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第1251回
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平成28年1月15日(金)公表
  ※5 審議事項(1)平成28年度収支予算編成要綱 は平成28年1月29日公表

日本放送協会第1251回経営委員会議事録
(平成27年12月22日開催分)

第1251回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1251回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成27年12月22日(火)午後1時30分から午後5時30分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  浜 田 健一郎 本 田 勝 彦 井 伊 雅 子
    石 原  進   上 田 良 一 佐 藤 友美子
    中 島 尚 正   長谷川 三千子 美 馬 のゆり
    宮 田 亮 平   室 伏 きみ子 森 下 俊 三
  ◎は委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  籾 井 会 長 堂 元 副会長 塚 田 専務理事
  吉 国 専務理事 板 野 専務理事 福 井 専務理事
  森 永 理 事 井 上 理 事 浜 田 技師長
  今 井 理 事 坂 本 理 事 安 齋 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(沖縄)登壇者報告

 

付議事項

 

1 会長報告

 

2 監査委員会報告(資料)

 

3 会長報告(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)

 

4 議決事項

 (1) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

5 審議事項

 (1) 平成28年度収支予算編成要綱(資料1)(資料2)

 

6 報告事項

 (1) 契約・収納活動の状況(平成27年11月末)(資料)

 (2) 予算の執行状況(平成27年11月末)(資料)

 (3) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

○ 説明会「4K・8K推進のためのロードマップ」

 

 

議事経過

 

 浜田委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(沖縄)登壇者報告

 12月12日(土)に沖縄局で開催された「視聴者のみなさまと語る会(沖縄)」について、登壇した浜田委員長、石原委員、佐藤委員から報告をうけた。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1250回(平成27年12月8日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成27年12月25日に公表することを決定した。

 

1 会長報告

 (浜田委員長)

 本日は、4件の会長報告が予定されておりますが、1件ずつ報告を頂きたいと思います。はじめは、「関連団体による土地購入検討について」の報告をお願いします。
 (籾井会長)
 本件につきましては、福井専務理事から説明します。
 (福井専務理事)
 関連団体による宇田川町土地の取得に向けた検討につきましては、前回12月8日の経営委員会終了後に、全役員による臨時の役員連絡会を行い検討した結果、正式な手続きに入ることを取りやめることといたしました。また、仲介にあたっていた金融機関にも、当日12月8日に正式な手続きに入ることを取りやめたことを説明し了解を取っております。

 

 

2 監査委員会報告(資料)

 (上田監査委員)
 監査委員会から、監査委員会の職務の執行の状況を、放送法第39条第5項の規定に基づき報告いたします。
 監査委員会は、前回の経営委員会でも意見交換が行われた「関連団体による土地取得計画」について調査を行ってきました。ご存じのように前回の経営委員会の後に開催された臨時の役員連絡会で、この計画は撤回されることになりました。監査委員会の調査のポイントは、違約金などなく撤回ができたのか、一連の手続きが法令などに違反していないかということです。
 お配りしました報告書に沿ってご説明します。
 最初の「1」では事案の概要・経緯と監査委員会の対応をまとめてあります。ご承知のように、関連各社が入る建物を建てるために放送センター近くの土地を買おうということで、子会社のNBCが売り主に買受申込書を出して、11月19日に優先交渉権を得ました。しかし12月8日に計画は撤回されました。そして監査委員会は先ほども述べましたように、買受申込書の提出に至るまでの協会や関連団体の手続きが法令や協会内の規程に違反してはいなかったか、買受申込書の提出と計画の撤回で、協会と関連団体に金銭的損失が生じることはないかを調べたということが書いてあります。
 「2」が調査で確認したことで、5項目あります。
 ①は違約金など金銭的な損失がないかという点です。報告書の2ページ目になりますが、まず提出された買受申込書の法的な効力について調べたところ、一般的には違約金などが発生しないとのことでした。そして取引に関わった理事やNBCの社長、仲介業者はいずれも違約金を支払う義務はないと答えています。こうしたことから金銭的損失は発生していないと判断しました。
 ②は手続きが協会の関連団体運営基準にのっとっているかという点です。運営基準では関連団体が重要な資産を取得する場合、協会と事前協議を行うことになっています。今回は会長や理事の了解のもとで、買受申込書が提出されていますし、報告書に記載いたしましたように、一連の対応が運営基準に違反したとは認められませんでした。
 ③は経営委員会の議決の必要性についてです。放送法では経営委員会の議決事項が列挙されていますが、そこには関連団体による不動産の取得はありません。そして、まだ土地の買受申込書を提出し優先交渉権が内定した段階で、経営委員会の議決を必要とする段階に至る前に撤回されたと認められます。ただし優先交渉権の内定連絡を受けた後、会長と理事が、関連団体側に対し、利益剰余金に言及して土地の共同購入を検討するよう要請しています。また建物には協会がスタジオを整備することも考えていきたいというような説明をしていました。次のページになりますが、このような建物整備をすすめる場合には、やはり協会と関連団体との共同事業として、利益剰余金の扱いを含めて、適時適切に経営委員会への報告を行い、必要に応じて議決を求めるべきであったと考えます。
 ④は協会による信用保証の有無です。放送法で、協会は債務保証はできないものと解されています。今回、協会の理事2人とNBC社長の3人が、NBC社長名で買受申込書を提出することを確認する旨の文書を作っていました。これについて3人は、NBCが単独で勝手に提出したのではないことを確認する意味で作ったもので、売り主や仲介業者へ出したり、見せたりするものではないと説明しています。外部の関係者からもこれを否定する証言は出ていません。また弁護士からは、この文書で信用保証を行ったとは認め難いとの見解を得ました。
 ⑤は価格、購入申込額についてです。この額は主に仲介業者の示した資料に基づいて算定していました。ただ、放送センター近くに適当な土地がないことや、他の買主候補に対抗するため早急に買受申込書を提出する必要があったことなどを考慮いたしますと、この購入申込額の検討過程が著しく妥当性を欠いていたと言うことはできないと考えます。もちろん契約を結ぶまでには、協会としての説明責任を果たすことができるように十分に検討しておく必要があったことは当然です。
 そして、4ページに書いてありますが、今回の調査では、関連各社の利用と負担に関する計画概要の検討や、契約までの手順や日程について、関係者の間で十分な意思の統一が図られてなく、準備が十分に進んでいたとは言い難いこともわかりました。
 こうしたことも受けて「3」に監査委員会の見解をまとめました。これまで述べたように、監査委員会の調査では、買受申込書を提出し、優先交渉権の内定を得たことは放送法と「関連団体運営基準」に違反するとは認められません。ただ、重要な事項の検討や手順などについて、十分な意思統一が図られていない状況が見受けられました。この種の重要案件においては、今後、より慎重な対応が求められると思います。グループ経営は大きな経営課題です。今回の一連の経緯を協会として検証し、グループの業務体制改革にどう取り組んでいくか、監査委員会は注視してまいります。
 なお文末に、今回の過程で言及された関連団体の利益剰余金のあり方については経営委員会にとっても重要な課題で、今後検討する必要があることを付言いたしております。

