<会 議 の 名 称>
第1114回経営委員会
<会 議 日 時>
平成22年3月9日(火)午後 2時15分から午後4時00分まで
<出 席 者>
〔委 員〕
◎ | 小 丸 成 洋 | ○ | 岩 崎 芳 史 | 石 島 辰太郎 | |
井 原 理 代 | 大 滝 精 一 | 勝 又 英 子 | |||
桑 野 和 泉 | 小 林 英 明 | 飛 田 稔 章 | |||
野 間 光輪子 | 深 谷 紘 一 | 安 田 喜 憲 |
◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。) |
〔役 員〕
福 地 会 長 | 今 井 副会長 | 永 井 技師長 | |
金 田 専務理事 | 日 向 専務理事 | 溝 口 理 事 | |
八 幡 理 事 | 大 西 理 事 | 今 井 理 事 | |
黒 木 理 事 | 塚 田 理 事 | 吉 国 理 事 |
<場 所>
放送センター 21階役員会議室
<議 事>
議事に先立ち、経営委員による経営委員会を開催し、「視聴者のみなさまと語る会」の松江と旭川での開催について決定。続けて、経営委員意見交換を実施。その後、小丸委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1113回経営委員会(平成22年2月23日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成22年3月12日に公表することを決定。
付議事項
2 議決事項
(2) 職員の給与等の支給の基準の一部改正について(資料1)(資料2)
3 報告事項
(1) 放送法等の一部を改正する法律案の概要について(資料)
(2) 平成22年度各地方向け地域放送番組編集計画および編成計画について
(資料1)(資料2)(資料3)
(4) 衛星デジタル放送におけるメッセージ運用方法の変更に関する意見募集の結果について(資料)
4 その他
議事経過
1 視聴者のみなさまと語る会(岡山)報告(資料)
(水田経営委員会事務局長)
平成21年度最後の視聴者のみなさまと語る会は、1月23日の午後2時から2時間余り、NHK岡山放送局のハートプラザで開催しました。出席者は、経営委員が小丸委員長、石島委員、深谷委員、執行部が日向専務理事、大西理事、兼本岡山放送局長でした。事前公募により66人から参加の申し込みがあり、当日は34人の方に参加していただきました。参加者のうち年齢が把握できている人の内訳は、30歳代が4人、40歳代が1人、50歳代が3人、60歳代が17人、70歳以上が8人ということで、60歳代以降の参加者が半数以上を占めました。
資料の3ページから具体的な開催内容を記載しています。まず初めに、小丸委員長が「経営委員会とは」「3か年経営計画」「平成22年度収支予算、事業計画」を説明しました。その後、「NHKの放送について」「NHKの経営など全般について」という、2つのテーマでご意見をいただきました。第1のテーマ「NHKの放送について」の主なご意見は、資料の4ページから11ページに載せています。例えば、「ニュースの配分や選び方はどのようにしているのか」「視聴率を意識して番組を制作しているのか」「若年層に向けたアプローチをどうやって行っていくのか」などといった質問や「正しい言葉を使ってもらいたい」「片仮名言葉の多用は控えてもらいたい」など、多岐にわたるご意見をいただきました。次に、第2のテーマ「NHKの経営など全般について」の主なご意見は、11ページから15ページに載せています。組織風土改革、難視聴の場合の受信料、受信料の支払い督促などについてご意見をいただきました。最後、16ページですが、小丸委員長から全体の総括があり、会合を終了しました。終了後は、「鶴瓶の家族に乾杯」制作担当者が番組制作秘話をご紹介する講演を行いました。
17ページに当日の参加者アンケート集計結果、18ページ、19ページに参加者アンケートに記された主なご意見を記述しておりますので、後ほどご覧ください。
新年度は4月10日に松江放送局、4月24日に旭川放送局でそれぞれ開催する予定です。以上です。
(小丸委員長) |
若い方がもう少し参加できるように、いろいろな方法でやっていただきたいと思います。 |
(水田事務局長) |
通常の方法では、参加者の年齢がやや高くなりますので、大学を会場にしたキャンパスミーティング的なものなどを企画しないと若い人の参加はなかなか難しいと思います。今後も検討を続けていきたいと思います。 |
2 議決事項
(1) 日本放送協会放送受信規約の一部変更について(資料)
(大西理事)
資料に基づいてご説明させていただきます。1ページをご覧ください。今回提出しました受信規約の変更は、地デジ難視対策衛星放送に関する暫定措置が主な内容となっています。施行日は、平成22年4月1日としています。本議案についてご審議の上、決定いただきましたら、総務大臣に認可申請を行い、その後、電波監理審議会に諮問、答申を受け、総務大臣認可という手順になる予定です。
2ページをご覧ください。2ページ以降は、一部変更の概要と新旧対照表となっています。一部変更の概要をもとに各項目を説明させていただきます。適宜、新旧対照表の変更案を確認していただければと思います。
地デジ難視対策衛星放送に関しては、対象者を限定した暫定措置であることから、すべて付則で規定しています。付則第3項では、自然の地形による難視地域において特別契約を締結する者が、地デジ難視対策衛星放送が受信できるにもかかわらず当該放送を受信しない場合、衛星契約となる不利益変更を回避し、引き続き特別契約とすることを規定しています。具体的には、新旧対照表にありますように、第1条の特別契約の規定にある、地上系によるテレビジョン放送から地デジ難視対策衛星放送を除くことを規定しています。付則第4項では、地デジ難視対策衛星放送を受信した場合、本則の規定にしたがえば衛星契約になるところを地上契約とするということを規定しています。付則第5項では、種類の異なる2つ以上の受信機を設置した場合や、月に2回以上の契約種別の変更が生じた場合にも地上契約とすることを規定しています。付則第6項では、衛星契約を締結している暫定措置の対象者が、地上契約に変更する場合、放送受信契約書の提出を省略できることを規定しています。これは、地デジ難視対策衛星放送の受信に関する情報については、本人の同意の上、NHKに提供されることになっているため、契約者の負担を軽減するというものです。付則第7項では、受信機を設置した場所が対象地域でなくなった場合、所定の放送受信契約の締結が必要であるということを規定しています。付則第8項では、地デジ難視対策衛星放送は3月11日より放送が開始されるため、新しい放送受信規約の施行前に地デジ難視対策衛星放送を受信した場合、さかのぼって暫定措置を適用した場合と同様の受信料額になるよう、平成22年度第1期の支払額を減額することを規定しています。その他、第1条では文言の略記に伴う変更、付則では施行期日と経過措置に関する変更を行っています。
