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第1247回
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平成27年11月13日(金)公表
  ※3 その他(1)平成28年度予算編成の考え方 は平成28年1月29日公表

日本放送協会第1247回経営委員会議事録
(平成27年10月27日開催分)

第1247回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1247回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成27年10月27日(火)午後1時30分から午後3時40分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  浜 田 健一郎 本 田 勝 彦 井 伊 雅 子
    石 原  進   上 田 良 一 佐 藤 友美子
    中 島 尚 正   長谷川 三千子 美 馬 のゆり
    室 伏 きみ子   森 下 俊 三  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  籾 井 会 長 塚 田 専務理事 吉 国 専務理事
  板 野 専務理事 福 井 専務理事 森 永 理 事
  井 上 理 事 浜 田 技師長 今 井 理 事
  安 齋 理 事    

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

付議事項

 

1 議決事項

 (1) 公益財団法人放送番組センターへの出捐について(資料)

 (2) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

2 報告事項

 (1) 平成27年度第2四半期業務報告(資料1)(資料2)

 (2) 視聴者対応報告(平成27年7月〜9月)について(資料1)(資料2)

 (3) NHK情報公開・個人情報保護の実施状況(平成27年度上半期)(資料)

 (4) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

3 その他

 (1) 平成28年度予算編成の考え方(資料)

 

 

議事経過

 

 浜田委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

<会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1246回(平成27年10月13日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成27年10月30日に公表することを決定した。

 

1 議決事項

 (1) 公益財団法人放送番組センターへの出捐について(資料)

 (井上理事)
 公益財団法人放送番組センターへの出捐についてご説明します。
 この出捐は、NHKが民放とともに毎年行っているものです。
 今回は、昨年から1,617万円減額し、5,659万5,000円を要請されています。
 本日、経営委員会にお諮りし、議決をいただけましたら、放送法第20条第14項に基づき、総務大臣に認可申請を行い、認可が得られた段階で実行することになります。
 では「放送番組センター」についてご説明します。
 資料の項目「3.経緯および出捐の考え方」をご覧ください。
 放送番組センターは、横浜の「放送ライブラリー 」という施設で、NHKや民放の放送番組の収集・保存と公開を行っています。平成元年の放送法の改正で、放送法の中に定められた事業です。財源は、NHKと民放、横浜市の拠出による基金の運用益です。
 基金として拠出された金額は、NHKが30億円、民放が 59.8億円、横浜市が2億円で、合計で91億8,000万円になっています。
 しかし、低金利が長引き、基金の運用益だけではライブラリー事業の運営が困難になっています。このためセンターでは、平成17年度からNHKと民放に対して、毎年、出捐を要請しています。NHKとしても、センターの社会的意義を踏まえ、民放と歩調を合わせてこれに応じてきました。
 NHKの出捐額は、平成19年度以降は、8,085万円でしたが、センターが平成24年4月に公益財団法人に移行したことを契機に、出捐に依存した運営を改め、業務改革により出捐額の抑制を図るようセンターに申し入れました。
 これを踏まえ、センターは「向こう5年間の事業方針」を定めて、平成25年度から5年の間に出捐額を30%減額することを決めました。まず平成25年度、26年度は10%削減し、NHKの出捐額は7,276万5,000円になりました。そして平成27年度は30%減額し、5,659万5,000円の出捐要請がありましたので、この金額で出したいと考えています。時期は総務大臣認可後の11月中の予定です。センターに対しては、今後も削減計画の確実な実行を求めていきたいと考えています。
 続いて、NHKと民放の負担割合や、センターの事業方針について、補足いたします。2ページ目の参考資料1をご覧ください。
 出捐金のNHKと民放の負担比率は、設立時の基金への拠出割合を踏まえ、NHK35%、民放65%の割合で負担することになっています。
 放送番組センターの「向こう5年間の事業方針」の骨子は、2ページ目の下段①から⑥にある通りです。「事業の全国展開」「大学等教育現場での利活用推進」などの施策とともに、「事業の選択と集中」「脆弱な財政基盤の解消」などの業務改革施策があります。出捐額の削減については、骨子の⑤に記載されております。
 3ページ以降には、放送番組センターが策定した「平成27年度事業計画」および「収支予算」の抜粋と、「役員名簿」を添付していますが、説明は省略します。
 採択の結果、原案どおり議決。

 

 (2) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (板野専務理事)

 中央放送番組審議会委員について、次のとおり委嘱をお願いしたいと思います。つきましては定款第66条第2項の規定により経営委員のご同意をお願いいたします。
 新規委嘱です。中央放送番組審議会 仲道 郁代氏(ピアニスト)と、比嘉 政浩氏(全国農業協同組合中央会専務理事)です。お二人の略歴は別紙をご参照ください。
 また、中央放送番組審議会委員について、次のとおり任期の途中で退任されますので、委嘱を解くことといたしました。谷口 肇氏(前 全国農業共同組合中央会専務理事)です。
 なお、放送番組審議会委員の中で、中央放送番組審議会の東儀 秀樹氏(雅楽師)については、任期満了により平成27年10月31日付で退任されます。
 採択の結果、原案どおり議決。

 

 

2 報告事項

 (1) 平成27年度第2四半期業務報告(資料1)(資料2)