 (籾井会長)

 ありがとうございます。この中で撤回という言葉が使われておりますが、先ほど福井専務理事から報告しましたように、われわれといたしましては、実際のプロセスに入っておらず、例えば関連企業の取締役会などにも一切まだかけておりません。つまり手続きに入る以前の問題であったということはご認識いただきたいと思います。

 (浜田委員長)
 監査委員会の報告を受けて、経営委員会としてのコメントをまとめましたので申し上げます。
 経営委員会は、監査委員会の報告を尊重し、経営委員会と執行部がより密接に意思疎通を図り、迅速かつ適切に報告をいただきながら、今後も、経営委員会としての役割を果たしていきたいと思います。

 

 

3 会長報告(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)

 (籾井会長)
 NHKアイテック社員による不正行為に関する件につきましては、今井理事ならびに井上理事から説明します。
 (今井理事)
 まず事案の概略について報告いたします。
 NHKの子会社である株式会社NHKアイテックの社員2人が、会社の金を合わせておよそ2億円を不正に着服した疑いのあることがわかり、先週木曜日にアイテックの久保田社長が記者会見し、また、NHK側は広報担当の私が記者ブリーフィングして事案の概要および経緯を公表しました。その経緯と概要についてご説明いたします。
 まず、経緯についてです。
 東京国税局が10月下旬からアイテックに対する税務調査を行っていました。先月11日になり、アイテックの社員2人に対するヒアリングを始めていました。アイテックが国税局から何を聞かれ、どう答えたのかということを2人に問いただしたところ、実体のない「ケイネット」という会社を使い、工事や業務の架空発注を行い、会社の金を不正に着服したことを認めました。
 NHKは翌12日に初めてこのことをアイテックから知らされ、刑事事件に発展する可能性もある深刻な事案であると受け取めた次第です。事案の全容解明が何よりも重要であるという判断から、11月17日に総合リスク管理室を中心に関係部局の当時30人の職員をメンバーとする緊急の調査チームを編成して、アイテックとともに東京国税局に協力しながら今日まで調査を進めているところです。また、弁護士とも相談しながら、今後、警察への告訴あるいは告発も視野に入れて検討してまいりたいと考えています。
 次に、その事案の概要について説明いたします。
 今のところ、アイテック社員2人には平成21年からことし10月までの間に放送関連施設の工事や業務を実体のない会社に発注するなどの手口で、合わせておよそ2億円の金を着服した疑いが持たれています。調査は途中ですので、全ての手口が今現在、判明しているわけではありませんが、わかっている範囲で具体例等を説明します。
 まず、資料1をご覧ください。アイテックが施主から受託をしております業務の中には、共聴施設の工事というものがあります。これはテレビの共同受信施設をつくる工事ですが、このような工事の中には当初の仕様と異なる追加工事が後に発生してくる場合があります。追加工事はもともとの工事と一緒に完成させて納品し、追加部分だけを、工事が完了した後しばらくしてから追加工事として架空発注をする。そして、その架空発注の金額を着服するという手口が具体的なケースの一つの例です。
 次に、資料2をご覧ください。アイテックから実体のない会社ケイネットに架空工事を発注いたします。このケイネットは、アイテックの社員2人のうちの社員Aが設立し、登記上、その役員となっている会社です。いわゆるペーパーカンパニーで、従業員は確認されていません。この社員Aと社員Bの2人は、このペーパーカンパニーに架空の工事を発注し、社員Aはそこで支払われて得た利益を架空の外注費の名目、あるいは役員報酬という形で得ていたということです。また、社員Bのほうも、外注費の名目で利益を得ていたということです。 実際に工事を実施しなければいけない部分については、このケイネットから別の業者に下請けに出した形をとり、実際は下請業者のほうが工事を完遂させていました。現時点で正確な金額は算定できていませんが、着服した疑いのあるおよそ2億円のうち、大まかな内訳は社員Aが1億数千万円、社員Bが数千万円という見込みで調査を継続しています。
 今回の不正がなぜ起きたのか、また長期になぜ見過ごされてしまったのかについては、国税局もNHKの調査チームもともに「アイテック社内での規則を順守する意識をきちんと持つということが徹底されていないという問題があった」と見ているところです。
 この点を徹底解明して、必要な再発防止策を立てていくことを考えているところです。
 (井上理事)
 関連事業局からは、緊急にNHKアイテックに対して指示を出しております。今回の事例を踏まえ、取引先が実体のある会社かどうか、その取引先がアイテックの社員や親族などと関係のある会社であるのかどうか、また、取引が行われたエビデンスを上司がチェックし、それらの保管体制を早急に整備することを指示しました。
 きのうは今回の事案を受け、急遽、関連団体各団体の社長と理事長を招集し、関連団体臨時会議を開き、 改めてコンプライアンスの徹底を強く要請しました。
 NHKとしては、継続中の調査を早期に行い、その結果を踏まえて今回の事案に対して厳正に対処するとともに、再発防止策を講じていきたいと考えております。
 (上田委員)
 本件に関しまして、監査委員会からも一言申し上げたいと思います。
 協会がグループとして関連団体のガバナンス強化に取り組んできたにもかかわらず、今回アイテックにおいて社員による不正行為が明らかになったことを監査委員会としても重く受け止めております。
 この件について監査委員会は、執行部側が調査を始めたときから調査の状況について報告を受けておりますが、社員による長期間にわたる巨額の不正を見抜くことができなかったことについて、協会がアイテックの内部統制のどこに問題があったのか、協会による関連団体の指導・監督はどうなっていたのかということを明らかにして、再発防止に取り組んでいただきたいと考えております。
 関連団体の不祥事は協会の信頼を大きく損なうことにつながりかねません。監査委員会は役員の職務の執行を監査するという立場から、引き続き執行部による関連団体への指導・監督の状況を注視し、必要な対応をとってまいりたいと考えております。

