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「新型コロナウイルス 『献血』が足りない!」(くらし☆解説)

水野 倫之  解説委員

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、献血に協力する人が急減。
このままの状態が続けば輸血用の血液が足りなくなるおそれもあるとして、関係者は危機感。水野倫之解説委員の解説。

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献血などの血液事業は国の許可を受けた日赤が一手に引き受け。日赤によると治療で輸血を受ける人は毎日全国で3000人。
そのためには1日に13000人に献血に協力してもらう必要あり。

しかしその献血、ほぼ全国的に減少。

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▽関東甲信越地区では今月12日までの10日間で計画よりも6674人分少なく、20%近く下回る。東京都では2323人分少ない。
▽近畿地区では2500人分、計画より13%あまり下回。
▽沖縄も含む九州地区は19日間で3121人分、14%あまり下回り。
▽東海北陸では9日間で2094人分が不足するなど、全国的に献血への協力者が減少。

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緊急事態宣言でも政府の基本方針では献血は継続すべき事業とされる。
ただ外出自粛要請によって、献血の機会が減ったことが協力者の減少の大きな要因。
血液は人工的に作ることができないので、善意の献血に頼るしかない。
協力しようと思う人はこれまで、各地の日赤の献血ルームや、大学や職場などを巡回する献血専用のバスで行われる献血会に参加。
ただこのうちバスによる献血会が、各地で大学が休校になったり、職場もテレワークが推奨されたことで人がいなくなって中止となるケースが相次ぎ、献血の場が減った。
これに加えて外出の自粛で献血ルームを訪れる人も減少傾向で、全国的に協力者が減った状態。

今病院では新型コロナへの対応に追われ手術が延期されるケースもあるが、それでも血液の需要は高い。

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東京都内でどんな治療で輸血が行われたのか多い順にみると、小児がんを含むがんの治療が最も多く、次いで白血病などの治療。
がんや白血病では抗がん剤を使う治療が多いが、抗がん剤はがん細胞もやっつけるが、同時に正常な細胞、血液を作る細胞もやられてしまって血液が作れなくなり、輸血が定期的に必要。
こうしたがん治療などはコロナ感染が増えても減るわけではなく、血液の需要は相変わらず高い。
加えてこの輸血用の血液の確保で難しいのは、使用期限が短い成分がある点。

献血で集められた血液は特定の感染症にかかっていないかなど検査が行われた後、赤血球や血小板や血漿など成分ごとに分けられて日赤が各地で保管。
そして医療機関からの要請に応じて24時間いつでも届けられる仕組み。

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その保存できる期間は赤血球は3週間、また血漿は1年だが、血小板は採血してから4日間しか持たない。
このまま献血が少ない状態が続けば血液が不足するおそれもあり、 関係者は危機感を強めている。
今、新型コロナで医療体制、崩壊の危機にあるといわれるが、コロナウイルスだけでなく血液の不足でも医療は崩壊。
外出自粛が強く求められる緊急事態宣言が先週全国に拡大したことで、今後さらに献血協力者が減ることが懸念され、日本赤十字社は今、「献血は不要不急の外出にはあたらない」として協力呼びかけ。

こうした状況に医療機関からも懸念の声が出ていて、急きょ献血会を開いたところも。
東京世田谷の国立成育医療研究センターには毎日3回日赤から血液が届くが、最近は使用期限が短い血液が届くこともあるようになったということで、今月急遽、日赤と協力して献血会を開催。
病院がSNSなどを通じて地域の住民に呼びかけたところ、160人以上が駆けつけてくれてバスをもう1台増やして対応してそれでも献血できなかった人もいたということ。
決して人々の献血の意欲善意が失われたわけではない。病院では今週も臨時の献血会を開くことに。
この時期、献血会場ではどこも新型コロナウイルスの感染防止策を徹底。
東京渋谷にある献血ルームでは、献血希望者にはマスク着用をお願いし、手指の消毒や体温測定はもちろん、味覚や嗅覚に違和感がないか確認し、ここでも距離をあけることが徹底。
採血し終わるたびにベッド全体も丁寧に消毒。
ただ献血には健康を守るため様々制限あり。

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例えば400ml献血する場合は、男女それぞれに年齢の制限。体重、血圧などの制限あり。
献血するために混雑した電車に乗っていくのに抵抗覚える人もいるかもしれず、日赤では歩いて献血会場に行けるよう、地域での献血会に力を入れようとしていて、献血バスを置く場所などを貸してくれる事業所や団体を募集。
いつどこで献血会をやっているかは日赤のホームページで確認できる。
血液は保存があまりきかないので計画的に供給する必要。
日赤ではHPにあるシステムで予約を取ってほしいと呼びかけ。
そのシステムで血液が計画的に行き渡るよう、献血の日程が調整される。
もう一度言うが緊急事態宣言が出ていても献血は、不要不急にはあたりません。これを機会に献血への理解がより深まれば。

(水野 倫之 解説委員)

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