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第1058回
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平成20年1月18日(金)公表

日本放送協会第1058回経営委員会議事録
(平成19年12月25日開催分)

第1058回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1058回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成19年12月25日(火)午後1時30分から午後6時30分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  古 森 重  多賀谷 一 照 深 谷 紘 一
    野 間 光輪子   小 丸 成 洋 井 原 理 代
    保   ゆかり   大 滝 精 一 飛 田 稔 章
    菅 原 明 子   岩 崎 芳 史 小 林 英 明
  ◎委員長 〇委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔監  事〕

  古 閑 監 事  

 

〔役  員〕

  橋 本 会 長 永 井 副会長 原 田 専務理事
  畠 山 理 事 小 林 理 事 金 田 理 事
  中 川 理 事 石 村 理 事 西 山 理 事
  日 向 理 事 溝 口 理 事 八 幡 理 事

 

<場   所>
放送センター  21階役員会議室、22階経営委員会室

 

<議   事>

 古森委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1057回経営委員会(平成19年12月13日開催)議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成19年12月28日に公表することを決定。

 

付議事項

1 議決事項

  会長の任命について

 

2 その他

 (1) 指名委員会議事録について

 (2) 菅原委員と保委員の2人による緊急記者会見について

 

3 委員長報告

  会長の任命について

 

4 会長報告

  業務概況について

 

5 審議事項

 (1) 平成20年度収支予算案の一部調整について

 (2) 平成20年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画(案)について

 (3) 「放送受信契約の締結拒否者に対する民事訴訟の実施に関する基本方針」について

 

6 報告事項

 (1) 契約・収納活動の状況(平成19年11月末)

 (2) 財政の現況(平成19年11月末)

 

7 その他

 

 

議事経過

1 議決事項

  会長の任命について

 (古森委員長)

 会長の任命については、最初に指名委員会を行い、引き続き経営委員会を開催したいと思います。なお、指名委員会の審議は、経営委員会と重複するところもありますので、経営委員会では省略することもあり得ますのでご承知おき願います。それから、菅原委員と保委員による12月19日の記者会見について、各委員から、いろいろな意見が寄せられています。私も突然記者会見されたことに違和感を覚えていますけれども、この問題は経営委員会で取り上げる問題です。経営委員会として、この問題をどう取り扱うのか、後ほど皆さまのご意見をいただきたいと思います。

 (菅原委員)

 緊急動議です。私はその前に、今日から議事録を詳細に取っていただきたいと思います。私が会見で言った中の1つが、議事録をていねいに、記名入りで公開することがとても大事だということですので、まず、そのことをお願いしたいと思います。

 (古森委員長)

 冒頭でそれを確認するというのですか。

 (菅原委員)

 はい、今すぐ。

 (古森委員長)

 前回の経営委員会の最後でもおっしゃいました。私はあの時、意見として受けますと申し上げました。ただし、人事問題を名前入りで公表するのはいかがかと思いますが、いかがでしょう。

 (菅原委員)

 名前はいりません。名前入りっていうのは、ノミネートされている人の名前とか、例えば、発言者の氏名はイニシャルでもいいですから、どんな議論がそこでなされたのか、国民・視聴者は知る権利があるということです。それが透明性だと思います。

 (古森委員長)

 前回は、議論をさえぎることがあったかもしれませんが、皆さまにできるだけ均等に時間を配分したいと思いますので、発言は簡潔にお願いします。今の件について、何かご意見はありますか。

 (小林委員)

 まず弁護士としてお話ししたいと思います。人事案件について、詳細な議事録を作成して、ホームページで公表するというのは、非常にリスクがあるため、適当ではないと思います。当然、人事案件ですから、例えばAという人が出る。これはいろいろな討議で、名前を載せなくても特定できる可能性があります。その人を評価する意見であればいいのですが、評価しないという意見は、どうしてもマイナス的なイメージにつながり、それがホームページで公表されると、名誉毀損になる可能性があります。これは法律的にいけないことですから、十分注意しなければいけません。また、そういうことになる可能性があるとなると、自由闊達な議論ができません。どこまでが名誉毀損になるのか、どこまでがそうでないのかもわかりません。そういう意味で、人事案件について、詳細な議事録を作成して、ホームページで公表するような事業体はないと思います。

 (野間委員)

 私は、ある程度出してもいいのではないかと思います。通常の議事録のように、私たちがチェックして、公表して、非常に不都合なことであれば、控えたほうがよいのかもしれませんが、審議の過程は、ある程度出すべきだと思います。私は、発言者の氏名を挙げていただいても構いません。自分の意見として言わせていただきます。小林委員は、弁護士の立場で、そういうことをおっしゃられたと思いますが、非常に困ることがほかにありますか。

 (小林委員)

 ですから、きちんとリーガルチェックを済ませ、一切問題にならないということが最低条件です。通常は名誉毀損にならないと思いますけれども、ホームページで公表するため、リスクがあります。

 (岩崎委員)

 参議院総務委員会から、指名委員会の議事録について、本日開催分を含めて、個人の発言者が特定できるものを、なるべく速やかに提出されたいという要求がありますが、これはどうするのですか。

 (小林委員)

 法律的な問題があれば、われわれの責任になりますから、きちんとリーガルチェックをしなければならないということが前提です。

 (多賀谷代行)

 指名委員会では、候補者の評価をするわけですから、プラスの評価もあれば、マイナスの評価もあります。議事録が後で公表されるとなれば、言いたいことも言えないという問題もあると思います。

 (小林委員)

 私もそう思います。

 (菅原委員)

 議事録を取る、取らないというよりも、議事録を取っているということで、視聴者の皆さんは、公明正大であると判断していただけるのではないかと思います。

 (古森委員長)

 人事問題は、例えば、「この候補は、こういうところがだめです」と、その人の人物評価を公表した時に、名誉毀損で訴えられかねない問題もあります。だから、そうならない範囲で、どういう議論が行われ、こういう筋道でこのような結論になりましたというようなものを出せばいいと思います。本日、菅原委員も、推薦する候補者を持ってきておられると思いますが、前回の結論で、候補者をきちんと25日に検討しましょうと申し上げています。そういう筋道をきちんと記載すればいいのです。
 それから、国会から発言者名がわかる議事録の提出が求められています。前回は多賀谷代行にお願いして、議事録を取っていただきましたけれども、人事案件ですから、個人名は一切取っていません。整理した形で作成してくださいということで、皆さまにもお配りしました。

 (保委員)

 経営委員会として、会長人事というのは、たいへん重い職責の1つだと思います。ですから、それぞれの委員が責任をもって、この議事進行の過程に参加していかなければいけないと思っています。ですから、発言者名も公表したうえで、候補者のプライバシーにも配慮して、議事録を作り、公開すべきだと思います。

 (多賀谷代行)

 その両立が難しいのです。要するに、評価をする時には、個人の方について個人が評価するわけです。私も外部の各種委員会で委員をやっていますが、評価については外に出しようがなく、結果しか出せないと思います。誰が、どの方を、どのような評価をしているのかということは、出せないと思います。せいぜい、全体としてこのような意見があったということを匿名で出すしかないと思います。

 (古森委員長)

 これは今日討議して、どこまで出せるかを決めましょう。

 (多賀谷代行)

 ある程度詳しくわかればよいと思います。

 (古森委員長)

 議事録は、皆さんの同意がなければ出せませんので、本件は本日整理をして皆さんにお諮りしたいと思います。

 (深谷委員)

 前回と前々回の議事録案についてですが、これではやはり足りないのではないかと思います。公表する・しないは議論すべきだと思いますが、もう少し流れを書かないといけないのではないでしょうか。結論が書いてあるのはもちろん、やはり議事の流れがわかるものでなければならないと思います。それで、リーガルチェックと、発言者のチェックはきちんと取ってほしいと思います。
 それからもう1つ。今、お二人の行動について、いろいろ抗議の意見があります。私も、それは個人的にはよくなかったと思いますが、今日の議論は、会長選任を優先すべきだと思いますので、その議論は後にしていただきたいと思います。

 (大滝委員)

 私もそう思います。賛成です。

 (古森委員長)

 会議の冒頭、お二人の会見について、何も触れずに入るわけにはいきませんでしたので、少し申し上げましたが、皆さまから意見もありましたので、そのようにいたします。

 (井原委員)

