。
 「3 4K・8K放送の積極的推進及びインターネット活用業務に関する関係者間連携」です。4K・8K放送について、昨年8月に開始したBSによる試験放送において、ほかの放送事業者による再放送やパブリックビューイング等を通じた視聴機会の拡大などの取り組みを引き続き進めること。また、平成30年から開始されるBSによる4K・8K実用放送の普及に向けて、国民、視聴者に対し周知・広報等を展開する協議会の立ち上げ準備及び取り組み、受信機やサービス内容に関する国民、視聴者への適切な情報提供、左旋円偏波の電波の周波数を使用する放送の受信環境整備等について、先導的役割を果たすこと。インターネット活用業務については、インターネット同時配信に関する試験的提供を含め、その成果の民間放送事業者等の関係者間での共有や相互連携に努めるとともに、災害情報の提供に際して多元的な情報伝達手段を確保する観点から、災害報道のインターネット同時配信の充実に引き続き努めること。また、「NHKオンデマンド」についても同様の視点から、今後のサービスのあり方について検討するとともに、収支の一層の改善に努めること。4K・8K放送及びインターネット活用業務の実施に当たっては、視聴者の利益を拡大する観点から総合的に取り組むこととしております。
 「4 経営改革の推進」です。子会社を含むグループ全体におけるガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底に向け、経営委員会及び監査委員会がさらにその機能を発揮することができるよう、必要な情報提供を適時適切に行うこと。ことし1月10日及び12日に協会が公表した職員による着服事案等について、業務の実施体制、チェック体制を改めて見直し、早急に適切な再発防止策を講ずること。女性職員の役員、管理職への登用拡大など女性の活躍に向けた取り組みをさらに加速させること。業務の合理化、効率化、経営・業務に係る情報公開の推進、調達に係る取引の透明化、経費削減等、引き続き取り組みの徹底を図ることとしております。
 「5 受信料の公平負担に向けた取組」では、29年度末の支払率80%を達成できるよう未契約者及び未支払者対策を着実に実施すること。受信料の公平負担の確保に必要な施策等について検討することとしております。
 「6 放送センター建替」につきましては、昨年8月に策定、公表した「基本計画」の合理性、妥当性など国民、視聴者の理解が得られるよう説明を尽くすとともに、設計業者、施工業者の選定に当たっては、客観性、透明性を十分に確保すること。機能の地方分散についても積極的に検討することとしています。
 「7 東日本大震災等からの復興への貢献と公共放送の機能の強靭化」です。昨年4月に発生した熊本地震等も含め、ニュースや番組の充実等を通じて風評被害払拭への取り組みを含め、被災地の復興への取り組みを支援すること。福島原発事故に関連して必要な受信環境整備等に適切に取り組むこと。首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模災害に備えた公共放送の機能の強靭化を図ることなどとしております。
 「8 三位一体改革」ですが、これは新たに追加された項目であります。協会のあり方について、業務、受信料、ガバナンスについて検討する際、特に明確にする必要があるものとして、インターネット活用業務における将来の環境変化を踏まえた公共放送としての先導的役割のあり方、動画視聴可能な機器と伝送路が多様化し、安価な動画配信サービスが普及する中での受信料のあり方、3番目が子会社のあり方そのものをゼロベースで見直す抜本的な改革を挙げています。
 以上が協会の29年度収支予算等に付する総務大臣の意見の内容です。

 (宮原委員)

 最後のページの、インターネット配信による地域性のあり方とは、どのようなことを言っているのですか。

 (森永技師長)

 インターネットを東京の本部からの放送だけを発信するということと、本部を含めて7拠点局も含めて発信するというやり方と、もう一つは各地域の放送局もそれぞれのローカル番組を持っていますので、それを含めて発信するというやり方があり、そうした点についての意見かと思います。

 (宮原委員)

 その地域ではそのローカル番組をネットでも放送するということを言っているわけですね。わかりました。

 (小林委員)

 災害報道についてですが、これだけ日本に海外から旅行者が来るようになり、しかも都市部だけではなく全国に散らばっている中で、災害時の多言語による放送というのは、どのチャンネルで行うようになっているのでしょうか。

 (荒木理事)

 日本に来る外国人に対する災害時の情報提供については、まず一つが国際放送の英語の放送の中に、そうした災害情報を積極的に取り入れていくということです。来日した後、アプリで「NHKワールド」をダウンロードしていただけると、持っているスマートフォンで情報が得られます。あるいは滞在しているホテルなどでそれを見ることができるということがあります。もう一つは、NHKのホームページにやさしい日本語で災害情報を載せるという方法です。災害時には、やさしい日本語による外国人向けの災害の情報を流すということになります。必ずしも英語ができる外国人ばかりではないので、やさしい日本語が通じるという場合もあります。さらに多言語となるとちょっと難しいのですが、いま、17言語でインターネットのホームページにそれぞれニュースを流しておりますが、それに災害情報を載せて、それを見ていただけると情報が入るということを検討しております。

 (小林委員)