 (美馬委員)

 以前あった、アイテックのカラ出張問題についても、関連団体ガバナンス調査委員会、通称「小林委員会」の調査の対象となっていたはずだと思います。このときの調査のあり方は問題なかったのでしょうか。つまり「自社あるいは社内の調査で不十分だから外部に調査を依頼する」という、かなりの肝煎りで外部に徹底的に調査していただいたのだと思いますが、その調査の際に今回の問題が上がってこなかったのは、どういうことが問題だったと思われますか。

 (今井理事)

 ご指摘のように、小林調査委員会ときの調査でもアイテックは対象になっていました。その後、たび重なる不祥事に対する対応をとったわけですが、今回のアイテックの事案がどのような形で見過ごされたのか、また、かなりの長期にわたっていることから、会社自身の監査等も含めて、なぜ発覚しなかったのか個別に検証していく必要があると認識しております。まずは今回の事案について具体的に内部統制上のどんな問題があって、なぜ見過ごされてしまったのかを確定することが必要と考えています。

 (室伏委員)

 アイテックでは以前にも不祥事があり、そのときにかなり強く指導が入ったにもかかわらず、またこういった不祥事が、つい最近まで長年にわたり続いていたことは、アイテックそのものの体質に大きな問題があるのではないかと思います。小林委員会でも見つからなかったということですし、監査法人による監査もすり抜けてきているわけです。今、NHK本体が力を入れて調査していると伺っておりますが、ここで何が問題なのかということを徹底的に洗い出して、NHKの信頼を失わないようにしていただきたいと思っています。

 (井上理事)

 ご指摘のとおり、このケースがアイテック固有の問題であれば、アイテックあるいは本体の監督体制の中で何が問題であったのかをきちんと検証したいと思っています。アイテックについては、以前にも不祥事があり、その後さらに規則などルール上はかなり整備されているということです。ところが、現場も含めて運用のところでかなりルーズな運用であったことが少しずつわかってきております。そういったことがどういう原因で出てくるのかを徹底的に検証しなければならないと思っております。

 (森下委員)

 発注業務にしても支払い業務にしても、定期的なチェックがきちんとできていればどこかで引っかかる可能性があるはずです。業務が忙しいというのもあるのかもしれませんが、仕事の流れの中で、きちんとチェックできる仕組みを構築しないと、なかなかこういったのものは見抜けないと思います。仕組みを作ってもすぐ見つかるかどうかはわかりませんが、ぜひ再発防止に向けて検討していただきたいと思います。

 (浜田委員長)

 それでは、経営委員会としてアイテック事案について見解をまとめましたので、簡単に申し上げます。
 関連団体のNHKアイテックの社員による不正な行為が行われたことは極めて遺憾であります。経営委員会としては税務当局の調査を見守るとともに、執行部に対しては原因究明の徹底と再発防止を求めます。
 また、経営委員会として、今回の一連の件を踏まえ、次のとおり執行部にお伝えします。

 NHKグループの経営に関して、経営計画では重点方針に「創造と効率を追求する最適な組織に改革」を掲げ、現在、施策を検討中であると認識しております。また、経営計画の議決に際しての経営委員長見解でも、「戦略と具体的なプロセスを大胆に示すこと」を求めています。これらの実現に向け、NHKはNHKグループの先頭に立ち、早急にグループ体制や利益剰余金のあり方等を、ゼロベースで見直し改革を進めるとともに、ガバナンスの観点からも責任を果たすべきと考えます。経営委員会は監視・監督機関として執行部の今後の取り組みを注視してまいります。

 