 私も議事録は基本的に取るべきだと思っています。特に、私のように前回初めて出席した委員は、11月までの議論を知りませんので、11月までの議論と前回とでは、プロセスが飛んでいるということが、少なくとも、あれだけの記録でわかりましたので、今後のためにも取っておくのがよいと思います。ただ、それを公表するかしないか、あるいは公表の方法については、十分にリーガルチェックをかけてお願いしたいと思います。

 (菅原委員)

 議事録を取るのかどうか、採決しないのですか。やはり、確定する作業があった方がいいと思います。部外の方々からも、経営委員会の透明性が足りないと抗議文が来ています。

 (多賀谷代行)

 指名委員会の議事録の取り扱いは、後ほど経営委員会で決めることになっています。前回と前々回よりも、詳しいものを出そうということです。

 (野間委員)

 そこはもっと議論してほしいと思います。

 (深谷委員)

 今日は、指名委員会を先に行いますが、指名委員以外も発言をしてもいいのですね。

 (菅原委員)

 決定は全員で採決するのですか。

 (井原委員)

 指名委員会規則では、「委員長は、委員会の議長となり、議事を整理する」と、それで、「議長が必要と認めた場合は、参考意見を徴するため、委員以外の経営委員、NHK職員云々の出席を求めることができる」となっています。

 (古森委員長)

 ですから、ご意見はおっしゃることができますが、指名委員会の議決権はないということです。いずれにしても、参画することができますので、皆さんに参画していただきます。それでは、指名委員会に入らせていただきます。

 

< 休 会 >
<指名委員会>
< 再 開 >

 (古森委員長)

 それでは経営委員会に入ります。まず、会長、監事にお入りいただき、ご意見をお聞きするかどうかについて確認します。

 (多賀谷代行)

 放送法23条「議決の方法等」の第3項に「会長及び監事は、第1項の会議に出席し、意見を述べることができる」と規定されていますので、ご意見をお聞きしたほうがよいと思います。

 

<一時中断、橋本会長および古閑監事が入室>

 (多賀谷代行)

 放送法23条「議決の方法等」の第3項に「会長及び監事は、第1項の会議に出席し、意見を述べることができる」と規定されていますので、ご意見があればお伺いしたいということでお呼びしました。

 (古森委員長)

 それでは、さきほど行われた指名委員会の審議結果についてお伝えいたします。次期会長の候補者として2名の推薦がありました。1人は福地茂雄氏で、現在アサヒビール(株)の相談役です。もう1人は藤原作弥氏で、元時事通信社解説委員長、元日銀副総裁等をおやりになった方です。いろいろ討議しました中で、指名委員会として、この2人を候補者として経営委員会にノミネートすることを決定しました。このことに関し、会長と監事からご意見があればお伺いしたいと思います。

 (橋本会長)

 了解しました。

 (古森委員長)

 ご意見はありますか。

 (橋本会長)

 私が、新しい会長に対してどのような方を期待するのかということを述べたいと思います。先般の指名委員会の場でも、NHKがまだ、将来に向けて、変えなければいけないことが多々あると申し上げたわけでありますが、そういう中で、私自身これまで、改革ということでは、2点進めてきたということを申し上げました。この基本の考え方として、やはり視聴者第一主義という立場に立って、報道機関としての基本である編集権の独立というものを深く認識して、事業運営をやってきたわけですし、その中で信頼回復ということを図ってきたということです。新しい時代に向けても、そのような姿勢で、視聴者の皆さまから真に信頼される公共放送としての改革を、ぜひ進めていただきたいというふうに思っています。これまで経営委員会の皆さんが、新会長に対する資格要件についても、ご議論いただいているわけですが、私としては、さらに加えて、公共放送NHKというもの、NHKの価値といいますか、これをよく理解し、いっそうこれを高めるために、愛情と情熱をもって全力投球できる方ということが、欠かすことのできない要件ではないかと思っています。当然ながら、NHKのこのような使命・役割ということをしっかりと果たすために、視聴者・国民の方からも信頼が寄せられるし、また、組織と職員からも信頼されるという方をよろしくお願いしたいというふうに思っております。また、選任にあたっては、民主的に、透明性をもって行われるべきだと思っております。

 (古森委員長)

 どうもありがとうございました。古閑監事はいかがですか。

 (古閑監事)

 特にございませんが、法に則り、厳正に選出されることをお願いします。

 (古森委員長)

 ありがとうございました。

 (橋本会長)

 よろしくお願いいたします。

 

<橋本会長および古閑監事退室>

 (古森委員長)

 これからは、経営委員で議論を行います。この両方の候補者について、指名委員会で先ほど議論がございましたが、ほかにご質問・ご意見はございますか。

 (小林委員)

 藤原氏の就任の意思が、どの程度なのかということを聞かなければ議論にならないと思います。

 (菅原委員)

 私自身は、第一義的にプロセスということで、候補者が2人いることが、新しい時代の会長選びには、とても大事だと思っています。結果として、この人でないといけないというのではありません。経営委員が複数の候補を立てて、厳正に粛々と選考を行うことが、第一のとても大きな思いで、視聴者に対する責任だと思いました。

 (野間委員)

 もちろんそれは責任でしょうけれども、この人が本当にどのくらい確率があるかということを調べるのも責任ではないのですか。

 (菅原委員)

 ですから、指名委員会で正式に招聘していただいて、そして、来ていただくよう要請していただければいいと思います。

 (小林委員)

 来ていただくのは構いませんが、例えば、経営委員会でこの人に決めたとします。それから、この人の意見を聞いて、ダメと言われたら、もう一度やり直して、ゼロから議論を始めるのですか。

 (古森委員長)

 受けるかどうかを確認していない人を経営委員会で決めたのかということになります。

 (菅原委員)

 ですから、それを受けるかどうかを、正式に指名委員会に招聘していただいて、お聞き願いたいということです。

 (多賀谷代行)

 指名委員会で選出しましたから、経営委員会では、その方を最終選考に値するかどうかを、これから判断すべきです。

 (深谷委員)

 候補者が2人いますので、希望的なことを申し上げれば、できればある程度時間をかけて、話し合いで絞り込みたいと思います。前回も全員一致が望ましいとのご意見もありました。一致できなければ仕方ないと思いますが、よく話し合いをしたい。

 (古森委員長)

 具体的に何について話し合うというお考えですか。

 (深谷委員)

 それぞれの候補者の推薦理由と反対の弁。その時には、今言われたように、受けるかどうかわからないという部分については、1つの大きなマイナス要素になると考えます。したがって、多少期限は迫っていますけれども、もう1回、時間かけるのか、かけないのかということも含めて議論をすればいいのではないかと思います。

 (保委員)

 前回の時点で、委員長がご推薦される人は福地さんであって、それをお受けくださるということを皆さん知っていたのですか。推薦される方と面談の機会を持ちましょうといった時点で、そういったことを確認されなくてもよかったのでしょうか。

 (多賀谷委員)

 私は知りませんでした。

 (古森委員長)

 普通、誰かを推薦する場合には、その人の意思を確認しないで推薦することはできません。

 (保委員)

 12月13日のときは、誰かわからないけれども、とにかくお願いしましょうということで納得されて、面談を行うことを前提に、スケジュールの確認をされたわけですね。

 (小林委員)

 面談までに名前が伝えられました。

 (古森委員長)

 名前は先週お伝えしました。

 (大滝委員)

 藤原氏の経歴を拝見すると、ジャーナリズムの業界では非常に著名な方だとわかります。ただし、外部からNHKの中に入るということは、ほかにもいろいろな難しい問題があるような気がします。外部から入るということと、1万人を超える組織をマネジメントするという観点から、推薦をされた菅原委員はどのようなご判断をされているのですか。

 (菅原委員)

 NHKに20年ぶりに外部から会長が入るというところまでは、13日の段階でわかっているのですが、やはり、公共放送、特にジャーナリズムの独立性とか、編集権ということに敏感になっている時代です。ですから候補者を挙げて、その中で精査して、結果的にこうなったというプロセスや、そのような観点からも経営委員会では検討したということが大事だと思います。前回、井原委員が「経営委員会と執行部は適度な緊張関係があるのが望ましく、仲良くなりすぎてはいけない」と言われましたが、これはとても大切なことだと思います。福地さんの一番の問題は、やはり、程よい緊張関係が保てるのかということです。新会長が権力を持ってきた時に、会長と委員長が仲良く、昔からの知り合いであるとなれば、疑念を持つ人もいるということです。そういうふうにメディアは捉えかねません。

