NHK 解説委員室

これまでの解説記事

「そのブロック塀や石積みの塀は大丈夫?」(くらし☆解説)

中村 幸司  解説委員

2018年6月18日、大阪府北部で震度6弱を観測する地震がありました。この地震では、崩れてきた塀で2人が亡くなりました。そこで、皆さんの周りあるブロック塀や石積みの塀は大丈夫なのか、チェックの方法を取り上げます。

k180626_01.jpg

◇大阪北部地震
今回の地震では、小学校のプールの塀が崩れて、小学4年生の女の子が亡くなりました。また、80歳の男性が崩れてきた石積みの塀で死亡しました。

k180626_02.jpg

地震のとき、自分の家の塀で、通りかかった人が命を落とすようなことはないようにしなければいけません。塀の管理は、基本的には持ち主がしないといけませんし、責任を問われる可能性もあります。

◇ブロック塀のチェックポイント
塀が危険かどうか、どういうところを見ればいいのでしょうか。まずブロック塀です。
国土交通省は、チェックポイントを示しています。

k180626_03.jpg

わかりやすいのが高さと厚さです。高さが高ければ、より倒れやすくなってしまいます。
特別な設計でない限り、厚さが15センチ以上の塀の場合、高さは2メートル20センチ以下にしなければならず、これを超えると今の建築基準法に違反しています。厚さが10センチから15センチの場合は、2メートルを超えてはいけません。
2メートル20センチというと、一般的なブロックですと、ブロックが10段までというイメージです。

つぎに控壁というものがあります。

k180626_04.jpg

控壁は、塀が倒れるのを防ぐ役割をしています。高さが1メートル20センチを超える塀には必要です。控壁は、小学校のプールの塀になかったことが問題になっています。長さ3.4メートル以内の間隔で設置することが必要です。
控壁は、この図の手前側に倒れそうになった際は、つっかえ棒のようになって抑えてくれます。しかし、過去の地震では、下の図のように向こう側に塀だけ倒れた例があります。塀と控壁がしっかり固定されていることが必要です。

k180626_05.jpg

控壁を両側に取り付けたらいいと考える方もいるかもしれません。確かにそうですが、控壁を道路上に作るわけにいかないので、塀を敷地ぎりぎりではなく控え壁の分、手前に建てることになります。一戸建ての住宅だと庭が狭くなってしまいます。こうしたことから、控壁は一方にしかなく、道路側に倒れやすいものが多いのです。

コンクリートの基礎があるかどうかもポイントです。塀がしっかりしていても、基礎がないと根元から倒れてしまいます。
塀と控壁の固定状態や基礎は、一般の人が確認するのは難しいです。後述しますが、わからないときは専門家に相談するということだと思います。

k180626_07.jpg

もうひとつ、塀にひびがないか、傾きやぐらつきがないかです。傾いていたり、ひびがあったりするということは、すでに地震に弱くなっていると考えられます。
ひびの影響は、ブロックの内部にも及びます。ブロック塀は、地震の揺れに耐えるため、中に鉄筋を通すことになっています。ひびがあると雨水が中に入って、鉄筋がさびてしまいます。特に足元の鉄筋がさびると倒れやすくなります。

k180626_08.jpg

ひとつ注意していただきたいのは、ぐらつきを調べようとして塀を強く揺らすと、問題のある塀は崩れてしまう危険性があります。
高さが1.6メートルの塀の場合、長さ1メートルで、重さが300キロから400キロくらいあります。崩れると大変危険だということがわかると思います。塀をむやみに揺らさないでほしいと専門家は話しています。

鉄筋は、ブロックの中で見えませんから、チェックできません。

k180626_09.jpg

このため国土交通省は、高さや厚さ、控壁、基礎、ヒビ・傾き・ぐらつきという外から見える項目のうち1つでも問題があったら専門家に相談して、鉄筋など見えないところも、詳しく調べてもらってほしいとしています。

他にも、私たちでも出来るチェックポイントはあります。

k180626_10.jpg

ブロックに、よく上の図のように穴のあいたものを見かけます。これは「透かしブロック」と呼ばれています。弱点になりやすく、地震のとき、透かしブロックから壊れた例が多いとされています。

k180626_11.jpg

日本建築学会の設計規準では、透かしブロックを横や縦、斜めに連続して配置しないよう求めています。弱点が続いていると、大きな崩壊につながりやすいというわけです。

k180626_12.jpg

さらに、一番下や一番上、塀の端には配置しないよう求めています。一番下は、全体の重さを支えているので、透かしブロックは使わないということになっています。
透かしブロックがあると、鉄筋を適切に設置しにくいとされています。塀の一番上や端の鉄筋は、構造上重要ですが、ここに透かしブロックが使われていると、その重要な鉄筋がきちんと入っていない恐れがあるということになるので、透かしブロックを使わないように求めています。

◇石を積んだ塀のチェックポイント
石積みやレンガを積んだ塀のポイントは、下の図です。

k180626_14.jpg

高さは、1メートル20センチ以下になっているか、厚さが、高さの10分の1以上あるかを確認します。厚さが一定以上ない場合は、長さ4メートル以下ごとに控壁を作ることが法律に定められています。さらにブロック塀と同じように、基礎があるか、傾きやひび割れなどがないかがチェックポイントになります。
特に古い塀は要注意です。高さは、昭和56年までは2メートルまで認められていました。このため古い塀の中には、2メートル近いものが、いまも残っている可能性があるためです。
さらに、これはブロック塀も同様ですが、新しくつくられた塀でも、基準が守られていないものは、少なくないと指摘されています。塀のチェックを一度してみてください。

国土交通省では、上記のようなチェック項目で条件に適合しない場合はもちろん、わからないことがあれば、専門家に相談してほしいとしています。

k180626_15.jpg

具体的には、都道府県や政令指定都市など一部市区町村の担当部局、各地の建築士会の相談窓口などです。相談先は、国土交通省のホームページに掲載されていますので、参考にしてください。
危険であることが確認されたら、近くを通る人に注意を呼びかける表示をして、速やかに補修や撤去をするよう国土交通省は求めています。

k180626_16.jpg

撤去する際は、費用の一部を補助してくれる自治体がありますので、問い合わせてください。

いつどこで地震があるかわかりませんから、塀の対策は進めないといけません。ブロック塀による被害は、1981年の宮城県沖地震で大きな問題になりましたが、危険な塀は、今も数多くあります。
国など行政には、これまで以上に効果的な対策が求められています。それとともに私たちも、身の回りの塀を点検して、少しでも危険な塀を減らすよう取り組むことが必要です。

(中村 幸司 解説委員)


この委員の記事一覧はこちら

中村 幸司  解説委員

キーワード

こちらもオススメ!