採決の結果、原案どおり議決。
(2) 職員の給与等の支給の基準の一部改正について(資料1)(資料2)
(八幡理事)
職員の給与等の支給基準については、平成20年4月の放送法改正により放送法第30条の2に定められています。内容は、「協会は、その役員の報酬及び退職金並びにその職員の給与及び退職金の支給の基準を定め、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする」というものです。また、放送法第14条で、基準の変更を含めて経営委員会の議決事項となっています。これに基づき、今回、特に退職年金制度の見直しをしましたので、それに伴った変更を行うものと理解していただければと思います。
資料は、参考ということで「改正内容のポイント」と、別冊として、「職員の給与等の支給の基準」を付けています。今回の基準変更については、別冊の中に赤字で記載しています。6、7、9、11ページが変更点となります。
改正のポイント2つのうちの1つが、専任職の支給基準です。専任職とは、それぞれの業務の専門家として位置づけています。その高い専門性において、組合員ではありますが、管理職と同じく協会を担う職群ということです。NHKには一般職、専任職、管理職という3つの職群があります。専任職は、より高度化する業務に的確に対応するため、平成16年度に新しく制度化したものです。まだ制度開始からあまり期間が経過していないことから、開始当時は専任職の処遇区分マスター級ⅠからⅣまでについて組合と合意しました。決めてあるのはマスター級Ⅳまでであり、実際、現在もマスター級Ⅲまでしか該当の人はいませんが、これから自らの専門性を磨き、専任職としてのステップアップを目指す層に将来の方向を処遇の面できちんと示すために、今回マスター級[までの処遇について労使で合意しました。具体的には、別冊の6ページをご覧ください。今までマスター級Ⅰ、その下にⅡ、Ⅲ、Ⅳとわけて、決めていました。今回、該当者はいませんが、マスター級ⅤからⅧまでを追加します。給与は年俸制になります。そして、7ページですが、マスター級ⅤからⅧに、年俸のほかに住宅補助手当、単身赴任手当を支給することを追加します。
続いて、ポイントの2つ目です。今回の主たる改正項目であります、退職年金制度の見直し等に伴う改正です。今回組合と合意しました、年金制度の見直しの概要について改めてご説明します。資料の「改正内容のポイント」の「退職年金制度見直しの概要」をご覧ください。見直しの概要の1つ目は、確定拠出年金制度、いわゆるDC制度の導入です。平成22年4月1日時点で50歳未満の職員を対象にDC制度を導入して、現行の退職年金制度の4割をDC制度に移行します。なお、この制度については、職員がこの制度に加入するかどうかを選択できる、加入選択制を設けます。それに伴って、見直しの概要の2つ目になりますが、前払退職給与の支給を行います。DC制度への加入選択制の導入に対応した措置で、加入を選択しない者については、法律に基づいてDC制度の掛金相当額を前払退職給与として支給するということです。加入選択制を設けた場合には必要な仕組みです。見直しの概要の3つ目は、現行の退職年金制度の制度利率、支給率の引き下げです。現行の確定給付型制度の制度利率は4.5%でしたが、3.0%に引き下げます。それとともにDC制度への移行が4割あります。なお、今回の制度見直しで、制度利率の引き下げにより各職員は約35%の負担増となり、職員平均で年間6万円から7万円の負担増となります。これについては、別冊の11ページをご覧ください。11ページに赤い字で書いてある部分を追加します。
今回の年金制度見直しによる財政効果について説明します。DC制度への4割移行ということで、平成22年度予算にはマイナス40億円程度のコスト削減効果が見込まれます。これが、これから5年間、同規模で継続すると考えています。6年目以降についてもマイナス10億円程度の効果が継続的に得られると見込んでいます。今後、退職給付債務の規模が減っていきますので、そういう面でかなりの効果が見込めると考えています。また、今回、「職員の給与等の支給の基準」に新たに組み込んだ項目があります。それが、年金の運営に関してという項目と、制度の改廃という項目です。平成22年度予算、事業計画議決の際にいただいた経営委員会からの意見を踏まえて、年金の運営に関しては、少なくとも3年ごとに財政損益の利源分析を行い、年金数理の基礎率、拠出率等の適正を図ることを明記します。制度の改廃については、確定拠出年金を含めた年金制度全体について経済情勢の変動、社会保障制度の変更等を踏まえ、必要に応じて、制度の改廃を実施することを明記します。
以上が今回の支給基準の改正点です。今回の改正は退職年金制度見直しが中心ですが、今後はこれだけにとどまらず、地域における人材の活用など、今後も引き続き公共放送の使命達成に向けた職員のモチベーションや人材確保の観点を踏まえつつ、効率的かつ適正な処遇体系のあり方について総合的な検討を行っていきたいと思います。
(井原委員) |
今ご説明いただきましたように、今後の年金の運営に関してあるいは年金制度そのものについて、年金の財政の検証や経済情勢の変化に応じて検討していくということは非常に重要なことで、そのことを明記されたことは望ましいことだと思います。年金の運営に関して少なくとも3年ごとに適正を図る、また、制度の改廃については必要に応じてとありますが、この適正を図るのかどうか、あるいは必要に応じて改廃を検討する主体はどこになるのでしょうか。また、どういう手続きになるのかを教えていただきたいと思います。 |
(八幡理事) |
