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第1094回
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平成21年5月29日(金)公表

日本放送協会第1094回経営委員会議事録
(平成21年5月12日開催分)

第1094回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1094回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成21年5月12日(火)午後 3時15分から午後4時40分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  小 丸 成 洋 岩 崎 芳 史 石 島 辰太郎
    井 原 理 代   大 滝 精 一 勝 又 英 子
    桑 野 和 泉   小 林 英 明 飛 田 稔 章
    野 間 光輪子   深 谷 紘 一 安 田 喜 憲
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  福 地 会 長 今 井 副会長 金 田 専務理事
  日 向 理 事 永 井 理 事 大 西 理 事
  今 井 理 事    

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室

 

<議   事>

 経営委員意見交換を実施。続いて、経営委員会事務局員の評価および経営委員会事務局人事について同意。その後、小丸委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1075回経営委員会(平成20年8月19日開催)における次期経営計画に関する部分の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成21年5月15日に公表することを決定。

 

付議事項

1 執行部からの業務概要説明聴取

 

2 「NHK視聴者サービス報告書2009」の発行について(資料)

 

 

議事経過

 

1 執行部からの業務概要説明聴取

 (小丸委員長)
 福地会長から報告はありますか。
 (福地会長)
 新型インフルエンザの問題についてお話しします。連休前から世界的に広がっていた新型インフルエンザの感染が、日本でも4人発生しました。NHKでは、ニュースや番組、解説で新型インフルエンザについていろいろと放送しており、5月1日には特別番組を放送しました。ウイルスの正体や薬、ワクチン、どうすれば身を守れるのかといったさまざまな面から情報を出しました。今後もそうした情報をわかりやすく冷静に伝えていきます。NHK内部の対応ですが、新型インフルエンザ対策本部を鳥インフルエンザのときからずっと継続して設置しています。今回の新型インフルエンザに対しては、4月28日、5月1日、5月12日とすでに3回、新型インフルエンザ対策本部を開催して対策を協議しています。現在は世界保健機関(WHO)や国の対策本部の情報を注視しながら適宜判断していくことにしています。NHKの場合、報道、職員、そして放送体制という3つの課題がありますし、さまざまなイベントなど人が集まる行事がたくさんあります。そうした各種行事について、NHKが率先して休止を打ち出したりイベントを中止するといった過剰反応はしません。行政の要請や呼びかけを重視しながら開催するが、要請があったことはきちんと守っていくという体制で進めていくことを確認しています。
 (小丸委員長)
 私からお聞きします。4月28日にNHKに対して出された放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会の意見と、NHKスペシャル 「シリーズ JAPANデビュー 第1回 アジアの“一等国”」への反響について、ご意見等がありましたらお話しください。
 (福地会長)
 それでは、まず私からお話しして、その後、日向放送総局長からお話しします。BPOについては、大きく問題とされたのは政治との距離の問題です。NHKは当初から一貫して、政治家からの圧力によって番組を改変したことはないと主張しています。私はそのとおりだと信じています。ただ、意見書の中で誤解を受けるような行動について指摘されています。これについては今後きちんと守っていかなければなりません。ただ、あつものに懲りてなますを吹くようなことがあってもいけません。政治との距離というのは、物理的な距離ではなくペンの距離だと思います。ジャーナリストがさまざまな方と接触せずに記事を書いたら私が言う現場主義と相反することになります。新採用者の入局式のときも、「ジャーナリストというのは、自分の目で確かめ、自分の耳で確かめ、自分の手で確かめ、自分の足で確かめ、自分の体で体感するように。それがジャーナリストだ。私の言う現場主義だ」と話しました。「あつものに懲りてなますを吹くようなことにならないように。しかし、ペンの政治との距離は画然としていくべき」といった言い方をしています。一方で、編集権、番組編集の自由は、不偏不党の立場を守ることで担保されるものだということを、新入職員にも報道担当にも、また、放送局長会議でも、あらゆるところで繰り返し言っています。そういったペンの距離が画然としているという姿勢が大事だと考えています。BPOから出された意見に対するわれわれの回答は放送総局を中心に作ります。それは日向放送総局長からお話しします。台湾の問題については、この問題を先にお話ししたあとにお話しします。
