雪の時期を迎え、各地で除雪や落雪による被害が多く発生します。NHKでは「大雪から命と暮らしを守る」という防災への取り組みも行っています。
今回は雪下ろしや落雪で気を付ける点についてお伝えします。
【除雪と落雪が死亡事故の大きな原因に】
Q:12月は中旬からクリスマス頃にかけて、各地でずいぶん雪が降りました。
A:12月17日から年末にかけての大雪では、車の立ち往生や停電も各地で発生して、市民生活にも大きな影響が出ました。この時は、普段あまり雪が積もらない四国など西日本の太平洋側や九州南部も積雪になりました。
死傷者も相次ぎました。総務省消防庁のまとめでは、12月17日からの人的被害は19人が死亡、130人がけがをしています。
Q:死亡やけがの原因はどういうところにあるのでしょうか。
A:国土交通省の平成20年度の調査ですが、雪による事故の死亡原因で一番多いのが、屋根からの転落。雪下ろし中の事故です。そして2番目は屋根からの落雪となっています。
つまり除雪と落雪が雪による死亡の最大の要因となっています。
【屋根の雪下ろしの注意点】
死亡原因の1位である、「屋根からの転落」つまり雪下ろしの注意点をお伝えします。
雪国の方は知っていることも多いと思いますが、今回は特に、雪に不慣れな地域の方に向けてお伝えします。
ポイントは4つです。
ポイント① ヘルメットや命綱、はしごも気を付けて。
ヘルメットや命綱の着用。ヘルメットは必ず顎ひもを締めること、命綱も必ずしっかりと固定してください。
はしごは必ず固定します。定められた角度を守って、動かないようにすることが大事です。
さらに、すべりにくい長靴や手ぶくろを着用してください。
Q:服装はどうですか。
A:厚着しすぎないようにしてください。着ぶくれすると動きにくくなります。
ポイント② 2人以上で作業する
1人で雪下ろしをすると、事故のとき、発見や救助が遅れてしまいます。家族にも事前に声を掛けたうえで、2人以上で行いましょう。
1人でやるほかない場合も、できれば雪下ろしの直前に近所の人に声をかけておいてください。事故が起きた時に周りが気づきやすくなりますし、近所の方も落雪事故を防ぐことになります。
ポイント③ 建物のまわりに雪を残してください。
Q:これは、どうしてですか。
A:万が一屋根から落ちた時、衝撃を少しでも減らすためです。1階の屋根からの転落事故も多いので油断は禁物です。
ポイント④ 携帯電話を所持する
事故が起きた時に助けを求められるよう、携帯電話を忘れないようにしましょう。特にやむを得ず一人で作業をする時には、万が一の際に助けを求められるようにしてください。
携帯電話をポケットに入れて作業を始めてください。
また、もう1つ大切なことは「無理をしない」ということです。
雪下ろしは重労働で、寒い屋外での作業です。体調が悪い時には中止しましょう。大丈夫な時も無理をせず、休憩をとりながら進めてください。
疲れた状態で作業をすると、事故の元です。
【落雪の注意点】
一方で、気象庁から気になる情報が出ています。気象庁は1月5日に「高温に関する早期天候情報」を出しました。
1月中旬にかけて一時的に気温が大幅に高くなる日があると予想されています。そこで、落雪の被害を防ぐための注意点をまとめました。
▽特に雪がやんで暖かくなった日は注意です。今週後半は特に注意です。
▽雪が積もっているときには歩く時に下を向きがちです。軒下を通行するときは、頭上の屋根の雪や、屋根の雪が垂れ下がって固まる「雪庇(せっぴ)」に注意してください。
▽子供を軒下で遊ばせないようにしてください。
固まった雪は氷の塊のようになっていることもあり、危険です。
軒下の「つらら」も危険です。
▽積もった雪の上に今度は雨が降ると、雪は急激に重くなります。カーポートやベランダの屋根などが倒壊する恐れもあります。早めに雪を取り除きましょう。
【「大雪から命と暮らしを守る」】
NHKはこの冬、「大雪から命と暮らしを守る」という防災の取り組みを行っています。注意点をまとめたVTRや防災上のポイントを地域向けの情報番組などで紹介しています。
この取り組みは特に雪の多い地域の放送局で行われています。
また、NHKのホームページの中やSNSでも「#NHK防災これだけは」で雪の注意点をお伝えしています。いま、行動すべき点が書かれていますので、パソコンやスマホで検索してください。
外出前の注意点や車に乗る前の注意点などをイラストでまとめています。検索してみてください。
まだまだ雪の季節が続きます。気温の変化も大きく、今後は関東などの太平洋側でも雪が降りやすい時期を迎えます。
雪下ろしや落雪でけがをしないよう気を付けましょう。
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