●経営委員会後の経営委員長記者会見発言要旨 |
平成23年1月11日(火)(第1133回)小丸委員長、安田代行、井原委員
【経営委員会報告】
(小丸委員長)
(安田代行)
(井原委員)
<以下、質疑応答>
(記者) |
先ほどから「打診」という言葉を使っているが、安西氏は先ほど会見で、「経営委員の総意として要請があった」と言っていた。経営委員会としては、総意として「要請」したのではなく、あくまでも「打診」したという位置づけだということなのか。 |
---|---|
(小丸委員長) |
複数名の方が候補に挙がった中で、第1番目の候補として経営委員会の総意で打診したことは確か。NHKについてご存じではなかったので、いろいろ説明をした。最終的には議決になるということも説明したと思う。そうした中でいろいろあり、大変遺憾に思う。経営委員会としては、1月24日までに会長を選任しなければいけないと思う。ただ要件が難しいということも理解してもらわなければいけないし、経営委員12名が今回のようにいろいろな議論をして、最終的には安西氏が言うように、一枚岩にならなければいけない。 |
(記者) |
1月24日までそのまま委員長職に留まるのか。 |
(小丸委員長) |
1月24日をひとつの区切りとして、まずは会長を選任しなければいけない。 |
(記者) |
今回責任についてどう思うか。 |
(小丸委員長) |
ルールは踏んだと思うし、安西氏は終始、全員一致と言われていたが、全員一致ができず、昨日の状況となった。 |
(記者) |
小丸委員長から、福地会長への続投要請が駄目になったので、改めて探し始めたという話があったが、福地会長は、おととしの12月ぐらいの時点で「辞めます」「任期前でも辞めます」とメッセージを出していたのに、ほぼ1年、人選しないまま、「福地会長で大丈夫だろう」と思っていたのではないか。1年間何をやっていたのか。それを考えたら、もう委員長の職責は辞めなくてはいけないと思うが、いかがか。 |
(小丸委員長) |
最終的にはこういう結果になったが、会長の選出をもう少しさせてもらいたい。 |
(記者) |
ほかの人を選ぶチャンスはずっとあったのに、その間、何をしていたのか。 |
(安田代行) |
委員長はずっとあたっていた。 |
(記者) |
それは財界人か。 |
(小丸委員長) |
いろいろと。 |
(記者) |
うまくいかなかったのか。 |
(小丸委員長) |
その当時、福地会長は正式に辞めるとは言ってなかったので、続投していただけるという確信を持っていた。 |
(記者) |
正式に辞めることを耳にしたのはいつか。 |
(小丸委員長) |
昨年12月の最初の経営委員会の時。 |
(記者) |
経営委員会は、昨年12月上旬の時点まで福地会長が辞めるという意志は確かなものではないという認識だったのか。 |
(小丸委員長) |
やっていただけると思っていた委員が大半だったと思う。 |
(記者) |
今問われているのは経営委員会の総意として安西氏にお願いしたにも関わらず、経営委員会として辞退を要請しているという状況。経営委員の見識が問われており、資質が欠けているのではないかという疑問が出てもおかしくない。24日までに今の経営委員で会長を決められるのか。この責任について小丸委員長はいかがお考えか。 |
(小丸委員長) |
1月24日までに、何がなんでも選ばなければいけないという議論をさきほどまで委員のみなさんとした。 |
(記者) |
経営委員の総意として要請したのに、なぜ12人が揃わなくなったのか。 |
(井原委員) |
経営委員会の総意としては、安西氏を議決したときに引き受けていただけるかどうかという意向を打診したという理解だった。たいへん紛らわしく、誤解を生むやり方だったと反省している。 |
(記者) |
どういう理解かよくわからないのだが。安西氏は受諾したわけですよね。 |
(井原委員) |
経営委員会は、受諾をしたとは理解しておらず、議決をしたときには受諾してくださるというふうに理解していた。 |
(小丸委員長) |
安西氏からは、12名の賛成がないと受けられないという仮定の話はあった。だから昨日、「こういう状況だから、ご理解していただきたい」という話をした。 |
(記者) |
つまり安西氏と最初に話した時点では、まだ全員は賛成していないが、見切り発車で打診し、これから全員賛成する方向に持っていくからということで、再度打診したということか。 |
(小丸委員長) |
安西氏は当初から「経営改革には経営委員会の力が要る、12名全員が一枚岩になって力を貸していただきたい」とおっしゃっており、「そうなれば当然、力を貸す」という話はした。しかし最終的には議決が必要なことは安西氏もご存知だったと思う。 |
(記者) |