 (日向理事)
 BPOの放送倫理検証委員会の決定がありましたので、NHKとしては、公式な見解をまとめてBPOあてに提出することにしています。それはまだ少し先になると思いますが、今、会長が申し上げたような内容になると思います。まず、BPOからの質問に対して私どもが回答していたのは、「NHKが国会議員等に対して説明することについては、完全にゼロというわけにはいかない。説明は国会担当の担当者が基本だが、放送の現場の人間が説明に行ったほうが合理的な場合は、その限りではない。ただし個別の番組の事前説明については誤解を招くおそれがあるので留意していきたい」ということでした。それについてBPOの見解では、放送・制作部門と国会対策部門をきちんと分離すべきというご指摘です。ただ、8年前からそうしているのですが、現実には、放送関係の役職員は、予算の説明も含めて、国会議員等に対する説明は一切していません。もちろん、個別の番組の事前説明もしていません。将来にわたって少なくとも個別の番組説明はしないということは異論がないところですので、それは明確にもう一度きちんと答えたいと思います。ただ、会長も少し申しましたが、当然、取材の延長線上や、国会議員が出演者になるなどさまざまなケースがあります。BPOがそういった点まで排除するようにということを言っているとは思いませんが、そうしたことはこれからもあります。また、「字幕放送について、今、NHKはこのようなことを考えている」といったことや、個別の番組ではありませんがやや専門的な部分については、国会担当の職員が説明すべきで放送現場の職員はまったく説明できないと排除することはできないだろうと考えます。BPOには、そうした合理的な理由がある場合には、放送関係の担当者の説明を完全には排除しませんという答え方をしていました。そうした考え方から、国会議員等への説明を基本的に一切しないということは合理的ではないと思います。今、問題となっていて、一番誤解を招きやすい、個別・具体的番組の事前説明は一切しないということについては、BPOの指摘もありますので真摯(しんし)に受けとめ、あらためてそういうことをはっきりと申し上げたいと思います。また、BPOの見解の中で、BPOの業務そのものに関係する部分があります。その点については少し意見を述べさせていただきたいという思いがあります。例えば、今回のBPOの意見では、番組について、公平・公正を重んずるあまり、機械的に公平・公正を追求して質の追求を怠ったとか、非常に散漫な番組であるという評価をしています。もちろん番組の評価は、個々人やさまざまな組織で自由にしていただいて構いません。そうした中、一般論としてですが、BPOという組織が、どういう根拠で誰が番組の質を評価するのかというところまで踏み込んでいるようなところがあります。その点については、BPOの役割自体にやや疑問が生じるところがありますので言及したいと思います。また、検証番組についてですが、この場でも以前に申し上げたとおり、NHKの公開ホームページであれほど詳しく取材の過程を公表したことは今までありません。編集のプロセスについて疑義があったため、あえてそれについて説明しているのですが、基本的に、放送された番組の結果、内容について公平・公正の観点で問題があるというような指摘が具体的にあった場合はきちんと検証しなければならないと思います。しかし、それがないままに編集のプロセスを公表することは、先ほどから問題になっている放送の自主自律に非常に密接に関係していることですので、今はそれをあらためて行う必要はないと考えています。
 今度のETVの件では、明らかに政治との距離ということが明確に問題として出ています。それははっきりしていることですので、それについてわれわれがどのように考えるのかということをきちんと視聴者に伝える義務があると思います。編集のプロセスの検証番組は、そういう問題があったので作るようにという意味だと思いますが、その点については、今までのわれわれの主張のとおり、そこに重大な瑕疵(かし)があったとは認識していませんし、検証番組は考えていないと申し上げています。再放送についてですが、この番組は、BPOの組織である「放送と人権等権利に関する委員会」(BRC)に出演者が訴えたというか問題提起をして、人権の配慮上問題があったという認定を受けています。それをそのまま放送することは問題があるということで再放送は控えている状態です。

