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第1122回
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平成22年7月30日(金)公表

日本放送協会第1122回経営委員会議事録
(平成22年7月13日開催分)

第1122回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1122回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成22年7月13日(火)午後2時50分から午後4時30分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  小 丸 成 洋 安 田 喜 憲 石 島 辰太郎
    井 原 理 代   大 滝 精 一 勝 又 英 子
    北 原 健 児   倉 田 真由美 幸 田 真 音
    竹 中 ナ ミ   浜 田 健一郎 深 谷 紘 一
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  福 地 会 長 今 井 副会長 永 井 技師長
  金 田 専務理事 日 向 専務理事 溝 口 理 事
  八 幡 理 事 大 西 理 事 今 井 理 事
  黒 木 理 事 塚 田 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  21階役員会議室

 

<議   事>

 経営委員会事務局人事について同意。その後、評価・報酬部会を開催し、21年度役員業績評価の具体的方法について審議し、経営委員会に報告。その後、小丸委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1121回経営委員会(平成22年6月22、23日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成22年7月16日に公表することを決定した。議事終了後、経営委員意見交換を実施。

 

付議事項

1 監査委員会活動結果報告(資料)

 

2 会長報告

 

3 議決事項

 (1) 地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について(資料)

 

4 報告事項

 (1) 地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について(資料)

 (2) 関連団体等の社長の交代について(資料)

 

5 その他

 (1) 6月「全国接触者率」「全国個人視聴率」「放送評価」調査および「日本人とテレビ・2010」調査の結果について (資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)(資料6)

 

 

議事経過

 

1 監査委員会活動結果報告(資料)

 (井原委員)
 本日ご報告したいことは3点です。
 1点目は、放送法第23条の5に規定されている監査委員会が選定する監査委員についてです。昨日開催した第69回監査委員会は、2人の委員交代後初めての委員会でしたので、石島委員ならびに浜田委員を当該委員として選定し、従前と同じく監査委員3名ともに選定監査委員として務めることになったことを、まずご報告いたします。
 2点目は、22年度の監査計画についてです。当監査委員会では3月末までに次年度の監査実施方針として重点監査項目や監査実施内容等を定め、経営委員会に報告しています。22年度分については、資料の6枚目に参考資料として添付しているものを、3月23日開催の第1115回経営委員会に報告してございますが、その中で「年間監査計画は、別途定める」とあります。このように具体的な監査計画を7月に決定する理由は、前年度の監査活動および監査結果等を踏まえて検討する必要があるとの認識から、6月の監査委員会の意見書の作成後のこの機会となる次第です。その監査計画の内容は資料のとおり、大きく分けますと、監査実施内容である1ページからの「業務監査」に関する計画と、4ページの「会計監査」に関する計画からなっています。業務監査についての基本的な計画内容は、文章で付しているとおり、監査委員会の職責である経営委員を含む役員の職務の執行の適法性および妥当性を、四半期業務報告、ヒアリングや業務視察、また総合リスク管理室や内部監査室の報告等に基づき、重点項目を重視して監査するということになります。
 その計画内容を、7つの項目に分けて作っています。前3項目が重点監査事項に関するものです。1つ目は、2011年の完全デジタル化およびBS2波化に向けた執行状況の監査。2つ目は、会長以下執行部の役員で構成するリスクマネジメント委員会の執行状況および関係部局のリスク対応の取り組み状況の監査。3つ目は、経営資源の最適配分等に資する「トータル管理」に向けた執行状況の監査。これらは、先ほど申し上げました3月に決めた重点監査事項に相当しますが、それに関する計画を資料のように決定しています。続く4、5、6の項目は、いわば当然に行うべき監査内容となります。22年度事業計画の執行状況の監査、経営委員の職務執行状況の監査、および重要な会議への出席、個別調査等についての計画で、資料のとおりの内容となっています。加えて、7つ目の項目として、意見書付記事項について、役員の取り組み状況を注視するということで、業務監査を実施していく計画でございます。
 一方、会計監査につきましては、意見書で申し上げましたように、相当性監査となりますので、会計監査人の監査をもとに、すなわち会計監査人ヒアリングにあわせて、経理局ヒアリング、その他個別調査の実施等という形で行ってまいります。以上が監査計画の内容です。
 さらに3点目の報告ですが、監査委員会の職責として、今回の大相撲名古屋場所の中継放送の中止について、会長の記者会見のご発言にございますように、「異例中の異例」という当該措置をめぐる執行部の対応を確認するため、報告を求める申し入れを会長にさせていただきました。
 監査委員会からの報告は、以上3点でございます。

 

 

2 会長報告

 (福地会長)