実際の年金の資産運用の報告を基に、株価を含めた経済情勢が大きく変わったときは、それに基づいてNHKがきちんと試算した上で、年金委員会に諮る手続きになります。制度の改廃も含めて、年金が、いろいろな条件で本当に最悪になった場合にはどうするのかということもありますので、経済情勢を見ながらNHK本体で試算して、検討して、それを年金委員会にかけて検討していくという手続きになります。 |
(井原委員) |
何分にも不透明な情勢の中で、的確な対応はNHKにとっても職員の方にとっても望ましいことですので、この規定が効果的あるいは的確に動くようにしていただきたいという意味で、あえてお尋ねしました。よろしくお願いします。 |
(八幡理事) |
承知しました。年金については、毎年、決算のところで予算を含めてかなりち密に分析していますので、それなりの影響があれば経営委員会を含めてきちんと報告して、どうするのかを考えるということになると思います。 |
(金田専務理事) |
年金については、よりち密な開示をするということで、この数年も取り組んできていますし、今後も方法の改善に心がけたいと思っています。基本的には通常の企業に期待されるものを開示していきたいと思います。 |
(小丸委員長) |
平成22年度からDC制度の導入ということで、コスト的にはそれが寄与していくと思いますが、実際の積立不足額は3,000億円前後あると思います。どんな事態が起こるかわかりませんし、また、今後の収入見通しの問題など、いろいろな財政の問題がありますので、500日後の完全デジタル化による影響あるいは3か年経営計画終了後の受信料体系のあり方等々を考慮しなければならないと思います。大変だと思いますが、よろしくお願いします。 |
採決の結果、原案どおり議決。
3 報告事項
(1) 放送法等の一部を改正する法律案の概要について(資料)
(金田専務理事)
通信・放送分野におけるデジタル化の進展に対応した制度の整理・合理化を図るため、各種の放送形態に対する制度を統合するなど、通信・放送法体系の見直しの検討が進められてまいりましたが、3月5日に放送法等の一部を改正する法律案が閣議決定され、即日、国会に提出されました。本日はその概要をご報告します。
(今井経営企画局担当局長)
まず、今回の法改正の全体像についてですが、通信・放送関係の法体系全体を見直すということで、8本の法律を一挙に改正または廃止をするという広範囲なものです。本日は、このうちNHKに関係の深い放送法部分を中心にご報告させていただきたいと思います。
現在は、無線放送を規律しているのが、放送法です。それから、有線放送を規律しているのが、有線テレビジョン放送法、有線ラジオ放送法。それに電気通信役務利用放送法があります。これら4本の法律が、改正後は、新放送法1本に集約され、有線テレビジョン放送法、有線ラジオ放送法、電気通信役務利用放送法はそれぞれ廃止となります。
新放送法への集約に伴い、「放送」の言葉の意味が従来と比べ若干変更されています。現在の放送法では、「放送」とは公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信であると定義されています。つまり、放送というのは無線の放送のことを指していますが、新放送法では、有線放送関係の法律を包含しますので、電気通信の送信と再定義されています。したがって、無線・有線を含む広義の放送という意味になります。その上で、この新しい「放送」を、基幹放送と一般放送に分けています。基幹放送とは、地上波、BS、CS110度などですが、使用する周波数を国が優先的に割り当てるような無線の放送を指しています。それ以外の放送はすべて一般放送ですが、CATV、IPTVといった有線もあれば、CS124/128度のような無線の放送もあります。伝送手段を国が事業者のために用意するのではなく、事業者が市場から調達するなどして自ら用意する放送を指しています。
また、放送を行っているのはだれなのかという、放送の主体の概念が今回の改正で変更されています。現在の法律では、放送を行っている主体は物理的に電波を発射する側、ハード側の事業者ということになっています。例えば、地上波では、NHKは自分で鉄塔を建てて、自営設備で電波を発射していますので、放送しているのはNHKということになります。しかし、BSは、NHK自ら電波を発射しているわけではありません。B−SAT社に委託して、NHKのBS放送の電波を衛星から発射してもらっています。この場合、放送しているのはNHKではなく、B−SAT社となります。受委託放送制度といいますが、NHKは放送するようにB−SAT社に委託している事業者であると法的に整理されています。新放送法では、他人に電波発射をしてもらったときも、してもらった側が、つまりソフト側が放送の主体であるということに再整理されています。放送設備は自営設備であっても、他人設備により送信してもらってもよいということで、受委託放送制度は廃止されています。
以上のような基本的な法の概念の変更を前提として、従来、地上波についてはハード・ソフト一致、BSについては受委託放送制度によるハード・ソフト分離となっていましたが、新放送法のもとでは、地上波についても一致か分離かは事業者が自分で選択できる制度となります。地上波でハード・ソフトの分離を希望する場合、ソフト側の認定の手続きと無線局の免許、つまりハード側の免許手続きを、それぞれ事業者を異にして分離して行うことができるということですし、あるいはハード・ソフトを同一の事業者が両方やる場合には、従来どおり、免許手続きだけでよいということになります。なお、BSについては、地上波のように同じ事業者がハードもソフトも行うときに免許だけでよいという制度は設けられていません。若干制度は異なっています。一般的には、以上のように、ハード・ソフト分離と一致についての選択性などが導入されているところですが、特殊法人のNHKについては、NHK自身が一致か分離かを選択できることにはなっていません。地上波は一致、BSは分離でそれぞれ行い、BSについてはソフト側だけということが法律に定められています。
