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第1162回
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平成24年3月30日(金)公表

日本放送協会第1162回経営委員会議事録
(平成24年3月13日開催分)

第1162回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1162回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成24年3月13日(火)午後1時30分から午後3時35分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  數 土 文 夫 石 原   進 井 原 理 代
    大 滝 精 一   北 原 健 児 幸 田 真 音
    作 田 久 男   竹 中 ナ ミ 浜 田 健一郎
    渡  惠理子  
  ◎委員長

 

〔役  員〕

  松 本 会 長 小 野 副会長 永 井 技師長
  金 田 専務理事 大 西 理 事 今 井 理 事
  塚 田 理 事 吉 国 理 事 冷 水 理 事
  新 山 理 事 石 田 理 事 木 田 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  21階役員会議室

 

<議   事>

 議事に先立ち、経営委員による経営委員会を開催し、「視聴者のみなさまと語る会」を宮崎で平成24年5月19日に開催することを決定した。その後、數土委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1161回経営委員会(平成24年2月28日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成24年3月16日に公表することを決定した。

 

 

付議事項

1 委員長報告

 

2 報告事項

 (1) 平成24年度組織改正について(資料)

 

3 その他

 (1) 平成24年春季交渉について(資料)

 

 

 

議事経過

 

1 委員長報告

 (數土委員長)
 3月1日付で経営委員に就任されました4人の委員をご紹介します。上村達男委員、作田久男委員、松下雋委員、渡惠理子委員です。なお、本日は上村委員、松下委員はご欠席です。それでは、本日出席の作田委員、渡委員のお二人に、自己紹介をお願いしたいと思います。
 (作田委員)
 今、委員長からご紹介いただきました作田です。現在私は、オムロン株式会社の代表取締役会長を務めています。ちょうど45年の企業人としてのバックグラウンドの約3分の2はエンジニアとしての仕事をしてきました。今後、できるだけそのバックグラウンドに偏らないように頑張っていきたいと思いますが、多分、興奮すると根が出てくると思います。また、余分なことかもしれませんが、経営とはなにかについて自分なりにずっと考えてきました。今は、企業の経済価値と社会的価値の2つのバランスをどう最適化させるかということが経営に最も求められていることではないかと思っています。NHK経営委員会でも、そのような観点から何らかの貢献ができればと思っています。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
 (渡委員)
 弁護士をしております渡です。新人ですが、どうぞよろしくお願いいたします。簡単に経歴を申し上げますと、社会人としてのスタートは、弁護士としての勤務であり、その後、米国に留学して、シアトルにあるワシントン州立大学で1年間勉強し、法学修士号を取った後、シカゴの法律事務所で1年間勤務し、日本に戻ってからは公正取引委員会事務総局に勤務しました。当時はまだ任期付採用がなかったため、弁護士登録を取り消して国家公務員として仕事をいたしました。その後、ロースクールの立ち上げに伴って、慶應義塾大学法科大学院において教授として3年間、講師として1年間、企業法務と経済法を教える機会をいただきました。初めて米国のローファームに行ったときに、スタッフの1人から、「惠理子が来たので日本の地図を買った」と言って見せられた地図は中国の地図でした。そのときに、日本がごく普通の身近な存在として海外に知られる機会はまだまだ少ないのかなと思い、その後、国際的な仕事においても、仕事でない場合にも、できるだけ日本のことを伝える機会を持つように心がけてきました。東日本大震災のときの海外からの励ましもそうですが、少し前の話にある種目で日本人選手が初めて金メダルを取ったときも、真っ先に「おめでとう日本」というような連絡をもらうことが大変に多くなりました。そういう意味では、これからも、日本単独でというより、海外とのつながりも考えながらいろいろご意見を申し上げていければと思います。未熟ではありますが、また、私はどちらかというと「仕事バカ」と呼ばれているほうではありますが、これからいろいろ教えていただいて、一所懸命務めさせていただければと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
 (數土委員長)
 今回、経営委員会の前に経営委員のみによる打ち合わせを行い、委員長職務代行者および監査委員について確認しました。その結果、新たに就任された経営委員も含めた経営委員全員が、委員長職務代行者、監査委員の役割を十分に確認したうえで、3月27日の次回経営委員会で決定することとしました。

