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「支援の動き! 支払いに行き詰る前に」(くらし☆解説)

今井 純子  解説委員

きょうは、新型コロナウイルスの影響で様々な支払いに困っている人への支援の動きについて、今井解説委員。

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【支払いに行き詰る前にとありますが、なんの支払いですか?】
公共料金や通信費。それに、住宅ローンなど。こうした毎月の出費は、かなりの負担になっていますよね。特に、新型コロナウイルスの影響で、収入が大幅に減ったり、解雇・雇い止めにあったりしている方にとっては、非常に重い負担で、支払いに行き詰る心配があります。

【かなり、重い負担になりますね】
このため、国や企業が、支払いを猶予したり、支援したりする動きがでています。

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まず、公共料金。
▼ 大手の電力、ガス会社は、申し出があれば、支払期限を月ごとに、それぞれ当面一か月延ばす方針を打ち出しています。対象は、原則、一時的に生活費が必要という人が、無利子で最大20万円までおカネを借りられる、国の「緊急小口資金」などの制度を申し込んだ世帯ということになっていますが、その他も柔軟に対応するとしている会社もあります。
▼ 水道代についても、各自治体が支払いの猶予を受け付けています。猶予の期間は自治体によって違いがあります。例えば、東京都の場合、電話で申し出をすると、その日から、最長4か月間、支払いを待ってくれます。

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次に通信費を見てみましょう。

【これも支払いを待ってくれるのですか?】
▼ はい。申し出があれば、状況を聞き取りした上で、今の時点では、5月末まで支払い期限を延長するとしています。ここで、ひとつ。特に注意が必要なのは、携帯電話です。端末の購入代金を毎月の分割払いにして、通信費に上乗せして払っている方もいると思いますが、その場合、この端末の分割払いは、クレジット契約になります。申し出をしないで、滞納し続けると、信用情報機関の延滞情報(いわゆるブラックリスト)に登録されて、払い終わっても、しばらくの間、クレジットカードなどの契約ができなくなる恐れがでてきます。通信会社に申し出をして認められれば、端末代もまとめての猶予ということになりますので、支払いが厳しいという方は、早めに通信会社に相談をしてみてください。

【そうすれば、信用情報に傷がつかないのですね】
そうです。
▼ また、医療保険などを含めた生命保険。それに、自動車保険などの損害保険。これも、契約先の保険会社に電話で申し出をすれば、多くが9月末まで保険料の支払いを猶予してくれる措置をとっています。こちらも、申し出をしないで支払いが滞ると、保険が失効してしまう心配がありますので、早めに相談をすることが大事だと思います。

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次は、住宅ローンです。

【これは、非常に重い負担ですよね】
そうですよね。すでに、支払いが厳しいという相談が、通常の2倍に増えているという銀行もあります。
▼ 金融機関は、相談があれば、一人一人の状況に応じて、例えば、一時的に返済を猶予したり、借り入れの期間を長くすることで毎月の返済額を減らしたりといった、条件の変更に柔軟に応じるとしています。

【こちらも早めの相談が大事ですね】
そうですね。一方の家賃。家賃は3か月以上滞納すると、立ち退きを求められる可能性がでてきます。
こちらも、賃貸アパート大手の中には、支払いの猶予に応じるところもでてきていますが、家賃については、個人の家主さんが生活費として頼っている場合もあります。

【家賃が入ってこないと、大家さんが生活に困ってしまうのですね。なんとかならいのですか?】
▼ これについては、「住居確保給付金」といって、国や自治体が、最長9か月、家賃を一部、肩代わりして、家主に払ってくれる制度があります。これまでは失業している人が対象でしたが、来週月曜日(20日)から、新型コロナウイルスの影響で、収入が減った人にも対象が拡大されることになりました。
ただ、世帯収入と預貯金が一定の基準以下という要件があります。具体的には、自治体によって異なりますが、例えば、東京23区の場合、2人世帯だと、月収19万4000円以下。かつ、預貯金78万円以下が対象で、毎月6万4000円を上限に、家主側に支払われることになります。

【都心だと家賃がもっと高いケースもありますよね】
差額は、本人が負担しなくてはなりません。この制度、対象が厳しい。額が少ないという指摘もでています。ただ、自治体によっては、独自の支援制度を設けているところもありますので、まずは、相談をしていただきたいと思います。その上で、家を失うと、生活や仕事の基盤を失うことになりますので、そういうことが起きないよう、国は、制度の拡充も考えてほしいと思います。

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最後に、もうひとつ。大学の授業料についてですが、こちらも、新しい支援の制度がスタートしました。

【どのような制度ですか?】
▼ 収入が低い世帯などを対象に、大学や短大などの授業料や入学金を免除・あるいは減額した上、給付型の(つまり、返さなくてもよい)奨学金ももらえる「修学支援制度」です。今月から始まったのですが、新型コロナウイルスの影響で、家計を支えている親や本人のアルバイトなどの収入が大きく減った場合も、この制度を利用できることになりました。
具体的には、世帯の収入がおおむね、住民税が非課税になる水準近くまで減った人が対象です。例えば、「両親と、本人をあわせてこどもが2人」という世帯だと、おおむね年収380万円以下の水準というイメージで、収入に応じて支援の額が決まる仕組みです。親や自分の収入が減って学費を払うのが厳しくなったという方はこちらに問い合わせてみてください。

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【いろいろな支援の仕組みがでてきているのですね】
十分とは言えないまでも、支出を一時的に減らせる支援の制度は、少しずつでてきました。
また、収入についても
▼ 一時的に生活費に困っている人が、無利子で最大20万円おカネを借りられる緊急小口資金の制度。これはすでに始まっていますし、
▼ 返す必要のない給付金についても、政府は、きのう、収入が減って厳しい世帯への30万円の給付に代わって、所得制限なしに一人、10万円を給付する方向で検討を進める考えを打ち出しました。

【ただ、おカネが手元に入るまでに少し時間がかかるという指摘もありますよね】
問題はそこです。3月以降、すぐにおカネを借りられるカードローンなどの貸し出しが増えているという声が聞こえてきます。ですが、政府の支援策と比べると高い金利です。
ましてや、違法なヤミ金融から借りると、借金が雪だるま式に膨らみかねません。絶対に手をだしてはいけません。
生活が厳しい場合。まずは、当面の支払いを減らせる、こうした制度の利用を考えてほしいと思います。一方、企業は、生活に行き詰まる人がでないよう、ぜひ、支払いの猶予に柔軟に応じてほしい。その上で、政府も、より多くの人が救われるよう、支払いを抑えられる制度の拡充。

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そして、必要なおカネが必要としている人に一刻も早く届く対策も、ぜひ、急いで検討し、実施してほしいと思います。

(今井 純子 解説委員)

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