過去の議事録(過去の議事録を閲覧できます)
第1133回
一覧へ
平成23年1月28日(金)公表

日本放送協会第1133回経営委員会議事録
(平成23年1月11日・12日開催分)

第1133回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1133回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成23年1月11日(火)午後2時05分から午後4時00分まで
1月12日(水)午前10時00分から午前10時30分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  小 丸 成 洋 安 田 喜 憲 石 島 辰太郎
    石 原   進   井 原 理 代 大 滝 精 一
    勝 又 英 子   北 原 健 児 倉 田 真由美
    幸 田 真 音   竹 中 ナ ミ 浜 田 健一郎
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  福 地 会 長 今 井 副会長 永 井 技師長
  金 田 専務理事 日 向 専務理事 溝 口 理 事
  八 幡 理 事 大 西 理 事 今 井 理 事
  黒 木 理 事 塚 田 理 事 吉 国 理 事

 

 

<場   所>
放送センター 21階役員会議室

 

<議   事>

 議事に先立ち、経営委員による経営委員会を開催。その後、小丸委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1132回経営委員会(平成22年12月21日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成22年1月14日に公表することを決定した。また、11日、12日の議事終了後に指名委員会を開催し、次期会長候補選考の経過と今後の進め方について意見交換。

 

付議事項

1 会長報告

 

2 議決事項

 (1) 平成23年度国内放送番組編集の基本計画について(資料)

 (2) 平成23年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画について(資料)

 

3 報告事項

 (1) 平成23年度国内放送番組編成計画について(資料1)(資料2)

 (2) 平成23年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編成計画について(資料1)(資料2)

 

4 議決事項

 (3) 平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画
(資料)(資料)(資料)(資料1)(資料2)(資料)

 

 

議事経過

 

【1月11日(火)】

<経営委員による経営委員会>

 (小丸委員長)

 前回の経営委員会で、皆さんからのご意見を基に、23年度予算の執行にあたっての留意点を、経営委員の意見としてまとめましたので、井原委員より説明をお願いします。
 (井原委員)
 それでは、平成23年度予算、事業計画および資金計画執行にあたっての留意点の案についてご説明します。これは、明日、予算の議決が終わった後で執行部に伝える予定のもので、あらかじめそれぞれの委員からご意見をいただいて、それを踏まえて整理し、私の方で案をまとめることになっておりました。ご意見については、大滝委員と石原委員からいただきました。ほかの委員につきましては、昨年度の議決の際に付した経営委員会の意見でよいという旨のご見解でした。したがって、ご説明する案は、大滝委員・石原委員のご意見と昨年度の意見を、総合的に整理しまとめたものです。まず、変更点を申し上げます。この留意点の位置づけについては、昨年度は「議決にあたっての経営委員会の意見」という表現を使っていましたが、議決にあたっての、いわゆる付帯要件のようなものは、議決するのが経営委員会ですので、自己矛盾になるのではないかというご指摘もありました。したがって、議決にあたっての意見ではなく、議決をした予算についての「執行にあたっての留意点」という位置づけにしています。それから、昨年度は、3か年経営計画の中間年だということを中心に前文を書いていましたが、今年度は、3か年経営計画の最終年度となり、しかもテレビ完全デジタル化元年となることを踏まえた内容にしています。
 内容について、キーワードだけ申し上げます。大滝委員からのご指摘は4点ありました。キーワードの1つは、増収対策をきちんと実施すること。2点目は、トータル管理をきちんと遂行するということ。3点目は、グループ経営の最適化に向けた取り組みを進めること。4点目は、次期3か年経営計画への橋渡しだということを執行にあたっても留意すべきということでした。石原委員からは、1点目は、収入の確保に全力を挙げるとともに、そのための契約収納費の増加については、効果的な執行を心がけるべしということでした。2点目は、デジタル化が控えていますので、多額の経費が必要となるかもしれないけれども、だからこそ全体的な経費の効果的な執行に留意するべきということでした。
 一方、昨年度の1点目は受信料収入のこと、2点目は支出の執行を精査して行うこと、トータルコストを推進すること、3点目は構造改革を進めること、4点目は、次期の経営課題について、これからの経営課題を早期に議論・検討を開始することでした。したがって、いただいたご意見は基本的に重なっていますので、総合化して、今回の案を作成いたしました。案には1から4まで項目があります。経営委員会としての留意点になりますので、この案を読み上げます。
 平成23年度は、3か年経営計画の最終年度となる。急激な経済状況や社会環境の変化の中で、テレビ完全デジタル化元年となり、協会を取り巻く状況は厳しいが、経営計画で策定した経営2目標の達成に向けて、全組織を挙げて取り組んでいかなくてはならない。そのため、23年度予算執行にあたっては、以下の点に留意して、着実に業務を遂行し、その状況を四半期ごとに報告してもらいたい。 
 1.収入の確保はNHK存立の基盤であり、その確保に全力を尽くす必要がある。受信料収入の現状ならびにそれに影響を及ぼすさまざまな課題を全職員で共有し、全協会を挙げて増収対策に取り組むこと。
 2.23年7月の完全デジタル化に向けて、不退転の決意で移行対策に取り組むこと。また、そのために多額の経費が必要となるため、支出全般にわたり執行段階でさらに精査し、効率的な執行に努めること。
 3.3か年経営計画の総仕上げとして、計画に掲げた構造改革の各項目のブラッシュアップを図ること。そのために経営資源の適切な配分を行うべくトータル管理の取り組みを一層進めること。また、年金制度については、今後も景気動向を注視しつつ、定期的な点検・見直しを行うこと。
 4.グループ経営全体の最適化を目指し、組織・人事制度を含めた抜本的な改革に向けて、関係部門が連携して取り組む体制を整備・強化すること。
 なお、23年度は次期経営計画への橋渡しの年度となるため、経営委員会と執行部との間で現経営計画を総括し次期経営計画の策定へつなげる検討体制を早期に確立すること。
 以上が案です。何かお気づきの点がありますでしょうか。繰り返しますが、これは明日議決をした後で申し上げる内容ですが、これでよろしければ経営委員会のまとめとさせていただきます。

 (石原委員)

 契約収納費について、収入の確保のために、約600億円のお金を計上していますが、これは大変な金額ですよね。費用対効果というか、今、外部委託化を進めて、部外能力を使っているのですが、要するに収入を稼げばいい、75%という受信料支払率をクリアするために、いくらお金がかかってもいいのかということにもなりかねないので、費用対効果の分析はできているのでしょうか。

 (水田事務局長)

 営業経費率については、シーリングをかけています。

 (小丸委員長)

 全体的にコストはかけても、効果をしっかりと管理するべきということですね。

 (石原委員)

 要するに、現場でこれをやっているわけですから、収納率さえ上げればいいのだということであれば危険性があるということです。費用はいくらかかってもいい、75%をクリアしなければだめだということで進めているのだと思います。

 (井原委員)

 それが3番目の、実はトータル管理に関わるところです。営業費のトータル管理に、今年度着手したのです。

 (石原委員)

 営業費のトータル管理というのは経費全体の話になりますので、収納に600億円もかかっていることについてです。

 (井原委員)

 収納について、なぜこうなっているのか、どこに問題があるのかということを、トータル管理から明確にする必要があると思っています。

 (石原委員)

 問題があるかどうかも分らないのですか。

 (井原委員)

 それは分っています。

 (石原委員)

 どのくらい費用をかけてもいいのかについて、現場でも分かりやすいような、ブレークイーブンポイントがあるのではないかと思います。

 (井原委員)

 繰り返しますが、営業のトータル管理により、分かりかかったわけです。

 (石原委員)

 分かりかかっているのですか。

 (井原委員)

 はい。

 (石原委員)

 それはここに書いてあるのですか。

 (井原委員)

 はい、トータル管理の表記に含めているつもりです。

 (石原委員)

 分かりかかっているって言いますが、これはやはり現場の人たち、職員がそこのところを分っていないといけないと思います。

 (井原委員)

 「経営資源の適切な配分を」というところが費用対効果に関することです。個々については記載しませんでしたが、同じような問題がほかにもたくさんあると思います。

 (石原委員)

 毎月、地上契約では1,345円頂くわけですから、収納した委託会社に対して支払う一時金について、いくらぐらいがブレークイーブンのポイントなのかは、見当があるのではないですか。毎年600億円の契約収納費はすごい金額ですよ。

 (幸田委員)

 私も経営委員に就任した直後にその質問をしました。たとえば1,345円徴収するために、どこまでコストをかけていいのか、という議論です。そのときに、公共放送の質、その性質上、費用対効果ももちろん大事ですが、その率を上げることが払っている人たちに対する、「払ってない人はこれだけいるのに、払うのはおかしい」ということを言う人に納得していただくための費用でもあるというような答えが、確か返ってきたと思います。

 (石原委員)

 それで済ましては、いけないと思います。

 (井原委員)

 だからこそトータル管理で、どのような費用対効果になっているかということを明確にするようにという趣旨です。

 (石原委員)

 トータル管理って言葉が漠然としていて、よく分からないのだから言っているわけです。

 (水田事務局長)

 その点については、この後の経営委員会でも確認ができると思います。

 (石原委員)

 はい、分かりました。

 (浜田委員)

 4つ目の項目については、新しく加えられたのですか。

 (水田事務局長)

 昨年度もありました。経営計画の中にある組織・人事制度に関することが、今回の4つ目の項目にあたります。また、2つ目の項目の「完全デジタル化に向けて、不退転の決意で移行対策に取り組むこと」が昨年度にはない新しい内容です。

 (小丸委員長)

 この留意点について、ご意見がある方は、明日の全体会議までに、井原委員までお伝えいただくようお願いします。それでは、これで経営委員による経営委員会を終了します。

 

<会長、副会長、技師長、専務理事、理事入室>

 

1 会長報告

 (福地会長)

 職員および個人委託事業者の不祥事について、吉国理事より報告いたします。

 (吉国理事)

 既に皆さんには事務局からご連絡していると思いますが、今年に入って、不祥事により職員が逮捕された事件が2件、営業の個人委託事業者の酒気帯び運転事故が1件、相次いで起こりました。年明けからお騒がせし、皆さまにご心配かけて大変申し訳ありませんでした。この内容について報告させていただきます。
 まず1件目ですが、首都圏放送センターの27歳になるディレクターですが、元日の午前4時ごろ、愛媛県東温市で、鍵のかかっていなかった乗用車の内部を物色していたとして、窃盗未遂の疑いで逮捕されました。このディレクターは現在もまだ捜査当局に勾留されています。勾留中のため、本人とはまだ直接話はできていませんが、本人は実家に帰省中で、当日は友人と酒を飲んだ後、帰宅する途中だったということです。本人は、警察に対しては、「はっきりした記憶はないが、盗むつもりはなかった」と話しているということです。今後、責任審査委員会で厳正な審査のうえ、処分することにしています。
 次に、松江放送局の29歳のディレクターが、3日の午後4時45分ごろ、静岡県裾野市のスポーツセンターの男子更衣室に無断で入り込んだとして、建造物侵入の疑いで逮捕されました。このディレクターは、「裸を撮影しようとした」と話しており、現場に残されていたビデオカメラに男性の姿が映っていたということです。このディレクターは、今月5日に送検されましたが、検察庁は当日付で起訴猶予処分として釈放しています。これについても今後、責任審査委員会で厳正な審査のうえ、処分することにしています。
 最後に、宇都宮放送局が受信料の契約・収納業務を委託している個人委託事業者の53歳の男性が、4日の午後9時20分ごろ、乗用車を運転中に宇都宮市の路上で停車中の車両に追突し、本人の車を含めた計3台の車両が玉突き事故となりました。この事故で、本人は肋骨を折るなどの大けがをし、追突された2台の車をそれぞれ運転していた方も軽いけがをしました。この日は、個人委託事業者全員がNHKに来る営業の総来局日であり、本人は業務終了後、ほかの個人委託事業者たちと飲食をした後、マイカーを運転したということです。警察は酒気帯び運転の疑いで検挙し、書類送検する方針と聞いています。宇都宮放送局は、1月8日付で業務委託契約を解約しました。
 これらの不祥事は、いずれもコンプライアンス以前の社会常識の問題であり、社会人失格と言わざるを得ない事案がわずか4日の間に3件も起こったわけです。こうしたことを重く受け止め、6日に、私から全役職員に対して、みずからを律して責任ある行動を取るよう求める通達を出しました。また、7日に開催した局長会議でも、改めて各部局長に対して、それぞれの現場でのコンプライアンスの徹底を求めるように強く指示をしました。

