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第1134回
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平成23年1月28日(金)公表

日本放送協会第1134回経営委員会議事録
(平成23年1月15日開催分)

第1134回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1134回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成23年1月15日(土)午後4時00分から午後4時45分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  小 丸 成 洋 安 田 喜 憲 石 島 辰太郎
    石 原   進   井 原 理 代 大 滝 精 一
    勝 又 英 子   北 原 健 児 倉 田 真由美
    幸 田 真 音   竹 中 ナ ミ 浜 田 健一郎
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  福 地 会 長 今 井 副会長 永 井 技師長
  日 向 専務理事 溝 口 理 事 八 幡 理 事
  大 西 理 事 今 井 理 事 黒 木 理 事
  塚 田 理 事 吉 国 理 事

 

 

<場   所>
放送センター 21階役員会議室、22階経営委員会室

 

<議   事>

 議事に先立ち、指名委員会を開催し、次期会長候補について審議した結果、候補者を1名に絞り打診を行うこととした。経営委員による経営委員会にその旨報告し、了解を得たので、指名委員会では、当該者に会長候補者となることの打診を行い、承諾を得た。続いて、経営委員による経営委員会を開催し、指名委員会の報告を受けて審議し次期会長の任命を議決した。その後、会長以下の執行部が入室し、次期会長の任命について報告を行った。

 

付議事項

1 議決事項

  会長の任命について

 

 

議事経過

 

1 議決事項

 

<指名委員会>

 

<経営委員による経営委員会>

 指名委員会委員長より、審議の結果、東海旅客鉄道株式会社代表取締役副会長 松本正之氏を会長候補として推薦し、本人への打診を行いたい旨、報告を受けた。

 

<指名委員会>

 

<経営委員による経営委員会>

 (小丸委員長)
 これより経営委員による経営委員会を開催します。指名委員会では、松本正之氏に対し次期会長候補となることの打診を行いましたが、ご本人が承諾されたので報告します。
 ここからは、経営委員会として、会長任命について議論したいと思います。ご意見はございますか。

 (大滝委員)

 松本氏は、JRの経営改革の最前線で、非常に難しい民営化への道筋をきちんと作るべくリーダーシップをずっと発揮されてきました。また、JR東海という非常に優良な企業の礎を作って来られたという実績を持ち、現在も、現役の経営者としてリーダーシップを発揮されています。今、NHKの直面する、放送と通信の融合や、大胆な構造改革、NHK全体の意識改革といった難しい課題についても、執行部の最高責任者として、らつ腕を振るっていただけるということが期待できる人材ではないかと思いますので、私は賛成したいと思います。

 (安田代行)

 NHKは、放送と通信の融合ということに関し、世界最先端の技術を持っています。これは、新幹線の技術を世界にどう広めるかということと同様、放送と通信の融合に関する日本の技術を世界に広めることによって、日本の国力を高めるという意味においても、松本氏は大変大きな役割を果たしてくださると思います。松本氏は私と同じ三重県出身ということで親近感を感じていたのですが、人柄もすばらしいと聞いています。幸いなことに、松本氏の人柄やこれまでの業績について、よくご存知の委員からすばらしい方だとの推薦があったことも、松本氏が会長にふさわしいと決断する大きな要因になりました。

 (倉田委員)

 先日、福地会長からお話を伺ったように、やはり人望というものは人柄に直結するものだと思います。そういったことを考えたときに、経営委員の中でお二人が、松本氏に対してとてもすばらしいというご意見が出たということは、大きなポイントではないかと思います。やはり、一人の意見だと、なかなか判断が難しいこともあると思うのですが、かなり信用できるお話だと思いました。また、年齢もまだお若いので期待できるのではないかと思いました。

 (幸田委員)

 NHKの組織運営や今後の経営を考えていくうえで、日本経済、世界経済が大きな変革を迎えている今の時代の中で、どのように方向性をつけていくかということにらつ腕を振るわなければならないのが会長としての職務です。国鉄といういわば旧世代の企業体から、JRという新しい世代に改革しなければならない立場で成功されたということは、その実績を生かしてもらえるのではないかと思います。また、多角的な、経営者としての資質という意味で、労働組合との対応や国会への対応など、メッセージを発信するという部分での能力にも優れた方でいらっしゃいますし、収益を上げていくという意味でもらつ腕を振るって成功されたということは、われわれとしては非常に期待できる人材でいらっしゃると思いますので、賛成します。

 (石島委員)

 私も賛成いたします。JRも大学もある意味で同じようなマルチクライテリオン(多面的な価値を持つ)の組織であり、そういう意味では、いわゆる公共事業体だと考えています。その公共事業体、非常に規模の大きい事業体を運営されてきました。それから、人柄も温厚な方だと伺いました。NHKという組織にとっては、専制君主的なリーダーがいいのか、それとも劉邦(りゅうほう)のようなタイプがいいのか、私はどちらかというと専制君主タイプではないほうがいいのではないかと思います。JRでの実績、ご本人の人柄もあわせて大変すばらしい方だと思いますので、賛同いたします。

 (浜田委員)

