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第1212回
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平成26年5月16日(金)公表

日本放送協会第1212回経営委員会議事録
(平成26年4月22日開催分)

第1212回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1212回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成26年4月22日(火)午後1時30分から午後17時00分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  浜 田 健一郎 上 村 達 男 上 田 良 一
    中 島 尚 正   長谷川 三千子 百 田 尚 樹
    本 田 勝 彦   美 馬 のゆり 宮 田 亮 平
    室 伏 きみ子   渡  惠理子  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  籾 井 会 長 堂 元 副会長 塚 田 専務理事
  吉 国 専務理事 石 田 専務理事 木 田 理 事
  久保田 技師長 板 野 理 事 上 滝 理 事
  福 井 理 事 下 川 理 事 森 永 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室 21階役員会議室

 

<議   題>

○今後の議事運営について

 

付議事項

1 平成26年度標準役員報酬について(資料)

 

2 平成26年度経営委員会委員報酬について(資料)

 

3 理事の任命の同意について

 

4 委員長報告

 

5 監査委員会報告

 

6 議決事項

 (1) 協会国際衛星放送の廃止について(資料)

 (2) NHK情報公開・個人情報保護審議委員会委員の委嘱について(資料)

 

7 報告事項

 (1) 平成25年度第4四半期業務報告(資料)

 (2) 平成25年度契約・収納活動結果(資料)

 (3) 平成25年度決算の速報(資料)

 (4) 視聴者対応報告(平成26年1〜3月)について(資料1)(資料2)

 (5) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

 

 

議事経過

 

 浜田委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

1 平成26年度標準役員報酬について(資料)

 (浜田委員長)
 平成26年度標準役員報酬についての議題に入ります。
 本件は、前回の経営委員会で執行部から議案が提案され、経営委員会で継続審議として預かっているものです。前回提出された議案は、ご承知のとおり、昨年度と同じ内容です。経営委員会で決定している役員の年間の業績評価を翌年度の報酬額に反映する際に、その変動幅を標準額のプラスマイナス10%の範囲内とする方針を踏まえて検討したのかどうかを、前回、私から質問しましたが、必ずしも明快な答えはありませんでした。本日、執行部から修正案が提示されていますので、後ほど籾井会長から議案を説明いただく予定です。
 その前に、前々回、前回と、意見交換をしてきたことを踏まえ、評価・報酬部会長である上田委員からお考えを伺おうと思います。なお、本件、標準役員報酬は、評価・報酬部会の審議事項ではありませんが、関連する事項として、上田委員に検討をお願いしていたものです。
 (上田委員)
 それでは、本日の審議に当たり、これまで皆さまからいただいた意見を踏まえ、検討した案をご説明いたします。
 まず、標準役員報酬の月額報酬、期末報酬については、結論的に、昨年度と同額とする考え方でご提案させていただきたいと思います。
 ご存じのとおり、NHK予算の国会審議における附帯決議におきまして、受信料で運営されている特殊法人である協会は、役職員の給与制度について、国民・視聴者に対する説明責任を果たすことを求められております。そうした中で、昨年度と同額にしようというご提案をさせていただく背景・理由は以下のとおりです。
 役員報酬は、不祥事が発覚した後の平成17年度に15%と大きく減額したほか、複数回にわたり減額してきており、業績が回復している現在も増額はしておりません。これが第1の理由です。
 一方、管理職もこれまで減額を行ってきましたが、役員のように大幅な減額ではないこと、また、一般職は基本的には減額を行ってこなかったため、役員報酬と管理職・一般職との処遇の差が小さくなっているのが現状です。これが第2の理由です。
 第3として、NHK職員の給与は昨年度より5年で約10%の引き下げを行うことにしましたが、これは、年功序列的な要素を抑え、努力や成果をより反映させるよう、給与制度を改定する中で出てきた数字であり、役員報酬を昨年2%から3%引き下げたことは基本的には違う考え方に立脚しているということです。
 最後の理由としては、NHKの役員報酬額は、同業他社や他の公共性の高い企業、あるいは国家公務員の役員報酬と比較して、決して高いものではなく、また、昨今の経済状況が好転していること等を考慮しますと、昨年度と同額であることは妥当であり、十分説明責任が果たせると考えていることです。以上の理由により、昨年度と同額とする案が妥当ではないかと考えております。
 続いて、前年度の業績評価を踏まえた報酬額への反映についてです。
 まず、役員の業績評価は6月から7月に評価方針を決定して、新年度の役員目標をヒアリングします。そして、各役員の目標の達成度について、翌年5月に年間総括ヒアリングを行い、業績評価を議決し、その結果を上期期末報酬に反映するという流れになっています。
 現在審議しているのは標準役員報酬ですが、ここで月額報酬や期末報酬を定めるとともに、年間の業績評価を具体的にどのように報酬に反映するかを審議、議決します。
 業績評価の報酬への反映については、経営委員会において昨年7月に「NHK役員の業績評価制度の概要」で、報酬額の変動幅は標準報酬額に対してプラスマイナス10%の範囲内という方針を決定していますので、私といたしましても、これを最大限尊重して審議すべきと提案します。昨年、この方針を議論した際には、経営責任者である会長以下執行部役員は、協会の業績や個人の業績に対し、きちんと責任をとるべきであろうという意見があり、メリハリをつけた業績評価を行う目的で、この方針が定められています。今回の審議においては、その趣旨を十分に考慮すべきものと考えます。
 本日の議案を見ますと、「年間報酬額の10%を上限に増額または減額することがある。ただし、減額は期末報酬額を限度とする」という記載があり、今、私が申し上げた観点を考慮した修正提案がなされるのではないかと考えております。
 参考までに、この期末報酬額を限度とするということになると、全額減額した場合には、会長が9.1%、副会長が9.2%、専務理事9.3%、理事9.5%となり、10%には届きませんが、9%近くの減額になります。私からの説明は以上です。
 (浜田委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま上田委員にご説明いただきました考え方について意見交換をしたいと思います。
 特になければ、籾井会長に入っていただき、説明を受けたいと思います。

 

 <会長入室>

 

 (浜田委員長)
 標準役員報酬については、前回4月8日の経営委員会で執行部より提案を受け、継続審議事項としていましたが、本日、執行部より修正案が提出されておりますので、籾井会長より説明を受けたいと思います。
 (籾井会長)
 平成26年度の標準役員報酬については、前回の経営委員会における委員長からのご発言を受け、修正案を提案したいと思います。提案に当たり、平成25年7月9日に経営委員会から、NHK役員の業績評価制度の中で、報酬額の変動幅は標準報酬額に対してプラスマイナス10%の範囲内とするとの決定を受けており、その趣旨を踏まえ、注記の部分について修正いたしました。
 なお、減額については、年間報酬の10%とすると期末報酬額を上回る場合が想定されるため、「減額は期末報酬額を限度とする」としました。役員報酬については、例年、定款第2章第13条(1)チの規定により、経営委員会で議決いただいております。以上、ご審議をよろしくお願いいたします。
 (浜田委員長)
 委員の皆さまから異議はありますか。

 

 −異議なし−

 

 (浜田委員長)
 それでは、議決に当たり、私から一言申し上げたいと思います。
 経営委員会では昨年、役員の業績評価の方針を検討した際に、「役員の業績評価を翌年度の報酬額に反映させる。報酬額の変動幅は標準報酬額に対してプラスマイナス10%の範囲内とする」ことを決定いたしました。この方針は、経営の責任者である会長以下執行部役員は、協会の業績や個人の業績に対してきちんと責任をとるということを意図しており、よりメリハリをつけた業績評価を行うことを目的として定めたものです。
 また、NHK職員の給与は昨年度より5年で約10%の引き下げを開始しましたが、これも努力や成果を適切に反映することを目的とした制度改革の一環で行っているものと認識しています。
 本日、籾井会長から説明を受けた案は、業績評価結果をきちんと報酬に反映させるという意味で、経営委員会で定めた方針、および、職員給与制度についての改革の取り組みの趣旨を、ともに踏まえたものと理解しています。
 採決の結果、原案どおり議決。

 

<会長退室>

 

 

2 平成26年度経営委員会委員報酬について(資料)

 ※議事に先立ち、評価・報酬部会を開催し、平成26年度経営委員会報酬について審議した。

 

