| ●平成24〜26年度NHK経営計画 経営委員長・会長記者会見 |
平成23年23年10月25日(火) 數土委員長、松本会長
(數土委員長)
3点目は、経営計画の決定プロセスについて。10%還元について、私は以前から10%から0%まで可能性があると申し上げてきた。経営計画の審議では、NHK各部局からのさまざまな要求をまとめた執行部案について経営委員全員がさまざまな切り口から真剣かつ熱心な討議を行い、優先順位をつけてぎりぎりのコスト削減を求めた。具体的には、「経営委員の総意」として3回にわたり、18項目についてのコメント、要望、意見を執行部に行った。その後、各委員の定量的なコンセンサスを保つためのケース・スタディを行い、これに関する確認資料も執行部に示している。これらは、後ほど議事録とともに公表する。
一連の協議のなかで、各委員の要望や意見は、「営業経費の削減と透明化」、「完全デジタル化後の建設費の妥当性」、「大震災後の公共放送の機能強化費の精査」、「国際放送の内容の充実」、「人員削減と関連会社のガバナンス」など多岐にわたった。執行部は、これらのひとつひとつについて、真摯な検討と回答を行い、経営委員会と執行部が車の両輪となって次期経営計画を作り上げた。経営計画の概要については、このあと松本会長のご発言や執行部のブリーフィングがある。
(松本会長)
4つの重点項目の1つめは「公共」。
未曾有の被害をもたらした東日本大震災でのさまざまな体験や教訓を生かし、いかなる時にも、みなさまの安全・安心を守るための情報を、いち早く正確に提供し続けられるよう、放送機能を強化することを盛り込んだ。
この強化策に、3年間で292億円を充てる。
このうち、東京の放送センターの機能が損傷した場合に備え、大阪放送局にバックアップ機能を強化するなど、とりわけ緊急性が高い設備投資にあたる106億円は、視聴者への還元策として実施する。
2つめは「信頼」。
世界に通用する質の高い番組、そして日本、地域の発展につながる放送やサービスの充実を盛り込んだ。番組を通じて地域の活性化への貢献、さらには、世界に日本の情報を発信し、国際理解を高めていく。
放送と通信の融合時代にふさわしい新しいサービスの充実を盛り込んだ。
インターネットを通じてさまざまなコンテンツが自由に流通するようになった今、最新の技術を活用して、高品質のコンテンツをお届けすることが求められている。新しい時代のサービスの在り方を考えていく。
4つめは「改革・活力」。
経営改革で、効率的な経営を行う。業務の見直しや要員の削減に取り組み、グループ経営を推進する。営業については、改革を進めながら、受信料の増収を図る一方で、経費は抑制する。
新しい取り組みとして、海外の公共放送を参考にしつつ、NHK独自の管理・評価手法を導入し、現場管理まで一貫したマネジメントを強化する。「3か年の基本方針」を公共放送の理念として最上位に掲げ、これを具体化した「4つの重点目標」を設定し、最上位の目標と連携した達成度とともに、コストに見合う成果などによって、達成状況を総合的に評価していく。
視聴者のみなさまへの還元について申し上げる。
NHKは、現在の経営計画の中で、平成24年度から受信料収入の10%還元について、「具体的な方法はいくつか考えられることから、最適な方法を決定して、視聴者のみなさまにお示しし、実行する」こととしている。
その後、長引く不況や、今年の3月11日に発生した東日本大震災などによって、NHKを取り巻く環境が大きく変化した。
こうした状況の変化を考慮しながら、総合的な観点から検討を進めてきた。
値下げ額は、地上契約で2か月ごとの支払いの場合、口座・クレジット支払では月額120円。これは、現在の地上契約の月額1345円の8.9%にあたる。
また、継続振込支払では、月額70円の値下げとなる。
NHKの平成24年度予算が国会で承認されれば、来年10月から実施される。
受信料の値下げは、ラジオの受信料を廃止し、テレビだけを対象にした受信料体系に移行した昭和43年以降では、初めてである。
値下げによる大きな減収という経営上のリスクを勘案すると、極めて重い決断となった。
つぎに、来年度からの3か年の事業収支について。
平成24年度からは、消費税抜きの方式で表示する。参考に、消費税込みの場合も載せた。
ご覧いただければ分かるとおり、事業収入、事業支出とも、次の3か年は、値下げ前の今年度の規模を下回ることになる。
非常に難しい財政運営を求められることになる。
収支は厳しい状況が続くが、組織をあげて増収に取り組むとともに、効率的な経営によって、次期計画を着実に実行し、公共放送としての使命を果たし、視聴者のみなさまの期待と信頼に、これまで以上に応えていく決意である。
みなさまのご理解をよろしくお願いしたい。
<以下、質疑応答>
(記者) |
120円、70円という結論が出てきた。これまで数字がどのように変遷してきたのか。これまでの提案のどこがダメで、どう修正を求めてきたかについて説明してほしい。 |
