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「副業ブームでも注意! 情報商材トラブル相次ぐ」(くらし☆解説)

三輪 誠司  解説委員

今日のテーマは、「副業ブームでも注意! 情報商材トラブル相次ぐ」です。

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情報商材とは、もうける方法を有料で教えるというビジネスのことを指します。
ホームページに広告を掲載しただけでもうける方法とか、動画を編集して投稿するだけで稼げるとか、毎日メールを送信するだけでもうかるなどという情報がインターネットで宣伝されています。月に50万円の収入を得た人もいると書かれている広告もありますが、誰でもできると思ってお金を支払ったものの、やってみてももうからなかったとか、返金を断られたというトラブルが相次いでいます。

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全国の消費生活センターに寄せられているケースを参考に具体例を紹介します。

たとえば、20代の女性。SNSで知り合った人から「1日10万円稼げるビジネスがある」というメッセージが届きました。教えてもらったホームページにアクセスすると「カリスマコンサルタント」という画像が出てきました。この人がノウハウを有料で教えますという宣伝文句でした。ページには、この人から教わったという人のインタビューの動画が紹介されていました。「パソコンに詳しくなくても自宅でできるし、教えてもらったとおりにやったら貯金が増えました」という内容です。

受講料は100万円となっていますが、今だけ30万円となっていて、「返金保証」とも書かれています。それならば大丈夫だろうと思ってクレジットカードを使って申し込みました。

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後日、その方法が文章で届きました。「ホームページを作って広告を載せ、そのページのアクセス数を増やすシステムを利用すれば、広告収入が得られる」というものでした。しかし、書かれていたとおりにやっても、まったく広告収入は入ってきません。

このため、返金を申し出ましたが、業者側からは「あなたのやり方が悪い。書かれたとおりにやっていないだけです」などといって、返金にも応じてもらえませんでした。

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また、別のケースでは、簡単にもうける方法を1万円で教えますというホームページを見て申し込んだところ、もっと稼げる方法を学べる無料セミナーに誘われました。会場に出向くと、会社側から、電話サポートつきという数十万円のスペシャルコースをすすめられました。その際、畳み掛けるように「みんなこれを契約している」「いっしょに頑張りましょう」「全力でサポートするから大丈夫」と言われ、強引に契約させられました。しかし、やり方が文章で届いただけでサポート電話はずっとつながらず、解約も断られたということです。

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「そんなうまいもうけ話ってあるわけない」ようにも見えるんですが、こうしたトラブルが相次いでいます。全国の消費生活センターに寄せられている情報商材のトラブル相談は、昨年度は6634件で、前の年の倍以上になっています。
今年度は、昨年度を上回るペースで増加しています。金額としては1件あたり50万円程度となっています。

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増加の要因の一つは「副業ブーム」です。会社に勤めながら、別の仕事をすることですが、それを認める会社が増えています。国も柔軟な働き方のひとつとして、副業や兼業の普及を目指す方針を示しています。しかし、朝から夕方まで会社で働いていると、家に帰ってからできる仕事は、インターネットを利用した、時間にとらわれない仕事を選びたくなります。そこに目をつけた宣伝と言えると思います。消費者センターに相談した人の52%が、給与生活者・つまりサラリーマンです。

増加のもう一つの要因は、SNSの普及です。SNSを通じて知り合った人が、実は業者側が用意した、いわゆる「サクラ」で、口コミを装った広告であることが確認されているケースがあります。さらに、カリスマコンサルタントは架空の人物、動画の女性は単なるモデルだったというケースがありました。

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中には「本当にもうかる方法を教えてくれるケースもあるかもしれない」と思う人もいると思います。確かに、全部が嘘の情報であるという証拠はありません。しかし、情報商材は、お金を支払わないと内容を確認することができません。書籍の場合は、本屋で中身を確認して購入できますが、情報商材はそうはいきません。本当にもうかるものが仮にあったとしても、それを見極めることは無理と思ったほうがいいです。

トラブルに巻き込まれないためには、とにかく内容がわからないものは購入しないということに尽きます。こうした広告を出すことは、必ずしも違法とは言い切れないところもあり、消費者のほうが自己防衛するしかないのが現実だと思います。

そのためには、販売されている情報は、ほとんどもうけにつながらないものか、やろうとしても無理なものがほとんどという実態を知っておくことが重要です。

もし、契約してしまったら、消費者ホットライン188に電話してください。最寄の消費者センターにつながります。ケースの中には、返金を求めることができる場合がありますので、交渉についてアドバイスをもらえます。また、業者との和解の仲介を依頼することもできます。

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情報商材は、一見すると「そんな怪しいもうけ話は簡単に見破れる」と思いがちなんですが、副業ブームの今、新しいビジネスにも挑戦したいという気持ちが、その判断を鈍らせてしまいます。トラブルが増えているという情報を知ってもらい、冷静な判断ができるようにして下さい。

(三輪 誠司 解説委員)

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