当初、12月21日に安西氏に打診しようとなった時には、経営委員会の総意として合意ができていた、という理解ではないのか。 |
(井原委員) |
この人が会長になるかもしれないということは、合意していたと理解している。しかし、議決はされていない。だからこそ、何人かの委員がそれ以降、いろいろとご異論を出すようになったので、その段階では決定ではないというのが共通理解だったと思う。 |
(記者) |
今回やり方自体が紛らわしくて反省していると。このやり方についてはすべて白紙に戻すということか。 |
(井原委員) |
同じ轍を踏んではいけないので、明日また十分に検討しようということになっている。やり方そのものを再検討しなければいけないという意見も多く出ている。 |
(記者) |
安西氏が今日の会見で、「評価が、自身の実績等ではなく、風評に踊らされた評価であり、不信感、憤り、不愉快だ」とおっしゃっていたが、その指摘に対しては。 |
(小丸委員長) |
私は、終始変わらず安西氏にやっていただきたいという気持ちだった。 |
(安田代行) |
若者、特に大学生がテレビを見ないという現実があるので、慶應義塾の塾長を2回やられ、若者との接触があり、放送と通信の融合という新しい時代に工学系の技術を持っておられることで、これ以上ふさわしい人はいない。年齢も委員長がおっしゃったように、64歳。 |
(記者) |
風評で評価されたことによる不信感、憤りについてどう受け止めるか、という点について聞いているのだが。 |
(小丸委員長) |
風評ではなく、委員全員には賛同してもらえない状況になったということ。風評に対して、私は何もコメントする立場にないし、本当にそういうことがあったかどうかも分からない。私は、やっていただけると信頼していたが、12人全員が一致しなくてはいけないということが、問題だった。 |
(井原委員) |
風評そのものを信じて多くの委員が反対したとは思っていない。3条件であるとか、風評であるとか、事の真偽は分からないどころか、おそらく真実ではないというように私は思っているし、反対の方もそう思っているかもしれない。しかし、3条件とか風評のようなことが、次々と出るような方を公共放送NHKのトップにして、視聴者にご理解いただけるか、あるいは職員からの求心力を集めて、NHK改革が果たせるのか、ということを、すごく悩むので、賛成しがたいという声は多くあった。 |
(記者) |
安西氏自身が12月19日に小丸委員長から就任の要請があったと言っているが、経営委員会の総意として19日に要請をしたのか。また、経営委員会で候補者を挙げたのは12月21日だが、それ以前に要請というのはどう理解すればよいのか。 |
(小丸委員長) |
12月21日に経営委員の総意で、数名の中の最初の方だと言うことでお伝えした。その前にも、安西氏に、NHKで改革していただける人をこれから探さなければいけないという趣旨のことは言ったと思う。しかし、正式には21日に、委員のみなさんの気持ちを伝えたのが初めて。そして、12月23日に面談をした。 |
(記者) |
そうすると19日は小丸委員長個人的に。 |
(小丸委員長) |
個人的に。いろいろな方々にお願いしなければいけないので、その一人として選択をしていた。 |
(記者) |
この時期になって、会長の有力候補とされた人が12分の9を得られない状況になって、辞退を申し入れたということだが、委員長は、責任を感じているのか。 |
(小丸委員長) |
何回も言うように、私としては、9票は取れるから、議決までいきたいという思いだった。しかし、委員のみなさんのご意見を聞くと、どうも9票は危ないということで、昨日の事態になった。思わぬことで、予期していなかった。少し甘いと言われれば、そうかと思うが、委員のみなさんも同じ方向にいっていただけると、思っていた。安田代行も井原委員も非常にびっくりされていた。2、3日前にそういう結果になったことで、安西氏には大変申し訳ないと思っている。 |
(記者) |
通常であれば引継ぎ等も始まっているこの時期になっても、まだ決まっていなくて、今日になって拒絶の会見をされるというのは異例の事態。こういう結果になったことについて委員長はどう受け止めているのか。 |
(小丸委員長) |
本当に申し訳ないと思っている。私を含め、経営委員全員が、少し甘かったのではないか。そして情報が外に漏れやすい環境であったということについても責任を感じている。 |
(記者) |
こういう状況を迎えて、NHK職員に対してはどう思っているか。 |
(小丸委員長) |
