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第1003回
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平成17年10月7日(金)公表

日本放送協会第1003回経営委員会議事録
(平成17年9月20日開催分)

第1003回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

 第1003回経営委員会


<会 議 日 時>

 平成17年9月20日(火)午後2時から午後3時10分まで


<出  席  者>
  〔委  員〕
  石 原 邦 夫 堀 部 政 男 深 谷 紘 一
    武 田 國 男   小 丸 成 洋 梅 原 利 之
    保   ゆかり   一 力 徳 子 小 柴 正 則
    小 林   緑   佐々木 涼 子 菅 原 明 子 
    (◎委員長 ○委員長職務代行者)
 
  〔監  事〕
  古 閑 監 事 坂 野 監 事  

 〔役  員〕
  橋 本 会 長    
  永 井 副会長 原 田 理 事 畠 山 理 事
  小 林 理 事 中 川 理 事  小 野 理 事
  衣 奈 理 事 石 村 理 事 西 山 理 事

<場   所 >
 放送センター  21階役員会議室

< 議   事 >
 石原委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。
 その後、第1002回経営委員会(平成17年9月6日開催)議事録を承認し、所要の手続きを経て平成17年9月23日に公表することを決定。


付議事項
1 会長報告
  業務概況について

2 議決事項
 (1) 「NHK新生プラン」について
 (2) 中央放送番組審議会委員の委嘱について

3 報告事項
 (1) 地方放送番組審議会委員の委嘱について
 (2) ラジオ中継放送局の開局について
 (3) 横浜新放送会館の整備について

4 その他
  デジタル時代のNHK懇談会(第5回)の概要について

議事経過
1 会長報告
  業務概況について
 (橋本会長)
 第44回衆議院選挙は、9月11日に投票が行われ、NHKでは同日午後8時から12日午前4時30分まで開票速報、引き続き「おはよう日本」で選挙情報を伝え、連続テレビ小説をはさんで、午前8時30分から10時まで「衆議院選挙列島ドキュメント」を放送しました。開票速報では、冒頭で「自民党圧勝、与党で300議席を突破することが確実な情勢」と伝え、小選挙区、比例代表の当確を順次速報。午前1時過ぎには「自民・公明の与党で衆議院の3分の2にあたる320議席を獲得することが確実な情勢」と伝え、午前3時からは拠点局リレーで選挙結果をすべて放送しました。各党の獲得予想議席は、小選挙区、比例代表、合計議席ともすべてNHKの議席予測の範囲内に収まりました。今回の衆議院選挙では、「公正・公平」「正確・迅速」「わかりやすい」ということを目指しました。その結果、正確な当確を打ち出した人数は終始他社をリードし続け、小選挙区・比例代表を含めて、当確ミスは1つもありませんでした。視聴率も関東地区の20時台で20%を超えるなど、全体として前回の衆議院選挙時の視聴率を大きく上回り、視聴者の皆さんの期待に応えることができたと考えています。また、事前の政見・経歴放送では、テレビ、ラジオにおいて視聴好適時間に編成するとともに、公平かつ適切な実施に万全を期しました。特に、9月6日、台風14号の上陸に見舞われた関東、近畿、九州などの地域では、政見放送とニュースが重なった時間帯は、ニュースを教育テレビとFMで放送するなどして対応しました。初めての措置でしたが、関係部署が緊密な連携をとり、的確な放送を行うことができました。

