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「ヒトと共存!愛されるロボットの条件は?」(くらし☆解説)

室山 哲也  解説委員

(アナ)
人間の心を理解し、交流するコミュニケーションロボットの開発が進んでいる。室山解説委員。どんなロボット?

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(室山)
人間の暮らしに入り込み、仲間として共存するタイプのロボット。コミュニケーションロボットは、デパートなどでも特設会場ができ、人気者。言葉のやり取りやしぐさで、人間と仲間になるように設計されている。

(アナ)
なぜしぐさ?

(室山)
しぐさは言葉と違ったインパクトを持っている。

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北海道大学(河原研究室)では、うなずきと人間心理の関係を研究している。モニターに、うなずき、首横降り、静止など、様々なしぐさをするアジア系若い女性の顔(CG)をだし、男女33人(18歳以上)がそれを見て、その時感じた心理的状況を数値化。
その結果、「近づきやすさ」を感じる程度は、うなずいた場合、うなずかないものよりも4割も大きくなった。

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うなずきの原理を、ロボットに導入している研究室もある(岡山県立大学(渡辺研究室))。ロボットのうなずきでも同じよウニ、人間心理に影響が出るが、周囲の人間を巻き込んでいく効果もあることがわかってきた(引き込み効果)。
たとえば、「消費税率アップについての講義」をモニターで観客が見るとき、観客と講師の間にロボット(CGの後ろ姿)をいれ、話に合わせてうなずいたり、だらけさせる(うなずかない)と、「だらけ」の場合は「消費税の増加率は5.31%程度でいいだろう」とアンケートに答えるが、「うなずき」とともに見た場合は「7.77%アップ」と、説得力が増したという。

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愛されロボットの条件は「見た目の可愛さ(子供)」「双方向性(肯定的)」があるが、いずれも「体のコミュニケーション」が有効。さらに3つ目の条件に
「弱さの持つ力」がある。

(室山)
豊橋技術科学大学岡田教授は、行動のどこかが欠け、人間が手助けしたくなるような「弱いロボット」を開発している。例えば、物語の一部を忘れるロボットや、ごみの周りをうろうろするだけの「ごみ箱ロボット」などがある。応用としては、小児病院で、これから治療を受ける子供を説得するロボットなど、効果が確認されている。

(アナ)
ロボット開発。今後どうなる?

(室山)
コミュニケーションロボットの研究には「人間の心理の研究」の側面がある。今後は、さらに人間とはなにかについての研究が求められる。しかし、これらのロボットは、裏を返せば、人間の心を操る「負の側面」もあるわけで、それらも含めた健全な形の開発が求められている。
  
(アナ)
ありがとう。

(室山 哲也 解説委員)


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