 

 

2 報告事項

 (1) 平成24年度組織改正について(資料)

 (吉国理事)

 平成24年度の組織改正についてご説明します。まず、現在の組織図と改正後の組織図の資料をご覧ください。組織図上での変更点は、現在フラットになっている組織図を、本部部局のうち内部監査室、考査室、総合リスク管理室については、協会業務全般にわたって、自律的なチェック機能を果たし、業務の適正を確保する部局であることから、その位置づけを明確にするために、新たに、会長の下に置きました。併せて、協会全体の経営資源管理に関わっている総務局、経理局の表示位置を見直しています。
 次に、組織改正の柱をご説明します。今回の組織改正は、次期経営計画で示された4つの重点目標の達成に資すると同時に、ガバナンス機能を強化し、簡素で効率的な組織となる体制を構築することがねらいです。具体的には、経営計画遂行に向けたガバナンス機能の強化、新サービスへの取り組みの強化、総合力を効果的に発揮するための組織の再編・簡素化の3つが大きな柱となります。
 まず、経営計画遂行に向けたガバナンス強化では、地域放送局の総合的な支援・調整を行う「地域」担当の部署を新たに経営企画局に整備し、全国放送局の事業運営の総合支援や経営情報伝達、地域放送局の中長期方針策定等の業務を行います。従来、地域放送局に対して、縦組織からの指導はできていたのですが、放送局全体のマネジメントについてのサポートが不十分だったということです。これからは、限られた資源を効果的に使って、地域サービスの充実に充てなければならないため、地域放送局を支援し、強化していく組織を作るということです。
 また、新サービスの取り組み強化では、「メディア企画室」を新たに設置します。今まで、NHKあるいは関連団体がそれぞれの持ち場で、さまざまなインターネットでのサービスを展開してきていますが、必ずしもすべてが連携して効果的に行われていなかったことから、今後は協会および関連団体を含めたNHKグループ総体として、激変するメディア状況に対応したサービスを行うために、独立した部局として「メディア企画室」を設置することにしました。これまでNHKおよび関連団体が進めてきたインターネットのサービスについて、現状の把握を一元的に行い、経営内での情報共有を図ります。また、インターネットでのサービスに関する展開の基準を作成・管理し、経営的な観点からのメディア戦略の検討を推進します。さらに、中長期の基本的なメディア戦略については、関係役員等で構成する「メディア企画委員会」を設置し、検討することにします。「メディア企画室」は、その事務局機能も担うことになっています。
 こうしたデジタルコンテンツ強化の観点から、ニュース・番組制作の中核である放送総局内の組織も改正します。編成局「デジタルサービス部」の業務と放送技術局「クロスメディア部」の業務の一部を移行し、編成局「デジタルコンテンツセンター」を設置したり、報道局でインターネットニュースの制作・開発を担う機能を「ネット報道部」として独立させることで、「NHKニュースWEB」のサービス強化を図るなど、新しい状況への的確な対応を目指します。
 続いて、組織の再編・簡素化では、編成局「ソフト開発センター」と「衛星放送センター」を統合・再編して、「コンテンツ開発センター」とし、効率的な制作体制を構築します。また、海外マーケットを意識した番組開発や競争力あるコンテンツの開発・展開等の強化のため、関連する機能を統合し、放送総局に「知財展開センター」を設置します。そのほか、営業局「営業推進センター」で、法人委託の開発・運用業務等を「業務推進部」に移行したり、技術局でも送受信の一体化をさらに推進して組織を再編するなど、組織の再編・簡素化によって、より効率的・効果的な体制を構築します。そのほかの本部各部局についても必要に応じて業務を移行するなど、局内体制を一部整備します。
 組織改正の実施時期ですが、「メディア企画室」は直ちにいろいろな調整を行う必要があるため、4月1日に設置し、そのほかの改正については、平成24年度の管理職異動期とします。