 (小丸委員長)

 自動車を運転される方に、アルコール検知器で飲酒のチェックができるものがありますよね。今年の4月から運送事業者に対してアルコールチェッカー使用の義務が法令化される予定ですが、現場で何か対応していますか。

 (吉国理事)

 飲酒についての注意については、特に年末年始などは各現場できちんとやっています。この宇都宮放送局でも昨年の年末に局長から直接指示をしたと聞いていますが、それが伝わっていなかったということだと思います。

 (石原委員)

 宇都宮の個人委託事業者の方に対してNHKがどこまでそういう管理ができるのかは、非常に大変だと思います。伝わっていなかったと言われますがどうやって徹底するのでしょうね。

 (大西理事)

 NHKの仕事を個人委託している方を地域スタッフと呼んでいますが、現在、全国で約4,500人の方と個人委託契約を結んでいます。委託契約書には、コンプライアンスも含めた条項は入っていますが、とりわけ現場で仕事をするのに、自動車だけではなく、徒歩の方や自転車を利用している方もいます。運転免許においても交通違反しているか等についても契約更新時に確認するとか、一定期間を設けて、道路法規が守られているかどうかの提出を求めて、その方が違反をせずに仕事しているのかのチェックは行っていますが、先ほど石原委員が言われましたように、個人委託ですので、本人が自己管理することが前提になっていますので、どこまで関与できるかということはあります。違反した場合は個人委託の契約を解除するということになります。

 (石原委員)

 委託契約書の中に、こういった事柄に違反した場合には契約を解除するということが明確に記載されているのですか。

 (大西理事)

 はい。記載されています。

 (石原委員)

 その記載が大切ですね。普段から、何か指導できるのかどうかですよ。

 (福地会長)

 おっしゃるとおり、極めて難しい問題です。今は少し減りましたが、地域スタッフが5,000人程度いたときも全部個別の契約でした。普通の会社では特約店になるわけです。特約店ですから、個人でもひとつの組織の代表みたいな形です。本当から言えば、法的責任から言うとNHKは極めて薄いと思うのですが、NHKをうたっていますので、これは視聴者目線からわれわれも考えなければなりません。

 (石原委員)

 はい、視聴者目線から見たらそうだと思います。

 (福地会長)

 靴の底から足をかくような感じがあるのですが、以前は地域スタッフの不祥事は多かったのですが、今は減ってきています。それはもう絶え間なく、辛抱強く研修を行ったのです。この前、地域スタッフの不祥事がなくなったなと話をしていたくらい減ってきたのですが、これはやはり研修で、くどいほど言ってきました。また、不祥事を起こした人については、契約を解約するという形で対応してきました。

 (石原委員)

 それは理解できます。

 (小丸委員長)

 基本的には使用者責任ということがあります。酒気帯びも当然ですが、交通違反については、起こさないように今後ともよろしくお願いします。

 (石島委員)

 先ほどの酒気帯びの委託事業者の方の問題はそういうことなのだと思うのですが、2つの20歳代のディレクターの不祥事の問題は、このほかにも幾つか、昨年から散見されます。やはり何か、コンプライアンス疲れというようなものなのかどうかは分かりませんが、こういうことを引き起こすような何か共通の雰囲気というか、管理できないような体制の不備があるのかと少し思ってしまいます。この辺についてぜひ検討していただいて、こういうことを起こさないような指導を強化していただくようお願いします。

 (福地会長)

 これはコンプライアンス以前の問題で、酒の飲み方まで教えていかなければいけないですね。正月で酒に酔って、自分がどこにいるか分からない、自分の家も分からないから、そこにあった車に乗っていたらしいです。その車に乗っているところを捕まったということです。私たちは、昔は酒の飲み方というのは会社に入ってから教わりました。酒の飲み方はこうするのだと、先輩が教えたもので、研修以前の問題です。2番目の問題も、裸を撮るというのは社会人としての常識以前の問題です。研修でどうこうできるものではないと思います。しかし、これは通常の研修で行うというよりは、導入研修のときに社会人としての基礎的なものはきちんと教えておかないといけないということです。飲酒するのに度を考えて飲む人ばかりではなく、度を外す人もいると思います。お正月で、郷里に帰っているという環境もあったとはいえ、考えられないのですが、こういったことについては、厳しく処分することだと思います。

 

 

2 議決事項
 (1) 平成23年度国内放送番組編集の基本計画について(資料)

 (日向専務理事)

 国内放送番組編集の基本計画については、先日の経営委員会で内容のあらましをご説明しましたが、定款第13条第1項第1号クの規定により、議決をお願いしたい事案です。基本計画については、基本的に大きな変更はありませんが、先日の経営委員会でも申し上げましたように、衛星放送の2つのチャンネルについては、「BS1」、「BSプレミアム」という形で承認されましたので、その表現に変えています。それから、7ページに1つ追加があります。「BS1」の放送番組の部門別編成比率ですが、定時番組については、教育番組10%以上、教養番組20%以上を編成することになっています。「BS1」については、現行の衛星第1テレビジョンと基本的に大きく変わっていませんが、今の衛星第1テレビジョンが教育番組10%以上、教養番組20%以上になっていますので、それを引き継いだ形になっています。一方、「BSプレミアム」は、放送番組の編成比率について、特に定めない形で認可を得ています。両方とも基本的には総合放送ということで、専門チャンネルではなく、さまざまな分野の番組を放送するチャンネルとして位置づけられていますが、その比率については、「BSプレミアム」については特に定めない、「BS1」については教育番組を10%、教養番組を20%以上編成するという形にしています。そのほかは原案と変更はありません。12月20日の中央放送番組審議会に諮問して、原案どおりとする答申をいただきました。細かな点については省略させていただきますが、主な変更点は今申し上げた2つです。

 (大滝委員)

 全体については賛成なのですが、5ページの下にある、これは前から議論がありますが、「企画競争などを通して国内外の優れた制作者のざん新な発想や手法を積極的に取り入れ、番組の多様化を推進します」ということについて、確か3か年経営計画でも子会社等と番組制作会社の競争を推進するために、平成25年の時点で委託番組の25%から30%程度を目指して企画競争を導入するということが決められていたと思います。正確な数字は覚えていませんが、進捗度が余り芳しくなかったと記憶しています。一気に来年度というわけにはいかないと思いますが、平成25年度を見据えた形で、この比率は上げていく努力をする必要があると思いますので、特にその点についてはよろしくお願いします。

 (小丸委員長)

 教育テレビについては、従来からお伝えしているように、子ども離れといいますか、若者離れを防止するためにも、熱を込めて編成していくということについて、今後に向けた考え方を聞かせてください。

 (日向専務理事)

 後ほど、国内放送番組編成計画の報告の中で詳しくご説明しようと思いますが、基本的に教育テレビの役割の中で、大きく分けて学校教育として教室で視聴していただく番組と、家庭で視聴していただく番組の2つがあります。10代までの視聴者には、後者の部分をさらに強化していこうと考えています。また、学校教育に使われているものについては、当然、今の時代状況を見れば明らかなように、放送だけではなく、インターネットを使った双方向の学習ができるようにさらに進化させていきたいと思っています。

 (竹中委員)

 報告を兼ねるのですが、2ページに「多彩なサービスによる接触者層のさらなる拡大」とありますが、つい最近、NHKで放送されるニュースのすべてにツイッターボタンが付いていることに気がつきました。そのニュースに気づかれた方や関心のある方が、そのツイッターボタンを1つ押せば、こんなニュースを自分が見たよ、聞いたよ、知ったよということを、ツイッターを使われている多くの方に自動的に知らせるという機能が付いていたのでびっくりしました。そのことを自分のツイッターで書いたところ、非常に大きな反響がありました。前回の委員会のときに、新たな「全国接触者率」調査のしかたとして傾向の調査などの提案をしましたが、そういう双方向のことがこのツイッターの仕組みを使ってできるのではないだろうかというご意見や、NHKとして非常に画期的な取り組みであるなど、非常によい反応の意見をたくさんいただきましたので、それをご報告しておこうと思いました。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (2) 平成23年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画について(資料)

 (今井副会長)

 平成23年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画については、先月7日の経営委員会でご説明しましたが、あらためて要点だけご説明させていただきます。基本的な編集方針としては、番組内容の充実と視聴者本位の編成、これによって世界の視聴者から信頼される国際放送としての基盤を固めていくというものです。2ページ、3ページはテレビによる国際放送の編集方針です。2ページは外国人向けサービスです。NHKワールドTVでの24時間の英語放送をさらに充実させるということがポイントです。3ページはテレビ国際放送の邦人向けサービスですが、これについてはこれまでどおりの方針で臨みますが、「NHKワールドプレミアム」を1日24時間放送していますが、1日およそ5時間については、スクランブルを外して、世界の皆さまに自由にご覧いただけるようにしています。4ページはラジオの国際放送における外国人向けサービスと邦人向けサービスについて編集方針を示しています。外国人向けについては、短波の放送以外に衛星や光ファイバーを使って放送を送って、中波やFM波を利用して現地で聴きやすい方法で放送するという努力をさらに続けていきます。邦人向けについては、海外安全情報などを、ラジオ第1放送の基本的な内容に加えて、世界にいる日本の方々にお届けするという方針です。インターネットについては、スマートフォンあるいは動画サイトなどへの提供も含めて、インターネットでのサービスにさらに先駆的な試みをしていきたいと考えています。12月10日の国際番組審議会で諮問どおり答申をいただいています。

 (大滝委員)

 大変素朴な質問で恐縮ですが、2ページに地域放送局が制作した番組を英語化して放送するということが出ています。実際に英語化して放送された番組がどんな番組だったかということを、チェックするにはどうしたらいいのですか。

 (今井副会長)

 主だったものでは「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」の多くの番組を英語化して放送しています。

 (大滝委員)

 私が質問したのは、地域放送局が作った番組を英語化して出す番組についてです。

 (今井副会長)

 NHKの地域放送局が作ったニュース、あるいはニュース関連の情報については、リポートとして、冒頭の30分の中でしばしば放送されています。地域放送局制作の番組についても、定時や特集で放送しています。

 また、民放の地域放送局が作ったものについても、年度の後半、今年に入ってから今年度分の放送を4本予定しています。来年度については、年度後半になるかと思います。年度の1年を通じて、主に賞などを受賞したドキュメンタリー番組を英語化して放送する予定です。これとは別に日本国際放送の枠で、総務省からの支援金で地域の民放局が作っている番組を、NHKの子会社である株式会社日本国際放送(JIB)が放送するという形をとっています。

 (安田代行)

 前回もお伝えしましたが、日本の若者はテレビをあまり見ないのですが、発展途上国の人々はやはりテレビを見ていると思いますので、そういう国々に日本の国家の力を示すうえでは、テレビの役割は大変大きいと思います。今後、この国際放送の番組は、ぜひ充実していただきたいと強く願っています。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

3 報告事項

 (1) 平成23年度国内放送番組編成計画について(資料1)(資料2)

