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「流氷と森の作る自然・知床の世界自然遺産の拡大を!」(キャッチ!ワールドアイ)

石川 一洋  解説委員

世界自然遺産の知床半島、知床半島の羅臼、流氷の上の大鷲やオジロワシ、羅臼には外国人観光客も引き付けます。知床半島の自然は、国後島、択捉島など北方4島の自然と深く結びついています。知床と北方4島の自然について考えてみます。

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石川一洋解説委員です。

Q 知床半島と北方4島、そのつながりは

A 知床半島と深く結びついているのは、北方4島のうち国後島と択捉島です。
地図をご覧ください。

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知床半島と国後島、最も近い場所で20キロ余りしか離れていません。知床半島と国後島、半島と島という違いがありますが、形もよく似ています。

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さらに拡大しますと知床、国後、択捉、そしてその先のウルップ島まで細長い、東北東に向いた形はそっくりです。カムチャッカから北海道の知床半島まで北米プレートに太平洋プレートが潜り込むことでできた言わば兄弟のような存在ということが言えます。

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羅臼沖では5月からシャチなどの群れを見ることができます。知床半島と国後島の間、羅臼沖の海は水深が2600メートルもある深い海となっています。いわば知床半島と国後島を繋ぐ渓谷のようになって、そこに鯨やシャチなど鯨類も集まるようになっています。そうした豊かな海は国後や択捉の周辺にも広がっているのです。

Q 知床半島と北方4島の自然が深く結びついているということですが、どのような特徴があるのでしょうか

A 知床半島が世界自然遺産に登録されたときの国際自然保護連合のIUCNの技術評価報告書によりますと「海と森の生態系が結びついた顕著な見本とされ、北半球で最も南でみられる流氷の影響で豊かな海が形成されている」としています。
ヒグマや鯨、シャチ、そして大鷲、オジロワシそれに鮭など様々な生き物が暮らす生物の多様性も評価されています。実はそれは国後島や択捉島も同じことなのです。

先月、知床半島オホーツク海側では岸辺まで氷に覆われていました。択捉島などではまだ流氷に覆われていて、貨物船の行き来もままならない状況が続いています。船の運航などには支障となる流氷ですが、豊かな海の恵みももたらしてくれます。知床の自然保護の専門家は知床と4島の生態系は、分けることができずまさに一体として結びついていると指摘しています。

Q 冬にはどのような自然が見ることができるのですか

A 私は先月半ば、知床半島の根室海峡側の羅臼を訪れました。午前五時過ぎ、観光船に乗って出港しました。沖合に向かうと流氷が見えてきます。真冬も羅臼では観光船のシーズンです。バードウォッチングの愛好家たちで、実は日本人だけでなく、外国人の方も多く乗っていて、この日はタイや台湾、北欧などからの外国人観光客が半数以上乗っていました。流氷と大鷲やオジロワシの姿が合わせて撮影できるのは世界中でもこの知床半島、羅臼の沖合しかありません。越冬のため、カムチャッカやシベリア、サハリンなどから大鷲やオジロワシが飛来するのです。黄色い爪の羽を広げると二メートルにもなるといわれる日本最大の猛禽類、大鷲です。一方オジロワシは名前の通り、尾の先が白くなっており、凛々しい姿をしています。外国から来たバードウォッチャーたちは一心不乱にシャッターチャンスを狙っていました。羅臼岳など知床の山並みが荘厳な美しさを見せていました。流氷の向こうには国後島も見えていました。流氷が知床半島と北方4島を繋いているのです。この流氷のウォッチングは今週で終わりですが、5月からはシャチなど鯨類のウォッチングが同じ海で始まります。
スウェーデン人「素晴らしい自然です。そしてわしの姿、涙が出てきました」
知床ネイチャークルーズ
長谷川正人さん「こんな交通の不便なところに世界中から人が来る。世界がこの自然を認めている」

