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「スキー・スノボ人気 復活なるか?」(くらし☆解説)

水野 倫之  解説委員

オリンピックでメダル獲得が続いたスキーやスノーボード。その盛り上がりとは裏腹に、国内ではスキー人口は減る一方。
ただ今シーズン、新たにスキー場がオープンするなど復活の兆しも。
各スキー場はどんな取り組みをしているのか、水野倫之解説委員の解説。

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スキーの人気はバブル時代がピークで、右肩下がり。
そこで今シーズンは、人気復活を願って30年前大ヒットした映画、「私をスキーに連れてって」の一場面を使ったキャンペーン映像も。
この映画はスキー人気に拍車をかけた。
当時、駐車場は朝早くに満杯、ゴンドラの待ち時間が1時間なんてのもザラだった。
スノーボードも加えた国内のスキー人口は増え続け98年には1800万人超。
しかしその後は減り続けピークの3分の1以下となり、多くのスキー場が閉鎖に追い込まれた。

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景気の低迷もあるが、若者が外に出なくなった影響が大きいと関係者は分析。
スマホで気軽にゲームができ、SNSですぐに連絡も取れ、外に出る必要がない。
中でもスキーは行くのに時間がかかり、用具にお金がかかり、準備も大変とあって特に影響が大きいと見られる。

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ところがここ数年、復活の兆しも。
今シーズン、国内で14年ぶりにスキー場がオープン。
そして観光庁もスノーリゾートの活性化を目指した委員会を立ち上げ。

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一番の狙いは外国人旅行客。
去年はアジアを中心に2800万人あまりが日本を訪れ過去最高、政府は東京オリンピックの年に4000万人を目指す。

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そこで目をつけたのが、北海道のパウダースノーで外国人の人気に火がついたスキー場だった。
観光庁の呼びかけもあって本州の各地のスキー場も外国人の取り込みに力。

山梨県のスキー場。
取材した日、ゲレンデには富士山をバックに写真を撮るタイや中国、インドネシアなどからの団体客が。
ただ写真を撮るだけでスキーをしない旅行客も多く、いかに利益につなげるかが課題。
そこで外国人専用の有料のそりスペースも開設。
スキー場では今シーズンからイスラム教徒などに配慮して豚肉などを使わないメニューを用意したり、お祈りのスペースを設けるなど、今後も外国人向けサービスを拡充していく方針。

そして観光庁が、先を行く取り組みとして紹介しているのが新潟県のスキー場のスキーレッスン。外国語に対応できるインストラクターは限られているため、スピーカー付きのヘルメットを導入。通訳の声がスピーカーから流れ大勢の外国人を一度に指導できる。
今シーズンから中国語とタイ語で指導できるようにしたところ、去年を上回るペースで外国人が来場している。

ただ増えたとは言っても外国人の割合は各スキー場平均すると来場者の数%、国際情勢によってはパッタリと来なくなるリスクも。
やはり日本人客に戻ってきてもらうことが不可欠で、子供を含めた若者をいかに増やすかがポイント。
スキーは遅くとも20代前半くらいまでに経験しないと、年配になってから始めることはまずない傾向があるから。

そこで新潟県のスキー場では、19歳とさらに20歳もリフト代を無料にして若者を取り込もうとしている。
ここでスキーの楽しさを知ってもらえれば来年有料になってもまた来てもらえる可能性もあるし、来場してくれさえすれば食事や宿泊などでその地域に利益がもたされることに。
このスキー場では小学生以下の子供の取り込みにも力を入れ、スキー教室に工夫。子供が怖がってスキー嫌いにならないよう最初に滑るのは室内。そのあと雪のゲレンデへでだほうが上達が早い。
ここ数年来場者は下げ止まっているということ。

モーグルの原選手は、雪の降らない東京渋谷の出身。
子どもの頃両親によくスキーに連れて行ってもらい、慣れ親しんだことがきっかけ。国の委員会でも外国人旅行客対策だけでなく、日本の子供や若い人たちにいかにスキーの魅力を伝えるかについても検討を進めて、スキー人気の復活、地域の活性化につなげていってもらいたい。

(水野 倫之 解説委員)

 

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