●経営委員会後の記者会見 |
平成28年12月6日(火)(第1273回)石原委員長、本田代行
(石原委員長)
本日行われた次期会長の任命についてご説明します。
本日、指名部会および経営委員会を開催し、平成29年1月25日付けで次期NHK会長に上田良一氏を任命することを、全会一致で決定しました。任期は3年です。
上田氏は昭和48年より三菱商事にお勤めになり、北米統括、米国三菱商事会社社長などを歴任され、本社の代表取締役副社長執行役員として、同社の経営にあたられました。財務会計・管理会計・内部統制などがご専門です。
平成25年6月からNHKの常勤の経営委員、同年7月からは監査委員もお務めいただいています。
経営委員会が上田氏をNHKの次期会長にふさわしい方だと判断した理由は、次期会長の資格要件を満たしていることを委員全員が認めたこと。NHK経営委員会委員、監査委員として、NHKの業務や課題に精通しておられること。信頼されるお人柄であり、NHK内外からの人望も厚いこと。民間企業の経営者として、大きな組織の経営にあたられた実績があること。海外経験が豊富であり、国際的なセンスが豊かであること。などから、これからのNHK執行部のトップとしてリーダーシップを発揮していただくのにふさわしい方だと判断したものです。
放送をとりまく環境が激しく変化する時代です。上田氏には、NHKが視聴者・国民のみなさまの期待に、より一層応えていけるよう、これまで籾井会長のもとで行ってきたさまざまな課題への取り組みや改革を、役職員の皆さんとともに、引き続き、力強く進めていただきたいと思っています。
私たち経営委員会も、同じ思いで責任を果たして参りたいと思います。
【以下、質疑応答】(A.は断りがない場合は石原委員長)
<選考過程>
Q.今回推薦は複数名いたのか。
A.推薦は複数名いた。
Q.短時間で決まったか。
A.指名部会と議決に至る経営委員会を合わせて3時間、そのうち籾井会長についても30分くらいで委員全員が意見を述べた。
Q.その他の候補者はどのような方か。NHKのOBはいたか。
A.候補者は外部の方。OBはいなかった。
Q.上田氏を推す人は複数いたのか、他薦か。
A.数は申し上げないが複数いた。自薦、他薦でいえば、他薦。
Q.最終的な全会一致とは、12人の委員すべてか。指名部会、経営委員会の採決に上田氏ご本人も加わったのか。
A.全会一致は12人全員。上田氏は採決には加わったが、ご自身についての議論の際は退席した。
<上田氏の評価>
Q.上田氏のどのような所を評価したのか。上田氏を選んだ理由は。
A.常勤の監査委員、経営委員として、NHKの内部からも大変人望がある。
また、所信表明の中で、「NHKが転換期にある中で、一番大事なのは視聴者・国民の皆さまの信頼である 」ということを何回も繰り返されており、全く同感だと思った。放送と通信の融合や、お金のかかる放送センター建て替えなどは、信頼を得て進めていかなければならない。そういう点で、上田氏の人格、パーソナリティは、この時期のNHKの会長として大変ふさわしい方だと考えている。
Q.本田代行は上田氏をどう思うか。
A.(本田代行) 先ほど委員長から説明したとおり。常勤委員を3年間務められ、NHKのことに詳しい。経歴からしてもリーダーとしても素晴らしい人。これからNHKの役職員が心をひとつにして、頑張っていくために、ふさわしい人だと思う。
<籾井会長の業績評価>
Q.籾井会長の業績評価では、どのような意見があったか。
A.評価する委員もいたし、評価しない委員もいた。例えば受信料の収入の確保、国際放送の充実、4K・8Kの技術開発への取り組み、放送センター建て替え計画に一定の方向をつけたこと、放送と通信の融合での試験的提供の実施など、NHKの懸案事項について積極的に取り組んで実績を出してきた。一方で、誤解を招くような発言があったことについても率直な意見が出た。そういう中で、他の候補とあわせて行った最後の選考では、選出されなかったということ。
Q.籾井会長は過半数を得たのか。
A.選考の過程の話は申し上げられない。
<経営委員・監査委員からの選出について>
Q.経営委員からの選出はめずらしいが、何か考えはあるか。
A.各候補者について慎重に議論した。その結果、上田氏がもっともNHKの会長としてふさわしいという判断を12人の経営委員がしたということだ。
Q.委員会の外から見つけられなかったという印象を受けるが。