 まず、大相撲名古屋場所の中継中止についてご説明します。大相撲名古屋場所の中継放送については、7月6日に日本相撲協会からの報告を受けて協議した結果、中継は行わないことを決めました。ただ、取り組みを見たいという視聴者の皆様の声に応えるため、18時台で幕内の取り組みを中心にダイジェストという形で放送することにしました。
 NHKは、今回の野球賭博問題について、大相撲の根幹にかかわるもので、反社会的な勢力である暴力団との関係も指摘されるなど、極めて重大で遺憾な事態だと考えています。こうした中で、7月6日に日本相撲協会からの報告を受けました。日本相撲協会の処分は、調査委員会の「勧告」を受け入れた厳しい内容でした。また、暴力団排除など、今後の再発防止のための「ガバナンスに関する委員会」を立ち上げることもわかりましたが、その時点では委員会のメンバーや改革の方向性などについては具体的な道筋が見えていませんでした。一方、視聴者からは連日厳しい意見が寄せられました。放送コールセンターと全国各放送局のハートプラザに届いた視聴者からの声は、7月6日に中継の中止を決定するまでは、1万4,212件のうち9,395件と、6割以上が「大相撲中継は中止すべきだ」という声でした。もちろん、大相撲中継を楽しみにしていらっしゃる方からの意見もいただいております。NHKとしては、こうした状況を踏まえて総合的かつ慎重に検討して決定したものです。NHKとしては、日本相撲協会が「100年に一度の危機」という緊張感を持って待ったなしの改革に取り組むことを強く要望し、とりわけ「ガバナンスに関する委員会」が早急に具体的な改革案を取りまとめることを希望しています。
 それでは、具体的に「大相撲名古屋場所」の放送対応についてご報告します。初日の11日、日曜日の放送は18時10分から18時40分の30分間で、幕内の全取り組み18番と、十両の取り組みのうち注目される2番を放送しました。また、取り組み以外にも、村山理事長代行のおわびのあいさつ、大関を倒した力士、栃煌山のインタビューなども放送しました。12日以降は、平日は18時30分から18時52分、土曜、日曜、祝日は18時10分から18時40分でダイジェスト放送を行ってまいります。11日のニュースでは、18時に初日の様子と注目の一番、白鵬と栃ノ心を映像付きで放送、「ニュース7」では2番を映像付きで放送し、中入り後の結果も伝えました。ラジオでは、18時05分から5分間、村山理事長代行のあいさつと幕内の取り組み結果を伝えました。ラジオについては、今後も18時05分から5分程度取り組み結果を伝えてまいります。
 なお、中継中止を決めた7月6日以降に放送コールセンターと全国各放送局のハートプラザに届いた視聴者の声は、12日までに6,973件、うち5割弱の3,174件が「中継すべき」との声ですが、トータルでは2万1,185件中1万1,299件と過半数が「中継すべきでない」という声をいただいております。これとは別に、営業コールセンターや営業現場にいただいた意見が7月6日以降、1,943件ありますが、受信料支払い拒否に言及した件数は合計で729件、7月7日は290件あったものの、11日は45件に減少しております。今回のNHKの対応については、おおむね視聴者の理解をいただいているものと受け止めております。
 次に、参議院選挙の放送について報告します。第22回参議院選挙は7月11日に投票が行われ、NHKでは大河ドラマを繰り上げて、同日午後7時55分から12日午前4時30分まで開票速報、引き続き「おはよう日本」で開票速報や選挙情報をお伝えしたほか、午前2時から1時間とそれから午前8時30分から10時まで「参院選列島ドキュメント」を放送しました。
 当日午後4時に「開票速報本部」、これは選挙のたびに開くのですが、ここに全員に集まってもらいました。関係役員も全部集めました。そこで私からは、「NHKの報道の信頼というのはその正確性と迅速性であり、とりわけ選挙のときにはそれが顕著になる」と伝えました。選挙報道については、われわれはNHKの先輩から受け継いだノウハウがものすごくあるわけですが、そのノウハウを生かして現職のメンバーが調査と訓練をしています。調査というのは出口調査だけでも、全国1,700か所余りの投票所で、およそ21万人余りを対象に行っています。それから、私も準備を見ていて、選挙報道は全局をあげて取り組むものだと思いました。特に各地の放送局は本当に全局体制で行いますし、例えばこの放送センターの中でも、営業の職員にも、いろんなコンピューターの入力など応援してもらっています。この前もアナウンス室長が「私たちも訓練するのです」と言っていました。何を訓練するのか尋ねると、「ものの言い方です」ということでした。「あなた方は毎日ものを言っているじゃない」と聞くと「違うのです、選挙のときはものの言い方が別なのです。例えば言ってはいけないことで、『予想外にこの人が通った』とか『意外な苦戦』だとか、そういったことが自分の言葉で出ないように訓練するのです」ということでした。いろいろな職場でそれぞれの訓練があるのだなと思いましたけれども、私は、「その何か月にもわたる訓練が、開票速報が始まってこれから先の数時間、この中に全部集約されている。1件間違えると、今までの努力が全部水の泡になってしまうので、それぞれの持ち場で緊張感を持って取り組んでほしい」ということを皆さんにお願いしました。おかげさまで、1か所の間違いもなく、選挙報道を終わることができました。投票が締め切られた午後8時に「与党過半数割れへ、民主50議席割れの可能性も」と伝え、午後11時半前後には、「民主党50議席割れ確実」、「自民、改選第一党へ」と相次いで報じ、今回の選挙の焦点を、迅速に、また的確に伝えることができたと思います。当確判定にあたっては、期日前投票の動向を含めた事前の情勢取材や出口調査の結果、また開票状況などを総合的に分析して、午後8時から翌日午前7時過ぎに打ち出した比例代表の最後の当確者まで、すべての議席や人名を1つも間違えることなく伝えました。これは報道以外の各部局からも数多くの職員が開票所の取材応援に出るなど、全局体制で取り組んだ成果であります。また、菅総理大臣の「獲得議席にかかわらず総理大臣続投の意向」という政局をめぐる動きもいち早く伝えました。それから、インターネット(NHKオンライン)では、公示日から候補者紹介だけでなく、選挙関連ニュースや選挙に関するクイズなど、豊富な情報を載せたホームページを立ち上げました。今回、NHKが持っているあらゆるメディア、波を動員して選挙報道に取り組みました。こういったノウハウはぜひ次の選挙にも生かしてほしいということを要請しております。