|---|---|
(數土委員長) |
経営計画策定に際しては、5回の委員会を費やした。これまで一貫して、経営委員は自由な立場で、いろいろな切り口で計画を検討してきた。執行部はそれに対して、いろいろな案を提示してきた。質問された内容だけが議論の内容ではないと思うが、値下げ額としての最初の提案は、9月13日の委員会で3.9%というものだった。これに対して、納得感が得られないというのが経営委員会の総意だった。 |
(記者) |
3.9%は納得が得られないとのことだが、6.4%についてはどうだったのか。 |
(數土委員長) |
大勢の意見としては、まだ上積みしてもらいたいとのことだった。 |
(記者) |
今日は、全会一致だったのか。 |
(數土委員長) |
いろいろな角度から審議され、最終的な議論を踏まえ、全会一致で議決された。 |
(記者) |
3.9%では納得が得られず、6.4%でも大勢の納得が得られず今日に至ったとのこと。経営委員会としては、公共放送として何をやるべきか、新しい時代に何をやっていくのかということに優先順位をつけて、残った部分で値下げをするという考えだったはずだと思うが、値下げ額に納得が得られないために経費を削れないかという、本末転倒な考え方をしているように思えるが。 |
(數土委員長) |
経営委員会としての、今回の検討に際してのテーマは3点。まず、3年前に時の経営委員長と会長が国民に10%還元を値下げだと約束した。これは非常に重く受け止めなければいけないということ。2点目は経営委員会の総意として、執行部に対してさらなるコスト意識の徹底を求めるということ。経営改革意識、コスト削減意識を持ってもらうことが、NHKの経営を改革していくスタート点であり、エネルギーになるはずだという強い思いがあった。3点目は、大震災を受けながら、これからあるかもしれない災害に備えて対処する方法と、そのなかにあってNHKとして報道・番組についての品質を保つということ。その結果として何%の還元となるかということであり、ギリギリのところで経営委員会と執行部は意見交換し切磋琢磨(せっさたくま)し、その結果本日議決されたということだ。 |
(記者) |
いまの経営委員長の話を受けて会長はどうか。 |
(松本会長) |
もともとの計画の中に、この計画そのものを社会情勢と経済情勢の変化に応じて見直すということもあり、具体的な還元方法についてはいくつか考えられるが、最適な方法を示すと書いてある。私どもにはいま數土委員長のおっしゃったとおり、もともと10%還元という話はあるので、それは重く受け止めている。その後の状況の変化はまぎれもない事実、かつ大きな事柄と認識している。したがって経済状況の変化や災害によって全額免除が急激に増えている状態なので、収入の減という状況を反映させないと成り立たない。今回の災害でNHKは機能を発揮できたわけだが、実際にその機能が盤石なものだったかを考えるとNHKが公共放送としてこれだけ信頼されている立場からすると、やはり備えるべきところは備えておかないと。新たにそのことを付け加えてやらなければいけないと考える。したがって、このことを経営委員会にお話しし、意見をいただき、意見交換もしながら値下げ率は最終的な形になった。 |
(記者) |
そうすると災害強化は、重要に思っていたということだが、今日までの5回の議論の中でそういうことも削られてきたと思うが、それもやむなしと思っているのか。 |
(松本会長) |
一番基本のところはきちんとやる形でこの中に入れてある。それを踏まえて役割を果たしていく。もともと10%還元の重みも含めて、災害に対する公共放送の機能をきちんと果たしていくことを調和点と考える。 |
(記者) |
數土委員長に尋ねたい。3.9%、6.4%、7.0%という率についてお話しがあったが今回発表のあったものについては月額いくらという数字があるので、その数字の変遷も聞きたい。 |
(數土委員長) |
その前に3.9%、6.4%、7.0%になった決定の経緯をお話したい。経営委員会は10%を重く見ると。コスト削減意識を持ってもらいたい。品質、対応を十分したい。しかし、それは10%を起点にして少しずつ皆さんの必要不可欠、コスト削減できるもの、そして機能を強化したいという話を聞きながら10%から下りてくる手法をとった。経営委員会としては当然の手法だ。一方、執行部はNHKを愛する気持ちや、技術的な開発をより多くやりたいだとか、品質をより高めたいとか、事業の継続性を維持したいとかで下から積み上げていく方式をとって、そういうものを出し合って、意見交換をした。その中で、ぎりぎり還元できるのは、いくらかということで。それを口座振替の方とそうでない人と10円単位でしたら、きりの良いところにしたらそうなったということである。120円が先にあったわけではない。ぎりぎりの何%やれるかということの出発点がお互いに違う。経営委員会と執行部にとって、これはあたりまえのことで、非常に健全なことである。 |
