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「NHK経営計画2018-2020年度」 経営委員長・会長記者会見

 

平成30年1月16日(火) 石原委員長、上田会長

 

【石原委員長】

 本日、経営委員会は、「NHK経営計画(2018‐2020年度)」と、それに基づいて策定された「平成30年度収支予算・事業計画及び資金計画」を全会一致で議決しました。
 この経営計画は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで最高水準のサービスを行うことを目指した「NHKビジョン2015→2020」の第2ステップとして、「4K・8K本放送の開始」「東京五輪・パラリンピック」「海外への発信力の強化」などのサービス提供や、放送センター建替の着手などの計画の具現化を盛り込んでいます。また、さまざまな課題が顕在化している契約収納活動への対応や、マネジメント改革、経費削減なども織り込んだうえで、新たな視聴者の負担軽減策も実施する、としています。これらを踏まえ、経営委員会としては、今後3年間のNHKの計画として適切なものだと判断しました。
 一方、この3か年の間に「放送と通信の融合」の進展や、これに伴う「受信料制度の研究」など、現時点では未確定で、かつ変化の急激な事項への対応も必要になってくると考えています。公共放送としての原則を守りつつ、3か年のさらなる先も見据えながら変化に対応していくことも必要です。これらのことも踏まえ、議決にあたり特に重要と考える点について、お手元にお配りしている「経営委員会見解」を経営委員会の総意としてまとめました。
 これらも踏まえ、今後はこの経営計画をNHKグループ全体で共有し、上田会長の下で、心を一つにして取り組んでいただきたいと思います。また、経営委員会も、この経営計画の着実な実施のために、自らの役割を真摯に果たしていく考えです。
 検討に際して、経営委員会は、執行部と長時間にわたって議論を重ねてきましたが、執行部には、前向きかつ真摯な対応をいただいたと考えています。また、ご意見をお寄せいただいた多くの方々をはじめとする国民、視聴者のみなさまのご支援に心からお礼を申し上げます。

 

【上田会長】

 次期経営計画の議決をうけて、私から申し上げます。
 新年度(2018年度)から3か年の「NHK経営計画」は、昨年の4月から役員による本格的な検討を始め、7月以降は、経営委員会との間で丁寧かつ真摯な議論を重ねてまいりました。そして、本日、経営委員会で全会一致で議決をしていただきました。
 ほぼ1年がかりで、多岐にわたる経営課題の検討を行ってきましたが、放送と通信の融合が進む難しい局面で、NHKはどのような存在として役割を果たしていくべきか、視聴者のみなさまのご意見やNHKで働く職員の声もしっかりと受け止めながら、考え続けてまいりました。
 「“公共メディア”への進化」を合言葉に、役職員が力をあわせて、新しい放送・サービスを創造する経営計画を作ることができたことをうれしく思うと同時に、その責任の重さに、あらためて身の引き締まる思いです。

 

 次期経営計画の特徴は、前経営計画で示した「NHKビジョン」の第2ステップとして、2020年に最高水準の放送・サービスを具体的に実現することです。計画のタイトルを「大切なことを、より深く、より身近に 〜“公共メディア”のある暮らし〜」と掲げ、「それぞれの視聴者のみなさまにとって、日々の暮らしに欠かせないメディアになる」という決意を込めました。
 放送では、2018年12月に4K・8Kスーパーハイビジョンの本放送を開始し、インターネットでは、「いつでも、どこでも」視聴者のみなさまの期待に応えられるコンテンツの提供や、放送と同時の配信などに取り組んでまいります。
 放送を太い幹としつつ、無限に広がるインターネットの世界でサービスを展開していくにあたり、何のために実施するのか、その目的を明確にするために、NHKが実現を追求する「公共的価値」を整理しました。
 具体的には、「正確、公平・公正な情報で貢献」、「安全で安心な暮らしに貢献」、「質の高い文化の創造」、「地域社会への貢献」、「日本と国際社会の理解促進」、「教育と福祉への貢献」、の6つです。
 これらは、NHKがこれまでも実現を追求してきた「公共的価値」ですが、放送と通信の融合時代に、しっかりと期待に応えられるよう、「情報の社会的基盤」の役割を果たしてまいります。
 受信料の価値を最大限高めるために、関連団体を含めNHKグループが一丸となり、「働き方改革」「グループ経営改革」「地域改革」などの取り組みを進めながら、創造と効率を追求する経営を実践してまいります。

 