NHKに関する規定は、新放送法ではどのように変わるのかということについてです。基本的には、今回の法改正は法体系の見直しのためで、特殊法人の業務等の見直しは検討の対象になっていませんので、NHK業務は従来のとおり、平行移動することになっています。ただし、NHKの設置目的については若干再整理されています。設置目的とは、大別して3つあります。1番目が国内放送、2番目が、技研の研究開発のようなもので、放送およびその受信の進歩発達に必要な業務です。そして、3番目が国際放送です。これら3つの業務をNHKに実施させることが、NHKをつくった目的になっています。新放送法でも、国内放送については基幹放送、つまり無線の放送ということで従来と変わっていませんが、進歩発達に必要な業務や国際放送は、先ほどの定義に戻りまして、無線・有線を問わない、新しい意味の放送となり、若干対象が拡大しています。例えば、放送技術研究所の研究対象には、放送の受信装置に関する研究もあり得るわけですが、これは無線のための受信装置だけではなく、有線の放送の受信装置でもよいということになります。
また、NHKに関する規定のうち、NHKの統治機構についての規定が見直されています。経営委員会については、経営の基本事項を議決することや、役員の職務執行の監督といった経営委員会の権限や職務、あるいは経営委員会と執行部との役割分担関係について法に定められており、現行と何も変わることはありませんが、新放送法では、経営委員会のメンバーに執行の長である会長が加わることになりました。これに伴い、会長は原則として経営委員会の議決権を持つことになります。例外として、議決に参加できないケースも法で規定されています。当然のことながら、会長の任免には参加できません。それから、委員長は委員の互選で選出されますので、委員長の互選や代行の選任、それから、監査委員も経営委員から任命されますので、監査委員の任免などの人事関係のほか、役員の報酬や服務基準等の議決には参加できないことになっています。もう1点は、経営委員、執行部の役員を含めた、協会の役員の欠格事由が緩和されています。放送用機器のメーカー等の役員等については、現行法では、現にその職にある者だけではなく、過去1年以内にその職にあった者についても、経営委員、会長以下の役員、いずれにもなれないことになっていますが、今回の改正では、現職のままでは就任できませんが、辞すれば就任できることになります。それから、新聞社、通信社等の役員等については、現行法では経営委員と会長以下の役員の取り扱いが異なっており、過去1年以内にその職にあった者は、会長以下の役員だけは就任できないことになっていますが、今回の改正では、会長以下の役員についても経営委員と同様、辞すれば就任できるように要件が緩和されています。これらの統治機構の見直しの趣旨については、総務省からは、執行部の責任者である会長を経営委員会の議決に加えるという理由については、経営委員会と執行部は意思の疎通を一層図って連携し、NHKの適切な運営に一層資するためであると、また、欠格事由の見直しについては、人材を幅広く登用するためであるというような説明を口頭で受けているところです。
また、受信契約の締結義務についての規定が追加されています。現行法は、NHKの放送を受信できる受信設備を設置した方に、NHKとの間で受信契約を締結する義務があることを法律に定めています。例えば、CATVがNHKの放送を再送信して、CATVでご覧になっている場合、どのように取り扱っているのかについては、直接的にはCATVの放送を受信しているとしても、間接的にはNHKの放送を受信できるわけですので、そのような方にも受信契約の締結義務があると解されています。その点、何ら変わりはありませんが、新放送法では、NHKの放送をそのまま同時に再送信する放送については、NHKの放送とみなすという規定を置き、この点を確認的に定めて明確にしています。
また、規制が強化された項目があります。まず、放送中止事故の再発防止等を図るために、重大事故が発生した場合等に、総務大臣への報告義務が新たに定められています。同じく規制強化項目ですが、番組調和原則の適用を受ける基幹放送事業者は、放送番組の種別の基準を定める手続きや種別ごとの放送時間などを公表することが新たに定められています。
最後に施行日についてです。役員の欠格事由については法の公布の日、経営委員会のメンバーの見直し等については公布の日から3か月以内、放送番組の種別の公表等については公布の日から6か月以内、そのほかは公布の日から1年を超えない範囲内において政令で定める日となっています。
法案はこれから国会審議に付されるということですので、新放送法がこのまま成立すると、施行日ごとにそれぞれ対応することになります。NHKでいいますと、定款の変更など、諸規程の整備が必要となってまいります。
(小林委員) |
まず手続き論について意見があります。今般の放送法の改正はNHKの統治機構、いわゆるガバナンスの変更、経営委員会のあり方の変更をもたらす内容を持っており、NHKおよび経営委員会の実状を十分調査して行われるべきものであると考えます。しかし、今般NHKおよび経営委員会の実状についての調査、また、それに伴う意見聴取などが十分に行われたのか、疑問なしとしません。少なくとも経営委員には意見を求めることなく、今般の政府の改正案が示されたことは、経営委員として残念に思っています。NHKおよび経営委員会のガバナンスを向上させるために検討すべきポイントは、実際、経営委員として活動している経営委員が最も認識できる立場にいるわけです。そういう意味で経営委員会、経営委員等でそのポイント等を検討し、必要があればその内容を立法担当者に示すことも経営委員としての責任であると考えています。また、私は弁護士としてこれまで多数の会社のガバナンスについてアドバイスをしてきた経験、また、NHKの経営委員としてこの3年間、NHKのガバナンスの実状とその欠点等を見てきた経験等に照らして、NHKのガバナンスにおいて改善すべき点がそのほかにも多々あると考えています。内容について若干お話ししますが、まず会長を経営委員会のメンバーに加えるということについてです。本来、経営委員会で討議すべき事項を経営委員会の場ではなくて、いわゆる経営委員の意見交換と称する場で行っていることについて、私は以前から問題なしとしないということを指摘してきたところですが、会長が経営委員会に加わるということによってその状況が改善されて、経営委員会が活性化するということになると思います。その意味で、この改正の内容は正しい方向性を持っていると思います。しかし、今のNHKのガバナンス上の問題点として、執行権において会長の権限が突出しているということも見過ごすことができない点だと考えています。それへの手当てなく会長を経営委員会のメンバーにすることは、会長の権限のさらなる強化につながり、NHKのガバナンス上必ずしも適当だとは思いません。