 (小丸委員長)

 福地会長も日向理事も、政治家等に対して放送前に番組制作の担当者が番組の内容を説明したり、その是非を問うようなことは、視聴者のみなさんからNHKの自主自律についての疑いを持たれ、また、NHKの信頼を損ねるおそれがあり、あってはならないと考えていると思います。今後、このようなことがないようによろしくお願いします。

 (小林委員)

 BPOの決定は非常に重要なものだと思いますし、意見書を詳細に読ませていただきましたので、意見を述べさせていただきたいと思います。私はこのETV2001「問われる戦時性暴力」の問題は、3つの問題点に分けて考えるべきだと思います。1つ目は、「放送の取材協力者が持つ期待が法的保護の対象となるか否か」という問題です。これは編集権の帰属主体がどこにあるのかという問題と密接に結びついている問題です。2つ目は、「当該番組についてNHKに圧力をかけた政治家がいたか否か」という問題です。3つ目は、「当該番組について、NHK内部の問題として、自主自律を堅持したか否か」という問題です。まず1つ目の、「放送の取材協力者が持つ期待が法的保護の対象となるか否か」という問題ですが、当該番組について、昨年6月2日に出された最高裁判決は、「取材協力者が持つ期待は、原則として法的保護の対象とはならない」旨を判示しました。また、「放送事業者がどのように番組を編集するかは、放送事業者の自律的判断に委ねられており、番組の編集段階における検討により最終的な放送の内容が当初企画されたものとは異なるものになったり、企画された番組自体放送に至らない可能性があることも当然のことと認識されている」とも判示しています。「放送局の現場の人々に編集権がある」という考え方が一部にありますが、仮に「放送現場に編集権がある」とするならば、「放送事業者がどのような番組編集をするのかは、放送事業者の自律的判断に委ねられている」とか「最終的な放送が当初企画されたものとは異なるものになったり、企画された番組自体放送に至らない可能性があることも当然のこと」とは言えないことになります。つまりこの最高裁判決は、このような考え方を否定し、「編集権は放送現場に帰属するものではなく、放送事業者、すなわち法人たるNHKに帰属している旨を明らかにした」と解釈できるものです。法人たるNHKに編集権が帰属することになると、NHKの業務の執行権限は会長が有しているため、編集権の執行権限は会長に帰属することになります。最高裁の判決によって、1つ目の問題は決着したと言えます。次に、2つ目の、「当該番組について、NHKに圧力をかけた政治家がいたか否か」についてですが、この問題は、大手新聞社が、「当該番組の放送の前日に政治家がNHKの幹部を呼び出し、放送内容に圧力をかけた」と報道したことに端を発した問題です。しかし、その後、当該政治家が放送前にNHKの幹部を呼び出した事実がないことが明らかになり、大手新聞社の上記記事が真実でなかったことが明確になりましたので、事実上、この問題も決着したと言えます。3つ目の、「当該番組について、NHK内部の問題として、自主自律を堅持したか否か」についてですが、この問題は、前の2つの問題点とは区別して考えられます。BPOの放送倫理検証委員会(以下、「検証委員会」と言う。)が今回、審議を開始し決定を出したのも、この問題は前の2つの問題点とは区別して審議できると判断したことによると思われます。検証委員会の決定として出された本年4月28日付「意見」についてですが、この「意見」に記載されたものの中には納得できる点と違和感を覚える点の双方があります。まず、納得できる点について述べます。それは、「NHKは視聴者へ丁寧な説明をすべきである」という指摘です。検証委員会は、「国会担当の幹部が、当該番組の制作・放送の過程、特に修正された過程に関与していたこと」を問題視し、NHKの自主自律を危うくするとしています。確かに、このような外形事実は、国民、視聴者にNHKの自主自律が堅持されているか否かについての疑いを生ぜしめかねない事実と言えます。このような事実がある以上、自主自律が堅持されているとの説明責任はNHKが負っていると考えるべきです。この点についてNHKは、ホームページに「編集過程を含む事実関係の詳細」という説明文を掲載し、当該番組の修正過程を詳細に述べ、その修正は放送の公平性・公正性・中立性を守るためになされた合理的なものであり、自主自律は堅持されたと主張しています。しかし、それは必ずしも十分だとは言えないと思います。それは主に客観的資料の裏づけが付されていないからです。私は視聴者に納得いただける程度の客観的資料に基づいて説明をすべきだと考えます。客観的資料として、例えば修正前のテープがあげられます。修正は何回かにわたってなされたようですので、当初のテープを含め、各修正前のテープの内容を明らかにし、「そのどこの部分を、どのような理由で、どのように修正したか」を説明することによって、初めてNHKは説明責任を果たせたと言えると考えます。私は本年3月10日に開催された経営委員会で執行部に対し、この点についてすでに同様の指摘をしていますが、その際、執行部は、修正前のテープは残っていないと回答しました。当該番組のように、後日その修正の適否が問題となりそうな番組について、NHKの正当性を立証するのに必要な資料を保存していないことは、NHKの危機対応の甘さ、内部統制の不十分さを示すものと言え、今後早急に改善すべきであると考えます。そして、それとともに、本件においても、NHKが公式に保有する修正前のテープはなくても、NHKの職員等でそれらのテープを所持する者がいないかを調査し、その発見に努め、発見した場合には前述の対応をなす方向で検討すべきだと考えます。