 (古森委員長)

 疑い深いですね。

 (菅原委員)

 そのように書かれたりすると、私たちは嫌なのです。そういう意味で、緊張関係を絶対に崩さないということを外に向かって言うことが大事だろうと思います。

 (井原委員)

 それは、経営委員会の役割から言って、よりよいNHKを作りたいという目的は一緒だと思います。ただ、経営委員会と執行部とでは役割が違うため、緊張関係を持って、今後とも論議をしていかなければならないと思い、そのことを申し上げました。
 ただ、菅原委員のご意見で気になっていることがあります。プロセスは大事だと思いますが、プロセスが大事だからこの方を推薦するというだけでは理由にならないのではないかという気がします。先ほど、大滝委員が言われましたように、私も藤原氏がいいという理由をぜひお聞かせ願いたいと思います。

 (古森委員長)

 少しお待ちください。まず、昔からの友達、仲良しではないかとの質問がありました。それに対してまずお答えします。それから次に今の話をお願いします。
 先ほどお会いいただきましたけれども、福地氏は、あれだけの企業を率いてきちんとした実績を挙げています。会長候補になることを引き受けられた時に、今まで長い友達だから決めたということを言う人だと思いますか。そんな人ではないですよ。経営者というのはそんなものではありません。友達だから決めるというようなことでは会社がつぶれます。NHKだっておかしくなってしまうでしょう。そんな人ではないということは断言できます。
 それから、さきほど菅原委員はジャーナリズムの重要性の観点から話をされましたが、NHK会長に要求される条件はいくつかあります。1つは公共放送とは何か、つまりNHKの理念・使命を理解して経営できる人。それから2つ目は、皆さんから受信料を頂戴して経営をしていますので、どんな経営をしてもよいというわけではありません。効率のいい経営をしなくてはいけません。むだも省かないといけません。それで3つ目がコンプライアンスの徹底だと思います。福地氏は放送業界ではないとおっしゃいますが、アサヒビールは、お客様に満足を与える、品質を与える、価値を与えるといったように独自の価値を与えるものを作り出しています。企業の使命をきちんと持っているわけです。したがって、彼が公共放送の使命を経営者として理解し、その使命を発揮できるようなスタッフを揃え、舵を取っていくことは、トップの方針がきちんとしていればできます。
 それから、経営問題については、経営者のモラルとしてきちんと見ることができます。CSRについても、品質管理をしっかり取り組んでいる会社ですから、これについては大丈夫と思います。もう1つ言えば、外部の人ということですので、思い切った改革をすることができるのではないかと思います。改革しなければいけない時期であります。この間の議論で、こうしたことから、外部の人ということになったと思います。以上、福地氏の特性がわかるように申し上げておきます。

 (菅原委員)

 今、NHKの職員が、会長が外部から入るということについて、1万1千人の人たちが、どんな人が来るのだろうとすごく注目しているわけで、そういう中で、やはり「改革」というのがキーワードです。藤原氏は、日銀の副総裁の時に改革したことを、非常に力強く私に語ってくださいました。改革するという情熱は非常にある方です。それからもう1つは、職員の方々が、非常に頼もしく思いやすいという部分です。実務を直接やるというわけではありませんが、非常にハートフルで、スケールの大きい人物です。ですから、どんどん末端まで下りて行って、現場の人の意見を聞いたり、激励したり、最前線の人たちに対する思いがすごくあります。ボランティア活動を一生懸命するタイプで、その人物のスケールの大きさや、あたたかさに対して、共感が得やすいというところが一番推したいところなのです。今までのNHKの会長は、本部にいつもいるという感じで、末端まで行く必要性があまりありませんでしたから。

 (野間委員)

 私の意見ですが、私も、菅原委員から、以前、藤原さんのお話はちょっと伺っていましたので、地元のほうでもいろいろなお話をお聞きしました。ほかにいないのであればともかく、時事通信社という1つの報道機関にずっといた人を、NHKの会長に持ってくるのは、あまり望ましくないのではないかという意見もありました。

 (多賀谷代行)

 私も、最近知ったのですが、放送法には会長となる資格の規定があって、新聞社の役員もしくは職員はなれないという規定があります。残念ながら、藤原氏は、毎日新聞社の非常勤監査役をおやりになっています。非常勤監査役も役員になりますので、法律的には、候補者になり得ない人だと思います。

 (古森委員長)

 確か、過去1年間はだめだったと思います。これは間違いありませんか。

 (小林委員)

 第何条ですか。

 (多賀谷代行)

 経営委員の資格が引用されているはずです。第27条第5項です。第16条第4項の規定を準用するとされていて、この場合、新聞社だけが残るわけです。新聞社が法人である時は、その役員もしくは職員もしくはその法人の議決権の10分の1以上を有する者は、欠格事由に該当します。

 (菅原委員)

 非常勤も同じなのですか。

 (多賀谷代行)

 会社法上、役員というのは、取締役、監査役、会計参与で、常勤・非常勤の区別はありません。

 (小林委員)

 今、菅原さんからいただいた経歴書には、毎日新聞社監査役というのは載っていませんけれども、間違いないですか。

 (菅原委員)

 ですから、私は、指名委員会にかけるところまでの役目であり、そこから先は、指名委員会でそれを精査し、資格要件にあわなければ指名しないことになると思っていました。

 (古森委員長)

 経営委員会として、もう1度、指名委員会に再審議を求めましょうか。−異議なし−

 それでは指名委員会にもう1度戻します。15分休憩して、15時30分から指名委員会を行います。

 

< 休 会 >
<指名委員会>
<橋本会長および古閑監事入室、再開>

 (古森委員長)

 それでは、ただ今から経営委員会を再開します。さきほど、指名委員会から推挙された2人について、再度、指名委員会で審議した結果、藤原氏が毎日新聞社の非常勤監査役であることがわかり、確認したところ、放送法第27条第5項に規定される欠格事由に該当するため、資格がないことが判明しました。したがって、福地茂雄氏1人を経営委員会に報告することになりました。

 (古森委員長)

 会長、監事からは、先ほど意見をお伺いしましたが、さらにご意見はございますか。

 (橋本会長)

 いえ、先ほどのとおりです。

 (古森委員長)

 古閑監事はいかがですか。

 (古閑監事)

 ありません。

 

<橋本会長および古閑監事退室>

 (古森委員長)

 それでは、議論を行います。会長候補は福地茂雄氏1人です。この方にご異議ございませんか。

 (菅原委員)

 私と保委員で反対2票です。

 (古森委員長)

 確認いたします。賛成の方は挙手していただけますか。10人が賛成です。放送法第27条第1項の規定に基づき、現在の会長の任期が平成20年1月24日で満了となるところ、後任者を任命する件につきましては、ただ今議決を行いました。その結果、福地茂雄氏を会長に任命することについて、委員10名の賛成多数となりました。これは、放送法第27条第2項に規定されている委員9人以上の多数による議決という要件を満たしましたので、福地茂雄氏を平成20年1月25日付で任命することを正式に宣言いたします。

 (井原委員)

 これに関連して、意見を2つほど述べさせていただきます。決定には何の異論もありません。私も賛成に挙手しましたから。何度も繰り返しますが、今回の福地氏と経営委員長は、推薦者と被推薦者という関係を終えたからには、今後、経営委員長、会長という、それぞれの職責に基づき、その任にあたっていただきたいと、あらためてお願いをいたします。

 (古森委員長)

 もちろんです。

 (井原委員)

 もう1つは、これまでにも意見が出ていますけれども、外からこられた方は、中のご事情に、率直に言って疎いところがあると思いますので、新会長になられる方は、副会長・理事の任命にあたって、内部に明るい方の登用に十分配慮していただきたいということを申し添えておきます。

 (古森委員長)

 はい。副会長・理事の登用は、新会長が決めることです。われわれはそれに同意することになります。新しい方ですから、助言を求められれば、助言をいたします。それから、最初の件については、そういうご心配があるかもしれませんが。

 (井原委員)

 心配ではなく、一般論として申し上げているのです。

 (古森委員長)

 経営者ですから、そういうことは本当によくわきまえています。

 (野間委員)

 井原委員に賛成です。私もわかっていますけれども、ここでもう一度確認して、意見として申し上げておきます。

 (深谷委員)

 私も申し上げておきます。前から申し上げていたことですが、福地さんはご立派な方だと思いますけれども、井原委員がおっしゃるように、ぜひ、内部に明るい副会長がどうしてもセットにならなければいけないと思います。

