梅雨前線の活動が活発になり、先週以降、九州や山口県などでは記録的な大雨になりました。
今回はスマートフォンを使って、私たちが住んでいる地域のリアルタイム防災情報を見る方法をお伝えします。
【川の防災情報とは何?】
Q:大雨の恐れが続きますが、今回のテーマ「リアルタイム防災情報」とはどのようなものですか。
A:これは、雨の強さや川の水位など、自分が「今いる場所」の「現在の情報」をリアルタイムで得るというもので、特に最近はスマートフォンを活用して、利用が広がっています。
まずはその代表、こちら国土交通省の「川の防災情報」の見方を紹介します。
NHKの大雨の解説でも使われていますが、実は誰でも見ることができるサイトです。
最大の特徴は、水位の観測ポイントが「水位観測所」と「危機管理型水位計」合わせて全国14800か所、カメラの画像は1万か所以上(どちらも国・自治体計)あって、川の様子をリアルタイムの画像やデータで知ることができます。
スマホだけでなくパソコンでももちろん見ることができます。
【川の防災情報を見てみよう】
Q:「川の防災情報」と検索してから、どうすればよいですか。
A:すぐ下に国土交通省と書かれた「川の防災情報」という検索結果が表示されます。ここを選んでください。
最初少しわかりにくい画面になりますが、下へ行ってください。
すると「地図から探す」という日本地図の画面があります。この地図を押します。
Q:大きな日本地図が出ました。
A:ここで、一番左上のこのアイコンを押します。すると自分が今いる場所にジャンプします。
Q:私たちがいる東京・渋谷の画面が出てきました。このマークが私たちのいる場所ですね。下の方に何かマークがあります。
A:上のホームベースのようなマークが水位観測のポイント、下のカメラのアイコンはライブカメラの画像をみることができます。
Q:カメラの画像が映りました。東京・目黒川の様子ですね。
A:画像を見ると赤い矢印のようなものが見えます。これは氾濫危険水位を示しています。
この観測地点は、ここまで水が上昇すると氾濫危険水位という目安が分かるようになっています。
Q:もう1つの水位観測点は、どこに注意したらよいですか。
A:注目してほしいのがマークの色です。紫色だとレベル4相当の氾濫危険水位。避難指示の目安です。赤色がレベル3相当で避難判断水位。高齢者等避難の目安です。黄色はレベル2相当で今後の情報に注意という水位です。
【外に出ず浸水状況も一目瞭然】
Q:「川の防災情報」を開く手順をもう一度繰り返すと、
「『川の防災情報』で検索」→「サイトを開いたら下へ」→「地図から開く」→「左上のボタンで自分のいる場所へジャンプ」→「カメラの画像確認」それと「観測地点の色を見る」ですね。
A:カメラの画像からは実際にこんな様子が分かります。こちら宮城県の吉田川の画像です。普段はこんな感じですが、2019年10月の台風19号の時はこうでした。
もう1つ、熊本県の岩戸川の画像です。普段と比べると、今月3日午前9時の大雨の時には、道路に濁流が流れている様子がとらえられています。
川の様子や田んぼを見に行って増水した川に流されるケースが後を絶ちません。「川の防災情報」の大事な点は、危険な場所に出ずに、自分のいる周囲の状況をリアルタイムで知ることができるということです。
【大雨の時はもっと複雑に】
7月1日に線状降水帯が発生した、山口県の未明の時間帯のデータを、記録しておきました。表示してみます。
Q:あちこちで紫です。レベル4に相当するところがたくさんありますね。あちこちで危険だということが分かります。アップにするといろんな記号が出ていますね。どこを見たらよいのでしょうか。
A:1つずつマークを説明します。観測ポイントも紫色のレベル4相当、赤のレベル3相当。
赤い線は川です。この時点では氾濫警戒情報が出ていたため、対象区間が赤くなっています。
ただ、カメラの画像は、まっ暗で分かりません。未明のため川の様子が画像では分かりません。こういうときは観測データを見てください。
黒い丸いマーク。これも水位計です。中小河川などに設置している「危機管理型水位計」と言います。
丸い水位計の黒というのは、「氾濫が発生している可能性がある」という意味です。
この観測ポイントを押すと、水位の変化をグラフで見ることができます。丸で囲んだこの黒い部分が「堤防の高さを越えている」ものです。
こうなると大変危険です。近くの人は身を守るための行動をとってください。
Q:このサイトを登録しておいて、いつでも自宅付近を呼び出せるようにしておくとよいですね。
【水害から命と暮らしを守る】
A:今回もう一つ、NHKの「水害から命と暮らしを守る」というサイトを紹介します。
リアルタイムの情報とはちょっと違うのですが、ここに「全国ハザードマップ」が掲載されています。これもスマホで見ることができます。
Q:スマホだと外にいても自分の今いる場所を確認できますね。
A:このサイトでは、洪水・内水氾濫・土砂災害・それから津波の危険性が確認できます。自宅はもちろん通学路や通勤コースも確認できます。
さらに仕事や旅行などで離れた場所にいて、大雨に見舞われた際なども、今自分がいる所の危険性を知ることができます。
なお、このマップは可能な限り情報は収集していますが、地元自治体のハザードマップなども確認してください。地図で色が塗られていないから安全ということではありません。
それと外でのスマホ操作の際には周囲の状況に十分、ご注意ください。
【情報は早めの避難や安全確保へ活用を】
Q:今回紹介したサイトは、どちらも自宅でも外でも、自分が今いる場所の情報を知ることができるというのが、特徴ですね。
A:災害時には早めの避難、早めの安全確保という原則は変わりません。今回お伝えしたサイトは、どちらも避難や安全確保にいち早くつなげるための情報です。
NHKはこの「水害から命と暮らしを守る」で、今回紹介した全国ハザードマップ、そして動画で大雨の注意点などをまとめています。地域向けの情報番組などでも紹介しています。
梅雨末期の大雨の恐れはこの後も続きます。情報を早めの備えにつなげてください。
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