次に、検証委員会の決定の意見の中には、いささか違和感をおぼえる点もあります。私はBPOの制度上の役割を大いに評価しており、先の経営委員会でも、執行部に対して「NHKとしてBPOの決定を軽視すべきではない」と発言しています。しかし、制度上の役割を評価することと個々の決定等について批判的意見を述べることは矛盾しません。裁判所が下す判決でさえ、誤った内容のものがありうることを前提として、三審制を採っているのです。検証委員会の決定も、完全無欠なものであると決め付けることは、検証委員会にとっても不幸なことだと思われます。むしろ、検証委員会の決定、意見について適切な批判をすることこそ、BPOがよりすばらしい組織になることと思います。このような見地に立って、以下いくつかの点について意見を述べます。1つ目は検証委員会の公正性・信頼性に、NHKが疑義を呈したことについてです。NHKは、「NHKを提訴した団体の編集による本に寄稿した人物が当該委員会の委員になっている」ことをとらえ、検証委員会の公正性・中立性について注意を喚起し、検証委員会の結論の公平性に疑念を持たれかねないとの指摘をしました。検証委員会の審議の対象とされている当事者の立場であるNHKにとってみれば、このような注意喚起をするのは不合理なものとは言えないと思います。しかし、検証委員会の意見書4ページにおいて、検証委員会は、「心配ご無用」、「その意見のみで審議内容が左右されるほど、委員会は軟弱な議論を行っていない」、「むしろそうした委員を擁していることが、議論をいっそう活発なものにした」としたうえで、NHKがこのような主張をしたことをとらえて、「NHKの回答書にあったような機械的、単純な中立、公平性の考え方が、じつは当該番組の改編過程にも作用し、結果として深刻な問題を引き起こすに至ったのだ」としています。このような検証委員会の論理には違和感を持ちます。2つ目は「自主自律」と「公平性・公正性・中立性」についてです。検証委員会の意見書19ページには、「公平・公正・中立性は、足して2で割るように機械的に目指されるものではない。とりわけ、あるテーマを段階を追って理解を深めていくドキュメンタリーや教養番組等において、一定の見方や見解を描いたら、いちいちその反論や問題点も紹介しなければならないとなったら、番組それ自体が成り立たなくなってしまう。」「機械的な公平・公正・中立性に目を奪われ、そもそもこのシリーズとこの番組が何を表現しようとしたのかについて、ほとんど考慮されていないように見える」、21ページには、「放送総局長と番組制作局長は形式的な公平・公正・中立性にとらわれ、その上、安全を考え、強すぎる印象を恐れるあまり、元兵士や元従軍慰安婦らの証言シーンを全面的に削除してしまった」などと記載し、NHKが放送の公平性・公正性・中立性の重要性を主張しているのに対し、NHKのそれは「機械的」、「形式的」なものであるかのような表現をしています。これらの文の趣旨は明確ではありませんが、万一、「自主自律のためには公平性・公正性・中立性を軽視してもよい場合がある」との趣旨であるとすれば、それには強い違和感を覚えます。「放送の公平性・公正性・中立性」は、放送局、とりわけ公共放送であるNHKにとっていわば生命線と言えるものであり、絶対に守らなければならないことと考えます。3つ目は、いわゆる編集権の帰属主体についてです。検証委員会の意見書27ページに、「内部的自由の議論を」という表題のもとに、「放送倫理を根拠に、業務命令を拒否することができる、ということか。」、「通例、事業体の最終的な意思決定の権限は経営者や上司に属すとされているが、果たして言論・報道・表現活動にかかわる組織において、それをそのまま当てはめることができるのか」、「ここでは問題を提起するだけにとどめておくが、本意見書の末尾に、マスメディア内部の自由をめぐって、これまで内外で議論されてきたことの概略を添付しておくことにする」などと記載しています。これらの趣旨についても明確ではありませんが、一部の人々が主張している「放送局の現場の人々に編集権が帰属する」との考えと親和性を持つ意見との誤解を与える余地のある記載であると思います。しかし、前述のとおり、最高裁は、「編集権の帰属主体は法人としてのNHKにあり、編集権の執行権限は会長に帰属することを明らかにした」と解釈できる判決をしています。万一、検証委員会が「放送局の現場の人々に編集権が帰属する」との考え方でこのような記載をしたのだとしたら、それは前記の最高裁の判決の趣旨に合致しないものだと考えます。以上を踏まえて、本件について、執行部へ2つの事項を要望したいと思います。まず、放送の公平性・公正性・中立性と自主自律の両立についてです。前述のとおり、公共放送にとって放送の公平性・公正性・中立性は絶対に守らなければならないものです。自主自律のためにこれらを軽視してよいものではなく、「公平性・公正性・中立性」と「自主自律」は両立させねばなりません。この点をまず執行部に強くお願いいたします。次は、検証番組の作成についてです。先の経営委員会で、執行部に対し当該番組の検証番組作成の検討を求めていましたが、今回、検証委員会は私と同じ意見を述べています。私は当該番組の修正を含めた制作・放送の全過程が、NHKの自主自律のもとにNHK自身の判断がなされたものであり、それが当該番組の公平性・公正性・中立性を維持するために合理的なものであったことを、NHKが客観的資料に基づいて説明する責任があると思います。各修正前のテープをすべて集め、その「どの部分を、どのような理由で、どのように修正したのか」が視聴者によくわかる検証番組的なものを作り、国民、視聴者に説明すべきであると考えます。

