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「O157 対策はどうしたらいい?」(くらし☆解説)

中村 幸司  解説委員

夏になると食中毒に注意が必要になりますが、2017年8月、埼玉県や群馬県にある惣菜店で販売されたポテトサラダを食べた人から、O157が検出されました。そこで、O157による食中毒の対策を取り上げます。

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◇今回の食中毒について
どこでO157が混入したのか、8月29日現在、特定されていません。
今回のように店で販売されている食品にO157が混入すると、消費者側が食中毒を防ぐことは出来ません。それだけに、原因を突き止めて、対策につなげることが求められます。

O157による食中毒は、家庭で作る食事でも起きますが、こちらは私たちが防ぐことが出来ます。そこで、家庭でのO157対策を考えてみます。

◇O157の感染経路
O157は、牛などの腸の中にいます。肉の解体などは、菌が他につかないようにして行われますが、流通までのどこかの段階で菌がつくことも考えられます。

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過去の食中毒では、肉、特に牛肉を不十分な加熱のまま食べたときや、いずれかの過程で菌が付着した野菜を洗浄や殺菌が不十分なまま食べたときなどに感染が起こっています。
また、水道水は塩素で消毒してあるので大丈夫ですが、井戸水から感染することもありますので、井戸水を使っている家庭などでは水質に注意する必要があります。

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O157に感染している人の便にも菌がいるので、トイレの蛇口などを介して、手について、それが間接的に口に入って感染することもあります。
口から菌が50個くらい入っただけでも感染するとされています。

◇O157の感染対策
対策の原則は、菌を「つけない、増やさない、やっつける」という3つです。

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▽購入時の対策
肉や野菜など食品を購入するときから、注意が必要です。

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肉に他の食品が触れないようにすることが大切です。肉汁にも菌がいる可能性がありますから、買い物袋の中で、肉や魚の水分が漏れないようにビニール袋に包むなど、他の食品と分けてください。
冷蔵や冷凍が必要な食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫に入れてください。

▽冷蔵庫での保存時の対策
温度設定は、冷蔵室は10度以下、冷凍室は氷点下15度以下が目安です。

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注意したいのは、冷凍室に入れても菌は死なないということです。冷蔵室では、菌がいた場合、ゆっくり増殖しています。
特に夏は、冷蔵庫の開け閉めを頻繁にすると温度が高くなりやすいので注意が必要です。10度を上回ると増殖が早まるので、冷蔵室は10度以下にしてください。

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冷蔵庫の中でも、肉などは包んで保存します。肉を庫内の上の段でなく、下の段に置くようにすると、肉汁が漏れても他の食品に広がりにくくなります。
食品は、早めに使い切ることが大切です。

▽調理時の対策
冷凍の食品を解凍するときは、台所などに放置すると菌が増えてしまう危険があります。室温ですと15分~20分で菌が2倍に増えるといわれています。
冷蔵室の中で解凍するか、電子レンジの解凍機能を使うといいといいます。

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専門家は、調理の順番を考えるようにしてほしいと指摘しています。
サラダなど、野菜を生で食べる調理は先にして、肉の調理は最後にすると、たとえ肉に菌が付いていても、他の食品に広がりにくくなります。

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野菜に菌がついていて食中毒の原因になることもありますから、野菜を良く洗ってください。
葉物の野菜は、一枚一枚洗ってください。
ブロッコリーなど洗うのが難しい野菜の場合は、湯がくことで殺菌できます。100℃つまり沸騰したお湯に5秒以上が目安です。

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肉などを加熱する際は、75度で1分以上加熱すれば殺菌できます。このとき、中心部が75度、1分以上であることに注意しましょう。特にひき肉は内部に菌が広がっている危険性が比較的高いので、中心部まで十分熱を加えるよう注意してください。
電子レンジで加熱調理するとき、食品によっては裏返したり、かき混ぜたりして、加熱ムラをなくすようにしてください。

▽台所の衛生管理
台所を清潔に保つことも大切です。

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調理を始めるときと、終わった後、それに肉や魚を扱った後には、まな板や包丁などの消毒をしてください。洗浄剤で洗った上で、熱湯をかけるか、台所用漂白剤を使うなどして消毒してください。食器やふきん、スポンジなども消毒してください。
それと手洗いです。
これは、基本中の基本です。食品や調理器具の対策をしても、手に菌がついていたら何にもなりません。

こうした注意は、O157以外の食中毒に共通している点も多いですから、徹底してください。

◇感染と症状・治療
こうした対策をしていても、O157などに感染してしまうかもしれません。そうしたときのために知っておきたいことのひとつは症状です。

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O157など腸管出血性大腸菌と呼ばれているものは、腸の細胞にくっついて、毒素をだします。症状としては、腹痛、下痢(それも激しい下痢)、血便といったことが起きてきます。
一方で、症状が軽かったり、出なかったりすることもあって、幅があります。
症状のある人のうち、6~7%くらいの人は、毒素の影響で5日から1週間くらいで、腎臓の機能に障害が起きたり、けいれんや意識障害といった脳症になったりします。重い合併症というわけです。
体の抵抗力が弱い、子どもや高齢者に多いとされています。死亡するケースもあります。

感染したときも注意点があります。
下痢しているから下痢止めの薬を飲むようなことをすると、腸にくっついた菌がいつまでも腸にとどまって毒素を出し続けて、かえって症状が重くなってしまうことがあります。
血便や激しい腹痛、下痢などの症状があったら、自分で判断せず、医師の診察を受けることが重要なのです。

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そして、子どもやお年よりに対しては、周囲の人たちがこうした症状がないか、気をつけてほしいと思います。
O157による食中毒は、気温が高い夏から秋口は、特に注意が必要になります。冷蔵庫の使い方や調理方法など、衛生管理ができているか見直してみてほしいと思います。

(中村 幸司 解説委員)

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