 3か年経営計画では、「5つの重点方針」を掲げました。放送・サービスに関わる3つの方針と、マネジメントに関わる2つの方針です。
 重点方針1つ目は、「“公共メディア”への進化」です。
 インターネットも活用し、日々の政治・経済・社会・文化や防災・減災の報道、緊急報道の充実、幅広い世代の期待に応えるコンテンツの充実、4K・8Kの本放送開始、国際放送「NHKワールド JAPAN」の強化などに取り組みます。
 2つ目は、「多様な地域社会への貢献」です。
 さまざまな課題に直面する地域社会に貢献するため、全国ネットワークも生かしながら課題や解決法を提起するとともに、多様な自然・歴史・文化・人々の暮らしなど、それぞれの地域ならではの魅力を広く発信します。
 3つ目は、「未来へのチャレンジ」です。
 2020年の東京オリンピック・パラリンピックで最高水準の放送・サービスを提供するとともに、視聴者のみなさまと一緒に、これからの時代にふさわしい「公共的価値」の実現に向けた放送・サービスを創造します。
 4つ目は、「視聴者理解・公平負担を推進」です。
 NHKの理解促進をさまざまなアプローチで展開するほか、「支払率」「衛星契約割合」を毎年度1ポイントずつ向上させるとともに、受信料の負担軽減策として受信料免除・割引などの施策を実施します。
 5つ目は、「創造と効率、信頼を追求」です。
 「NHKグループ 働き方改革宣言」を実現するとともに、事業統合や再編も含めNHKグループをより効率的な体制にシフトします。あわせて、コンプライアンスの徹底とサイバーセキュリティーの強化を図ります。

 

 次に、受信料の負担軽減策についてですが、受信料収入の増加と業務全般にわたる経費の削減によって一定の財源を確保し、放送・サービスの充実を図るとともに、受信料体系の見直しを実施します。
 具体的には、「社会福祉施設への免除拡大」、「奨学金受給対象などの学生への免除」、「多数支払いにおける割引」、「設置月の無料化」です。これらについては、「NHK受信料制度等検討委員会」に諮問し、「妥当性はある」との答申をいただきました。
 なお、受信料額は、次の3か年では据え置きます。

 

 3か年の収支計画は、受信料をはじめとする収入の増加を確保するとともに、関連団体からの特別配当も実施します。また、経営計画の重点事項などに財源を重点的に配分するとともに、経費の削減を徹底します。なお、財政安定のための繰越金は、4K・8Kなどの設備投資に使用します。そして、受信料の負担軽減策は収入の増加と経費の削減により、3か年で170億円規模で実施します。
 以上が、次期経営計画の全体像です。

 

 次期計画の遂行にあたっては、私が先頭に立ち、NHKグループの総力を挙げて、着実に進めていく決意です。
 そして、メディア環境が急激に変化する中で、先ほど申し上げた6つの「公共的価値」のさらなる実現を追求し、「公共メディアへの進化」に向けた新しいチャレンジに、より多くのパワーを生み出すため、「働き方改革」などに真正面から取り組むことが、私の大きな役割だと認識しています。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

【以下、質疑応答】

<“公共メディア”、インターネットの活用について>

Q.“公共放送”と“公共メデイア”は何が違うのか。

A.(上田会長): 放送というのはあくまで電波を使って情報を提供する。“公共メディア”はインターネット、通信手段も使って、視聴者の方々に、情報を届ける多様性を持たせていくということを考えている。

 

Q.放送法の規定をはみ出していないか。

A.(上田会長): 放送法で、インターネットの活用は「放送の補完」の範囲で認められている。放送の同時配信も認められている。ただ、「常時の」同時配信は放送法を改正してもらわないとできない。この必要性を訴えていきたい。

 

 

<負担軽減策について>

Q.29年度予算の審議の際は一律値下げが提案された。今回は免除・割引という方法で還元を図る意図は。

A.(上田会長): さまざまな議論を重ねてきた結果である。経営計画策定を進めるにあたって必要な収支見通しを精査した結果、4K・8Kや東京オリンピック・パラリンピックなど放送サービスの充実強化を図ったうえで、受信料収入の増加と業務全般にわたる経費の削減によって、3か年で170億円規模の原資を生み出した。そのうえで、受信料制度等検討委員会の諮問第3号「受信料体系のあり方」の答申や、これまで視聴者のみなさまから寄せられてきたご意見も踏まえて今までの制度とも整合する受信料体系の見直し、すなわち受信料の負担軽減策を優先して実行することにした。

 

Q.検討委員会の意見を勘案して、ということだが、最終的にNHKとしてどう考えたのか。

A.(上田会長): 答申を勘案し、NHKの判断でここに手を付けた。受信料収入が増えてくると言っても、この3年間で世帯数がピークとなることや、テレビを持たない世帯が増えてくる傾向もあるので、かつてのように右肩上がりにはならない。経費の削減をして資金を捻出し、これに決めた。負担軽減策の規模は2018年は6億円、2019年は74億円、2020年は94億円。これはその後も続く。負担軽減策について検討の手順を踏み、システムを変えて、90億円レベルの負担軽減策を決めたということ。