 (安田委員)

 今聞いていて、公平性、中立性などさまざまな問題があがっていましたが、一番大事なのは何のために番組を作っているのかということだと思います。公平性、中立性はとても大事だと思いますが、例えて言えば、戦争しようというグループがあり、その一方で平和を守れというグループがあるとします。その場合、公平性と中立性をとれば、戦争もしよう、平和も守ろうということになりますが、そうではありません。何のためにNHKがこの番組を作っているのかがはっきりすれば、公平性、中立性を人に言われても何も問題にならないと思います。福地会長が、「私は平和のためにこの番組を作る」と言えば、戦争をしろという集団からいくら文句が出ても突っぱねることができます。NHKにとって大事なのは自主自律です。NHKが人類の未来に対して何を提示したいのか。こうすれば人類は平和になり、地球環境問題を守ることができるという、確たる信念を持っていればいいのです。何も公平性、中立性などと言わなくてもいいと思います。NHKはいったい何をしたいのか。何のために視聴者から受信料を集めて番組を作るのか。そのことがはっきりしていないのでこういう問題が起こるのです。

 (野間委員)

 私はこのBPOの意見書は非常に格調が高く、しかも最終章の最後を見ると、NHKの若い人々への大きな期待が感じられます。これを基にして若い放送人たちが育っていってほしいという、非常に愛情のある表現をされているところに感動しました。そのうえで、質問があります。小林委員が3月10日の経営委員会で検証番組を作るべきだと話したとき、今井理事が、元の番組内容の資料は残っていないとおっしゃいました。放送局として放送した番組をストックしておくだけでも大変なことですので、その前の段階でいろいろと作り変えたものまで置いておくのは大変な作業だと思いますが、先日、新聞に、長井ディレクターが、2005年に自分が改ざん前のテープを持っていると言ったところ、NHKから「あなたが管理するものではない」と言われ、NHKに渡したということが出ていました。すでに最初から問題になると予想されている番組についての資料の保存は当然であり、裁判中に万が一提出命令があった場合、情報提供の義務が当然あると思います。2001年からこういう問題が起きて、2005年にそのテープをNHKが入手したにもかかわらず、今井理事が残っていないと言ったということは、いつ、誰が、どういう権限で、改ざん前の資料、それまでの映像をなくしてしまったのですか。なくしてしまったというより、むしろ隠したのではないかなど疑われるような、時間的な経過を考えていくとどうも納得がいきません。元の番組内容は残っていないと言われましたが、経緯を考えるとなくすこと自体が本来の公共性ではないのではないかと思いますし、道義的な対処ではないと思います。

 (小丸委員長)

 時間が迫っています。申し訳ありませんが簡潔におっしゃってください。

 (今井理事)

 その点についてご説明させていただきます。あのとき、私は「残っていない」と申し上げました。それは、番組は放送したものしか正式な記録としては保存していないという趣旨です。私はこの問題の担当者でもありませんでしたので、ごく一般論として記録として残っているのかということで解釈して「ない」と申し上げました。あとで聞いてみると、長井ディレクターから提出を受け保管してあるという話を聞きました。ただ、それがあったとしても、正式なものとして記録されているのは放送したものという認識で申し上げたため、少しことば足らずで説明が足りなかったと思います。誤解を与えてしまったとしたら申し訳ありません。記録というよりは、そういう形で保管はしていると聞いています。

 (野間委員)

 保管されているということですので、元の映像はあるということですね。

 (今井理事)

 そのように聞いています。

 (野間委員)

 わかりました。もう1つあります。広報局から、BPOに対して違和感があるとか、残念だというようなコメントが出ていました。これはNHK全体としての見解ではありませんよね。これからBPOに対して見解を出すのであって、違和感があるとか残念だとかいうことがNHKの見解として世の中に受け取られていますが、そうではないのですね。

 (日向理事)

 NHKとして、意見を受けた直後のコメントを求められましたので、とりあえず、NHKの見解として出しました。

 (野間委員)

 また、3月10日に、日向理事が視聴者にさまざまな形できちんと説明していくと話されました。私は、このBPOの意見書にも書かれていますが、最高裁の判決が出たことによって法律的な分野は白黒がつきましたが、放送倫理の観点からの分野は、今、社会的な問題になっていて、決着がいまだについていないと思います。そういう意味で、NHKは国民、視聴者に対して説明していく義務があると思います。日向理事が視聴者にさまざまな形できちんと説明していくと言われましたが、具体的にはどういうことをしようとしていますか。

 (日向理事)

 先ほど申し上げたようなことです。一度、BPOに対しては回答を出していますが、端的に言えば、「今、個別の番組の事前説明はしていないし、これからもしない。誤解を受けるのであれば、そういうことをわざわざする必要もないためやめようと。その点については、この前のBPOの見解でもなかなか納得されていない部分もあるのではっきり申し上げる。ただし、まったく何もしないということにはならない。その点はご理解いただきたい。つまり、事前説明だけではなく、誤解を受けるようなことについてはこれからきちんと自戒していく」ということをはっきりBPOに対しても申し上げますし、視聴者に対してもきちんと説明していきます。

 (野間委員)

 視聴者に対する説明でお願いがあります。検証番組を作れないのであれば、BPOの意見書とNHKの考え方について、視聴者を巻き込んで公開シンポジウムを開くなど、別に結論を出すことが目的ではなく、何らかの方法で議論を行うプロセスを確保することが視聴者に開かれたNHKにつながると思います。ぜひそういうことも検討していただけたらと思います。また、きっと政治家だけでなく、さまざまな権力からの介入要望ということは、いつの時代にも、国を問わずメディアにはあると思いますが、それをNHKがどう受け止めるのかというのが問題です。視聴者、国民の力をバックにできれば、そういった権力を抑さえて跳ね返す力になると思います。反対に視聴者からの距離を置いたらそういうことがしにくくなるのではないかと思います。BPOは視聴者にとってみて、そういう権力からの防波堤だと受け止めます。そうしたことも含めて、視聴者を巻き込んだ議論をしていく、視聴者に問うていくことがとても大事ではないかと思います。

 (勝又委員)

 先ほどの安田委員のご意見に関連することですが、自主自律、不偏不党といったときに、まったく中立の意見というのは、要するに何も意見がないのと同じになってしまいます。そういう意味で、公共放送NHKであっても何らかの見方がある程度提示されなければならないと思います。新聞の社説の場合は論説委員会というものがあり、わが社としてどういう意見を取り上げるのかという、ある種の合議を経て、指名された論説委員が社説を書くと伺っています。NHKがNHKスペシャルなどのドキュメンタリー的な番組をシリーズで制作しようといったときに、これは「JAPANデビュー」にも関わりますが、NHK内部で、どういうアプローチで、どういう切り口で、なぜ今これを取り上げるのかという議論をする場があるのでしょうか。そういう場、それなりのアプローチを経て番組ができるとしたら、政治家からであろうがどこからであろうが、圧力がかかった場合、「NHKは公共放送としてこういうスタンスで番組を作っている」ということをきちんと説明でき、それが自主自律ではないかと思います。特に日本の戦前の歴史を取り上げる番組について、どういうプロセスを経て、どれだけの議論がなされて制作に至ったのかということについて伺えればと思います。