(記者) |
数字についてはどうなのか。 |
(石田理事) |
口座・クレジット支払の場合、3.9%では月額70円。6.4%では110円。7%では120円。継続振込支払の場合はそこから50円引いた額になる。コストの関係で金額に違いがある。 |
(記者) |
今回は計画案が示されないまま意見募集が行われた。これまで5回の議論の中でどういう議論が進んでいたのか。数字も含めて明らかに伝わってこなかった。受信料が公金の点で考えると情報公開の点で問題にならないか。 |
(松本会長) |
意見募集については委員会で議論して決定をいただく前に意見募集する必要があった。そういう中で意見してもらえる内容を網羅して意見募集した。委員会の中では私の考えをお話し、委員会の意見をいただいて、そしてさらに検討して、またお出ししてというようなことを繰り返していった。記者会見で以前にも話したと思うが、途中段階で、中身の動くものを話すと混乱するので、決まったときに話をする考えだった。數土委員長も同じような話をしていたと思う。 |
(記者) |
委員長はどうか。 |
(數土委員長) |
途中でいちいち経過をつまびらかにできないのは、委員会後のブリーフィングで話してきたとおりだ。迷惑をかけた点はあるかもしれないが、他意はなかった。途中で各経営委員が自分の判断で、経営委員会の策定、審議に参画できるということを重要視した。たとえば日銀の金利を上げ下げするというようなことを常に公開しているか。あるいは株主と企業でも経営会議について、その都度公開していない。ある種の自由な発想が尊ばれるべきだ。もうひとつ、経営委員会はいろんな切り口で審議する。今日はこのテーマについてこういう意見を言い、次の会で反対の意見を言ってみるなどして議論を深めた。このような手法は当たり前のこととして行われるべきだと思う。それをすべてつまびらかにすると必ずしも良い結果は得られない。先ほども言ったとおり、終わったあとにすべての議論は公開する。ご理解いただきたい。こういう基本的姿勢は経営委員会と執行部は同じだった。 |
(記者) |
いまの話でいえば例えば国会予算を決めるときに予算案を一切示さずに、会議も非公開にして、全部決まった時点で公開することは原則ありえないと思う。公金の使い道である以上、途中経過を含めてつまびらかに説明してくれるべきだったと思う。それをしないということはある意味、視聴者不在、視聴者軽視であると考えるがどうか。 |
(數土委員長) |
そういうことも考慮して、放送法では1年に6回以上、「視聴者のみなさまと語る会」を持つということにして、毎回1/4以上の経営委員が参画をすることにしている。執行部からも参画がある。 |
(記者) |
松本会長はいかがか。 |
(松本会長) |
やはり途中経過はいろいろ動くので、その段階でお話しするのは、話す側としても難しいものだし、誤解も生むので決まってからお話をする。議事録も出る。こういう形で決まったということが公開されることもあるので、ご理解いただきたいという考えだ。 |
(數土委員長) |
補足説明をさせてもらう。就任来から国際放送は重要視すべきという考え方をずっと持ち続けてきたが、1〜2回説明を受けて、それはないのではないか、という私にも終始一貫しないことが5回の中で起こる。こういうことをいちいち公開していては国民・視聴者に誤解を与える場合もある。終わってから全部、経緯をまとめた形で伝えた方が、国民・視聴者に正確な情報を伝えることになるのではないか。2か月くらいであれば待ってもらえると考えていた。今もそう確信している。 |
(記者) |
還元の原資を何にするか、財源は何で賄うのか。具体的に受信料の増収はいくらぐらいを見込んでいるのか。 |
(石田理事) |
受信料の増収は3か年で810億円を見込んでいる。 |
(記者) |
かなりの額だと思う。810億円の増収は十分に可能なのか。 |
(松本会長) |
もともと7%減収になる。したがってそれを一生懸命頑張って増収努力をする。その原資分まではいかないが、しかし最大限の努力の中でこれは到達範囲であると考えている。 |
(記者) |
具体的に達成までの手法はあるのか。 |
(松本会長) |
もともと営業改革をやろうと思っていた。以前は人海戦術が基本になっていたが、より違う形に転換したい。4項目入っているがたとえば法的な措置の仕方を工夫するとか、実際に申し込む際、なかなかややこしいので、それを取り除くために行政などの協力が得られないか、あるいは委託の形でやれないか、いろいろ考えている。そのように転換するときにもそれなりのプロセスが必要。そういうことを含めていろいろなものを駆使しながら考えていく。 |
(記者) |
値下げのリスクを考えると極めて重い決断だと松本会長がさっきおっしゃったが、もっと具体的に聞かせてほしい。 |
