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「皇室、北朝鮮問題、消費増税...国民の意識は?」(くらし☆解説)

曽我 英弘  解説委員

皇位継承とそれに伴う10連休が先週終わり、国会も後半戦に入った。
皇室、それから北朝鮮問題や消費増税など今後の政治の動きを国民はどう見ているのか。
最新のNHKの世論調査をもとに考える。

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【安倍内閣の支持率】

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13日にまとまった5月のNHKの世論調査で、安倍内閣の支持率は、
「支持する」が48%、「支持しない」は32%だった。前の月と比べると、「支持する」が、1ポイント上がる一方で、「支持しない」は3ポイント下がった。

4月1日に新しい元号「令和」が発表されたのに始まり、皇位継承に伴う一連の儀式を滞りなく行えたこと。さらに4月は統一地方選挙、その後の10連休と、国会論戦も事実上一時休戦となり、野党から追及される場面も少なかったことも安倍政権にとって少なからずプラスに働いたと見ていいだろう。

【皇室】
新元号「令和」は、4月の調査で、「好感が持てる」と答えた人が8割を超えた。皇室には国民はどのような思いを寄せているのか聞いてみた。

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皇室に親しみを感じるかどうか尋ねたところ、「親しみを感じる」が8割あまりに上った。

また、今回、憲政史上初めて行われた天皇の退位について、今後どうすべきかについても尋ねた。「制度を恒久化すべき」が24%、「その都度認めるべき」が65%、「認めるべきではない」が2%となった。

今回の退位は江戸時代の光格天皇以来、およそ200年ぶり。
上皇さまは、平成28年8月(8日)のビデオメッセージで、天皇の高齢化に伴う対応について言及され、その後特例法に基づき、一代限りの退位が行われた。
今回の調査からは、そのあり方は別として、退位自体には肯定的な意見が浸透しているとも見て取れる。

一方で皇室をめぐっては、課題も残る。
天皇陛下の即位後、皇位の継承資格のある男性皇族は3人。今の制度のまま、秋篠宮ご夫妻の長男の悠仁さまが将来即位された場合、男のお子さまが生まれなければ皇位継承者がいなくなる恐れがある。

そこで、安定的な皇位継承に不安を感じるか、感じないか尋ねた。
「不安を感じる」が55%、「感じない」が37%だった。

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安定的な皇位継承の確保や、皇族数の減少への対応について、政府も先延ばしできない課題だと認識している。ただ、国政では夏には参議院選挙があるほか、皇室行事として、11月に一世に一度の重要な儀式「大嘗祭」の中心的な儀式が行われるなど、年内は即位に伴う一連の儀式が続く。このため、議論が始まるのは、早くてもこうした日程の後になるという見方が一般的だ。ただ、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる女性宮家の創設などをめぐっては、賛否が分かれており、先行きは見通せない。

【北朝鮮問題】
後半国会は先週始まった。国論を二分するような与野党の対決法案は見当たらないが、ここにきて論戦に浮上すると思われるのが、北朝鮮問題、それから消費増税だ。

まず北朝鮮問題。安倍総理大臣が、6日トランプ大統領との電話会談で、前提条件をつけずに日朝首脳会談の実現を目指す考えを伝えたことが様々な憶測を呼んでいる。

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そこで、前提条件をつけずに日朝首脳会談の実現を目指すことへの評価を聞いたところ、「評価する」39%、「評価しない」16%、「どちらともいえない」37%だった。
「評価する」と「どちらともいえない」が拮抗する結果となった。

「評価する」というのは一日も早い拉致問題の解決を願う国民の気持ちの表れだろう。

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これまで「対話のための対話では意味がない」と繰り返してきた安倍総理大臣だったが、ここにきて無条件に会談を行うとまで踏み込んだのも、2月の米朝首脳会談が物別れに終わった今こそ、北朝鮮に対し日本に目を向けさせる好機と捉えているからだろう。
ただ、裏を返せば、北朝鮮がアメリカはもとより、韓国、中国、最近ではロシアとも首脳会談を行うなど対話を進める中で、日本だけが置き去りにされることへの強い危機感の表れともいえる。政府は否定するものの、事実上の方針転換と受け止める向きもある。

さらに最近では、再び北朝鮮でミサイルの発射が続いている。安倍総理大臣の発言直後の出来事だっただけに、北朝鮮の真意は不明だが、先行き不安な材料だ。北朝鮮は、「拉致問題は解決済み」との主張は崩してなく、仮に会談にこぎつけたとしても成果がなければ、政治的なダメージは少なくない。「どちらともいえない」という声が少なくないのも、会談で果たして成果が得られるのか疑問視する見方が根強いからだろう。

【消費増税、衆参同日選挙】
そして、国会論戦のもうひとつのポイントが消費増税だ。
政府は「リーマンショック級の出来事がない限り、引き上げる方針に変わりはない」としているが、ここに来て違う展開も取りざたされている。
米中の貿易摩擦が激しくなり、日本経済への先行きに不安感も広がっているからだ。

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こうしたなか、消費税率10%引き上げへの賛否を聞いたところ、
「賛成」が27%、「反対」が40%、「どちらともいえない」が26%となった。
過去3回のデータと比較すると、「賛成」が今回、最も低くなり、「どちらともいえない」とほぼ同数になったのも、今の経済状況を表している。

今年度予算に盛り込んだ幼児教育・保育の無償化など政権の看板政策は、消費増税による税収増を当て込んだもの。軽減税率やキャッシュレス決済でのポイント還元策など、色々準備が進んでいる。このため、「延期はそう簡単ではない」と言う声の一方で、「2度ある事は3度ある」と疑う見方は、増税派に特に根強い。

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そうしたなか、安倍総理大臣の側近として知られる萩生田幹事長代行の4月中旬(18日)の発言が、さらなる波紋を呼んだ。景気の動向次第では増税延期もありうるという認識を示すとともに、「増税をやめることになれば、国民の信を問うことになる」と指摘したからだ。
衆参同日選挙、もしくは、参議院選挙からそれほど時をおかずに選挙に踏み切るのではないかと憶測も出ている。

同日選挙、あるかどうか、ひとつのポイントは、国会の会期延長があるかどうかではないか。
というのも国会の会期末は6月26日。一方で萩生田氏が指摘した景気の動向調査、日銀短観の公表は5日後の7月1日だ。衆議院を解散するには国会が開会中であることが前提だ。このため、日銀短観を踏まえて増税延期を決断し、解散するには、1週間程度の会期延長が必要だ。

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そこで衆参同日選挙への賛否を聞いたところ、「賛成」20%、「反対」23%、「どちらともいえない」50%となった。

今、衆議院を解散する大義や争点として何があるのか、現時点で思いつかないという国民の心理が、「どちらともいえない」の50%に見て取れる。
ことしは夏に参議院選挙を控え、いかに選挙に有利に働くかという思惑が、政府与党、野党ともに優先されがちだ。会期末まであと1か月あまり。与野党には、将来を見据えた議論に期待したい。

(曽我 英弘 解説委員)

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