 (井上理事)
 まず、資料3ページの「今期の総括」をご覧ください。
 この第2四半期は、台風、豪雨による大規模な洪水、火山の噴火などの自然災害が相次ぎました。人々の「命と暮らしを守る」ことは、公共放送の最も重要な使命です。NHKの全国ネットワークや、インターネットを生かしたIP中継などの新しい技術を使い、放送やインターネットを通じて、正確・迅速な情報提供を行い、全局体制で防災・減災報道に取り組みました。
 戦後70年の節目を迎えた8月には、戦争と平和を考える番組を集中的に編成して、視聴者のみなさまの大きな反響を呼びました。
 日本の安全保障政策を転換する安全保障関連法については、さまざまな動きや論点をニュースで詳しく伝え、NHKスペシャルなどの番組でも取り上げました。
 全体では、総合テレビのリーチが高年層の女性などで改善傾向が見られます。
 総合、Eテレ、BS1、BSプレミアムの4波全体のリーチは変わらないものの若年層の減少傾向は続いています。
 NHKワールドTVでは、現経営計画から開始した国際戦略調査や、モニター調査などに基づいて、番組内容の見直しや改善を図り、対象を明確にしたプロモーションによる視聴者への浸透に取り組みました。
 10月19日から開始していますが、インターネットでの「テレビ放送の同時配信」(試験的提供B)の実験に向けて、システムの構築や参加者の募集を行い、課題の検証に向けた準備を進めました。
 営業では、契約総数増加が、第1四半期末で前年同期に比べて3.6万件の減少となっていましたが、課題となっていた法人委託の拡大など訪問要員体制の拡充を図った結果、今期は1.9万件の減少まで挽回しました。受信料収入は、前年度と比べて62億円増収の3,316億円となり、堅調に推移しています。
 今年4月に公表した「『クローズアップ現代』報道に関する調査報告書」を踏まえて、報道の原点に立ち返る新たな研修の実施や、番組制作部局での検討会など、再発防止の取り組みを継続しています。
 7月に実施した経営計画(5つの重点方針)の達成状況を図る世論調査では、「公平・公正」「多角的論点の提示」などの項目で、視聴者から高い期待・実現の評価を受けました。今期までの取り組みに対する一定の評価と受け止め、今後さらに改善を行い、経営方針の達成をめざしてまいります。
 次に、「5つの重点方針」ごとに、少し詳しく「今期の主な取り組み」をご説明します。同じく3ページです。
 まず、「重点方針1.判断のよりどころとなる正確な報道、豊かで多彩なコンテンツを充実」についてです。
 9月の関東・東北豪雨については、特設ニュースをあわせて約43時間にわたって放送し、IP中継やヘリコプターからの中継などを駆使して、被害の状況や被災した方々の救助の様子を詳しく伝えました。ニュースはインターネットでも同時配信し、茨城県の鬼怒川の堤防が決壊した9月10日は、NHKオンラインへの訪問者数が563万を超えて、今年度最多となりました。
 また、戦後70年に関連する番組では、原爆投下直後の広島で復興に尽くした人々を描いたドラマをはじめ、さまざまなジャンルの番組を放送しました。NHKスペシャルでは、モノクロで撮影されたフィルムをカラー化するなど新しい技術を駆使した番組などが高い評価を得ました。
 安全保障関連法については、衆議院と参議院での採決の前にNHKスペシャルで長時間討論を編成したほか、クローズアップ現代でも取り上げるなど、多角的な論点を整理して伝えました。
 次に、「重点方針2.日本を世界に、積極的に発信」についてです。
 NHKワールドTVでは、今年4月からの新番組について、モニター調査をもとに演出の見直しや内容の改善を行いました。また、国際戦略調査やグループインタビュー調査などを活用して、「見たくなる国際放送」に向けてコンテンツの品質向上を図るとともに、北米のニュースに関心が高い人たちやアジアの若者など、対象を明確にしたプロモーションを展開して、効果をあげつつあります。
 国際展開については、市場でニーズが高まっている4Kで制作するドキュメンタリー番組の国際共同制作が決定しました。また、アニメ「英国一家、日本を食べる」のドイツ、タイへの番組販売、連続テレビ小説「あまちゃん」では初めての現地語吹き替えによる放送がフィリピンで決定し放送が始まるなど、さまざまな形で推進しました。
 4ページをご覧ください。「重点方針3. 新たな可能性を開く放送・サービスを創造」についてです。
 「インターネット実施基準」にのっとり、経営計画に対する「経営委員長見解」も踏まえて、積極的に取り組んでおります。
 10月から11月に実施するインターネットでの「テレビ放送の同時配信」(試験的提供B)の実験に向けて、著作権団体などへの説明や参加者の募集を行い、視聴者ニーズ、配信システムの負荷やコストなど課題の検証に向けた準備を進めました。
 スーパーハイビジョンについては、7月に公表された総務省の「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合」の第二次中間報告を踏まえて、NHKとしての検討を進めました。
 続いて、「重点方針4. 受信料の公平負担の徹底に向け、最大限努力」についてです。
 契約総数は、年間目標51万件に対して、31.8万件の増加で進捗率は62.4%。衛星契約は、年間目標60万件に対して43.2万件の増加で進捗率71.9%となりました。支払率は76.3%となり、26年度末と比べて0.7ポイント向上しました。衛星契約割合は、48.4%となり、0.7ポイント向上しました。
 支払率の向上、公平負担の徹底に向けて、「TOKYOディープ!」や地域発ドラマなどの放送と連動した営業活動を積極的に展開し、大都市での対策にも成果をあげています。
 次に、「重点方針5.創造と効率を追求する、最適な組織に改革」に ついてです。
 最初に、新放送センターの第2四半期の状況を併せてご報告します。
 新放送センターについては、現在地での建て替えに向けて、複数のワーキンググループを設けて、本格的な検討を開始しました。現在地での建て替えに必要な規制緩和を実現するため、敷地内の緑化などを盛り込んだ施設配置について検討しているところです。また、新しいセンターにおいて中核として働くことになる、今の20代、30代の若手職員で構成するプロジェクトチームを設置して、コンセプトなどの議論を進めています。
 以上が新放送センターの現在の検討状況です。
 そして、NHKグループ全体の業務体制の改革を推進するため、NHKと関連団体が一体となった業務の見直しや、経営資源の再配置に向けた検討に着手しました。
 「今期の総括」でもご説明しましたが、「『クローズアップ現代』報道に関する調査報告書」を踏まえて、“事実を追求し、事実をありのままに伝える”という報道の原点に立ち戻る再教育プログラムを開発しました。これをもとに研修を実施したほか、番組制作部局で取材や演出のあり方について意見交換を行う場を設けました。特に、匿名取材を行った番組については、考査し、「取材・制作チェックシート」の活用を確認するなどの取り組みも継続しており、全局的に再発防止の取り組みを進めています。
 続いて、「受信料収入」についてです。
 金額は来月の中間決算で確定するため、ここでは速報値を記載しています。
 「今期の総括」でもご説明しましたが、第2四半期の受信料収入は、契約収納活動の強化に取り組んだことなどにより、契約総数・衛星契約ともに順調に増加し、前年度と比べて62億円増収の3,316億円、予算に対する進捗率は50.2%となりました。
 以上が、「今期の概況」です。