 総合テレビでは日本語以外での災害時の放送はしていないのですか。恐らくそういうときにはネットにつながるのがかなり大変になると思いますので、緊急時についての対応はどうされていますか。

 (荒木理事)

 大きな災害の場合、総合テレビの副音声で、英語で災害情報を流すこともやっております。大阪放送局にも東京の代替機能として英語放送のためのスタジオをつくってありまして、東京で出せない場合には大阪で出せるような仕組みを整え、それをできるだけ充実していく方針です。

 (黄木理事)

 総合テレビには、津波警報、それから震度6以上の大規模な地震が起きたときなどには副音声で、自動音声なので詳細な中身ではありませんが、4か国語で危険を知らせています。最初のうちは「津波警報が出ました、大きな地震が起きました、注意してください」ということの繰り返しですが、最初はまずそれで伝え、画面の字幕でそちらの副音声を聞いてくださいとお知らせします。それから後は、英語になるのですが「イングリッシュはサブチャンネルです」とお伝えして英語で聞いていただきます。ここは放送の内容をそのまま英訳するという形にできるようにということで、体制を整えてきています。

 (森下委員)

 総務大臣の意見は、今後の予算審議のときに、NHKの姿勢を問われるということだと思うのです。特に今回、踏み込んで書かれている意味は、やはりインターネットの同時配信について、民放ともうちょっと協力してやりなさいということがかなり強く出てきていることだと思うのです。ぜひこのあたりは早急に協会の中で意識統一して、民放と協力するなどして、NHKがしっかりした前向きな姿勢を見せないと進まないと思うのです。これだけはっきりと民放との協力体制などが記載されておりますので、ぜひ協会が早急にどういう姿勢で取り組むのかも含めて明確に決めていただきたいと思います。たぶん、国会でも今後議論のポイントになると思います。

 (上田会長)

 わかりました。すでにご報告したかもしれませんが、経営企画担当の坂本理事に民放対応の窓口になってもらいました。例えば技術なら技術とか、それぞれのところで民放との対応があるのですが、それも含めて一元的に情報が坂本理事のところに上がり、民放との間でどういう状況になっているのかということをしっかり把握、整理して、それぞれ立場が異なっている部分などは論点整理をきちんとやった上で、どこが一緒にやっていけるか、それから、どこはなかなか難しい部分か考える。そういうことを、いまやってもらっているところです。
 私が会長に就任して、民放との間のコミュニケーションが途切れていると考え、民放キー局の5局のトップには全員お会いしましたし、主だった新聞社のトップにもすべて会って、コミュニケーションを密にしていこう、窓口として坂本理事を決めたということはすでにお話してあります。

 今、森下委員がおっしゃいましたように、今後、通信と放送の融合の中でどうやっていくか、放送の場合は民放との二元体制がしっかりできていたわけですが、通信も入ってきますと、必ずしもそういう形でいけるかどうかということも含め、また、いわゆる通信の世界は現放送法は適用されませんが、NHKの場合は放送法の中でしか動けないという立場の違いも踏まえ、いろいろコミュニケーションを図っています。

 

 (2) 超高精細度テレビジョン(4K・8K)実用放送業務の認定について(資料)

 (坂本理事)

 昨年10月11日の経営委員会で議決いただき、総務省に認定申請していた超高精細度テレビジョン、いわゆる4K・8K実用放送につきまして、先月24日、総務大臣より認定されましたので、その概要について報告します。
 1ページ目です。BS衛星放送で認定された各社の名前が入っています。現在衛星放送に使われているBS右旋に、NHK以下、BS日本、BS−TBS、ビーエスフジ、ビーエス朝日、BSジャパンが認定されました。一方、BS左旋、新たに利用可能となる帯域ですが、NHKの8K放送のほか、東北新社、WOWOWなど4社の衛星放送が認定されました。今回、BS民放5社がBS右旋で4K放送を実施することになったことを受け、BS右旋の帯域再編、いわゆる幅寄せを実施することになっています。
 2ページ目です。4K放送を実施するにあたり、空いている帯域が十分ではないことから、現在BS放送を行っている各社の帯域をそれぞれが供出して、新たに4K放送を実施する帯域をつくり出します。これを帯域再編と言っております。BS民放5社が幅寄せを前提とした認定申請を行い、認められたことからNHKも総務省の要請を受けて幅寄せに対応することとしました。現在、幅寄せの実施につきまして、一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A−PAB)において、関係事業者による具体的な検討をするため、BS右旋帯域再編検討部会の設置の準備が進められているところです。
 幅寄せを実施したときの受信機への影響については、A−PABが昨年、各受信機メーカーと協力して調査を進めており、その結果、重大な影響がないことが報告されております。ただ、一部の受信機では電源のオンオフが必要になったり、あるいは録画予約した番組が録画できないといったことが発生したりするおそれもあることから、視聴者の皆さまへの周知広報が重要となってまいります。このことから、コールセンターなどの設置などA−PABにおいても対応を検討することになっております。NHKとしても、現在衛星放送をご覧になっている視聴者の皆さまの保護を最優先に考えながら、対応を検討してまいります。
 実際の幅寄せの作業は、今後調整になりますが来年1月ぐらいから着手し、6月ごろには完了することを想定しております。この実用放送の実施に向けた具体的な検討につきましては、次期経営計画の議論とあわせて進めていくことになります。
 以上、簡単でありますが、2018年12月の放送開始を予定しております4K・8K実用放送の認定についてご報告をさせていただきました。