 (小丸委員長)

 今回、会長ならびに執行部の皆さんが、大相撲の中継中止を慎重に、なおかつ速やかに判断されたということは、それ相応に評価しなければなりません。ただ、日本相撲協会のみならず、反社会的勢力といった関係の会社との取引というのは、会長は十分ご存じでしょうから私が言う必要はないのでしょうけれども、これは、今後やはり慎重にいろいろな角度で見直していただいたほうがいいのではないかと思います。

 (福地会長)

 そのとおりです。

 (大滝委員)

 この大相撲中継の中止の決定の件ですが、決定そのものについてはいろいろな評価があるのではないかと思いますが、私個人としては、率直に言って、7月6日に中継の中止を決定されたということで、ほっとしました。それはなぜかというと、大きく2つのことを考えたからです。
 1つは、NHK自身が今度の3か年経営計画の方針の最初のところで、コンプライアンスについて、きちんと守っていくということをうたっています。もし、そのことに反して中継をするということになれば、いろいろな意味で、NHKそのものにもいろんな悪い影響を与えるのではないかということを以前から懸念していました。もう1つは、そんなことまで考えなくてもいいと思われるかもしれませんが、今、一生懸命NHKとして取り組んでいる、受信料収入を上げていくという努力にも水を差すのではないかということも非常に懸念しました。

そういう意味で、NHKがしっかりとした毅然たる態度をとって、今回の意思決定をしたということについては、もちろん放送のあり方や、日本相撲協会に対する姿勢ということもあると思うのですが、NHK自身のありようや、NHK自身のとるべき方向という点から見ても、私は妥当なものであったのではないかと思って、ほっとしましたし、大変評価しております。

 (福地会長)

 ありがとうございます。

 (石島委員)

 今の大滝委員の意見に私も同感なのですが、それに加え、先ほど会長もおっしゃっていましたが、ダイジェスト版の出来ですね。これはすばらしかったと私も思いました。「さすがにNHKだな」という感じがしまして、感謝を申し上げたいなと思います。

 (福地会長)

 あれは本当に、よく現場が対応しました。ああいうのはやはりプロ集団だなと私は思います。私はNHKに入るまでは、こう言うと悪いけれども、NHKは公家さんの集団だと思っていました。しかし、入ってみると、何と職人集団です。手際がいいです。「やられた」という感じがしています。

 (幸田委員)

 参議院選挙の報道について少しお伺いしたいと思います。素朴な疑問なのですが。選挙報道というのは、NHKも民放も同時に、一斉に放送されますので、逆にそれぞれの局のカラーが出ておもしろいという部分もあるかと思います。一般的な印象なのですが、当確の表示が比較的NHKは遅いというか、慎重という感じがします。それを決して悪いと言っているわけではないのですけれども、全体に中立的であり、フェアであり、正確であるということが一番求められる放送ですので、それでいいとは思うのですが、最初の段階の急いだところといいましょうか、早く当確を知りたい、結果を知りたいというところだと、つい、やはり民放で、どこの局というように、チャンネルを変えてしまうというのが今までの私の見方でした。

 NHKとしては、それに対してとても慎重でいらっしゃるということは、私はいいことだと思うのですが、何かそういう報道のポリシーがあるわけでしょうか。少しそのあたりをお伺いしたいと思います。

 (福地会長)

 今朝、考査室から全当選者の当確を、NHKから民放各局まで、どの放送局が何時何分何秒に出したという報告を受けました。圧倒的とは言いませんが、総体的に「NHKが1番」が最も多かったということです。民放の中には、前回はこの順位で、今度は下になったとかいろいろありますが、NHKの場合には前回も今回も1位だったということです。また、比例代表の最後のところは微妙で、よく間違えることがあるのですが、NHKは1件の間違いもありませんでした。ですから、正確性と迅速ということで、総体的に1位であったことは間違いありません。

 (幸田委員)

 拝見していますと、NHKはとても冷静で、その点はとてもいいなと思いましたので、申し添えます。

 (日向専務理事)

 NHKの場合はきちっと最後まで当確を打つという姿勢でやっていましたので、最初の段階は確かに民放のほうが早いものも幾つかあったと思いますが、全体として見ると、当確を早く打った数というのはNHKが一番多かったということです。それから、視聴者の方々からは、なぜそんな早く当確を打つ必要があるのかという意見もございます。開票がちゃんと出てからでもいいのではないか、わざわざ「当選確実」という情報が必要なのかという声もありますけれども、ただ、当選を待っていたのでは相当な時間がたってしまいますので、正確であることが第一ですけれども、「正確を担保した上でなるべく早く出す」というのがNHKの立場と考えています。

 (小丸委員長)

 今回、当確を1人も間違えなかったということとあわせて、携帯メールで送る新しい仕組みをつくられていますが、これは本当に便利ですね。

 (今井理事)

 テレビの開票速報では、選挙区を順番に出していきますので、「自分が見たい選挙区がなかなか出てこない」という声を多く聞きます。その点、デジタル放送ではデータ放送を充実してきていますので、データ放送で見たい選挙区を登録しておけば、すぐに見ることができる。それからパソコンで、NHKのホームページにもやはり開票速報がありますので、自分で見たいところをクリックしたら、すぐに見ることができる。さらに携帯でもということで、いろいろな手段で選挙の開票状況をわかるようにしていきましたし、だいぶん充実してきました。今後もこの調子でやっていきたいと思っています。

