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「アバディ首相に聞く『IS後』のイラク再建」(キャッチ!ワールドアイ)

出川 展恒  解説委員

イラクのアバディ首相が、今週、日本を訪問し、NHKのインタビューに応じました。
過激派組織IS・イスラミックステートによって大きな被害を受けたイラクの再建に全力で取り組む決意を示すとともに、来月行われる議会選挙で、国民の信任を得て、政権2期目を目指す考えを明らかにしました。
アバディ首相にインタビューした出川展恒解説委員の報告です。

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イラクのアバディ首相は、5日、
東京都内で開かれたイラクの復興を支援する国際会議に出席しました。

イラクでは、4年前、ISが一方的に「イスラム国家」の樹立を宣言し、
急速に勢力を拡大しました。
イラク政府は、各国の支援を受けて、ISの拠点をほぼ奪還し、
去年12月、アバディ首相が勝利を宣言しました。

NHKの単独インタビューで、アバディ首相は、
ISを排除したイラクが、現在直面する国家再建の課題を次のように指摘しました。

【アバディ首相】 
「ISはイラクに侵攻し、多くの町を占領し、破壊しました。
 500万人以上が住む家を追われました」。
「破壊された町を再建し、避難した人々を帰還させ、生活できるようにするのは、
 とてつもなく大変な仕事です」。  
「国の一体性が脅威にさらされました。
 イラクは、宗教、宗派、民族によって分断されそうになりました。
 私たちは、今、イラクのアイデンティティを確立する必要があるのです」。
「1つの国家として、1つの目標の下で団結しなければなりません。
 国づくりを進めるには、政府は国民を差別してはならないのです」。

そのうえで、アバディ首相は、
長く続いた内戦で国内に広がった違法な武器を回収し、
ISの元戦闘員らが再び過激派組織に加わらないよう、対策を立てると述べました。

【アバディ首相】 
「われわれは、数か月前から、違法な武器を回収する取り組みを進めています」。
「テロ組織のメンバーに対しては、非常に厳しく対応しています。
 テロ組織が再結成されるのは、阻止しなければなりません」。

アバディ首相は、多くの若者たちが就職の機会を得られずにいることが、
過激主義の温床になっていると指摘しました。
そのうえで、失業問題を解決するため、
産業育成に取り組む考えを明らかにしました。

【アバディ首相】 
「政策の柱の1つは、民間部門を支援することです。
 公共部門と民間部門の協力関係を築こうと、極めて精力的に取り組んでいます」。
「民間部門が確立されれば、雇用の場が生まれ、健全なビジネスを創出し、
 経済成長を実現することができるのです」。
「日本政府には、もっとイラクに関わってもらいたいと考えています」。
「イラクでビジネスをしてきた日本企業に働きかけて欲しいのです。
 イラクは、もう安全だから進出しても大丈夫だと」。
「今回、日本の企業がイラクに進出することに強い関心を持っていることを知り、
 勇気づけられました」。
 
アバディ首相は、来月行われるイラクの議会選挙で、
国民の信任を得て、首相再選を果たし、
イラクの再建を進めて行く決意を強調しました。

【アバディ首相】 
「イラクの18の県すべてで候補者を立てているのは、われわれの政党連合だけです。
 民族、宗教、宗派を超えた活動をしているため、
 イラク全土で支持が得られると判断したからです」。
「われわれの政権が、ISを壊滅させ、イラクの統一を守ったということを、
 国民は評価してくれていると思います」。
「われわれの政権は、イラクの国民を、分け隔てせず、平等に扱います。
 必要なサービスを提供し、富と繁栄をもたらさなければなりません。
 イラクは団結し、1つにならなければなりません。
 武力によってではなく、相互理解によってです」。

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イラク戦争後の国づくりでは、多数派のシーア派が政治の主導権を握り、
少数派のスンニ派が不満を募らせてきたことが、ISの台頭を招きました。
また、少数民族のクルド人勢力が、去年秋、住民投票を行うなど、
独立要求を強めていることも、不安定要素となっています。
こうした問題にどう対応するのか、アバディ首相に聞きました。

【アバディ首相】 
「地方分権が、政権の目標です。地域政府に、より多くの権限を与えるのです」。
「しかし、同時に、中央政府の権限も維持します。これは譲れない原則です」。
「われわれが行ってきたのは、憲法に基づいて、
 中央政府と地域政府の権限のバランスを図ることです」。

アバディ首相の言葉からは、ISとの戦いに勝利した自信が窺えました。
政権2期目を目指すにあたっては、
イラクの本格的な再建、とくに、若者の雇用や民間企業の育成で、
日本からの支援と協力に強い期待を表明しました。    

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イラクの議会選挙は、来月12日に投票が行われます。
全国18の選挙区で、比例代表制で行われ、328の議席を争います。
イラク戦争後は、毎回、人口比率の多いイスラム教シーア派の政党連合から
首相が誕生しています。
アバディ首相が再選される可能性が高いとみられますが、
内政・外交ともに多くの難問が待ち受けています。

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(出川 展恒 解説委員)     


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