 (日向専務理事)
 平成23年度NHK放送番組時刻表で、特別な番組について、簡単にチャンネルごとにご説明します。
 まず、総合テレビジョンですが、これまでも何度かご説明しましたが、今、課題は、週末の特に土曜日と夜間の強化がポイントになっています。1月15日の午前8時45分から、「ニュース 深読み」という番組が始まりますが、4月以降は、午前8時15分から放送している「NHK週刊ニュース」も一緒にワイドにして「ニュース 深読み」という形で出発します。先日もご説明しましたが、ニュースを分かりやすく紹介するということだけではなく、そのニュースの背景などを多角的に見た場合に、それぞれがどのように見えるのかという部分も含めて伝えていきたい番組です。それから、日曜日の午前8時25分からは「サキどり」とありますが、これは新しい経済情報番組です。今流行しているさまざまな出来事をきっかけに、その背景にある経済情報、経済トピックを分かりやすく伝えるという番組です。今月から既に変更していますが、日曜日に戻した「さわやか自然百景」、「小さな旅」の後に「サキどり」を放送する形になります。月曜日から金曜日の午後3時台には、「ろーかる直送便」という番組を放送します。これはNHKの各地域放送局が作った番組を全国発信する枠です。月曜日から金曜日の毎週で5枠を設けています。これまで衛星ハイビジョンでこのような枠がありましたが、これを地上波、総合テレビジョンに移して、さらに多くの人に視聴していただきたいということです。土曜日の夜間には、これまで30分の時代劇がありましたが、これを衛星の「BSプレミアム」に移して、午後7時台から10時台までは長時間の特集編成枠を2つ設けています。先日、北原委員からご指摘がありましたが、NHKらしい番組で勝負したいと思っています。午後7時台は、今も時々放送していますが、「検索deゴー!とっておき世界遺産」や、衛星第2で放送している「ごきげん歌謡笑劇団」など、高齢層の方から40代、場合によっては20代の人も楽しめるような、NHKがわりと得意な番組を中心に編成しようと思っています。午後9時台については、これまで土曜ドラマで放送してきた社会派のドラマのシリーズを組んでみるとか、「NHKスペシャル」をシリーズ化したものを放送するなど、わりとハードでジャーナルなテーマを特集として放送していこうという試みです。木曜日の午後8時台は、今苦戦をしている時間帯ですが、ここに短期の3か月クールで、「仕事ハッケン伝」、「セカイでニホンGO!」という番組を前期の中で放送しようと考えています。今まで、木曜日の午後8時台に新しい番組を編成して、若い世代の視聴者を獲得しようと試行錯誤しており、なかなかうまくいっていませんが、この時間帯で新しい番組を開発したいという気持ちもあり、3か月クールの番組を編成しようと考えています。「仕事ハッケン伝」は、いろいろな会社に体験入社し、その仕事のだいご味や苦労を視聴者とともにシェアをする狙いの番組です。「セカイでニホンGO!」は、これまで午後10時台に放送していた「みんなでニホンGO!」を少し変えて、例えば世界が日本をどう見たかというような日本の文化などを含めた教養バラエティー番組に発展させたいと考えています。同じ木曜日の午後10時台に、「タイムスクープハンター」、「総合診療医ドクターG」というのがあります。「タイムスクープハンター」は歴史番組であり、タイムマシーンに乗って、ある時代に行き、そこで、歴史番組ではなかなか取り上げられなかった日常的な出来事を、実際にタイムスリップした人間が一緒に体験をするという番組です。特に若い世代の方々に人気のあった番組ですが、それを午後10時台に繰り上げて放送するということです。「総合診療医ドクターG」は、医療が非常に縦割りになっている今、総合診療医とさまざまな症状を持つ患者さんの実際の体験談をもとにしたドラマで、研修医と言われるまだ医者になりたての方々が、その症状を診ながら病名を当てるという、ある種のクイズ仕立ての仕掛けを持っています。そこで紹介されるのは、特に高齢者の方もそうですが、いろいろな症状があり、一体どういう病気なのか分からないということがよくありますので、そういうものへの関心にも応えるような番組にしたいと考えています。これは今、衛星ハイビジョンで放送している番組ですが、パイロット版として総合テレビで放送したところ、非常に反応もいいので、この時間帯で挑戦してみたいと思います。月曜日の午後10時台の「ディープピープル」という番組は、トーク番組の一種ですが、いろいろな体験をした人たちからインタビュアーの方が聞き出すというようなトーク番組が多い中、その道の専門家たち同士がトークをするという新しい形式のトーク番組で、いわゆる門外漢の人が聞いているインタビューとは全然違う味わいや雰囲気が出ています。情報も非常に新鮮だということで、現在、「プロフェッショナル 仕事の流儀」を放送していますが、それに交代して、番組を編成しようと考えています。衛星で非常に評判のいい海外ドラマ「イ・サン」ですが、今放送している「蒼穹の昴」の後続番組として総合テレビジョンで放送するという形になります。
 次に教育テレビジョンです。先ほどご質問がありましたが、教育テレビジョンは、特にハイティーンの方々に視聴してもらえるようにこれからは強化していきたいということと、これまで、さまざまな趣味、実用番組、教養番組と言われるものが、わりと高齢層の方々向けに偏っていたところもありますので、もう少し若い人向けの番組も編成していきたいということがポイントの1つです。午前中の学校放送番組に少し変更を加えています。放送する番組の種類は変わっていませんが、先生方から、「今までの15分単位の番組は45分の授業時間の中では少し長い」というご意見をたくさんいただいていますので、来年度からは10分を基本に学校放送番組を構成していこうと考えています。午後7時台ですが、この時間帯はもともと特に民放が非常に強いところですが、実際7時台はハイティーンの方々が在宅している率が非常に高い時間帯で、この時間帯に教育テレビジョンらしい番組をいろいろと開発していこうと考えています。今年度始めた「テストの花道」、「すイエんサー」という番組は、それぞれ定着しつつあるので、これは継続しようと思っています。水曜日に「Rの法則」というのがありますが、これはいろいろなランキングを1つのヒントにして、そこから引き出せるさまざまな情報を分かりやすく、楽しくお伝えしようという番組です。金曜日に「スクールLive Show」がありますが、それぞれ学校のクラブ活動とか、さまざまな課外活動をしている生徒さんが大勢いらっしゃいますので、その方々のパフォーマンスを公開番組という形で紹介していこうというものです。火曜日の午後10時台に「さかのぼり日本史」があります。歴史をきちんと順番にひもといていく番組がなかなかありませんが、教育テレビジョンでは体系的に歴史を学ぶためのツールといいますか素材を提供しようということと、普通は縄文時代から始まるのですが、この番組は昭和から順番にさかのぼっていくという形で歴史を見ていこうという番組です。水曜日の午後10時台に「100分de名著」という番組があります。先日、試作開発番組で「一週間de資本論」という番組を放送しました。今、あるところでは「資本論」が非常に注目を集めているということで、「資本論」のあらましを5日間連続で放送しましたが、これと同じような手法を使ってさまざまな名著を1か月で合計100分紹介するという新しい試みです。それから、水曜日の深夜0時台の「資格☆はばたく」は、今さまざまなキャリアアップの中で、いろいろな資格があります。その資格を取得するためのオリエンテーションになるような番組を、かなりのニーズがあるのではないかということで、新設します。
 次に、衛星放送です。BS1については、基本的に大きな変更はありませんが、今まで「きょうの世界」というタイトルでニュース情報番組を放送していましたが、少しスタイルを一新して、「ワールドWave モーニング」、「ワールドWave トゥナイト」、「ワールドWave アジア」という形で情報番組をさらにブラッシュアップしていきたいということです。それから、この時刻表には定時番組ではありませんので掲載していませんが、「エキサイティングスポーツ」という枠の中で、若い人たちに人気のあるスポーツソフトを発掘していこうと考えています。土曜日、日曜日の午後10時台に「地球テレビ100」、「地球アゴラ」がありますが、ともに、インターネットの双方向性をうまく活用して、「地球テレビ100」はビジネスパーソン向けに、さまざまな世界の情報をお伝えする番組、「地球アゴラ」は世界のいろいろな知性といいますか、世界の一流の知識人たちに、今の世界のさまざまな課題についてディベートをしていただくという番組です。
 BSプレミアムです。BSプレミアムは新しいチャンネルですので新設番組が非常に多くなっています。午前7時台には、ミニ番組で定時に毎日放送する番組が並んでいます。「宇宙からウェイクアップコール」は、NASAの宇宙飛行士がヒューストンから毎朝起こされるときに、その人がリクエストした音楽と一緒に朝のあいさつをするというならわしがあるのですが、それを素材として、それぞれのウェイクアップコールに使われた音楽とそのエピソードをミニ番組で伝えていくという番組です。お好きな方は一緒に目覚めていただきたいという狙いがあります。「世界の名峰 グレートサミッツ エピソード100」は、今「世界の名峰」のシリーズをハイビジョンで放送していますが、その中から美しい映像を自然をさわやかな音楽とともにお届けするという、同じようなミニ番組です。それから、「カシャッと一句!フォト575」、「額縁をくぐって物語の中へ」は、それぞれが有名な絵画の中に入って、その絵画の描かれた全体の空間やエピソードを紹介する番組です。「カシャッと一句!フォト575」は、ちょっとしたスナップ写真に五・七・五が付け加えられたものですが、いろいろな自然、日常の季節の移り変わりなどを紹介していくというものです。一番大きく変わるのは、午後8時台、9時台、10時台のところですが、「紀行」、「自然」、「美術」など7つのジャンルを1つのターゲットにして、フォーカスした番組をたくさん作っていこうとしています。放送時間も、今は90分の番組が多いのですが、60分に短縮して見やすくしていきたいということです。紀行では、午後7時台の火曜日から金曜日の「にっぽん縦断 こころ旅」は、視聴者からの便りを基に、自転車に乗ってその方々の思い出の場所を訪ねるという番組です。火曜日の午後8時台の、「旅のチカラ」は、さまざまな著名人の方々が旅人になって、出会いや、自然、絶景に感動するなど、その人の思いをぶつけていただくというような、大型の紀行番組です。金曜日の午後8時台の「新日本風土記」は、将来的にはネットと連携したアーカイブス化を狙っている番組ですが、各地の風俗、自然、芸能、工芸品など、または、そこで育った人物というものを地域ごとに伝えていって、日本の消えゆく文化を記録していこうという番組です。美術に関しては、月曜日の午後9時台に「極上美の饗宴」があり、4月の最初は伊藤若冲の細密画の世界を堪能していただくという番組を企画しています。水曜日の午後8時台の「たけしアート☆ビート」は、ビートたけしさんがそれぞれ興味を持ったさまざまなアーティストを訪ねて、その美術の世界を紹介するという番組です。歴史では、「BS歴史館」が金曜日の午後9時台にあります。これは世界史、日本史も含みますが、世界史上の事件で、人物のさまざまな真相にスポットを当ててお伝えする新しい歴史番組です。木曜日の午後10時台の「らいじんぐ産」は、昔「プロジェクトX」で電気炊飯器を取り上げましたが、例えば自動販売機など、日本が近代以降作ってきたさまざまな製品の歴史をひもとく番組です。アニメでは木曜日の午後11時台に「アニメ へうげもの」があります。これは古田織部の世界を描こうというアニメです。武人でありながら非常に美術にも造詣の深かった武将ですが、それをアニメ化したものです。その後のミニ番組「へうげもの 名品名席」は、特に茶道具など、彼が好んだ名品で現存している作品を紹介するという番組で、続く形になっています。自然では、月曜日の午後8時台の「ワイルドライフ」は動物、生き物の生態を描くものです。土曜日の午後7時台の「体感!グレートネイチャー」はどちらかというと自然の驚異を堪能していただくような番組です。衛星第2でこれまでも放送していて、一番人気が高い映画については、当然、日曜日、月曜日、火曜日、水曜日の午後10時台で放送します。特に日曜日については、今、山田洋次さんが選んだ100作品という形で、邦画を中心に放送しようと考えています。音楽では、土曜日の午後8時台の世界の一流エンターテイナーが登場する「ショータイム」は、ラスベガスのショーなど、一流のエンターテインメントを堪能していただく番組です。木曜日の午後9時台の「Amazing Voice 驚異の歌声」も一流の世界のシンガーのコンサートを紹介する番組です。今ご説明した7つのテーマに沿った、非常に満足感の高い番組を定時番組の中では並べていきたいと思っています。それから、深夜の「BSアーカイブス」では、これまで衛星ハイビジョンで12月に「ベスト・オブ・ベスト」という特集を放送しましたが、新しく衛星放送を見始めた方々が結構いらっしゃいまして、その人たちにとってBSのチャンネルをアピールするのが非常に良かったと思い、この過去の傑作選を新しいBSプレミアムで紹介していきたいということと、併せてNHKオンデマンドの権利処理もスムーズに行うことで、オンデマンドに貢献したいという意図もあります。
 ラジオ放送については、基本的に大きな変更はありませんが、ポイントだけご説明します。ラジオ第1放送では、土曜日の午前9時台から10時台にかけて「カケダセ!」、「みんなで科学 ラボラジオ」という2時間のワイド番組を設けています。ラジオ第1放送では、今までもさまざまな電話相談を行っていますが、「カケダセ!」は10代の人たちにもぜひ参加していただき、10代の悩みの相談に乗ろうという番組です。夏休みに「科学電話相談」を放送しているのですが、非常にたくさんの電話をいただいていますので、もう少し枠を広げていこうということです。それから、「科学電話相談」をどちらかというと通年化して、「みんなで科学 ラボラジオ」で、科学の中での素朴な疑問、これは何かというようなものにお答えする番組を設けようと考えています。月曜日の午後9時台に、これは月に1回程度になりますが、「オトナの補習授業」という番組を始めます。これはもう今さら聞けないいろいろな話をここで紹介してもらう番組で、もしかしたらこういうものも意外に受けるかもしれないなということです。土曜日の午後8時台の「真打ち競演」は、長期間放送している非常に人気の高い演芸の番組ですが、そのうち、月に1回、キャンパス寄席という形で、大学のキャンパスに行ってそこで寄席を公開放送しようという試みです。全般的にラジオについては、今は非常にインターネットのアクセスが増えており、特に「ラジオ深夜便」は昨年度の3倍から10倍ぐらいのアクセスがあります。そういう意味で、ストリーミングサービス、それから制度上の問題が解決すれば、できれば来年度中にはラジオのライブストリーミングを始めていきたいと考えています。
 ラジオ第2放送については、基本的に大きな変更はありませんが、「ポルトガル語入門」を計画しています。
 FM放送については、昨年度、今年度と「今日は一日アニソン三昧」、「今日は一日ジャズ三昧」などの番組を時々特集で放送してきましたが、非常に反響があり、ぜひ続けてほしいというリスナーのご意見もあり、月曜日から金曜日の深夜の午前0時台で放送してみようと考えています。あとは基本的に大きな変更はありません。
 以上がテレビ、ラジオですが、教育テレビジョンはワンセグ独自のサービスを行っています。「平成23年度国内放送番組編成計画」の冊子の60ページです。ワンセグの独自サービスについては、基本的に今年度と大きく変更していません。NHK全体のサービスの中で、例えばスポーツ中継など、スタジアムの中で、ワンセグで視聴するなどの見方をしていただけることも多いと思いますし、お昼休みの時間帯にちょっとした知識や情報を得られるような番組を大きな2つの柱の1つにしています。もう1つは、やはり10代の視聴者の方々にNHKの番組に接してもらうきっかけになってもらえればということで、各波で放送している番組のダイジェスト版を放送したいと思っています。また、ワンセグだけではなく、これからはスマートフォンなど、さまざまなルートでいろいろなコンテンツが出ていきますが、5分、3分の番組をどのように作れば皆さんに受け入れられるのかというようなことを開発していく場としても、このワンセグ独自の番組を活用していきます。
 64ページに字幕放送、ステレオ放送などについての記述があります。先日申し上げましたが、字幕放送については基本的に収録された番組については100%付与していますが、これからの課題は生放送に字幕をどうやって付与していくかということです。来年度については、「ゆうどきネットワーク」、「サキどり」、の2つについては字幕を付与し、後期からは、今非常に人気が出ています「あさイチ」や新しく新設する「ニュース 深読み」についても字幕を付与していこうと考えています。今年度との比較では、まだ最終的な集計はできていませんが、総合テレビジョンが、22年度が1週あたり94時間12分のところ、23年度は1週あたり97時間57分に増やす計画です。BS1については今まで字幕がありませんでしたが、来年度については、1週あたり4時間50分ですが、字幕放送の番組を新設します。解説放送では、総合テレビジョンは今年度1週あたり11時間20分を13時間5分に増やします。教育テレビジョンは、定時マルチ編成時間を減らして総放送時間が減りますので、解説放送も、今年度1週あたり17時間が16時間3分となりますが、メインチャンネルについては、今年度1週あたり13時間50分を15時間3分に増やす予定です。その後にステレオ放送、2か国語放送についての記載があります。インターネットのサービスについても最終ページにありますが、お読みいただければと思います。