 (福地会長)

 今度の番組に関わらず、私はNHKの会長になる前から、NHKスペシャルはどのような形でああいったテーマが取り上げられるのかということに最も関心を持っていました。当時の編成局長にどの程度のシリーズがあるのかと聞いたところ、A4のシートの束で持ってきました。1枚1枚がすべてシリーズですが、時の話題などさまざまな観点で、その中から選び出します。ある程度の取材を経たのちに、今度はそれをどのような番組にするのかという討議をします。その会議に2回出席しましたが、二十数名がかんかんがくがくと議論します。不偏不党がどう担保されているのかということで言えば、1人が自分の筆で書いて担保するなら、個人でやればいいことです。NHKという組織の中でするなら、NHKの論理というものがありますので、編集方針に沿わなければなりません。その編集方針がそういう形で担保されていることに自信を持ちました。取材したさまざまな映像がたくさんあります。その映像をどう取り上げて40分なら40分、45分なら45分の番組に編集するのかということですが、その過程は十数人で行っていました。取材したさまざまな映像を見ながら、これは趣旨がどうだこうだと議論していました。解説委員室にも2回行きました。解説委員も毎日午後5時から24〜25人で議論しています。明日の解説内容はどういうものにしようか、それについてはどうかというテーマで議論していますが、いわばけんかです。そういった雰囲気で議論しています。編集権というものが組織に付随するというのはそういうことであり、個人だったら怖くて仕方がありません。編集権がそういった形で担保されていることを自分の実感として思っています。足りないところがあったら補足してください。

 (日向理事)

 特にNHKスペシャルの場合、特定の分野だけでなく、さまざまな分野の職員がプロジェクトを作って制作します。事実関係のところは慎重にチェックします。まさに「この部分についてこのような放送をした場合、どのようなリアクションがあるのか」ということを予想しながら制作しているケースがほとんどです。ですから、かなりの時間をかけて制作しています。

 (井原委員)

 NHKスペシャルについては、前回の意見交換のときに、まさに今おっしゃったように、提案会議というところで、どちらかというと若手の方々、さまざまな立場の方が、かんかんがくがくと議論してテーマを絞り、取材の方向等を検討しているということを申し上げたと思います。私が伺いたいのは、確かにそうした取り組みをしていますが、そういう形で制作したとしても、できあがった番組について、放送前にまた同じようにさまざまな立場の方がもう一度精査するというような仕組みがどれほどできているのかということです。いかがでしょうか。

 (日向理事)

 前に申し上げましたが、考査室という部局があります。そこが、全部の番組ではありませんが、主な番組について放送前に番組を見て、例えば番組基準に違反していないか、放送ガイドラインに抵触していないかという考査上の観点で、おおよそ1週間前から、場合によっては直前の前日ということもありますが、事前考査という作業を行っています。ニュースの場合は事前に見ることができませんので、リアルタイムでモニターしています。

 (福地会長)

 あの番組の評判がよかったとか悪かったということは誰でもが言えることです。事前考査は番組しかできないため、番組は事前考査するように求めています。ニュースは放送が出たあとでしか考査ができません。出たあとでも構わないので、1週間なら1週間、1か月なら1か月でまとめて、考査室からの報告の際に今週はどうだったという講評をするように求めています。

 (井原委員)

 事前考査はもちろん行っていると思いますが、提案会議のようにさらに有効なものにできないかと思います。それは難しいのでしょうか。

 (日向理事)

 番組の提案の段階から編集して最終的に完成するまでの間に、NHKスペシャルの場合だと、物によっては10回ほどの回数を重ねます。普通はたくさんのバージョンを作りながら最終的な完成版に至ります。

 (小丸委員長)

 執行部に対する業務の執行の監督ということで言えば、経営委員会は業務の中にまでは入れないということを日ごろから申し上げています。とにかく正確で公平・公正な情報の提供に努めていただき、いっそう自主自律を堅持し、また不偏不党を守っていただきたいと思います。

 (安田委員)

 自主自律を守ってくださいと言っただけではNHKの人だって困ります。職員一同に、日本の未来、人類の未来に対する責任感をどう植えつけるのかということが大切であり、それを局内の教育で徹底してもらいたいと思います。そうしたらいい番組ができます。NHKの全員に「われわれは人類の未来、日本の未来に対して全員が責任を持っている」という意識さえ芽生えたら、何も不偏不党と言わなくてもいい番組がきちんとできます。

 (小丸委員長)

 それも参考にしていただきたいと思います。「JAPANデビュー」の件についてはどうですか。

 (福地会長)