 (籾井会長)
 「クローズアップ現代」報道に関しては、堂元副会長と板野専務理事からご報告します。
 (堂元副会長)
 BPO放送人権委員会からの勧告と、再発防止策の実施状況について報告いたします。
 12月11日、BPO放送倫理・番組向上機構の放送人権委員会は、去年5月に放送した「クローズアップ現代 追跡“出家詐欺”」について、勧告を決定し、公表しました。
 当日は、私などがBPOに出向きました。概要をお手元の資料にまとめてあります。
 BPOの人権委員会は、ブローカーとして番組で紹介した申立人A氏が、「自分はブローカーではなく、放送で人権が侵害された」と申し立てたことから、審理をしてきました。
 その結果、勧告ではまず人権侵害について、映像や音声が加工され、本人とは特定できず、人権侵害にはあたらないとして、NHKの主張が認められました。
 一方で人権委員会は、NHKがブローカーかどうかなどについて必要な裏付け取材をしていないほか、相談場所を活動拠点とするなど、明確な虚偽を含むナレーションで、申立人の実際とは異なる虚構を伝えた、と指摘しました。そのうえで放送倫理上重大な問題があったと結論付け、NHKに対して放送倫理の順守をさらに徹底するよう勧告をしました。
 その場で私は、勧告を真摯に受け止め、現在進めている再発防止策をしっかり実行していくと述べました。勧告については、3か月以内に対応を文書で報告することになっており、再発防止策の実施状況などをまとめてBPOに提出することにしております。
 私からは以上です。再発防止策の実施状況については、板野放送総局長が説明します。
 (板野専務理事)
 再発防止策については、導入から半年が経過した11月末時点での実施状況をまとめましたのでご説明いたします。この件はすでに、今月16日の総局長会見でも公表をしています。
 まず匿名での取材・制作のチェックの徹底です。全てのニュース・番組に「匿名チェックシート」を導入し、本部と地方の、あわせて60のニュースと番組の、計270件で使用しています。この匿名チェックシートについて現場からは「匿名が必要かどうか、より意識的に検討するようになった」「情報共有のツールとしても有効だ」などの声があがっています。
 今後も匿名チェックシートを全てのニュース・番組で使用するとともに、形骸化することがないよう、判断や情報共有のための重要なツールだという意識を徹底させてまいります。
 続いて「『複眼的試写』によるチェック」です。「複眼的試写」は、直接の担当者とは別の職員や、高い専門性を持つ者が、試写に参加するもので、11月末までの半年間で、あわせて42のニュースと番組で実施をいたしました。「制作の当事者では気付かない視点や疑問が示され、事実関係の再確認や、より客観的な結論づけに役立った」などの声が出ており、今後も効果的に実施してまいります。
 次は「取材・制作の確認シート」によるチェックです。取材・制作の確認シートは、放送までのリスクを“見える化”してチェックするもので、提案段階で指摘された課題や、制作にあたって留意してきたことなどを記入します。このシートを、まず「クローズアップ現代」で導入しましたが、「リスクを放送まで継続してチェックするのに有効だ」、「課題が整理され、スタッフ内の情報共有が図られる」などの意見が寄せられています。
 今後は、この取材・制作の確認シートを「NHKスペシャル」や「ETV特集」で、番組内容などに応じて使用します。また医療関係の番組で専門的な項目を数多く盛り込んだ取材・制作の確認シートの使用も始めるなど、番組の特性に応じて、リスクを“見える化”してチェックする取り組みも、積極的に進めます。
 さらに、番組考査についてです。放送現場とは別の独立した立場から、助言や指摘を行う考査を強化し、特に匿名での放送が行われた番組について、重点的に考査を実施しました。
 また、放送前に行う事前考査は、多くの視聴者に見られている番組や新番組などで実施しています。
 次に、ジャーナリストとしての再教育です。12月に本部および拠点放送局で、この問題についての勉強会を再び実施したほか、新管理職や若手職員を対象にした研修や、関連団体や外部プロダクションを対象にした勉強会などで取り上げました。
 勉強会や研修では、「具体策と並行して、ひとりひとりが高い倫理感を持ち続けていくことが、何よりも大切だ」という声が出ました。問題を風化させないよう、今後も研修や勉強会で取り上げます。特に記者やディレクターの研修や教育については、研修期間の延長や、カリキュラムの充実など、来年度からの見直しに向けて検討を進めています。
 また、勉強会では担当者間で情報共有や対話がなかったことを重く受け止める声も出されました。こうした声を受け、例えば報道の新人研修では、記者やカメラマン、編集担当者などが合同で行うカリキュラムを増やすほか、日常的には、自由に違和感や意見を出し合える職場を、上司などが意識しながら作っていくことにしています。
 その他、10月末、大型企画開発センターに「クローズアップ現代」事務局を設けて、責任体制を明確化しました。
 放送現場では、事実に基づき正確に放送し、あらゆる段階で真実に迫るという原点を確認しながら、引き続き再発防止策を実行していきます。今後も半年や1年の節目ごとに、再発防止策の実施状況を検証して、必要な見直しを行いながら、実効性を高めていきたいと考えております。
 (浜田経営委員長)
 本件について、重ねて申し上げます。BPOから当該問題について、人権侵害には当たらないとされましたが、放送倫理上重大な問題があったという勧告を受けたことについては、大変重く受け止めなくてはなりません。この認識に立ち、経営委員会としては、執行部が、公共放送の原点に改めて立ち返り、高い倫理観を持って、視聴者の皆さまから信頼される番組作りを求めます。

 

 (籾井会長)
 最後に、先日、北見放送局で火災が発生しました。この件について、浜田技師長よりご報告いたします。
 (浜田技師長)
 先週発生しました北見放送局の火災とその対応についてご報告いたします。
 12月19日土曜日の深夜0時30分ごろ、北見放送局2階の事務室付近から出火いたしました。警備員の通報により消防が駆けつけ、午前4時20分ごろ鎮火いたしました。現場検証によれば、火元は取材カメラ用のバッテリー充電器の電源ケーブルでショートが起きた可能性が高い、ということでした。
 この火事で、2階の放送部、技術部、企画編成部などの事務室、それから、カメラ、編集機、報道情報端末などの機材が全焼しました。しかし、幸いなことに同じ階にある放送機能室等は延焼を免れました。1時15分ごろには火災の発生を受けて、電力会社による給電が遮断されましたが、自家発電が起動して放送は継続できました。鎮火後も、現場検証のため会館内への立ち入りが許されず、被害状況が確認できたのは当日の17時以降でした。翌20日日曜日には会館内の電源系統のチェック、火災によりショートしている配線の切り離し等を行い、16時過ぎに電力会社から給電が開始されました。これにより、全焼した事務室以外では一般室の電源や空調なども含めて作業環境が確保できました。
 並行して、本部あるいは札幌局などから放送・技術、総務等の応援要員や予備の機材を送り込み、被害を受けた報道用の設備とか電話、イントラなどのネット機能の仮復旧作業、あるいは近隣マンションの2室を借り上げたり、会議室を活用したりして、当面の執務場所の確保などを進めました。
 こうした作業により、ローカル放送も休止することなく、通常編成どおり、21日月曜日から地元の視聴者の皆さまにお届けすることができました。また、本部からは火災の再発防止に向けて、電源系統の緊急点検を含めた施設点検と警備体制の再確認について全国に指示を出しております。
 今後は、焼失した設備や備品についてはほかの局からの転用、あるいは新規配備などにより補充を行うとともに、窓ガラスや外装タイルなどの復旧作業に入ります。また、建物については焼損しました什器などを搬出した後、年明けに火元付近のコンクリート強度の診断を行う予定にしております。
 今回の火災では、運よく主要な放送設備や自家発電への延焼はなく、加えてそれらの設備が消火活動の影響も受けず、確実に動作して放送を継続することができました。今後も地震や津波への対応のみならず、こういった不測の事態の対応も含めて放送の安定確保に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。

 (長谷川委員)

 こういう火災があっても、放送が継続できたというのは、幸運もあったかもしれませんが、大変すばらしいことだと思います。再発防止と同時に、対応が非常にうまくいった今回の経験や、もう少し重大な火災の場合は、ここが危ないなど、今後に向けていろいろと生かせるところもあると思います。そのあたりも総括して、災いを転じて福となすことができますように、今後に向けて教えにしていただけたらよいと思います。

 (浜田技師長)

 ありがとうございます。今回も、最悪の事態を想定して、万が一会館を使えなくなったときに、例えばテレビやラジオの放送所から直接電波が出せるようにNTTにもご協力をいただいたり、あるいは衛星回線を活用する方法で人が放送所に行って備えることもしており、日常的に訓練もしております。今後ともそういったことに引き続き取り組んでまいります。