 (美馬委員)

 6ページに7月に実施した世論調査の結果がありますが、この2〜3年の推移を別に見せていただくことは可能でしょうか。いろいろと報道のあり方について、視聴者の皆さまからの番組に関する問い合わせやコメントがある中で、この14指標の評価が今期に変化があったかどうか知りたいと思いました。

 (井上理事)

 過去、2〜3年さかのぼってということでしょうか。または、前期との比較でしょうか。

 (美馬委員)

 2〜3年さかのぼった結果との比較です。例えば、指標②「正確・迅速な情報提供」や③「多角的論点の提示」のそれぞれの期待度のパーセンテージが示されていますが、それが、この2〜3年の中で今回の結果の期待度に変化があるのかどうかなどです。

 (井上理事)

 この調査はすべて、その時々の四半期の報告に載せております。それを見ていただければ推移はわかります。ただ、6ページの表に※印がついている設問は、現経営計画の方針に沿って分かりやすく変えておりますので、それを念頭に推移を見ていただければと思います。もし、推移について変化があれば、さかのぼって資料でお伝えいたします。

 (美馬委員)

 特に、「①公平・公正」「②正確・迅速な情報提供」「③多角的論点の提示」「⑥多様性をふまえた編成」については、視聴者の皆さまの期待度がどのように変化し、どのくらい実現されているのかについて、どのようにお考えになっているのかを知りたいと思います。

 (井上理事)

 その件で1点お伝えいたしますと、「②正確・迅速な情報提供」では、期待度と実現度の差が12.4%になっています。これはこの前の1月の調査と比較すると、1月の10.3ポイントに比べ2.1ポイント拡大しています。ここは、大事なところなので、われわれも分析しました。総合テレビへの接触が少ない方が、この数値が悪化しています。これがどういうことか現在、分析しているところですが、総合テレビに多く接触している方には「正確・迅速」について分かっていただけますが、総合テレビにあまり接触していただいていない方の数字があがっていません。恐らく、そういう方々はインターネット経由でいろいろな情報をキャッチしているからではないかと思われます。ということは、経営計画にも書いておりますが、放送を中心としながらも、ネットなどでも「正確・迅速」な情報をこれからも伝えていく必要があるのではないかと見ております。

 (美馬委員)

 そういうところをお伺いしたかったのです。よいことでも悪いことでも、何か急激に変化が起こったときに、どこに起こっているのか、それを分析して、どのようにお考えになっているのかということを知りたいためにお聞きしました。ありがとうございました。

 (森下委員)

 確認ですが、受信料のところは、法人委託化などで成果が出てきており、これは非常に皆さんが努力されたことだと思いますが、課題となっていた大都市部については、同じようにうまくいっているというところでしょうか。

 (福井専務理事)

 9月末の段階では、営業業績は堅調に推移しています。特に大都市圏対策中心にやっておりますが、今のところ順調です。

 (佐藤委員)

 6ページの「世論調査の結果」の「⑭受信料の公平負担」の期待度が57.4%と非常に低いし、実現度はもっと低い。実現度が低いのはよく分かります。期待度は、76%の人が受信料を支払っているにもかかわらず、期待をしてる人が57.4%というのはどう読んだらよいのでしょうか。

 (福井専務理事)

 「公平負担の徹底」については、いまだに支払率が75.6%ですので、そこへの不満のあらわれだと思います。

 (佐藤委員)

 でも、期待をしてないということが不思議です。実現度は低いのは分かりますが、期待度が57.4%というのはどういうことかなと思いました。

 (福井専務理事)

 これまでも、大体この程度の数字で推移しております。

 (佐藤委員)

 これはどのように理解したらよいのでしょうか。今、NHKで公平負担の徹底を進めていかなければならない時に、一般の方が57.4%しか期待してくださってないということに何があるのかなということが大変疑問です。

 (福井専務理事)

 本来は、76%の方に払っていただいておりますので、期待度も76%ぐらいあるべきだと思います。やはり評価が全体的には低いということだと思います。

 (長谷川委員)

 受信料を支払っていただいている視聴者の方々が、「支払っていない人がいるのはNHKのせいではない」と考えていらっしゃるという感覚はないですか。

 (福井専務理事)

 われわれとしては公平負担の徹底に向けて努力をしております。

 (長谷川委員)

 この世論調査に答えた方は、「NHKに文句言っても始まらないでしょう」という感覚はないでしょうか。私でしたらそういう感覚で答えます。

 (佐藤委員)

 これをもう少し分析して見ていくといろいろなことが分かるのだと思うのです。支払率の高い地域の人がどう言っているのかとか、そういったことを報告していただく場合には、きちんと分析しておかないといけない点ではないかと思いました。

 (長谷川委員)

 本当にそう思います。分析の結果を知りたいですね。

 (井上理事)

 この項目の質問文は、このようになっています。「海外の公共放送と異なり、罰則などのない日本の制度の中で、受信料を公平に負担していただくためにさまざまな取り組みを行うこと」。これに対する「期待と実現」ということです。そうすると、公平負担のために、例えば罰則を設けるべきだとか、あるいはもっと経費を使うべきだとかというふうに受け取る方もいらっしゃるので、そこまでして公平負担に期待するかという考え方の違いも含まれると思われます。

 (佐藤委員)

 もしそうだとすれば、その設問は問題で、幾つかのことが重なっていますね。本来だったら、簡潔に「受信料の公平負担のための努力をしているかどうか」ということを聞かないといけないのだと思います。ひとつの設問にいろいろなファクターが入り込んでいるので、あまり正確な数字とは言えないですね。

 (井上理事)

 質問項目等については、できるだけ分かりやすくするように改善をこれまでもしてきましたので、今のお話も含めて検討してまいります。

 (佐藤委員)

 お願いします。

 (浜田委員長)