 

 

3 議決事項
 (1) 地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について(資料)

 (永井技師長)
 今回は、設置に向けて諸条件が整いました、13県の27地区に地上デジタルテレビジョン中継放送局を設置したいというものです。いずれの地区も「新規整備中継局」という名前を付けています。これは、アナログ放送では視聴できていたけれどもデジタル放送にすると視聴できなくなるという地区に、新たに設置するというものであり、今回提案の27地区はすべて平成22年度に開局する予定のものです。各県における地区名等は、資料のとおりです。今回の中継放送局整備により、新たに約6,000世帯で地上デジタル放送が視聴可能となりますが、電波カバー率については98.0%という数値は変わりません。予算については、今回ご提案した27地区の設置にかかわる経費は12.7億円と見込んでいますが、整備にあたっては、既設アナログ施設の活用や民放との共同建設などを通じて、コストの削減に努めていく予定です。設置計画につきましては、今回の提案の27地区を加えて、これまで2,108地区の設置計画を提案したということになります。新規整備中継局については、現在も検討を進めているところもありますので、諸条件が整い次第、提案を行ってまいります。今回の設置計画が承認されましたら、各中継局の免許申請手続きなどの準備に入っていくことになります。
 ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

4 報告事項
 (1) 地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について (資料)

 (永井技師長)

 これは、設置計画で中継放送局の設置を計画化し、準備を進めて整備を行い、それが完了して開局したものの報告です。
 設置計画に基づいて建設を取り進めてきた地上デジタル中継放送局のうち、今年の4月1日から6月末までの期間に104地区で開局しました。これは31府県にわたります。各地区の送信出力やチャンネル、申請世帯数などは、資料のとおりです。今回、104地区を加えますと、平成22年6月末までに累計で1,495地区の地上デジタル中継放送局が開局しました。その結果、全国視聴可能世帯カバー率は97.6%。先ほど、2,000局を開局すると98.0%になると説明しましたが、この1,495地区で、今は97.6%をカバーしているということになっています。建設にかかった経費はおよそ33.5億円ということで、既設のアナログ施設の活用、民放との共同建設などを通じてコスト削減に努めた結果です。当初の予算からは約5.5億円圧縮することができております。今後も経費削減を図りながら建設・整備を進めていきます。

 (深谷委員)

 1つ確認しておきたいのですけど、「あまねく電波をお届けする」ということは、NHKとして対応しなければならないですね。ところが、家自体はいろんなところへ、谷間でもここへ家を建てたいと言ったら、地方自治体は許可していきます。そのことをきっちり確認して電波をお届けしていく責任は、地方自治体にあるのですか、それともNHKにあるのですか。説明にあったように、この2,108地区までいってもまだ98.0%のカバー率で、あとは衛星でやればいいんですけれども、谷間のようなところへ家を建てていくと、視聴できない世帯がどんどん広がってくると思います。その場合の責任はどちらにあるのでしょうか。

 (永井技師長)

 まず、電波でカバーするのが98.0%です。残り2.0%のうち、大ざっぱに言って1.5%は、辺地共聴と言い、NHK共聴と自主的な共聴設備、NHKが共聴設備を取り付けて、もしくは共同で受信して山の奥のほうに自分たちで引いて、約1.5%をカバーします。そうすると大体99.5%になります。残り0.5%というのは、なかなかそういう共聴設備を設置するのが大変だということで、今回のデジタル化においては衛星を使って、セーフティネットでカバーしようというように進めているところであります。

 ご質問の「あまねく」のところで、今まで電波が届かないようなところに家を建てたら、誰の責任になるかということですが、本来、これはNHKがカバーしなければならない。「あまねく」というのはそういうことです。ただ、そこまで1軒のために何億円もかけて引っ張っていってというのは、これはコストに合わないだろうということから、これまでも、そういうところは衛星で難視解消をしてくださいとお願いしてきています。一応、NHKの衛星放送で難視解消するということをやっていたということです。デジタル時代も、セーフティネットを使って、NHKのサービスをしていくということです。

 (小丸委員長)

 これは技師長にお聞きしたいのですが、地上デジタル移行まであと376日ですね。今の進ちょく状況で、十分に対応できるのでしょうか

 (永井技師長)

 われわれ、送信側の準備は、ほぼ予定どおりに進んでいます。現在、1か月ぐらいの整備の遅れがありますが、これは、「後で取り返せ」ということで、1週間ごとに進ちょくを見ていますので、きちんとコントロールできていると思っております。受信側の準備は、これは視聴者にかかわるところなので、本来、国に頑張ってもらわないといけないところです。われわれも放送での広報等、お手伝いをしながらやっているというところです。

 (幸田委員)

 5.5億円、予算よりも下げられたということについて、とても望ましいし、喜ばしいことだとは思うのですけれども、その要因といいましょうか、背景の主なところはどのあたりかお聞かせいただけますでしょうか。つまり、予算の設定自体が、実はオーバーだったのではないかという反省がもしかしたら起きるかもしれないので、お伺いしたいのですが。

 (永井技師長)