(松本会長) |
私は別の仕事をずっとしてきた。その点からいうとこのような大きな減収はない。鉄道でいうと1%、2%という上限のある中での話。そこからいうとこの率は大きい。 |
(記者) |
お二人にそれぞれお尋ねする。事業収支においては値下げに伴って、24年度は収支均衡、25年度は47億円の赤字、26年度は10億円の黒字に転じるとなっている。値下げもあるということで、25年度47億円の赤字を見込むという形で作っていかざると得ないというのは、いわゆる経営の立場としては、本来的にはよろしくないことではないかと思う。しかも、松本会長からは増収にむけた努力について話もあったが、27年度以降はどうなのかというと、人口減、世帯減ということも考えると不安視せざるを得ない状況と思う。赤字を前提にしたということについて、不安はないかという点について、それぞれに伺いたい。 |
(松本会長) |
実際に私たちが作ったのでお答えするが、24年度から値下げを行うが、先ほども伝えたように、準備の期間があるため、24年度は10月からの値下げとなる。したがって、半年間減収が影響するとういことになる。そのため、24年度は、当然増収もするが、値下げ分が半分となり、プラスマイナスゼロとなるが、25年度は通年で7%値下げによる減収が影響することになるため、増収が追いつかないという形になる。26年度に増収が積み重なって、収支差を黒字にするということである。年度ごとに見るとこういう形が出ざるを得ないが、一定の波を打つということは、経営としてはあり得ることだと考えている。また繰越金もあり、赤字を吸収して乗り切っていくということである。当然、その他いろいろな努力も行いながらやっていくということである。 |
(記者) |
數土委員長に尋ねるが、そのあたりについて不安視する声など、経営委員会での議論はどうだったのか。 |
(數土委員長) |
不安は全くない。なぜならば、このような3か年計画を作るときに、一部の年度に赤字を計上する案となることは、一般の企業であれば、きわめて普通なことだと考えている。3年目には持ち直すということは、きわめて健全で、赤字の年度はこれから、1年半後、2年半後のことで、執行部には本当に真剣になって努力して取り組んでもらわないといけないと認識している。これは経営委員会の総意である。過去4、5年間の例を見てみると、計画の事業支出に対して、平均1.4%くらい下回っている。その結果が、今次の経営計画を策定した平成20年度初頭の繰越金については、920数億円だったものが、現在22年度では300億円くらいパイルアップされている。それから、そのときあった260億円の有利子負債がゼロになっている。今回の計画は非常に厳しいが、その厳しさに打ち勝つという課題、そしてそれにチャレンジするというのは、新しいNHKの執行部の責務だということは、正々堂々と言えることだと思っている。もし、逆にこういうことがなかったら、いったい経営の健全性は保てるのかということであり、全く不安視はしていない。必ず、執行部はやってくれると私は期待しているし、信頼している。 |
(記者) |
10%還元の部分については、松本会長からの説明であったように、要約版の緑色の数字を見ても、10%還元だと言っていたが、実質的に値下げ分だけだと7.0%になる。10%と7%の数字の開きについて、數土委員長は今どのように感じているか。 |
(數土委員長) |
執行部と経営委員会のそれぞれの立場で、今までいろいろ議論してきて、今日この結論に至ったということである。それ以上でも以下でもないということでご理解いただきたい。 |
(記者) |
松本会長が先ほどおっしゃったのは、もともと3年前に決まった現在走っている経営計画の中で、社会・経済情勢が変化した場合には、変わりうるということであったので、その事情があるから、7%で理解してもらいたいという意見でいいか。 |
(松本会長) |
私たちは実務を行っているので、実務から積み上げてやっていくということである。それと、もともとこういう計画はその時点での判断で、どういうことか分からないということは常にある。そのために、先ほど話したような文言を記してあり、そのときにはどういう対応を取るのか、具体的に最適な方法を選んで決定していくということがある。実務から積み上げても、変化というものは見ないと実際に運営に問題がでてくるので、そういうことも含めて私たちは経営委員会に話をして、委員長が言われたように、最終的にこのような形で落ち着いたということである。 |
(記者) |
お二人に伺いたい。10%の還元について、前回の経営計画の中の文言では、値下げではなく、還元という言葉になっていたが、先ほどからの數土委員長の話だと、これはイコール値下げだと捉えているように見える。パブリックコメントでは、かなりの数の方が値下げでなく、番組の強化を求めていたり、あるいはNHK自身がおこなっている評価委員会の調査などでは、1,345円ではなく2,000円近く払ってもいいよという声もある。値下げを求めている声が視聴者の中に極めて強いという状況では必ずしもないのではと思うが、還元イコール値下げというふうに考えているのはどうしてか。 |
