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馬場小学校 ダンスでひとつに

執筆者のアイコン画像(記者)園山紗和
2023年03月15日 (水)

馬場小学校 ダンスでひとつに

金沢市東山にある馬場小学校。
文豪、泉鏡花や徳田秋聲も通った150年以上の歴史がある学校です。
しかし、児童の減少のため来年度(R5年度)いっぱいで閉校することが決まっています。
小学校の統廃合で悲しみも広がるなか校長は「子どもたちには前向きに過ごしてほしい」とダンスでひとつになることを提案しました。
ダンスを通して成長する子どもたちの様子を追いました。

ダンスの馬場小学校

1月、馬場小学校の始業式。
式の最後に始まったのは...

全校児童でのダンス!

地域の人にもダンスを見てもらいたいと、去年の秋からは学校を飛び出し、浅野川大橋でのイベントなど外でも踊ってきました。

来年度いっぱいで閉校に

ダンスの仕掛け人は、國分孝二校長です。

「馬場小学校の子どもたちは素直で本当に良いなと思う反面、おとなしい、恥ずかしがりやさんが多かったんです。
体全体を使って何か表現すれば、もしかしたら自分の感情とか相手とのコミュニケーションの道具になるんじゃないかなと思いました」

明治3年に創立し、150年以上の伝統がある馬場小学校。
ピーク時には1500人以上の児童がいましたが、今では70人ほどに減りました。

人数は少ないものの、子どもたちはとっても仲良し。
校長も日ごろからひとりひとりに目を向け、声をかけます。

こうしたなか、去年12月。
児童の減少で、来年度いっぱいでの閉校が決まりました。
寂しさや不安を口にする子どもたちを見て國分校長は『閉校までの残された時間、子どもたちどうし支え合って明るく前に進んでほしい』と強く感じたのです。

「負けたらダメだということは子どもたちに1番伝えたいことです。
暗い気持ちになるんじゃなくて、これから新しい生活を作るぞという意味で『負けるな』というのは私のメッセージとして伝えたいと感じています」

ダンスでひとつになろう

そこで決めたのは、2月の6年生を送る会で全校ダンスを披露することでした。
掲げた目標があります。

『BeOne~最高に輝く未来へ』

閉校が決まった今だからこそ、馬場小学校全員でひとつになってほしいという校長の思いです。

BeOneを目指して

「目をよく見て踊る!」
送る会に向けた練習が始まります。
この日はプロのダンサーを招いて本気のレッスンです。

そして昼休みには...

自主練習へ直行。
短い時間も惜しんでひたすら練習を重ねます。

ダンスの映像を見ながら何度も動きを合わせて...
みんなそろった踊りを目指して細かい動きを上級生が教えます。

送る会の運営も子どもたち自身で。
5年生が実行委員になり、ダンサーの先生や地域の人たちにも演出を相談しながら準備を進めていきます。

実行委員
「ダンスを盛り上げるにはどうしたらいいですか?」

ダンサーの先生
「皆さんに拍手や手拍子をお願いしますと伝えたらいいかもしれないね」

大人も巻き込んで会を作り上げたい。これも、BeOneに向けた大切な過程。 子どもたちの気持ちが、高まってきました。

「最初ダンスをすると決まったときは、えー?と思いました。でもやっていくにつれてだんだん楽しくなった。ダンスを踊ると、あったかい気持ちになります」

「ダンスの練習を通して他の学年との交流もすごく増えてきたから、すごく仲が深まった気がします。毎日会って毎日をダンスして、ひとつのまとまり、これがBeOneなのかなって感じます」

國分校長
「ダンスを通してこんなに元気よく、そして自分の価値を認めて人を笑顔にさせるというような、すごいコミュニケーション能力を身につけたなあ、たくましくなったなあと感じています。
別れるのはさみしいけどね。みんなどんどん最高な仲間になってきているんじゃないかなと思っています」

いざ本番、ひとつになれるか

そして迎えた本番。

いよいよダンスの披露です。
緊張の面持ちの子どもたち。踊る曲は『BeOne』です。

よみがえるのは、みんなで練習した日々の思い出。
思いをひとつに、全力で思いを表します。

3月で定年の國分校長。 成長した子どもたちの姿を、最後まで見守ります。

全員のこころがひとつになった、大切な瞬間です。

輝く未来へ進め

6年生
「学校がなくなるのは悲しいけれど、152年目の中で思い出に残るようなことができればいいなと思いながら踊りました」

6年生
「やりきったという気持ちでいっぱいです。下級生たちは閉校することが分かったうえで過ごしていくことになると思うので不安な気持ちが大きいと思う。
少しでもその不安な気持ちを消すことができたらいいなと思います」

「最高でしたね。今日子どもたちが『BeOne』を踊ったとき、あの子たちの成長がオーバーラップして涙が出てきました。でも悲しい涙じゃなくて幸せな涙に変わった。だからとても良かったです。 人を想う心や思いというものが大切なものだということは教えてきたつもりです。子どもたちにも伝わって、十分育っていますので、この気持ちで未来に突き進んでいってほしいです」


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