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「架空請求相次ぐ 被害にあわないために」(くらし☆解説)

三輪 誠司  解説委員

有料のインターネットサービスの代金が支払われていないなどという偽の電子メールを信じて、金をだまし取られる事件が相次いでいます。被害にあわないようにするにはどうしたらいいでしょうか。

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 大きな被害をもたらしているのが、インターネット通販大手の「アマゾン」をかたる架空請求です。

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内容を見ますと、「未納料金が発生しています。本日中にご連絡なき場合、法的手続きに移行します」となっていて、最後に電話番号が書かれています。もちろん、これはアマゾンとは全く関係がない偽物ですが、代金を支払わないと、裁判所に訴えると脅しているんです。

電話すると、オペレーターと名乗る人物が出てきまして有料の動画配信サービスを利用しているのに、代金が支払われていないとして、金を請求します。

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全国の消費生活センターには、この手口で金をだまし取られてしまったという相談が相次ぎ、ことし 6 月から9 月末までの間の被害額はあわせて 1 億 2000 万円を越えているということです。その後も被害は続いていて、中には、860 万円を取られたという人もいました。

文言に書かれている「有料動画サービス」は、インターネットに接続したパソコンやスマートフォンで映画などを見ることができるもので、比較的新しいサービスです。実際は前払いしないと利用できないんですが、新しいサービスのため、後で支払う方法もあると誤解する人がいると見られています。また、スマートフォンの操作を間違えてうっかり有料動画を再生してしまったかも知れないと思った人も、被害者の中にはいたということです。

また、犯人側が、アマゾンのギフト券で支払いを求めてくるのも特徴です。

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このギフト券は、コンビニエンスストアで買うことができるネット専用プリペイドカード」と呼ばれるものです。 多くの企業が発行しています。裏側をこすって表示された番号を使って、クレジットカードのように代金の支払いができます。

犯人側は、購入したギフト券の番号を電話で教えるように求めます。この方法だと、現物を郵送するよりも犯人側の居場所を特定しにくくなります。このため、犯人側の検挙も難しくなっているんです。

コンビニエンスストアでも、多額のプリペイドカードを購入した人に、詐欺の被害に遭っていないか声掛けをするようにしています。しかし犯人側は、複数の店で、少しずつ購入するよう指示するなど、いたちごっこになっています。

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もし、番号を教えてしまったら、カードを発行している会社にすぐに連絡して利用停止の手続きをとって下さい。その後払い戻しなどの手続きが出来ます。教えてしまった番号は、さらに別の犯罪グループに転売されることもあり、何らかの支払いに使われてしまう前ならば、停止すれば金銭的な被害を防ぐことが出来ます。しかし、使われてしまうと、お金を取り戻すことが出来ません。できるだけ早く偽のメールと気づいて対応することが必要です。

このメールなんですが、よく見ると、初めて届いた催促なのに、いきなり裁判に訴えるといってきたり、いきなり今日中に連絡しろというなど、不審な点もあります。こうしたメールは相手にしないということがもっとも大切です。無視しても訴えられることはありません。

でも、注意しないといけないメールは、アマゾンをかたるものだけではありません。
そのような偽のメールは10月から再び増加しています。料金の請求があるとか、カードローンの申し込みを受け付けたなど、放置したら、お金が引き落とされるかもしれないと心配になるものばかりです。

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こうしたメールの手口は、大きく分けて 2 つあります。たとえば、Apple をかたるメール。「不正アクセスの痕跡があったので、パスワードを再設定して下さい」と案内し、リンクをクリックすると本物そっくりの偽のホームページにパスワードを入力させてだまし取ります。自分に成りすまして有料サービスを利用されるおそれがあります。

また、ウイルス感染させる手口もあります。11月 24 日に広がった、NHK オンデマンドをかたる偽メールです。「サービスの購入手続きが完了しました。詳しくはこちらで確認してください」と書かれていますが、クリックすると、パソコンがコンピューターウイルスに感染し、最悪の場合、個人情報やクレジットカードの番号などが流出する恐れがあります。NHK としては、これは NHK と全く関係がない偽物であるとホームページやツイッターで注意喚起をしています。

こうしたメールにだまされないようにするに、もっとも重要なのは、偽メールの手口を知ることです。

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警察や情報セキュリティー企業、そして大学が作っている日本サイバー犯罪対策センターのホームページには、出回っている偽メールの一覧が出ています。ここには、メールの本文も含めて掲載されています。
また、警視庁サイバーセキュリティ対策本部のツイッターのアカウントでも出回っている偽メールの情報がすぐに公開されます。あらかじめ偽物の情報を知っておくと、自分に届いたときに慌てずに対応することが出来ます。

もう一つは、メールの本文に書かれている連絡先は信用しないことです。ほとんどの手口は、メール本文に書かれた電話番号やリンクを信用させてだまします。もし、問い合わせをするときは、企業のホームページを検索して問い合わせ先の電話番号やメールアドレスを調べるようにして下さい。さらに、消費者ホットラインという、局番なしの 188 に電話すると、最寄の消費生活センターにつながりますのでアドバイスを受けることができます。

偽メールに共通するのは、すぐに対応しないと大変なことになるなど、受け取った人をあわてさせる内容が書かれていることです。これは、振り込め詐欺などと共通する手口です。警察などが偽メールの情報を公開していますので、犯人の手口を知っていただき、落ち着いて対応できるようにして欲しいと思います。

(三輪 誠司 解説委員)

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