(數土委員長) |
これは、意外な感じがする。3年前、経営委員長と会長が国会で「還元というのは値下げであると理解している」と明言されている。今の記者の方のご意見は私の思っていることとは違う。それからパブリックコメントなどいろいろな意見を見てみると、もちろんそういう他の意見もあるが、過半数は値下げするべきだという意見であったと、経営委員は捉えている。 |
(記者) |
松本会長も還元イコール値下げというふうに考えているのか。 |
(松本会長) |
国会でそういう話をされたことについては、当時はそのように考えていたのだと認識している。その後の状況の変化は先ほど話したようなことで、公共放送の使命を果たすという観点からは、私は視聴者の方々に対する幅広い受益についてどう考えるべきかと捉え、最適な方法とういう形でいろいろ話をしてきたということである。 |
(記者) |
これだけの値下げは大変な決断だと思うが、一方で、この経営計画を見ると、過去何回かの経営計画と比べて、値下げの部分を除いては非常に抽象的な内容ばかり並んでいる、中身の薄いものになってしまったのではないかという印象を受ける。つまり、新しいものがほとんど出ていないというか、受信料制度専門調査会を会長が発足して、今後のNHKの在り方、公共放送の将来像など、大きく環境が変わる中でどうしていくべきかということを諮問・報告を得たにもかかわらず、それが直接的に生かされている文言はほとんど見られない。特に中長期的な姿という意味である。むしろそちらの方が最優先の課題だったのではないか。 |
(數土委員長) |
それは、少し感じが違う。今回の計画は非常に画期的だと思っている。詳細はあとで、執行部から聞いてもらえば分かるが、例えば、過去3年間は地デジ対応とういうことで、建設費が800億円近くになっている。地デジ対応を除くと、500億円以下の従来の設備投資となる。今回は500億円をベースに、その他に従来の設備と地デジ対応の取り残しなどがあることから、3年間100億円ずつ上積みして600億円にしている。それから、先ほど松本会長が言われた大阪局をはじめとする機能強化で、毎年度平均106億円ずつ上積みしていることは、大変なことだと思う。それから先ほど話題にした国際放送に関しては、過去3か年間の合計の事業支出は380数億円だったと思うが、今回の計画は見てもらえば分かるが、490数億円になっているはずである。これは率でいうと、3か年で比べると25%以上に相当する。ほかのものに比べて大変な思い切りだと思っている。これを評価してもらわないで、どこを評価してもらうのだということである。この2点は、執行部にあとで聞いてもらいたいと思う。 |
(松本会長) |
私からもお答えしたい。抽象的な表現になっているかもしれないが、例えば、目標に「公共」「信頼」「創造・未来」「改革・活力」と記載しているが、こういう目標をもとに、NHKが公共放送としての仕事をしていくというのは、いろいろな視聴者のかたに見えるようになると思っている。世界の公共放送、BBCなどもやっているが、見えたものをどのように評価するのかについて、外部から見てもらうという、期待度と実現度をどう近づけていくかという作業を行うが、今回、そのような外部からの評価を取り入れようと考えている。そういう目で見てもらってNHKの放送をより良くしていき、放送法という原点に立ち戻ってやっていこうと考えている。これは、今までと変わったことで、これがないとどうなるかというと、単発の指標を求めた場合に、末端と真ん中、経営が一体で動くという形にならないことがある。したがって、そういう外部の評価や期待にあっているのかということを見るというのは,地域の放送やトータルの放送含めて、公共とか放送ということで頑張ろうということになるので、それは1つ大きなことである。それから3月11日に大震災が起きた。これに対して安全・安心を提供できる公共放送のNHKとして取り組んでいかなければならない、このことについても今回の柱に盛り込んでやっていくことになっている。また先ほど受信料制度専門調査会の内容が入っていないのではないかという話があったが、ベースにはそれがある。そのことは引き続き、検討していくが、デジタル化によっていろいろなことができるような形になっているので、今、制度の制約があるが、その中でも、技術開発も含めてできることは追求していく。調査会の話についても引き続き行っていくように考えている。 |
(記者) |
委員長に質問。6.4%から7.0%になって議決した。6.4%がダメで、7.0%で了とした理由について具体的にお答え願いたい。 |
(數土委員長) |