 先ほどもご意見が出ていましたが、今JR東海で、国際展開に一生懸命取り組んでいらっしゃいます。今後のNHKにとっても国際展開は施策の大きな柱の1つだと思いますので、その経験を生かして、NHKの公共放送としての発展に、ぜひご尽力をいただきたいと思います。

 (竹中委員)

 皆さんがおっしゃったことにまったく同感です。NHKの持つ放送技術の世界的なすばらしさと、JR東海の持っている、特に新幹線・リニアという世界に誇るすばらしい技術集団同士として、うまくコラボレーションしていく、世界に発信していくという意味でもすばらしいと思います。また、この若さで現役を投げ打ってNHK会長をやっていただく意思をお持ちだということも、やはり得がたいことだと思います。NHKの職員の気持ちをしっかり束ねて、情熱を持って働いてもらえるようにリーダーシップを発揮していただける方だと思いますので、その部分にも期待して、賛同したいと思います。

 (石原委員)

 NHKの職員の意識改革とモチベーションの向上、これが非常に大事だと思います。松本氏は、国鉄改革の要の人物の中の1人です。同時に、あの「体たらくな」国鉄を、JR東海という立派な会社にしました。彼はJR東海の生え抜きです。JR東海の社長を務め、副会長までされました。人格もすばらしい人です。まさに、NHKの会長として、うってつけの人だと思います。

 (勝又委員)

 いろいろなプロセスがありましたけれど、本当に適格な方が候補に挙がったと思います。民営化したとはいえ、鉄道はやはり公共事業です。松本氏は、鉄道という人の命を預かるような事業、常に緊張感と危機意識というものを強いられる事業にあって、立派にやってこられた方です。NHKも、全国あまねく、しっかりした放送を届けるという、使命感が必要な公共事業ですが、松本氏はそれを立派にやっていただける方だと思います。それから、NHKの職員が本当に自分たちのトップにいていい方だと思わせる、一緒にやりたいと思わせる方でないといけないと思うのですが、お人柄をお聞きしたときに、そういうことをうかがわせられるような方だなと思いましたので、非常によかったと思っています。

 (井原委員)

 指名委員会として、また経営委員会として一生懸命に議論したことは、次期会長の資格要件だったと私は思います。なかなか、これだけの資格要件にかなう人は難しいといった議論もしてきましたので、議決の前に、一つ一つ議論を心の中でたどってみました。1番目の「公共放送としての使命の理解」はこれからのことかもしれませんが、「公共的サービス」についての使命は十分わきまえていらっしゃると思います。2番目の「国民からの信頼」については、JRという国民からの信頼あっての事業をこれまでずっとやってこられた経験が相当すると考えます。3番目の「政治的に中立した」ということは、これまでその立場で仕事をされてきたと伺いました。4番目の「構想力とリーダーシップ」は、国鉄の民営化を率先、垂範されたということ、5番目の「社会環境の変化」については、これからの新しい時代に対して、例えば国際的な視点での課題や、リニアの問題など、新しいテーマに積極的に取り組んでおられるということ、また「業務遂行力が高い」ということは、JR東海の業績の高さによって証明されていると思います。さらに「説明力がある」ということは、国会等への説明力の必要な仕事をずっとされてきたとお聞きしました。こう考えますと、すべての資格要件に合う方です。この資格要件の下で、内部、外部を問わずふさわしい人材を私たちは考えようということでしたし、一生懸命に考えた資格要件に、まさに合致するということで、私は賛成申し上げます。

 (北原委員)

 松本氏は国鉄の改革をされました。国鉄は当時の三公社五現業の中の公社でした。NHKは特殊法人であり、同じような体質を持っていると思います。まさに国鉄改革を実行された成功体験は、必ずNHKの改革に生きると思います。したがって私も賛同します。

 (小丸委員長)

 11月24日から始まった指名委員会は、本日で6回目となりました。本来は、1月11日に議論し、12日に議決をすることにしていましたが、私の段取りがうまくいかなかったために、いろいろな話が出ました。そういった問題についてはわれわれとしても真摯に受け止めなければならないと思います。今回、このような立派な方を推薦していただきました。ありがとうございます。また、平成10年6月から、JR東海の須田氏がNHKの経営委員長を務められましたが、私も平成16年12月まで経営委員として須田さんとご一緒しました。JR東海の社風として、そのような人間性のある方がずっとトップに就かれているのだなと思いました。今後のNHKの健全な発展、また経営委員会を含めた透明性について、これから議論されることが多いこと、また地上デジタル化まであと190日であることなど、ひとつの大きな山を迎えるわけです。それから3か年経営計画の最終年度が終了しますと、受信料10%還元の問題といった面でも、新たな改革を次期会長はなされるのではないかと思います。非常に楽しみにしています。皆さんどうもありがとうございました。

 (小丸委員長)

 ここまで、皆さんの意見を伺いました。それでは、松本正之氏を日本放送協会会長に任命することについて議決を行いたいと思います。賛成の方、挙手をお願いします。
 全員賛成です。したがいまして、現在の会長の任期が平成23年1月24日で満了となるところ、後任者を任命する件につきましては、東海旅客鉄道株式会社代表取締役副会長 松本正之氏を、1月25日付で会長に任命することと決定いたしました。