 (佐藤委員)

 出火原因が漏電だということで、例えば電気設備については、これから点検するように指示を出されたということですが、設備の定期点検は、どのぐらいの頻度で行っているのでしょうか。NHKでも、漏電などしないように家庭等に放送で呼びかけているように思いますが、NHK本体ではどのように通知されているのでしょうか。

 (浜田技師長)

 残念ながら今回の原因は、恐らく電動系統のショートであったということです。北見放送局は日中は人がいますが、夜中など勤務者がいないときにはコンセントを帰る前に抜くように通知はしてありましたが、それが徹底されていなかったということです。再度徹底するように文書を出しております。そういった取り組み一つ一つを通じてこういったことが起きないようにしたいと思います。

 

 

4 議決事項

 (1) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (坂本理事)
 中央放送番組審議会委員について次のとおり委嘱を行いたいと思います。 つきましては、定款第66条第2項の規定により経営委員会の同意を得ることとなっております。新規委嘱でお二人の方です。平成28年1月1日付で、藤村 厚夫さん スマートニュース(株)執行役員メディア事業開発担当、渡部 潤一さん 国立天文台副台長です。
 なお、現在、中央放送番組審議会委員を務めておられます龍井 葉二さん 連合総合生活開発研究所客員研究員、和田 章さん 東京工業大学名誉教授については、12月31日付で退任されることになっております。
 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

5 審議事項

 (1) 平成28年度収支予算編成要綱(資料1)(資料2)

 (福井専務理事)