2 議決事項
 (1) 「NHK新生プラン」について
 冒頭、中川理事から、「NHK新生プラン」について、これまでの議論を通じて修正した箇所等の説明があった後、同時に公表を予定している「平成17年度上半期の収支の状況」および「受信契約者の状況」について、担当役員から以下のとおり説明があった。
 (衣奈理事)
 「平成17年度上半期の収支の状況」については、「NHK新生プラン」の補足資料として、9月末の見込みを公表したいと考えています。事業収支のポイントとしては、上半期における事業収入は、3,142億円、予算に対して220億円不足、そのうち受信料収入は3,002億円で237億円の不足となる見通しです。そのため、年度当初から収入の確保と経費削減に努めてきました。その結果、事業支出は、3,135億円と予算に対して208億円の削減となっていますが、財政運営は極めて厳しい状況にあります。また、仮に受信料の減収状況がこのまま推移すると、年間で500億円を超える不足となることが予想され、下半期以降、受信料収入の回復に全力で取り組み、財政の安定を図ることが何よりも重要であると考えています。なお、受信料収入が上半期で237億円不足となる内訳は、不祥事に伴う支払い拒否・保留が9月末で130万件見込まれており、これによる減収が90億円、平成17年度受信契約の増加目標に対する遅れ等による減収が40億円、口座振替利用中止に伴い訪問集金となり、面接困難などで収納できないこと等による減収が107億円と見込んでいます。今後は、支払い拒否・保留の増加の抑止および支払い再開活動の強化、未契約者の契約化、衛星契約の増加に向けた活動の強化、口座振替利用中止件数の増加抑止に鋭意取り組み、できるだけ早期に受信料収入を回復させたいと考えています。支出削減についても、放送サービスの質を低下させないよう、管理間接部門の経費のほか、設備経費、番組の間接的経費等の削減にも取り組むことにいたします。
 (小林理事)
 「受信契約者の状況」についても財政と同様、「NHK新生プラン」の補足資料として、9月末の見込みを公表したいと考えています。受信契約者の状況については、世帯の契約数に事業所の契約数を加えた全受信契約数3,638万件のうち、3,239万件で実際に受信料をお支払いいただいており、全体の89%を占めています。一方、残念ながら約400万件でお支払いいただいておらず、その内訳は、不祥事に伴う支払い拒否・保留が130万件、口座振替利用中止に伴い訪問集金となり、面接困難などによる未納状態となっているものが130万件、経済的な理由や制度批判、長期不在などによる滞納が139万件となっています。また、未契約者は、国勢調査等を基に推計した場合、958万件になることも申し添えます。これらはすべてが契約拒否ではなく、単身者等で面接困難な方、あるいは転居先での契約手続きがまだお済みでない方など、一時的に契約が途切れている状態の方も含まれています。次に、「受信契約(拒否・再開・口座)の推移」についてグラフにお示ししました。支払い拒否・保留数(増加分)は、第3期(8月・9月)で12.9万件増加し、累計で130万件に達する見込みです。また、支払い再開数は徐々に増えており、第3期には3万件と累計で6.8万件となる見込みです。口座振替利用件数の減少は、平成16年度第6期(平成17年2月・3月)における80.9万件をピークに減少し、平成17年度第3期では17.7万件となる見込みです。
(委員長) 公的扶助受給者や身体障害者、災害被災者等の受信料免除者はどのくらいいるのですか。
(役 員) 受信料全額免除者は約170万件であり、受信契約数から除外しています。
(委 員) 経営に関する視聴者からのご意見を反映させる仕組みについて検討する必要があると思います。
(会 長) 約束評価委員会などの各種委員会やふれあい活動の中で出されたご意見等についても、経営に反映させるよう努力してまいります。
(委員長) 「NHK新生プラン」の議決にあたり、経営委員会としての意見を申し上げます。NHKが生まれ変わるためには、視聴者の皆さまからの信頼回復が何よりも重要であり、今回まとめられた新生プランを、いかに迅速かつ確実に実行するかが大切です。是非、会長を先頭に組織を挙げて、自らの改革に邁進して、一刻も早く視聴者の皆さまから、「NHKは変わった」と評価してもらえるようにしていただきたいと思います。信頼回復には特効薬はなく、新生プランに書かれた方策の実現に向け、地道にたゆまぬ努力を続けていくしかなく、誠心誠意、実行あるのみだと思います。今回の新生プランで宣言した「すべては視聴者のみなさんのために」、この理念を是非NHKの役職員一人ひとりが徹頭徹尾追求して、それぞれの職務・職場でのNHK改革に全力で取り組んでいただきたいと思います。また、財政の状況につきましては、経営委員会としても、極めて深刻な状況にあるものと認識しており、こうした危機的な状況を乗り越えるためには、トップの強いリーダーシップのもと、営業活動の強化と経費削減の両面から、採りうる具体策をスピードを上げ、かつ着実に実行していくことが何よりも大事であると思います。放送の質を落とさないように留意しつつ、是非、聖域なき経費削減にも取り組んでいただき、そして同時に、この取り組みが視聴者・国民の皆さまにわかりやすく説明されることを期待しております。
 来年1月に公表される「経営ビジョン」には、今回の新生プランの各項目をブレークダウンし、具体的に何をどのように行うのか、それによってどのような効果があるのか、いつまでに行うのかなどについてとりまとめ、それを評価できるような形にして、示していただきたいと思います。今後、NHKが具体的にどのように変わってきたのかを示す1つの指標として、経営委員会にもご報告いただくとともに、視聴者の皆さまにもわかりやすくご説明して、ご理解を得ることが重要だと思います。
(会 長)  「NHK新生プラン」について、たくさんのご議論を賜り、誠にありがとうございました。この新生プランにはNHKの歴史上かつてない厳しい状況を踏まえて、われわれ執行部としての強い決意を込めています。「受信料の公平負担に全力で取り組みます」とした中で、民事手続きによる支払い督促の活用について検討することにいたしました。これは現行制度の中で行えるものですが、最大限の経営努力をすることを前提に、最後の最後の手段として盛り込みました。要員の削減についても、過去26年間で5,000人あまりをスリム化してまいりましたが、これをさらにスリム化することは、NHKにとって、特に放送番組の制作にとっては、大変痛みを伴うものであります。できるだけ放送現場に影響を与えない間接的なところで検討してまいりますが、そこでも「選択と集中」が必要になります。いずれにしても、大変な変革をもたらすものと考えますが、私を先頭に、役職員一丸となって、真剣に地道に着実に取り組んでまいる所存です。
(委員長) 視聴者の皆さまの信頼回復に向け、あらゆる改革を進める、そして、民事手続きについては、未払いの方や未契約の方には丁寧にご説明してご理解を得る、そうした地道な努力を重ねたうえで行うことが前提であると思います。また、新生プランは、若手をはじめ、地方局に至るまで、多くの職員がいろいろな形で論議されてできたものだと思います。痛みを地方局や現場だけが負うことのないよう、実行にあたっても、いろいろな人たちの声が反映されることを希望いたします。
 採決の結果、原案どおり議決。