 (浜田委員長)
 それでは、経営委員会として審議を行います。
 (上田委員)
 ここまで経営委員間で確認した意見を踏まえ、また、先ほど審議していただいた執行部役員の標準報酬の検討方針も念頭におき、評価・報酬部会としては、経営委員会委員報酬は前年度と同内容で経営委員会に提案させていただきます。
 昨年度と同額とする案を出す理由として、一つは、経営委員会委員報酬も役員報酬と同様、不祥事が発覚した後に大きく減額しています。具体的には、平成17年に20%、平成18年に10%減額しています。
 また、経営委員会委員報酬は他の公共性の高い企業や国家公務員等の役員報酬と比べて決して高くなく、また、昨今の経済状況が好転しつつあること等を考慮すると、昨年度と同額であることは妥当であり、十分説明責任を果たすことができると考えます。
 以上の理由により、昨年度と同額でご提案させていただきたいと思います。
 なお、経営委員会委員報酬の提案はご説明したとおりですが、出張時の日当について、あわせてお諮りします。経営委員の出張は具体的には「視聴者のみなさまと語る会」がほとんど全てですが、日当は平成21年に廃止されております。今回の提案は、現在の執行部役員や監査委員の日当と同額、すなわち、1日3,000円の日当を支給するよう改正しようというものです。なお、執行部役員や監査委員と同様、日帰り出張の場合は日当の支給はありません。
 これまでにも委員の方々から意見があったように、経営委員が経営委員会に関係する業務で出張する場合に日当を支給することは妥当であり、むしろ支給しないことのほうが不自然であると考え、提案をさせていただきます。

 (浜田委員長)

 ただいまの議案に対して異議はありますか。

 (上村代行)

 異議はありませんが、将来のことを考えますと、理事は、もともとここで仕事しており、地方に行ってもそれが仕事で、それでも日当を支給していたわけですね。我々非常勤の経営委員は、本務を抜けて来るわけですから、もっと高くていいのではないかと思います。これはちょっとした感想です。

 (本田委員)

 今回はこれでいいのですが、非常勤の経営委員の報酬に期末手当は不要ではないかと思います。執行部にあるのは当然ですが、社外取締役にしても、普通は、賞与はないのではないでしょうか。

 (上村代行)

 年俸という考え方ですよね。

 (浜田委員長)

 これは、制度設計の問題ですね。現在の制度は日当の考え方を基にした月給制の設計になっていると思います。

 (本田委員)

 ある意味では委員手当ということではないかと思います。 常勤の場合は当然考えなければいけませんが、普通は委員手当であって、日給というような発想とは違うと思います。きょうの提案はよいですが、これからの課題だと思います。

 (浜田委員長)

 水準的には、世間の社外取締役と比較して高くないと思いますが、制度設計に問題があるというのであれば議論しなければいけないと思います。

 (上村代行)

 これは、考え方の根本にかかわっています。年俸制にした場合は、モニタリングだから社外取締役の報酬は年俸で決まり、仮に執行が何かの責任で減額しても、こちらは減らさないのです。しかし、今までずっと報酬を減らしてきており、そこで期末手当の部分をなくすということは、全体の考え方そのものと関わります。

 (中島委員)

 期末報酬のことですが、役員は業績評価を伴いますよね。経営委員の場合はどうなのでしょう。

 (浜田委員長)

 ありません。

 (中島委員)

 業績評価の伴わない期末手当が社会的に容認されてきたのですか。

 (浜田委員長)

 過去の制度設計がどうしてこうなっているかを調べてみて取り扱いを相談しましょう。

 (上村代行)

 執行部は業績対応型報酬なので変動がありますが、我々は、それがないので、もう固定でよいのではないでしょうか。

 (宮田委員)

 日帰り出張はなぜ日当がないのでしょう。

 (上田委員)

 今の執行部の出張、日当支給と同じにしました。同じである必要があるかというご意見はあるでしょうが、とりあえず一緒にしました。

 (百田委員)

 民間の会社はいわゆる出張手当が出る。出張しない場合は本社で働き、出張があればプラスされるのですが、経営委員、特に非常勤委員は、その日を新たに使い、本来別な仕事ができる時間を潰して行くわけです。

 (上村委員)

 報酬獲得の機会を失わせているのですよね。それと、中島委員がおっしゃった点ですが、例えば、監査というのはもめ事があると仕事が増えます。たくさん仕事すれば業績報酬が増えるというと、もめ事があれば増えることになりますね。

 (中島委員)

 私は、評価をすること自体無理があるようなので、制度を見直すほうがよいと思います。

 (浜田委員長)

 そのようにするのがよく、一般社会に合わせたほうがいいのかもしれません。ただ、過去、この制度設計ができたときの理由もあると思います。

 (本田委員)

 宿泊1万5,000円も非常に役所的だという感じがします。普通は実費です。

 (浜田委員長)

 地方でもこれぐらいかかりますね。

 (美馬委員)

 東京でも1万5,000円が上限です。

 (本田委員)

 東京だともっとかかるのではないでしょうか。

 (浜田委員長)

 そういう実態もあると思います。

 採決の結果、原案どおり議決 。

 

 

3 理事の任命の同意について

 

 <会長入室>
 (籾井会長)
 定款第38条3項の規定に基づき、板野裕爾、福井敬の2名を理事に再任、新たに井上樹彦、浜田泰人の2名を4月25日付で理事に任命したいので、ご同意いただきたくご審議をお願いします。
 新任理事2名についてご紹介します。
 井上樹彦は昭和55年の入局、記者出身で政治部時代には外務省キャップや官邸キャップを歴任し、平成17年からは3年間政治部長として第44回衆議院選挙などの取材を指揮しました。その後、編成センター長や編成局長を務め、東日本大震災の復興を支援する番組の編成等に携わりました。浜田泰人は昭和55年の入局、技術出身です。パリ支局、労務・人事室、編成局や名古屋放送局技術部長などを歴任、現在、技術局長を務めております。地上デジタル放送の全国展開やアナログ放送の終了、東日本大震災で被災した放送設備の復旧や全国の緊急報道設備の強化にも取り組みました。技術業務の経験が長いだけでなく、管理部門や海外、そのほか幅広い職務経験を積んでおり、周囲からの信頼も非常に厚い人物でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

 (浜田委員長)

 ただいまのご提案に対して、ご意見、ご質問ございましたらどうぞ。

 (上村代行)

 放送法施行規則で「委員長は、経営委員会の招集の通知を行うときは、原則として、事前に十分な時間的余裕をもってそれを発出するものとし、付議すべき事項その他参考となるべき事項を明確にするものとする」となっており、従来から事前に経営委員会に知らせる慣例があります。役員の担当について前歴との比較対象がよくわかりません。きょう同意を求めるというのはあり得ないと思います。

 (籾井会長)

 事前に出すことにより、人事の情報が漏れていたことが過去にあり、情報管理を重要視したいということは、以前申し上げました。今回については、提案は2名です。ここで経歴等を読んでいただいてもよろしいかと私は思います。担当についてはご参考としてお示ししていますが、これは会長が決めさせていただくことで、同意人事の付帯事項ではないと理解しています。

 (上村代行)

 それは誤った理解です。経営委員会には、議決事項や、さまざまな審議事項等がありますが「会長は協会を代表し、経営委員会の定めるところに従い、その業務を総理する」という大原則が第51条にあります。経営委員会は任命だけということは、職責・分担がない役員を前提としていることになり、放送法の理解が誤っていると思います。

 (籾井会長)

 私はそうは思いません。放送法では「副会長及び理事は、経営委員会の同意を得て会長が任命する」とあります。それから、担当については、私は会長の専権事項と理解しておりますし、従来からもそのように説明してきたと聞いています。

 (上村代行)

 経営委員会は業績評価を行っています。理事一人一人について、何を分担しているかということを前提にし、それに応じて業績評価をする。その業績評価を踏まえて報酬を決め、それを踏まえて人事する。これは当然の進め方ではないでしょうか。

 (籾井会長)

 これは執行の問題です。経営委員会は執行の問題にはタッチしないということです。

 (上村代行)

 経営委員会の決議事項は、業務執行の基本方針しかり、執行事項ばかりではないですか。

 (籾井会長)

 委員長の意見を求めたいと思います。今まで担当のご了解までいただいたのでしょうか。従来は理事の任命をし、同時にそのときにご参考までにこの担当表を示したということです。

 (上村代行)

 過去の例といっても、それは信頼関係があったからです。

 (籾井会長)

 信頼関係がないからだめという話ではなく、権限の問題なのではないですか。

 (上村代行)

 経営委員会は、会長を罷免することもできる機関です。監視監督だし、経営委員会の決議事項には業務執行の重要事項はほとんど全部入っているのです。放送法第51条1項です。

 (浜田委員長)

 ほかの方のご意見も頂きましょう。

 (美馬委員)