 (井原委員)

 要望としてお願いします。

 (多賀谷代行)

 われわれには同意権があるわけですから。

 (深谷委員)

 それで、副会長になる方が、またなにか物議をかもすことのないようご留意いただきたいと思います。

 (菅原委員)

 私も同じ意見です。副会長には、皆さんが本当に総意をもって、職員が好ましいと思う方を選ぶ必要があると思います。

 (多賀谷代行)

 仕切れるような方ですね。

 (菅原委員)

 そうです。尊敬される人ですね。

 (古森委員長)

 社内の人が納得してついていけるような人、リーダーシップのある人ということになると思います。それで、改革に意欲を持っている人、この両方持った人が望ましいと思います。なかなか難しいことですが、私がアドバイスするとしてもそういうことを考えてアドバイスしたいと思います。

 (小丸委員)

 会長がやりやすい体制を作ることです。

 (多賀谷代行)

 福地氏に関する私の印象を申し上げます。1つは現場主義といいますか、現場をよく見られて仕事をされているということと、もう1つは、NHKの番組を非常によく見られていて、NHKに思い入れが非常に強い方との印象を持ちました。

 (小林委員)

 私も意見を申し上げますが、やはり、大組織を率いられた経験もありますし、実績も十分あげられたっていう点も評価できます。

 (多賀谷代行)

 それから、福地氏が財界で活動されているといっても営利的なものではありません。3つあって、1つは芸術・文化支援として、新国立劇場の理事、企業メセナ協議会、東京芸術劇場等にも関与されている。第2に環境保全として、東京商工会議所の環境委員長を最近まで務められるとともに、環境を考える経済人の会の一員として、全国の大学で講演をしておられました。第3に教育関係として、長崎の県立高校で3年間、人生論を講演したとおっしゃっていました。

 (野間委員)

 今の3点はもちろんのことですが、私は、NHKの番組が好きだということが非常に印象に残りました。やはりNHKに対して愛情がないとできないことですし、今、地方文化が切り捨てられているということで、地域の活性化にも非常に熱意を感じました。それから、消費者の目線でということもおっしゃいました。
 私は最初の資格要件を議論する際に、会長は企業人であっても、文化・芸術に対して理解のある方でないと、NHKの会長にはふさわしくないと申し上げましたが、こうした観点からも、福地さんは適任者だと判断いたしました。

 (古森委員長)

 それから、福地氏が先ほどおっしゃたことは、職員の中に入っていきたい、現地・現場に行きたいということです。そこで皆さんを励ましながら、いいNHKを一緒に作っていきたいということです。そういうことはこれまでも行ってきたし、NHKでもやりたい。これは、外から来られる経営者としては、最大の道筋ではないかと思います。

 (井原委員)

 私としては、お伺いしたことに対して的確にお答えになったと思います。価値観の多様化の中で、マスコミが取り組まなければならないことについてお尋ねしたのですが、その価値観の多様性ということに対して、きちんと直視して、その中で一方的な判断にならないよう、工夫もするし、苦しみながら一定の方向を見出して行きたいと言われました。皆さんのおっしゃったことに加えるとすればこの点で、私としては、ご推薦したいと思いました。

 (古森委員長)

 皆さんのご意見をお伺いしました。NHKとして20年ぶりに外部の会長となりますけれども、NHKにはいろいろな問題があります。改革しなければいけないということは、衆目の一致するところです。新しい会長を、われわれはなぜこのように一生懸命に選んだのか、努力したのかということですが、これはNHKに変わってもらいたいということからです。情報の公開はもちろん大事ですけれども、NHKが変わる道は何かということで、一生懸命頑張ったということであろうと思います。私は歴史的な一日になるのではないかと思います。しかし、これはスタートでありまして、実際、われわれは経営委員会として、執行部と適度な緊張感があって良好な関係を築いていかなければなりません。そして、コミュニケーションを十分に取りながら、NHKの前進のために協力するという、非常に前向きな関係を作り上げていく使命があります。そしてNHKの改革を進めて、日本の社会や国に役に立つ、もっともっと役に立つNHKにすることが、国民に対する最大のわれわれの責務だということだと思います。皆さまどうかよろしくお願い申し上げます。

 

 

2 その他

 (1) 指名委員会議事録について

 (古森委員長)

 指名委員会の議事録の取扱いについて確認します。

 (多賀谷代行)

 さきほど議論しましたが、ここできちんと確認しておいたほうがよいと思います。私が今、承知していることは、前回と前々回の議事録については、もう少し全体の流れが見えるように加筆修正するということで、発言者名は記載しないということだったと思います。それから、今日、福地氏と藤原氏のお二人を評価した部分の記載はどういたしますか。

 (古森委員長)

 それはリーガルチェックによっては省いたほうがよいかもしれません。

 (深谷委員)

 欠格事由で差し戻した部分もストレートに書くのですか。

 (多賀谷代行)

 指名委員会の議事録では、当初、福地氏と藤原氏の2人をNHK会長候補者として推薦することになった旨を記載し、経営委員会の審議中に藤原氏がNHK会長としての欠格事由に該当することが判明したため、経営委員会から差し戻され、再審議したことを書くことになると思います。

 (菅原委員)

 それでいいと思います。

 (野間委員)

 私は、発言者の氏名を記載してもよいと思います。なるべく詳しく書くべきです。

 (深谷委員)

 もう1つ確認したいのですが、国会から議事録の公表が求められています。以前の議事録を含めて、どのようにするのですか。

 (岩崎委員)

 しかも個々人の特定ができるものとなっています。

 (多賀谷代行)

 前回と前々回の議事録は、私のメモがありますので、もう少し詳しくできると思います。ただし、発言者名の記載は無理です。

 (小林委員)

 メモだけでは不正確となる可能性があります。詳しくできるのは今回からです。

 (古森委員長)

 菅原委員は、さきほど候補者の資格を審査するのが指名委員会だとおっしゃいましたが、その前に経営委員として、ご自身がチェックする責任があったと思います。それから、藤原氏ご本人の意思確認も、推薦者として最低限の責任だと思います。この両方を行わないで、候補者を2人出さなければいけないから推薦したというのでは話になりません。しかも、藤原氏は、NHK会長としての欠格事由に該当するのではないかとわかっていながら、そのまま推薦されたことは、本当に無責任だと思います。

 (菅原委員)

 ご意見はわかりました。私自身の言い訳になりますが、この経歴書を書いた段階では知らなかったのです。それがわかったのは昨日の夜で、新聞を見ていたら、そのことが書かれていました。

 (古森委員長)

 そうでしたら、経歴書を修正すればよかったではないですか。

 (菅原委員)

 今日は、指名委員会が開催されるというくらいの気持ちで、外部から、十分に時間をかけて検討してほしいとの要望がたくさん来ているので、指名委員会では候補者の招聘を含めて何日間かかけて審査することになると思っており、今日、こういう形で決めることになるとは思っていませんでした。

 (古森委員長)

 前回は「極力12月25日に決定すべく進める」と議事録にも書いてあります。勝手にそのように解釈しないでください。

 (大滝委員)

 議事録は、個々人の発言を特定できるものとなっていますので、出せないのであれば理由を明らかにする必要があります。

 (小林委員)

 個々の候補者の評価については、プライバシーの侵害や名誉毀損となる可能性があるということです。

 (野間委員)

 発言者名は本当に書かないのですか。私は書いていただいても結構です。

 (小林委員)

 否定的な内容であればチェックする必要がありますが、今回は、そうではない部分も多く、書けるところも多いと思います。

 (多賀谷代行)

 発言者名を記載するということですか。

 (小林委員)

 個々の発言について、発言者が了解すればいいわけです。

 (井原委員)

 発言者の氏名を記載してもいいですから、各委員に確認してください。

 (小林委員)

 議事録案を作って、回してもらいましょうか。

 (小丸委員)

 経営委員会と同じようにしましょう。

 

 (2) 菅原委員と保委員の2人による緊急記者会見について

 (古森委員長)