 (北原委員)

 以前にも浜田委員から質問が出ていたと思いますが、テレビの場合、今まで5波あったのが4波になります。これは制作費の面では、当然波が減っているので、圧縮されていると思うのですが、どの程度圧縮されているのですか。それからもう1つ、総合テレビジョン、教育テレビジョン、BS1、BSプレミアム、この4波の制作費の比率はどうなっているのですか。

 (日向専務理事)

 制作費の比率は、今手持ちの資料がありませんので後ほどご説明したいと思いますが、BSの制作費については、今までご説明しましたが、衛星第2放送は60%がいわゆる難視対策という形で、地上波の番組を再放送や同時放送する番組があります。それが今回セーフティネットへ移りますので、基本的には60%の部分を新しい番組で埋めるということになります。それから衛星ハイビジョンはこれまで24時間放送はしていません。したがって、2つの波が今度1つになると考えてもいいと思いますが、タイトル数は大きく減っていません。制作費のほうはおよそ10億円強減っています。ただし、来年度の予算の考え方の中で、BS1、BSプレミアムという新しいチャンネルができますので、それに対する周知、プロモーション、衛星の契約数増加につながるような番組も作っていかなければいけませんので、別途、特集番組の費用の中から出す形で、来年度は単年度の措置として、少し衛星の番組については強化しようと考えています。定時番組に関して言えば、今申し上げた10億円強が減っています。

 (北原委員)

 分かりました。

 (石原委員)

 今のお話で、衛星ハイビジョンがなくなり、BS1とBSプレミアムになることで、予算を見てみると、10億円ぐらいしか制作費が減っていません。1つチャンネルを減らすわけですから、もっと減っていいのではないのかなという感じがします。10億円は決して小さい金額ではありませんが、3波が2波になったわりには、どうしてこの程度なのかと思いますが、そのことに関してはいかがですか。

 (日向専務理事)

 BS2波化になるときに、さまざまなシミュレーションを行い、今申し上げたような事情がありますので、1波分を減らすということにはなりません。また、NHKの財源のことを考えると、BS1、BSプレミアムの制作費を単純に機械的に減らすというわけにはいかないだろうという判断があります。申し上げましたように、基本的には2チャンネルが1チャンネルになるということではなく、6割以上、地上波の再放送をしてきた分については、新しく独自番組が増えるということです。ですから、経費効果としてはそんなに望めないというのが、これまで何回かシミュレーションした結論です。

 (石原委員)

 それは、当面移行した段階だから減り方が少ないのであって、時間がたつにしたがって、要員の減などの面で減っていくというものではないのですか。構造的に減らないようになっているのですか。

 (日向専務理事)

 今後、少しずつ変えていこうとは思っていますが、衛星の番組は基本的に委託番組の割合が多いのです。したがって、直接費で見ると高く見えるのですが、そこには人件費も、場合によっては設備費も含まれた金額が計上されています。NHK本体が制作するテレビジョンの番組などの場合計上されていない人件費や設備費が直接費として計上されていますので、この金額だけで比較をされると違うということです。

 (福地会長)

 別の見方ですが、視聴者から見た場合、衛星の3波が2波になるのだから、なぜ受信料が下がらないのかということが常識的に言われます。しかし、実は、2波から3波にしたときには値上げをしていないのです。サイマル放送の分などがあるので、実際は3波が2波になるのではなく、2.4波が2波くらいになるのかと思います。もう1つは、全放送がハイビジョンになります。そういったことで、視聴者にサービスレベルが落ちたと捉えられないように十分な注意を払っていきます。

 (小丸委員長)

 永井技師長に伺います。機械設備的には何か変化というのはありますか。

 (永井技師長)

 送出設備は、ハイビジョン1波と現行方式2波からハイビジョン2波になりますので、当然変えます。現在、番組は、ほとんどハイビジョンで制作していますので、大きな変化はありません。

 (小丸委員長)

 番組を制作する設備については、新たな投資はないのですね。

 (幸田委員)

 衛星放送が2波から3波になるときに値上げをしていないということもあるのでしょうが、今、世の中を見ますとデフレの時代です。料金が変わっていないということは実質値上げだという発想にもなるので、公共料金や消費財価格などが下がっている中で、受信料を変わらず持続しているという認識も必要です。また、それを説得するぐらいの、こちらからの説明が必要だということは、念頭に置いていただきたいと思います。

 (金田専務理事)

 今の現経営計画を立てるときに、BS2波化のいろいろなシミュレーションを行い、経営委員会とはどのぐらい下がるだろうという議論をして、昨年度から今年度にかけては25億円減らしています。今回も10億円を減らすという考え方ですが、先ほどからご説明しているように、衛星放送の役割が見直されることで、これまで衛星放送で適用されていた出演料などの再放送料の特例が廃止されることになり経費の増加が見込まれます。また、ハイビジョン化で作り方が変わります。その他、番組の入れ替えなどいろいろあります。そういうことで、現段階では4億円ぐらい減ということですが、2か年では、考え方としては35億円減らしている計画になっています。その減り分が少なく見えるのは、先ほど申し上げていますように、実際には2.4波分ぐらいが2波分になるという考え方です。もともとBSは無料放送から始まっており、普及促進のためにいろいろな経理上の措置をしていました。限界費用だけを負担してもらうという考え方です。それをそろそろ基幹放送として見直す時期にも来ているということで、このあたりの議論については経理制度検討委員会等や、あるいはその先には受信料制度等専門調査会もありますが、中長期的にどう考えるか、どのような経理制度あるいは原価の計算のしかたを取っていくのかについては、今議論を進めさせていただいているところですので、別途、ご説明したいと思っています。現下の計画において、衛星の予算については、経営計画の予算のとおりに進んでいるとご理解いただけるのではないかと思います。

 (日向専務理事)

 もちろん、デフレなのですが、国内放送費そのものは経営計画の中でもシーリングを立てている中ですが、受信料収入が伸びても国内放送費は増やさないという考え方が1つあります。それからもう1つ、これまで10年以上、20年近くにわたって制作費をずっと抑えてきたのです。その延長線上に今があり、必ずしも今の時点がデフレになったから下げなければいけないという理屈は少し違うかと思います。かなり抑えぎみで来ていて、相当、番組の質や制作力が影響を受けているという認識のもとに、今、当然質の向上に向けていろいろな努力をしています。シーリングをするということは、国内放送費の中で必要なところにはお金を使い、そうではないところは削っていくということなので、ぜひご理解をいただきたいと思います。

 (幸田委員)