われわれは、6.4%にどれだけ上積みしたかという考え方をとっていない。何が必要なものとして残るかという話をしてきた。新たな機能や品質向上のための経費が行き渡っているかという。建設費500億円でいえば地デジの積み残しがあるかもしれないということで100億円上積みして、さらに新規分として100億円積んだ。一方で国際放送について過去3年間よりも今後3年の計画では100億円以上上積みした。そういうことを踏まえ、十分やっていけると思っているところに、7.0%という数字が出てきたことで、われわれの考え方も調整できる、視聴者・国民にも説明できると受け止め、議決したということだ。 |
(記者) |
10%から下げていって、そういうことになったということか。 |
(數土委員長) |
われわれの精査も最終段階に入っており、例えば建設費で言えば、地デジ・機能強化は十分できていると、国際放送で言えば、経費は横ばいでよいという意見もあったが、そうではないと強化すべきだという議論が大勢を占めてきた。数字を見ていたところ、きょうの7.0%という数字が提出された。委員の皆さんの意見を伺ったところ、精査の結果と近いことでもあり、了としたということだ。 |
(記者) |
会長に質問。当初案から数字が変わってきている。もとの案にあって、できなくなったものについて教えてもらいたい。 |
(松本会長) |
例えば、国際放送の場合、世界の国際放送の標準の形は6時間放送を4回まわす形なのだが、そのようなことをトライしようかと思ったが、今の4時間の6回転に戻した。ただ、国際放送についてはアメリカの地域については強化したいので、そのことは盛り込んでいるが、部分的に変えた部分はある。それから、災害などで必須のものをやる場合に時間軸で早くやらなければいけないものと、もう少し時間軸を伸ばしてやるものとを検討して、やらなければいけないことはやっていこうと考えている。 |
(記者) |
數土委員長は、どれだけ積み上げたらという考えはしないと言ったが、逆に言えば委員会の側からこのパーセントでいけないのかという提示をしたことはないのか。 |
(數土委員長) |
それは、終始一貫してなかった。執行部の改善意欲とチャレンジ精神、自主性に期待し、最善を尽くしてくださいということでやろうとした結果であり、まして対案を示したということもない。精いっぱいやればどうなのかという意見交換は頻繁にやった。それに対して誠実に答えてもらった。それはわれわれの3回にわたる経営委員会の総意と4回目には経営委員会からの確認事項として提示して、真摯にやってもらった。 |
(記者) |
経営委員会の総意ではなく、個々の委員から、こういう数字でということもなかったという理解でよいか。 |
(數土委員長) |
個々の委員から建設費に対してもっとという意見はあった。それが全部総意に反映されていると思う。それから、その他の営業経費、あるいは国際放送費、その他それぞれ連結決算対象のグループ会社としてのやり方などは総意や確認事項の中に示されている。これは後から公開されると思うので、その時に見ていただきたい。 |
(記者) |
先ほどからご両人が言っているように、3年前に10%の還元というのは値下げであると言ったことは重く受け止めているということだが、確かに現行の経営計画の表紙には経済社会情勢の変化によって見直すという文言があるが、3年たって、10%の値下げが実現しないということに対しての視聴者に対するコメントは。 |
(數土委員長) |
やはり、経営者として企業体、あるいは組織は継続性なので、そのときのトップが代わったからといって基本的には許されるものではない。一般の企業であれば、円高だとかいろいろな不利な条件があるが、それを乗り越えていくものだ。しかし、東日本大震災、そして日本が国際間の中でアイデンティティを高める上で、これが必ず国民・視聴者のためになるという決断をし、その結果、10%未達であり、結果として7%であったということに対しては、じくじたる気持ちはある。誠実に、公開して国民・視聴者の方々のご理解をぜひ賜りたいと思う。 |
(松本会長) |
当時は、そういう見込みで、計算をしたのだと思うが、実際にその時に想定した収入とおりになっていない。落ち込んでいる。そのような状況の中では難しいということがある。それから、災害関係機能を強化しなければならないという事情も出てきているという変化がある。 |
(記者) |
事情の変化は先ほどから伺っているが、視聴者に対して、3年前の時点の説明と今回変わってしまったことについての認識はどうか。 |
(松本会長) |
それは、当時の計画の中にも社会経済状況の変化において見直すとか、具体的な還元方法については最適な形を検討して決定していくと書いてあるので、経営としてはそのことを想定するのは当然だが、それを当然のこととして実務として申し述べてきたということだ。 |
(數土委員長) |
