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「新型コロナウイルス 感染拡大 私たちにできる対策は?」(くらし☆解説)

飯野 奈津子  解説委員

新型コロナウイルスの感染が各地で相次いでいます。感染の拡大を防ぎ、命と健康を守るために、私たちはどう対応すればいいのか、担当は飯野解説委員です。

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Q1 新型コロナウイルスの感染が、この一週間ほどの間に、一気に広がってきましたね。
A1 国内で初めて新型ウイルスによる肺炎で亡くなる人が出たのが、ちょうど一週間前です。それ以降、各地で感染者が相次ぎ、感染経路がはっきりしない人も出てきています。政府は「国内の感染は発生早期」としていて、持続的に感染が起きる“流行”の入り口に差し掛かっているという認識です。本格的な流行状態になると感染拡大を止めるは難しいとされていますから、感染拡大をどこまで抑えられるか、今が正念場といえると思います。そのために私たちがどう対応すればいいのかみていきます。

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まず新型コロナウイルスの国内の感染状況ですが、19日までにあわせて705人の感染が見つかっています。

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この1週間で、感染拡大への危機感が強まったのは、このうちの国内で感染した人の中に、感染経路の特定にむけた手がかりがみつからないケースが、相次いだからです。
感染源をたどれないということは、気がつかないにうちに感染した可能性がある。つまり、水面下で感染が広がっている可能性があるということになります。

Q2 毎日のように新たな感染者が出ているので、自分や家族も感染していないか、心配している人も多いと思います。このウイルスに感染するとどんな症状が出るのですか。
A2 通常の風邪とはちょっと異なります。

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○発熱やのどの痛み、せきが一週間前後続くなど、通常の風邪より長引くことが多く、強いだるさを訴える人が多いのが特徴です。
○WHO=世界保健機関が、中国から提供された患者のデータをもとに分析した結果、新型コロナウイルスに感染した人のうち、80%以上は軽症で回復しており、致死率はおよそ2%としています。ただ、この分析には、死亡した人が多い湖北省のデータが多く含まれているので、日本での致死率はもう少し低い可能性があると専門家は指摘しています。

Q3 今週、厚生労働省が、どんな症状の時にどう対応すればいいのか、目安を公表しましたよね。
A3 感染が拡大して患者が急増した時に、軽症の人が殺到すると、医療機関がパンクしてしまいます。そうならないために、どんな症状の時にどう対応すればいいのか目安を示して医療機関に来る人を減らし、それによって、重症の患者を優先的に治療できる体制を整えようというのが狙いです。その内容です。

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まず、○発熱などのかぜの症状がある時は、学校や会社を休んで外出を控える
○そして毎日、体温を測定して記録することを心がけてほしいとしています。
そのうえで、

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▼風邪の症状や37度5分以上の熱が、4日以上続くときに、帰国者・接触者相談センターに電話で相談します。そこで感染の疑いがあると判断されると、専門の医療機関の外来を紹介されます。
ただ、これは一般の人の目安です。より重症化しやすいとされる高齢者や、糖尿病や呼吸器疾患などの持病がある人は、相談するまでの期間が短く、2日程度。妊娠している人も、念のため重症化しやすい人と同じように、早めに相談するよう呼びかけています。

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そして、強いだるさや息苦しさがある時は、重症化のリスクにかかわらず、すぐに相談するとしています。

Q4 発熱してから、4日とか2日とか待たなくてはならないのはどうしてですか?
A4 新型コロナウイルスに感染しても、重症化するのは1週間たってからのケースが多く、たとえ感染していても、あまり早いと、治療することもないからだということです。重症患者の治療をしっかり行えるようにするためにも、症状の軽い人は自宅で様子をみてほしいということだと思います。

Q5 でも熱を出して4日間もそのままにしておけないですよね。インフルエンザの可能性もあると思うのですが。
A5 インフルエンザだったら、発熱後すぐに薬を飲めば、回復が早いとされているので、
早く受診したほうがいいですよね。
厚生労働省によりますと、今回の目安は、そうした受診をさまたげるものではなく、あくまでも新型コロナウイルスによる感染を考えたものにすぎないということです。

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今の時点では他の病気の方が圧倒的に多く、インフルエンザなどが心配の時はいつもどおり、かかりつけ医などに相談してほしいとしています。
その際重要なのは、あらかじめ電話をして、マスクを着けて受診することです。新型コロナウイルスに感染している可能性も考えて、私たち患者の側も配慮が必要です。

Q6 それでかかりつけ医を受診して、インフルエンザじゃないとなったら、どうすればいいのですか?

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A6 今の段階では、新型コロナウイルスの感染を迅速に診断するキットもありませんから、深刻な状態でない限り、感染しているかどうかわからないまま、自宅で療養することになると思います。それで症状が改善すればいいですし、改善せずに発熱などの症状が4日間続く場合は、今回の目安に沿って相談センターに電話で相談することになります。

Q7 その間は、学校や会社を休んだほうがいいわけですね。
A7 そうですね。多少熱がある程度では会社を休みずらいという人もいるかもしれませんが、万一感染していれば、職場などに広げる恐れもあります。感染を広げないためにも、体調不良を押して出勤することがないよう、会社が社員に徹底するくらいのことがあってもいいと思います。

Q8 学校や会社を休んで自宅で過ごすときの注意点はありますか?

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A8 万一新型コロナウイルス感染していた場合でも、家族などにうつさないようにすること。そのための基本は「せきエチケット」です。せきやくしゃみをする時に飛沫をとばさないように、マスクをするか、なければティッシュやハンカチ、上着の内側などで口や鼻を覆います。手のひらを使ってしまうと、手にウイルスがついてしまって、ものをさわることで感染を広げてしまうおそれがあるからです。

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そして、一緒に暮らす家族は、うつらないようにすること。重要なのは、「入念な手洗い」です。石鹸を泡立てて手首までつけて、指の間やつめの隙間までしっかり洗います。流水で少なくとも20秒間洗うことが効果的とされています。
洗う前に触った蛇口にも、ウイルスが付着している可能性がありますから、手洗いの時に蛇口も一緒に洗ったりすることも考える必要があります。
「せきエチケット」と「入念な手洗い」は、感染予防の大原則です。だれもがこれを徹底すれば、ずいぶん感染の広がりを抑えられると思います。

Q9 感染を心配する人から相談を受ける「帰国者・接触者相談センター」。連絡先はどこにきけばわかるのでしょうか。
A9 住んでいる地域によって窓口が違うので、お住いの自治体にきいてみるか、厚生労働省のホームページにも掲載されています。QRコードからもアクセスできるので、ご活用いただければと思います。

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このほか、新型コロナウイルスに関する一般的な問い合わせは、厚生労働省に相談窓口があります。電話番号は、フリーダイヤルで、0120-565653.ファックスは03-3595-2756.相談は午前9時から午後9時まで毎日受け付けています。

新型コロナウイルスの感染が相次ぎ、不安に感じている人も多いと思いますが、
恐れすぎず、甘く見すぎず、冷静にひとつひとつできることを積み重ねていくことが、感染の拡大を抑えて、それが、重症になるリスクが高い人の命を守ることにつながるのだと思います。

(飯野 奈津子 解説委員)

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