 若年層は特にそうなのですが、コストパフォーマンスということにものすごく敏感な世代が増えてきています。NHKの中での考え方というよりも、ほかの公共料金やほかの価格との比較の感覚というのが、われわれの世代とは違ってきているので、そういう人たちにどう説得力を持って説明していくかということを申し上げたのです。

 (倉田委員)

 全く違う話なのですが、先日、NHK教育テレビジョンで小学生向けのミニドラマを拝見しまして、とてもおもしろかったのです。子ども向けのものとはいえ、いいもので本当に長く続くようなものは、大人が見るのに堪えるものだと思うのです。アニメーションなどを見ましても、NHKのアニメメーションというのはよくも悪くもNHK的で、幼児などにはそれでいいのでしょうけれど、やはりハイティーンなどを取り込んでいくということを考えますと、大人が見てもおもしろい、例えば他局ですが、「ちびまる子ちゃん」、「サザエさん」、「ドラえもん」などは、ずっと長く続いていますが、大人が見るに堪えるのです。ですので、そういったものがNHKにも取り入れられるといいなと思いました。

 (石島委員)

 「さかのぼり日本史」の話を伺っていろいろ興味を持ったのですが、実は大方のテレビ番組はいろいろな知識を提供してくれるのですが、必ずしも体系立った知識提供にはなっていないのです。特に私たちの場合での理系の知識というのはほとんどが体系立った知識で、部分的な知識はほとんど役に立ちません。やはり体系性を持った知識を与えてくれるような、分野によりますが、例えば語学などはかなり体系性を持たせた番組編成になっていると思うので、そのようなカリキュラムの番組を増やしていただけるといいなと思います。つまり、私もそろそろそういう年齢になってくるわけですが、ある高齢になると、ここから先、何か趣味を見つけなければいけないのですが、その趣味を見つけるのにも体系的な知識というのは結構利用価値があるものです。「さかのぼり日本史」のようなものを、ぜひ今後も増やしていただきたいと思いました。

 

 (2) 平成23年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編成計画について(資料1)(資料2)

 (今井副会長)
 国際放送の特に外国人向けテレビ放送がどのような編成になっているかについて、別表で簡単にご説明します。別表の1ページから3ページまでの「NHKワールドTV」ですが、1ページの左の1番上を見ていただくと、日本時間の午前5時の記載があります。そこの時間は、Hがホノルルで午前4時、Lがロンドンで21時、Nがニューヨークで16時です。ここから1ページの終わりまでが8時間ですが、3ページまでで24時間を表示しています。横は月曜日から日曜日です。NHKの国際放送は、4時間ずつ1組にして編成しています。つまり、この表でいいますと、月曜日午前8時台の後半に、「J−MELO」という若者向けの音楽番組がありますが、これは4時間後の午後1時前の12時30分にまた登場してきます。このように4時間おきに同じ番組が1日6回登場するようになっています。そして、どの時間も原則として冒頭から30分はニュースを放送していますが、深夜時間帯、休日は10分のニュースを放送し、その後、いろいろと番組を取りそろえているという形になります。24時間を6つに分けて同じ番組を放送していくということになりますが、こうすることによって24時間の中で、世界のどこかの地域で必ずどれかが目に入るようにという形を取っています。これが放送の時刻表の基本です。
 別冊で番組編成について、かいつまんでご説明申し上げます。今番組時刻表でご説明したテレビの国際放送、「NHKワールドTV」ですが、編成計画の要点として、英語ニュースの強化をさらに進めるということです。これまでアメリカ・ワシントンあるいは香港などで実施しました視聴実態調査で、欧米のメディアとは異なる視点が視聴者に評価されているということが見えてきました。こうした点を意識しながら、アジアの取材拠点をこれまでの香港、北京、ソウル、バンコクの4か所に加えて、シンガポールにも英語専門の取材拠点を設けて素材を活用していきます。さらに、映像については、国際放送局がこれまで放送または撮影した映像など、独自素材を効果的にニュースの背景などのリポートに使えるように、データベースを整備していきます。新しい番組として、独自の制作番組である「Asia in View」、「Booked for Japan」という番組を2つ、1ページの後半でご紹介しています。「Asia in View」は、現在の「China Wow!」という中国を主に取り上げた番組に加えて、アジアの立ち位置からのリポートも増やしていこうということで、アジア全般に枠を広げて月2本ないし3本、「China Wow!」と併せて放送していくということです。「Booked for Japan」は、タイトルは、言うなれば日本にはまった人たち、あるいははまるというようなことで、東大で教べんをとっている日本文学者のロバート・キャンベルさんが、ゲストと日本文化の魅力を語り合うトーク番組です。2ページの上段の国内放送番組の英語化については、「世界ふれあい街歩き」、「世界のエコツアー」という、国内でも手堅い、人気のある番組を英語化して放送することにしています。
 邦人向けのサービスは、国内放送番組の編成計画の変更に伴って番組を入れかえる形で放送していきます。
 ラジオ国際放送については、ニュース・番組の充実として、現在は17か国語の放送を行っていますが、アジア、アフリカ向けなどの放送については、より聞きやすい時間帯に放送時間を動かす、あるいは放送枠を増やすという形でサービスの強化に努めることにしています。
 インターネットについては、国際放送テレビジョンの英語でのニュースについて、ライブストリーミングの配信をさらに世界的に展開を拡大していきます。また、NHKの作る一つ一つの番組について、ビデオクリップとしてオンデマンドで視聴できるようにしていく計画です。インターネットTV、スマートフォンなどへの新しい試みについては、国内のさまざまな規制が海外には適用されないということもあり、先進的な取り組みとしていろいろな実験、サービスを行う編成計画を進めています。

 (安田代行)

 これは海外の日本人向けですか、それとも外国人向けですか。

 (今井副会長)

 これは英語で放送していますので外国人向けです。

 (安田代行)

 それでは、なぜ「世界ふれあい街歩き」を放送するのですか。日本の街の中を紹介するのがNHKであり、「クローズアップ現代」は、日本人は興味をもつかもしれませんが、海外の人は興味を持たないのではないでしょうか。海外の人に対して日本の文化がいかにすばらしいのかとか、あるいは日本のハイテクの技術はいかにすばらしいのかを、見ることによって分かるような番組編成をしなければいけないと思います。世界の人は日本を知りたいのです。

 (今井副会長)

 文化および歴史、芸術、先端技術については、それぞれ番組を2年前に始めたときから放送しています。そうした中で、新しい番組を少しずつ入れ替えていくという試みの1つです。日本語の放送としては、先ほど申し上げましたように「クローズアップ現代」、「NHKスペシャル」なども定期的に放送しています。

 (金田専務理事)

 基本的に私が思うのは、テーマとかカバーするエリアではなく、見るときの見方が日本的かどうかというところがポイントだと思います。そういう意味では、「世界ふれあい街歩き」という番組は実はキャスターもいない、また、質問するという人も出てこないという非常にユニークな切り口の番組です。この番組は世界に放送していいのではないかと思います。

 

4 議決事項
 (3) 平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画
(資料)(資料)(資料)(資料1)(資料2)(資料)