もうひとつ、私から補足説明すると、私の最初のコメントにあったように3年前からそういうことが分かっていたのなら、24年度からの原資の確保、あるいはアイデアの創出がなされていただろうと思っていたのだが、それが不十分だったという考えは、松本会長も私も、それから現執行部も現経営委員も同じ気持ちだということをさきほどお伝えした。しかし、そうは言いながら、国民・視聴者の皆さまに対してじくじたる気持ち、申し訳ない気持ちはある。しかしご理解していただきたい。 |
(松本会長) |
当時の議事録を読んでみると、そういう話をしているが、この計画が計画とおりいけばという話を前提に話している。そういう部分もあるので、いろいろな大きな変化があったということだ。 |
(記者) |
120円、70円と金額の差をつけたというところで、さきほどコストがかかるというご説明があったが、金額の差がついているところの理由を改めて伺いたい。 |
(石田理事) |
継続振込は手数料がかかるので50円の差をつけているということと、営業の立場からしても皆さんに継続振込ではなく、口座・クレジットにしていただいたほうが、コストが下がり、しかも継続してお支払いいただける、安定的に払っていただけるというメリットがあるということだ。このコスト削減については、それこそ受信料制度等専門調査会の中で経費がどのくらいかかるかということを考えながら、割引制度とかを考えるべきだという提言があるので、その点を受けた形で今回、この形に決めたとご理解していただきたい。 |
(記者) |
NHKの本来業務ではないかという意見もあるが、10%還元の中に震災対応の機能強化を含めた具体的な理由は。 |
(松本会長) |
従来の業務の中でできることはやるが、新たに大震災を踏まえて付け加えてやるところは、建設費の中でやりたい、やるべきだということで、この話を申し上げている。 |
(記者) |
視聴者への還元にあたるという考え方はどこから来るのか。 |
(松本会長) |
今回の災害の中で、NHKの機能が大変大事で、なおかつ期待されていて、万が一の時でもその機能が確保できることをやっていかなければならない。それが公共放送の使命であり、視聴者のみなさまにお応えする事柄だということだ。通常の中でやることはやるが、それに付け加えて新たにやっていくべきところということで、幅広い還元、受益としてぜひやらなければならないということだ。 |
(記者) |
値下げの額のパーセンテージが3.9%、6.4%と上がっていって、最後7.0%となる過程でここにある震災対応の機能強化の額は減っていっていると思うが、その過程で落ちた震災の強化の費目を具体的に教えてほしい。 |
(松本会長) |
例えば、歴史的な形で記録・検証していくアーカイブがあるが、その量を縮小するとか、あるいは機能については工事の期間を大阪は早くやらなければいけないのでやるが、それを伸ばすという形で、工夫をしてやるべきことをやっていくという形だ。 |
(記者) |
數土委員長にお伺いするが、そういう工期を伸ばすとかアーカイブを縮小するということについては経営委員会ではどういう議論があったのか。 |
(數土委員長) |
何回も申し上げているが、われわれは震災対応、災害対応については必要な機能を持つべきだ、それからNHKが国民から信頼される機能を持つべきだということはあるが、それは優先順位をつけたらどういうものになるのかが重要だった。その優先順位をギリギリ認められるところが、結果として7%になったということだ。 |
(記者) |
還元の枠の外に経済状況の悪化による全額免除等の拡大増は受信料収入に対して2.4%に相当しますとあるが、これをここに書いている理由とこれまでの議論の中で、この免除の拡大を還元に入れるべきかという議論もあったと聞いているが、それが最終的に外れたのかどうか、あるいは外れたのだとしたらその理由を教えて欲しい。 |
(松本会長) |
そういう議論もあった。やはり状況の変化で収入が落ちている、減収になっているので、そういう形で捉えるべきだという意見もあり、最終的に現計画の文言の中にもそういう記載があるので、見直しの事項に該当するという整理をしている。 |
(記者) |
還元には入れないということか。 |
(松本会長) |
そうだ。 |
(記者) |
きょうの議論で決まったのか。 |
(松本会長) |
これはいろいろなプロセスの中で、この方向に収れんしていった。 |
(記者) |
今回の経営計画については、受信料制度等専門調査会の検討がベースになっているという話だが、専門調査会の中では伝送路中立的なものを将来的には目指していき、将来的にはネットの同時再送信とかネットからも受信料を検討すべきという意見になっているが、さきほど松本会長は制度的な枠組みの中で考えていくという発言だったが、この3年間については、制度的な枠組みについての見直しは行わないということでよいか。 |
(松本会長) |