 12月19日に菅原委員と保委員が緊急記者会見を行ったことについて、ご意見をお聞きしたいと思います。これについては、事前に皆さまからご意見をいただき、集約していますので、先にそれを申し上げたいと思います。1つは、「議事録の公開、民主的な議事運営、候補者の取扱いなど、本来、経営委員会で議論すべきことを、いきなり記者会見されたということは、誠に不意打ちであり、ひどい」という意見が多数寄せられました。それから、2つ目としては、「不正確で、発言者名を記載した備忘録を、発言者の了解を得ずに公表したことは、コンプライアンスを欠く行為だ」ということです。それから、3つ目は、「他の経営委員が、言うべきことを言っていない。委員長のそのような運営を許してしまった」という極めて屈辱的なことをおっしゃったことです。私から言えば、他の委員もいろいろと発言されていると思います。私は前回、時間の関係もあって、菅原委員の発言を、さえぎったかもしれません。それは申し訳ないと思いますが、それを威圧的な運営で一方的に決めたということではないと思いますし、何人かの委員も、そんなことはないと怒っています。いずれにしても、お二人の取った行動は、礼を失している、侮辱的である、事実に反するなど、極めて問題であるというのが、皆さんの意見です。

 (深谷委員)

 私の意見を申し上げますと、突然の会見と備忘録の公表というのは非常識だったと思います。このことは全体の総意だと思います。議事運営について、委員長が自信を持って引っ張っているのはわかりますが、それを制してでも、我々は発言すべきだということは思っています。しかし、委員長は、「時間がない」という発言を時々されます。それは、できるだけやめていただきたいと思います。できるだけ多くの意見を聞いていただきたいと思います。

 (古森委員長)

 わかりました。気をつけます。本日は時間をたっぷり取りましたので、そのような運営はしていないと思います。それから、皆さんにもお願いしたいことは、コンパクトにご発言願いたいと思います。

 (深谷委員)

 それは共同責任です。

 (古森委員長)

 ただ、はっきりさせたいことは、前回の指名委員会の議事運営が、私が強引に引っ張って結論を導きましたか。皆さんもいろいろな意見をおっしゃったと思います。これについていかがですか。

 (小林委員)

 お二人が会見したお考えは、古森委員長が言論を封殺するような議事進行をして、他の経営委員は何も言うことができない。お二人が言っても、それを取り上げてくれる雰囲気もない経営委員会になっているということが前提になっています。これは、私が経営委員として、職責を十分に果たしていないということを意味します。私は経営委員会で言うべきことを言い、委員長と違う意見も言わせていただいています。少なくとも、言論が封殺されたという認識はもっていませんし、経営委員として言うべき主張は、しっかりと言っている自信があります。

 (野間委員)

 私も、備忘録を見て、まったく関係のないところから、「経営委員会は何をしているのか」と問い合わせがあり、どのように説明したらよいかわかりませんでした。備忘録は全体を通して、お二人は非常にNHKのことを考えていると思いますけれども、ほかの委員は、委員長の言いなりで、何もしていないような印象を受けます。

 (小丸委員)

 私は、会見されたことに対する是非は問いませんが、公表された備忘録の内容については抗議したいと思います。各委員に確認するなど、もう少しケアする必要があったと思います。

 (岩崎委員)

 前回は時間を取って、委員ひとりひとりに「あなたはどう考えますか」ということを丁寧に聞いたと思います。意見の中身が違うのは別として、そういった手続きはきちんとされました。

 (多賀谷代行)

 この備忘録には、小林委員は1回しか発言されていませんが、私のメモだと5回は発言しています。

 (小丸委員)

 前回の会長任命の時も時間はタイトでしたが、石原前委員長のもと、それなりにまとまったと思います。しかし今回は、何かがずれて、よくない状況になっています。やはり経営委員会の調和を大切に考えなければいけないと思います。

 (古森委員長)

 私の議事運営が緩いため、いつも時間が足りなくなります。もう少し強引に仕切る必要があるのではないかと思ったりします。

 (多賀谷代行)

 そんなことはないです。

 (小丸委員)

 これはあたり前のことであって、強引ではありません。委員長はどんどんリードするべきです。

 (野間委員)

 委員長は確かに声が大きいし、自分の言いたいことをしっかり言うし、違う意見を言うと嫌な顔をされたりするから不愉快に思うかもしれませんが、最終的に意見を強制されたことはないと思います。

 (小丸委員)

 委員の承諾なく備忘録を公表されたこと自体は、異議を申し上げます。

 (飛田委員)

 私も、備忘録を承諾なく公表したことは、非常に憤慨しています。これはどなたもそうだと思います。

 (井原委員)

 私もそのとおりです。突然の会見と備忘録というのは問題だと思いますが、感じ方の問題ですので、委員長にはこういうお考えの方がいることを踏まえて、議事運営にあたっていただきたいと思います。

 (古森委員長)

 はい。皆さんのご意見をお聞きしました。議事運営として、このぐらいは仕方ないという意見もありましたが、とんでもない議事運営をしたとの意見ではありませんでした。これについては、はっきりと反論したいと思います。皆さんの名誉にも関わることだと思います。

 (小林委員)

 私の名誉に関わることです。

 (菅原委員)

 はい。名誉毀損ということですね。

 (古森委員長)

 名誉毀損だけではなく事実と違うということです。

 (菅原委員)

 事実と言うのであれば、皆さんに聞いていただいて、私の備忘録の間違ったところを修正し、完璧なものを作ればよいのではないでしょうか。

 (小林委員)

 今さら修正しても、それだけでは間に合いません。

 (多賀谷代行)

 公表したこと自体が許されることではありません。

 (野間委員)

 委員長、菅原委員も保委員も一生懸命、NHKのことを考えて行動されたことですので、こうした行動は遺憾に思いますが、これ以上ごたごたさせないよう、ご配慮願います。

 (小林委員)

 菅原委員と保委員に、緊急記者会見したことや正確でない備忘録を公表したことについて、非を認めていただくというのは難しいのですか。

 (菅原委員)

 無断で公表したことについては、皆さまに謝罪のメールをお出ししました。

 (多賀谷代行)

 非を認められるということですね。

 (菅原委員)

 はい。

 (多賀谷代行)

 お二人で緊急記者会見されたことについてはどうですか。

 (菅原委員)

 記者会見については、私は正当だと思っています。備忘録については非を認めます。発言者名を出したことは、たいへん申し訳ないと思っています。ごめんなさい。

 (古森委員長)

 備忘録の内容が間違っていることについてはどうですか。

 (菅原委員)

 これも私の責任です。お詫びいたします。

 (古森委員長)

 本来はここの場に諮るべきことでしょう。

 (菅原委員)

 25日に決めるという流れは、ものすごく大きなパワーで、それに関して、ふさわしい候補者を何とか挙げたいと思っていましたし、私も保委員も、何か今の運営は違うという感じがしていました。

 (古森委員長)

 誰も出してはいけないとは言っていないでしょう。外部か、内部かという話をして、それで、外部の人を今日、推薦してきたわけでしょう。候補者の資料を出してくださいといっていましたが、本日まで出てきませんでした。

 (菅原委員)

 前回はOBの方を考えていましたけれども、皆さん外部がいいとおっしゃったので、外部できちんと俎上に乗る候補者を挙げたいと考え、あのような行動をとってしまいました。

 (保委員)

 少し違います。聞いてください。12月13日の時点で、12月25日に「決める」とおっしゃいました。

 (多賀谷代行)

 「決める」ということは、「決めたい」ということです。

 (古森委員長)

 どうしてその時に反対しなかったのですか。

 (保委員)

 皆さんは、おかしいと思わなかったのですか。

 (野間委員)

 「決める」ということは「決めたい」という意思表示だと私は受け止めました。決められないかもしれません。

 (古森委員長)

 「できれば決めたい」と言いました。

 (菅原委員)

 記者ブリーフィングでは、「決める」とおっしゃっています。

 また、大事な会長選出に際しての委員長記者ブリーフィングで、外部の人が最適だという意見に反対したのは1人とおっしゃいました。それで、多賀谷代行が1人か2人と言い直しています。2人が保留したことも出ていません。

 (井原委員)

 先ほどの25日に決めたいというのは、受け取り方の問題であって、たぶん「決める」というところまで断言しなかったと思います。

 (古森委員長)

 そうです。私の意見だけでは決められません。

 (菅原委員)

 記者ブリーフィングで、外部の人を選びたいということに対して、反対者が1人ということについてはいかがですか。

 (古森委員長)

 賛成、反対、保留が8対2対2だったと言いました。

 (菅原委員)

 いいえ。記事は全部1人か2人となっています。

 (大滝委員)

