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キャッチ!インサイト 「児童労働と平和賞」

広瀬 公巳  解説委員

(マララさん)
「子どもには権利があります。
良い教育を受け、児童労働や人身売買に苦しめられない権利。
彼らには幸せな人生を送る権利があります」。

(サティヤルティさん)
「児童労働が貧困と無学を作り出す、この循環を断ち切らなければなりません。
人生のすべてをかけて、この問題に取り組んでいきたい」。

(平和賞発表)
ことしのノーベル平和賞に選ばれた2人は、子どもが教育を受ける権利を訴え続けてきました。

(パキスタンの女子学校+インドの児童労働)
しかし、パキスタンでは、女の子が通う学校を狙ったテロが頻発。
インドでも貧困の問題が子どもたちの教育の機会を奪っています。

(NGO・ACE代表 岩附由香さん)
 
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「教育と児童労働というのはコインの表と裏ですので、
こういう問題をずっと取り組んできた、しかも自分の命をかけて取り組んできた2人が受賞したのは本当にすばらしいことです」。

教育の機会を奪われた子どもたちのために、いま何ができるのか。
児童労働の問題を中心に考えます。
 
「児童労働と平和賞」
 

高野)けさは「児童労働」について考えていきます。
スタジオには、広瀬公巳(ひろせ・ひろみ)解説委員です。

Q1)
ことしのノーベル平和賞。子どもの権利のために貢献したパキスタンとインドの2人が選ばれましたね。

A1)
世界各地の子どもたちをテロや紛争から守るのは簡単なことではありませんが、子どもたちから、学ぶ場を奪っている最大の障害である「児童労働」から解放するのは、「やる気しだい」だと今回受賞した2人は訴えています。
<実物見せる>
こちらをご覧いただきたいのですが、サッカーボールとコットン製品、それにチョコレートです。子どもを守っていくための手がかりは、ボールやチョコレートなどの身の回りにもあります。
きょうは、ノーベル賞の精神に基づいて、わたしたちひとりひとりに何ができるのか、「児童労働」にしぼって、
1.児童労働がどれだけ深刻な問題なのかを知る(知る)。
2.児童労働に加担しないための選ぶという方法(選ぶ)。
3.何を考え、何を訴えていくのかという(訴える)。
3つについて見ていきたいと思います。
 
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Q2)まず1つ目の「知る」ということから具体的にお願いします。

A2)
こちらのサッカーボールをごらんいただけますか。
サッカーボールの多くは、今回の2人の受賞者の母国のインドとパキスタンの国境付近でそのほとんどが作られてきました。
イギリスが刺繍の手工業が発達していた地域にボールを縫わせたこと、牛の皮でできているボールを扱えるイスラム教徒が多かったという事情もありますが、貧しい家庭の家内工業で安く作れたことが大きな理由です。
その担い手となってきたのは子どもたちで、長時間労働が勉強する時間も遊ぶ時間も奪ってきました。
 
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<実演>
徳住さんの手元にあるのが、実際に皮を張り合わせていくための道具です。

(徳住)道具の使い方です。このような硬い皮を針で縫い合わせると考えると、大人でも危険な仕事と思えます。
 
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今回、平和賞を受賞したサティヤルティさんは、目が不自由なのにサッカーボールを作らされていたインドの少女とともに来日もしてこの児童労働の悲惨さを訴えてきました。
(VTR)
サッカーボールだけでなく、児童労働の現場は農作業、工業製品の下請けなどさまざまです。現在世界では、1億6800万人。9人に1人の子どもが児童労働に従事させられています。注意していただきたいのはこの数は、働いている子どもの数ではありません。
児童労働という言葉は、働くことによって教育の機会を奪われている子どものことです。
 
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1.働き始めてよい最低年齢を基本15歳としたのが1973年のILOの138号条約。
2.16歳、17歳でも、非人道的な搾取などで人権が犯されている子どもを守るとしたのが1999年のILOの182号条約です。
児童労働そのものの数は減っている反面で、危険な作業や、強制徴用された戦場の兵士など、「最悪の形態」と呼ばれる児童労働の問題も深刻化しています。
 
Q3)その児童労働をなくすために私たちは何ができるのでしょうか。

A3)
現地でボランティアをする、寄付をする、といったことのほかにもできることがあります。
それが2つ目の「選ぶ」ということです。
 
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さきほどのサッカーボールの場合ですと、児童労働など不当な搾取が行われていないことを示す、フェアトレードのマークが入っているものがあります。
<実物見せる>こちらはILOが出している、児童労働へのレッドカードです。
このように児童労働をなくそうという取り組みでサッカーボールの場合、児童労働は以前より減ったといわれています。
(VTR)
もう1つ、児童労働が問題となっているのが綿の摘み取りなどの農作業です。
最近は遺伝子組み換えの技術のために受粉にも人手が必要で小柄な子どもが駆り出される機会が増えています。
こちらは綿花ですが、収穫に子どもが駆り出されています。
コットンの場合でも、産地の表示や、「オーガニック・コットン」などの表示がありますが、マークの種類も多いのでわからないときはお店の人に聞いてみてから購入するのもいいのではないでしょうか。
チョコレートの場合ですと原料になるカカオの収穫の際の児童労働が問題になっていますが、最近では、児童労働のマイナスのイメージに敏感な消費者も増えてきていますので、日本の大手の菓子メーカーの中にも生産地の子どもを支援していることをアピールしてチョコを発売する動きもあります。
 
Q4)そして3つ目は、「訴える」ということでした。

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A4)
マララさんの戦いの舞台はインターネットのブログでした。身の危険を感じていてマララさんの描き込みは当初は「匿名」でした。このときマララさんはわずか11歳でした。
(マララさん受賞後)
「私には二つの選択肢しかありませんでした。一つは、声を上げずに殺されること。
もう一つは、声を上げて殺されること。私は後者を選びました」。
 
Q5)ことしのノーベル平和賞の選考結果、広瀬さんはどう見ていますか。

A5)私はインターネットが今回の受賞のひとつの隠れたテーマだと思います。
今、イスラム過激派の戦闘員など世界ではインターネットを通じて暴力が拡散しています。
そうした中だからこそ子どもが教育を受けられるようにする地道な取り組みや、ブログからはじまった発信が問いかけていることには深い意味があると思います。

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