 (小丸委員長)
 平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画について、金田専務理事より報告をお願いします。なお、本件については、本日は質疑のみとさせていただきます。
 (金田専務理事)
 平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画についてご審議をお願いするものです。
 NHKは放送法第37条の規定により、年度ごとに収支予算、事業計画及び資金計画を作成し、経営委員会の議決をいただいた後に、総務大臣に提出することになっています。
 平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画については、9月28日に「平成23年度予算編成の課題とスケジュール」をご説明して以降、これまで数回にわたりご議論いただき、11月24日に「平成23年度予算編成方針」、12月7日に「平成23年度収支予算編成要綱」、12月21日に「平成23年度予算編成について」をご審議いただきました。今回はこれまでの議論を踏まえて、予算書という形で内容を取りまとめました。これは、放送法37条第1項で、NHKが作成して総務大臣に提出することが義務づけられているもので、放送法37条第2項では、総務大臣はこの予算に意見を付して内閣を経て国会に提出し、国会の承認を受けなければならない旨を規定しています。また、放送法に基づく放送法施行規則には、収支予算、事業計画、資金計画に記載する具体的な事項が定められています。
 資料1〜2は平成23年度収支予算と事業計画の説明資料です。資料1の「平成23年度収支予算と事業計画の説明資料」は、予算書の内容、重点事項の柱を詳しく分かりやすく説明した資料です。12月7日の経営委員会でご説明した平成23年度収支予算編成要綱をベースにした内容になっています。なお、平成23年度収支予算編成要綱に加え、20ページに「ジャンル別番組制作費」を、45ページに「平成23年度末予定貸借対照表」の資料を今回追加しています。
 資料2の「平成23年度収支予算と事業計画〔要約〕」は、予算・事業計画のポイントや受信料収入の見通し、テレビ放送の完全デジタル化に向けた取り組み、主な番組や国際放送についてなど、資料1のエッセンスをまとめたものです。記者発表、国会などの外部対応のご説明の際にこれらを使い分けながら説明していきます。
 まず、政府予算案の国際放送関係交付金の決定に伴い23年度予算案の修正がありましたので、「平成23年度収支予算案の一部調整について」の参考資料で修正点をご説明します。12月7日の平成23年度収支予算編成要綱からの変更点についてですが、政府予算案の国際放送関係交付金の決定に伴い、収支予算案を一部調整します。12月24日に政府予算案が確定しました。前回の経営委員会の後でした。仮に22年度と同額としていたものから、国際放送関係交付金が721万円の減となり、交付金収入が減少しました。これに伴い事業収入と事業収支差金が同額減少します。また、事業収支差金の減少に伴い資本収支上で事業収支差金受入れが721万円減少するため、前期繰越金受入れを同額増やします。このため、財政安定のための繰越金が同額減少します。以上の変更を含めたものが今回の予算書等の資料です。
 資料2の「平成23年度収支予算と事業計画〔要約〕」に基づいて、平成23年度予算のポイントを簡単にご説明します。
 表紙の1枚目で、平成23年度予算・事業計画のポイントを記載しています。平成23年度は、21〜23年度の3か年経営計画の最終年度として、全組織をあげて経営計画で掲げた経営2目標である「NHKへの接触者率80%」「受信料の支払率75%」の達成に向けた取り組みを進めていきます。23年度事業計画のポイントは大きく3つです。1点目は、23年7月の間近に迫ったテレビ放送の完全デジタル化に向けて万全な対策を実施します。2点目は、衛星放送を4月1日からハイビジョン2波に再編し、地上放送2波と合わせてテレビ4波の個性を発揮した放送サービスを実施します。3点目は、受信料の公平負担の徹底に向けた取り組みを強化しつつ、効率的な業務運営を推進します。
 事業計画を実施するための収支予算を下段の表にまとめています。そのポイントですが、事業収入は、支払率75%の達成に向けて、契約・未収対策をさらに強化し、受信料収入の増収を図ることなどにより、22年度予算を140億円上回る6,926億円としています。事業支出は、完全デジタル化対策を強化しつつ、経費の圧縮に努め、22年度比で38億円の増加の6,886億円に抑えます。具体的には、完全デジタル化対策のためのデジタル化追加経費を34億円増額し、286億円を計上します。さらに、不測の事態の対応原資として予備費を20億円増額します。これらを合計しますと54億円の支出増となりますが、その他の経費については極力圧縮して、対前年度マイナスとすることで、事業支出の増を38億円に抑えます。これにより、収入から支出を差し引いた事業収支差金は前年度の赤字から40億円の黒字となり、この40億円については債務償還に充当します。一番下の建設費については、地上デジタル放送の受信状況の改善などの設備投資181億円を含む750億円で実施します。前年度比で40億円の減としています。
 続いて、「平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画」についてご説明します。
 3ページから始まる予算総則は、NHKの受信料額や予算に関する決まり事を規定しています。その第1条で、収支予算書を別表第1とし、第2条で、契約種別ごとの受信料額および割引額等について、第3条以降は予算の使用方法等を規定しています。第4条では予算の流用について、第5条では予算の繰り越しについて、第6条では予備費の使用について、第7条では増収した場合の使用方法、第9条では減収する場合の補填の方法について規定しています。今回は、前年度までの赤字予算から40億円の黒字予算を編成していることから、8条の減価償却費の減少に伴う事業収支差金受け入れの増額に関する文言と、9条の事業収支差金の差に対する不足への前期繰越金の使用に関する文言の変更を行います。
 7ページから10ページまでは別表第1の収支予算書です。7ページは一般勘定の事業収支で、要約でポイントをご説明したとおりです。8ページは、一般勘定の資本収支です。資本支出には、地上デジタル放送の受信状況の改善のための設備投資181億円を含む建設費750億円を計上しています。なお、資本収支の下に記載している事項は、放送法施行規則に基づき、経常収支差金についてと事業収支差金の処分予定の内訳について記載しています。9ページには、NHKオンデマンド事業の収支にかかわる番組アーカイブ業務勘定、10ページには、協会の保有する施設の賃貸等による放送法第9条第3項の収支に関わる受託業務等勘定について記載しています。
 11ページ別表第2の契約種別から13ページ別表第7の団体一括支払における割引額までは、受信料額を規定するために必要な情報を記載しています。
 15ページからは「平成23年度事業計画」です。今まで予算編成要綱などでご議論いただいた予算の重点事項と金額をまとめています。放送法施行規則により定められている計画概説、建設計画、事業運営計画、受信契約件数、要員計画について記載しています。最初の計画概説には、先ほど要約でご説明した予算・事業計画の概要を記載しており、加えて建設計画や国内放送等の業務運営の基本的な考え方を記載しています。建設計画を最初に置くなど、一部順番等は異なりますが、3か年経営計画の9方針を盛り込んだ内容としています。
 19ページの建設計画では、衛星放送施設整備計画、テレビジョン放送網整備計画といった、科目別に重点事項と金額をそれぞれ記載しています。地上デジタルテレビジョン設備の整備や放送番組設備の整備などにより、総額750億円を計上します。
 21ページからの事業運営計画は、国内放送、国際放送などを、科目別に重点事項と金額をそれぞれ記載していますので、主な項目をご説明します。国内放送については、地上テレビジョン放送、衛星テレビジョン放送、ラジオ放送など、チャンネル別に記載しています。総合テレビジョンは、基幹的な総合サービス波として国民生活に不可欠なニュース・情報番組、創造的な文化・教養番組や娯楽番組等の調和ある編成を行います。教育テレビジョンは、未来を生きる子どもたちや明日を担う若者を対象にした番組を強化します。また、福祉番組や趣味・実用・教養番組等の充実を図ります。衛星テレビジョン放送は、4月から高画質のハイビジョン2波に再編し、それぞれの個性を打ち出したサービスを行います。BS1は、国際情報・スポーツ情報波として世界のニュースや経済情報等を伝える国際情報番組を刷新するとともに、視聴者の関心の高いスポーツ番組を一層充実します。BSプレミアムは、本物志向の教養番組や娯楽番組を中心に、良質で多彩な番組を編成します。23ページ中段からは、ラジオ放送についてです。ラジオ第1放送は、ニュース・報道番組の一層の充実に取り組み、災害など緊急時には機動的な編成を行います。ラジオ第2放送は、語学番組や文化・教養番組を一層充実します。FM放送は、優れた音質を生かした多彩な音楽番組を中心に編成します。23ページの最後の行からは地域放送について記載しています。地域放送は、各地域の特性や要望に応じ、平日夕方のニュース・情報番組や夜間の視聴好適時間帯等の番組の充実を図るとともに、地域を見つめ、地域とともに考える番組を強化し、地域からの全国発信を積極的に推進します。補完放送では、データ放送、字幕放送、解説放送等を実施します。また、ワンセグについては、デジタル総合テレビジョンおよびデジタル教育テレビジョンで実施し、同じ内容の番組を同時に放送することを基本にしつつ、デジタル教育テレビジョンでは一部で独自番組の放送を実施します。25ページの放送番組の提供等では、放送番組の提供やインターネットによるサービスについて記載しています。26ページの国際放送については、外国人向けと邦人向けのテレビジョン国際放送およびラジオ国際放送を充実するとともに、インターネットによるサービスを行います。テレビジョン国際放送は、日本やアジアをはじめとする世界の情報を伝えるニュースのほか、幅広いジャンルの多様な番組を全世界に向けて発信し、諸外国へ日本とアジアの実情を伝えます。ラジオ国際放送については、日本・世界の最新の動向および海外での安全に役立つ情報を的確に伝えるニュース・情報番組や、国際理解を促進する番組の充実を図ります。27ページは、契約収納についてです。受信料の公平負担の徹底に向けて、受信料未払者や未契約者への契約収納活動を強化するとともに、受信料制度に対する理解促進を図り、支払率の向上と受信料収入の確保に努めます。28ページの受信対策については、テレビジョン放送の完全デジタル化に向けて、国や他の放送事業者と連携し、受信環境の整備を進めるとともに、積極的な普及活動を行います。30ページでは、信頼される公共放送のための組織風土および業務運営の改革として、視聴者からの信頼を高め、ジャーナリズムとしての役割を全うし、公共放送の使命を果たすために、経営の改革と公共放送の担い手の育成を柱として、組織風土の改革に取り組みます。32ページ、受信契約件数については、地上契約、衛星契約、特別契約という契約種別ごとの有料契約見込件数と受信料免除見込件数を記載しています。34ページの参考では、これらをまとめて記載しています。平成23年度初頭有料契約見込件数は総数で3,717万2千件であり、平成23年度は40万件上乗せしまして最終的に3,757万2千件とする計画です。この40万件の内訳として、地上契約が35万件の減少、衛星契約が75万件の増加を見込んでいます。36ページは、放送法施行規則に規定されている要員計画です。業務の効率化を積極的に推進し、40人の純減を見込んでいます。その結果、予算人員は10,542人となります。
 37ページ以降は平成23年度資金計画です。資金計画の概要、すなわち資金の需要および調達について記載しています。放送法施行規則では、資金計画の概要として受信料等の入金総額および事業経費、建設経費、放送債券の償還等の出金総額について記載することが規定されています。平成23年度の資金計画としての受信料等による入金総額は7,236億円、出金総額が7,264億円で、資金が不足することなく業務運営を行うということです。
 以上が本日と明日で審議、議決をいただく「平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画」についてのご説明です。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

 (小丸委員長)

 人事関係のことでお聞きしたいのですが、まだ最終決算は分かりませんが、人件費に関して22年度は、21年度と比べると、ある程度の削減はあると思います。23年度の人件費に対する考え方は、どのようになっているのでしょうか。

 (八幡理事)

 人件費のうち、基本的に給与はずっとシーリングをかけた形でマイナスをしています。23年度の要員数は22年度から40人の削減で、プラス・マイナスのいろいろな要素はありますが、給与は全体で約3億円の減としています。年金部分を含んだ退職手当については、22年度ベースで進んでいくという想定にしていますが、来年度以降も人件費についてのさまざまな社会状況を見るなど、中身については検証・検討していく予定です。

 (小丸委員長)

 引き続き、人事制度についてもいろいろと検討していただきたいと思います。

 (石原委員)

 これまで公表されている決算資料を見ますと、例えば21年度の比較連結貸借対照表では、流動資産の有価証券が1,001億5,900万円、固定資産の長期保有有価証券が2,161億7,000万円あります。非常に多額のお金を保有しているのですが、これらはどのように運用しているのですか。

 (金田専務理事)

 基本的には、非常に優良なダブルA格以上の事業債と国債等です。

 (石原委員)

 株式はあるのですか。

 (金田専務理事)

 NHK本体で言いますと、株式は入っていません。

 (石原委員)

 株式はやっていないということは、極めて手堅いところで運用されているということですか。

 (金田専務理事)

 そういうことです。

 (石原委員)

 それらの運用は、どのぐらいの利回りがあるのですか。財務収入は50億円ぐらいですよね。

 (金田専務理事)

 1.5%ぐらいです。

 (石原委員)

 2,000億円で1.5%だと30億円ですね。これはそれくらいの運用でしようがないのでしょうか。

 (金田専務理事)

 お預かりした受信料ですので、財政安定化のための意味合いとして持っているものということから、基本的にはこのような運用をすることにしています。

 (石原委員)

 固定資産に入っている長期保有有価証券2,161億円は、非常に多額のお金ですが、これは固定資産ですから完全に1年以上は、売り買いしているわけではないのですよね。この内容は何ですか。

 (金田専務理事)

 内容は、先ほどもご説明しましたが、非常に優良なダブルA格以上の事業債と国債等です。

 (石原委員)

 リーマン・ショックで相場が暴落して損したとか、そういうことはなかったということなのですね。

 (福地会長)

 私が、前職から来たときに、一番考えていたのがそれです。年金の問題と含み損をはじめ、有価証券とか、そういった問題があるのではないかということを一番懸念しておりましたが、非常に手堅い運用をしています。年金の問題がありましたので、ほぼ1年以内に、ある程度めどをつけましたが、運用については極めて手堅くやっていました。

 (石原委員)

 では、含み損もないということですか。減損処理をしたことはないということですね。

 (福地会長)

 ありません。

 (金田専務理事)

 含み益は出ています。

 (石原委員)

 では、相当昔から持っていらっしゃるのですか。非常に堅実な経営だと思います。

 (金田専務理事)

 そんなに長期で運用はしていません。単純に見ていただいて、恐らく気にしていただくのは、簿外の年金部分だけだと思います。これは、この3年間で改革も行い、また、処置は経営的にも取ってきています。それで十全かどうか、今後検証していく必要はありますが、基本的に3年間で改革しました。

 (石原委員)

 年金というのは年金資産の利回りの問題ですか。

 (金田専務理事)

 そうです。

 (石原委員)

 確定拠出にしているのですか。

 (金田専務理事)

 確定拠出年金制度を導入しました。

 (北原委員)

 金田専務理事の説明を聞く限りは、それなりに整合性も取れた計画であると思いますが、問題は紙に書いた計画ではなく、やる気の度合いです。いくら美辞麗句を並べて、計画を作っても、どの程度本気で実行するのだろうかというところが問われると思います。1点ご質問したいのは、今年の7月24日でアナログ放送は終了して、デジタル放送に完全移行します。放送界は、NHKも民放も総務省も、そこに向かって進んでいるのですが、率直に申し上げて、NHKに対して疑問が持たれているのです。NHKは本気で7月24日に完全にデジタル化しようと思っているのか、極端に言うと、どっちでもいいと思っているのか、そのあたりは、民放サイドも総務省の一部でも、今の状況で推し量りかねている部分があります。その理由は、会長も記者会見でたびたび言及していますが、仮に7月24日にアナログ放送が終わらずに延長になった場合の費用は確か60億円とおっしゃっています。一方、7月24日で完全アナログ停波になった場合は、NHK内でもいろいろなシミュレーションはあり、その一部はどこかの新聞記事に出てしまったことも昨年あったようですが、受像機の普及状態や、受信契約の状態などの状況も関係してくるので、シミュレーションのしかたにもよるのでしょうが、NHKの収支面では、アナログ放送を延長した場合の60億円よりも多いのではないかという想像がされていて、本気度が疑われているのも事実です。

 (福地会長)