 

Q.当初は値下げも念頭にあったのか。

A.(上田会長): いろいろな選択肢を議論してこの結論になった。

 

Q.3か年計画だと受信料収入が増えるが、値下げは難しいと判断したのか。

A.(上田会長): 90億円分で値下げをするのか、受信料体系を見直す形を探るのか、それは選択肢があると思う。将来的な世帯数やテレビの保有などを勘案しながら、どのくらいの還元、視聴者のみなさまにお戻しができるのか。4K・8K、それから東京オリンピック・パラリンピックのように、還元のあり方は単に受信料額を下げるとか、負担軽減策を導入するというだけではない。「公共的価値」の実現をめざして、より充実したサービスを提供でき、それを視聴者のみなさまが良しとしていただければ、これもまたひとつの選択だ。そういうことも勘案しながらこの結論に至った。

 

 

<事業規模、収支規模について>

Q.収支計画を見ると、支払率は1%ずつ上がり、負担軽減策もあるが支出も増えている。効率化を図ればさらに還元できるのではないか。支出が増えていることについてどう思うか。

A.(上田会長): 2020年にかけての3年間は特殊性があり、4K・8K本放送開始で新たな資金需要がある。通信と放送の融合がさらに進展する中、世界から注目される東京オリンピック・パラリンピックで最高水準の放送・サービスを提供することに取り組むことになる。この3年間はその点を十分配慮した。

 

Q.現在のNHKの事業規模、事業範囲は適当であるかどうかという視点から議論を行ったか。4K・8KをはじめるとNHKはBSを4波持つことになるが、この点について議論されたか。

A.(上田会長): 4K・8Kをはじめると2チャンネル増えることになるので、この点も含めて今後どうするか検討の遡上(そじょう)に上げている。ただ、今すぐ決められない問題もある。“公共メディア”に踏み込んでいくときに、どういう規模、どういう体制でやるのか。放送は有限な電波の世界だが、通信は広がりが大きくなる。そこで、われわれが本来的に果たさなければならない役割がまさに「公共的価値」の実現をめざす道だと考え、いつもその原点に戻って、そこから逸脱していないかチェックをしながら進めていかないといけない。そういう意味で「公共的価値」をもう一度定義し、浸透させてやっていこうということが、今回の経営計画の骨子の部分になる。
 いまのチャンネル数がこれでよいのか、今後の業態のあり方については、しっかりと議論をしていく必要があると思っている。

 

Q.事業支出の規模を見ると、前回値下げがあった平成24年頃から6年間で700億円くらい増えた。当時の石原経営委員は、前回の値下げの議論の時にも積極的に、お金が多いので削るような発言をされているが、今回はそういった姿勢で臨んだのか。

A.(石原委員長): 受信料をどうするかは、中長期的な経営の見通しを見た上において考えるもの。1回値下げすればそれを再度上げるというのはなかなか難しい話になる。NHKは現在、お金が必要な懸案事項、例えば4K・8Kやオリンピック、放送センター、国際放送の充実など、いろいろある。その辺の状況は前回の頃とはだいぶ変わってきていると思う。一昨年に値下げの話があった。200億円位のオーダーだった。経営委員会は、中長期的に必要なお金の精査が十分にできていないと判断した。そしてこの1年をかけて、そこをきちんと詰めた。同時に、受信料制度等検討委員会の答申も踏まえて、今回の一定の金額、だいたい170億円とか180億円という枠の中で、どういう還元をしたら一番いいのかということで、最終的に今回の4つの項目を選んだということであると考えている。
 NHKの仕事がずいぶん変わってきており、資金が必要になっているということだと思う。同時に、支払率が上がっている。当時は74%くらいだったと思うが、それが80%まで上がっていることは、NHKに対しても理解をいただいてきているということだと思う。また、NHKの営業もそれなりに努力をした結果だと思う。

 

Q.会長は今の3か年計画の審議のときに、基本的にはお金がどんどん増えていくことはおかしいという立場で話をしていたが、執行部に入って変わったか。

A.(上田会長): いずれにしても中長期的な資金使途の見通しがたたないと、値下げや実際にどれほど資金が余るのかの議論ができない。4Kや8Kなど、新しい取り組みが目前に迫っているので、そういうことも含めて、当時も、中長期的な資金の見通しを立てた上で決めるべきではないか、ということを話している。執行部側になっても、当然しっかりと経費節減できるところは節減し、公共メディアとして、収支相償の原則は守っていかなければいけないと考えている。

以上