 4ページの「重点方針5.創造と効率を追求する、最適な組織に改革」のところで、「NHKと関連団体が一体となった業務見直しや経営資源の再配置に向けた検討に着手した」とありますが、これはいつごろをめどに結論を出されるのか。それから、小林委員会との関係はどうなっていますか。

 (井上理事)

 この関連団体の業務体制改革については、業務委託の現状などについて、それぞれ委託元の本体と委託された側のグループ各社に詳しい調査を依頼しているところです。まず、関連団体がどのような仕事をやっているのかという実態を詳しく調べた後、めり張りをつけた業務シフト等を検討していきたいと思っています。時期的には、できるだけ早くこういった取り組みを終わらせて、できれば、来年度予算から何がしか反映できるような形にしたいと思っております。小林委員会の報告書とは別の取り組みで、NHKの経営計画に基づいた主体的な取り組みとして進めているところです。

 

 (2) 視聴者対応報告(平成27年7月〜9月)について(資料1)(資料2)

 (今井理事)

 放送法第27条に定める視聴者対応の状況について、平成27年7〜9月分を取りまとめましたので、放送法第39条第3項の規定に基づき、報告いたします。
 この期間の視聴者の声、意見・要望、問い合わせの総数は、7月が32万8,924件、8月が30万8,974件、9月が32万3,514件です。
 主な内容をご報告いたします。
 資料の2ページと3ページをご覧ください。
 まず、7月分です。7月12日に放送したNHKスペシャル「腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズム」についてです。この番組は、最先端の治療現場で、「脳」のある働きを改善し、慢性腰痛を克服する対策が大きな成果をあげ、この対策を取材した番組です。
 反響は、1,534件寄せられました。その9割近くが60代以上で、「好評意見」では、「腰痛に悩んでいたので放送を見た。けさになって治っている」といったものが寄せられました。
 この報告については48ページをご覧ください。
 7月から9月の、この四半期に寄せられた再放送の希望のうち、特に「番組の内容がよかった」からという理由で再放送希望の多かった上位15番組を並べました。棒グラフの青色の部分が「内容がよかったから」という理由での再放送希望です。
 この番組「腰痛・治療革命」が圧倒的に多く、視聴者の関心の高さをうかがわせる内容となっています。
 続いて8月です。16ページの上のグラフをご覧ください。
 8月には、総合テレビで、戦後70年企画として、NHKスペシャルを10本、ドラマを1本放送しました。特に反響が多かったのが、8月6日に放送した、NHKスペシャル「きのこ雲の下で何が起こっていたのか」の、298件でした。
 これは、広島に原爆が投下されて3時間後に、爆心地から2キロ離れたところにある「御幸橋」の惨状を撮影した2枚の写真をもとに、きのこ雲の下で何が起きていたのかを、最新の映像技術や被爆者の証言をもとに解き明かした番組です。
 17ページのまん中の円グラフをご覧ください。
 好評意見が厳しい意見を10%上まわりました。「あのような映像が残っていく限り、悲劇は風化はしない」「世界の人たちにも見せるべきだ」といった意見が寄せられております。一方で、「写真の映像化があまりにもリアル過ぎる」といった声もありました。
 この他、8月には高校野球についても載せていますので、ご覧ください。
 次は9月についてご報告します。33ページをご覧ください。
 『安全保障関連法』が成立するまでの、9月16日から18日の3日間に、『法案関連』のニュースや番組に寄せられた反響です。件数は、9,655件と、非常に多くの声が寄せられました。
 真ん中の円グラフにある通り、年代別では、60代以上が全体の約6割を占め、男女別でみますと、50代以下では女性が多く、60代以上からは男性の声が多く寄せられました。
 声の具体的内容を、このページ下に記載しています。この中には「賛成意見も取り入れて、もう少し公平に報道すべき」といった意見がある一方で、「政府寄りではない公平な報道をのぞむ」といった声、それに「始まっていない特別委員会をいつまで放送しているのか」や「法案の採決を放送してくれてよかった」など、放送内容や放送の仕方について、非常に多様なご意見が寄せられたほか、それぞれ、ご自身の持論を述べる声も多く届きました。「安全保障関連法案」に関する反響の7月分については5〜6ページにニュースや国会中継などについてまとめて載せておりますのでご覧ください。
 38ページをご覧ください。
 9月26日に最終回を迎えた、連続テレビ小説「まれ」です。
 まず、ページ中央のグラフは、半年間の反響を一週間ごとに載せています。放送開始から最終回の翌日までに、7,470件が寄せられました。
 主人公の希(まれ)を中心とした登場人物たちの若々しさとベテラン俳優の存在感、また血縁関係を越えて一つ屋根の下に暮らす人々の様子などに好評意見が寄せられました。一方、「落ち着かない」「騒がしい」という厳しい声も届きました。
 39ページの、年代別意向グラフをご覧ください。右側、赤線で囲んでいるように、好評意見の割合は40代以下で高い傾向がみられました。
 40ページをご覧ください。
 インターネットなどの、デジタルサービス関連についてです。将来の公共メディアへの進化をにらむ3か年経営計画の初年度は、インターネット実施基準に基づくサービスの初年度でもあることから、今回初めてデジタルサービスに限った視聴者意向を別枠で集計することを開始しました。
 ここでは今年4月からの半年の反響をまとめております。この間に寄せられた反響は、1万6,210件でした。
 上の棒グラフは、サービスごとの反響数で、ホームページに関する声が最も多くなっています。下の円グラフで反響の内容別に見てみますと、問い合わせが半数を占めています。続いて要望、そして間違い指摘の順になっております。
 全体の半数を占める問い合わせは、主に番組表や番組ホームページの更新の遅延などによる再放送日や番組内容の確認、操作方法などについてでした。また、青色の間違いの指摘は、誤字、脱字、リンク切れなどで、1,093件と、単純に平均しても1か月に180件を超える指摘が寄せられています。
 そのほか、月ごとにこれらのご指摘、ご意見、ご要望に対する対応事例なども掲載をしておりますので、ご覧いただければと思います。

 (長谷川委員)

