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「新型コロナウイルス対策 国民の評価は?」(くらし☆解説) 

太田 真嗣  解説委員

NHKの3月の世論調査が、きのう(9日)まとまりました。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されるなか、国民は、これまでの政府の取り組みをどう評価しているのでしょうか。

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≪内閣支持率≫

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3月の安倍内閣の支持率は、「支持する」が前の月より2ポイント下がって43%。逆に、「支持しない」は4ポイント上がって41%でした。
依然として、「支持」が「不支持」を上回っていますが、その差は、前の月より6ポイント縮まった計算です。そうした世論の動向には、いま、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることが影響していると思います。

≪新型コロナウイス対策の評価≫

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今回の調査で、新型コロナウイルスの感染拡大について、政府のこれまでの対応を、どう評価するかを聞いたところ、「大いに評価する」は6%、「ある程度評価する」が43%で、「あまり評価しない」は34%、「まったく評価しない」は13%でした。先月の調査結果と比べてみますと、前回は、「大いに…」と「ある程度…」を合わせ、64%の人が、「評価する」と答えていましたが、今回は、「評価する」が半数を割り、「評価する」と「評価しない」が、『拮抗』する形となりました。
先月、調査を行った時は、まだ、クルーズ船などへの対応が中心で、国内感染者も数十人といった状況でした。それから1か月。この間、政府も様々な対策を行ってきましたが、連日、各地で新たな感染者が見つかるなど、未だ、感染拡大に歯止めがかからない状況です。

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ちなみに、今回の結果を、安倍内閣への「支持」・「不支持」別でみますと、内閣を「支持する」という人と、「支持しない」という人では、正反対の結果となりました。これは、内閣への支持・不支持という立場による受け止めの違いというより、むしろ、いまは、新型コロナウイルス対策への評価が、安倍内閣の支持・不支持の決め手になっていると言えるのかもしれません。

≪臨時休校の要請≫
では、そうしたなか、個別の施策について、国民の評価はどうでしょうか。
安倍総理の要請を受けて、全国の多くの小・中学校や高校などが、臨時休校になっていることについて聞きました。

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この対応について、「やむを得ない」と思うか、それとも「過剰な対応だ」と思うかを聞いたところ、「やむを得ない」が69%、「過剰な対応だ」が24%で、男女、年代、あるいは地域別に見ても、回答に大きな差は見られませんでした。
しかし、当然のことながら、家庭の事情や、勤め先との関係、あるいは、地域の体制がどうかなど、子育て中の家族を取り巻く状況は様々です。子どもの健康を守り、かつ、国民生活への影響を最小限に抑えるには、旗振り役の国はもちろん、自治体や、学校、そして地域のコミュニティーなどが連携を取り、一律ではなく、個々の実情に配慮した、きめ細やかな対応が求められています。

≪政府の水際対策≫
では、対策のもう一つの柱である水際対策についてはどうでしょうか。

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政府は、きのう(9日)から、感染者の多い中国と韓国からの入国者に対し、2週間の指定場所での待機と、公共交通機関などを利用しないよう要請する、新たな水際対策を始めました。その評価を聞いたところ、「大いに評価する」は36%、「ある程度評価する」は41%で、「あまり評価しない」は13%、「まったく評価しない」は5%でした。
政府の水際対策の強化をめぐっては、「必要な措置は、躊躇なく断行すべきだ」という声がある一方で、「後手に回ったのではないか」とか「効果があるのか」といった疑問の声もあります。今回の措置について、政府は、強制力は伴わない『要請』としていますが、今月末まで実施するということです。

≪国民の不安≫

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今回の調査で、自分や家族が、新型コロナウイルスに感染する不安を、どの程度感じるかを聞いたところ、「大いに不安を感じる」は24%、「ある程度、感じる」は50%だったのに対し、「あまり不安は感じない」が20%、「まったく感じない」は4%でした。先月と比べると、「大いに不安を感じる」という人が5ポイント増えるなど、あわせて7割を超える人が、「不安を感じる」と答えており、国民の不安は、むしろ、増しているといった感じです。

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ちなみに、今回の調査で、この夏の東京オリンピック・パラリンピックが予定通り開催できると思うかどうかを聞いたところ、「できると思う」が40%、「できないと思う」が45%となりました。政府は、「アスリートや観客が、安心して臨める大会とする準備を、しっかり進めていく」としていますが、こうした国民の声も、なかなか事態の収束が見えないことに対する『不安』の現れといって良いでしょう。

不安が過度に広がるのを防ぐには、▽いま、日本が、どういう状況にあり、▽何をすべきかを、国民一人一人に正しく理解してもらうことが不可欠です。政府は、きょう(10日)、緊急対応策の第2弾を発表することにしています。その内容は、もちろんですが、政府の危機感や本気度に対し、国民が共感出来るメッセージとすることができるかどうかが問われています。

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≪日本経済への影響≫
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大が経済に与える影響に対しても懸念が広がっています。

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日本経済への影響を、どの程度懸念しているかを聞いたところ、「大いに懸念している」が60%、「ある程度懸念している」が30%となり、「懸念している」は、あわせて90%に上っています。実際、国内の観光業は、すでに大きな影響を受けていますし、中国からの部品の供給などが滞り、国内の生産活動にも影響が出ています。株価も下落しており、さらに心配なのは、先行き不安、あるいは、外出を控えることなどによる、国内消費の冷え込みです。

政府は、深刻な中小企業の資金繰り対策に力を入れるなど、「世界経済の動向も注視しながら、そのインパクトに見合う『必要かつ十分』な、経済財政政策を行っていく」としています。いま、国会では新年度予算案が審議されていますが、与党内から、補正予算案の検討を求める声が早くも出ているほか、野党からは、減税の実施を求める声もあります。
安倍政権は、これまで好調な経済を背景に長期政権を維持してきました。それだけに、この経済の難局を乗り切れるかどうか。新型コロナウイルスの封じこめと同様、『いま』、そして、『これから』が、まさに正念場です。

(太田 真嗣 解説委員)

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