 以前会長に、こういう経営方針で、こういうことをやりたいから、今この人をこの担当にするという資料の提出を約束いただきました。会長のお考えがあって、そして人事の評価をされての今回の人事のご提案なのだと思います。その理由・背景などわかるような資料がないと、先ほどのご説明とこの担当の資料だけでは判断しかねます。この間お約束いただいたものが一緒に出てくると思っていました。

 (籾井会長)

 きょうは出していません。

 (美馬委員)

 それと人事の提案はセットだと思います。

 (籾井会長)

 そうは思いません。これは私の専権事項ですから。任命の同意をお願いしているわけです。

 (上村代行)

 会長が考えている理事とは何の担務もない理事なのですか。

 (籾井会長)

 ですから参考として担当の資料をお出ししているのです。

 (長谷川委員)

 あまり生産的ではない議論になっている気がします。我々も初めて見ているわけですから、当然、質疑応答、コミュニケーションがあれば、随分補えるのではないかと思います。美馬委員がお尋ねになったようなことに関して、今ここで、普通に虚心坦懐にコミュニケーションをとって、この理事のどういうところが担当にふさわしいか説明をいただきたいとか、そういう質問でコミュニケーションを図ることに時間を使ったらいかがでしょうか。

 (本田委員)

 担務も非常に大事なことです。意思疎通をよくするためにも、ひと言説明のときに、井上さんはこういう人で、こういうことをやってもらいます、浜田さんにはこういうことをやってもらいますと、そう言ったらお互いがわかってくるわけです。権限問題のようなことではなく、経営委員も会長もNHKをよくしようと思っているわけですから、こういう論争をするよりも、できるだけ親切丁寧な説明をお願いします。

 (籾井会長)

 そのとおりです。改めてご説明します。塚田専務理事は、長い間、経営企画担当で、今年度予算についても、非常に検討していただいたということで、5年目になりますが留任していただきます。
 吉国専務理事には、関連事業でやり残していることがあるということで、やはり5年目で異例ですが、継続して頂きます。
 石田専務理事は、過去2年間放送総局長を担当している際に偏向放送など、いろいろなことを経験し、今度は番組の考査業務統括を担当していただき、コンプライアンスも統括していただきます。
 板野理事は、もともと経済部の記者です。非常に、ある意味ではシビアな方ですが、全体のバランスということも含めて、彼に放送統括をやっていただきます。
 木田理事はドラマのオーソリティーです。余人をもってかえがたいということで、引き続き放送統括補佐をやっていただくことにしました。
 福井理事は経理・財務のエキスパートです。今までは経理・財務に加えて営業をやっていただきました。今度は人事・労務を担当してもらいます。
 下川理事は、従来どおり放送統括補佐ということで、アナウンス、デザインセンター、制作部門を担当していただきます。
 森永理事は、従来は放送統括補佐の中でも国際放送担当でしたが、今度は報道を担当してもらいます。大事な部門ですが、理事の経験が生かせると思います。海外総支局もお任せします。
 井上氏は、ずっと政治畑の人でございます。経営企画は非常に大事な部門だと思っており、そういう意味でフレッシュな気持ちで経営企画ということをやっていく。先ほど美馬委員から質問のあったことを、きちんと描いていただくということです。
 浜田氏は、技術の生え抜きです。久保田技師長の後任としてふさわしい方だと思います。

 (浜田委員長)

 私のほうから少し申し上げます。私も理事の担当案をきょう初めて見ましたが、今までのいろいろな国会での議論、経営委員会との議論、それらを踏まえて熟考された結果として提出されていると感じています。

 (美馬委員)

 いま会長は、「石田専務理事はこれまで偏向放送の中で放送総局長としてやってきた」というように発言なさいました。会長は偏向放送があったとお考えなのですか。

 (籾井会長)

 偏向放送があったと言われている、そういう経験も持っておられるということであり、偏向放送があったと申し上げているわけではありません。

 考査は、制作から放送までをつかさどっている人が、一番ポイントがわかるわけです。偏向というのは必ずしも政治的な偏向だけではないです。いろいろな物の見方というのを、もう少し正していこう、放送法にのっとって、公正・公平をきちんと守れるようにするという意味で、非常に重要なポストです。放送法を守りますということ、すなわち第1条から第4条、ならびに第15条、放送の自律、誰からも何人からも干渉されないということをきちんとマネジメントできる人がいいと思っており、放送総局長経験のある石田専務理事は適任です。番組の考査ということは本当に難しいです。それを理解していただければありがたいと思います。

 (上村代行)

 NHKの番組を評価する手法は、「視聴者のみなさまと語る会」「番組審議会」「モニター」「14指標」の世論調査などいろいろあります。そういうNHKが持っている固有のシステムの中で偏向があるなどの批判があれば、それはまともに正面から受け止めなければいけない。しかし、そういうチャンネルからは、そういう声はほとんど出ていないです。偏向放送だと言われているというのは、誰が言っているのですか。

 (長谷川委員)

 今のご発言について意見がございます。我々は、この1月以来、メディアがいろいろな意見を言い、その意見が現実にいろいろ経営に関することに響いてくるということを体験してきました。ですから、偏向放送という意見があったとき、誰がそれを言っているのだという反論は、余り成り立たないのです。偏向放送という印象を持つ人間がいた場合、それにどう対処していくのか、最後は会長のおっしゃるとおり、放送法にのっとって本当にこのとおり公正に事実に基づいて事実をねじ曲げないで放送していますということを言っていくほかないのです。

 (上村代行)

 それはそうです。私は人事の分担表の説明のときに、偏向放送を経験したということを理由にされたから、それはどうですかという意味です。

 (長谷川委員)

 それは、会長がご説明になったとおりでしょう。私はこう理解しました。偏向放送だという批判は非常に厳しくあり、国会でも意見があったわけです。そういう場を経験した人なら、どうすれば一般の視聴者にも偏向放送というレッテルを張られないで、誰の目に見ても公正・公平な番組とわかるような番組がつくれるかがきちんとできる、と理解しましたが、籾井会長、間違っていますか。

 (籾井会長)

 間違っていないです。

 (上村代行)

 偏向というのは右からも左からも言われ、いろいろな価値観や意見があります。それをNHK自身が持っている多様なチャンネルで吸収する努力をしなければいけないし、していると思います。そこで出てきたいろいろな意見を全部謙虚に受け止めるべきだと思います。そうではなく、石田専務理事の分担を説明するに際して偏向放送を経験したという言い方をされているので。

 (長谷川委員)

 現実に偏向放送問題という出来事はあったわけです。

 (籾井会長)

 放送総局長として石田専務理事は放送の一から十までかかわってこられ、どこを考査すべきか、ということを熟知されております。番組をつくる過程で、どこが一番大事か、どこを押さえるべきかがポイントです。石田専務理事には、そこを押さえていただくことを期待しているわけです。
 それから、いろんな指標、アンケート、これも取り込みますが今は年に2回しか実施しておらず、例えば1週間後に放送されるというものには間に合わないのです。それは次のアンケートに、もしかしたら返ってくるかもしれない。そういうことを踏まえて考査をやるのがこの考査業務統括という仕事です。これがやはり難しい仕事です。これはご理解いただきたいと思います。

 (上村代行)

 「視聴者のみなさまと語る会」もあるし、番組審議会もあります。いろんなチャンネルがあります。アンケートだけではなく、いろんなチャンネルがある。

 (籾井会長)

 番組審議会で意見は聞き、それもくみ上げております。同時にNHK独自で、例えば放送法第4条に掲げられていることに対して、視聴者の皆さんがどういうふうに思っておられるかということがわかるようなアンケートもあります。視聴者の期待度と実現度というものも見ています。例えばNHKの受信料は公平かと聞くと、期待度が6割くらいで実現度は4割ぐらいという結果が出ますが、なかなか改善できない。しかし、あまねく日本中に放送を送って、そして皆さんに平等に負担してもらうというものが受信料ですから、やはり今の7割5分前後の支払率、これをいかに高くしていくかというのが我々の仕事の一部でもあるのです。

 (室伏委員)

 新しいお2人と再任の方お2人のうち、3人の方が同じ大学のご卒業、新人お2人は同じ年のご卒業です。こういったことには何かご配慮があったでしょうか。

 (籾井会長)

 NHKのよいところの一つは学閥がないことです。それは、本当にNHKのいいところです。仕事をする人であればいいじゃないかと思います。年次については気をつけております。

 (渡委員)

 以前は国際放送と放送総局の担当が分かれていたのですが、今回お1人に担当させるのは、理由があるのでしょうか。

 (浜田委員長)

 放送総局長は、以前は報道担当で、森永理事が国際放送の担当だった。そこが入れかわっているわけですね。

 (鈴木経営委員会事務局長)

 

 入れかわっています。仕組みは変わっていません。

 (籾井会長)