Q 一方北方4島の方にはどのような自然が残されているのでしょうか

A 知床の世界自然遺産の拡大を訴えるのは、国後島や択捉島には、知床半島をさらに豊かにしたような手付かずの自然が残されているからです。
国後島から択捉島に向かう途中、国後島太平洋側、知床とよく似た景観が続き、北方4島の最高峰 爺爺岳の姿も見えてきました。海にはハシボソミズナギドリの大群、南半球のタスマニア付近から飛来しています。それだけ海も豊かだということです。そして択捉島、ここではグイ松などの樹海が一面に広がっています。択捉島のオホーツク海側の海岸沿い、道なき道をトラックバスで行きます。湿原にエゾゼンテイカが一面に咲き誇っていました。そして石灰岩の切り立った白い崖が続く風景・ビラ海岸です。ビラとはアイヌ語で崖という意味といわれます。そして海岸の砂浜にあったのは、ヒグマの足跡です。日ロでは北方4島における共同経済活動の一つとして観光の実現を目指しています。知床と北方4島を繋ぐエコツアーの大きな可能性を感じました。

Q 世界が注目しているということですが、自然保護と領土交渉の関係は?

A 日ロの平和条約交渉が続いている中で、日ロ双方は知床半島と北方4島を一体として保護すべきだという意見が日本の自然保護団体の中から出ています。

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知床の世界自然遺産を日ロの合意の上で、同じ生態系にある北方4島とその先の得撫島まで拡大して登録をユネスコに申請すべきだという提案です。知床半島では、観光や漁業など人間の経済活動と自然保護が、世界自然遺産登録によって両立しています。世界自然遺産を拡大し、名称は「日ロ平和公園」として乱開発を未然に防ぐべきだとしています。実はユネスコが知床を世界自然遺産として登録するときに、国際自然保護連合IUCNがユネスコへの技術評価報告書の中で「将来的に近隣の諸島も含めた形の『世界遺産平和公園』して発展させることも可能である」と提言していて、いわばそれを受けた形で自然保護団体が提案しているのです。
斜里町元町長・日ロ平和公園協会 午来昌理事長
「経済優先ではなく環境こそ原点であると安倍総理からプーチン大統領に働きかけてほしい。そうすればプーチン大統領も分かるのではないか」
知床財団 山中事務局長
「海洋資源の保護のためにあるいは利用のためにこれは非常に有効なことだと思います。今はビザなしで交流している程度で、一緒になって保全をしたり管理したりできない状況だ。当面共同管理みたいな形でも良いですから、一体として管理することができればかなり前進だ」

Q ただ日ロの間ではまさに領土問題があり難しいのではないでしょうか?

A もちろん平和条約が締結されて国境線が確定すれば、日ロの合意に基づく自然遺産の拡大ははるかにしやすくなります。ただ交渉中でも不可能とは思いません。

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世界遺産条約では、このように定めていますが、つまり「領土問題など係争地であっても当事国が合意すれば自然遺産登録は可能でそれは当事国の主張に影響を及ぼさない」ということです。

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さらに日ロは島での共同経済活動を始めようと交渉しています。その出発点となる安倍・プーチン両首脳による合意には「共同経済活動の調整に関する合意も、実施も平和条約に関する日本及びロシアの立場を害するものではない」としています。
こうした条約や合意に立脚して、まさに4島を日ロ共通の世界自然遺産としようという将来像で日ロが一致すれば、決して不可能ではないでしょう。

北方4島の自然保護の将来は楽観できません。道路や空港の建設が進み、択捉島の北部は保護の対象から外れ、レアメタルなどの鉱山開発も計画されています。海では漁業資源の乱獲が進んでいます。平和条約交渉を進めるためにも日ロで4島の共通の将来を考える新しいアプローチの中で、まず自然保護で具体的な協力をしようというアプローチもあってよいのではないかと思います。

(石川 一洋 解説委員)

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