 「JAPANデビュー アジアの“一等国”」については、私に親展の手紙が2通、親展でないものが十数通来ました。台湾関係の本も読みました。私が感じたのは、この番組は見方によって、要するに、先ほどお話しした意図がどこにあると考えるのかによって全然違うということです。私も前職の時代から、台湾の方々との付き合いが特に多くありました。親日家が多いことは間違いありません。しかし、いただいた手紙にはそういったことは一切書いてありません。台湾の悪いところばかり描いていて、台湾との関係がおかしくなるじゃないかということが書かれています。表現は少しずつ違いますが、大なり小なりそういったことが多く書かれています。私は台湾の人には親日家が多いと思いましたが、あの番組を見て、こういった見方もあるのだという新しい発見をした感じがしました。大事なことは、この番組の制作意図です。日本が列強の中にいて、アジアで一等国になりたい。日本が一等国にならなかったら、日本自体がイギリス、フランスをはじめとしたヨーロッパ各国の植民地になる。だから日本はアジアの中で植民地を持つ。そういったときに、日清戦争ののちの経緯で割譲を受けたというようなことがあり、日本としては台湾統治を成功させなければならないということが大前提にあったと思います。あれは植民地政策だと思います。手紙などでも「後藤新平を悪者にしている」などと書かれています。しかし、そうではありません。例えば、後藤新平が樟脳(しょうのう)産業を建て直し現在の価値で年間100億円規模の台湾の産業にしたとか、南北縦貫鉄道を作ったとか、一番北のキールン(基隆)の港湾施設をものすごく立派にしたといった功績も描かれています。手紙などに書かれていることはどちらかというと功罪の両方からは見ていないということもあると思います。しかし、どんないいことを描いても、植民地政策です。あの中では同化政策だと描かれていましたが、どんなに産業振興のインフラなどができても、生活文化、食べ物を日本式にしないといけない、豚の角煮を食べるのは恥ずかしいとか、宗教、ことば、生活習慣、なかんずく、日本の植民地になったために太平洋戦争で21万の台湾人が日本軍に入隊したといったことは、そういったことを経験した人しかわからないだろうと思いました。番組についてさまざまな角度から批判はできますが、今回の番組は、日本の植民地政策に軸足を置き、アジアの一等国を目指していた当時の日本の姿を描こうという制作意図から作った番組ですので、番組の内容はこれでいいのではないかと思います。番組を3回見ましたが、確かに見る人の見方によっては国辱だというところはあります。しかし、軸足を植民地政策に置いたら、こういったことはありうるだろうという感じがしました。補足があればお願いします。

 (日向理事)

 いくつか抗議は来ています。一番多いのは、台湾の方々へのインタビューについてです。恣意的に編集したとか、事実関係が違うのではないかという指摘が多くあります。私どもとしてはもちろん事前の調査もしましたし、事後で1つ1つチェックしましたが、その部分について特に問題は発見できませんでした。また、柯徳三さんという、番組に登場した方へのインタビューの5時間すべての書き起こしを制作チーム以外の職員も確認していますが、自分たちの都合のいいところだけを抜き取ったということでは決してありません。柯さん自身もNHKに対しては抗議をされていません。確かに、台湾は非常に親日的であり、日本の植民地政策もうまくいったという前提があります。その前提で番組を見ると、その割合が少ないのではないかという印象を受けた方がいらっしゃると思いますが、現実には、決して意図的に、それから、政治的な意図を持って制作したということはありません。当時の西欧列強の価値観で言えば別に植民地を作ることは悪いことではありません。「プロジェクトJAPAN」は、過去の事象の中からある種の教訓をくみ取ろうという視点、趣旨で制作していますので、どうしてもそういう見方で見るというところが出てきます。また、台湾の方が非常に親日的で、台湾との関係は非常に友好的であるということが前提になって制作されているところが少しあります。そこは、確かに若い人たちで、当時について何も知らない人たちにとってはある種のショックを受けた可能性が少しあります。そのあたりはこれからの教訓にしないといけないと思います。台湾を選んだのは、あくまでも台湾総督府の膨大な資料が残されていたためです。そういう一次資料を基にして制作することができたということです。

 (福地会長)

 私が一番気になったのは、すべてについてきちんとした裏づけがあるかどうかということです。その点は文献と証言に基づいて作られています。例えば「人間動物園」は嫌なことばです。NHKのディレクターがもしそういったことばを作ったらきわめて問題ですが、そのことばもきちんとした第三者の文献に載っています。また、日向放送総局長からも説明しましたが、私は証言の中でいいとこ取りをされるのが非常に嫌いです。前職の時代から、証言を出してみたら意図とまったく違い、ある部分だけが使われたことがありました。それは私自身も一番嫌でしたので、ディレクターを2回呼んで確認しました。褒めているところはなかったのかということですが、教育については褒めているところがありました。確かに番組の中でも、先ほどの方の発言は出していませんが、映像の中のコメントで説明していました。そういった面で、すべて事実に基づいて描いているという自信を持ちました。

 (小丸委員長)

 会長は、今度、記者会見を行いますか。

 (福地会長)

 はい。あさって行います。おそらくこの件について質問が出ると思いますので、今のような発言をするつもりです。

 (小林委員)