いえ。こういうことは刻々と動くものであり、世界の公共放送の中で、サイマル、同時送信をやっていない日本は珍しい国なのだが、現実の問題があるので、調査会という形であのような意見をいただいているので、それをベースにして、それを現実のものとしてどう考えていくかは、もうひとつ別の問題としてある。したがって、世界的になるべきという意見もあるし、そのことは今現在の状況の中で、最大限できるものはやっていくべきだろうということで申し上げている。 |
(記者) |
さきほど、経営委員会の側から個々の委員においても具体的なパーセンテージの要求をしたことがないと言っていたが、取材では數土委員長が8%という数字を執行部側に提示したと聞いたがどうなのか。 |
(數土委員長) |
ひと言で遺憾だ。議事録とか公開された資料を見てもらえば分かる。具体的な数字を示したことはないということだ。 |
(記者) |
経営委員の中からは數土委員長の議事運営方法が強引だという声も聞かれたが、いかがお考えか。 |
(數土委員長) |
私はルールにのっとってやっている。きょうも結果は分からなかったが、そのことについてはご理解いただきたい。私はどなたか知らないが、公開された資料を見てもらえば、そういうことはなかった。私は一貫して、就任以来、国会でも10%から0%まで範囲がある、10%に出来る限り近づけると言ってきた。皆さんの前でも何%と言ったことはありません。 |
(記者) |
松本会長に伺うが、個別にでも例えば10月の中旬くらいに數土委員長が来て、8%でどうだというように言われたことはなかったか。 |
(松本会長) |
ありません。 |
(記者) |
デジタル化時代に公共放送がどうあるべきか、NHKがどうやって公共放送としての役割を果たしていくべきかという青写真のところでは、経営委員はどういう認識だったのか。またどういうバリエーションがあったのか。 |
(數土委員長) |
この件に関しては、議題に出たことはあるが、深く突っ込む時間的余裕はなかった。しかし、これは放送法で規定されている枠内でしかNHKは事業活動ができないということがひとつある。そして、そうは言っても、海外の公共放送、例えばBBCその他がどういうやり方をやっているかということになると、何年か後にNHKだけが取り残される懸念をわれわれは持っている。それは、放送法という枠内で常に捉えられるべきであり、NHKの経営委員・執行部は、重大な関心を持ち、近い将来に喫緊の課題になると考えているが、こういう方針だということは、いろいろ外部からの意見も聞いていかないとだめだと思っている。 |
(記者) |
経営計画を策定するにあたって、最も大事なところが時間的に議論できなかったというのは、私はすごく遺憾だと思う。 |
(數土委員長) |
あなたは、最も重要なことだと言うが、私たちのこの放送法の枠内で、議論に一体どのくらい時間を費やしてもよいのかという気持ちがあったということを申し上げている。これはこれからも重大な課題であり、重大な関心を持っているということはお互いに確認しているということを申し上げたのだ。 |
(記者) |
具体的な数字を數土委員長は提案していないと言い、松本会長もそういったことは全くないと言うが、例えばこういう数字はどうかとか、そういったことを具体的に示したことはあるのかということを改めて委員長に伺う。また、会長が執行部の中で例えば8%とか、この数字だったらどうかという議論はしたのか。 |
(松本会長) |
私どもは、経営委員会の総意とか意見の取りまとめに対してお答えを返すということを繰り返した。そして、私どもは実務的に積み上げてきて、そういう考え方を話し、経営委員会から意向や要望がありますので、それに対して検討して答えを返すことを繰り返し行ってきた。 |
(記者) |
例えば8%はどうかという議論も執行部の中ではしているということか。 |
(松本会長) |
私たちは逆に、実務を積み上げて、経営委員会からの意向に対してどれだけ出来るかという形のものをお答えしてきたということだ。 |
(數土委員長) |
さきほど、何回も言っているように、経営委員会の意向は総意という形で3回伝えた。それから確認事項として4回目は渡した。そこには、言っているような数字はありませんと再三申し上げている。そういうことをわれわれが提示した覚えはない。 |
(記者) |
総意としてはそうだが、委員長ご自身として示されたことはあるのか。 |
(數土委員長) |
それはありえません。これは議決事項であり、議決事項に関して2人で話をしても通用するはずはない。これは経営委員会でオープンなところで、それぞれの意思を最後に聞かないといけないので、もしそういうことがあったとしても有効にはなりえないと思っている。 |
(記者) |
あっても有効にはなりえない。 |
(數土委員長) |
なりえない。たとえあったとしても有効にはなりえないと思っている。経営委員会はひとりひとりの独立した人格、権限を有しているということだ。 |
以上