 これは、設置する中継局がだんだん小さな規模になっているということがあります。小さな局を今年からたくさん扱うようになって、これをメーカーと契約するときに、かなり金額を絞りました。また、民放と一緒に整備することによってコストが下がるということがあります。初めは、民放は「ばらばらでやりましょう」と言っていたのが、やはり「なるべくコストを抑えるために、一緒にやりましょう」というところが出てきたといったこともあわせて、このぐらいの節約ができたと考えております。初めの想定が甘かったのではないかというご意見もあるかと思いますが、われわれとしては「なるべくそれはないように」ということで進めております。結果的には予算よりも下げることができたということです。

 (幸田委員)

 とてもいいことだと思います。ありがとうございました。

 (石島委員)

 少し技術的な質問に偏るかもしれませんが、一般的にデジタル機器の電力使用量というのは、例えばスイッチングスピードが速くなるほど大きくなりますよね。ハイビジョンとか、そういう形になるとどんどん電力負荷が大きくなっていっていると思うのですが、デジタル化によって、アナログ放送時代と比べて、例えばCO2負荷がどのぐらい、どうなっているのかなど、おそらく計算値をお持ちだと思うので、今すぐでなくとも結構ですが、教えていただきたいと思います。

 (永井技師長)

 手持ちがないものですから、今すぐには正確な数字は答えられませんが、一般的に局内の設備、例えば放送センターや放送局にあるデジタルの設備は、アナログ時代に比べて消費電力が増えます。アナログ時代よりも、実はデータ放送の部分が増えたりとかという、いろいろなサービスの面でも増えています。デジタル機器では、なるべく安くするために汎用の素子を使うことが多いです。そうすると、カスタマイズしたものではないものですから、使用電力量というのは上がってしまいます。

 一方で、送信設備のところは、いろいろな工夫をしてデジタルにすることによって節約できるという面もあります。以前もご報告したと思いますが、中波の放送所、今まで真空管式の送信機を固体化した場合では、放送の波はアナログなのですけど、デジタル的に出すような形にして、例えば菖蒲久喜の大電力のラジオ第2放送、500キロワットで、年間CO2で換算して1,000トンぐらい節減するということが、設備を新しくすることによってできました。そういう面では、新しい機器を導入、デジタル化することによって少なくなる。送信設備のほうがむしろ少なくなっていくという傾向はあります。

 (石島委員)

 技術的に、CO2負荷に換算してプラスかマイナスかというのも関心があるのですが、ただ、確かにデジタル化することによって社会資産価値というものはアップするのですよね。そこだけで別に判断するわけじゃないのですが、さきほどご説明されたサービスの問題もあるでしょうし、その辺を含めて、何かトータルなフィギュアといいますか、それを作っていらっしゃると思うので、後で教えていただければと思います。よろしくお願いします。

 (永井技師長)

 わかりました。

 

(2) 関連団体等の社長の交代について(資料)

 (溝口理事)

 今年の3月から6月にかけて、関連団体等の株主総会・評議員会がございました。結果、次の4団体が、3人の社長と専務理事1人が交代ということになりましたので、ご報告します。
 まず、子会社ですが、社長が交代したのが、NHKアート、総合ビジョン、それからニューヨークに所在するNHK Cosmomedia America, Inc.、この3社の社長が交代しました。新任の社長は資料に記載した3人です。それから、資料に欄を分けて示している放送文化基金、ここには外部の方に非常勤の理事長をお願いしており、専務理事が日常的な経営に携わるということで、参考のために掲載しています。
 子会社3社のうち、NHK Cosmomedia America, Inc.の高田和昭社長ですが、もともとは伊藤忠商事株式会社、その後が東京センチュリーリース株式会社という、民間の会社の執行役員を歴任した方です。NHKが関連団体のトップに外部人材を迎えたのは、21年ぶりのことです。
 それから、次ページ以下に関連団体のトップの名簿を記載しています。網かけした部分が今回新任になったトップということになります。ちなみに、ヨーロッパとアメリカにそれぞれ2社ずつあった現地法人を4月1日の段階で統合しておりますので、現在、関連団体の数は27ということになっております。報告は以上です。

 (小丸委員長)

 視聴者から見れば、天下りというような感覚を持たれないように、いろいろと手配されているのだと思います。そのあたりを考慮しながら、よろしくお願いいたします。

 

< 放送文化研究所 岩澤所長入室 >

 

5 その他

 (1) 6月「全国接触者率」「全国個人視聴率」「放送評価」調査および「日本人とテレビ・2010」調査の結果について(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)(資料6)

 (日向専務理事)