つまり、今のNHKは執行権をすべて会長が持っており、執行部の一員といわれている理事、副会長の権限は、会長から与えられた執行権の一部を行使しているにすぎないというものです。また、理事の合議体である理事会の権限も弱い上、その権限の範囲は不明確であり、その期待に十分応えられているとはいえません。そのため、このような点を改善すべきだと考えております。具体的に言えば、副会長、理事の任免を会長と同様に経営委員会で行うことにする。理事会の決議を要する事項を法定化するなどによって、理事および理事会の権限の強化および明確化を図り、それにより執行権行使についての執行部間でのチェック機能、けん制的機能が持てるようにするなどを検討すべきだと考えます。また、あわせてNHKのガバナンスのあり方として、会長を経営委員会のメンバーにし、今後も経営委員会にNHKの経営方針など、経営に関する重要事項の意思決定権限を与え続けるという方向をとるのであれば、経営委員会がそれに十分に応えられるようにするために、NHKの実状、放送および通信に関する知識を十分に持つ経営委員の比率を上げ、かつ、その人選の透明性、適正性をより高めるように工夫する必要があると考えています。さらに、多種多様の専門家、地域代表的な方の意見を参考にして、経営することを求めるのであれば、その目的に沿う機関を別個に創設するなども検討すべきと考えます。とりあえず意見はこのとおりですが、ぜひ、法律および経営委員会規則に反しない範囲で、私は反しないと思いますが、議事録に記載していただきたいと思います。以上です。 |
(大滝委員) |
会長が経営委員会のメンバーに入られるということは好ましいことだと思っています。要するに、ガバナンスの機関と執行の機関を完全分離するということについてはいろいろ問題もありましたし、今も、いろいろな意味での齟齬(そご)やコミュニケーションの不全などがあります。われわれ自身にもいろいろ問題があるのかもしれませんが、執行部が理事会の中でどういう議論をしているのかということもよくわかりません。監査委員会ができて事態は随分改善されてきているとは思いますが、そういう状況だと思っています。私は、もっとオーバーラップする部分があっていいのではないかと思います。ガバナンスの機関である経営委員会と執行部との間に、のりしろのような部分がもう少しあってもいいのではないかと思っています。また、経営委員会の中で何がどこまでできるのかということについては、いろいろ議論があると思いますが、経営委員会の中で少しそういうことについて、特にガバナンスをどうやっていったらいいのかということについては、少し時間をとって議論したほうがいいのではないかと思っています。 |
(小林委員) |
NHKにおいて、理事会が議決機関となっていないことを問題だとする見解がありますが、私も同感です。今のNHKのガバナンスはすごく特殊で、日本にひとつしかないものですが、その参考になるのは株式会社の委員会設置会社だと思います。放送法が改正されて、今のガバナンスのシステムをつくったときに、NHKのガバナンスは委員会設置会社に近いものになったと言われましたが、根本的に違うところがあります。NHKの理事、株式会社で言う執行役の選任は、株式会社の委員会設置会社では取締役会で行っています。そのために、委員会設置会社の執行役は、代表執行役である社長とほかの執行役が同列として、並立の存在として自由に討議しています。また、その会議である執行役会議は、事実上重要な議決機関となっています。それにより、執行部の内部でけん制的機能を持つことができています。今話したようなガバナンス、すなわち理事とか副会長または理事会にそのような権限を与えることになったら、経営委員会の役割は今と変化して、ある部分の権限を理事会等に委ねるとか、そういう方向性もあると思います。このような全般的なガバナンスの問題を一度、実際に経験している経営委員から、実状を立法担当者に聞いていただいて、立法担当者にはいいガバナンスをつくるように目指していただきたいと思います。いろいろなバリエーションがあると思いますから。 |
(石島委員) |
これは技術的なレベルの話だと思いますが、通信と放送の融合ということについては、今回は放送法の整備に限定されていて、通信・放送の一本化の話にはまだ踏み込まれていないと考えればいいのでしょうか。IPTVなどが入ってくると、そこの境界はかなりぼけてくるので、その辺は今のところ、どのようにとらえているのでしょうか。 |
(今井担当局長) |
今日は新しい放送法に限定してご説明を申し上げましたが、通信関係等の法律もあわせて変更にはなっています。例えば、放送用の無線でも、事後、一部を通信用に変更して使用することができる制度なども新たに設けられており、融合にふさわしいような措置はそれぞれとられてきています。 |
(石島委員) |
多分、今の受信料体系もそうですが、そういうところに将来の技術動向みたいなものが微妙に影響するような気もしますので、念のため伺いました。 |
(2) 平成22年度各地方向け地域放送番組編集計画および編成計画について
(資料1)(資料2)(資料3)
(日向専務理事)
資料の「平成22年度各地方向け地域放送番組編集計画」は、1月に経営委員会でご承認いただきました国内放送番組編集の基本計画をもとに、各局が拠点局の方針のもとに作成して、各地方の放送番組審議会に諮問、答申を得たものです。拠点局ごとの基本方針と各局が取り組む重点事項で構成されています。そして、資料の「平成22年度各地方向け地域放送番組編成計画」は、その基本方針に基づいて具体的な編成、それから個別の番組名、放送時間、地域放送の時間について記述したものです。国内番組の編集計画については、金曜日の夜間の指定ローカル枠、ローカル番組をここで放送してくださいという枠が1つ加わりました。そして、全国放送枠で地域発の番組を増やしていくということが主なものです、地域放送に関しては、3か年経営計画の経営方針では、「地域を元気にする拠点になります」ということ、それから、「放送と通信を融合した新サービスを行う」ということに合わせて、基本的に各局とも、地域の課題や地域の活性化に取り組みます。防災、選挙報道に全力を尽くします。地域の文化の振興、全国発信というようなことについて、共通して各局とも重点事項、基本方針に掲げています。共通して言えるのは、金曜の夜間が指定ローカル枠になったことに伴って、金曜夜間の充実・強化をうたっています。主なものをご紹介しますと、地域を元気にするということで、キャンペーン等の取り組みが各局で行われています。