 記者ブリーフィングが正確かどうかは大事なことですが、経営委員会として8対2対2をしっかりと確認しています。

 (多賀谷代行)

 経営委員会で皆さんがきちんと確認しています。

 (小林委員)

 多賀谷代行の議事録にも書かれています。

 (菅原委員)

 議事録は今日いただいたものではないのですか。

 (多賀谷代行)

 議事録は、事前にメールでお送りしています。

 (菅原委員)

 でもこれは、数の暴力というのもあります。前回の指名委員会をきちんとテープで録音していれば、このような議論をすることにはならなかったと思います。

 (多賀谷代行)

 「〜していれば」という議論ではありません。テープがないと言っても、各委員が完全に覚えています。菅原委員が言っていることのほうが、根拠のない話だと思います。

 (野間委員)

 保委員のご発言は、外部の人も内部の人も出した中で、「人物本位で決めたい」ということでしたので、「外部の人に反対」という意見ではないと思っていました。

 (古森委員長)

 人物本位だとおっしゃいました。

 (保委員)

 私は、一貫して、できれば内部の人がよいということを申し上げていたと思います。

 (多賀谷代行)

 委員長が記者ブリーフィングで、外部の人を選びたいということに対し、反対は1人だったと言ったのを、私が1人か2人と言い直しましたが、このことに他意があるわけではありません。

 (菅原委員)

 少数意見はなかったことにされたのではないか、数というのは暴力になることもあると思いました。

 (多賀谷代行)

 そんなことはしません。

 (菅原委員)

 皆さんは圧力と感じなくても、私たち2人にとっては、圧力だったと思っているわけです。

 (小林委員)

 そう言ってくれればいいのですけれども、お二人の会見は、委員長の圧力で、委員は誰も言いたいことが言えていないという主旨だったでしょう。

 (菅原委員)

 皆さんの意見が2週間で大きく変わり、それで、議論の流れも変更され、名前を出さずに外部か内部かという議論になり、それについて、ひとりひとりの意見をお聞きになったというやり方が、私たちは、おかしいと思っているのです。

 (岩崎委員)

 内部であれば一番いい人を選びましょうということで、執行部では橋本会長から議論していったのです。

 (菅原委員)

 名前を出さないで、「あなたは外部がいいですか、それとも内部ですか」という言い方で聞いていって、外部が9人だったのです。そのような数え方をされたことがおかしいと言っているのです。

 (古森委員長)

 外部は8人でした。

 (菅原委員)

 その場で、9人と一度数えられたのです。

 (小林委員)

 大滝委員と井原委員は保留されたのですよ。

 (岩崎委員)

 だから、8対2ですよ。

 (菅原委員)

 ですから、私たち2人は、皆さんの意見が変わったことも、名前を出さないで、そういった議論をしたことも含めて、普通の感覚ではついていけないと思っているのです。

 (多賀谷代行)

 そろそろまとめたいと思います。私のまとめた意見を聞いてください。第1に突然の会見と全経営委員の了解なしに、不正確な備忘録を出したことは、経営委員会の一員として許されないことである。ただし、今後は、経営委員会の運営が円滑にいくように、全員で配慮する。不正確な備忘録を公表したことについては、菅原・保両委員は経営委員会でその非を認め、謝罪した。これに対し、2委員は会見をしたことを正当と主張しており、経営委員は、この主張を根拠のない誤った主張であると判断する。

 (古森委員長)

 また会見するということにはなりませんか。

 (多賀谷代行)

 今後また会見されることは、やめていただきたいと思います。

 (菅原委員)

 記者会見をやめなさいと言われても、今日も10対2です。このような流れの中では、皆さんの意見が大多数となります。その中で、謝罪しなさいというのは圧力だと思ってしまうわけです。外部に会見して公表したのは、もうどうしようもないと思って、信念に基づいて行動したことなのです。

 (古森委員長)

 民主主義というのは、基本的に意見を戦わせて決めることです。最後まで決まらないときは多数決になる。多数決によって少数の意見を踏みにじったというのであれば、民主主義は成立しません。そのようなことを考えたことはありませんか。

 (菅原委員)

 私は内部でもOBを考えていたので、現職から選ばないということには抵抗ありませんでしたけれども、保委員は現職を推したいと切に思っていたので。

 (多賀谷代行)

 12人中10人が賛成ですから、それを尊重するのが義務だと思います。

 (菅原委員)

 ですから、テープで録音していれば、皆さん大きな声で「謝罪しろ」とは言わないでしょう。

 (小林委員)

 「非を認めますか」とお聞きしました。

 (菅原委員)

 「非を認める」というのは、謝罪しなさいとか、謝罪文を出しなさいということでしょう。

 (多賀谷代行)

 そんなことは言っていません。非を認めて、「すいませんでした」と言われましたので、非を認め、経営委員会で謝罪をしたというふうにまとめたいと言っているのです。

 (菅原委員)

 備忘録を公表したのは私の責任です。それに関しては、本当に申し訳ないと思っています。

 (多賀谷代行)

 ですから、それを私は「経営委員会でその非を認め、謝罪した」とまとめました。よろしいですね。

 (菅原委員)

 備忘録を皆さんの許可を得ないで公表したことについては、たいへん深く反省し、本当に申し訳なく思っております。

 (多賀谷代行)

 それでは、備忘録についてはそのようにまとめることといたします。しかし、緊急会見については、お二人は正当と主張していますが、ほかの経営委員は、不当であると判断しています。

 (菅原委員)

 そういうことですね。

 (古森委員長)

 他の経営委員としては、そう言わざるを得ないです。

 (菅原委員)

 それで結構です。

 (多賀谷代行)

 それで、今後、個人のことなので止めることはできませんが、できれば、こういう会見はしてほしくないということを、伝えたということです。

 (古森委員長)

 このような記者会見が行われるようだと、意見が話せなくなります。

 (岩崎委員)

 意見が言えなくなります。

 (深谷委員)

 多賀谷代行のまとめは大筋で賛成です。ただ、議事運営の手順やプロセス、決め方は、民主主義に則ったものだと思いますが、1つだけ加えるとするならば、繰り返しで申し訳ありませんが、この「時間がない」という議事運営の雰囲気は、われわれも協力しますので、委員長にもご留意願いたいと思います。

 (古森委員長)

 わかりました。

 (井原委員)

 私も繰り返しになりますが、ご配慮いただきたいと思います。

 (古森委員長)

 これからは、できるだけ議題を絞らせていただいて、時間を十分に取りたいと思います。また、議題については、最初に時間の割り当てを申し上げますので、皆さんご協力いただきたいと思います。

 (菅原委員)

 途中で採決されることがあってもいいのではないですか。採決は明白であって、暴力ではありません。

 (多賀谷代行)

 それでは、私のまとめた見解をもう一度、読み上げます。
 1、突然の会見と他の経営委員の了解なしに不正確な備忘録を出したことは、経営委員会の一員として許されないことである。
 2、今後、経営委員会の議事運営については、限られた時間の中で円滑に行うように全員で配慮する。
 3、不正確な備忘録を公表したことについて、菅原委員は経営委員会で非を認め謝罪した。
 4、なお、両委員は委員長による議事運営に強引なところがあるとし、それを理由に会見の正当性を主張した。他の経営委員は、この主張は、根拠のない誤った主張であると判断する。

 (古森委員長)

 このような内容でよろしいですか。

 (井原委員)

 2番目のところは「委員長をはじめ、全員で配慮する」ではないでしょうか。

 (多賀谷代行)

 「議事運営については、限られた時間の中で、円滑にいくように、委員長をはじめ全員が配慮する」です。

 (古森委員長)

 最後のところは、それでよろしいですか。

 (多賀谷代行)

 「両委員は会見をしたことを正当と主張し、他の経営委員はこれを根拠のない誤った主張であると判断する」ということです。

 (野間委員)

 私は、委員長の圧力ということはなく、私たちも意見を闊達に発言しているということを、どこかに入れていただきたいと思います。

 (多賀谷代行)

 「両委員は、議事運営の不当性を理由に会見したことを正当と主張した。ただし、他の経営委員はこの主張を根拠のない主張」というようにしましょうか。

 (古森委員長)

 各委員は正当に発言し、正当に結論が出されたと認識しているとのことですので、2人が主張されていることは、誤りだと言っているということです。

 (菅原委員)