一番、心配しているのは職員のみなさんだと思うが、遅くとも、24日までには決めたい。このやり方で本当に良かったのか、もっと強引にやればよかったのではないか、というようにも思うが、やはり、冒頭井原委員が言ったように、民主的に、いろいろな委員から意見が出る開かれた経営委員会ということが頭の中にあったのでこういう選択を選んだ。24日までには、必ずや達成できるように私を含めて、委員全員が努力していきたいという思い。 |
(記者) |
24日までに、ということだが、時間がもうないと思うが自信はあるのか。また、選任のやり方について、オープンであったことがよかったのか、もっと強引にやらないといけなかったのではないか、というのは、具体的にどのようなことか。 |
(小丸委員長) |
時間的な問題については、明日からまた審議をして、なにがなんでも24日までには決めさせていただきたいと思う。可能性はあると思う。可能性を作っていかなければいけない。情報が流出して、安西氏に大変ご迷惑をおかけしたので、やり方はもう少し、変えなければいけないのかなと思っている。 |
(井原委員) |
オープンで透明性の高いものというのは、経営委員会に託されていることだと思っているので、反省すべきはその方法であり、今回のような事態を起こさないのはどうしたらいいのかを考えていかなければいけないのだと私は思っている。 |
(記者) |
実際、今日の経営委員会の中で、もう一度やり方を見直すとか、今後どういう形で選出するのかといった具体的なやり取りはあったのか。 |
(小丸委員長) |
あった。 |
(記者) |
委員から推薦者を募ってやる方法は改めるということか。 |
(小丸委員長) |
今日、今までのようなやり方には少し問題があるのではないかという議論に入った。 |
(記者) |
ある程度の方向付けというのは、ある程度、候補者を絞るということを明日やるということか。 |
(小丸委員長) |
今はまだ言えない。 |
(記者) |
やり方についての方向性は、明日までに決めるということか。 |
(小丸委員長) |
決めたい。 |
(記者) |
明日は、選定方法を話し合うということか。 |
(小丸委員長) |
明日、委員のみなさんとどういった選定をしたらいいのかをもう少し議論し、その中でいい考えがあれば、早い時期に決めていきたいということ。 |
(記者) |
それは1年ぐらい前にやらなければいけなかったことではないか。 |
(小丸委員長) |
従来の方法とは少し違うやり方なので。今回は、委員のみなさんから人選してくださいということで始まっている。 |
(記者) |
そもそも安西氏に声をかけたのは、「資料とかネット」と言ったが、誰か推薦者があったということではなく、資料とネットで決めたということか。 |
(小丸委員長) |
企業人は70歳以上とか、特定の方しかいらっしゃらない。60代の方を探そうとすると、どうしても大学関係の方になる。特に年齢を気にしながら人選させていただいた。いろいろな大学の方を調べた中で安西氏の名前が出てきた。 |
(記者) |
先月末の経営委員会では、候補者が複数名おり、その中の一人が安西氏だったということだが、今後ほかの候補者の方に会長就任を打診することはあるのか。または、選定方法から候補者までまったく白紙になったのか。 |
(小丸委員長) |
それはまだ十分に議論していない。明日、委員のみなさんと議論して、決定したい。委員のみなさんから安西氏に対していろいろな意見があり、選択方法に問題がなかったか、などいろいろな検証をした。最終的には、明日判断したい。 |
(記者) |
白紙にするかも白紙ということか。 |
(小丸委員長) |
まだわからない。まだ議論が足りないと思う。 |
(記者) |
外部の方にお願いするにしても、2週間を切っている状況だと、現実的に厳しいと思うが、例えば内部昇格とか、福地会長の続投ということも視野に入れて考えているのか。 |
(小丸委員長) |
まだそこまで考えていない。明日、委員のみなさんと考えたいと思う。 |
(記者) |
これから人選することについて、どのくらい厳しい山だと感じているか。 |
(小丸委員長) |
難しい質問だが、まずは24日までにできる限り決めたいと思う。 |
(安田代行) |
できるだけ24日までにお願いしたいと思っている。 |
(記者) |
経営委員会と執行部は分離されていて、会長は経営委員会のメンバーになっていないのだが、福地会長はこの前の会見のときに、「なぜ後任人事について自分の意見が反映されないのか」と放送法をチクリと批判したのだが、このような事態になり、福地会長も「自分に聞いてくれたら」という気持ちがあるかもしれない。福地会長に相談して、誰か推薦してもらえないかという気持ちはないか。 |
(小丸委員長) |
今はそういう気持ちはない。 |
(記者) |
あくまで経営委員会で決めるということか。 |
(小丸委員長) |
そう。 |
(記者) |
井原委員から説明のあった、事前交渉はしないで推薦するという方法は、いつ頃決まったのか。 |