例えば、北海道では、これは今年度も行いましたが、北海道の魅力を全国に発信する、それから道内にも伝えるということで、「まるごと体感!北海道」というキャンペーンを行っています。東北地方では、高校生を中心とした、それぞれ地元産の食材を使った料理のコンテスト「おいしい東北闘技場」を行っています。そして、全国放送でも今、自殺防止キャンペーンをやっていますが、それに連動して自殺防止キャンペーンに取り組むというようなことをあげています。中部地方では、COP10という生物多様性条約に関する会議がこの秋に名古屋で行われますので、それに関連したキャンペーンを展開していきます。近畿地方では、平城遷都1300年という年ですので、それにかかわるさまざまなイベント、番組を展開します。さらに、大阪が上海と姉妹都市になっていますので、上海万博についても力を入れていきます。中国地方では、岡山放送局で子育て支援、山口放送局で交通事故防止キャンペーンを展開します。四国地方では、これも今年度からやっていますが、「ドラマチック!四国」キャンペーンと、地域の課題に解決策を見いだそうという、「四国選択会議」を来年度も継続してやります。
また、地域の文化振興その他についても今回はいろいろ出ており、例えば東北では、柳田国男の「遠野物語」という、発刊して100周年ということらしいですけど、それの記念ドラマを作ることを計画しています。中国地方では、各地に残されている伝統芸能、特に神楽を収集します。これは宮崎放送局でも同じような提案がありました。これらは、3か年経営計画にも明記されましたが、「新日本風土記」をやっており、それと連動した企画です。それから、九州地方では、そのほかに若者向けの歴史バラエティーをやることも計画しています。
また、放送・通信融合時代の新サービスということでは、これも今年度やっていますが、特に関東の南3局、横浜、千葉、さいたまは、テレビの電波を出していませんので、インターネットを介して、ニュースその他についてのサービスを引き続き強化します。名古屋放送局では、生活情報のミニ番組をウインドーにして、そこで紹介したものを連動型のデータ放送、それからPCや携帯サイト向けに詳細情報を提供するという計画もあります。鹿児島放送局では、雨が降るとデータ放送で強制的に画面に表示するという機能がありますが、その機能を利用して、今、桜島が1年間に500回以上噴火しているということで、桜島の噴火情報をデータ放送でサービスするという企画もあります。
また、今年度、目立つものをご紹介します。インターローカルと言いまして、各局それぞれ独自の番組を作ったり、ブロックごとにいろいろな企画がありますが、その壁を越えて、例えば、札幌と福岡がそれぞれの南と北のいいところを比較し合うような番組を、札幌だけではなく、福岡でも放送するという企画があります。また、先ほど申し上げた、東北地方でやっている「おいしい東北闘技場」に、札幌、福岡が参加して、いずれは全国的なイベントに育てていくような、各局が連携してサービスを行う動きも大分出てまいりました。
それから、今申し上げたように、ローカル放送の枠は決まっていますが、それ以外に、例えば北海道では、金曜日の午後10時台に全国放送では「世界ふれあい街歩き」という番組をやっていますが、この時間帯をローカル地域放送の枠にして、北海道ブロックの中で放送されたいい番組をここで放送するとか、名古屋では、「めざせ!会社の星」という教育テレビでやっている番組がありますが、これを同じ金曜日の午後の10時台に先行放送します。また、ブロックを越えて岡山放送局が大阪で放送している「ルソンの壺」という番組がありますが、これを金曜の午後8時台に放送します。各局の独自性を発揮するという意味でも、こういう自主編成の試みが1つの方向であると思います。こういう試みもいくつか出てまいりました。
それから、首都圏については、先ほど申し上げたように、テレビの電波を出していませんが、“3-Screens”の展開を拡充するということと同時に、FM放送を再度見直して、充実・強化をしていきます。横浜放送局、前橋放送局、さいたま放送局その他については、新しい番組を新設するという企画もあります。
個別の番組名、どの時間帯にどういう番組を放送しているのかということが、「平成22年度各地方向け地域放送番組編成計画」の13ページから表になっていますので、あとでご参考にご覧いただければと思います。
また、それぞれの地域放送の時間については、ほぼ前年度並みです。全局平均で、総合テレビが3時間14分、ラジオ第1が2時間56分、FMが2時間5分となっています。これは計画値であり、実績値はこの時間を上回ることが通例です。なお、今年度の実績値は3時間を超しています。
(野間委員) |
NHKを見させていただきましても、地域放送が本当に充実してきたということが感じられ、とてもうれしく思っております。今、日向専務理事からご説明がありましたように、各局が連携して、その地域間のネットワークを充実させたり、甲府放送局や神戸放送局のように、ほかの団体と連携や共催させたりして、非常に幅広くなってきて、地域局が視聴者にとって身近な存在になる方向になってきて、うれしく思っております。前から申し上げていることですが、地域局の要員についてお話しします。近畿の3局、大津放送局、奈良放送局、和歌山放送局については、他の地域の放送局と比べて少人数の体制となっています。昨年、和歌山放送局はニュースデスクが2名だったところが3名になりましたが、大津放送局と奈良放送局はまだ2名体制で、非常に厳しい状況と伺っています。特に、奈良放送局は今年、遷都1300年であり、いろいろなイベントが多くあります。2年半前から申し上げていますが、地域の状況を踏まえた体制を作っていただきたいと思います。私は近畿の代表で来ていますので、もう一度要望させていただきます。 |
(八幡理事) |
21年度は津放送局と和歌山放送局において取材デスクを3名体制としました。近畿など広域放送の地域でのデスク体制は、22年度も順次3名化を進めていくことにしています。 |
(野間委員) |
アナウンサーについてもその3県は3名です。他の地方局はもっと多いと思います。地域放送番組の時間数から見ても、その3局は随分頑張っています。来年からデジタル化される中で、各地方局が独立してやるときに、できましたら同じレベルにそろえていただきたいというのが私の要望です。 |
(日向専務理事) |