 (宮原委員)

 8Kの認定はNHKだけですが、4Kの帯域の中で8Kは十分できるということなのでしょうか。帯域の幅があり、そこで4Kをするのでしょうが、8Kもできるということですか。4Kと8Kでは、必要な帯域は倍ではないですよね。

 (森永技師長)

 8Kの場合は1チャンネルすべてを使って、8Kを流すということです。4Kは1チャンネルを3分割して使います。

 (宮原委員)

 4Kの帯域の中で8Kを十分できるということでよいでしょうか。

 (森永技師長)

 1チャンネル全部で8Kを流すようになっています。

 (井伊委員)

 差し支えない範囲で教えていただきたいのですが、BS日テレだけなぜ開局が丸1年遅いのでしょうか。

 (坂本理事)

 詳細については存じ上げておりませんが、諸準備などでスケジュールが必要だと捉えています。

 (森永技師長)

 それぞれの事業者の経営判断だと思います。

 (宮原委員)

 なぜNHKだけが8Kなのでしょうか。他から申請が上がっていなかったのでしょうか。それとも上がっていたが、認められなかったのでしょうか。その理由は、ほかの放送局は技術がそこまで追いつかないという解釈でよいのでしょうか。

 (坂本理事)

 そのような側面もあるかと思います。

 

 (3) 「NHK受信料制度等検討委員会」の設置について(資料)

 (上田会長)

 先日の理事会で設置を決定し、2月2日の定例会見で公表いたしました「NHK受信料制度等検討委員会」につきましてご説明させていただきます。
 ご承知のとおり、NHKの事業運営は受信料を財源としておりますけれども、近年、放送と通信の連携の進展、視聴態様の変化、間もなく迎える世帯数減少など、NHKを取り巻くメディアや社会の環境変化が一層そのスピードを増しております。このような環境変化を踏まえると同時に、あわせて経営計画の検討などに資する観点から、外部有識者による委員会をNHK定款第59条の規定に基づく会長の常設諮問機関として設置いたしました。
 諮問事項の例としては、常時同時配信が実現した際の負担のあり方、また、受信料体系のあり方などがあります。構成は、5人の委員に企業法務に詳しい弁護士1名をオブザーバーとして加えた6名です。
 法律分野や経済分野の専門家の方々になります。まず、安藤英義教授は会計学の専門家です。鈴木秀美教授は憲法やメディア法を専門として研究されております。それから山内弘驪ウ授は経済政策の専門家です。それから山野目章夫教授は民法を専門とされております。山本隆司教授は行政法を研究されております。また、総務省の放送政策に係るさまざまな研究会の構成員をお務めになられた経験もお持ちです。そして、最後に平松剛実弁護士。今回オブザーバーとしてご参加いただきます。安藤先生、山内先生、山野目先生の3名は、平成22年度のNHK受信料制度等専門調査会の委員でもありました。座長につきましては、委員の互選を考えております。
 これらの各方面の専門家の先生の知見によって、受信料制度やその運用に関係する課題をメディアや社会の環境の変化も踏まえ、時代に即した形で総括的に整理していただくことが主眼です。1枚目に戻ります。2月27日に初会合を予定いたしております。
 最後になりますが、委員会の役割は受信料制度やその運用のあり方など、さまざまな課題を諮問し、6人の構成員の専門的知見によって総括的に整理して答申していただくことが主眼です。受信料額や経営方針にかかわることを具体的にご提案いただくことは想定いたしておりません。答申内容は最大限尊重いたしますが、経営にかかわる重要な方針に関しましては、あくまで執行部の判断において行い、最終的には経営委員会の議決によるものと認識いたしております。

 (森下委員)

 平松弁護士は、委員ではなくてオブザーバーの位置づけということなのでしょうか。

 (上田会長)

 この弁護士の方はNHKの顧問弁護士ではありません。所属事務所は西村あさひ法律事務所で、こちらはNHKの顧問法律事務所であります。この弁護士の方は、NHKの受信料訴訟の代理人となったことはなく利害関係にはない方であるということと、一方で、この弁護士の方はさまざまな観点から受信料制度の研究、検討にかかわっておられ、専門的な知見をお持ちの方であるということです。今回の委員会では委員ではなくオブザーバーという位置づけとして、専門的な知見を生かして自由に発言していただくこととしておりますが、最後の答申の決定にはかかわらないという形でお願いしており、第三者性は確保されていると考えています。

 (石原委員長)

 これは大変重要な問題でありますので、検討の進捗については今後も適宜報告をお願いします。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事退室>

 

 

○ 説明会「最新の8Kコンテンツ制作ついて」
 最新の8Kコンテンツ制作について、担当理事より説明を受け、意見交換を行った。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成29年2月28日    

石 原  進

 

 

森 下 俊 三