 (數土委員長)

 「知財展開センター」の設置について、趣旨は分かりましたが、例えば、「知財展開センター」の他に放送技術研究所の特許部がありますし、放送技術局などからも特許や実用新案は当然出てくると思います。知財的な価値ということであれば、技術局や放送技術局からも特許や実用新案が出てきた場合、「知財展開センター」とどういう関わりを持つのか、それとも「知財展開センター」は全く独立しているのでしょうか、そしてNHKに弁理士が何人いるのかは知りませんが、弁理士はどこに所属しているのでしょうか。私の経営の経験からすると、ソフトの知財とハードの技術的な知財に加え、実用的な部分についても、もう少し統合していいのではないかと思いますがいかがでしょうか。

 (吉国理事)

 あくまで、放送総局の「知財展開センター」で扱う知財は著作権など、放送に関わる部分の権利を一元的にとりまとめるということであり、確かに技術的な部分までは含まれておらず、別々になっています。そこについては、次の検討課題だと思います。

 (數土委員長)

 それは組織が縦系列になっているからだと思うのですが、これからイノベーションを果たすためには、ビジネスと核になる技術が融合して、社会と一体になって進めていかなければならないと思います。私が言ったような体制がもっと必要になってくるのではないかと思います。今回は一歩前進だとは思いますが、検討をお願いします。

 (吉国理事)

 特許を扱うということではないのですが、「メディア企画室」は、技術や放送制作などのエキスパートをすべて集めたような組織で、全体を調整する組織として作ったということです。当然、「メディア企画室」には、放送技術研究所の経験者も参加してもらうということです。

 (數土委員長)

 もっと極端に言えば、技術特許部が放送技術研究所にあること自体が少しおかしいのではないのかと思います。放送技術局などいろいろな部署からの特許、あるいはビジネスとしての特許等もどこの部署から出てくるか分かりません。すぐとは言わないまでも、次回に向けてぜひ検討していただきたいと思います。放送技術研究所が独自で特許を管理するのはいかがなものかと思いますので、検討していただければと思います。

 (吉国理事)

 はい、分かりました。

 (井原委員)

 単純なお尋ねです。経営企画局に視聴者事業局の放送局支援業務を移行するということに関連して、地域放送局に伺うと、今までは縦系列の組織で一つ一つご相談しなければいけないため、一括的な窓口が欲しいとおっしゃっていましたので、とても望ましい組織改正だと思います。経営企画局にそうした窓口を置いた場合、例えば地域放送局が、番組制作や公開番組等々のことについて要望や相談する際も経営企画局が窓口としてお受けになるのでしょうか。それについては違うという理解でよろしいでしょうか。

 (塚田理事)

 この組織改正は、今まで地域放送局のマネジメントを支援し、調整する部局が本部になかったため、まずそこをきちんと整備するということです。経営計画の遂行にあたってマネジメント体制を明確にするということです。視聴者活動や公開イベント、放送などの実務面については、今まで同様に各部局で役割を果たしながら、部局を越えて解決すべき問題があれば、経営企画局で整理するという形で考えています。

 (井原委員)

 分かりました。今おっしゃったように、総合的、戦略的な方針が必要だと思いますので、ぜひそのように進めていただきたいのですが、現場で今、何が必要なのか各部と連携を取り、現場の要望や相談などを十分に踏まえながら、対応していただきたいと思います。

 (吉国理事)

 分かりました。各局からのさまざまな業務の改善要望も含めて、現状の課題を経営企画局や関係部局でとりまとめ、それぞれの実務で解決するものと、中長期に検討するもの、役員共通で検討するものなど、もう少し各局に見えるような形で課題を整理して、次の時代に向けた放送局運営に資するようにしていきたいと思います。

 (井原委員)

