NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「太陽系脱出!ボイジャー2号の旅」(くらし☆解説)

室山 哲也  解説委員

(アナ)
41年前に、アメリカのNASAが打ち上げた、探査機ボイジャー2号が、まもなく太陽系を脱出します。今日はロマンに満ちた宇宙探査のお話です。
室山解説委員。どんな状況?

k181025_01.jpg

(室山)
ボイジャーは1号、2号の兄弟探査機。太陽系惑星探査のパイオニア。今日はその成果を紹介。

k181025_03.jpg

k181025_04.jpg

現在位置は地球から177億キロ(2号)。1号に続いて、2号が太陽圏(太陽風が支配するエリア)脱出。人類が作った人工物が太陽圏を離脱するのはこれで2つ目。NASAのHPを見ると、今も秒速17キロの猛スピードで遠ざかっているのがわかる。

(アナ)
探査で何がわかった?

k181025_05.jpg

(室山)
太陽系のなぞ解明続々。ボイジャーは、火星以外の地球より外の惑星を探査。近づいてみたら驚くような光景が広がっていた。

(VTR)
たとえば地上からみた木星はぼんやりしていたが、近づいてみるとガスが激しく渦巻くダイナミックな星だった。ガスの渦は直径4万キロもあり、地球をすっぽり包むほどの大きさ。秒速100m以上の風も吹いていた。

地上からみた土星もぼんやりしていて、輪の数も2-3本しかわからなかったが、ボイジャーの観測で、輪の数は1000本以上。厚さ1キロ。幅40万キロにも及んでいた。輪は、氷の粒の集合体で、氷の大きさは数ミリから部屋の大きさだったことも確認された。
       
(アナ)
宇宙の見方変わった?

(室山)
宇宙観が大きく変化した。たとえば木星は太陽エネルギーが地球の1/25.の静寂の世界と思っていたが、木星の衛星にはイオには火山活動があり、8か所から高さ270kmもの噴煙が上がっていた。静寂な世界ではなく、木星とイオの引力がつくりだすダイナミックな世界だった。

(アナ)
宇宙探査の意義とは?

k181025_07.jpg

(室山)
宇宙を知ると地球がわかる。たとえば土星以外にも木星、天王星にも輪があることが分かったが、太陽系の共通原理を発見することで、個別の惑星の謎が解ける(比較惑星学)。普遍的原理を学べば地球や人類のことも分かってくる。

(VTR)
またボイジャーは太陽系内の宇宙災害の痕跡も発見した。天王星の表面を赤外線写真でとると、極付近が常に熱いことが分かった。これは、天王星が、惑星大の天体の衝突で、横倒し自転をしていることを示している。天体衝突は太陽系内部でも身近な現象で、地球も同じリスクにさらされている。

(アナ)
今後どうなる?

k181025_09.jpg

(室山)
ボイジャーには「ゴールデンレコード」が搭載されており、地球の音や人間の言葉が書き込まれている。太陽系離脱の時ボイジャーがとった地球の写真は、地球への郷愁とともに、人類へのメッセージなのかもしれない。バッテリー寿命は2030年ころまで続き、その後通信は途絶するが、ボイジャーの旅は続く。次の恒星到着は4万年後。お疲れさまと言いたい。

(室山 哲也 解説委員)

キーワード

関連記事