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「世界で流行!日本は?電動キックボード」(くらし☆解説)

三輪 誠司  解説委員

ハンドルがついた板に車輪を取り付けた「キックボード」にモーターを取り付けた「電動キックボード」は、新しい移動手段として海外で流行しています。

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キックボードといいますと、子どもの乗り物という印象ですが、全く新しい乗り物といえます。
右のハンドルにあるレバーを押し下げるとモーターで車輪が動きます。
止まる時は、自転車のようにブレーキを握ります。

電動キックボードは、海外で流行しています。
ドイツのベルリンでは、観光客などが観光スポットを回るのに多く利用しています。
町の中にも利用できるキックボードが数多くとめられています。

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ユニークなレンタルサービスが始まっています。
使うのはスマートフォンのアプリです。アプリを起動すると、地図が表示され、乗ることができる電動キックボードが近くにあるかどうか検索します。キックボードの中にGPS 装置があるために検索できます。

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そこに行って、キックボードに付いている QR コードをスキャンすると、鍵が解除されて乗ることが出来ます。

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乗り終わったら、近くの道路に停めて、QRコードをスキャンすると、鍵がかかって終了です。

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乗り捨てたキックボードは、他の人がGPSで探して利用するという仕組みです。

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料金はヨーロッパでは、基本料金が125円ほど。あとは1分ごとに25円ぐらいです。
こういうサービスは、おととしアメリカで始まり、ヨーロッパ、南米、中東、アジアにも広がっています。
いくつかの会社が事業を行っていますが、
スタートから1年半で、5000万回の利用があったという会社も出てきています。

国内では今のところ大きな流行にはなっていませんが、
電動キックボードの可能性を探る実験が国内で相次いで行われています。

11月24日には、千葉県市川市の道の駅で開かれました。道の駅を訪れた人に呼び
かけて、その場で体験してもらっていました。最高速度は時速20キロ未満に設定されています。
操作方法を教えてもらうと、皆さんすぐに乗りこなしていました。

乗った方に話を聞いたところ「少し離れた場所を散策するのに使いたい」と話していました。

電動キックボードは「原動機付自転車」。つまり原付バイクと同じ扱いになります。
公道を走る場合は免許が必要です。安全対策をした上で、ナンバーを取得しなけ
ればなりません。ヘルメットの着用義務があります。

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原付バイクと違うのは、手軽に乗れるところです。そして、爽快感があり楽しいと思います。また、電動なので静かで、周りの自然の音も楽しめます。電動アシスト付き自転車でもいいじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、こぐ必要がなく疲れません。

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一回の充電で60キロ走れますので、少し遠くにも行けます。こういうことから、特に観光地がある自治体では、駅など公共交通機関の拠点から、観光スポットを回る交通手段として活用できるのではないかという期待があります。海外で流行していることから、外国人観光客の利用が期待されています。

中でも力を入れているのが福岡市です。手軽に乗れる電動キックボードは、市民の移動を活発にし、町の活性化につながると普及を期待しています。
来年4月まで実験が行われる予定で、走行できるエリアを段階的に拡大しながら走行距離などのデータを集める予定です。

しかし、各国で事故が相次いでいて、安全対策が最大の課題です。
ドイツのベルリンでは、8週間で38件の事故が発生したという統計があります。
死亡事故もあります。アメリカやスウェーデンでは、乗っている人が死亡する事故が起き、フランスでは事故によって歩行者が死亡したと報告されています。

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目立っているのが、ヘルメットを着用していなかったために、転倒して頭を打つというケースです。
観光客などはヘルメットを持っていません。
このため、急に電動キックボードを乗ろうとして、ヘルメットなしで乗ってしまう人が相次いでいます。

飲酒運転による事故も少なくありません。絶対にやってはいけないことですが、気軽に使える乗り物であるという心理的なハードルの低さが、交通ルールの意識を下げてしまう要因の一つになっているという指摘もあります。

こうしたことから、各国で年齢制限や、乗っていい場所などを指定するなどの規制が始まっています。もっとも大きな問題は、法規制が行われる前にサービスが流行してしまい、対策が後手に回っていることなんです。新しい乗り物だけに、これをどう位置づけるか、既存の法律との関連も含めて、各国が頭を悩ませています。

日本での利用者はまだ多くありませんが、今のうちに検討するべきことがあります。

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一つは、法律の規制をしっかり守らせる方法です。
気軽に利用できる乗り物だとしても、ヘルメットを着用し、飲酒運転をしないなど法律を守ること、そして緊張感を持って運転しなければ深刻な事故につながるおそれがあります。

もう一つは、自動車などとの共存です。原付バイクと同じなので車道を走ることになりますが、自動車やバイクよりも遅いため、後ろから追突される危険性はあります。このた
め、特定の専用レーンをつくり、そこを走るようにするなど、道路環境も含めた検討をする必要があるのではないでしょうか。

日本で、海外と同じような問題を引き起こしてはいけません。
今のうちに、悲しい事故につながらないための対策を、最優先で検討するべきだと思います。

(三輪 誠司 解説委員)

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