 森永理事は放送統括補佐で報道を担当し、その下に報道局長がおります。

 (美馬委員)

 今回、担当領域が組み替わっているものが幾つかあります。誰かの後任に誰かを入れただけではなくて担当を組み替えた、その理由がわからないです。籾井会長の経営方針があって、このような組み替えをして配置したという理由があると思います。

 (籾井会長)

 仕事はやはりマンネリというものもあります。そうならずに進む人もいますが、こういう人事は、ローテーションしながらリフレッシュしていくというのが一つのやり方だと思います。例えば、福井理事は、経理・財務のほかに従来は、営業をやっていましたが、今度は営業ではなく、人事・労務をやる。一方、塚田専務理事は経営企画担当でしたが、今度はフレッシュな気持ちで営業をやってもらう。営業は、放送局の中では地味なポジションかもしれませんが、結局お金の源泉はどこにあるかというと、ここにあるのです。これは決して手を緩められないのです。したがって、今度は塚田専務理事にやっていただきます。

 (美馬委員)

 ずっとご説明いただいたわけですが、一人一人の役割のご説明であって、経営方針の全体像が見えません。組織をどのような方向に持っていく必要があるからこのような分担の組み替えをし、その担当を誰にするのだという理由が述べられておらず、理解できません。1か月前にそういう経営方針を出していただきたいとお願いしましたが、本日、経営の方向性のご説明は伺えなかったような気がします。

 (籾井会長)

 そのころは予算審議の対応で余裕がありませんでした。これは弁解になりますが、事実でございます。今後、連休明けにただちに放送局長会議を行い、多分その前に新体制で新3か年計画のキックオフを行います。そこで、みんなと議論して方針を話して決め、経営委員会にご説明したいと思っております。いろいろな議論の中で、みんなで作っていくという方針で臨みたいと思いますので、待っていただけますでしょうか。

 (長谷川委員)

 ある人から、人事はねじることが大事だと言われました。今ご説明いただいた人事は、上手にねじる人事だと思います。美馬委員が求めているのは、「こっちに行く」という、会長の新ビジョンを打ち出せというご提案だと思います。それは非常に大事だと思うのですが、NHKという大きい組織は、夢物語を打ち出してスタートできるものではなく、どう活力を維持するか、組織の体力づくり、活力づくりということが、まずは大事だと思います。

 (美馬委員)

 それは手法であって目標ではないです。

 (長谷川委員)

 経営するということは、まずは組織の体力づくり、活力づくり、これはもうほとんど目標といってもいいくらいで、それがきちんと整った上で初めて目標、大目標ということを描けると思うので、私は今回のこのご提案は、そういう活力ある組織づくりのご提案というふうに受け取ったのです。

 (浜田委員長)

 前回の会長との対話の中でも、いわゆる経営計画の骨子は国際放送、放送と通信の融合、ガバナンス、それからグループ経営、4つぐらいの柱プラスアルファだと、それについては、そんなにそごがない。具体化は少し待ってもいいかと思います。ただ、私は本当に3か年でいいのかなと思います。

 (籾井会長)

 それは、そうですね。

 (浜田委員長)

 多分、放送の節目は東京オリンピック前後に来るので、中期の見通しを持った経営計画が必要だと思います。それから、当然各論に入れば、受信料制度などの話になりますので、簡単に結論の出せる問題ではなく、いろいろな観点から調査・研究が必要であると思います。

 (籾井会長)

 おっしゃるとおり、数字を出す計画は3か年ぐらいでしょう。その後はイメージ的に、例えば融合の問題が3か年の間にどう変わるか、その後どう変わっていくか。8Kとか4Kとか、こういうものがどのように進んでいくとか、そういうことをもう少し見極め、ビジョンは出していきたいと思います。
 東京オリンピックのときには技術的にもいろいろ変わってきます。この時点までには、放送と通信の融合の話をきちんとしなければいけない。そのために、料金をどうする、放送法はどうかなど、いろんなことがありますので、そういうことは盛り込んでいきたいと思っております。ご指摘のとおりです。

 (上村代行)

 先ほど、きょうこの場で提案されたのは、情報が漏れるからという理由でしょうか。

 (籾井会長)

 それ以外にありません。

 (上村代行)

 ルールはそうなっていないのです。「十分な時間的余裕をもってそれを発出するものとし、付議すべき事項その他参考となるべき事項を明確にするものとする。」これは、漏れるじゃなくて漏らしなさいと言っているのです。

 (籾井会長)

 経営委員の方に申し上げるのは構いません。しかし過去は漏れました。今回は漏れてない。

 (上村代行)

 それはつい最近、会長が決めたからではないですか。

 (籾井会長)

 そうです。

 (上村代行)

 早目に事前に通知しなさい、お出しなさいと言っている。

 (籾井会長)

 ポイントは、2週間前に出すかその日に出すかではなく、機密を守るということです。

 (上村代行)

 機密を守るよりも放送法が上です。放送法を順守するのが会長です。

 (籾井会長)

 それはそうですが、やはり人事は漏れてはいけないです。常識として。

 (上村代行)

 でも「事前に説明しなさい」と書いてある。

 (浜田委員長)

 私は委員長として委員会を運営して、やはり25日に任期切れの方が22日に付議されるのは、日程的に無理があったかなと思います。例えば直前の経営委員会ではなく、その1回前という今までの慣例があったわけで、次回は、そこは少し今後話し合いをしていきたい。

 (籾井会長)

 そうですね。

 (浜田委員長)

 例えば同意できないとなったとすると、放送法上、若干問題が生じるわけです。実はそれもシミュレーションしました。そうすると、やはり日程に余裕がないのはまずいのかなと思っています。

 (籾井会長)

 もう少しだけ、報告があります。専務理事についてです。定款35条第2項に、理事のうち会長の指名する若干人を専務理事とするという規定があります。この規定に基づき、板野裕爾を専務理事に指名します。これに伴い、専務理事は、塚田祐之、吉国浩二、石田研一、板野裕爾の4名になります。

 

 以上のやりとりのほか、今回の人事案検討の過程で、会長は、担務について事前にすべての理事の了解を得ていること、また、経営委員の質問に答え、一部の理事に対して辞任を打診していたことについて説明した。
 (経営委員会の規程にのっとり、概要のみ記載)

 

<会長退室>
 採択の結果、理事の任命について原案のとおり同意することを議決

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1211回(平成26年4月8日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成26年4月25日に公表することを決定した。

 

 

4 委員長報告

 (浜田委員長)

 本日、執行部との合同会議の前に開催した経営委員会において、籾井会長同席のもと「平成26年度標準役員報酬」について審議し、本日提出された議案のとおり議決いたしました。
 また、「平成26年度経営委員会委員報酬」については、本日、評価・報酬部会から議案を受け昨年と同額で議決いたしました。
 また、本日、執行部との合同会議の前に開催しました経営委員会において4月25日付での「理事の任命の同意」について籾井会長から提案があり、審議した結果、原案のとおり同意することを議決いたしました。内容は板野裕爾氏の再任、福井敬氏の再任、井上樹彦氏の新任、浜田泰人氏の新任です。あわせて、板野理事を専務理事とする旨の報告がありました。
 以上でございますが、経営委員会として1点申し入れをしたいと思います。やはり今回日程的にかなり時間的制約があり、審議時間が十分とれなかったという嫌いがあります。次回からは、その点を考慮して取り扱いをお願いしたいと思います。

 

 

5 監査委員会報告

 (上田委員)
 平成25年度の経営委員会委員の服務に関する準則の順守についてご報告いたします。
 監査委員会は、4月8日開催の経営委員会の際に、放送法定款および監査委員会規則等に基づき、経営委員会委員に対して、服務に関する準則の順守について、確認書の提出を依頼しました。平成25年4月1日から平成26年3月31日まで、就任時が当年度途中の場合はその就任時からになりますが、その間の経営委員会の業務執行について経営委員会委員12人全員から、それぞれ当準則に基づき行動したとの確認書を受領いたしました。報告は以上です。

 

 

6 議決事項

 (1) 協会国際衛星放送の廃止について(資料)