 資料17ページの8月の番組の視聴者の反響に関する質問です。一番評判がよかった「きのこ雲の下で何が起きていたのか」に続いて、2番目に反響が大きかったアニメドキュメント「あの日、僕らは戦場で」についても賛成意見と厳しい意見と両方載っています。この賛否の意見というのは、例えば、前の「きのこ雲の下で何が起きていたのか」と違って、厳しい意見のほうにかなり重要な意見も出ているような気がいたします。例えば、「主な内容」の下から2番目の「どうしてアニメにしたのか。」要するに、アニメにすると、脚色が入り込んでしまうのはないか。もっと現実に資料や映像を使って淡々と事実を伝える番組をつくって欲しいというご意見があります。それから、同様意見8件として、「日本兵が悪魔のように描かれている。」というご意見がありました。つまり、番組の公平、公正、事実を正確に伝えているか、という点に関するご意見です。これに対して、「アニメで構成されていたのでわかりやすい」という好評意見がありましたが、この厳しい意見のほうと比べてみますと、ある意味で、この好評意見は危険なところがあるのではないかと思います。つまり、脚色して分かりやすくしてしまったものを、そのままうのみにして分かりやすかった、というように視聴者が受け取っている可能性もあるわけですね。この2つの意見をご覧になって番組としてはどのようにお考えなのか、お聞かせください。

 (板野専務理事)

 確かに今の長谷川委員のご指摘は、私どもの中でも議論されたことです。この番組には、いろいろな意見があがり、その中で、アニメにするということのプラスの面とマイナスの面があるのではないかというご指摘がございました。長谷川委員がおっしゃられるように、アニメにすることによって、逆に事実ではない、脚色と見られかねないような要素が入ってきてしまうという状況も確認しています。今日のお話も伺った上で、今後、演出のやり方について、どういうふうなやり方をすれば適当なのか、その範囲などについて、いろいろと議論してまいりたいと思っています。

 (長谷川委員)

 そうですね、どうしてもアニメというジャンルになると、ドラマとかそういうものに近いジャンルとして公平性とか事実に基づいているかという点が、いわゆる報道番組やドキュメンタリーよりも緩くなってしまう傾向はあるのではないかと思います。このような題材を扱っている場合には、あくまでも事実をベースにしているので、その点を十分に配慮するべきではないかと感じました。

 (森下委員)

 42ページの、NHKネットラジオの「らじる★らじる」に関する質問です。ここに出ている不具合というのはどんなものでしょうか。電波の関係で切れたりする事象は別として、この不具合で技術的な面で改善しなくてはならない部分はあったのでしょうか。ここには不具合の内容が少ししか書かれていないため、例えばエラー表示が出るとか、技術的に何か問題があったのかがわかりません。

 (浜田技師長)

 「らじる★らじる」のアプリについては、スマートフォンやタブレット端末のOSのアップグレード等に対応するため改修を行う場合もありますが、ほとんどの技術的な問い合わせは、携帯電話の回線状態やWi-Fiの環境がよくないために途中で音声が切れたり、アプリのダウンロード中にエラーになったりしているために寄せられているようです。回線状態がよい場所で再度試していただくようにお願いして、解決しております。

 (森下委員)

 これを見ると、4割ぐらいこういった不具合があるようですので、操作のやり方にしても、まだ改善すべきところがあるという感じがしたのでお伺いしました。

 (美馬委員)

 2点あります。
 1つは、この視聴者対応報告のまとめに、「経営関連の意見・要望への対応」の項目を入れていただきありがとうございます。前回のご報告をいただいた際に、私がお願いしたことに対して入れていただけたのだと思います。今後も引き続きよろしくお願いします
 2点目は、8月の中で33ページから35ページの「安保法案関連」についてです。これに関するニュース・討論番組への反響がとても大きかったと思います。ここで厳しい意見がかなり多いのは、大抵こういう視聴者対応ですと、よいときにはわざわざ電話をかけてこなかったりするもので、厳しいものが多くなるということは理解した上でお伺いします。
 改めてこの反響の多さについてです。制作を担当されている部門の方は反響についてどのようにお考えか、あるいは今後どうしていきたいかということが改めてあればお聞かせいただければと思います。

 (板野専務理事)

 その点について、現場に直接話を聞いたわけではないので、今この場でお答えするのは適当かどうかわかりませんが、やはりこれを見ますと、賛成・反対、双方の立場で大変厳しいご意見が寄せられております。それは、それだけ安保法制の問題が国民の中で非常に激しい議論の対立があったことを示しているのだろうと思います。われわれはいろいろなところで中継をやったり、ニュースでこの安保法制の問題を紹介したり、あるいはNHKスペシャルでも番組もつくりましたが、国民の各層に議論の論点を分かりやすく伝えるという役割は果たすことができたのではないかと思っております。ただ、その手法についていろいろなご意見があることも事実です。今後のいろいろな形での検討材料としていきたいと思っています。

 (美馬委員)

 ありがとうございました。

 

 (3) NHK情報公開・個人情報保護の実施状況(平成27年度上半期)(資料)

 (今井理事)