例えば、北海道では、アナウンサーや記者を札幌放送局に集約して広域運用しようとしました。それぞれのブロックごとに考え方があると思いますので、全部一律に決めるのはどうかと思います。したがって、それぞれの局が、「放送局のちから」と私どもが言っている、ある種の独自性や存在感を発揮するときの方法論として、どういう運用のしかたをするのかということは、それぞれの拠点局、ブロックごとに考えを示していくべきだと思いますので、一律ですべての局は、何名いなければならないなどと決めるのはどうかとは思います。いずれにしても、現実の業務の上で、こういう業務があるのに人がいなくて困っているという場合は、解決していかなければならないと思いますので、その辺は分けて考えるべきと思います。 |
(野間委員) |
日本全国の中でいえば、北海道は他の地域と比べにくいと思います。それ以外の日本の地方局と比べて格差が大きいということは、視聴者サービスの不公平になるのではないかと思います。どういう体制が一番理想的なのかということはもちろんあると思います。拠点局を中心にしてというお話もありましたが、今、奈良放送局は先ほどお話ししたような状態ですので、なるべく配慮していただきたいというのが要望です。 |
(井原委員) |
地域放送の充実は、全国各地域からの期待が本当に大きいものがあります。今回ご報告の計画は、それに応えようという意気込みで、各放送局が検討されたものとお聞きしました。ぜひ頑張っていただきたいと思うところですが、それに対して1点、お尋ねとお願いがあります。まず、お尋ねですが、予算審議の際に、地域放送サービスの充実の具体的なものとして、総合テレビ金曜夜間の番組の充実や土曜午前の地域放送ゾーンの拡充をあげられていたと思います。前者については、編成計画の編成の要点の中で、文字どおり明記されていますが、土曜午前の地域放送ゾーンの拡充は、そのほかの地域放送番組の編成の中に入っていると理解すればよいのでしょうか。 |
(日向専務理事) |
放送枠として、ローカル放送をここでやってくださいという指定ローカル枠以外に、例えば、札幌では日曜日の午前中に、全国ネットを受けないで、自主番組を放送するという自主編成の枠を設けていますし、近畿管内では、日曜日の午前中に独自の編成をやって、それとは別に、土曜日にローカル放送の枠があります。新作の番組をやっているところもありますし、再放送の枠として使っているところもありますし、それはいろいろです。 |
(井原委員) |
あえてそれを申し上げたのは、土曜日の枠の拡充を図るということを、平成22年度の予算審議のときにご説明いただいたので、それがもっと明示的に、この編成計画の中にあらわれたらよかったという思いからです。要するに、自主番組の枠の柔軟化も含め、その他という中に入り込んでしまっているので、そのあたりを少し強調してほしかったということでお尋ねしました。次に、お願いというのは、「放送局のちから」の部局目標をお出しいただきますが、そのときに、今回多面的にご検討いただいている放送の計画は、当然、連動するものですし、実際にはもうご検討いただいているとは思いますが、「放送局のちから」として効果的に取り込んでいただきたいということです。番組編集は編集としてのみの扱いにならないように、十分にご配慮いただきたいというのがお願いです。 |
(塚田理事) |
「放送局のちから」は今、各部局で、部局ごとの議論をしながら固めています。放送やさまざまなイベントとか、“3-Screens”とか、いろいろな形で各局が、どういうものを次の1年間進めるのかお示しできると思いますので、もう少し準備に時間を下さい。 |
(勝又委員) |
「視聴者のみなさまと語る会」では、ローカル番組が新しい意欲的な番組に押されてなくなってしまって寂しいというお話が結構あります。今回の報告は、ローカルのものと全国のものとが体系的にわかりやすくなったと思いますので、各地域のそれぞれの視聴者の方のご意見を受け止めて、それを各地域で、このようになりましたということを、できるだけ丁寧に説明していただく必要があるのではないかと思いました。 |
(日向専務理事) |
番組審議会はブロックごとにしかありませんが、各局とも、視聴者会議など、いろいろな似たような会をつくっていますので、その場でそういう打ち返しをするようにしています。こちらからも注意喚起をしたいと思います。 |
(3) 土地の売却について(資料)
(金田専務理事)
1億円以上5億円未満の物件は、経営委員会に報告することとなっています。それに基づきましてご報告申し上げます。
売却物件は、大阪、旧豊中寮の跡地です。大阪府豊中市上野西1丁目の土地965.62m2を1億9,600万円で売却するもので、平成22年3月8日に売買契約が締結されました。売却益は1億9,206万円となります。
(4) 衛星デジタル放送におけるメッセージ運用方法の変更に関する意見募集の結果について(資料)
(大西理事)
衛星デジタル放送におけるメッセージについては、現在、受信機を設置した方に対して設置確認メッセージを表示しておりますが、この設置確認メッセージの消去連絡をいただいたあと、お留守等でご契約いただけない方に対して、新たに契約案内メッセージを表示するという運用方法の変更について意見募集を実施しました。意見募集の期間は平成22年1月26日から2月8日までの2週間、NHKのホームページに募集要項等を掲載し、メール、郵便、ファクスで募集した結果、95件のご意見が寄せられました。ご意見の内容としては、NHKの考え方を支持するご意見がある一方、現行の設置確認メッセージの運用改善やスクランブル化を望むご意見等、さまざまなご意見が寄せられました。こうしたご意見に対してはNHKとしても説明できる範囲であることなどから、実施内容の骨格を変更する必要はないと判断し、メッセージ運用の変更を22年度中に実施すべく準備を進めるとともに、今回の意見募集でいただいた個別の指摘につきましては、今後の運用の中、その趣旨の反映に努めてまいりたいと考えております。