 

<会長、副会長、技師長、専務理事、理事入室>

 

 (小丸委員長)

 会長以下、執行部のみなさんには、急なお集まりとなりましたが、ありがとうございます。本来なら12日までに議決することにしていました、次期日本放送協会会長の人選について、問題も出てまいりましたので、再度、本日、第6回の指名委員会を開催いたしました。
 指名委員会では、委員の方々から数名の候補者を出していただきました。その候補者の中から1人に絞り込み、経営委員全員による経営委員会で次期会長の任命について議決を行いました。次期会長は東海旅客鉄道株式会社代表取締役副会長 松本正之氏です。今日の午前中からの選考のあり方等については、後ほど、井原委員から、皆さん方に報告いたします。
 本来は、本日後ほど記者会見をする際、ご本人にも出ていただくのですが、急きょこういったことになり、ご本人は同席できません。会長就任は1月25日からですので、それまでには、何らかの記者会見をしていただこうと思います。
 福地会長には、もう少し早い時点で、次期会長の任命をご報告すべきところではありましたが、このように遅れたことをまず、おわびしたいと思います。ご心配をおかけしました。
 議決に際しては、満場一致、12名全員の方に賛成していただくことができました。経営委員会としては、正に経営委員会が一枚岩になったということと併せて、地上デジタル化まで残り190日ですが、現在の状況を見て、この方を任命させていただきました。
 (井原委員)
 本日、指名委員会ならびに経営委員会がどのような議論をしたかということですが、次期会長にふさわしい方としての資格要件と会長候補を選考する際の手続きでした。
 資格要件については、これまで指名委員会では議論を重ね、経営委員会に報告されています。一方、この間、会長ならびに理事の皆さまに、ご心痛をおかけしたことを申し訳なく思っておりますが、委員会では、会長候補を選考する際の手続きについて、もう少し周到であるべきであり、また十分な議論ができなかったために引き起こした問題だと反省しなければいけないと思っていました。このため手続きのことについて、これまで考えてきた理念的なものは生かしながら、具体的な手続きを一部見直しました。どこを見直したか、結論としてどのような手続きをもって、本日の議決に至ったかということですが、推薦者は、会長の任命に責任を持つ経営委員会委員とするということは、これまでどおりそのままです。2番目に、推薦があった場合に、指名委員会で欠格要件、資格要件に照らして検討し、優先順位を付けて交渉にあたるということがありましたが、ここに私どもは不備があったと考えました。優先順位を付けてということではなく、候補者を1人推薦し、経営委員会に報告して、その後、その方に、打診したうえで、経営委員会で議決をするという手順をとりました。すなわち、優先順位を付けるのではなく、候補者を1人に絞って推薦する形にしました。その結果、先ほどご報告しましたように、指名委員会では松本正之氏を推薦することになり、打診いたしますと、お受けくださるということで、指名委員会からの報告を受け、経営委員会で議決に入りました。

 (福地会長)

 まずは、私の任期中に議決をいただいたことを感謝します。新会長について、選考の手順について、執行部側が関与するべきものではございませんので、それについて特に言うことはありません。ただ、議決において、私は当初から、全員で賛成ということについて、必ずそうしてくださいとお願いしていました。私の場合は、立候補したわけではないのに、2人の反対があったということは、私にとっては極めて不満足な議決でした。それだけに、ぜひとも全員賛成をお願いしますと申し上げていました。そのとおり、全員賛成になりましたことを改めてお礼申し上げます。
 新しい方の現在の職である鉄道事業も、本当に神経を使う仕事です。NHKもビール会社もまた同じですが、不特定多数のお客様を相手にします。人間を相手にする商売は、ものすごく神経を使います。私は、新しい方について、ほとんど存じ上げませんが、いい方をお選びいただいたのではないかと考えています。グループを含めて、1万6,000人の職員もついていくことができる方をと考えたのではないかと思います。
 私が申し上げたいのは、人選の進め方については、とやかく申し上げることはありませんが、進める過程での情報管理です。私は、リスクマネジメントの一番大きな問題、入り口は情報管理だと思うのです。インサイダー事件があのような大きな問題になったのも、もちろん本人が悪いのですが、インサイダー情報に5,000人の職員がアクセスできる、アクセスした人をフォローできない、チェックできないという脇の甘さが原因だったと思うのです。今回の件については、正に情報管理がないのではないかというくらい、情報が漏れていました。漏れてもよい情報もありますが、社内外含めて、候補に挙がった人は極めて大きな迷惑を被ったと思います。経営委員会は執行部を監督する立場にあるのですから、今後も、経営委員会の運営において、ご留意いただきたいと思います。やはり、信頼してついていける経営委員会であっていただきたいと思います。こんなことを申し上げて、大変申し訳ございませんが、今回の結果について、お話を申し上げておきます。今日、議決されなかったら、どのように申し上げようかと、実は思っておりました。ほっといたしました。どうもありがとうございました。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成23年1月25日    

小 丸 成 洋

 

井 原 理 代