 (2) 中央放送番組審議会委員の委嘱について
 (原田理事)
 中央放送番組審議会委員として、榊原洋一氏(お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター教授)を平成17年10月1日付で新規委嘱したいので、同意をお願いします。なお、開原成允氏(国際医療福祉大学大学院長)、柏木博氏(武蔵野美術大学教授)、里中満智子氏(漫画家)は、任期満了により平成17年9月30日付で退任されます。
 採決の結果、原案どおり議決。

3 報告事項
 (1) 地方放送番組審議会委員の委嘱について
 (原田理事)
 関東甲信越地方で、増井光子氏(よこはま動物園園長・獣医学博士)を平成17年10月1日付で再委嘱します。九州地方では、大倉紀子氏((株)ジャンヌマリー代表取締役社長)を平成17年10月1日付で新規委嘱します。東北地方では、佐々木恭之助氏(東北電力(株)常務取締役)を平成17年10月1日付で新規委嘱するとともに、牛尾陽子氏((株)藤崎取締役・(株)藤崎快適生活研究所専務取締役所長)を同日付で再委嘱します。北海道地方では長谷川幸男氏(いわみざわ農業協同組合代表理事組合長)を平成17年10月1日付で新規委嘱するとともに、青田昌秋氏(北海道立オホーツク流氷科学センター所長)を同日付で再委嘱します。
 なお、九州地方の郡田弘氏(西日本新聞社取締役編集局長)、北海道地方の大西清弘氏(由仁町農業協同組合代表理事組合長)については、平成17年9月30日付で、それぞれ任期満了により退任されます。

 (2) ラジオ中継放送局の開局について
 (西山理事)
 設置計画に基づき、夜間における外国電波の混信を改善するために建設を進めていたラジオ中継局が開局しましたので報告します。開局したのは、岡山県北房と鹿児島県奄美宇検の2局で、北房は開局が8月30日、送信出力は100Wで改善世帯数は約2,200世帯、また、奄美宇検は開局が8月9日、送信出力は10Wで改善世帯数は約900世帯です。

 (3) 横浜新放送会館の整備について
 (衣奈理事)
 横浜新放送会館の整備については、7月の経営委員会において移転整備について報告したところでありますが、その後、神奈川県との協議を進めてきた結果、移転整備の条件が整い、平成21年度の運用開始を目指し、整備をとり進めることになりました。ここは神奈川県の中規模ホールとの共同事業で、4階から9階に県のホールが作られ、1階から3階をNHKが使用します。2階部分には放送センター機能を集中配置することにより、迅速かつ効率的なニュース制作および送出を行い、緊急報道などに的確に対応していきたいと考えています。そのほか、1階には汎用スタジオ、視聴者プラザなどを配置し、イベントや視聴者参加型番組などに使用するほか、選挙や大規模災害時の報道拠点とするなど、多角的な運用を図ることといたします。また、県ホールのロビーとの調和を図り、一体的に活用して公開放送や各種イベントを展開し、文化創造の拠点として地域の賑わいを創出したいと考えています。

4 その他
  デジタル時代のNHK懇談会(第5回)の概要について
 (中川理事)
 第5回「デジタル時代のNHK懇談会」を9月16日に開催しました。
 これまで公共放送のあり方として「存在意義」「受信料」について議論を行ってきましたが、今回は「コーポレート・ガバナンス(企業統治)」の視点から議論を行いました。まずNHKより、「NHKと政治との距離」について、「ETV2001問題」の経緯や、夏に放送した番組で「アジアの歴史認識」などのテーマにも挑戦している現状について説明した後、「NHKの運営の仕組み」について、「放送法の理念」や「NHKに対する公共的規制の考え方」「予算の承認の流れ」などを説明して意見交換となりました。委員から出された主な意見としては、「ETV2001問題は第三者を入れて検証し、視聴者に説明すべきではないか」「放送の自主自律を守るならば、財源のあり方と同時に、国会や政府の関与の仕方を再検討すべきではないか」「予算の承認の流れを変えるには放送法の改正が必要であるが、放送法ができたのは昭和25年であり、視聴者の代表が国会議員という考えは時代に合っていないのではないか」「国会の承認に代わる第三者機関を設けて、NHKをチェックしてはどうか」などの意見が出されました。次回は10月14日に開催する予定です。

 以上で付議事項を終了した。

 上記のとおり確認する。

平成17年10月4日  石 原 邦 夫
   堀 部 政 男