 資料の1ページをご覧ください。この間の「開示の求めの受付件数」です。
 下の棒グラフは、各月の左側が昨年度、右側が今年度の受付件数を示しております。上の折れ線グラフは、実線が今年度で、各年度の累計の受付件数の推移を示したものです。今年4月から9月末までの半年間に受け付けた「開示の求め」は50件で、前年度上半期の86件から36件減少しております。
 平成26年4月より、「開示の求め手数料」として、1件につき300円を新たにご負担していただいています。
 平成25年度には、最も多くて1人で343件の「開示の求め」を出した方もいらっしゃいましたが、26年度は最も多い方で57件、27年度上半期では20件となっています。こうしたことも、「開示の求め」の件数が落ち着いてきた要因のひとつだと分析をしております。
 2ページをご覧ください。「(2)開示の求めの受付分野別件数」です。「総務経理」が18件と最も多く、次いで「営業」が13件となっています。
 次に、「(3)開示の求めに対する判断結果」です。上半期にNHKが判断した開示・不開示等の件数は59件で、開示が10件、一部開示が23件、不開示が16件です。このうち、一部開示と不開示の合計39件の理由の内訳が、その下の表にございます。視聴者が求めた文書をNHKが保有していない「文書不存在」が29件で、最も多くなりました。また、放送番組の編集に係る文書については、番組編集の自由を確保するという観点から、開示の求めの対象外としており、27年度上半期は10件でした。
 3ページには、上半期に受け付けた「開示の求め」の中から、特徴的なものを掲げております。右側は、それぞれの「開示の求め」に対するNHKの判断結果を記載しております。
 4ページをご覧ください。「再検討の求め」の推移を示しております。NHKが不開示や一部開示の判断をした場合、それに不服がある視聴者は「再検討の求め」を行うことができますが、それをNHK情報公開・個人情報保護審議委員会が審議を行い、その結果をNHKに答申します。6月いっぱいで2人の委員の交代があり、7月から新しい体制でスタートしております。
 資料の説明です。「開示の求め」の減少により「再検討の求め」の受付件数も大幅に減りました。下の棒グラフです。昨年度上半期は、開示手数料の徴収開始直前のいわば駆け込みの開示請求を受けた「再検討の求め」が集中し104件受け付けましたが、今年度は29件と3分の1以下になっております。その分、審議委員会への諮問と審議の促進に力を入れ、今年度上半期は昨年度同期より24件多い85件を諮問し、27件多い89件の答申を頂戴しました。
 上の折れ線グラフをご覧ください。審議中と諮問準備中、すなわち滞留している「再検討の求め」の件数です。昨年7月までは増加傾向が続き、年度末で211件残っていましたが、今年度上半期で89件の答申をいただいたことにに加え、新規の受付件数も減ったことから、この半年で60件減って151件となりました。さらに、 10月の2回の審議委員会でも21件の答申をいただいており、現在は130件台まで減っています。
 次に5ページです。審議委員会はこの上半期に11回開催されました。
 表は答申結果の分類です。NHKはすべての事案について審議委員会の答申通りに最終判断を行いました。「不開示ではなく、一部開示または開示すべきであった」とする答申が17件と、昨年同期に比べ増えておりますが、そのうちの多くは、審議委員会への諮問に当たって再検討した結果、NHKが自ら開示を申し出たケースです。
 6ページは、この上半期の答申結果のうち特徴的なものを掲げております。
 7ページからは、個人情報保護についてです。
 27年度上半期に起きた、NHKが保有する個人情報の漏えい案件は3件でした。3件とも個人情報を含んだ受信料の帳票を紛失したものです。NHKは紛失した帳票にご記入いただいたお客さまにお詫びとご説明を行って、ご理解を得ています。いずれも、総務省総合通信局に報告し、NHKオンライン上で公表しています。
 一方、個人情報の漏えいに至らなかった紛失・盗難案件はありませんでした。
 8ページをご覧ください。NHKが保有する個人情報について、上半期に受け付けた「開示の求め」は12件でした。その多くは受信料の契約書についての開示の求めで、このうち11件を開示、1件を一部開示し、不開示はありませんでした。再検討の求めもありませんでした。
 マイナンバーだけでなく従来の個人情報についても、保護の強化がいっそう進んでいます。9月9日には、パーソナルデータの利活用を促進し、保護を強化する改正個人情報保護法が公布されたところです。
 NHKでは、こうした法令等の改正に迅速、的確に対応し、視聴者の皆さまの個人情報を慎重かつ適正に取り扱うように、今後とも万全を期して参ります。

 

 (4) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (浜田委員長)

 報告事項(4)については、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきたいと思います。

 

 

3 その他

 (1) 平成28年度予算編成の考え方(資料)

 (福井専務理事)