 よろしくお願いします。

 (石原委員)

 内部監査室、考査室、総合リスク管理室の組織図における位置が変わっており、ガバナンスの強化が目的ということでしたが、具体的には今とどこが違うのですか。

 (吉国理事)

 位置づけを明確にしたということです。

 (石原委員)

 今までは、位置づけが明確ではなかったということですか。

 (吉国理事)

 より明確にしたということです。

 (石原委員)

 会長以外に担当役員もいるのでしょうから、組織上はなにも変わらないのですよね。

 (吉国理事)

 はい、そうです。組織上は変わりません。

 (石原委員)

 このことによって何が改善されるのですか。

 (吉国理事)

 組織として、経営全般について自律的なチェック機能の役割を果たすということを内外に明示するということです。

 (石原委員)

 例えば組織名簿などは、上から順番に書きますが、内部監査室、考査室、総合リスク管理室がまずトップにあって、その次に秘書室、経営企画局が並ぶように、組織上の建制順が変わるのですか。それによって、その組織で働く職員の意識が変わってくるということでしょうか。

 (松本会長)

 今回は、一般の会社組織のような形に整理したということです。特に、内部監査室、考査室、総合リスク管理室は、組織横断的にいろいろなことを実施しますので、会長あるいは理事会のスタッフ的な形に明確に位置づけて、そのことを職員みんなに見えるようにするということです。また、本部部局の中で、秘書室、経営企画局は組織図の上のほうにありますが、総務局や経理局は下のほうにあるのです。一般の企業では、こういう部署は、やはり上のほうに建制順があって、それなりの機能を持つのですが、組織図自体がそういう形になっておらず、それはおかしいということで、全体をきちんと統制する機能を持っていることをきちんと位置づけるということです。また、内部監査室、考査室、総合リスク管理室については、コンプライアンスの問題などできちんと機能させるという意味合いもあります。普通の企業の形に見直し、意識改革の一つとして理解していただきたいと思います。

 (石原委員)

 分かりました。会長がこのように見直したいということであれば、それでいいと思いますが、私の会社ではむしろ、総務局や経理局のような権力組織は、組織図上は上にあったものを下に見直しました。

 (松本会長)

 むしろそういう機能を果たすほうが、NHKの場合、必要なのではないかと思います。

 (石原委員)

 分かりました。組織改正については会長の思うように柔軟に対応することはいいことだと思います。

 (浜田委員)

 「メディア企画室」ができたのですが、NHKの中長期の経営戦略、放送戦略において経営企画局との役割分担はどうなっているのでしょうか。

 (吉国理事)

 全体として、経営企画局がNHKの経営計画をはじめとしたすべてを所管していますので、全体の調整は当然経営企画局が担います。ただし、今、ネット展開において、いろいろな技術進歩が激しい中で、さまざまなサービスが出てきており、デジタル時代のNHKのコンテンツ展開や新サービスを集中的に見るところが必要になってきていますので、この部分については「メディア企画室」が担うということです。

 (浜田委員)

 そうすると、「メディア企画室」が担う業務は、基本的には経営企画局の業務と重なるのではないでしょうか。

 (吉国理事)

 当然、連携していきます。すべて分かれるということではなくて、さまざまな形で兼務体制も取りながら協力していくということです。

 (大滝委員)

 先ほど委員長からご意見があった知財や特許のことや経営企画局が全国放送局のマネジメントサポートを行うということなど、今回、組織改正される部分については、NHKとして戦略的に強化するという意味合いがとてもよく出ていると思いますが、まだ過渡的なのではないかという気がします。例えば、経営企画局の役割の見直しについて、最近はフロントエンド型の組織と呼んでいますが、顧客である視聴者の皆さまをベースにした組織を作り、顧客である視聴者の皆さまに対してどのように対応していくのかということと、それを後方で支える、いわば後方支援としてのマネジメントサポートが、うまく表裏一体型となっていく方向が一番理想的ではないかと思います。そういう方向でこれから組織を変えていくことにより、もっとすっきりとした形になり、NHKの役割が何かということも明確になるのではないかと私は思っています。今後もそういう方向を目指して、より改革を進めていかれるといいのではないかと思います。