 私は、自分の意見をはっきりと言ってしまうタイプなので、しゃべりすぎというふうに言われたりすると、やっぱり意見が封殺されたと思ってしまうわけです。そこの部分を後からテープを聴くことによって、私自身が言いすぎているのか、それとも、抑えた委員長が言いすぎているのかわかると思いますし、全体の流れとしても、お互いに言いすぎないよう抑えることが出来ると思うのですが、これは、おかしいですか。

 (古森委員長)

 その場の雰囲気もあると思います。テープを録って後で聴いてみないとわからないではなく、その場で皆さんは判断しているのです。

 (多賀谷代行)

 そうしますと、「なお、両委員は委員長による議事運営に強引なところがあるとし、それを理由に会見の正当性を主張した。他の経営委員は、委員長による議事運営は正当になされ、活発に発言しているので、両委員の主張は根拠のないものと判断した」ということでよろしいですね。

 (古森委員長)

 そして、正しく議決されたということです。

 (多賀谷代行)

 「活発に発言し、正しく議決されているので」としましょう。

 (保委員)

 最後に確認しますが、12月13日の議事運営について、皆さんは正当で、問題はなかったというご意見なのですね。

 (小林委員)

 そう思っています。

 (古森委員長)

 それでは以上で本件を終わります。このあと全体会議を行います。

 

 

3 委員長報告
  会長の任命について

 (古森委員長)

 次期会長決定のご報告をいたします。本日の経営委員会にて、放送法にのっとり、会長任命の議決を行いました。12人中10人の賛成を得まして、福地茂雄氏を1月25日付けで会長に任命することと決定いたしましたので、ご報告いたします。

 

 

4 会長報告

  業務概況について

 (橋本会長)

 最初に、放送法等の一部を改正する法律案についてご報告いたします。放送法等の一部を改正する法律案の審議が、衆議院に続いて参議院で行われ、12月21日に可決成立しました。従いまして、NHKは、4月1日から、改正放送法に基づいた業務運営が求められることも想定されますので、定款や規程等を変更しなくてはなりません。放送法改正に伴って必要となるこれらの措置は、経営委員会の議決を要するものが多くありますので、想定されるスケジュールに沿って、相談しながら進めてまいりたいと思います。
 次に、フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展につきまして。天皇、皇后両陛下にもご覧いただきまして、たいへんお喜びいただきました。
 続きまして、「ふれあいミーティング」につきまして、永井副会長からご報告させていただきます。
 (永井副会長)
 役員が出席して行う「ふれあいミーティング」を、年に2回以上実施するというお約束をしておりますが、今年は11月の名古屋に引き続き、12月15日に、鹿児島で実施いたしました。鹿児島での実施を決定したのは9月上旬で、当初は会長の出席を予定しておりましたが、諸般の事情により欠席となり、NHKからは私と原田専務理事、小林理事、鹿児島放送局長が出席いたしました。視聴者の代表として5人の地元有識者にパネリストとしてご参加いただいたほか、次回の大河ドラマ「篤姫」の鹿児島ロケにご協力いただいた方37名をお招きして、2時間10分にわたり、意見交換を行いました。
 (原田専務理事)
 20日の参議院総務委員会で、鹿児島でのふれあいミーティングについて、質問を受けました。私どもが鹿児島でのふれあいミーティングに参加いたしましたのは、今、副会長が申し上げたとおりで、その折に、地元の経営委員の方にも、視聴者活動の様子を見学していただいたらどうかということで、視聴者サービス局から経営委員会事務局を通じてご案内いたしました。ミーティング終了後、職員たちとの懇親会を行いましたので、その場にも、委員にご出席いただきました。参加者は20人ほどで、完全会費制で行いました。そのことを国会でお答えをいたしました。私どもが経営委員の皆さんを取り込もうとしたり、工作をするなどという、一部週刊誌に書かれておりますようなことは一切ございません。また、経営委員の方から、番組への働きかけがあったということも、一切ございません。

 

 

5 審議事項

 (1) 平成20年度収支予算案の一部調整について

 (八幡理事)

 平成20年度収支予算案の一部調整についてご説明いたします。アーカイブス・オンデマンドの区分経理など放送法の改正、および国際放送交付金の増に伴い、収支予算案の一部を調整することといたします。前回、12月13日にご説明した案から調整を行い、変更した部分を申し上げますと、国際放送交付金が確定したことで、収入が8億円増加しております。一方、テレビ国際放送の充実ということで、事業支出の国際放送費が5億円増加しております。また、放送法改正に伴い、番組アーカイブ業務勘定が新設されました。アーカイブス・オンデマンド事業(仮称)を平成20年12月から開始するため、今まで一般勘定に準備経費としておいていたものを、新たに区分しなおしています。その他の放送法改正に伴う予算案の調整として、監査委員会の設置、委員の一部常勤化、監事制度の廃止、アーカイブスの強化、経営委員会による受信者意見の聴取等に見込まれる金額を計上しております。こうしたことから、一般勘定の収支過不足は前回の説明では54億円としていましたが、最終的には68億円としたいと考えています。
 本日ご説明した内容で、予算編成要綱を調整いたしました。この後は、次回の経営委員会で最終的に総務大臣に提出する予算書の議決をお願いしたいと考えています。

 (井原委員)

 この番組アーカイブ業務勘定を新設するというのは、実態をよく表すと思います。参考までに伺いたいのですが、海外の放送事業者でも、こういう勘定科目は別立てにしているのですか。

 (八幡理事)

 海外については、今、手元にはありませんが、NHKについては別会計でということになっています。

 (井原委員)

 この事業が大切で、必要だからだということなのですね。

 (橋本会長)

 基本的に受信料は、あまねくという考え方ですが、アーカイブス・オンデマンドはそうではなく、特定の人が享受するサービスですので、会計はやはり分けたほうがいいだろうという考えです。

 (井原委員)

 それはよくわかるのですが、出てきた財務状況を総合的に比較考量する時に、NHK以外の放送事業者の勘定体系がどんなふうになっているのかという関心で質問いたしました。

 (永井副会長)

 この件については、後ほどお調べしてわかればお答えいたします。

 (古森委員長)

 先日、国会に呼ばれました時、国会議員のある方から、NHKの受信料収入が増えてきているようだが、むだづかいをしないようにということをおっしゃっていて、その中で、一説ではカメラを買って配っているという話も聞いているとの発言がありました。このようなことはないと思いますけれども、いかがですか。

 (橋本会長)

 年度途中に機材を購入したり、予算を配付するということは、財政収入の多寡とは関係ありません。通常は年度当初に予算をまとめて配付するのではなく、年度途中で必要に応じて調整しています。カメラの配備についても、配備計画に基づいて行っており、収入が増えたから行うというものではありません。

 (古森委員長)

 予算案で決まっているのですか。

 (橋本会長)

 建設計画や、補修計画など、経営委員会でご了承いただいた内容で、枠は決まっています。何を購入するにしても、年度当初にまとめて購入するということではなく、在庫調整を行いながら、進めております。

 (多賀谷代行)

 当初の計画に比べて支出が少なくてすんだ場合、年度末に余分な購入を行っているのではないかということをおっしゃっているのだと思いますが、そのようなことはないと考えてよろしいですね。

 (橋本会長)

 建設計画などは、仕様書をまとめて入札し、購入や借用に至るのが年度後半になることもあります。いわゆる納品調整や在庫調整、あるいは予算配付についても調整しながら行っており、経営委員会で承認をいただいた建設計画や補修計画に沿って進めているということをご理解ください。

 (古森委員長)

 カメラは建設予算ですか。それとも設備予算ですか。

 (橋本会長)

 おっしゃっているカメラがどのようなものなのかによります。

 (古森委員長)

 国会議員の方は、小型カメラとおっしゃっていました。

 (永井副会長)

 小型カメラですか。よくわかりませんが。

 (古森委員長)

 カメラについては、今、購入するよりも借りるほうが多いのですか。

 (橋本会長)

 報道取材用の小型カメラを指すのか、あるいは別のものなのか、具体的にどういうカメラを指しているのかがわからないと購入したものなのか、借用したものなのかわかりません。

 (古森委員長)

 具体的に思い当たらないということですね。

 (橋本会長)

 そうです。

 (古森委員長)

 そうですか。いずれにしろ、言うまでもありませんが、むだづかいのないようにお願いしたいと思います。

 (八幡理事)

 予算消化ということはしておりません。昨年度も繰越金を積んでおり、効果的に使うところは使い、残すところは残すという仕組みを作っています。

 (古森委員長)

