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「参議院選挙と国民の視線」(くらし☆解説)

島田 敏男  解説委員

☆きょうのテーマは「参議院選挙と国民の視線」で、担当は島田敏男解説委員です。
参議院選挙は6月22日に公示されて18日間の選挙戦に入り、7月10日が投票日で、今度の選挙から18歳、19歳の若い人たちも投票ができるようになります。
 
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(島田)
◇高校生でも投票できる人がいます。7月10日の投票日の翌日、つまり7月11日に18歳の誕生日を迎える人まで、今度の参議院選挙で投票ができます。
◇そこで、これまでは20歳以上を対象にしていたNHKの世論調査も、今月から18歳、19歳の人たちを調査対象に含めました。全体で見ると割合は少ないですが。

☆その世論調査で、今月の安倍内閣の支持率はどうでしたか?

◇先月よりも若干上がりました。
 
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◇今月の調査で安倍内閣を支持するは先月より3ポイント上がって48%、支持しないは1ポイント下がって35%でした。
◇大きく見れば横ばい傾向ですが、伊勢志摩サミットをトラブルなく開催できたことや、オバマ大統領の被爆地・広島訪問が実現したことなどがプラスに働いたようです。

☆安倍総理はサミットの直後に消費税率の引き上げを先送りする方針を表明しました。こちらに対する国民の見方はどうなんですか?
 
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◇全体では、来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを2年半延期、先送りしたことを評価するが58%、評価しないが36%でした。
◇与党支持者では先送りを評価すると答えた人が7割を超えています。
◇これに対し野党支持者と無党派層では、評価すると評価しないが拮抗しています。
◇安倍総理の先送り表明より前の先月18日の党首討論で、民進党の岡田代表が「アベノミクスの失敗で増税できる状況ではなくなった。だから先送りすべきだ」と主張しました。
◇「消費税率の引き上げを予定通り来年4月に行うべきだ」と主張する政党は今や一つもありませんので、単に先送りが是か非かは与野党の争点にならなくなったんです。

☆先送りしなくてはならない原因が何なのかが問題だということになりますね?

◇そうですね。安倍総理が「これまでとは違う新しい判断だ」と説明しているのに対し、野党の党首たちは「アベノミクスの失敗を覆い隠そうとするものだ」と批判しています。
◇安倍政権が進める経済政策全般に対する議論を、さらに深める必要がありそうです。

☆消費税引き上げは社会保障のためですから、先送りになったら影響も出ますよね?

◇今月の調査では、消費税率の引き上げ先送りによる影響をどう思うかも聞きました。
 
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◇財政再建や社会保障への影響について不安を感じるという人が全体の72%、つまり4人のうち3人までが不安を感じているということです。
◇与党支持者、野党支持者、無党派層のいずれでも7割以上が不安を感じると答えていて、日本の将来に向けての心配という面では同様の傾向が現れています。
◇それだけに参議院選挙の論戦では、将来の世代に対して責任を果たすには、どのような社会の仕組みを築くべきかといった腰を据えた議論を国民は期待していると思います。

☆参議院選挙について、国民はどういう結果が望ましいと考えているんでしょう?

◇4月、5月、6月と同じ質問をしました。あなたは今度の参議院選挙で、与党と野党の議席がどうなれば良いと思いますかという質問です。
 
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◇与党が増えた方が良いと思うは、4月から順に23%、25%、25%となっていて、野党が増えた方が良いは、32%、32%、28%となっています。
◇5月と6月を比べると与党が増えた方がよいは横ばいです。そして野党が増えた方がよいが4ポイント減った分、どちらともいえないが4ポイント増えて42%と多いんです。
◇背景にあるのは、どういう選挙結果が望ましいかを判断するには、まだまだ材料が足りないと感じている人が少なくないということだと思います。

☆そういう傾向は、政党支持率にも現れているんでしょうか?
 
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◇そうなんです。順を追って見て行きますと、まず今月も政党支持率の第1位は自民党で38.1%。これに民進党以下が続いています。
◇( )の中の数字は先月との比較で、やや上向いた政党も、やや下がった政党もあります。
◇その中で私が注目するのは「特に支持する政党は無い」と答えている無党派層、この無党派層の全体に占める割合が36.7%に上り、若干ですが先月より増している点です。
◇通常、国政選挙が近付くに連れて、無党派層の割合は減り、その分が各政党の支持に流入して行く傾向があります。しかし、先月から今月にかけてはそうなっていません。
◇先ほどの質問で、与党の議席が増えた方がよい、野党の議席が増えた方がよいと比べ、どちらともいえないが最も多かったですが、それと同じ傾向を示しています。

☆有権者は判断の材料を探している。そうなると投票率はどうなるんでしょう?

◇なかなか簡単には推測できないんですが、こちらを見て下さい。
◇今回の世論調査は投票日の4週前のタイミングで行いましたが、3年前の前回の参議院選挙の時にも同じ投票日4週前の調査を行っています。
 
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◇事前の世論調査の数字で投票率との関係が深いとされているのが、「投票に必ず行く」と答えた人の割合でして3年前は60%でした。これに対し今回は55%でした。
◇さらに選挙に関心があると答えた人の割合も、3年前の調査の78%に対し、今回は72%にとどまっています。
◇3年前の投票率は結果として52.6%でして、これだけで単純に考えると今回はこれよりも低くなるのだろうかなと思いがちです。
◇しかし、22日の公示日の前後には、各党の党首討論などがテレビ・ラジオやインターネット、それに日本記者クラブの催しなどで繰り返し行われます。
◇そういった論戦を通じて争点が浮き彫りになってくれば、国民の関心が一気に高まる余地は十分にあります。
      
☆国政選挙の機会は大切にしたいですよね?
 
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◇今の衆参両院の議席割合はこうなっていまして、自民・公明の与党は衆議院では3分の2以上の多数を占めていますが、参議院では与党で何とか過半数という勢力です。
◇安倍総理が目標に掲げている「与党で改選議席の過半数確保」を実現すれば、非改選の議席と合わせて参議院での与党の勢力はさらに増します。
◇この全体状況をどう見るかも有権者の判断材料になると思います。

☆18歳、19歳の皆さんも参加する選挙です。分かり易い論戦が大事ですね?

◇参議院選挙は政権交代を問う選挙ではありませんが、その時々の政治に対する評価がハッキリ現れる選挙です。大事なことを分かり易く主張する。
◇政党や候補者にとって、今まで以上に大事なポイントになると思います。  

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