 それでは、「平成28年度収支予算編成要綱」について、ご説明いたします。この「予算編成要綱」は、11月24日にご審議いただいた「予算編成方針」をもとに、事業計画の詳細や予算科目別の内訳のほか、主要な事項の予算額を収支予算編成要綱として取りまとめたものです。
 はじめに、1ページをご覧ください。28年度予算の基本的な考え方です。前回ご説明した「予算編成方針」から変更はございません。
 次の2ページから3ページは、事業計画の重点事項を記載しています。「予算編成方針」でご説明した事業運営の5つの重点事項に加え、3ページには建設計画と要員計画を記載しています。
 4ページの事業収支につきましては、予算編成方針でお示ししたものから変更ございません。
 5ページは資本収支です。資本収支は、建設費や建設積立資産への繰入れ等の財源対応を表したものです。28年度の資本支出は910億円で、その内訳は、建設費が828億円、出資が2億円、建設積立資産繰入れが80億円となります。この財源につきましては、建設費と出資については、まず資本収入の上から3つ目の科目の「減価償却資金受入れ」の738億円とその下の「資産受入れ」の29億円を充て、それでも不足する62億円は、上から2つ目の科目の「前期繰越金受入れ」として、財政安定のための繰越金を取り崩して充当します。また、建設積立資産繰入れにつきましては、事業収支差金の80億円を資本収入に受け入れて充てます。この結果、ページ一番下の表の右側にありますように、28年度末で、建設積立資産は1,490億円、財政安定のための繰越金は727億円となる見込みです。
 6、7ページでは、業務別予算とチャンネル別予算について記載しています。まず、6ページの業務別予算ですが、これは国内放送費や契約収納費など業務ごとの物件費に、人件費と減価償却費を要員や施設に応じて配分したものです。上の表をご覧ください。表の右端に記載しておりますが、「国内放送番組の制作と送出」は27年度に対し172億円の増となっています。その一方で、「受信サービス活動」や「広報活動」などは、前年度に対して減となっており、経営資源を国内放送と国際放送の実施等に重点配分していることが表れています。次に、下の円グラフをご覧ください。青色の「国内放送番組の制作と送出」の構成比率が76.1%で事業支出全体の約4分の3を占めています。赤色の「国際放送番組の制作と送出」の構成比率は4.4%となり、国際発信を強化することで前年度比で0.3ポイント上昇しています。
 次の7ページは、チャンネル別予算です。6ページの業務別予算の円グラフのうち、青色の「国内放送番組の制作と送出」と赤色の「国際放送番組の制作と送出」をチャンネル別に区分して試算したものです。28年度のチャンネル別予算は、総合テレビが2,856億円となり、全体のおよそ半分にあたる51.2%の経営資源を配分しています。衛星放送につきましては、BS1が823億円、BSプレミアムが534億円のあわせて1,358億円となり、総合テレビの半分程度の予算規模になっています。これは、衛星放送が全国放送のみであることや、放送衛星ひとつで全国あまねく放送を届けられ地上放送に比べて少ない設備で実施できることなどで、減価償却費等が少なく、効率的に実施できるということです。また、テレビ国際放送は236億円で、比率は27年度から0.2ポイント上昇し4.2%となっています。なお、一番下にあるスーパーハイビジョンについては、28年度から試験放送が始まりますので、今回から新たにチャンネル別の経費として103億円を計上しています。
 8ページからは、個別の科目ごとの説明です。8、9ページは受信料についてです。8ページの一番上の表にありますとおり、28年度の受信料収入は6,758.9億円で、前年度比で150.5億円の増収となります。内訳としましては、基本受信料が77.5億円の増収で率にして1.6%の増、衛星付加受信料は73億円の増で率にして4.2%の増となります。その下の受信料額の一覧につきましては、料額に変更はありません。
 9ページは、受信契約件数等の年間増減と、下のグラフは受信料収入や支払率、衛星契約割合の推移です。
 10ページは、副次収入や交付金収入など、受信料以外の収入です。下の「3 交付金収入等」の表の2つ目にある財務収入は、子会社等からの受取配当金の増等で37.9億円の増となります。
 11ページからは、事業支出について、科目ごとに内訳をまとめています。あわせて、ポイントとなる事項の予算を個別にお示ししています。11ページは、国内放送費です。左下の棒グラフにありますとおり、28年度の国内放送費は3,210億円となり、前年度比で162億円を増額しています。
 12、13ページは、地上放送の各波の編集のポイントと予算です。編集のポイントにつきましては、「編集の基本計画」に沿った内容を記載しています。13ページの下に、地上放送の波別の予算の内訳を記載しています。28年度の地上放送の番組制作費は908.3億円となり、前年度比29.3億円の増となります。総合テレビは番組の充実やリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの放送により27.8億円の増、教育テレビは幼児・子ども番組や趣味、実用番組の充実等により1.3億円の増となります。ラジオについては27年度とほぼ同規模で実施します。
 続きまして、14ページは、衛星放送の編集のポイントと予算です。ページの一番下に記載していますが、衛星放送の番組制作は、653.3億円で、前年度比44.6億円の増となります。BS1はリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの放送やスポーツ番組の充実等で39.8億円の増、BSプレミアムは超大型特集枠の新設などで4.8億円の増となります。
 15ページは、28年度からBS17チャンネルで始まるスーパーハイビジョンの試験放送についてです。多彩で魅力あるコンテンツを8K・4Kで放送し、NHKの各放送局のロビー等でご覧いただけます。スーパーハイビジョンの試験放送は41.1億円で実施します。ページ中段はスーパーハイビジョンについての国のロードマップです。28年度から試験放送が始まり、その2年後には実用放送が開始される予定です。そして、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には本格普及するというスケジュールになっています。その下の参考2はリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックについてです。オリンピックは34.2億円、パラリンピックは7.4億円で実施し、特にパラリンピックの放送を大幅に拡充します。また、インターネットサービスなどデジタル展開は、5億円で実施します。
 次に、16ページは地域放送番組費です。ページの一番下の表をご覧ください。28年度はラジオ第1放送の平日夕方に「地域応援ゾーン」を新設して地域の生活情報番組を充実します。地域放送は、前年度比3億円増の154.4億円で実施します。
 17ページは、報道取材関係経費の内訳です。報道取材関係経費は、参議院議員通常選挙放送の実施などにより、前年度比6.6億円増の222.7億円とします。
 18ページは、制作共通費等の予算です。上段の制作共通費等は、情報システムのセキュリティ強化や、インターネットサービスの充実などで前年度比18.8億円増の360.5億円、下段の編成企画費等は、番組の公開やリオデジャネイロオリンピック関連などイベントの経費の増等により前年度比10.7億円増の216.5億円となります。ページ下段は放送サービス維持のための技術設備の運用経費です。スーパーハイビジョンの試験放送開始に伴う放送衛星利用料の増や番組制作設備の保守費の増などで、前年度比25.7億円増の653.5億円とします。
 19ページからの「参考3」は、「新たな可能性を開く放送・サービスを創造」について記載しています。まず19ページはインターネット活用業務についてです。下の表にありますとおり、28年度のインターネット予算の総額は前年度比7.4億円増の130.8億円となります。これは受信料収入に対する比率では1.9%となり、インターネット実施基準に定める上限 2.5%の範囲内となっております。28年度は、ニュースや防災情報を届ける「ニュース・防災アプリ」の開発・運用開始やリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの情報提供を行います。また、「らじる★らじる」では、28年度中に札幌・広島・松山・福岡で地域放送サービスを開始する予定であり、これですべての拠点局で実施することになります。
 次に、20ページは、「人にやさしい」放送サービスの拡充についてです。字幕放送・解説放送とも長期計画に基づき拡充し、字幕放送の予算は前年度比1億円増の23.4億円、解説放送と手話番組は、ともに2.3億円の予算で実施します。放送時間につきましては、字幕放送が16時間51分、解説放送が3時間32分、それぞれ増加する計画となっています。
 21ページは、中継放送所や共同受信施設、放送衛星の運用など「伝送部門に係る経費」を取りまとめ、再掲でお示ししています。総額では前年度比2.6億円増の400億円となります。国内放送費の説明は以上になります。
 続いて、22ページからは、国際放送費についてです。22ページの上段は、「NHKの国際放送と海外発信」の全体概要です。まず、テレビの「NHKワールドTV」は、外国人向けに英語でお伝えするテレビサービスです。ニュースや情報番組などを、1日24時間世界に向けて発信しています。次の「NHKワールドプレミアム」は、海外在留の邦人向けの日本語のテレビ配信サービスで、世界各国のケーブルテレビ局や衛星放送局などに1日におよそ19時間配信するほか、ニュース番組を中心に1日におよそ5時間のノンスクランブル放送を実施しています。「NHKワールド・ラジオ日本」は日本語と17の言語で、全世界に向けてラジオ放送を実施しています。このほか、インターネットではニュース・番組の動画配信などを実施しています。その下の「国際発信力の強化」には、平成7年度のテレビ国際放送の開始以降のNHKのこれまでの取り組みをまとめています。
 右の23ページは、28年度のテレビジョン国際放送についてです。「NHKワールドTV」では、北米とアジアを重点地域と位置付け、ニュース・番組や編成を充実・強化するほか、世界各地でNHKワールドのプロモーション活動を積極的に展開していきます。
 続いて、24ページの中段からは、ラジオ国際放送「NHKワールド・ラジオ日本」です。特に外国人向けサービスでは、短波だけでなく、中波やFM、衛星ラジオでの再送信などを活用して、リスナーの拡大に努めます。
 25ページのインターネットの取り組みでは、「NHKワールド・オンライン」におけるビデオ・オン・デマンドの番組を27年度の13番組から20番組程度と大幅に拡充します。以上の国際放送の強化の取り組みにより、下の表にありますとおり、28年度の国際放送費は、前年度比22.6億円増の248.6億円となります。
 26、27ページは、契約収納費についてです。26ページの上段にありますとおり、契約収納費に人件費と減価償却費を合わせた28年度の営業経費は、前年度と同規模の735.1億円とします。内訳では、未契約対策など「受信料制度を維持していくための経費」は1.2億円減の413.5億円、受信料の請求・収納など「収納および管理に係る経費」は1.2億円増の321.6億円となります。一番下のグラフは、棒グラフが営業経費、折れ線グラフは受信料収入に対する営業経費の割合、いわゆる営業経費率です。受信契約件数の増により口座振替手数料などの収納・管理経費が増加する中で、様々な営業施策や改革の取り組みにより全体の経費を抑制し、28年度の営業経費率を過去最低の10.8%まで低減させます。
 27ページは、受信料の公平負担の徹底に向けた営業改革の取り組みについてです。28年度は、支払率の低い大都市圏対策をさらに強化するほか、法人委託の拡大など効率的で効果的な契約収納活動を引き続き進めていきます。ページの下の表は契約収納費の予算額です。28年度は大都市圏対策の強化などで、前年度に対し3.9億円増の589.2億円となります。
 次の28ページは、受信対策費と広報費です。上段の受信対策費は、デジタル化対策の終了等により27年度に対し8.6億円減の10.7億円とします。その下の広報費は、視聴者のみなさまの声を経営や放送・サービスに反映させるためのNHKふれあいセンターの運営費等の経費です。前年度とほぼ同規模の55.6億円となります。
 29ページは、調査研究費です。ページ下の表をご覧ください。28年度の調査研究は前年度比8.7億円減の102億円で実施します。このうち、番組関係は、27年度にNHK放送博物館のリニューアルが終了することなどにより、前年度比3.4億円の減、技術関係では、スーパーハイビジョンの予算を試験放送開始に伴って国内放送費に組み替えたこと等により、5.2億円の減となります。
 30、31ページは、給与と退職手当・厚生費です。給与につきましては、職員の基本賃金を25年度からのおおむね5年で10%を目安に引き下げる給与制度改革等により、27年度から7.8億円を削減して1,174.2億円とします。また、退職手当・厚生費につきましては、退職給付費の減等により、前年度比30.9億円減の617.5億円となります。ページ中央の左側は要員計画です。28年度の予算要員は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの放送に対応するために一時的に増員し、31人増の10,273人となります。その右側の要員構成をご覧いただきますと、27年度における女性職員の割合は前年度から0.5ポイント上昇して15.7%となっています。
 31ページの上段の折れ線グラフは、要員数の推移です。要員の効率化を始めた昭和55年度以降、これまでに6,500人以上の要員を削減してきました。その下の棒グラフは、給与予算の推移です。平成10年度をピークに、この18年間で322億円、率にして22%を削減してきました。
 32ページは、共通管理費など、その他の事業支出科目の予算の内訳です。
 33ページから34ページは、「参考5」として、「創造と効率を追求する、最適な組織に改革」の取り組みについてです。33ページの①には、コンテンツ制作力強化のため、NHKグループ全体の業務体制改革への取り組みを記載しています。その下は業務の見直しによる経費の削減と経営資源の再配分についてです。経費の削減については、業務全般にわたる徹底した見直しにより、総額で182.5億円の削減を行います。この経費の削減と事業収入の増185.2億円を、全国放送番組の充実・強化やリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送、国際放送の強化など、重点事項の増358.9億円に重点配分します。
 34ページには、NHKの子会社等の系統図を掲載しています。その下には、高度な専門性を発揮できる人材の確保・育成や、女性の積極登用と仕事と生活の調和の実現について記載しています。
 35ページには、コンプライアンスを徹底し「放送ガイドライン」を順守することや、経営計画を着実に実施するための目標・指標管理の強化と環境にやさしい経営の推進について記載しています。
 36ページ、37ページは、建設費についてです。36ページの下の表にありますとおり、28年度の建設費は前年度に対し22.2億円増の828億円とします。このうち、スーパーハイビジョンについては、試験放送の開始に伴い、カメラなどの制作設備や送出・受信設備の整備で55.3億円を計上します。
 37ページは、建設費科目ごとの主な内訳をお示ししています。
 38、39ページは、放送番組等有料配信業務勘定です。28年度の事業収入は、27年度に対し0.4億円の増収の22億円、事業支出も、前年度比0.4億円増の22億円としています。
 これにより、28年度の事業収支差金は、27年度予算と同規模の0.1億円の黒字としています。
 40ページは放送法第20条3項に基づく受託業務等勘定です。28年度は伊勢志摩サミットの国際放送センター(IBC)の運営業務等で、事業収入は前年度に対して7億円増の21億円としています。
 最後に、41ページの「参考7」は、28年度の予算編成の前提とした経済指標について記載しています。
 「収支予算編成要綱」の説明は以上です。この「収支予算編成要綱」をご了承いただきますと、本日いただいたご意見を織り込んで、放送法および放送法施行規則の定めに従って「収支予算、事業計画及び資金計画」、いわゆる予算書を作成します。今後のスケジュールとしては、来年の1月12、13日に、予算書について、審議・議決をお願いする予定です。よろしく、ご審議くださいますよう、お願いいたします。なお、28年度の予算編成に関する資料と議事内容につきましては、来年1月に予算の議決をいただいた後での公表とさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