 平成28年度の予算編成につきまして、本日は、基本的な考え方や重点事項、収支構造案をご説明いたします。今後、この考え方に基づいて予算編成を取りまとめ、来年の1月には予算書の審議・議決をいただいて、総務大臣にNHKの予算を提出する予定です。
 なお、本日を含め、今後、28年度の予算編成に関する資料と議事内容につきましては、来年1月に予算の議決をいただいた後での公表とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 資料の1ページをご覧ください。最初に28年度の予算編成の考え方をまとめています。
 28年度は、3か年経営計画の2年目として、経営計画を着実に実施するとともに、業務全般にわたる見直しを徹底して効率的な事業運営を行うことを基本としますが、さらに経営計画策定時以降の後発事象にも的確に対応していくこととします。
 具体的には、これまでの8Kスーパーハイビジョンの推進に加えて4Kへの取り組みを強化することや、日本年金機構の個人情報流出などを踏まえた情報システムのセキュリティ強化などの後発事象にも的確に対応した予算を編成することとします。
 その下に予算編成のポイントをまとめています。まず1つ目は、受信料をはじめとする収入増加の確保です。受信料については、支払率と衛星契約割合を向上させて増収を確保することとします。
 また、副次収入など、その他の収入についても適正な規模の予算とします。
 2つ目は、コンテンツ制作力強化のため、業務の抜本的な見直しによる経費削減を徹底し、経営資源を重点事項にシフトします。
 これらの受信料の増収や経費削減で確保した財源は、次の(3)の経営計画の重点事項に重点配分します。具体的には、報道の強化やコンテンツの充実、国際放送の強化、8Kスーパーハイビジョンの推進などに重点配分することに加え、4K・8Kの取り組み強化や、情報システムのセキュリティ強化などにも的確に対応していきます。
 最後の(4)の将来に備えた財政基盤の確立としましては、東京・渋谷の放送センターの建替え等に備えた建設積立資産への繰入れを行うほか、財政安定のための繰越金についても、一定規模を維持することとします。
 2ページ、3ページは、28年度の重点事項です。経営計画で掲げた5つの重点方針の中に、28年度の固有の事項や後発事象への取り組みとして3つの項目を追加しています。
 1つは、(1)「判断のよりどころとなる正確な報道、豊かで多彩なコンテンツを充実」の4つ目に、28年度に開催されるリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送と第24回参議院議員通常選挙放送の実施を追加しました。
 次に、(3)「新たな可能性を開く放送・サービスを創造」の3つ目に、「4K・8K」という文言を追加しました。
 今後は4Kと8Kを一体としてスーパーハイビジョンを推進していくこととします。
 3つ目は、(5)「創造と効率を追求する、最適な組織に改革」の中ほどに記載した「情報流出防止・放送継続を目的としたシステムのセキュリティ強化」です。日本年金機構の個人情報流出等を踏まえ、システムのセキュリティ強化を重点的に実施していきます。
 続いて4ページ、5ページをご覧ください。ここに28年度の収支構造案をお示ししています。
 4ページに収支構造の考え方をまとめています。5ページの収支表とあわせてご覧ください。
 まず、事業収入全体では、受信料の増収や関連団体からの受取配当金の増等により、27年度に対して185億円の増収、率にして2.7%の増となる7,016億円規模としており、収入としては初めて7,000億円を超えました。
 このうち、受信料につきましては、受信契約の増加等で150億円の増収、率にして2.3%増の6,758億円を見込んでいます。
 28年度の営業目標につきましては、5ページの収支表の摘要欄にありますとおり、契約総数で50万件の増加、未収数で11万件の削減、衛星契約数で63万件の増加を計画しています。
 この結果、28年度末の支払率は78%、衛星契約割合は50%の達成を見込んでおり、中でも衛星契約割合は、経営計画から1年前倒しで50%を達成する計画です。
 その他の収入では、特例配当の実施を含めた関連団体からの受取配当金の増等で35億円の増収を見込んでいます。
 事業支出については、業務全般にわたる見直しを今後詳細に実施して、80億円から100億円規模の経費の削減を行う一方で、経営計画の重点事項への重点配分や4K・8Kの取り組み強化、情報システムのセキュリティ強化などを行うことにより、27年度に対して167億円の増、率にして2.5%の増となる6,936億円規模とします。
 以上により、事業収支差金は経営計画と同規模の80億円を確保し、全額を建設積立資産に繰り入れます。
 次に、この収支構造を経営計画と比較しますと、5ページ右側の緑色の表にありますとおり、事業収入は受信料の増収や受取配当金の増等で46億円の増を見込んでいます。この増収分は、4K・8Kの強化や情報システムのセキュリティ強化など、後発事象への対応に使用することとし、事業収支差金は経営計画と同額の80億円としています。
 なお、28年度の要員体制については、既存業務の見直しにより100人規模の削減を行う一方で、新たな事業への対応や2020年の東京オリンピック・パラリンピックの放送対応を見据えて新たに要員措置を行い、全体では31名増の10,273人に体制を強化する予定です。
 5ページの一番下は、建設積立資産と財政安定のための繰越金の状況です。28年度末の建設積立資産は1,490億円、財政安定のための繰越金は729億円を見込んでいます。
 6ページは、建設費の予算規模についてです。
 ページ上の囲みに建設費の考え方をまとめましたが、28年度は、8Kスーパーハイビジョン設備の整備や地域放送会館の整備、老朽設備の更新など経営計画で予定した設備投資を着実に行い、さらに4K設備の強化と情報システムのセキュリティ強化のための整備を実施します。
 28年度の建設費の規模は、下の青色の棒グラフでお示ししたとおり、映像ファイル交換ネットワークの整備が28年度で終了することで減となる一方、地域放送会館整備や4K設備の強化、情報システムのセキュリティ強化などで、建設費全体では、27年度に対して23億円の増の828億円とします。
 右側にある緑色の棒グラフの28年度経営計画との比較では、赤色の4K設備の強化8億円と、オレンジ色の情報システムのセキュリティ強化13億円をあわせた21億円を後発事象への対応として増額するという考え方です。
 最後に7ページは、28年度予算編成に関する経営委員会の今後のスケジュールです。
 次回は、11月24日に「予算編成方針」として、予算編成にあたっての具体的な考え方や主な予算科目の概要を説明いたします。
 12月8日には「収支予算編成要綱」をご説明します。ここでは、事業計画の詳細や予算の科目別内訳などをお示しして、そこでの審議を踏まえて予算書を作成していきます。
 12月22日の「政府予算案に基づく収支予算の調整等」では、国際放送交付金等の予算額に変更がある場合の調整についてご説明いたします。
 これらの審議を経て、年明けの1月12・13日の経営委員会で、放送法施行規則の記載事項に則って作成した「収支予算、事業計画及び資金計画」、いわゆる予算書を審議・議決して頂きたいと考えております。

 (上田委員)

 4ページの(1)収支構造の考え方の2つ目に、「事業支出は、業務の見直しによる経費の削減と経営計画の重点事業への重点配分」と記してありますが、今後予算を作成する上では、思い切った経費の削減と重点事項への重点配分というメリハリのきいた予算を作成していただきたいと思います。この80億円から100億円の経費削減というのは、既にこの程度の規模という何か目安があるのでしょうか。今後、しっかりと業務の見直しを行って、どれぐらい削減できるのか。パーセンテージで見ますと、総事業支出に対して1%台と非常に微々たる割合です。もちろん簡単に大きな削減というのは困難を伴うことがあると思いますが、今後こういう予算編成の過程でいろいろな説明をしていただく中で、どういう業務の見直しをやって、こういう削減が出てきたんだと、ぎりぎりのところまでこういうことをやりましたというご説明をしていただき、削減できるところは削減し、必要なところにはしっかりと重点配分していくという姿が見えるような形の予算にしていただきたいし、そういう説明をぜひお願いしたいと思います。

 (福井専務理事)

 この想定の80億円から100億円というのは、とりあえず各部局から提案を単純に積み上げたものです。これから予算編成の過程でスクラップ・アンド・ビルドを進める中で、もう少し削減規模は大きくなると思います。予算編成方針の段階で具体的にご説明できると思います。

 (上田委員)

 よろしくお願いします。

 (長谷川委員)

 2つ質問です。まず、1点目は、1ページ「1.平成28年度予算編成の考え方」に(1)から(4)まで記載されていますが、やはりこれからの考え方として、(2)「コンテンツ制作力強化のため、業務の抜本的な見直しで経営資源のシフトを推進」が大目的として一番大きいという印象ですが、そういう印象で間違っていないかどうかということ。2点目は、「コンテンツ制作力強化」とは具体的にどのようなことを考えていらっしゃるのか、どのように予算をつけていくと考えていらっしゃるのかお聞かせください。

