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「どう防ぐ? 冬の水道管破裂」(くらし☆解説)

中村 幸司  解説委員

1月20日は「大寒」。一年で寒さが最も厳しいころとされています。気温が下がると気をつけたいのが、凍結による水道管の破裂です。そこで、冬の水道管破裂とその対策について考えます。

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◇2018年の水道管凍結・破裂の被害
2018年1~2月は、凍結による水道管の破裂で、地域の生活に影響が出るような状況になりました。
水道管が凍結すると、氷になるときに体積が膨張し破裂、氷が溶けると水が漏れ、これが広い地域の断水につながってしまいました。新潟県佐渡市では、40%以上が断水して、自衛隊に派遣要請をして、給水してもらうといった事態になりました。断水が解消するまで6日間もかかりました。

◇水道管の凍結・破裂がなぜ広域の断水に
水道管破裂で、あちこちで水道が漏れっぱなしになってしまいました。

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すると、途中で水を貯めているところ(図中の配水池)の水が減り続けて、このままだと地域にまったく水を供給できなくなってしまいます。

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そこで、水漏れが激しい区域を断水にせざるを得なくなったということなのです。
これだと凍結しなかった家も断水してしまいます。水道管が破裂して水が漏れたままだと、近所を巻き込んでしまうことになるのです。

◇全国の凍結による断水被害状況
厚生労働省によると、2018年の1月から2月にかけての寒波では、10の県で、合わせて3万5000戸が断水しました。こうした断水は、2016年(平成28年)にもありました。このときは、西日本を中心に21の府県で50万4000戸が断水しました。病院では、人工透析ができなくなるなど、命に関わるような影響が出ました。

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この図で、断水は日本の南の地域ばかりであることに気づきます。
理由としては、北の地域は寒さ対策をしっかりしているのに対して、南の地域は、それほど対策をしなくても大丈夫と思っているところに強い寒波が来たため、被害が大きくなったとみられています。
生活への影響も大きいですから、水道管の破裂は防がないといけません。

◇住宅の水道管破裂の場所
日本水道協会が、2018年1月から2月の寒波のときの破裂被害を全国の100の水道事業者にアンケート調査しました。

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その結果、60%あまりは屋外の水道管でした。具体的には、屋外の給水栓、屋外の給湯器の付近などです。屋内の配管が破裂という例もあります。

◇対策は、どうしたらいいのか
夜中、水道をチョロチョロ出しておくというのが、ひとつの方法です。

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ただ、厳しい冷え込みのときは、日ごろからの対策が大切になってきます。

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水道管が屋外にさらされている部分については、保温材や布でカバーすることが基本です。
注意したいのは、アンケート調査では、南の地域では保温材をしていたのに破裂した例が少なくなくなかった点です。

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給水栓の蛇口の部分は破裂しやすいにもかかわらずカバーしていないケースの他、保温材のところどころに隙間があったり、破損していたりしていたものがありました。
南の地域では、例年、あまり厳しい寒さにならないだけに、こうした問題があることに気づかず、寒波が来たときに凍結、破裂したとみられています。
しっかり対策ができているか、チェックすることが大切です。

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水道メーターも要注意とされています。ここも屋外です。ちょっと気づきにくいですが、発泡スチロールを濡れないようにビニール袋に入れて保温します。さらに、ふたの上にダンボールを置くと良いとされています。

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上の写真は、水道メーターのボックスに袋詰めした発砲スチロールを入れたところです。メーターの上部まで詰めてください。

◇北国の対策
北国の対策は他の地域と異なります。というのも、北海道や東北のように寒い地域では、住宅の屋外に水道管がなく、屋内で配管をまわしているケースが多くなっています。さらに、24時間暖房をつけっぱなしにしている家も少なくないと思います。こうすれば凍結を防ぐことができます。
ただ、2018年の被害をみると、北海道や東北で屋内の配管が破裂したケースがありました。

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北国の場合、「水抜き栓」が取り付けられています。これを操作すると家の中の水を抜くことができます。

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北国では、夜寝る前に水を抜くようにしている家庭もあると思います。
ただ、水抜きが不完全だったとか、何日も留守にするときに水を抜かずに暖房を切って出かけたために、凍結、破裂したということがあるようです。
この他、転勤などで寒い地域に慣れていない人が、水抜き栓の使い方がわからず、破裂させてしまうということもあるということです。
地域や住宅のつくりによって、凍結対策が違うことを知っておかないといけません。

ここまで、一戸建てで説明しましたが、マンションやアパートでも北国では水の抜き方、他の地域でも屋外の水道管を保温材などでカバーしているか、大家さんや住んでいる人たちで確認することが大切です。

◇水道管の凍結・破裂に注意必要な気象条件
水道管の水が凍結しやすくなる目安の気温は、氷点下4度以下です。水は、氷点下になっても必ずしも凍りません。気温が氷点下4度のとき、水道管の中の水は氷点下2~3度くらいになって、凍ってくるとされています。

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気温だけでなく、冷たい風にさらされたり、夜中、雲がなく放射冷却現象で熱が奪われたりすると、より凍結しやすくなります。屋外は、風と放射冷却の影響も受けやすいので凍結しやすいのです。
気温が上がらない日が続くと、水道管の中の凍結が進んでしまって、破裂する件数が急に増えるとされています。2018年や2016年は、厳しい寒さが数日間続いたため、被害が大きくなったと専門家は指摘しています。

◇凍結時の対処
凍結した水道管にタオルをかけて、ぬるま湯をゆっくりかけるようにします。熱湯を直接かけると、急激な温度差で水道管が破裂してしまいます。必ずぬるま湯で溶かしてください。

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水道管が破裂してしまったときは、水道メーターのところにあるバルブを締めて、水漏れを止めて、水道事業者が指定している店に修理をしてもらってください。

すべての世帯がこうした対策をすれば、何日も断水が続くということにはなりません。過去、断水が長期化したのは、水の止め方がわからない、何日も留守でなかなか漏水を止められなかったケースがあったということなんです。

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特に問題だったのが、空き家です。管理する人も近くにおらず、あちこちで水が漏れているのに止められない、あるいは気づかないということもあったということです。そうしたことで、断水が長期化してしまったのです。
全国の水道事業者は、空き家については水道の元栓を締めるようにする取組みを進めています。ただ、まずは、空き家の所有者がメーターのバルブを閉めることが大切です。
空き家でない住宅の場合も、水の止め方を知っておく、何日も留守にするときはバルブを閉める、あるいは水抜き栓で水を抜くといったことを実践して、仮に破裂しても水漏れがおさまらないということにならないようにしてほしいと思います。
厳しい寒さが続きます。対策をもう一度、確認してほしいと思います。

(中村 幸司 解説委員)

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