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「調理器具の事故に注意を!」(くらし☆解説)

水野 倫之  解説委員

この時期、一人暮らしをはじめた学生や新入社員の中には、自炊しようと調理器具を本格的に使い始めたという方も多い。
しかし調理器具から出火するなど事故も相次いでいて、注意すべき点がさまざまある。
水野倫之解説委員による解説。

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調理器具さまざまあるが、まずは火を使わないので比較的安全とされる電子レンジ。
しかし食品かすが残っていると、レンジの電波がそこに集中して火を噴くことがある。

製品評価機構が再現した映像では火花が右横から出て、…その後発火している様子がわかる。

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電子レンジは、特殊な電波で食品の中の水の分子を振動させて、発生する熱で
食品全体を温める仕組み。

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生卵を温めると殻の中の水分が蒸気となって圧力が高まり破裂。

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アルミホイルなど金属製品も火花が飛び散ることがあり危険
だが汚れが火災につながるというのは意外と知られていない。

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レンジでは特に電波発射装置の金属カバー付近の汚れに注意。
カバーの隙間に食品かすが残っているとそこに電波が集中し、食品かすどうしや、
食品かすとカバーの間で火花が飛び散り、発火することがある。

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こうした汚れが原因の調理器具の事故、電子レンジのほかコンロやオーブントースターをあわせて過去5年で180件余り報告。
電子レンジ以外で多いのはガスコンロ。
おととし山口県で80代の女性がガスコンロに火をつけようとしたがなかなかつかず、
点火操作を繰り返していたところ、急に炎が上がり頭をやけどするという事故。
炎が出る部分が油汚れなど食品カスで目詰まりしていたのが原因。

またおととし茨城県ではガスコンロのグリル部分から出火して、
男性が手にやけどする事故。これも原因はグリルの受け皿などに溜まっていた汚れ。
2009年以降販売されているガスコンロの多くに安全装置が義務付けられ、温度を検知するセンサーや立ち消えを防止センサーなどがついている。

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ただこうしたセンサーも汚れがついていると正常に働かないことがあり、万全ではない。
以下注意点。

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▽調理中に煮こぼれや油こぼれなどが起きたら、固まらないうちにこまめに掃除する。
▽炎の噴きだし口はもちろん、センサー類の汚れにも注意。
▽電子レンジを掃除するときはコンセントを抜き、金属カバー周辺もきれいに。

もう一つ事故原因として見逃せないのが製品自体の不良。
特に問題となっているのが、小型のキッチンに組み込まれた電気コンロによる火災。

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電気コンロの前を通り過ぎようとした時にカバンが操作つまみに当たってスイッチが入り、
気付かず出かけてしまうと、コンロの上に置いてあった新聞紙に火がついてしまう事故が多発し、死者が出たケースも。
このタイプの電気コンロの操作つまみはコンロから飛び出していて
カバンや体の一部が当たりやすい構造だった。
電気コンロの上にモノが置いてなければ電源が入るだけで事故にはならないかもしれないが、
このタイプのコンロ、学生や単身者がよく住むワンルームマンションの
小型のキッチンに多く組み込まれた。
外食中心で調理しない場合もあり、電気コンロが物置と化して、
新聞など燃えやすいものが積まれていることが多いということ。

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各メーカーではつまみの構造に問題があったとしてリコールを届け出て、
誤作動しないようつまみの周りにカバーを付けるなど無償で修理してきた。

リコールとなっているのは、7社の機種。
2004年までにおよそ74万台が販売され、
メーカー各社は個別に修理を呼び掛けてきたがなかなか改修が進まないため、
10年前からは協議会を作り専用の窓口も設けて修理を呼び掛けている。
しかし現在もまだ最大7万8000台余りが修理されずに残っているとみられ、
いまだに年に数件から10件程度事故が起きている。
この電気コンロがどこのマンションや住宅に設置されたかは
販売店や建設会社の記録を見ればわかるが、その記録がすでに廃棄されていたり、販売店や建設会社が倒産しているケースもあってメーカーだけでの対応には限界。

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やはり利用者である私たちも注意する必要。
リコールの情報は製品機構や消費者庁のホームページにも載っており、自宅や子供の下宿先に電気コンロがある場合は確認が必要。

(水野 倫之 解説委員)

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