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「違法な表示にストップを!」(くらし☆解説)

今井 純子  解説委員

きょう違法な表示をなくす取り組みについて、今井解説委員。

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【タイトルにある違法な表示。どのようなものですか?】
ウソの表示とか、消費者に誤認、つまり誤解させるような表示です。こうした表示は、景品表示法という法律で禁止されています。
先週、消費者庁が、携帯電話やスマートフォンの店頭での広告について、違法な表示にあたる例を示して、今後、集中的に摘発を進める姿勢を示しました。
その一例を見てみますと・・

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【他社からのお乗り換えの方。端末が最大6万8000円割引されるとありますね】
問題なのは、その下。小さい文字で、適用には条件あります。詳しくは、近くのスタッフにお尋ねくださいと書いてあります。実際には、自宅の電気やガスを、この通信会社のグループ会社が提供している、電気やガスのサービスに換えなければいけないとか、週末に申し込まなければ適用されないとか、様々な条件がついていました。

【店頭の表示からはわからないですね】
そうですね。消費者庁は、このように、小さな文字でしか書かれていない。あるいは、条件がすべて記載されていないといった表示は、違法である可能性が高いという見解を示しました。

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【携帯電話の広告は、いろいろな条件がついている。あるいは、最終的にいくら払うことになるのか、わからないといった広告が、たくさんありますよね】
わかりづらいという意見は、たくさんあがっています。このため、消費者庁は、今後、携帯電話の広告について、集中的に摘発を進めることにしたのです。
この携帯電話に関しては、これからの話ですが、消費者庁は、それ以外の分野で、このところ、違法な表示の摘発に力を入れています。ここ2年、年間、50件近く。それまでの2倍のペースで摘発しています。

【どのような事例ですか?】
例えば、去年摘発された健康食品の会社。インターネット上で、「一杯でこんなに嬉しい」という表示。そして、「ダイエット感覚のないダイエットは初めて」という体験談を載せていました。その上で、「毎月、先着300名に限って、初回680円」で提供するという表示も載せていました。

【こうした表示は、よく見かけますね。体験談は、効果があるのだなと思いますし、先着何名さま限定という表示を見ると、早く買わなければと思いますよね】
ところが、実際には、毎月300人を大幅に超えて、同じ価格で提供していたことがわかりました。さらに、これを飲めば痩せるという根拠を示す資料を提出するよう消費者庁が求めても、裏づける資料は示されませんでした。このため、消費者庁は、「この食品を飲むだけで、簡単に痩せられるかのように誤解させる表示で、違法と判断しました。体験談の下に、個人の感想ですとありましたが、効果が得られない人が多くいる場合、免罪符にはならないという見解です。

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【300名限定とあって、それを超えて同じ価格で提供していることも、違法なのですね】
毎月、大幅に超えて提供していたということで、違法との判断でした。
▼ もうひとつは、葬儀サービスの会社です。ホームページで「追加料金が一切かからない。本当にかからないお葬式です」と宣伝をしていました。ところが、実際には、霊柩車の距離や必要なドライアイスの量によっては、追加料金が必要なケースもありました。これも、違法な表示にあたるとして摘発されました。

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【お葬式は、時間的に精神的にあわただしい中で行われますよね。そういなかで、追加の料金がかかったと言われて、おかしいなと思っても、仕方ないかと思って、おカネを払ってしまいそうですね】
そうですね。表示を信じて購入したり、契約をしたりした「被害者」。そう大きな額ではないということもあり、これまでほとんどが、泣き寝入りしてきました。ですが、事業者から見ますと、それではやり得になります。つもり積もれば、相当な不当な利益を得ることになります。そこで、2016年に課徴金の制度が導入されました。例えば、この健康食品の会社には、1億円を超える課徴金がかけられました。

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【1億円ですか。すごい額ですね】
事業者が得た不当な利益と比べると、まだまだ少ないという意見もあるのですが、やり得を許さない。違法な表示をなくしていくためには、課徴金の制度は、一歩前進だと思います。

【これまで見てきた、違法と判断された表示。同じようなものは、ネット上でも、店頭でも、たくさん見かけます。それも、違法かもしれないということですね】
違法かもしれません。ただ、摘発には、端緒となる情報が必要です。
そこで、消費者庁は、違法ではないかという表示や広告について、情報を受け付ける窓口を、ホームページ上に開いています。申し出・問い合わせ窓口というところをクリックすると、これから集中的に摘発を進める携帯電話の広告については、特別な専用の窓口。それ以外の情報についても窓口が開かれています。

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【ここに情報を提供すれば、摘発につながるかもしれないのですね】
はい。また、都道府県にも窓口があります。さらに、行政や消費者に代わって、不当な表示などについて、企業に是正するよう申し入れて、応じない場合は、裁判も起こすことができる権限を与えられた民間の消費者団体もあります。適格消費者団体といって、今、全国で21の団体が国から認定を受けています。こうしたところに、情報を提供することでも、表示の改善につながり、将来の多くの人の被害を防ぐことが期待できます。

【ひとつ、気になるのは、消費者が、違法な表示を信じて、買ってしまった場合、おカネを取り戻すことはできるのですか?】
取り戻せるケースはありますので、泣き寝入りをせず、企業に、返してほしい求めることが大事です。それで、応じてくれない場合、
▼ まず、身近な消費生活センターに相談をしてみてください。全国共通で188に電話をすれば、相談窓口に導いてくれる仕組みになっています。
▼ その上で、先ほど紹介した消費者団体の中には、企業に表示などの是正を求めるだけでなく、多くの被害者に代わって、おカネを返すよう求めて裁判を起こす強い権限をもった、特別な消費者団体もあります。3年前にスタートした制度で、今、先ほどの21の団体のうち、3つの団体が認定されています。こちらに情報を提供するという手段もあります。

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【それでおカネが取り戻せた例もありましたね】
実際、ありました。
▼ 飲むだけで痩せられるという、ウソの宣伝をしていた健康食品(先ほどの事例とは別の会社ですが)。それから、髪にやさしい天然由来の成分だけでできているかのように表示・宣伝していたのに、実際には、合成成分が入っていたシャンプー。こう事例について、特別な認定を受けた消費者団体が、消費者におカネを返すよう企業に申し入れをした結果、多くの被害者におカネが返ってきた。という例もでてきています。

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【いずれにしても、泣き寝入りをせずに、声をあげることが大事ですね】
そうですね。多くの人が声を上げることで、世の中にあふれている違法な表示に、社会全体でストップをかけていく。

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そうした意識と行動が大事だと思います。

(今井 純子 解説委員)

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