 意見を言っていいでしょうか。これは個別番組に関する発言になります。そのためにまず、経営委員が個別の番組について発言できるのはどういう場合であり、どういう根拠に基づくのかについてお話しさせていただきます。私は、少なくとも、放送法違反などの法律違反およびその違反の疑いのある場合には、経営委員は個別番組について発言できると解釈しています。その理由を細かく言うつもりでしたが、今回は時間もありませんので省略します。そういう理解の下、以下発言させていただきます。この番組については、NHKの説明責任が非常に問われていると思います。聞くところによれば、当該番組について、国民、視聴者から放送法に違反するおそれがあるという指摘を含め、質問等が多数来ていると聞いていますので、それに対して真摯に対応して、NHKとしても十分な説明をすべきだということをとりあえず申し上げておきます。今日はもう時間がありませんので、時間があるときに詳しく申し上げます。

 (大滝委員)

 先ほど、BPOの問題についての説明がありました。もちろん今日もたくさんの経営委員が意見を出しましたが、出していない方もいます。経営委員の間でもかなりさまざまな意見がありますので、NHKとしての見解を出すときに、もう一度、経営委員の意見をきちんと聞いていただく機会をぜひ作っていただきたいと思います。

 (小丸委員長)

 わかりました。

 (福地会長)

 今日、それを提案しないといけないのではないですか。今日、見解を出すと言っていたでしょう。

 (日向理事)

 今日は出しません。BPOに対する見解は、おそらく5月末か来月上旬くらいになると思います。その間に一度、経営委員会があります。そこでお話しさせていただこうと思います。ただ、視聴者に対する説明責任もありますので、木曜日にある会長の定例記者会見の席で、申し上げたような基本的な考え方は示したいと思います。

 

 

2 「NHK視聴者サービス報告書2009」の発行について(資料)

 (大西理事)
 本件も14日の会長の定例記者会見で外部に向けて発表します。「NHK視聴者サービス報告書2009 みなさまの声にお応えして」という冊子を作りました。これは、視聴者サービス局が各部局や全国の放送局の協力を得て、視聴者の皆さまからNHKに寄せられた意見と、それに対してNHKとして取り組んできたことを冊子にまとめたものです。報告は4章からなっています。第1章であるHEART VOICE 1では、視聴者の皆さまから番組に対してどのようなご意見・ご要望が寄せられたのかということをまとめています。トップの項目は、百年に一度といわれる金融経済危機に関してどのような放送をしてどのようなご意見が寄せられたのかということです。振り込め詐欺のキャンペーンについてもまとめています。第2章であるHEART VOICE 2では、視聴者から寄せられたご意見・ご要望が番組にどのように活用されて、具体的な改善がなされたのかについて触れています。第3章であるHEART VOICE 3では、NHKをもっと身近に感じていただくための「ふれあいミーティング」やハートプラザの活動をまとめています。第4章であるHEART VOICE 4では、各放送局が“地域の応援団”として行った取り組みを、全国すべての局について紹介しています。なお、今までは、A4判の冊子で視聴者の皆さまにお渡ししたり、ふれあいミーティングなどで活用していましたが、今回、地域スタッフなどが外部に持っていってお配りしたりするということで、小さく持ち運びできるA5判のコンパクト版を作りました。冊子は1万8千部、コンパクト版は13万部印刷しました。また、14日の会長の記者会見以降、NHKの公開ホームページ「NHKオンライン」にも掲載して視聴者の皆さんに見ていただけるようにします。

 (桑野委員)

 2か月ほど前の経営委員会で、この460万人の声をいい形でぜひアピールしていただきたいとお願いしていました。すでにこういう準備があったということを知らずに失礼なことを申し上げていました。また、このA5判ができたことによって、より多くの皆さんにNHKの活動が理解していただけるのではないかと思います。冊子の冒頭には会長のお顔入りのあいさつ、1ページから3ページにはどのように視聴者の皆さんとNHKがつながっているのかということが記載されていてわかりやすく、私ども経営委員もさまざまな場面でこの冊子を使わせていただければと思います。どうもありがとうございます。

 (野間委員)

 昨年も同じことをお伺いしたと思いますが、この冊子類は各放送局に置かれているのでしょうか。

 (大西理事)

 はい。各局のハートプラザの窓口に置いて、配布しています。また、コンパクト版は13万部印刷しましたので、必要な方にはお渡しします。

 (野間委員)

 もっと多くの方々に見ていただけるように、例えば、区役所などの行政の窓口や金融機関など、もっと身近に視聴者に伝わるような所に置くことはできないのでしょうか。

 (大西理事)

 これらはNHKの公開ホームページからいつでもプリントしていただけます。

 (野間委員)

 ホームページもよいのですが、より多くの方に見ていただけるように対応をお願いします。

 (大西理事)

 3か年経営計画で、各局の取り組みを、「放送局のちから」として公開ホームページ上で視聴者のみなさんにお約束し、四半期業務報告において活動状況をご報告することで取り組んでいます。そうした中で、私たちが視聴者のみなさんとお話をしたりするときに活用していきたいと思います。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成21年5月26日    

小 丸 成 洋

井 原 理 代