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「事故急増!モバイルバッテリーに注意」(くらし☆解説)

水野 倫之  解説委員

スマホやパソコンなどに使われるリチウムイオン電池から出火する事故が多発。
中でも最も事故が多いモバイルバッテリーについて国は法令で安全規制することになり、基準を満たしていない製品の販売があさってから禁止。
水野倫之 解説委員の解説。
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モバイルバッテリーはリチウムイオン電池を使った充電器。小型でポケットなどに入れて持ち歩くことが多く、火を噴けばやけどなどが心配されるが、社会的に大きな影響を与えてしまうことがある。
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去年11月、走行中の東北新幹線の車内で煙が充満。列車が緊急停止するトラブル。
乗客のモバイルバッテリーから煙が出た。
動画を撮影した人は「すぐ後ろの席でプシューと音がしてたちまち車内が煙に包まれたので避難した」と。
このトラブルでは、4人が搬送され新幹線の乗客720人が後続列車への乗り換えを余儀なくされた。
手のひらサイズの小さな製品だが、一旦トラブルを起こすときわめて大きな影響を与えてしまうことがあるということを、まずは知ってほしい。
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モバイルバッテリーの事故は、右肩上がりで増えている。
原因として最も多いのは製品自体の不良。
大分県ではおととし、先ほどの新幹線と同じようにモバイルバッテリーから異音がしたあと発火した事故が起きている。この製品、リコールの対象となっていた。
製造過程で内部に金属片が混入してショートし、発火したとみられる。
製品評価機構が行った発火に至る再現実験では煙を噴いた途端、破裂。
内部にはリチウムイオン電池が複数入っているため、何回も爆発的に燃え上がるのが特徴。
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リチウムイオン電池はほかの電池よりも電圧が高く、容量も倍以上ある。
プラス極にはリチウムを使った材料が、またマイナス極には炭素が使われ、まわりが可燃性の特殊な液体に浸されている。
異物が混入して電極同士がショートすると、発火事故につながりやすい。
メーカーでは異物が混入しないよう特別な施設で製造するなど対策はしているということだが、特に海外で作られたものの中には対策が甘く、異物が入ってしまうことがあるということ。
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製品そのものに問題があったら、事故防ぎようがないので、国はモバイルバッテリーを法令の規制対象にして、国が定める安全基準を満たすことを義務づけた。その証となるPSEマークをつけていないモバイルバッテリーは、2月1日以降、製造や輸入、販売ができなくなる。
こうした情報は海外の事業者にも通知。
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PSEマークは安全を確保するための様々な試験をすることが法令で事業者に義務づけられ、その試験に合格した製品のみがつけられるマークで、家庭内でもすでにエアコンや電子レンジなど450種類以上の製品に義務づけられていて、モバイルバッテリーもその仲間入りするというわけ。
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今回、
▽加圧試験
▽落下試験
▽過充電試験
▽高温試験などを行い、変形や変質がないことの確認が義務づけられた。
これまでもリチウムイオン電池の単体販売はマーク義務づけ。
でもモバイルバッテリーは電池を組み込んだ充電器と見なされたためマークの義務づけがなかった。
でも最近は海外からマークがついていない電池を組み込んだ製品が大量に輸入され事故につながっている可能性があり、今回義務づけに。
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PSEマークがつけば事故がゼロになるわけではないが、たとえば年間100件以上の事故が確認されていたガスこんろの場合、過熱防止装置などが義務づけられてガス機器用のPSマークがつくと、今では5分の1まで減った。
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ただマークがついても、注意しなければならない点あり。
注意点①
2月1日以降も
マークがついていない製品が残っている可能性もあるので確認を。
店頭で買う場合は直接確認。
ネット通販の場合、これまでもほかの製品でマークがついていない製品が販売されたケースがあり、今回経済産業省ではネット事業者に、違反品があれば販売リストから降ろしてもらうよう要請。
またネット事業者も監視を強化するとしているが、画像や製品情報から確認できない場合は事前に販売業者に問い合わせてほしいと経産省。
マークついていない製品の使用は法令上、禁止されているわけではない。
製品評価機構がマークがついていないモバイルバッテリー5種類を調査したところ、2種類が安全基準を満たしていなかった。
注意点②
今後も使いたいという場合はまずは、大分の事故のようにリコール対象となっていないかどうか確認を。
注意点③
さらに寝ているときはトラブルに気付きにくいので、充電する場合は、まわりに燃えやすい物がないところで。
マークやリコール情報やそして取り扱いに注意を。
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(水野 倫之 解説委員)

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