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「西日本豪雨 被災地支援 あなたの力を」(くらし☆解説)

竹田 忠  解説委員

甚大な被害が出ている西日本豪雨災害。被災者の人たちを支援する動きが全国に広がっています。今、私たちに何ができるのか、考えます。

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Q①被災地では、今も、大勢の人が避難生活を強いられていて、大変なことになってますね?

A①
はい、今回の災害の大きな特徴は、とにかく被災した地域が広いことです。
きのう現在で、15の府と県で、およそ4600人余りの人が、
避難所での生活を余儀なくされている。
それだけ多くの支援が必要とされているわけです。

では、具体的な支援として、何ができるのか、というと、主に三つ、
まずは▼災害ボランティアとして現地に入る
▼遠方から支援物資を送る
そして▼寄付やふるさと納税で貢献をする、
この三つが中心になると思います。

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Q②まず、災害ボランティアですが、この3連休、
被災地には、大勢のボランティアの人たちが
かけつけたというニュース、伝えられていますよね?

A②
炎天下の中、困っている人の力になりたい、
その思いだけで、全国から続々と人が集まっている。本当に頭が下がります。
この3連休だけで、当初の予想を大きく上回る
4万人のボランティアが活動したと、全国社会福祉協議会では見ています。
作業としては、たまった泥のかきだしや
家財道具の撤去などが中心になるんですが、
あいにく連日の猛暑でボランティアが熱中症の疑いで
救急搬送されるということが各地で起きていて、厳重な注意が必要です。
実は、今回の被災地の特別な事情が
熱中症になるリスクを高めている、という背景もあるんです。

Q③それはどういうことなんでしょうか?

A③
今回の被災地では、まず、感染症への注意が必要なんです。
というのも、現地では今、流れ込んだ大量の泥水が乾燥して、
粉塵となって舞い上がっています。
粉塵には様々な細菌やウイルスが含まれていて、
これを吸い込むと、感染症になるおそれがある。

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そこで、現地の作業では、この絵のような服装が必要なんです。
粉塵から目、鼻、口を守るためにゴーグルやマスクをつける。
また作業中、手や足に傷がつくと、やはり感染しやすくなるので、
ゴム手袋や、長そで、長ぐつで守ることも必要です。

ただでさえ暑い中で、こういう装備をするわけですから、
尚更、熱がこもって、熱中症のリスクが高くなる。
ですから、専門家は、たとえば、30分作業したら、30分休む、とか、
こまめに水分や塩分をとるように呼びかけています。
気をつけてほしいのは、こうした装備や備品はすべて自前で用意する。
食料や水も、すべて自分で用意する、というのが
災害ボランティアの原則なんです。

Q④今回は、多くの自治体が、被害にあって困っています。
どこにボランティアに行くかは、どうやって決めればいんでしょうか?

A④
そこは重要なところで、まず、ボランティアに行くには、
現地の状況を知る必要があります。
そういう情報が、一番わかりやすいのは、
ボランティア活動の支援をしている、
全国社会福祉協議会のホームページです。

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今、どこの自治体でボランティアセンターが開かれているか、
また、ボランティアについて、
例えば地元の人に限定、というような条件があるのかないのか
そういうような情報が、ここで一覧できます。
まず、ここの情報をもとに判断をするといいと思います。

Q⑤次に、現地に直接いけない人の場合は、
支援物資を送る、という方法もあるわけですね。

A⑤
今回の災害では、身の回りのものが水につかったり、
いまだに断水が続いていて洗濯もできない、
という状況におかれている人が多い。
そこで、被災地からは、まず、着替えの衣料品や、
日用品などを届けてほしい、という要望が出ています。

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ただ、注意が必要なのは、時間がたつにつれて、状況はかわってきます。
これまでの大きな災害の例では、
しばらくすると避難所に大量に物資が送られてきて、
地元の店も再開して、モノ不足はじきに解消されます。
結局、避難所に残った大量の支援物資が
仕分けができないまま、在庫の山となって置き場所もなくなり、
食料品も期限がすぎて食べられなくなって
最後はお金をかけて大量に廃棄処分する、ということが繰り返されています。

このため、今回の被災自治体の中には
個人からの支援物資は受けつけていない、というところもあるんです。
ですから支援物資を送るには、
今、本当に何が必要とされているのか、
各自治体のHPなどで確認することが必要です。

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Q⑥そして最後は、寄付なんですが。

A⑥
ここで注意が必要なのは、寄付には大きく二種類あるんです。
それが、「義援金」と、「支援金」です。
言葉は似ていますが、意味は全く違います。

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義援金というのは、被災者に直接、届けられるお金です。
ある程度集まってから、被災者に公平に分配する必要があるので、
実際に被災者にわたるのには、少し時間がかかります。

一方、支援金というのは、被災者ではなく、
被災者を支える、NPOやボランティア団体などの支援団体に対して
その活動資金として配られるもので、すぐに役立てられます。

ボランティアや支援団体の人たちは、日ごろから手弁当で、
限られた運営資金の中で、やりくりしているのが実情です。
これから長期にわたる復旧・復興に協力してもらうには、
やはり少しでも支援金などで活動を支える、ということが
必要になってくると思います。

Q⑦最後にふるさと納税ですが、
これも被災地支援として役に立つわけですね。

A⑦
ふるさと納税の仕組みを使えば
いつもは地元の自治体に納めている税金の一部を
そのまま、被災地に振り向けることができる。
事実上、新たな負担なしに、被災地を支援することができるんです。

実際、今ふるさと納税の大手のサイトでは、
被災地に向けたふるさと納税が、急増しています。
注目なのは、ふるさと納税をすると、
普通は、地元の名産品などが返礼品として送られてくるわけですが、
今は、災害が起きているわけですから
返礼品なしで、この制度を利用する、というケースが多い。

ふるさと納税をめぐっては、返礼品目当てになって、
本来の趣旨から外れている、という批判もされていますが、
今回のような、ふるさとや被災地を応援したい、という使い方こそ、
本来のふるさと納税の原点!だと思います。

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また、最近は、このふるさと納税を
代理で受け付けるという自治体も増えてきているんです。

Q⑧「代理」で、ふるさと納税?

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A⑧
たとえば、特定のふるさと納税のサイトを見ると、
こういうように、代理、という欄があって、
被災自治体とは別の自治体の名前があがっています。

どういうことかというと、
ふるさと納税を受けた自治体は
寄付証明書などの書類を発行することが必要なんですが、
災害で混乱している自治体にとっては、
この作業は大きな負担なんです。
そこで、別の自治体が、そういう手続きを代行して、
お金だけを被災自治体にまわす、というものなんです。

つまり、個人も自治体も、災害時は自分のできる範囲、
自分のできることをして、助け合う、支えあう、ということが、
行われているわけです。

ぜひ、こうしたいろんな方法で
被災地に力を貸していただければと思います。

(竹田 忠 解説委員)


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