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経営委員会後の、経営委員長記者会見要旨

 

08年10月14日(火)(1080回) 古森委員長、岩崎代行、小林委員、多賀谷委員

 

【次期経営計画の議決について】
 本日は全体会議をもち、10月7日の経営委員会で「次期経営計画案」に関して、平成24年度からの受信料収入の10%の値下げを経営目標とし、その根拠となる収支見通しを盛り込んだ案を10月14日に再提案するよう執行部に申し入れていたので、この回答について会長に説明を求めた。会長からは、「執行部としては、平成24年度からの10%の受信料の引き下げをこの時点で約束することはできない」との回答があった。
 これについて議論を行った後、経営委員の意見を確認し、会長に対して執行部から自主的に修正できないか再度要請し、全体会議で確認したが、回答は変わらなかった。この結果を踏まえ、全体会議で議案の取り扱いにつき意見を求めたところ、複数の委員から「これまでも経営委員の意見を会長に伝え、修正を求めてきたが、修正回答が得られなかったこと」、「5か年の収支についても最初から示され、ずっと経営委員、執行部で議論してきたことであり、これによれば平成24年度から10%の値下げは可能と判断されること」、「合理的な経営を通じて値下げの幅、時期を明示するのは国民、視聴者への義務と考えること」、「これまでの経緯から受信料の値下げは視聴者から注目されていること」から、「平成21年度から本計画において掲げた施策を着実に遂行することで、平成24年度から受信料収入の10%を視聴者のみなさまに還元できる収支構造を構築すること」、「具体的な還元方法はいくつか考えられることから、平成21年度から受信料体系の総合的な検討に着手し、最適な方法を決定して視聴者のみなさまにお示しし、平成24年度から受信料収入の10%の還元を実行すること」、「また、平成24、25年度の収支については、執行部からの提示がないので、執行部が9月24日に経営委員会に提出した平成24、25年度の収支データをグラフにして、参考資料として経営計画に追加すること」等について修正提案があった。この修正提案に対して、経営委員及び会長の意見を確認した上で採決に入り、賛成多数で修正提案を含めた次期経営計画を議決した。なお、反対した委員の中にも、執行部に対して値下げ幅を明記するよう求めることには賛成の方もいたが、経営委員会として修正議決を行うことには慎重な考えであった。
 議決後、会長からは「決まったことには従います」との発言があり、委員長からも「意見が相違したこともあるが、実施に移すべき事項を明確にして、進捗状況を確認しながら、経営委員会は監督をしっかり行うとともに、問題があれば解決のための知恵をお互いに出し合おう」と呼びかけ、計画達成に向けて尽力することを確認した。

 

Q.経営委員会による修正提案は初めてであり、ここまで修正を求めた最大の理由は。

 NHKの課題は大きく2つある。1つは質の高い放送を公共放送として提供していくこと。もう1つは受信料収入によって運営される公共放送であり、効率的な経営が求められるということである。この2つを両立する形で取り組んでもらいたい。このためには、経営合理化の明確な目標が必要である。3か年計画の中では地デジがあり還元が難しい。しかし、経営委員会は、執行部との議論で示された5か年の見通しから判断して、3か年経営計画が着実に実行されれば、24年度以降の10%の還元は可能であると考えた。これを国民視聴者にお約束して実施することが、今の経営委員会のひとつの義務であり課題ではないかと考えている。執行部からは4年目以降は見通せないという話もあったが、経営委員会としては実施可能であると考えたので、自ら修正して決議した。なお、還元の方法については、受信料の公平負担の観点から一律が原則であると考えるが、どういう受信料体系が良いのかを、3か年計画の中でじっくりと検討することとした。

 

Q.昨年とどこが違うのか。

 今年の経営計画のポイントは「次期経営計画に関して」にも盛り込まれている通り、

  1. NHKが健全で効率的な経営が行われるための踏み込んだ経営改革案が織り込まれていること。
  2. 放送分野への経営資源のシフト強化や、放送通信融合時代に向けた新サービスの展開など、NHKが目指す方向性が具体的な形で盛り込まれていること。
  3. 地上デジタル完遂に向けてNHKとして最大限の努力を行うことと地上デジタルへの移行後については視聴者への受信料還元の方針がきちんと明確化されていること。

である。今年は、これらを相当突っ込んで検討してもらった。我々も要請し、議論が噛み合っていた。昨年度、議決しなかった理由を8項目示し、今年の3月には重要検討事項8つを最初から示した。やり取りもそこから続いていており、経営委員と執行部の意見の付き合わせも行われた。そういうことが相まって、去年の計画よりも非常に良いものとなっている。昨年は時間的な問題があり、経営委員の意見を十分受け止めてもらえなかった。
 それともう1点は、昨年は抜本的な改革をしないで、繰越金すなわちストックを使って値下げをしようという発想であったが、今年は収支構造の抜本的改革を行って、年間のフローから余剰資金を生み出して、値下げしようという点が根本的に違っている。

 

Q.今後どう執行部を監督していくのか。

 NHKの経営体制は、重要問題は経営委員会が議決し、議決されたものの執行責任は執行部にある。経営委員会はそれを議決し監督するという役割分担である。今後、執行部は経営計画の議決を受けて執行していき、我々はそれを四半期毎に進捗状況の報告を受け、計画がしっかり実行されるよう監督の役割を果たしていく。

 

以上