 退職給付にかかる積立金が不足しているという指摘もありますが。

 (八幡理事)

 これはNHKの大きな財政課題の一つです。

 (古森委員長)

 そういうところに、予算を補充していくという考え方もありますが。

 (岩崎委員)

 先日のステアリングチームの打合せの際に、損益計算書と貸借対照表、NHK単体の個別決算と連結決算を出していただきましたが、退職給付引当金が2百数十億円しか積み立てられていませんでした。一般会計基準でみると、まだまだ積立不足があります。5か年計画か、来年度計画で組み込むなど、早急に対応をしないとたいへんなことになります。

 (八幡理事)

 NHKは一度に多額のお金を積めないものですから、今は15年間の償却で、退職給付の不足部分について、きちんと積み立てをしています。

 (岩崎委員)

 日本の世帯数は、あと7〜8年で減り始めますから、15年というのはたいへん厳しいです。先が見えない話なので、余裕があるのなら、もっと期間を短縮して考えないといけない、極めて大きな問題だと思います。

 (八幡理事)

 その課題については、別途ご相談させていただきながら、進めてまいります。

 

 (2) 平成20年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画(案)について

 (石村理事)

 平成20年度国際放送の放送番組編集の基本計画(案)についてご説明いたします。1月11日に、国際放送番組審議会で答申をいただいて、次回の経営委員会で議決していただくことになりますので、本日は予備審議ということでお願いたします。
 平成20年度にテレビ国際放送がどう変わるのか、簡単に説明します。ワールドテレビは現在英語での放送が約20時間、日本語が約4時間ですが、これが平成20年10月から24時間英語での放送になり、外国人向けのテレビ放送になります。また、ワールドプレミアムは現在24時間スクランブル放送で日本語の番組を流していますが、ワールドテレビが英語に特化する部分の日本語放送を今後は、ワールドプレミアムのチャンネルを使って行うことになり、約5時間のノンスクランブル放送を邦人向けに行います。
 現在のワールドテレビの編成を1時間単位で見ると、現在は英語の字幕付きBSニュースが15分、英語番組か、英語化された国内番組か、日本語番組のいずれか30分、残りの15分が英語ニュースという構成になっています。それが平成20年10月からは、15分の英語の字幕付きBSニュースと英語ニュースは引き続き放送しますが、30分の英語番組と英語化された国内番組の本数を増やして、日本語番組をなくします。国際放送が新しく衣替えする平成21年2月には、30分を新NEWS LINEという英語ニュースとして、日本をはじめ、アジアの情報や経済情報を伝えます。そして残り30分を英語番組か、英語化された国内番組で1時間を構成、4時間で一区切りとし、これを6回繰り返し放送します。
 最後に平成20年度の国際放送番組の編集の基本方針について申し上げます。放送法改正にあたり、国際放送でこれまで同一波で実施してきた外国人向けと邦人向けのサービスを分離して、とりわけ外国人向けの英語によるテレビ放送を大幅に強化します。外国人向けのワールドテレビは、英語化率100%を後半期改定で達成し、英語で独自に制作したニュース・番組を拡充します。邦人向けのテレビ国際放送は、後半期からワールドプレミアムチャンネルを活用します。外国人向けラジオ国際放送は17言語による放送サービスを維持し、また邦人向けラジオ国際放送は、内容の充実・強化に努めます。インターネットについても、テレビ・ラジオと並ぶ第3のメディアとして、ニュース番組の動画配信や多言語の情報提供を充実させてまいります。説明は以上です。

 (深谷委員)

 1時間単位というイメージはわかりますが、4時間単位というのは、どういうことですか。

 (石村理事)

 まず、1時間の前半30分はニュース、後半30分は番組という構成になっています。前半のニュースは、もちろん毎回更新します。後半の番組も、毎時差し替えて放送しますが、4時間で4本の番組を放送し終えたところで、5時間目からは、また最初の番組に戻り、毎時順番に番組を再放送していきます。このように、番組は4時間を1つの単位として1日6回繰り返し放送することになります。

 

 (3) 「放送受信契約の締結拒否者に対する民事訴訟の実施に関する基本方針」について

 小林理事から「放送受信契約の締結拒否者に対する民事訴訟の実施に関する基本方針」について説明を受けた後、意見交換を行った。

 

 

6 報告事項

 (1) 契約・収納活動の状況(平成19年11月末)

 (小林理事)

 契約・収納活動の状況について、簡潔にご報告いたします。契約総数増加状況は好調に推移しており、年度累計では23.6万件で、19年度目標を上回る実績となっています。衛星契約増加状況については、年度累計で33万件、達成率82.3%で、引き続き堅調に推移しています。支払い拒否・保留数は、第4期末の現在数が、対前期比で2.9万件減少し、71.2万件となりました。また、第4期の当年度収納額は1,044億円で、年度累計は4,133億円となり、これも堅調に推移しています。最後に支払い者率ですが、今年度末71.3%を目指していますが、この11月末の段階で、ほぼそのレベルに達しているのではないかと考えております。

 

 (2) 財政の現況(平成19年11月末)

 (八幡理事)

 平成19年11月末の財政の現況について、ポイントだけご報告いたします。現在の営業成績を踏まえまして、事業収入は11月末の施行予定額より106億円上回り4,339億円となりました。これは受信料の増収76億円等によるものです。事業支出は効率的・効果的な運用を行った結果、施行予定額を115億円下回っております。その結果、11月末の収支過不足は234億円となっており、収支ともに順調に推移しております。

 

 

7 その他

 (橋本会長)

 大阪放送局の職員が痴漢行為を行い、停職処分といたしましたが、その職員は依願退職するということになっております。
 (古森委員長)
 経営委員会からもご報告いたします。12月19日に経営委員2人が記者会見を行ったことに関して、経営委員としてたいへん問題であるという受け止めが強いので、本日この件に関する経営委員会の見解をまとめました。
 (多賀谷代行)
 4点の形で見解をまとめました。読み上げます。
 1、突然の会見と他の経営委員の了解無しに不正確な備忘録を出したことは、経営委員会の一員として許されないことである。
 2、今後、経営委員会の議事運営については、限られた時間の中で円滑に行うように委員長をはじめ全員で配慮する。
 3、不正確な備忘録を公表したことについて、菅原委員は経営委員会で非を認め謝罪した。
 4、なお、両委員は委員長による議事運営に強引なところがあるとし、それを理由に会見の正当性を主張した。他の経営委員は、委員長による議事運営は正当になされ、活発に発言し正しく議決されているので、両委員の主張は根拠の無いものと判断した。
 (古森委員長)
 その件については以上です。
 最後に、橋本会長に感謝の意を述べさせていただきます。橋本会長には1月24日まで会長を務めていただきますが、この3年間、NHKのたいへんな時期に会長職を担っていただき、改革を進めてこられたことを、国民を代表して厚く御礼申し上げます。新しい会長への引継ぎを、どうぞよろしくお願いいたします。そして、新しい会長のもとに、NHKが新しい目標を掲げて、5か年経営計画の策定を行い、明確なる改革の針路を示されることを期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 新会長となる福地茂雄氏は、アサヒビールの社長、会長を7年間務められ、現在相談役であります。アサヒビールを改革し、シェアナンバーワンにした立役者で、十分な経営手腕を発揮してこられました。またアサヒビールは、企業メセナが盛んな企業で、福地氏は社団法人企業メセナ協議会の理事長をなさっています。そして東京芸術劇場の館長、新国立劇場の理事もなさっており、会社としても、個人としても文化活動を盛んになさっています。さらに、CSRを非常に大事にされ、アメリカの賞も受けられたということもございます。人格も円満な方で、現場主義をモットーにされており、NHKでも現場の声に耳を傾け、職員に溶け込んで、がんばっていきたいという意気込みを持っておられます。NHKの現在の経営課題として4点ほどあげられると思います。まず1点目は、さらなる激変の時代において、日本、世界の経済問題、社会問題、教育問題、文化、芸術など、さまざまな課題についての情報発信をさらに充実させていくということ。2点目は、国民の信頼を回復させ、高めていくこと。3点目は、効率的な経営を行い、組織改革、改善に努めていくこと。そして4点目は新しい時代に向けたNHKの改革を行うこと。以上の4点について、福地氏も同じような認識をお持ちのようで、ぜひ職員と一丸となって、進めていきたいということです。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成20年1月15日    

古 森  重 

多賀谷 一 照