 (福井専務理事)

 28年度には、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの開催、参議院選挙、4K・8Kの番組制作の強化などがあります。具体的には、放送総局で来年度の番組改定の考え方の整理をしております。特にBSプレミアムでは大型企画の番組なども想定しており、それらの番組編成と合わせて今財源の割り振りをやっています。

 (板野専務理事)

 まだ具体的にはなっておりませんが、基本的な考え方としては、平日の夜間を強化していきたいと思っております。NHKは受信料を頂戴している組織ではありますが、たくさんの、いろいろな方に見ていただく努力をすることが必要であると思っています。そういった観点から、平日の夜間を強化していきます。そのためにも努力して予算をつくっていきたいと考えています。

 (長谷川委員)

 わかりました。ありがとうございます。

 (森下委員)

 3ページの(5)「創造と効率を追求する、最適な組織に改革」の5つ目にセキュリティの強化について記されていますが、これは非常に大事なことです。内部監査の報告を伺っておりますと、セキュリティに対する意識については、どうしても各放送局の中で、重要な情報が入っている機器などの管理がなかなか完璧にいっていないように感じますし、台帳への記載漏れなどが結構あるようです。昔のカセットテープなど目に見えやすいものはよいのですが、小さいものは紛失することのないように、しっかりと管理していただかないといけない。システムのセキュリティ強化については、ぜひセキュリティの管理意識を一層浸透させることをしっかりとやっていただきたいと思っております。

 (浜田技師長)

 ありがとうございます。今おっしゃっていただいたところは、鋭意取り組んでいるところです。内部監査報告の内容につきましても、例えば、情報システム局からITレポートを各局に配信して、セキュリティー強化のための取り組みについて一つ一つ周知をするなど、徹底しているところです。

 (室伏委員)

 ただいまの質疑に関連することです。例えば、本体だけではなく、関係しているさまざまな子会社などにもぜひセキュリティ意識の向上ということを図っていただきたいと思います。

 (浜田技師長)

 ご意見、ありがとうございます。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 (浜田委員長)
 本日の議題は以上ですが、全体を通して何かご意見はありますか。

 (室伏委員)

 先日、日本賞の授賞式に出席させていただきました。いろいろと感動したことがございました。特に、番組の制作資金を援助する企画部門があることを、ずっと存じ上げずにおりましたが、企画部門があることで制作資金不足に悩む開発途上国などの方々が非常に優れた番組をつくることができるという、本当にNHKが世界に対して大きな貢献をしている一つの事例だと、大変感動いたしました。

 (美馬委員)

 その授賞式のレセプションに私も出席させていただきました。私自身、日本賞の審査員の経験もあり、日本賞は1965年、50年前に世界の優れた教育番組を表彰するということで始められた、すばらしい賞だと考えています。今回、特にここであえて皆さんにお話ししようと思ったのは、50年を迎えるに際し会長賞が設けられ、それを受賞されたミルトン・チェン氏の受賞のあいさつについてです。チェン氏は、「世界でいろいろな紛争が起こっている時代にあって、マスウエポン、大量破壊兵器がある中で、それに対抗する、あるいはそれを克服していくにはマスメディアの力が有効である。特にマスメディアの教育番組というのが大きな力を持っている。そこを期待したい。」という趣旨のことを述べたと本人からお聞きしました。そういう時代にあって、NHKの役割は、日本だけにとどまらず世界的に大きな意味を持っていくものだと思います。そのことで会長からご感想をお伺いしたいと思います。

 (籾井会長)

 美馬委員からご紹介がありましたように、本当に世界各地から皆さまがお見えになって、それぞれ教育番組をつくって、各国の人が意識している問題点を番組にしているというのは非常におもしろいと思いました。世界には人種差別の問題というのが相変わらずあり、オランダから応募された人種差別を取り上げた「キミの心の“ブラック・ピーター”」という作品がグランプリを受賞しました。それは、オランダのクリスマスには欠かせない伝統的なキャラクターについてのオランダ人の差別意識に関する作品でした。スウェーデンは、民主主義とは何かを考えさせる番組で青少年向けカテゴリー部門で最優秀賞を受賞しました。日本で受賞したのは、NHKの「デザインあ」という番組で、非常に好感を持って迎えられておりました。私が、一番大事だと思うのは、企画部門があることです。お金がないので自分たちでつくれないけれども、応募していただいた中から最優秀と優秀賞を選び、制作費として賞金を贈っています。去年、企画部門賞を差し上げたナミビアの制作者は、「ミーアキャットの冒険」という番組をつくって、今会期中に上映していただきました。今後も続けていきたいと思いますので、よろしくご支援をお願いしたいと思います。

 (美馬委員)

 もう一点、別の話です。インターネットの同時配信の試験的提供が始まったばかりですが、反響や声についてお聞かせください。私は、自宅のPCとモバイルで実際に使ってみましたが、ユーザーインターフェースや画質にかなり問題があると思いました。特にユーザーインターフェースについては、さまざまな方がいろいろな状況でお使いになるということから、ユーザーの立場に立った開発、ユーザー・センタード・デザインをぜひ進めていただきたいと思います。

 (井上理事)

 ちょうど試験的提供をして、10月19日から、予定している4週間のうちも1週間余り経ちました。4週間を終えたところでまとめてご報告したいと思います。いろいろな反響が来ております。われわれが今回試験的提供で目標としておりますのは、いろいろな課題を抽出したり共有したいということです。ネットでの著作権との関係から、いわゆる「ふたかぶせ」と言われている、時々「おことわり」の静止画像が出て何も映らない、音も出ないという状態となる割合が10%余りあることや、今おっしゃられたように、これから利用が多くなると画質との関係をどうするかというようなところも出てきます。また、どういった年齢層に、どういった時間帯に見られているのかを把握するための、非常に意義のある実験だと考えております。また、ご報告させていただきます。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成28年1月26日    

浜 田 健一郎

 

上 田 良 一