今回の意見募集に寄せられた主な意見と、それに対するNHKの考え方を5項目で整理しています。公平負担のために実施すべきという賛成のご意見については、NHKの考え方を支持するものとして承ります。メッセージの表示面積、位置、時間を工夫すべき等の運用の工夫に関するご意見に対しては、今後の届出状況を踏まえ、必要に応じ適宜見直すなど、今後の運用にその趣旨の反映に努めていくことをご説明します。スクランブル化を望むご意見に対しては、公共放送の財源は受信料がふさわしく、スクランブル化は公共放送の理念と矛盾するため、実施しないことをご説明します。現行の設置確認メッセージの運用改善に関するご意見に対しては、メッセージの仕組みについての周知徹底や、契約者に負担がかからないよう事前消去の徹底や消去体制の整備に引き続き努めてまいりたいということをご説明したいと思います。メッセージシステムの廃止に関するご意見については、メッセージシステムは衛星デジタル放送における受信機の設置把握と契約を効率的かつ効果的に実施する有効なシステムであることから、公平負担の徹底のため、運用方法の改善を図りながら、引き続き運用していくことをご説明申し上げたいと思います。
次に、意見募集の結果の公表についてご説明します。意見募集の公表内容については、意見内容に沿ったご意見は要約し、共通するカテゴリーのご意見に対して一括してNHKの考え方を付記した上で、NHKのホームページで公表します。公表日時は本日の経営委員会終了後、17時を予定しております。なお、寄せられたすべてのご意見は個人情報にかかわる部分を除いた上で、各局のNHKハートプラザに据え置き、閲覧可能とします。周知の実績としては、期間中、NHKのホームページのトップページに募集について案内を常時掲載したほか、スポットや「三つのたまご」での放送等、その周知に努めてまいりました。なお、メッセージの運用方法変更は、放送受信規約の変更が必要になります。今後準備を進め、変更する段階で改めて経営委員会でご審議していただきたいと考えております。
4 その他
(1) 平成22年春季交渉について(資料)
(八幡理事)
組合は、この春の交渉について、3月4日の木曜日に、組合の中央委員会で協会が提示した22年度の業務・要員体制等に対する組合方針を決定して、3月5日の金曜日に協会に申し入れてきました。組合は平成15年度秋季交渉からベア要求を掲げていませんが、今年についても現在の協会の置かれている厳しい状況を踏まえて、処遇の要求は掲げていません。
平成22年度の業務・要員体制に関して、組合は、3か年経営計画に基づく取材・制作現場等への経営資源のシフトについて、要員数と業務量のバランスを検証するとしています。特に、組合は、営業職場や技術職場に関して課題意識を持っていますので、業務の見直しの中身や今後の業務体制について現場の実態に即して説明をしていきたいと思っています。次に、平成16年度に始まった専任職制度の新しい制度を今日説明しましたが、マスター級ⅤからⅧの上位者についてはまだ職員はいませんが、その役割や働き方について組合は議論を求めています。最後に、地域限定型職員制度についてです。地域限定型職員は、これまで道府県を単位とした配置を基本に、今検討しているところですが、放送局、関係部局等の意見を踏まえて、もう少し広い地域を含めたそれぞれの単位を考えた形で、採用、異動を行う方向でさらに検討を進めていきたいと考えています。あわせて、地域からの採用増、放送局体制の整備、拠点局長への権限委譲と地域に貢献する施策について総合的に検討を進め、できるものから順次実行していきたいと考えています。組合とは放送・サービスの向上、そのための人材のあり方などを含めて議論を行いたいと考えています。
交渉スケジュールは、3月24日の水曜日から26日の金曜日までの予定です。交渉の結果については改めてご報告させていただきたいと思いますが、組合との労使交渉を通じて、経営目標達成に向けて全職員が一丸となり取り組めるように、協会の考え方を説明して、一層組合の理解と協力を求めていきたいと思っています。
(小丸委員長) |
地域限定型職員制度の導入は、いろいろな意味で、コスト改善効果をもたらしますので、そういう効果的な施策は早目に対応していただきたいと思います。あわせて、単身赴任者のいろいろな家庭的な事情があると思いますので、そういったものも考慮しながら組合ともよく話していただいて、真にNHKがよくなるように努めていただきたいと思います。 |
(安田委員) |
先日、私はエジプトに行っておりまして、NHKのカイロ支局もたずねてまいりました。場所は非常にいいところにあるのですが、驚きましたのは、予想外に古い建物に入っていて、扉のないエレベーターで8階まで上がっていったところにありました。これがNHKのカイロ支局のオフィスかと思うようなところで、一生懸命皆さんは仕事をされておられました。特にカイロは現在大気汚染が激しくて、渋滞が激しいところであり、働いている方々の健康管理も今後は大変重要な問題になるのではないかと思いました。予算が厳しい折、海外まで回らないというお気持ちは十分あると思いますが、世界戦略ということを考えたときには、こういった海外の支局のあり方にも、もう少し気を配っていただければという感想を抱きました。 |
(小丸委員長) |
最後に私のほうからお願いがあります。経営委員会といたしましては、24年度から始まります、受信料の還元方法について、今後、いろいろと議論を進めていくことになりました。執行部には、それにかかわる資料を依頼していくことになりますが、ぜひ前向きな方向で考えていっていただきたいと思います。 |
(福地会長) |
ぜひお願いします。仮に、年間の受信料収入が今の6,500億円程度だとした場合、10%の650億円を還元すると、それを差し引いて5,850億円になるわけですね。収入規模が何年前に逆戻りするのかと思ったら、10数年前に逆戻りします。その当時の放送のあり方はどうだったのか。衛星放送はありましたけれども、ハイビジョン放送は実用化試験放送が始まったばかりでした。インターネットや携帯端末などの多様なメディアを使った“3-Screens”展開はもちろんありませんし、NHKオンデマンドもありません。テレビ国際放送はようやくスタートした頃です。そういった世界に逆戻りするような収入規模でやっていかなければなりません。いろいろな資料を出しながら、お知恵を借りながらやっていきたいと思います。 |
以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認する。
平成22年3月23日 |
小 丸 成 洋 |
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井 原 理 代 |
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