 (松本会長)

 そのように考えて、いろいろ議論をしながら、組織改正は目的化、シンプル化、見える化をテーマにして、実施していきたいと思います。

 (數土委員長)

 この件については、ただいまの経営委員の皆さんからの発言や、意見交換した趣旨をできるだけ今後とも取り入れていただく方向でお願いします。

 

 

3 その他

 (1) 平成24年春季交渉について(資料)

 (吉国理事)

 労働組合「日本放送労働組合(日放労)」との春季交渉についてご報告します。日放労とは職員の処遇や業務・要員体制をはじめ、NHKの将来像など、幅広く労使で議論を交わしています。この「春」の交渉については、組合は3月8日の中央委員会で、協会が提示した24年度の「業務・要員体制」等に対する組合方針を決定し、9日に協会に交渉方針を申し入れてきました。まず、処遇についてですが、組合は平成15年の春季交渉からベア要求は掲げておらず、ことしについても処遇の要求はありません。協会の立場としては、処遇に関して、昨今の環境の変化の中でNHKに対しても厳しい目が向けられているという現実があります。一方で新しい経営計画をスタートする中で職員のモチベーションや、NHKは人に支えられている事業体であることから人材の確保という観点もありますので、多面的な検討が必要だと思っており、慎重に対応したいと考えています。ただし1点、昨年から国会でも指摘を受けているのですが、健康保険料の事業主と職員の負担割合について、事業主の負担が高過ぎるということがあります。この件については、組合に是正を提案することを考えています。
 また、業務・要員体制については、組合は今次交渉を「持続可能な現場の基盤を構築する交渉」と位置づけており、「業務の棚卸し」や「全体最適」を進めるにあたり、現場レベルで意識を共有できるかが今後の鍵となるとしています。そのうえで、平成24年度の要員計画について、各職種における交渉のポイントを掲げています。また、平成24年度の組織改正に伴う今後の働き方や業務体制についても、確認・議論していくとしています。現在は、分会・系列・支部交渉を行っており、3月25日から中央交渉を行う予定ですので、結果については改めてご報告させていただきます。

 (數土委員長)

 私が経営委員になってから11か月ぐらいたつ中で、いくつか感じることがあります。1つは、健康保険料の事業主と職員の負担が、今の世間一般からかけ離れた状態になってしまったということです。もう1つは、以前に非常に細かく説明していただきましたが、NHK職員全体の残業時間があまりにも多いということです。平均値が社会値をオーバーしかかっている、あるいはオーバーしている状況です。今回、協会で業務の棚卸しを挙げていますので、残業に対しても棚卸し的見直しというか、見方を変えて、組合とも話し合っていただきたいと思います。そうしないと、職員の精神面や心身の健康など、いろいろな問題にもつながり、与野党問わず国会で指摘されかねませんので、全体として残業が少なくなるような仕事の仕方に変えていただかないとだめなのではないかと思っています。非常に難しいでしょうが、ぜひ組合との交渉の中で、残業のあり方をテーマにして話をしてほしいと思います。

 (松本会長)

 健康保険料の件について、きちんとした形にする必要があります。また、繁忙の問題については、解決するように取り組みたいと思います。そのためには仕事そのものを棚卸しするということになるのですが、効率化だけというよりは今ある仕事を全部見直して、なくす、縮小する、分担を工夫するなど、業務量と人の数、働く時間の組み合わせを考える必要があります。業務量は人の数と労働時間を掛けることによって出てきますが、その業務量をきちんと精査することだと思います。

 (數土委員長)

 全体を通じて、ほかにご発言がありましたらお願いいたします。

 (石原委員)