 (上田委員)

 前回の予算編成方針の説明を受けたときにも申し上げましたが、5ページの「建設積立資産と財政安定のための繰越金」の表に27年度末見込みとして1,410億円となっています。また、4ページの事業収支の表にもあるとおり、27年度予算では収支差金が62億円となっています。中間決算でも数字が出ていましたが、200億円前後の上振れが予想されているということになれば、この27年度末見込みも200億円前後上積みされることになります。28年度の増減については予測できませんが、従来の流れからいうと、予算に対して実績が高めに出る、上振れするということになれば、かなり28年度末の建設積立資産が積み上がることになります。現有地の渋谷での放送センターの建て替えになれば、積立資産はどのくらいの規模で積み立てていくのかが、適当なところである程度示されないと、一体、どこまで積み上げていくのかということになると思います。今後の、現有地での建替に伴う資金について、いつごろ説明していただけるのでしょうか。

 (福井専務理事)

 建替計画の基本計画を来年夏に公表する予定ですが、その前提となる建設費の額について、現在詳細を詰めております。資金の計画については、もう少し時間をいただきたいと思っております。

 (上田委員)

 それでは、予算を最終的に議決するタイミングとはどのような関係になっていますか。予算議決までには間に合うのでしょうか。

 (福井専務理事)

 決算が来年5月末くらいですので、3月の予算審議の段階ではまだ額については外部には公表できないと思います。内部的にはいろいろなシミュレーションをしており、6月7月頃には正式になると思います。

 (上田委員)

 予算を承認していただく段階では、ある程度そのあたりに関してのめどを持っておきたいということがあると思いますので、できるだけ早い説明をお願いします。

 (森下委員)

 15ページのスーパーハイビジョンの費用は、2018年の実用放送の設備ということですか。来年からの試験放送は設備がすべて整っているということでしょうか。

 (福井専務理事)

 試験放送も含めて、カメラ関連などの設備は建設費で整備します。

 (森下委員)