 これは私に対して極めて心外な質問です。私は少なくとも、会長職についた3年間については全く本気でやってきたつもりです。いささかもそういうつもりはありません。特にデジタル化の問題については、完全デジタル化への移行をやらなかったときの損、維持費がどのくらいかかるということは、想定していないのですから、まじめに計算させたことはありません。それよりも恐らく、だましだましで機械を使っていますので、いくらかかるかよりも、アナログ放送ができない地区が出てきます。放送責任を果たすということから見ると、それが一番大きな問題です。それは50億円や60億円であれば、できるかもしれませんが、それよりも放送ができないということが一番大きい問題です。1分間放送が止まっても大変なことになるわけですから、機械が壊れてアナログ電波が出せないような状況を招くということは、恐らく誰も思っていません。本来であれば、今度の地上デジタル放送の都市難視地域における経費助成の追加などは、視聴者が、「払えない人は払えないで、見なかったらいいではないか」とか言ってくるかもしれません。NHKが1月5日から取り組んだ都市難視地域における経費助成は、本来は受信サイドが負担すべき問題です。われわれは、本当は知らないと言ったら済む問題です。それを取り組んだということも、私は、経営判断としては最後だと思っています。できるできないの問題はわれわれの問題ではなく、受信サイドの問題です。むしろ私から言えば、国がデジタル化のメリットを、きれいに映ります、双方向ができますと言っていますが、それ以外に、まず、これは国家的なプロジェクトであり、電波の有効使用だということをどうして大々的に言わないのかと、極めて不満に思っていますが、われわれの取り組みは極めて真剣です。

 (北原委員)

 会長の強い決意のほどを聞かせていただき、安心しました。是非、全組織を挙げて目標を貫徹できるよう徹底させて下さい。

 (金田専務理事)

 今回、予算の3つのポイントと申し上げたうちの2つ、最初の完全デジタル化と、実はアナログ停波の問題も絡んでいるBSの2波化は、本当に真剣に取り組んでいます。非常に難度が高いことは、この予算編成の中でご説明しました。現在の経営計画を作るときも、4年目のことはなかなかお伝えしにくいということを申し上げてきた理由は、ひとえに地上デジタル化の話です。今は間違いなく、地デジバブルとは言いませんが、スクラップ・インセンティブが効いていて景況がいいのだと思いますので、これから先、先延ばししたら景況が悪くなる中で、難度はよけいに上がるという判断だと思います。そういう意味では、決められた日程どおり、何とか理解をいただいて実施するというやり方しかないのではないかと思います。それに関わるNHKの抱えるリスクは大きいということで、今回の予算編成も柔軟に反応できるような予算でお願いしたという事情です。

 (井原委員)

 本日ご説明いただき、ご提案いただいた予算書は、先ほどもご説明ありましたように、これまで議論し、審議してきたものを作成したものということで、その内容については理解したうえで2点、お尋ねしたいと思います。
 まず、私が、全体としてはとても分かりやすいと思うのが、説明資料の8ページにあるトータルコストによる業務別予算の参考資料についてですので、これに関してお尋ねします。今年度の予算はトータル管理、トータルコストの精緻化を進めることによって、予算を組んでいくというご説明をこれまで聞いてまいりました。その観点から申しまして、この業務別予算は昨年度も同じような資料が作成されているのですが、どのように変わっているのか、あるいは、そういう見方そのものがふさわしくないのであれば、それはどのように影響しているのかということです。少し言い方を変えますと、全体に対する、計画概説の話がありましたが、計画概説の中に、完全デジタル化に向けた対策や、先ほどの番組の編成計画のところで話に出た、テレビジョン放送4波の個性化を生かしたサービス提供、受信料についての一層効率的な契約収納活動を促進するといったことが事業計画の柱として表記をされていますが、そのことがこの業務別予算にどのように表されているのかということを、ご説明いただきたいというのが1点です。

 もう1点は、これまでお尋ねする機会がなかったので、お願いしたいと思うのですが、予算書の勘定体系が、一般勘定、番組アーカイブ業務勘定、受託業務等勘定からなっており、番組アーカイブ業務勘定、受託業務等勘定は、確かに放送法によって区分経理が求められているということは承知しているのですが、果たしてこのような区分経理がNHKの業務を表すうえで妥当なのかどうかということです。少し言い方を変えますと、業務の位置づけを少し考える時期ではないかという感じもしました。これは今ということではないのですが、こういう業務勘定の上に立って予算を立て、それを執行していくという中で、ちょうど現経営計画も3年目ですので、予算書の勘定体系について放送法を承知しつつ、できれば検証をしていただきたいと思うのです。あえてそういうことはできないのかどうかということをお尋ねします。

 (金田専務理事)

 説明資料の8ページで、どのように変わったかといいますと、大きく分けて、今年が完全デジタル化の年であるということの変化が大きく出ています。22年度の予算ベースですが、数字を申し上げます。財務費等は、23年度228億円のところ22年度は209億円です。事業の管理は、22年度は258億円ですので、同じレベルです。調査研究が182億円、広報活動が59億円、受信サービス活動が317億円、受信契約および受信料の収納が747億円、国際放送番組の制作と送出が190億円という数字になっています。ここの管理のときに使うような問題は、圧倒的なものが国内放送番組の制作と送出になっています。トータルコストという概念ですが、個別原価計算の精度をあげていき、期末に棚卸しを行って原価差額を出し原価を確定するという決算ではありません。ですから、ここのところは、前からご説明しているように、チャンネル別の管理のフルコストの整理をしていく方向だろうと思っています。それについて先ほども少しご説明したように、経理制度検討委員会でも議論しており、要するにチャンネル別の配分のしかたが、衛星放送にかかる限界費用で受信料を決めてくるという歴史的な定義の中で、いろいろ問題も抱えていることも事実ですので、もう1回原点に返って見直し作業を進めているのが現状です。

 (井原委員)

 分かりました。ぜひお進めいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 (安田代行)

 国際放送については、予算をもう少し計上していただいて、これから中国との問題でも、日本の影がどんどんと薄れるわけですから、ぜひここに大きな力を入れていただきたいと思います。番組の制作と送出の部分で、素人目に見ても、いかに国内放送番組は一生懸命やっていても、国際放送番組はおざなりと言うと失礼ですが、何でこれだけなのかと思います。今は、もっと日本を世界に宣伝しなければいけないときです。そうしないと日本は危ないのです。公共放送としてその役割もNHKは担っているというぐらいの気概でぜひ取り組んでいただけるとありがたいと思います。

 (今井副会長)

 テレビ国際放送で24時間、英語で世界に出す放送については、数年間に及ぶ国と有識者との懇談、研究会の中から生まれてきたものです。NHKが国際放送を実施していく以前の考え方としては、独立した国際放送を作るという考え方もありました。国際放送費は、国からの交付金は34億円足らずということで、全体のコストの4分の1です。つまり、残りの100億円余りのお金は受信料から出ているわけです。この放送を見ることが基本的にできない人たちからいただいた受信料で、このサービスをどの程度できるのかということは、基本的に大きな課題だと思います。その中で、世の中の動き、それから視聴者の皆さまの理解を見ながら段階的に考えていきたいと思います。

 (福地会長)

 付け加えます。私が会長になるまでは日本語放送はありましたが、100%英語のテレビ国際放送はなかったのです。しかし、いろいろな方から、「やはり日本として恥ずかしいよ」と言われ、「英語の国際放送を強化してもいいのでは」とも言われました。NHKの中だけではできませんので、外部で、いわゆる資本を募り、民放にも頼みました。日本経済新聞社にも行きました。いろいろなところに頼みにいって、大きな株を持ってもらわなくても、名前が欲しいのだとお願いしました。幅広く株主を集めて、多くの企業が協賛しているという格好を作り出そうということで取り組んでから、今が実質2年目です。今年の2月で3年目になりますが、そういった1つの流れがあることと、1番目に大きいのは受信料で成り立っているということをひとつご理解いただきたいと思います。許される最大限のところをやっていると考えています。

 (石原委員)

 国際放送のことについて、あまり国民は知らないですよね。受信料から100億円も出しているのですからもっとそこは強調したいですね。

 (今井副会長)

 石原委員のご質問にお答えしますと、放送法では、海外にいる外国人向けの放送と位置づけられて放送しています。したがって、日本の中では現在、放送では視聴できませんが、インターネット、スマートフォンを使って視聴することができます。そして現在、ケーブルテレビ局に対して、24時間の英語の国際放送を番組提供できるという認可を総務大臣から12月にいただきました。これをベースに、国内にある360のケーブルテレビ事業者に対して希望を聴取して、できるところから国内で放送を出していただくようにお願いしているところです。つまり国内でも、ケーブルテレビの普及率も、ほぼ国民の半数のところまで届いていますので、ケーブルテレビである程度放送されるようになれば、この放送の存在も分かっていただけますし、国際放送にかけるコストについてもいろいろご理解がいただけると考えています。

 (小丸委員長)

 それでは、時間となりましたので、本日の質疑はこれをもちまして終了します。明日は、審議に引き続き、議決となります。それから、先ほど契約収納費に関わることで委員からご質問が出ていましたので、契約収納費に関わるコストと効果については、21年度の10項目の施策についてのコスト管理をしたような形で、何か分かりやすいようなものを作っていただきたいと思います。

 (大西理事)

 物件費は増加していますが、業務委託などにより人件費は削減しており、トータルコストでは予算上減少していくよう今、取り組んでいるところです。

 (小丸委員長)

 そのあたりの資料を出してください。

 (大西理事)

 分かりました。

 (小丸委員長)

 今日の平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画についての審議はここまでとしますが、明日も引き続き審議を行いたいと思います。これをもちまして、今日の全体会議を終わります。

 

 

【1月12日(水)】

1 会長報告

 (吉国理事)

 昨日ご報告した不祥事案件の追加情報です。愛媛県東温市で、鍵のかかっていなかった乗用車の内部を物色していたとして、窃盗未遂の疑いで逮捕され、勾留されていた首都圏放送センターのディレクターですが、昨日の午後3時過ぎに起訴猶予になり釈放されました。いずれにしましても、今後、責任審査委員会で厳正な審査のうえ、処分することにしています。

 

 

4 議決事項

 (3) 平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画

 (小丸委員長)

 平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画について、昨日に引き 続き審議を行います。

 (石原委員)

 昨日説明していただいた国際放送に関するNHKの持ち出し約100億円は視聴者からの受信料から出しているのですよね。国際放送というのは、相手から、例えばホテルなどの契約先からお金はいただけないのですか。

 (今井副会長)

 お話しになっているのは、英語で放送している外国人のためのテレビ国際放送のことでしょうか。

 (石原委員)

 英語で放送している外国人向けも、日本語で放送している邦人向けも両方です。

 (今井副会長)

 日本語のほうは、1日24時間のうち5時間だけは、世界中のどこでも無料で視聴できるようになっています。しかし、24時間全体を見る場合には、それぞれの地域ごとに、地元のケーブルテレビ局等に加入していただいて、有料で視聴いただくことになります。

 (石原委員)

 契約しないと視聴できないのですか。

 (今井副会長)

 はい。契約していただかないと24時間全部は視聴できません。一方、英語の24時間放送については、放送法の中で、外国人に対して放送を提供するということが定められていますので、そのために国から交付金もいただいおり、受信料と合わせた費用で放送しています。

 (石原委員)

 国からの交付金は、昨日30億〜40億とおっしゃいましたが、その分ということですか。

 (今井副会長)

 はいそうです。ラジオには一部だけで、今はテレビが中心になりました。お金のかかるところは2つあります。番組の制作と、もう1つ、英語による国際放送のポイントは、できるだけ多くの方に視聴していただくということです。日本の国内でもそうですが、放送はわれわれの責任であり、視聴するのは、受益者が自分で負担するのは当然のことなのですが、国際放送については、受信環境整備と言いまして、それぞれの国の商業ベースで行われているケーブルテレビや、日本のCSのような衛星放送などのチャンネルに乗せてもらわなければなりません。アメリカでは、地域によりますが、チャンネルを1つ買うというような形で提供しています。

