NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「自動運転 地域はどう変わる?」(くらし☆解説)

室山 哲也  解説委員

(アナ)
自動運転の車や路線バスの実証実験が、日本各地でおこなわれている。自動運転は、地域をどう変えるのか?室山解説委員。どんな状況?

(室山)
自動運転の目的の一つは、地域の課題を技術の力で解決すること。日本各地で実証実験がはじまっている。

k180531_01.jpg

藤沢市では、自動運転の宅配便の実験がおこなわれた。スマホで呼び出された場所に、制限された公道を無人で走り、荷物を届ける。このシステムを使えば、いつでもどこでも。自由な時間と場所で、荷物を受け取ることができるようになる。不在率が高い宅配の効率を高める意味で、ビジネスとしても注目され、流通の世界に影響を与えそう。

(アナ)
自動運転実験の全体の状況は?

(室山)

k180531_05.jpg

自動車はハンドルで横方向、アクセルとブレーキで縦方向の、二つの動きで走るが、自動運転のレベルは、2つの要素がいくつ自動化されているかで決まる。レベル1と2はすでに実現(運転主体はドライバー)。レベル3-5はシステム運転だが、レベル3ではシステムが運転不可能時はドライバーが運転代行。レベル4は一定条件を前提で無人運転が許され、レベル5は無制限な無人運転となる。現在実証実験が行われているのは、主にレベル3と4。今日はレベル4の公共機関の実験の様子を伝えたい。

k180531_08.jpg

全国の実験は、予定も含めて38か所。目的は「事故減少」「渋滞解決」「流通効率化」「高齢化」「ドライバー不足」「雇用確保」「観光開発」といろいろあるが、都会では「事故と渋滞解消」、地方では「高齢化問題」解決の意味合いが強い。自動運転は「地域の課題を可決」することが大切で、多様な姿がある。

(アナ)
実例紹介して。

(室山)
たとえば石川県の輪島市。過疎化で、鉄道が廃線となり、路線バスも減少する中、自動運転への期待が高い。小型のカートで、時速20キロ以下の低速で、3キロの路線のうち1キロを自動運転で走行実験している。車は、センサーで周囲の環境を監視しながら走るが、電磁誘導線を道路に埋め込み、その情報を読みながら走行するので、低コスト、かつ雪道でも道路のラインが見えなくても、走行が可能となる。
過疎化対策として住民の期待も大きい。

(アナ)
今後、どんな社会がやってくる?

(室山)

k180531_11.jpg

政府発表の「大綱」は2020-25年の社会の姿を描いている。一般道ではレベル2までだが、高速道路ではレベル3の車が走り、限定地域でレベル4の車(バスなどの公共機関)が走っていると予測。限定地域では、輪島のように小型の車が走ったり、もう少し大きなバスも走っているだろう。

兵庫県の播磨科学公園では、自動運転の無人バスの走行実験が、乗客を乗せて、3日にわたって行われた。時速は15キロ以下の低速。走行場所は、管理区域ではあるが、一般の車が走ったり、歩行者も歩いている。実験に参加した、15キロ離れたバス会社に監視センターを設置し、バスの周辺や中の様子をリアルタイムで監視し、安全でスムースな走行が可能かを調べた。バス会社では、基礎的な情報を集め、将来は事業化する計画。

(アナ)
今後どうなる?

(室山)
地域の課題は場所によって多種多様。その地域に合った自動運転を育てる必要がある。そのためにも「地域への説明」「住民理解」をきちんと行う必要があると思う。

(アナ)
ありがとう。

(室山 哲也 解説委員)

キーワード

関連記事