(井原委員) |
指名委員会が立ち上がった11月の2回目の経営委員会。そこから始まった。 |
(記者) |
それまでは、福地会長が続投しないと言ったら、どういうシステムで決めていくかについて、全く考えていなかったということか。 |
(井原委員) |
全く考えていなかったということはなく、三々五々意見交換はしていた。しかし、組織としてどうするかという判断は委員長にあった。 |
(記者) |
組織としてと言っても、普通の委員でも報酬を約500万円もらっている。それを三々五々、ぼちぼち考えると言うのでは.. |
(井原委員) |
三々五々というのは「ぼちぼち考える」ことではなく、一生懸命意見交換をしていた。 |
(記者) |
それが形になったのが11月ということか。 |
(井原委員) |
そういうこと。 |
(記者) |
安田代行と井原委員に質問だが、今回こういう事態になって、安西氏にこれだけ迷惑をかければ、常識的に考えると、委員長は当然責任をとるべきとして、経営委員の方々にも責任があると思うが、委員の責任の処し方についてはどのように考えているか。 |
(安田代行) |
私は、経営委員全員に責任があると思う。全員の総意でお願いしたのだから。委員長だけに責任を押し付けるのはどうかと思う。 |
(記者) |
経営委員全員は辞職すべきだということか。 |
(安田代行) |
いや、辞職とは言えない。何らかの形で、謝罪をするようなことが必要だと思う。 |
(記者) |
全員で謝罪をするのか。 |
(安田代行) |
そう。 |
(井原委員) |
私も経営委員の責任については、安田代行と同じ考え。 |
(記者) |
先ほどから聞いていると、安西氏について、すばらしい方だと言っており、さらに経営委員の総意としてお願いしたようだが、一方で「風評が立つような人では困る」という一部の委員とあまりにレベルが違いすぎるのではないか。異論を唱えた方は、いったいどういうつもりで、安西氏を含めて3人の方にお願いしていこうと決めたのかと思ってしまう。異論のある委員の方の言い分には、もっと正当なものがあるのではないか。本当にそんなことで、重要な人事が決められてしまっていいのかという疑問がある。 |
(小丸委員長) |
何度も言うが、安西氏が「12名全員に同じ方向を向いていただかないとNHKの改革はできない」と言われたことは妥当だと思う。それに対して12名全員が同じ方向を向けなかったことに対して、本当に申し訳ないという気持ち。 |
(安田代行) |
そう思う。NHKの会長という、特異な、ある意味で日本の方向を決める人を選ぶということだけに、発言された方も本当にまじめに、一生懸命発言されていると思った。委員長、代行ともその意見は真摯に受け止めなければいけないと考えた。 |
(井原委員) |
私も、レベルが違うか違わないかは別にして、「本当にこういう状況の中で、この方を選んで視聴者のみなさまにご理解いただけるか、NHK職員と一緒になってNHKの役割を果たせるのか、本当に悩む」という議論は、私は真摯だったと理解している。 |
(記者) |
悩むことは当然として、安西氏に対して「こういう人物だからふさわしい」という定見のようなものを持っていなかったのか。漫然と風評で流されてしまったように見えるのだが、小丸委員長、安田代行、井原委員は、「安西氏はこういう点ですばらしい」と、ほかの委員を説いて回らなかったのか。また、ほかの委員は、安西氏に会っても印象が変わらなかったということか。 |
(記者) |
まず、いつごろ安西さんを推薦するのがいいと考えたのか、その時期はいつか。また、「資料やネット」と説明されたが、いろいろな方に相談したりすることもあったと思うが、どなたかからの具体的な推薦があったのかどうか。 |
(小丸委員長) |
安西氏については12月のはじめ頃、いろいろな情報を得ながら、複数名で話したという過程があった。それから、条件とかそういったことは一切なかった。記事が出たので、委員の中に多少アレルギーになった方もいたが、私から説明したし、そのようなことで左右されるような委員ではないと確信している。 |
(記者) |
委員長自身の頭の中に安西氏の名前が浮かんだということか。 |
(小丸委員長) |
そう。いろいろな調査をした。 |
(小丸委員長)
昨日の会見について、委員長として、経営委員会の本意をお伝えしきれてない部分がありましたので、改めて説明させていただきます。
2点あります。
第1点は、経営委員会として、合意した手続きについてです。
指名委員会の立ち上げが遅く、そのため会長選出の手続きの検討にかける時間が十分でなかった上に、安西氏への私の説明で、「要請」ではなく、「打診」であったことを正しくお伝えできませんでした。
以上