 (森永理事)
 これは国際放送の受信環境整備に関する案件です。衛星を使った「外国人向け協会国際衛星放送」のうち、スペイン・ポルトガル向けに使っている地域衛星「ヒスパサット1E」の廃止をお諮りするというものです。現行の放送法第29条では、衛星を使った国際放送の開始、休止、廃止については、一律に全て経営委員会の議決事項となっています。本議案の議決をいただければ、総務大臣に対し当該協会国際衛星放送の業務を廃止する認可申請を行います。
 資料1をご覧ください。今回廃止としたい「ヒスパサット1E」の概要を書かせていただいています。NHKは平成23年6月20日からスペインの放送事業者、プリザTV社が運用する「ヒスパサット1E」を使って、外国人向け協会国際衛星放送「NHKワールドTV」の放送を開始しました。続いて平成25年1月からは、ポルトガルの放送事業者ゾンティービーカボ社を通じても放送を始めました。
 NHKでは、プリザTV社と結んでおります「ヒスパサット1E」の中継器の借り上げ契約が、ことし6月19日に満了することから、この契約を継続すべきかどうか検討してきました。その結果、以下の理由で契約を更新しないという判断に至りました。
 まず、視聴可能世帯数の減少です。
 そして、スペインでは、この衛星を廃止しても、プリザTV社が使っている別の衛星のほうが有力な配信手段となっており、およそ140万世帯がNHKワールドTVを視聴することができます。また、ポルトガルでは、ゾンティービーカボ社のケーブルテレビやIPTVのサービスのほか、別の2社が、IPTVでNHKワールドTVを配信しております。
 さらに、両国では、ヨーロッパを広域にカバーするホットバードという衛星を通じても視聴が可能な状況です。現在「ヒスパサット1E」をご利用いただいている方々には、今後、こうしたほかの視聴方法を周知し、廃止による影響を最小限にとどめたいと考えております。
 今回「ヒスパサット1E」を廃止した結果浮いた予算は、アメリカなど優先順位の高い地域での受信環境整備やプロモーション活動などに振り向け、貴重な受信料収入をより効果的に運用したいと考えています。
 「NHKワールドTV」が本格的な24時間放送を開始して5年が経過し、世界の広範なエリアをカバーするに至りましたが、その一方で、各国・地域のメディア状況は刻一刻と変化しています。変化に柔軟に対応し、限られた予算でより効果的に衛星を利用することが重要であり、そのためには必要に応じて随時、整備の内容を見直す必要があります。ご審議をよろしくお願いいたします。

 (中島委員)

 代替措置として別の利用できる衛星が2種類あるのですね。
 それらを使って視聴できるという説明でしたが、現在でもこれらの衛星で視聴している視聴者がいるのですか。それともこれから周知徹底させるということでしょうか。

 (森永理事)

 これから周知をしていきますが、このプリザTV社は今回廃止する衛星とは別に、非常に人気が出てきている衛星を使っています。その衛星が、ハイビジョン放送であることや、チャンネル数が多いなど、より魅力的なサービスを提供しています。同じプリザTV社内で移ることができ、ほかの衛星も使うことができるのでカバーは十分できると判断いたしました。

 (中島委員)

 ぜひ多くの視聴者を確保してほしいと思います。

 

 採択の結果、原案どおり議決。

 

 (2) NHK情報公開・個人情報保護審議委員会委員の委嘱について(資料)

 (上滝理事)
 NHK情報公開・個人情報保護審議委員会委員の再委嘱について議決をお願いします。
 この審議委員会は、NHKに情報開示を求めた視聴者が、NHKの不開示などの判断に不服を申し立てた場合に、中立的な立場から意見を述べる第三者委員会です。審議委員は5人で、すぐれた知見を有し、公正な判断ができる方の中から、経営委員会の同意を得て会長が委嘱しています。審議委員のうち斎藤誠委員が4月末に任期切れを迎えます。5月1日付で斎藤委員の再委嘱をお願いしたいと考えています。任期は2年です。
 斎藤氏は、平成24年5月から審議委員会委員として、また、25年4月からは委員長代行として務めていただいています。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授で、行政法、地方自治法などがご専門です。その豊富な知識と高い見識から、審議委員会では毎回積極的に発言され、NHKの 情報公開に対して貴重なご意見をいただいています。
 審議委員の委嘱は、定款第13条1項1号のノの規定により、経営委員の議決事項になっています。以上、よろしくご審議をお願いします。
 採択の結果、原案どおり議決。

 

 

7 報告事項

 (1) 平成25年度第4半期業務報告(資料)

 (籾井会長)
 平成25年度第4四半期の業務報告をいたします。この第4四半期業務報告は、平成25年度の年間の総括となります。
 平成25年度は、3か年経営計画の2年目にあたりますが、4つの重点目標に沿った取り組みが大きく進展しています。首都直下地震などの際に本部の代替機能を果たす大阪局や、さいたま局の整備がほぼ完了し、また、去年9月には、ハイブリッドキャストのサービスをスタートさせたほか、8K・スーパーハイビジョンを推進するための取り組みを加速させています。          
 営業面では、受信料収入、支払率、営業経費率など全てにおいて、年間目標を達成する見込みになりました。報告書に沿って、塚田専務理事から報告してもらいます。
 (塚田専務理事)
 別冊「平成25年度第4四半期業務報告」に沿って報告いたします。なお、「平成25年度業務報告書」および財務諸表を、放送法に基づき26年6月末に総務大臣に提出する予定であり、現在取りまとめ作業を進めているところなので、本報告には財務諸表を掲載しておりません。
 資料の第1章の3ページは、3か年の基本方針と達成状況を測る世論調査についてです。1月10日から2月2日にかけて調査いたしました。この間に1月25日の会長就任会見がありました。
 レーダーチャートの青い線が「期待度」、赤い線が「実現度」です。今回は、前回7月と比べ全ての指標で期待度と実現度が向上しました。過去の調査と比較して期待度と実現度の差が、統計的に意味のある範囲まで狭まった項目はありませんでした。
 逆に広がったのが、「①公平・公正」と「④記録・伝承」です。赤い丸で囲んであります。「①公平・公正」については、東京都知事選挙などでさまざまな社会的課題が争点となる中で、公平・公正な放送に対する期待が高まる一方で、会長就任会見などの影響で、実現度の上昇が追いつかなかったものと考えられます。
 「④記録・伝承」については、国内放送の質的指標で総合テレビの「丁寧に取材制作」などの指標が伸び悩んでいることが影響していると考えられます。
 4、5ページの「世論調査の結果について(2年間の傾向)」は、24年度と25年度に実施した4回の調査結果を折れ線グラフで表現しています。青い線が期待度、赤い線が実現度です。
 14の指標の中には視聴者の期待がいつも高いものとやや低めに出るものがあります。4ページは高く出る指標で、縦軸のスケールは50%から100%です。一方、5ページのグラフは低めに出る指標で、縦軸のスケールは25%から75%となっています。各指標とも共通して7月は低めに、1月は高めに出るという、上がり下がりを繰り返していますが、多くの指標で期待度、実現度ともに、直近のことし1月の調査が最も高い数値になっています。
 赤い丸がついている「①公平・公正」と「④記録・伝承」は、直近の期待度と実現度の差が、過去の調査と比較して、統計的に大きくなった指標で、3ページで紹介したものと同じです。
6ページ、「25年度の概況」では「25年度の総括」を載せています。4つの重点目標ごとにまとめていますので簡単に説明いたします。
 まず「公共」です。首都直下地震などに備える本部代替機能の整備では、大阪放送局ニュースセンターで主な設備の整備が終わりました。ことしの秋には運用試験や訓練を始める予定です。また、長時間の停電に備えて、本部と各放送局で自家発電用の燃料タンクの増量工事を行っているほか、津波や原子力発電所の状況に備えるロボットカメラについても、自然エネルギーや燃料電池を利用するなど、電源設備の強化を進めています。
 2つ目、「信頼」です。番組の面では、連続テレビ小説「あまちゃん」や「ごちそうさん」が大変よく見られました。視聴率がよかっただけでなく「あまちゃん」は、観光面など被災地の復興支援にも一定の役割を果たしました。また、「ごちそうさん」は、家庭で食卓を囲む幸せや戦争と市民との関わりなど、高いメッセージ性が評価されました。夏の参議院議員選挙、冬のソチオリンピック・パラリンピックなどでは、インターネット活用による新しい試みも交えて伝え、好評を得ました。
 3つ目の「創造・未来」です。9月にハイブリッドキャストのサービスをスタートさせました。その後もソチオリンピックでの「番組巻き戻し再生サービス」など新しい機能を追加しております。8K・スーパーハイビジョンでは、発起人の一員としてオールジャパン体制の「次世代放送推進フォーラム」をスタートさせたほか、機材の開発や伝送実験、コンテンツ制作、パブリックビューイングの実施などの取り組みを進めています。NHKオンデマンドは、開始から5年目で初めて単年度黒字を達成する見込みになりました。
 4つ目、「改革・活力」です。改革と活力委員会では、「全体最適」の議論を深め、秋には新しい配員基準を策定し、29年度完成を目指します。         
 また、職員制度や給与制度の改革も行いました。営業改革では、法人委託の拡大を進めるとともに、NTTファイナンス社などとの連携による受信料支払の新しい仕組みを導入し、効果を上げています。
 次に7ページの表「受信契約の状況」をご覧ください。25年度の契約総数増加は累計58.3万件です。年間増加目標48万件に対し、達成率は121.4%となりました。年間の増加が50万件を超えたのは32年ぶりです。衛星契約増加については、年間増加目標69万件に対し、81.9万件となり、達成率は118.6%となりました。また、未収削減は年間削減目標16万件に対して18.5万件となり、達成率は115.9%となりました。営業経費率は、25年度の計画では11.8%でしたが、これを下回る11.4%となる見込みで、これまでで最も低かった24年度と同じです。
 下の段、「受信料の概況」をご覧ください。25年度の受信料収入は、受信料値下げの通年化による減収があったものの営業活動の強化などで6,345億円となり、24年度の決算額に対しては42億円の減収、25年度予算額に対しては124億円の増収になる見込みです。
 9ページ以降は、「4つの重点目標」の達成状況を具体的に提示しております。年間を通した具体的な業務の遂行状況や、課題・今後の取り組みなどを記載しております。分量が多いために、詳細については本書での報告とさせていただきます。