 2018年の実用放送に向けては、当然、これだけでは足りないですね。

 (福井専務理事)

 今後、さらに来年度と29年度以降で整備します。

 (美馬委員)

 29ページの「6.調査研究費」についてです。下の表に番組関係も技術関係も、特に番組関係の調査費がずいぶん減っていますが、先ほど説明のあったNHK放送博物館のリニューアル前と同じ位なのでしょうか。

 (福井専務理事)

 リニューアルは4億円ございました。その分が減っていますので実質的には以前と比較すると若干増えています。

 (井伊委員)

 2点質問があります。1点目は4ページの事業収入の財務収入のところで、受取配当金がかなり大きな増加ですがこの理由について教えてください。

 (福井専務理事)

 資料の10ページをご覧ください。「3.交付金収入等」の表に「財務収入」がございます。受取配当金が28年度は59.6億円ということで、これは特例配当の39億円を含めて28年度は実施しますので、そこで受取配当金で39.3億円増えていることが最大の理由です。

 (井伊委員)

 2点目の質問は、10ページの「2.副次収入」が全体的に減っていますが、番組活用収入の備考に「番組提供料の増等」と書いてあります。現在、国際放送に力をいれてますが、「NHKワールドプレミアム」などだけではなく、現地のテレビ局に直接NHKが日本国内向けに制作した番組を売ることに力を入れていくべきと思いますが、そのように海外に販売した番組の提供料などもここに含まれているのでしょうか。

 (福井専務理事)

 NHKが直接ではなく、関連団体が展開します。この減の要因は、テキストなど出版関係の減収により若干減っています。

 (井伊委員)

 もしNHKが今後、海外向けに国内で制作した番組を販売するときには、ここには反映されないのでしょうか。

 (福井専務理事)

 関連団体が展開して、その使用料がNHKに副次収入として入ります。

 (井伊委員)

 そうした、番組活用収入を増やしていこうとはお考えではないのでしょうか。

 (福井専務理事)

 増やしていきたいのですが、今は、DVDやCDも売れないなど、なかなか厳しい状況が続いています。

 (井上理事)

 アジアへの番組展開も、かなり力を入れていますが、そもそも番組の販売収入が、現地によっては安いことがあって少ないのが現状です。海外展開についてはお金を得るというよりも、日本の情報やコンテンツを幅広く見ていただくことに主眼を置いています。

 (井伊委員)

 BBCからは購入しているのですか。BBCは国外に多くの番組を販売していますね。

 (福井専務理事)

 BBCワールドワイドが、海外に販売しています。

 (板野専務理事)

 共同制作のような形で、BBCとドキュメンタリーなどを作っています。例えば、海外の販売・放送はBBC、NHKは国内、などとしています。一方的に買っているわけではありません。

 (安齋理事)

 分量としては、BBCが世界に展開している分量とNHKが海外に展開しているものでは、大きさが異なりますので、そのように見えると思います。ただ、なるべく国際共同制作といってBBCが提案したり、NHKが提案したものを制作費をお互いに負担するということで質の高いものを作り、それを、例えば日本が作ったものをアジア向け、BBCが作ったものをヨーロッパ向けというように分担して販売するということはやっております。

 (浜田委員長)
 それでは、ただ今の審議を踏まえて、この要綱は了承いたします。平成28年度収支予算案の策定に向けた準備をお願いいたします。

 

 

6 報告事項

 (1) 契約・収納活動の状況(平成27年11月末)(資料)

 (福井専務理事)
 平成27年11月末、第4期末の契約・収納活動の状況について、ご報告いたします。
 資料の1ページをご覧ください。当年度分の受信料収納額の状況です。4期の収納額は1,095億2千万円で、前年同期を24億9千万円上回りました。累計でも前年同期を98億4千万円上回っており、引き続き堅調に推移しています。
 次に、前年度分の受信料回収額は4期が3億8千万円となり、前年同期から1千万円上回りました。期間で前年度を上回ったのは今年度初めてになります。累計では3億3千万円下回っています。また、前々年度以前分の回収額は4期が4億1千万円となり、前年同期から2千万円、累計では3億5千万円下回りました。
 2ページの契約総数の増加状況について説明いたします。4期の契約総数の増加数は、大規模ホテルの契約などもあり、14万8千件になりました。前年同期と比較すると2千件上回り、3期間連続で、前年度を上回ることが出来ました。累計では46万6千件となり、前年同期と比較すると1万7千件、下回っていますが、第1期末では2万9千件、前年度を下回っていましたので、6月以降、1万2千件を挽回することができました。
 次に衛星契約増加です。4期の衛星契約の増加数は13万5千件となり、累計では56万7千件になりました。年間計画の60万件に対する進捗率は前年同期を5.8ポイント上回る94.5%となり、衛星契約については12月中には年間計画を達成できる見込みとなっております。衛星契約割合も年度内で0.8ポイント向上して48.5%になりました。
 3ページをご覧ください。口座・クレジット払等の増加状況です。4期は12万4千件の増加となり、前年同期から1万1千件下回りました。累計では9万6千件下回っています。また、利用率は89.3%になり、前年同期を0.6ポイント上回りました。
 次に、未収削減状況です。4期の未収削減は、1万8千件の削減となり、前年同期の1万6千に対して2千件多く削減することができました。未収削減が期間で前年度を上回ったのは、今年度初めてになります。引き続き12月以降も重点的に挽回に取り組んでいるところです。
 次に支払数増加です。4期は契約総数増加と未収削減が前年同期を上回ったため、今年度初めて支払数増加が、前年同期を4千件上回ることができました。
 今年度も残すところ4か月を切りました。契約総数や未収削減などの課題克服を更に進めて、4年連続の全営業目標達成に向けて取り組んでまいります。

 

 (2) 予算の執行状況(平成27年11月末)(資料)

 (3) 地方放送番組審議会委員の委嘱(資料1)(資料2)

 (浜田委員長)
 報告事項(2)(3)については、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきたいと思います。

 

 以上で付議事項を終了した。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事退室>

 

 

○ 説明会「4K・8K推進のためのロードマップ」

 「4K・8K推進のためのロードマップ」について、執行部より説明を受け、意見交換した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成28年1月26日    

浜 田 健一郎

 

上 田 良 一