A.必ずしもそうではない。外も内も別に関係なく、もっともふさわしい方を選ぶというスタンスで推進してきた。その結果が上田氏だった。
Q.執行部を監督して評価する立場の監査委員、経営委員が会長になることを問題視する意見はなかったか。
A.懸念を表明する委員もいたが、上田氏の人柄、リーダーシップ、業務に真剣に向かう姿勢、業務知識は資格要件にまさに該当するという意見が多くの方からあり、その集約の結果、上田氏が選出された。上田氏は、自分の与えられた職務に関して全力でその職務を全うする努力をする方。立場が違えば、また違った立場の仕事をきちんとする方であり全く問題ないと思う。
Q.経営委員会として、執行部の側に立場が変わる上田氏に対しても厳しくチェックする心構えで臨むか。
A.もちろん、それは大事な牽制機能である。
<内部からの任命>
Q.「NHKの方から人望がある」「3年いて内部に詳しい」ということだと、外部から優れた経営者を招へいするということは、念頭になかったのか。
A.内か外かで議論したということは全くなく、一番ふさわしい人を選ぶことに尽きる。
12名の委員が9回も指名部会を開いて議論し、どのような人がよいのかを、それぞれが考えた。その結果、上田氏が一番望ましい人だったということ。
Q.NHKの職員、OBの候補がいなかったということだが、その背景をどう考えるか。人材が育っていないのではないか。
A.委員の中から、この人がよいという人が出てこなかった。上田氏が選ばれたということは、民間の経験やものの考え方が現在のNHKに必要なことなのではないかと思う。
人材はそれなりに育っていると思うが、各委員において、今この時期に会長にふさわしいのか、という判断がされた結果だと思っている。
<経営委員会の体制>
Q.この後の常勤の監査委員、経営委員についてどう対応する予定か。
A.経営委員が11名になる。経営委員は国会の同意人事なので私たちが決められる話ではない。政府の対応を、できたら早くお願いしたいということしか言えない。過去にしばらく欠員があった例もあるが、常勤の監査委員は大事なので、できるだけ早く決めたい。
<選考過程の改善>
Q.国会で予算決議の際に、附帯決議として「会長の選考過程において透明性を確保するように」とあったが、今回の会長選で透明性が確保できたと考えるか。
A.できる限りの公平・透明性を持たせた。9回の指名部会のうち、最初の2回は過去の選考過程、内規を含めて議論した。どういう人が会長としてふさわしいかという資格要件についても3回にわたって議論した。内規や資格要件は前のものとあまり変わらないが、議論の過程が非常に大事だと思っている。NHKの業績評価、業務の状況の把握、籾井現会長の意見を聞くこと、籾井現会長の評価、そういう過程については説明をさせていただいた。ルールの中でやれる限りの透明性を図ったと思っている。
Q.いまのルールでやれば透明性が保たれると考えるか。
A.人事案件なので、デリケートな扱いが必要な部分もある。
Q.外部に候補者を募ったり、推薦を募ったりするやり方もあるのではないかという声が、一部の有識者からあったと思うが、今後に向けて会長選考のルールについて、考えはあるか。
A.より公平・公正にするために変えるところがあれば変えるということだと思う。
Q.市民団体が候補者を発表したりしたが、選考で反映されたことはあるか?
A.各委員がそれについて、どういう考えで候補者を出したかということは議論していない。
<新会長に望むこと>
Q.上田新会長には何を望むか。
A.NHKは放送と通信の融合の問題や4K・8Kの技術革新、イベントとしてはオリンピック、ラグビーのワールドカップもある。非常に大きなことをたくさん控えている時代。それに対して、NHKの職員約1万人、グループ会社含めて約1万6千人をしっかりまとめ、一丸となってNHKをよい組織にするようリーダーシップを発揮してほしい。
<所感>
Q.かねて石原委員長が言っていた通り、12月中に決まったことについて所感を。
A.NHK会長には社会的関心が非常にあるという感じを新たにした。前回の経験よりももっと社会・国民の関心が強いと感じる。それだけに、NHK会長人事の責任を強く感じて取り組んだ。こういったものは結果であり、上田氏という人を、しかも約束した期限内に選べたという点では、結果的に順調だったと言っていいと思う。
以上