 

 (2) 平成25年度契約・収納活動結果(資料)

 (福井理事)
 25年度の契約・収納活動結果についてご報告いたします。
 資料の1ページをご覧下さい。まず当年度分の受信料収納額ですが、第6期の当年度収納額は1,083.5億円で、前年度に対しまして23.2億円の増収となりました。年間累計では6,286.4億円で、前年度に対しまして42.7億円の減収となりました。これは受信料値下げの通年化による影響を受けたもので、上半期末では119億円の減収でしたが、42.7億円の減収まで圧縮することができております。
 次に、前年度分受信料の回収額は、6期は前年同期を0.2億円下回る3.0億円となり、年間累計でも前年度を0.2億円下回る58.1億円となっております。また、前々年度以前の受信料の回収額も6期は、前年同期を0.6億円下回る4.9億円となりましたが、年間累計では37.6億円と前年度を4.3億円上回っております。
 次に、2ページの契約件数の状況です。契約総数の増加状況ですが、6期の契約総数の増加数は、3.5万件となり、前年同期を3.5万件上回っています。年間累計の増加数は58.3万件で前年度を9.8万件上回り、目標の48万件に対し達成率は121.4%となっています。先ほどの第4四半期業務報告で説明がありましたが、契約総数増加が50万件を超すのは、昭和56年度以来32年ぶりの高い業績となっております。
 次に、衛星契約の増加状況ですが、6期の衛星契約の増加数は、9.5万件となり、前年同期を1.5万件下回っています。年間累計でも81.9万件と、前年度に対し、1.6万件減少しました。目標の69万件に対しては、達成率は118.6%で前年度を2.7ポイント上回っています。
 次に、3ページの未収数削減の状況です。6期の未収数の削減は2.8万件で、支払再開数の減少などにより、前年同期を2.3万件下回りました。年間累計の削減数は18.5万件で前年度を2.6万件下回りましたが、目標の16万件に対する達成率は115.9%で、前年度を10.4ポイント上回っています。
 次の口座・クレジット支払などの増加状況ですが、下の表の左側の<参考>にあるとおり、6期に口座・クレジットから継続振込に移行した件数が、前年同期に比べ0.5万件増加しました。その事由がいかなるものかは現時点では把握できませんが、この方々へは今後も振込用紙を送付し、仮に未払いが3か月程度続くと訪問により対応していくことになり、その時点で理由が判明することになります。
 右の表のとおり6期の増加数は、11.9万件と前年同期を1.9万件上回り、年間累計の増加数は85.6万件となり前年度を2.6万件上回っています。25年度末における利用率も88.3%と、前年度末に対して0.9ポイント向上しており、安定的な収納に結びついています。
 続いて、平成25年度末の営業関係指標の状況についてご報告します。 こちらは、営業業績、改革の進捗状況、営業経費率等についてまとめております。
 まず、営業の基本指標として、支払数・支払率・収納率の状況です。支払数増加64万件の年間目標は、契約総数増加48万件と未収の削減16万件を合わせたもので、これに対して年度末の実績は76.8万件となりました。これは、法人委託の拡大や民事手続の強化など、営業改革を着実に推進したことによるものであり、達成率は120.0%と非常に高い率となりました。また、支払率は74%、収納率は96%となり、平成25年度目標を達成しました。
 営業改革の取り組み状況については、「効率的業務体制の構築」「民事手続きの強化」「契約・収納手法の開発」「各種法人、団体等との連携」のいずれについても着実に推進しており、業績確保・経費抑制において、その成果が出てきております。
 契約総数増加の状況です。24年度は、1月から3月にかけて増加数は横ばいでしたが、25年度は、訪問要員体制の強化などにより、1月以降も契約件数を伸ばすことができました。25年度については、全てのブロックにおいて目標を達成しました。
 衛星増加の状況です。25年度も24年度同様、堅調に推移し、2年連続で80万件を超える増加を確保しました。こちらも全てのブロックにおいて目標を達成しました。
 未収削減の状況です。24年度は20万件の削減目標に対し、21.1万件の削減でしたが、25年度は16万件の削減目標に対し、18.5万件の削減となりました。年度末における契約総数に対する未収の割合は、0.5ポイントを圧縮した3.6%となり、低下しています。同様に、下段の棒グラフにブロック別の状況を記載していますが、こちらも全てのブロックにおいて目標を達成しました。
 次に、受信料収入とコストについてです。まず、受信料収入ですが、予算に対して124億円増収の6,345億円となる見込みです。
 営業経費については、予算に対して11億円抑制の724億円となる見込みです。その結果、営業経費率は11.4%となり、値下げの通年化による減収影響があったにもかかわらず、これまで最も低かった24年度と同値となる見込みです。受信料収入のブロック別の進捗についても、全ブロックにおいて、実績が基準進捗を上回っています。
 費用対効果についてですが、これも全てのブロックにおいて、業績進捗の範囲内で、経費進捗が収まる形となる見込みです。
 最後になりますが、平成25年度は、値下げの通年化による減収影響に対し、前倒しによる業績確保と全組織を挙げたさまざまな取り組みや、新規同時口座・クレジット率等の質的指標を高める営業活動を進めた結果、2年連続で全営業目標を達成する見通しとなりました。2年連続の全目標達成は、平成に入ってから初めてのことになります。3か年経営計画の最終年度である26年度についても、全営業目標達成に向け、引き続き努力をしていきます。以上です。

 

 (3) 平成25年度決算の速報(資料)

 (福井理事)
 NHKの決算については、今後、監査委員会および会計監査人の監査を受けて6月に確定しますので、現時点では速報としてご説明をいたします。
 資料「平成25年度決算の速報」は決算の状況を簡潔にまとめたものです。この資料を5月15日の定例会長会見で決算の速報として公表する予定としています。
 最初に述べましたが、今後、監査委員会及び会計監査人の監査を受けて、6月に決算を確定しますので、金額については変動する可能性があることをご承知おきください。
 資料の上の囲みに決算のポイントをまとめています。事業収支決算表とあわせてご覧ください。
 平成25年度の一般勘定の事業収入は6,615億円となり、受信料が減収となったものの、固定資産売却益の増等により、24年度に対して11億円の増収を確保しました。このうち、受信料については、24年10月からの値下げの通年化により大幅な減収影響がありましたが、業績確保の前倒し等に全力で取り組んだことにより、42億円の減収にとどめることができました。一方、事業支出は6,432億円となり、国内放送や国際放送の充実など経営計画の重点事項を着実に実施したことや、円安による支出増などにより、23億円の増となりました。
 以上により、事業収支差金は182億円となり、ほぼ前年度並みの黒字を確保しました。この182億円については、6月の経営委員会で予算総則の適用の議決をいただき、老朽化が進む渋谷の放送センターの建て替えに備えて、建設積立資産に繰り入れる予定です。
 次に、受信料の状況です。左側の表に記載した受信契約件数については、先ほどの25年度の「契約・収納活動結果」でご説明したので、省略いたします。右側の棒グラフは、受信料の決算額の推移です。25年度の受信料収入は、値下げ前の23年度の決算と比較すると、矢印でお示ししましたとおり、値下げにより444億円の減収影響がありますが、全組織を挙げた「プロジェクト810」の取り組みや、営業活動の強化により、388億円の増収を図りました。その結果、6,345億円を確保することができました。
 下の比較貸借対照表と比較損益計算書は、一般勘定と番組アーカイブ業務勘定、受託業務等勘定の3つの勘定を合わせた、協会全体の状況となっています。左側の比較貸借対照表については、25年度末の資産総額は9,269億円となり、現金預金・有価証券の増等により、前年度末に対して41億円の増となりました。自己資本比率は66.8%となり、引き続き高い水準を保っており、健全な財政状況を維持しています。右側の比較損益計算書については、25年度の経常事業収入は6,570億円となり、受信料の値下げの影響により34億円の減収となりましたが、当期事業収支差金は184億円となり、前年度並みの黒字を確保しています。