 「全国接触者率」「全国個人視聴率」調査は、毎年6月と11月に行っています。「放送評価」調査については、6月、9月、11月、3月と毎年4回行っておりますが、今回それらの調査結果が出ました。それから、5年に1回なのですが、「日本人とテレビ」という調査を、これも継続的に行っています。今年はその5年目にあたっておりまして、その調査結果が出ています。概要について、放送文化研究所の岩澤所長から説明いたします。
 (岩澤所長)
 それでは、放送文化研究所が今年の6月に行いました「全国接触者率」「全国個人視聴率」、そして「放送評価」の3つの調査について報告いたします。また、5年ごとに実施している「日本人とテレビ」の調査結果の一部も報告させていただきます。
 まず、3調査の報告のポイントを申し上げます。NHKの経営目標では、現在の経営計画のスタートから3年後までに「接触者率80%」達成ということを目標にしております。調査は6月と11月の2回ですので、2年後の6月の調査までに80%ということになりますが、今回の調査結果は74.5%。前年は76.1%でした。次に、「全国個人視聴率」調査では、大河ドラマの「龍馬伝」、連続テレビ小説の「ゲゲゲの女房」、それに新番組の「あさイチ」など、視聴率は全般に好調でございました。また、この調査からわかる関東の総合テレビの接触者率は増加しました。3番目に、NHKの放送について視聴者の皆さんに5段階で評価をしていただく「放送評価」調査では、NHKの放送に「親しみ」を感じているという人が53%で、過去最高の数字となりました。昨年11月の調査から3回連続、目標である50%を超えております。
 それでは順に、「全国接触者率」調査の結果から説明します。資料の2ページをご覧ください。この調査は、放送だけでなくインターネットや録画視聴も含めて、NHKにどの程度の割合の人が接しているかを調べるものです。年に2回、6月と11月に実施しています。今回の調査は6月7日から13日まで、全国の7歳以上の国民3,600人を対象に、記入用紙を配付して後日回収するという方法で行いました。有効率は70.7%でした。ここでいう「接触」について、3ページに示しています。NHKの放送やホームページ、録画再生など、調査週の中のある1日に5分以上見たり利用したりしたら「接触した」ということになります。この単位は5分です。ただし、「出版物を買った」とか、「NHKの催し物に参加した」というようなものは、この中には含んでおりません。この「接触」を「リーチ」と呼んでいます。
 調査結果を4ページに示しています。調査した週のNHKの全体リーチは、今回74.5%でした。11月の調査というのは、大相撲のある週に調査をしているため、通常、1年前の同じ時期の調査と数字を比較しています。ちょうど1年前が、全体リーチが76.1%、放送リーチが74.9%でした。今回、全体リーチが1.6%低くなっておりますが、これは統計上の誤差がございまして、一応統計上は「変化はない」ということになります。一方、放送外のリーチですが、一番右の下に20.9%とあり、これは有意に変化をしております。1年前と比べて増えています。次に5ページですが、NHKの各波のリーチを、前年と比較しました。統計上、有意に変化したというものはありませんが、総合テレビが前年と全く同じ数字のほか、教育、衛星などでは、見た目の数字が若干変化して、低くなっています。次に6ページです。先ほど申し上げましたように、放送外のリーチは1年前に比べて増えました。赤く示している13.7%、「録画再生」が増えています。7ページに、NHKの全体リーチを年層別、いわゆる年代別に見ています。全体リーチが経営計画の目標である80%を超えているのは、50代以上の年代でございます。これより年齢的に上の層は、強固なNHKのユーザーということが言えると思います。逆に40代以下は接触している人の割合が低く、若い世代への対策が引き続き必要だと思います。なお、放送外のリーチは、これまで世代間の差があまりなかったのですが、今回の調査では、50代、60代でほかの年層よりも高くなりました。次のページ、この放送外のリーチを年層別に見てみますと、13歳から19歳の「動画配信サイト」「動画共有サイト」というところ、3%、4%という数字がありますけれども、若い世代はほかの世代に比べて、これらのサイトの利用の割合が高くなっています。次に9ページですが、NHKの放送と放送外への接触について年層別にグラフにしました。NHKのテレビを全く見ずにNHKのホームページなど放送外のみ、いわゆる「放送外のみ接触」という人は、全体の中でわずかに1.5%です。赤く示したところですので、大半が40代以下の人たちということになります。このグラフでご注目いただきたいのは、右側の白い部分、放送、放送外ともに、NHKに接触をしない人の割合というところです。全体で見ますと、引き続き4人のうち1人が、調査した1週間、放送外も含めてNHKへの接触がありませんでした。10ページには、NHKの全体リーチを地方別に示しました。これは、サンプル数が少なくて誤差が大きくなってしまうことを避けるために、北海道と東北を1つ、中国・四国・九州を1つの地域ということで、数字をまとめています。これまでのように北海道・東北、中国・四国・九州が比較的高い傾向があり、近畿は全体に比べると低くなっているという状況です。後ほど報告する全国個人視聴率調査からも、放送の接触者率を出すことができるのですが、その調査では、関東や近畿の大都市圏は、今回大変好調でした。民間の調査会社の関東の数字もよいと言われている中で、今回なぜ接触者率が伸びなかったのかというところがあります。このため、大都市圏以外のところの接触の変化があるかどうかを今回分析しています。それが11ページの一覧表です。東京、大阪の中心部から50キロ圏内を、それぞれ東京圏、大阪圏としました。それ以外の都市規模別に、30万人以上の市、10万人、5万人と分け、5万人未満の市町村まで分類して数字を出してみました。今回、大都市圏や5万人以上の都市では顕著な変化はありませんでしたが、5万人未満の地方都市あるいは町村のところ、一番右の73%を青で示していますが、前年に比べて下がりました。このあたりの理由は、正直申し上げてこれ以上の分析がまだできていませんので、一応結果として示しています。この調査の最後、12ページですが、NHKが行っているオンデマンドサービス(NOD)の認知と利用について調べました。1年前に比べて増えております。利用のベースでいうと、利用者数に換算するとおよそ90万人相当ということになります。以上が「全国接触者率」調査の結果でございます。
