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「フェイスブック個人情報大量流出・あなたにも危険が」(くらし☆解説)

三輪 誠司  解説委員

世界最大のインターネットの交流サービス・SNSの「フェイスブック」から、8700万人という大量の個人データが不正に流出した問題は、利用者の個人情報が全く知らないところで利用されてしまうというネット時代ならではの課題を浮き彫りにしました。

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フェイスブックは世界中で21億人が利用しています。利用する時は、自分の名前、生年月日、出身校などの個人情報を登録します。アクセスすると、友達登録した人の書き込みが並びます。気に入った書き込みには「いいね」というボタンを押して、気持ちを伝えます。

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今回の流出は「アプリ」という機能です。「クイズであなたの性格を診断します」という英語のものでした。

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このアプリ、およそ30万人が利用したといわれています。心理学が専門のイギリスの大学教授がつくったものでした。ただ、このアプリを利用するとき、利用者の個人情報と、これまでどのような書き込みに「いいね」というボタンを押したかなどが教授に送信されます。事前に「構いませんか」という確認画面が出ますが、その中に「友達の情報」も送信しますと書かれていました。結果的に、アプリを利用していない人の情報も含めて、最大で8700万人の情報を集めてしまいました。友達の方からすると、自分は了解していないのに、自分の情報が送信されたということで、日本の利用者10万人も含まれていました。

さらに教授は、集めた情報を、データ分析会社に横流ししました。最終的におととし行われたアメリカ大統領選挙のトランプ陣営の選挙対策に使われたとされています。

ただ、教授が作ったアプリは、不正アクセスをするものではなく、フェイスブックに備わっている機能をそのまま利用したものでした。つまり、フェイスブックのシステムは、こうした情報をそもそも保有しています。そして、アプリの開発者はその情報を入手することが可能なんです。しかし、今回の問題を受けて、フェイスブックはそもそも危険なサービスだったのではないかと批判されました。フェイスブックは、アプリを使って友達の情報を収集できないようにしました。

しかし、今回の問題は、フェイスブックの利用者だけにとどまらない、すべてのパソコン・スマートフォン利用者に共通する注意点が教訓として浮かび上がったと思います。

まず「診断系アプリ」の問題です。「性格診断」、占い、モテ期診断などの恋愛運ゲームなどをさします。性格診断のために、個人情報の提供が必要ですと言えば、了解してしまいがちです。診断系アプリは、スマートフォン用の日本語アプリも多いです。

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次に、提出した個人情報が、どのように使われるかは、利用者の側からは確認しきれません。今回、大学教授は、データ分析会社に情報を横流ししていましたが、分析会社の従業員が内部告発するまで明らかになりませんでした。

最後は、個人データは世論操作に利用されかねないということです。今回流出したデータには、どのような書き込みに「いいね」というボタンを押したかという情報が含まれています。それによって、その人がどのような社会問題に関心があるのかや、支持する政党などが推測できます。こうした分析をもとに、逆に嫌いな政治家を陥れるデマ情報を送りつければ、それが炎上して広がりやすくなります。

これらのことを踏まえて、自分の情報が悪用されないためにはどうすれば良いのでしょうか。

まずは、アプリを利用する時は、送信される情報を確認する。スマートフォンにインストールする時、端末内のアドレス帳や位置情報、これまで利用したアプリの一覧にアクセスすると書かれていれば、その情報は開発した会社に送られる可能性があるということです。少しでも不審な点があれば、インストールしないで下さい。

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もう一つは、SNSなどには個人データを、細かく書きすぎないようにすること。インターネットで買い物をするときは名前や住所などをホームページに入力しなければなりませんが、SNSやゲームの場合は、ニックネームで十分なものもあります。もし、すでに細かい情報を入れてしまっている場合、登録画面を開き直すと、ほとんどの場合書き直したり消したりすることができます。

ネットサービスの中には、無料で利用できるものが少なくありませんが、それは利用者の個人データを使って広告を表示したり、データを分析してさまざまな目的に活用しているからだということを意識しておいたほうがいいです。

個人の情報は、もちろん本人のものですから、意図しない使われ方をされないためにも、自分でデータを守っていくことを心がけていただきたいと思います。

(三輪 誠司 解説委員)


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