 

 (4) 視聴者対応報告(平成26年1〜3月)について(資料1)(資料2)

 (上滝理事)
 資料をご覧ください。放送法第27条に定める視聴者対応の状況について平成26年1月から3月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第39条第3項の規定に基づいて報告いたします。この期間の視聴者の声の総数は、1月が約32万7,000件、2月が約32万3,000件、3月が約36万2,500件です。
 まず、1月分からお伝えします。2ページをご覧ください。番組開始から1か月を迎えた大河ドラマ「軍師官兵衛」への反響をまとめています。4週間の反響は2,237件で、棒グラフをご覧いただくとわかりますように、過去3作品と比較すると、「平清盛」より少なく「八重の桜」より多くなっています。
 3ページの中ほどをご覧ください。主な反響としてナレーションについ ての意見が884件寄せられましたが、担当していた女優の藤村志保さんが療養されるため、2月16日から元NHKアナウンサーの広瀬修子さんに代わりました。
 続いて、5ページをご覧ください。NHKスペシャル「アルツハイマー病をくい止めろ!」には、反響が900件余り寄せられました。認知症に関心の高い60代を中心に再放送の問い合わせや要望がありました。
 次に10ページをご覧ください。会長の就任会見での発言等への反響を掲載しています。会見が行われた1月25日から2月12日までに、およそ1万6,000件の反響がありました。籾井会長は1月31日に視聴者に向けて「視聴者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と、おわびの言葉をNHKのホームページに記載したこともあわせて紹介しています。こうした反響はその後も寄せられ、きのうまでにおよそ4万800件ありました。NHKのホームページのおわびのことばについては、4月13日に放送した総合テレビ「とっておきサンデー」の会長の発言内容を新たに更新して掲載しています。
 続いて、2月分です。14ページをご覧ください。2月8日から17日間開催されたソチオリンピックへの反響をまとめています。NHKでは、各放送波で注目の競技を伝えたほか、放送通信連携サービス「NHKハイブリッドキャスト」で、放送中の番組を冒頭から視聴できる巻き戻しサービスを行いました。中央左のグラフをご覧ください。反響件数は8,669件で過去の大会に比べて減少しています。
 続いて、17ページをご覧ください。BSプレミアムの「地域ドラマ」への反響についてです。地域ドラマは、地域を盛り上げ元気にすることを目的に、地域放送局が提案・制作し、放送しています。25年度は表にありますように、これまでで最も多い10本を制作し、好評意見が寄せられています。長野発地域ドラマの「木曽オリオン」には63件の反響があり、3分の1が好意見でした。続いて、3月分です。26ページをご覧ください。「東日本大震災から3年」を機会に放送された主な番組への反響をまとめています。この表は反響の大きかった10番組です。震災から2年にあたる去年に比べて、全体的に反響件数は減ってきていますが、震災の記憶を風化させないためにも、折に触れて震災関連の番組を放送してほしいという声が多く寄せられています。最も反響が多かったのは「震災から3年“明日へ”コンサート」で521件でした。音楽の力を通して復興のメッセージを伝えたこの番組には、20代以下から70代以上まで幅広い年代から反響がありました。
 続いて27ページの上をご覧ください。NHKスペシャル「メルトダウン」には162件の反響がありました。「放射能“大量放出”の真相」というタイトルでございました。好評意見の割合は10番組の中で最も高くなりました。好評意見は50代、60代の女性から多く寄せられました。
 続いて、29ページをご覧ください。連続テレビ小説「ごちそうさん」への半年間の反響です。反響件数は7,928件で過去3作品と比較して減少していますが、全期間の平均世帯視聴率は22.4%で、平成14年の「さくら」以来、12年ぶりに22%を超えました。
 30ページの下は、新しく始まった「花子とアン」への反響です。放送開始から1週間で897件寄せられ、今後の展開に期待する声が届いています。
 31ページは指摘・意見・要望への対応です。ページの下半分に宮崎局の対応をまとめました。宮崎放送局では霧島連山の新燃岳が噴火した平成23年から噴火情報を県域のデータ放送で伝えてきましたが、昨年に新燃岳の警戒レベルが下がったため、データ放送を終了しました。しかし、宮崎県南部の視聴者から、代わりに鹿児島の桜島の噴火情報を放送してほしいという要望が寄せられました。宮崎局では県南部で噴煙による被害があることから、データ放送の改修を行い、3月から「桜島噴火情報」などを伝えるようにしています。
 次に、35ページをご覧ください。「消費税率引き上げに伴う取り組みについて」紹介しています。グラフをご覧ください。消費税率引き上げに伴う新しい受信料額に関する意見・問い合わせは、3月は600件余りでした。NHKではホームページのほか、テレビでは国会で予算が承認された後の3月31日夜から新しい放送受信料の大枠などについて繰り返し放送しています。当初は総合テレビでのスポット放送だけでしたが、EテレやBSでも追加して放送しています。
 続いて、37ページです。ここには横浜放送局かながわ東営業センター職員などの不祥事について掲載しています。報告は以上です。

 

 (5) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (浜田委員長)
 本件については、特段の質問事項がなければ、資料の配付のみで報告に代えさせて頂きたいと思います。

 

 (浜田委員長)
 では、最後に今月24日をもって退任されます久保田理事、上滝理事からご挨拶をいただきたいと思います。
 (久保田技師長)
 私は4月24日で退任いたしますが、任期を2日後に控えた本日、後任となる次の理事の任命の同意が議決されました。2年という期間でしたけれどもお世話になりました。
 ただ、後任と業務の引き継ぎを行う時間も十分にない状態で退任するという異常な事態であると私は受け止めております。1月から続く異常事態はいまだに収束しておりません。職場には少しずつ不安感、不信感あるいはひそひそ話といった負の雰囲気が漂い始めています。現場は公共放送を担うことへの誇りと責任感を何とか維持しようと懸命の努力を続けていますが、限界に近づきつつあります。一刻も早い事態の収拾が必要です。公共放送への視聴者からの信頼を取り戻すためにも、一刻も早い事態の収拾が必要です。経営委員会からは、これまで、執行部が一丸となって事態の収拾に当たるように言われてきました。本日、私からは、経営委員会こそが責任をもって事態の収拾に当たってほしいと申し上げたいと思います。改めまして、2年間ありがとうございました。
 (上滝理事)
 経営委員の皆さまには、この2年間ご指導いただき、まことにありがとうございました。私は視聴者対応と、広報の責任者として述べさせていただきます。
 今回の籾井会長の就任記者会見での発言以来、混乱の中で私の頭の中にあったのは、10年前の不祥事のような、受信料拒否問題が絶対に起きないようにする、この一点でございました。3月26日の全体会では、3万5,000件を超えた視聴者の生の声について身を引き裂かれる思いで報告させていただきました。4月13日には会長が広報番組に出演し、視聴者へのおわびを述べました。この中で、「個人的な見解を放送に反映させることは断じてない。NHKが皆様に支えられてこそ成り立っていることに思いを新たにし、皆様の声を何よりも大切にしていく」と決意を述べました。経営委員の皆さまも、この放送をごらんになったと思います。このことを必ず実行して頂きたいと思います。
 その一方で、私は去る19日、佐賀放送局で開かれた「視聴者のみなさまと語る会」に石原委員、美馬委員、堂元副会長と一緒に出席した際に視聴者から、「放送とは関係のない問題でごたごたしているのはまことに残念だ」「各地で会長の釈明をして回るのは情けない」などの厳しい声が相次ぎました。終了後、石原委員は記者団に対し、「会長発言の件が皆さま方の最大の懸念材料かなと思いました。会長の番組だけで終わったということではもちろんない。大事なのはこういう努力をいかに番組にしていくかという頑張りだと思います」と話されました。
 私はその前日、佐賀局の30人の職員と対話をしました。そこでは、「NHKは今後どうなってしまうのか大変不安な日々だ」とか、「苦難があったが現場は苦労しつつも頑張っている。役員も一枚岩となって事態の打開へ全力を尽くしてほしい」との声があり、職員の思いの厳しさを改めて知りました。全国の取材や営業現場では、取材先や視聴者から、「NHKは一体どうなっているのか」と問われ、つらい思いをしている職員が数多くいます。
 誠にせん越ですが、会長には本部各部局や地域放送局に出向かれ、職員との対話を積み重ねて、職員たちとの心の距離を縮めて頂きたいと思います。職員のモチベーションの維持向上がなくては、公共放送はもちません。2011年3月11日の東日本大震災の際、私どもはそれこそ寝食を忘れて被災者や視聴者の方々のために、放送に全力を尽くしました。そこでの公共放送人としての使命感、一体感が私ども公共放送の一つの原点となっています。それがあるからこそ、値下げ後の受信料収入も順調に回復し、放送番組も信頼されていると思います。
 この延長線上にこそ次の経営計画があり、また「自主・自律」のジャーナリズムとしてのNHKがあると思います。経営環境が激しく変化し、視聴者やマスコミから厳しい視線が注がれる中で、放送法を守るという言葉を、新しい執行部体制の中で、経営や放送などのサービスとして具体的な形で実現し、視聴者の方々にとって「NHKは絶対に必要だ」という存在になれるよう努力してほしいと思います。
 経営委員の皆さまにおかれましては、新執行部に対する管理監督の役割と責任を十全に果たして頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 (浜田委員長)