 電力、エネルギーの需給の話ですが、ことし2月3日朝の4時に配管の凍結で九州電力最大の火力発電所、約230万キロワット出力の新大分発電所が止まってしまいました。その結果、電力の供給が足りなくなり、他の電力会社から融通を受けて何とか乗り切ったのです。これが夏のピーク時に起こった場合は、融通ができず重大な事態に至る恐れがあります。原発が全部止まって電力の融通ができずアウトしたときに、生産活動をはじめ、病院やコンピューターなどに多大な影響を与えます。エネルギーの問題は国家の基本です。雰囲気に流されることなく、NHKもより真剣に課題意識を持って取り組んでいただきたいと考えます。

 (冷水理事)

 エネルギー需給の問題は、重要な取材テーマだと思いまして関心を持って取り組んでいます。これからの番組も含めてニュース、番組、さまざまな形で取り上げていきます。

 (石原委員)

 夏の暑さのピークまであまり時間がありません。国民に危機感を持ってもらわなければならないと考えますので、よろしくお願いします。

 (冷水理事)

 ご指摘の点は十分承知しています。これまでも相当力を入れて取り組んでいますし、今後も取り組んでいきます。

 (數土委員長)

 今の件と関連しますが、NHKが電力事情によって電力が不足し、放送に支障を来した場合を想定したトレーニングはされているのでしょうか。例えば、テレビは大丈夫かもしれませんが、ラジオはどうなのかなど、何かあったとしても想定外とは言えませんので、さまざまなケースを検討しておいてほしいと思います。

 (永井技師長)

 NHKの放送の機能は、放送センターも含めて、全部電力がシャットダウンしたとしても発電機により放送を出し続けていく機能は備えています。燃料補給を行えば継続できます。

 (數土委員長)

 それが危ないのです。恐らくそのときには燃料補給ルートが機能しないのではないかと思います。また、予備タンクがあったとしても予備タンクをきちんと稼動させるための電源機能や、それに係るマンパワーやシステムの対応力などを用意しておかなければいけませんが、それらがきちんと準備できていますかということです。

 (松本会長)

 今、震災その他の大災害のとき、放送センターが機能しなくなった場合は、大阪放送局にバックアップ機能を持たせて、大阪放送局のバックアップも機能しない場合は福岡放送局がバックアップすることになっています。実際に大災害が起きたとしても、このパターンとよく似た形になるのではないかと思います。ただし、日本全体の電力、燃料すべてがだめになればどうしようもありません。そのような場合でも1つの局に集中して燃料補給して、そこから放送を出すなど、いくつかのパターンがあるのではないかと思います。いずれにしろ今回の東日本大震災を踏まえて、いろいろ投資して準備することが生きてくるのだと思います。その中でケースを考えていくということだと思います。

 (數土委員長)

 やはり、実地訓練が必要なのではないかと思います。

 (今井理事)

 機能強化の対応の中で、現在、各放送局の自家発電の燃料は、2日から3日ぐらいはもつようになっています。24年度から、そのタンクの容量を大きくして備蓄を増やすように取り組んでいきます。それから、燃料をいかに確保するかということについては、東日本大震災のときにいろいろ八方手を尽くしました。ただし、全国の放送局で燃料を確保することについては、それぞれの地域で取り引きがありますので、組み合わせを考えながら対策を講じていきたいと思っています。また、電力が不足したときの訓練は随時実施していますので、問題はないと思っています。

 (數土委員長)

 問題はあるかもしれませんので、一段と訓練しますと言っていただければもっとよかったのですが、どうぞよろしくお願いします。

 (松本会長)

 それだけの自信を持っているということですが、いろいろなところに問題はあるかもしれませんので、引き続き必要な対策を実施していきます。

 (數土委員長)

 冷水理事は、電力についての関連番組に取り組んでいるとおっしゃいましたが、石原委員の言ったことに対してはまた考えていただければと思います。電力需給に対する緊迫感をわれわれは持っていますのでよろしくお願いいたします。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成24年3月27日    

數 土 文 夫

 

井 原 理 代