 (石原委員)

 乗せるときは借料を払うとか、チャンネルを買うということですね。

 (今井副会長)

 お金をこちらが負担して、放送する側が受信しやすいようにするという形です。

 (石原委員)

 収入としては一切入ってこないということですか。

 (今井副会長)

 収入はほとんど入ってきません。

 (福地会長)

 NHKのニュースにはスポンサーは付けられませんが、昨日申し上げましたように、株式会社日本国際放送には民放も参加していますので、番組によってはスポンサーが付いています。

 (石原委員)

 民放も参加しているのですか。

 (福地会長)

 一部の放送枠はこの株式会社が使っているわけです。要するに、証券会社やNTTコミュニケーションズなど、いろいろなところが入って作っている株式会社です。例えば瀬戸内国際芸術祭という番組はベネッセ、福武書店、香川県がスポンサーになり制作、放送しました。そういうものもありますが、それだけでは会社としての運営はできないのです。

 (石原委員)

 事業収入ではなくて、副次収入として、13億円ありますが、その中に入っているのですか。

 (福地会長)

 一部は、NHKの副次収入になります。

 (今井副会長)

 法律の下でNHKの本体が行う部分と、本体にある電波を関連の会社である株式会社日本国際放送に自由に使わせて、民間の知恵や資金を活用してサービスをするフレームワークになっています。つまり、全体としては1日24時間、7日間放送するうちの3時間分だけを、今、会長が申し上げた会社に時間枠を提供しているわけですが、実際にはスポンサーがほとんど集まらないこともあります。

 (石原委員)

 いずれにしても、ワンセグやインターネットなど、地上契約あるいは衛星契約の中で放送するというのは日本国内であり、金額もそう大きくはないわけですからしようがないと思いますが、国際放送で100億円の持ち出しというのは大きく、半分ぐらいは採算を取らないとまずいと思います。国もNHKにおんぶにだっこのような感じがします。

 (今井副会長)

 国際テレビ、衛星を使った世界のテレビチャンネル、情報チャンネルというのは1,000ぐらいあると言われていますが、そのうち、強力な放送機関で、お金を得ているのは主としてBBCとCNNです。両者も実際には、公表していませんが、経営的には国際オペレーションは赤字です。

 (石原委員)

 BBCは国からお金をもらっているのですか。

 (今井副会長)

 BBCは視聴者から受信契約で収入を得ていますが、CNNインターナショナルも基本的には同様で、無料で放送を出していますが、ほかに地元の広告などを出しています。いずれも国際オペレーションは大きな赤字と言われています。そのほか中国やロシア、フランスも含めて、すべて無料で放送を提供しています。

 (石原委員)

 CNNはスポンサーからお金をもらうわけですね。

 (浜田委員)

 関連してですが、国際放送の充実、強化について、誰も異論はないと思いますが、今お話を聞いたシステムというのは、財源がない中での苦肉の策だと思います。NHKがある程度負担するのはやむを得ないと思いますが、昨日、副会長がおっしゃいましたが、NHKの財源というのは受信料であり税金とは明確に違うわけですよね。そういう中で、役所なりとある程度の負担割合の合意形成はあるのかないのか、どうお考えになっているのかをお聞きしたいです。

 (今井副会長)

 NHKの国際放送が始まったのは1935年で、当時はもちろんラジオでしたが、今日に至るまで、NHKの業務として国際放送が位置づけられています。テレビは1990年代に日本語の放送で始まりました。英語の放送は日本の情報を海外に出すために必要であると法律に定められましたが、放送の編集権の独立といった観点から、NHKにそれがすべて委ねられています。したがって、国からの交付金が出ることについては、国の要請放送というポイントがあります。NHKが国内での放送をベースにしながら外国に放送していく際に、要請放送の枠を超えて、金額に合わせて何らかの放送権、放送・編集の自主自律というものが自由にならないというようなことがないように法律に定めてあるわけです。そうすると、おのずと国からいただけるお金というものも、経験的にどのレベルかということが、手探りの中でほぼ確定してきているわけです。そしてわれわれも、使っていいだけお金を使って国際オペレーションをするということは、できればいいですけれども、現在は6,700億円のうちの150億円程度のお金を出すということになっています。それについて一度も世論調査をしたことはありませんが、恐らくどこかにこれ以上は無理というところがあるだろうと思います。今日に至るまで、大きな議論としてNHKの国際放送の費用を受信料という財源から出していることについての反対意見は、直接耳にしたことはありません。

 (福地会長)

 環境立国、観光立国、芸術文化立国などの観点からいけば、国が負担してもいい部分はかなりあると思うのですが、編集権の自主・自律というところと極めて反対にある両刃の剣のような感じがします。受信料の契約収納制度については、今は契約義務となっています。支払義務化をしたらどうかということもありますが、実際問題は民事として強制執行もできるわけですから、契約義務化でいいと思うのですが、支払義務化になってくると何かおまけがついてくる可能性もあるということから考えると、国際放送の問題もやはりNHKが自主的に行うほうがいいのかなというような感じがします。

 (浜田委員)

 株式会社で運営しているということですが、基本的には成り立たないですよね。ある意味ではそのシステムに無理があるわけです。それは、財源がない中で、たぶん民間同士でなんとかやってくれという苦肉の策なのですよね。

 (今井副会長)

 テレビ国際放送を外国人向けに出すという議論のプロセスの中では、当然、独立した組織を作って、サービスをするということも検討されたと聞いています。しかし現実には、その体制が年間何百億円もお金がかかるということで実現が難しいということで、NHKにやらせるという方向になったのです。ただし、24時間のうちいくらかの時間帯は民間の知恵と力を入れて、独自の放送ができるようにしなさいということで、法律で株式会社日本国際放送というものを作ることが決められています。現在のところ、1週間の放送の中で、株式会社日本国際放送が主体的にコマーシャルを集めて、あるいはスポンサーを集めて出している放送は、全体の168分の3ということになりますので、極めて現実的には難しい状況です。

 (福地会長)

 私は、NHKも日本放送協会としての使命感みたいなものがあると思うのですね。確かに国内の受信料からいただいていますが、国内で受信料をいただいているから国際的に関係ないかというと、国際的に日本の元気を発信していくことは国益につながり、ひいては国民に返ってくるものだと思います。体質的に見ると、受信料から出ていると言いますが、民放は国内のスポンサーで成り立っていますので、NHKがやらなければ日本の国際放送をどこがやるかと言うとないですよね。中国のCCTVをはじめ、各国が国際放送を積極的に行っています。フランス24、アルジャジーラ、CBC、BBCもそうです。そのような中でNHKがやらなくていいのかという問題もありますので、一概に私は、国内の受信料でやっているのでこれが限度ですということばかりではなくてもいいのではないかと思います。

 (浜田委員)

 私も国策にNHKが協力するのを、はなから否定するつもりはまったくないのです。ただ、どこかである程度の考え方を整理しておかないと、国策遂行、国策協力というもとで、財源に使われる可能性があってはまずいのかと思い質問しました。

 (金田専務理事)

 基本的にNHKの必須業務の中に国際放送というのが入っており、そのNHKの門構えの費用の特殊な負担金として受信料をいただくということです。その設計や法律自体が国策かどうかと言えば、多分国策に違いないのですが、そこから後のところで国策が入る要素はあまりありません。以前は命令放送と言っていたのですが、仕組みとして要請放送がありますが、それも非常に限定的です。今回カットされるようですが、BBCのように五百数十億円の交付金が国から出ていたような状況とは全然違います。BBCの場合は、それだけのお金をもらっていても、国策放送とか国営放送とは言われなかったのですが、NHKの場合は34億円弱の交付金です。

 (浜田委員)

 問題の指摘として聞いていただければと思います。

 (勝又委員)

 福地会長、今井副会長、金田専務がおっしゃったように、私も受信料が国際放送を発出するための経費として受信料の一部を充当することについては妥当だと思っています。何が一番大切かと言えば、政府のプロパガンダではない、独立した不偏不党な放送が出されるということです。先ほど今井副会長もおっしゃいましたが、政府からの資金がいくらであれば妥当かということについて、もう一度精査する必要はあるとは思いますが、これが多くなり過ぎれば、やはり政府は、お金を出したのだからというようなことも大いに起こり得るのではないかと思います。今、要請放送という名前になっていますが、その前は命令放送という言葉が使われていて、これが要請放送に変わったのが、確か、北朝鮮の問題をもっと放送するようにというようなことがきっかけだったと新聞では報道されていました。そこの事実は、はっきりとは分かりませんが、「お金を出しているのだから、自分たちの考えをもっと伝えろ、伝えろ」と政府が要求する可能性が高くなると思います。NHKは公共放送として、自己負担をしてでも、そこの一線は崩さないようにしなければいけないのではないかと思っています。

 (井原委員)

 最後の機会なので1点だけ確認をさせていただきたいことがあります。昨日の会長が「心外」だとおっしゃった発言に若干関連することなのですが、23年度は完全デジタル化をきちんと果たさなくてはいけないということですので、この予算で、きちんとやっていただけますねということを確認したいのと同時に、どのような状況になっても、本来の趣旨を損なうような執行はしないでいただきたいということを、特に技師長にお願いしたいのですが、よろしいでしょうか。

 (永井技師長)

 はい、当然、今年の7月24日にアナログ放送は終わるべくわれわれは準備をしてきて、今年を迎えたわけです。23年度の予算については、7月24日をきちんと迎えられるように執行していく所存です。

 (井原委員)

 よろしくお願いします。

 (小丸委員長)

 各経営委員の意見等を尊重していただくことで、平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画について、議決を行います。

 採決の結果、原案どおり議決。

 (小丸委員長)

 本議案については議決されました。なお、経営委員会として、平成23年度予算の執行にあたっての留意点をまとめましたので、述べさせていただきたいと思います。
 平成23年度予算、事業計画および資金計画の執行にあたっての留意点。平成23年度は、3か年経営計画の最終年度となる。急激な経済状況や社会環境の変化の中で、テレビ完全デジタル化元年となり、協会を取り巻く状況は厳しいが、経営計画で策定した経営2目標の達成に向けて、全組織を挙げて取り組んでいかなくてはならない。そのため、23年度予算執行にあたっては、以下の点に留意して、着実に業務を遂行し、その状況を四半期ごとに報告してもらいたい。
 1つ目、収入の確保はNHK存立の基盤であり、その確保に全力を尽くす必要がある。受信料収入の現状ならびにそれに影響を及ぼすさまざまな課題を全職員で共有し、全協会をあげて増収対策に取り組むこと。
 2つ目、23年度7月の完全デジタル化に向けて、不退転の決意で移行対策に取り組むこと。また、そのために多額の経費が必要となるため、支出全般にわたり執行段階でさらに精査し、効率的な執行に努めること。
 3つ目、3か年経営計画の総仕上げとして、計画に掲げた構造改革の各項目のブラッシュアップを図ること。そのために経営資源の適切な配分を行うべくトータル管理の取り組みを一層進めること。また、年金制度については、今後も景気動向を注視しつつ、定期的な点検・見直しを行うこと。
 4つ目、グループ経営全体の最適化を目指し、組織・人事制度を含めた抜本的な改革に向けて、関係部門が連携して取り組む体制を整備・強化すること。
 なお、23年度は次期経営計画への橋渡しの年度となるため、経営委員会と執行部との間で、現経営計画を総括し次期経営計画の策定へつなげる検討体制を早期に確立すること。以上です。

 (福地会長)

 23年度の予算・事業計画を議決いただきましてありがとうございました。ご指摘の留意点については、執行部として当然やらなければならないことばかりで、きちんと役員一同確認して取り組んでいきたいと思います。次期会長へきっちりと引き継いでいきたいと思います。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成23年1月25日    

小 丸 成 洋

 

井 原 理 代