 ただいま、異例の退任のご挨拶を頂いたわけですけれども、経営委員会としても重く受け止めたいと思います。一方で、我々経営委員会と執行部としては一連の混乱に早く終止符を打ち、執行部と経営委員会一体となって、NHK本来の業務を果たしていく必要があるのだと思います。それは、よい番組をつくり、よい報道をし、よい経営をしていくこと。あわせて、今、重要な節目になっているわけなので、新たな経営計画の作成にも着手をしていきたいと思います。お2人のお話は重く受け止め、今後の業務に生かしていきたいと思います。

 (上村代行)

 私も一人の経営委員として、今の2人の言葉を大変重く 受け止めております。私たち経営委員は、先ほどの経営委員会の場で封筒を切って、きょう初めて人事について知りました。今までの、事前には理事の任命の資料を受けてきたという慣例に反しますし、法律上も放送法施行規則の第19条2項「経営委員会の招集の通知を行うときは、原則として、事前に十分な時間的余裕をもつてそれを発出するものとし、付議すべき事項その他参考となるべき事項を明確にするものとする」という放送法施行規則の趣旨にも反しております。会長は、情報が漏れるからとおっしゃっていましたが、放送法は「情報を出せ」といっているのです。ですから、漏れる、漏れないの話ではないのです。
 やはり、放送法の趣旨を十分に理解する必要があると思います。もうひとつは、理事の分担の問題は経営委員会の問題ではなく、「会長の専権事項」であるということを盛んにおっしゃっていましたが、そういうことはありません。これは放送法の第51条に「会長は、協会を代表し、経営委員会の定めるところに従い、その業務を総理する」に該当します。まるで、理事と言えば、無任所の何の役職もないような人を経営委員会が選任し、それ以外の部分は、全部会長の専権ということはあり得ないことだと申しました。そのことは議事録に載りますので、この際、繰り返し申し上げておき、改めて久保田技師長と上滝理事の先ほどの声涙ともに下るご発言を非常に重く受け止めています。

 (籾井会長)

 今回は、経営委員会での理事の任命同意が22日で、任期満了が24日と押し迫っていますので、先ほどの、いつ理事の任命を出すか、という問題は今後に向けてよく考えてみます。ただ、人事というのは秘密を守るということが非常に大事だと思っております。従いまして、具体的な人事案を出したときには、経営委員の皆さんは、秘密を外に漏らさないようにして頂きたいこと。これが1つ目です。
 2つ目は、「理事の具体的な担当の明示がない状態で経営委員会へ諮ることは認められない」ということですが、過去からずっと、担当の明示なしで、参考のために担当を出していたはずです。これだけは、ここで強調させていただきたいと思います。なぜなら、担当の明示まで入ると、執行の分野にまで経営委員会が入ってくるということですから、これはあり得ないことだと思います。

 (上村代行)

 経営委員会の決議事項はじめ審議事項は、ほとんどすべてが執行事項そのものです。それについて経営委員会の決議が要るということになっています。そして、それを受けて包括的に経営委員会の決議に従って執行していくということです。

 (美馬委員)

 前々回の経営委員会の際に、会長には、人事のご提案をしていただく際は、全体の方針とともに、理事の役割を組み替えることの理由について、ぜひ一緒に提出いただきたいとお願いし、了解したと2回前の経営委員会でお約束していただきました。しかし、きょうは、全く提出のないままに人事のご提案があって議決されました。このことについて、ぜひ理由をお聞かせいただきたいと思います。

 (籾井会長)

 前々回の私が出た経営委員会において、経営方針の4つの柱についてお話申し上げました。ですが、3月の時点では、まだ人事も決まっていない中で、いわゆる新体制が整っていないという状況であったわけです。同時に、まだ国会での予算を承認していただくという大事な仕事が残っていましたので、この4月の半ばになり、やっときょう経営委員会で人事の同意を頂き新スタートを切るわけです。したがいまして、今からこの体制の中で新しい方向性をきっちりと出して、そのうえで経営方針を出していきます。4つの柱に基づいて人事も行い、今後はどう実行に移していくかという議論をしていくわけです。

 (美馬委員)

 2回前の経営委員会の際には「一枚ものでも紙を用意します」とおっしゃいましたが、今回それが出てきませんでした。

 (籾井会長)

 それは、用意しますので少し待ってください。

 (美馬委員)

 そのときに、役割は方針に沿って、こういうことをやりたいから、こういう背景を持つ人事が必要なのだ、だからこの人をここに置くのだということをおっしゃっていました。

 (籾井会長)

 人事というのは、私の頭に入っている方針のもとで、この人をこういうふうに使っていくというように決めていくわけです。ですから、紙に沿って、この人にはこういうことを推進してもらいたいと考えるわけです。

 (美馬委員)

 頭に入っているものを出していただくのが説明責任だと思います。

 (籾井会長)

 ですから、この人にはこういうことをやってもらいたいのだというのをきょうご説明しました。

 (美馬委員)

 全体像が見えません。

 (籾井会長)

 全体像はこの前、4つの柱について申し上げました。

 (美馬委員)

 お約束いただいた、出していただく紙はなぜ2週間、4週間前には出すとおっしゃったのでしょうか。

 (籾井会長)

 申し上げているように、3月いっぱいは予算で忙しかったのです。

 (美馬委員)

 大事な全体方針です。

 (籾井会長)

 やっと2週間たったばかりではないですか。

 (美馬委員)

 大事な全体方針ですよ。

 (籾井会長)

 全体方針は口頭で言って、今から新体制で決めると申し上げているではありませんか。それをおわかりいただけませんか。

 (美馬委員)

 出すお約束をいただいたものを出していただけていないということを私は申し上げているのです。

 (籾井会長)

 出さないとは言っていません。これは新執行部で議論して出させてくださいと言っているわけです。大事な経営方針は経営委員会にかけます。

 (上村代行)

 同意の前提として必要だと美馬委員はおっしゃったのだと思います。

 (室伏委員)

 経営委員の一人として、久保田技師長と上滝理事に心からお礼を申し上げたいと思います。私も経営委員になりまして、NHKの技研で、いかにすばらしい研究が行われているかということを久保田技師長からご説明いただき、随分と勉強させていただきました。上滝理事とは「視聴者のみなさまと語る会」にご一緒いただき、NHKのさまざまな働き、あるいはNHKがいかに公共放送として頑張っているかということを伺い大変勉強させていただきました。お二人の今までのご苦労に、またお二人がいかにNHKを愛して頑張ってくださってきたかということに対して、本当に心から感謝申し上げたいと思います。今、いただきましたお二人のご意見、これも重く受け止めまして、経営委員の一人として頑張っていきたい、NHKを真の公共放送として支えるために、経営委員会の一人として頑張りたいと思っております。本当にお二人には心からお礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 (長谷川委員)

 個人的なご挨拶になります。私、この4月の初めに義理の弟を亡くしました。彼は大学を卒業して、そして定年後も嘱託でずっとNHKに一生を捧げてまいりました。とてもNHKを誇りに思っておりました。私が経営委員になると聞いて、「大変だけど頑張ってよ」と言っておりました。私は、経営委員というのは本当にできることは少ないですが、NHKの職員の方が、もう一度、一生をNHKに捧げたいと、誇りを持っていただけるようなNHKになるよう、経営委員として精一杯頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました。

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成26年5月13日    

浜 田 健一郎

 

上 田 良 一