 続いて、「全国個人視聴率」調査の結果についてご報告いたします。調査は、「全国接触者率」調査と同じ期間、7歳以上の国民3,600人で、記録用紙を配付して記入をしてもらい後日回収するという方法で行いました。ほぼ6割の有効率でした。この期間ですが、菅内閣組閣や、FIFAワールドカップの日本戦より前の3試合が放送されました。日本戦は含まれておりません。なお、これから出てくる視聴率の数字が、新聞等で紹介をされている民間調査会社の数字に比べてやや低く感じると思います。これは、その民間調査会社は、都市部を中心にして世帯視聴率というものを調べているのに対し、NHKの調査は、全国の個人の視聴率を調べているという違いがあります。そういうことで、世帯の視聴率よりは、個人視聴率のほうが、やや数字が低く出るという点があります。4ページに、総合テレビでよく見られている番組を示しました。まず「龍馬伝」、今回の視聴率の調査で17.3%でした。前年の「天地人」を2.5%上回っています。前の年、初めて10%割れとなった連続テレビ小説は、今回、「ゲゲゲの女房」で大幅に回復しました。5ページですが、今年度の番組改定の最大のポイントであった朝の時間帯について、5分ごとの視聴率の変化をグラフにしました。「連続テレビ小説」のスタート時間を、総合テレビの場合、15分繰り上げ午前8時としましたが、ご覧のように、8時に視聴率が急上昇し、15分以降下がります。ただ、その下がり具合は以前ほど大きくなく、後に続く「あさイチ」が健闘しているという状況です。6ページに、朝の「連続テレビ小説」のすべての放送の時間帯の視聴率を合計した数字を、経年別にグラフにしています。今年は21.6%と大幅に回復しています。次に、新番組の「あさイチ」について、昨年、ほぼ同じ時間帯に総合テレビで放送していた「生活ほっとモーニング」と比較をしてみました。まず、7ページは関東の数字です。特に女性の40代、50代というところを見ていただけますでしょうか。「あさイチ」8時台は、6%です。これに対して1年前、「生活ほっとモーニング」では、40代、50代は1%でした。女性では60代以上のところでもかなり数字が上がっています。次に8ページ、近畿地方についても同じように分析をしてみました。やはり同じように女性の40代、50代のところ、前年の「生活ほっとモーニング」は1%でした。これに対して、今年の「あさイチ」は7%。同じように60代以上の女性のところでも増えており、男性のところでも増えているという傾向があります。関東同様に、この「あさイチ」が健闘しているということがわかります。9ページは、ニュース・報道番組の視聴率ですが、こちらのほうも引き続き好調です。次に10ページです。「龍馬伝」を含めて、この3年間の大河ドラマの男女年層別の視聴率をグラフにしました。赤い色の折れ線グラフが今年の大河ドラマ「龍馬伝」の視聴率です。これを見ますと、女性の10代、男性の70代以上で視聴率が増加するなど、大変幅広い世代に見られているということがわかります。11ページ、FIFAワールドカップの前半部分が調査週にかかりましたが、男性の若い人を中心に視聴されました。12ページです。先ほど触れたとおり、この個人視聴率調査からもNHKの放送波、各波の接触者率を出すことができます。こちらの調査では、2年ぶりに総合テレビの接触者率が60.6%と、60%台を確保しました。衛星第2放送も回復しています。13ページに、総合テレビの男女年層別の週間の接触者率のグラフをあらわしました。男性の20代のところに赤い丸が縦についていますが、前年に比べて大幅な伸びになりました。しかし、男女とも全体で見ますと、若い世代で大変低くなっています。高年層で高いという傾向です。年層差が極めて大きいというのがNHKの特徴です。14ページですが、総合テレビの週間接触者率を、地方別に調べてみました。顕著なのは、関東が55%から60%に、甲信越が61%から72%に、それぞれ2年前の水準に戻っているところです。また、これまでずっと低かった近畿が、今回、ほかの地域並みに健闘しています。
 次に「放送評価」調査についてご報告いたします。この調査は、視聴者がNHKの放送をどう評価しているかを見るために、2007年6月から始まりました。当時の「NHK“約束”評価委員会」の評価に対応するもので、NHK独自の調査としてスタートしています。これまで13回実施しました。調査は、「信頼」「満足」「親しみ」など全体評価の5項目、「正確・公平」、「生命・財産を守る」など側面別評価の10項目について、それぞれ5点満点で回答してもらい、4点以上の評価をいただいた割合を肯定的な評価としてパーセンテージで示しております。
 それでは、結果についてご説明します。まず6ページの全体評価ですが、左下の「親しみ」が53%、これまでで最高の数字で、3回連続50%超えです。側面別評価では、「生命・財産を守る」をはじめ4つの評価項目で前年度平均より有意に高くなりました。次に7ページでは、年層別の全体評価で、女性の40代、50代で「親しみ」が大幅に高くなったほか、女性を中心に評価が高くなっています。8ページ、側面別評価でも、女性高齢層を中心に評価が上がりました。9ページの地方別の全体評価ですが、関東と近畿で「親しみ」がアップしました。10ページ、地方別の側面別評価でも関東、近畿、それに中国・四国・九州で評価が上がっています。11ページで、「信頼」「満足」「親しみ」の3項目について、これまでの調査の推移をグラフにしました。この特徴として、昨年度の後半から全体に上昇傾向にあります。以上が3調査の報告でございます。
 最後に1つだけ、「日本人とテレビ・2010」から、ポイントのところだけ報告いたします。この調査は、昭和60年以降、5年に1度、「メディア利用の現状と国民の意識」ということで、全国規模で行っています。今回、調査方法を配付回収法に変更しましたが、これまでの調査との比較のために面接法の調査も並行して行いました。調査は3月に行いました。結果の中でのポイントですが、「あなたはNHKについてどのように感じていますか」という質問に対して、5年前の調査は、NHK内の不祥事の影響もあり、「NHKがぜひ必要だ」と思う人の割合が大幅に減りました。今回、それ以前の水準にほぼ回復して、「まあ必要だと思う」も合わせると85%に達しています。もう1つ、メディアの中からどうしても「欠かせないメディア」を1つだけあげてもらったところ、テレビが55%、新聞とインターネットが14%で同じ数字でした。なお、年層別では、男の16歳から29歳ではインターネットがテレビと肩を並べて35%という結果になっています。

