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「相次ぐ土砂災害 どう身を守る?」(くらし☆解説)

土屋 敏之  解説委員

先週、北海道で震度7を観測した地震では厚真町の広い範囲で山の斜面が崩れた。7月の西日本豪雨でも各地で土砂崩れなどが発生した。

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 日本は自然災害が多い国ですが中でも地滑りや崖崩れなどの「土砂災害」は年間およそ1千件も発生しています。土砂災害が起きる主な原因は豪雨と地震、火山活動とされ、どれも日本でよく起きますから、土砂災害は私たち誰もが直面するおそれがあると言えます。地震の予測は困難ですが、豪雨は地球温暖化が進むにつれて今後さらに極端になると予測されていますので、これまでは大丈夫だった地域でも油断できません。
    
こうした土砂災害から身を守るには?

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 土砂災害は起きる時は一瞬ですし、地震のように予期できないこともあります。だからこそ、被害を少しでも減らすために3つのことが大切だと思います。①危険を知っておく ②備えをしておく ③いざという時の避難行動  です。
      
①危険を知っておく

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 まずはお住まいの地域のハザードマップ、防災地図などとも呼ばれますが、これを見て危険性を知っておくことが大切です。土砂災害ハザードマップは、土砂災害の危険性を地図に示したもので市区町村が公表しています。

ハザードマップを見たことがない、持っていないという人は?

 パソコンかスマートフォンがあれば、まずは市区町村のホームページに載っていることが多いのでチェックしてみて下さい。ご家族で誰もスマホなどは持っていないという場合は、災害が起きていない時に市区町村に入手方法を問い合わせてみて下さい。
    
ハザードマップはどう見たらいい?
  
 自治体によっても違いますが代表的なのがこちらのような形です。黄色い範囲が「土砂災害警戒区域」と言って、土砂災害が発生した時に住民の生命などに危険が生じるおそれがある場所を示します。特に危険性が高い所は「特別警戒区域」として赤くなっています。

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 ただ、これと別に自治体によっては細かく「土石流」とか「地滑り」など土砂災害の種類ごとに色を変えて網掛けが重なっているものもあります。

 まずは単純に、自宅周辺がハザードマップで色が塗られていたら危険性が高い、と認識してほしいと思います。そして近くの色が塗られていない所にある避難所を調べておくことです。できれば普段その避難所までのルートを歩いてみて、どれぐらいの時間がかかるか?夜でも歩けそうか?など感覚を掴んでおきたいですね。
   
②備えておく

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 防災用品は土砂災害に限りませんが、避難する場合に持って行くだけでなく道路が寸断されて家に留まらざるを得ない場合なども役立つものがあります。こうした防災用品の情報などは、NHKの「そなえる防災」のHPにも詳しく掲載されていますので参考にして下さい。
 今回の地震では道内全域で停電が起きましたが、停電時に情報を得る手段としてもラジオは重要になります。電池式の他に手回し発電式のものやそれで携帯の充電が出来るものもあります。また、停電でカードなどが使えないケースもありましたし現金もやはり重要です。

③いざという時の避難行動

 地震については起きる前に避難はできませんが、仮に本震では被害を免れてもハザードマップで色がついた土砂災害警戒区域などでは、その後の余震や地震後の雨によって新たな土砂崩れなどが起きる危険もあります。
 また、台風や豪雨による土砂災害の恐れがあると発表された場合は、自治体の避難勧告などが出たら速やかに行動して下さい。

「警報」とか「避難指示」とか色々な言葉があってわかりにくいが?

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 確かにわかりにくい面はあります。そこで土砂災害について2種類に整理してみました。
まず左側は気象庁が出す注意報・警報など危険性の情報。右側は市町村が住民の行動を促すために出す情報です。
 気象庁の出す情報は「大雨注意報」「警報」「特別警報」がありますが、土砂災害に関してはさらに「土砂災害警戒情報」というのが加わって大きく4つあります。この「土砂災害警戒情報」がわかりにくいと思いますが、これは大雨警報が出ていてさらに土砂災害の危険性が高まった場合に対象となる市町村を特定して出されるものです。
 こうした気象情報などに応じて自治体が住民の避難のための情報を出しますが、それは「避難準備・高齢者等避難開始」「避難勧告」「避難指示(緊急)」の3段階あります。
    
避難指示が出たら避難しなければいけない、と考えておけばいい?

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 そうではありません。実は「避難指示」が出るのは、既に土砂災害が発生した場合も含まれているので避難できない状況になっていることもあるためです。ですから、「避難勧告」の段階で避難を始めなければいけません。また、高齢者などで歩くのが困難といった方は、その前の「避難準備」の段階でご家族や近所の方などと声を掛け合って行動を始めていただきたいと思います。

では、「避難勧告が出たら避難」?

 基本的に「土砂災害警戒情報」が出されたら市町村は住民に「避難勧告」を出すことになっていますので、特に土砂災害警戒区域などに入っている方は一刻も早く行動していただきたいと思います。
 これからの時期、全国どこでも台風などの大雨による土砂災害の恐れがあります。お住まいの地域にどんな危険があるかをあらかじめ知っておいて、十分注意していただければと思います。

(土屋 敏之 解説委員)

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