 (安田代行)

 「全国個人視聴率」調査の13ページで、男性の20代が46%と非常に急上昇している。この理由は何でしょうか。

 (岩澤所長)

 FIFAワールドカップだけということではないと思いますが、今、若者向けの番組等もあります。大変申しわけないのですが、この接触者率で「何を見たか」という具体的な分析はまだ、十分行っておりませんので、今後行っていきたいと思っています。

 (安田代行)

 この接触者率で大きな課題は、やはり20代、30代の若年層が非常に少ないことだと思います。これをどのように解決していくかというのは、NHKの大きな課題であるとわれわれも考えています。いろいろな提案があると思うのですが、ここで1つ提案をさせてもらいたいと思います。各地方の大学に、「大学コンソーシアム」というものがあるのですが、今、NHKの京都放送局が中心になって、大学のコンソーシアムでNHK職員が授業を担当しています。そうしますと、例えば300名の講堂に満杯で会場に入れないぐらい学生が集まるのです。今までは、ある特定の場所にみんなを集めていたのですが、大学が持ち回りで開催しています。そこで経営の重要性、「NHKというのは受信料が大事だ」ということをはじめて聞いたり、あるいはカメラマンの職員がお話しになったら、その話を聞いて「自分の人生、カメラマンになろう」と決意したという話があったりします。大学生というのは大半が20代ですので、このように若者にNHKとのコンタクトをとる施策をもっと行ったらいいのではないかと思います。たまたま今、京都放送局を1つのモデルで紹介しましたが、NHKとしては「地域を活性化する」ということが大きな目標になっているわけですから、各地域の放送局の裁量で行うのではなく、例えば本部に予算を確保して、こういうことをやりたいと提案があったら、予算的にも補助するなど、その方式を少し執行部でご検討をいただけないかと思います。

 (福地会長)

 おっしゃっているようなことは、いろいろ各放送局が行っています。私も自分の出身した大学に、NHKの講座がワンセットあるから、「ぜひ来年取り組め」ということを言っています。経営企画局の石田局長は、福岡放送局長時代に、そういったカリキュラムをつくって実施しておりました。

 (石田経営企画局長)

 福岡放送局では、九州大学と福岡大学、九州産業大学の3つの大学で、前期または後期での大学講座を行っていました。私も講師を務めましたが、大体170から180人の方が受講して、最後、単位はリポートを書いてもらって、そのリポートは大学の先生に採点してもらうというような形で実施していました。九州では、今年は長崎放送局で初めて実施しますが、佐賀、鹿児島、熊本、北九州の各放送局でも行っています。そういう形で学生の方にNHKに接してもらって、どういう仕事をしているかということを学んでもらういい機会になっています。福岡放送局では丸3年行いましたが、引き続き実施してもらいたいという要望があるので、さらに続けるということを聞いています。京都放送局が一番初めということですが、全国に広がるような形になってきています。

 (安田代行)

 ええ、とてもいい傾向だと思います。

 (福地会長)

 安田代行がおっしゃるように、確かに生徒にとってもよいことですが、人の前で話すというのはNHKの職員にとっても勉強になります。やっぱり学生の前で90分間、自分の持ち分を話すとなると、かなり勉強しないとできないから、そういった面でもいいことではないかと思っております。

 (竹中委員)

 今回も非常に緻密にさまざまな角度から調査をしておられ、その点については大変すばらしいと思いました。これは、主に年齢や地域であるとか、それから放送局や放送内容の違いといった視点での調査結果だと思うのですが、前回の経営委員会でも発言させていただいたように、テレビは必ずきちんと聞こえる方、必ずきちんと見える方ばかりが見られているわけではなくて、実は目の見えない方のテレビのファンがたくさんいらっしゃるのです。もちろん聞こえない方でも、今は、字幕だとか手話だとか、いろいろな方法で見ておられます。これから高齢社会がますます進んできて、完全に見えないのではなく、見えにくかったり、聞こえにくかったりという方々が増えてきており、なおかつ、地デジになって映像も美しいし、リモコンボタン1つで字幕も出るということで、要するにテレビ時代が新しいユーザー層を広げていくことができる、逆に「やさしいテレビ」になることができる1つのチャンスだと思うのです。その意味で、今回のような詳細な調査の際に、こういった方面の調査項目も立てて、どれだけ「実際には見えないけれどもテレビ番組を好きな方」がいらっしゃるかとか、「聞こえないけれどこういう番組を非常に愛している方」がいらっしゃるかというような、あるいは「そういう方々をより増やすにはどうすればいいか」というような視点で調査結果を示すことができると、非常にクオリティーが高く、ユニバーサルな視点での調査になっていくかなと思いますので、ぜひこのようなご検討もしていただければと思います。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成22年7月27日    

小 丸 成 洋

井 原 理 代