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「地震に便乗 悪徳商法・詐欺にご注意!」(くらし☆解説)

寒川 由美子  解説委員

熊本県や大分県では、地震で多くの住宅が壊れ、ようやく後片付けや修理が始まっています。
そうした中で心配されるのが、地震に便乗した悪徳商法や、義援金を名目にした詐欺などです。
 
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災害の後には、住宅の修理に関する強引な勧誘といった悪徳商法や、被災者支援を名目にした詐欺などが目につきます。
国民生活センターによりますと、今回も、熊本地震が起きた4月14日以降、24日までに、悪徳商法によるとみられるトラブルや、詐欺が疑われる電話などの相談が56件、寄せられています。

<悪徳商法>
こちらは今回の地震で被災した70代の女性のケースです。
自宅の屋根瓦が落ちたので、業者にブルーシートをかけてもらいました。
ところが、工事が終わってから示された見積書と契約書には「工事1式 100万円」となっていました。
事前に料金の説明はなく、そんなに費用がかかるのであれば頼まなかったということですが、業者からは「2日以内に100万円用意するように」言われた、ということです。
ブルーシートは無料で配布している自治体もありますから、あきらかに高額です。
事前に料金の確認をすればよかったのですが、説明しなかった業者にも問題があるということで、現地の消費生活センターが、業者との交渉について相談に応じているということです。
 
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このようなケースは「ブルーシート商法」とも呼ばれ、5年前の東日本大震災でもありました。
1日に何度も訪問してきたり、「早く工事しないと大変なことになる」と不安をあおったりして契約を急がせる、また、薄いビニールシートをテープで貼りつけただけで高額な料金を請求する、といったケースが見受けられました。
一刻も早く修理したいと、はやる気持ちにつけこむ、悪質な商法です。
 
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5年前の震災では、悪徳商法の相談は、震災発生からひと月以内が圧倒的に多く、また相談内容は住宅の工事や修理に関するものが最も多くなっていました。
今回の地震でも住宅の修理などはこれから本格化しますから、今後は屋根の葺き替え工事などでも悪徳商法に注意が必要です。

<被害にあわないため>
被害にあわないためにはどうすればいいのか。
 
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まず、勧誘されてもすぐにその場で契約するのではなく、工事の内容や費用を必ず事前に確認することです。
そして、出来れば複数の業者から見積もりをとったり、家族や周囲の人に相談したりして、十分に検討することが必要です。

また、契約書を受け取ってから8日以内であれば、クーリングオフという制度で解約できる場合があります。
ただしこれは、突然、業者が訪問してきたり電話で勧誘されたりといった契約に限ります。
自分から業者を呼んだ場合は、基本的にクーリングオフの対象にはなりません。

災害が起きると、被災地だけでなく、全国でも耐震診断が必要などと言われて高額の請求をされるといった便乗商法が横行しますので、くれぐれも注意していただきたいと思います。

そして、困ったな、と思ったときには、消費者ホットライン「188」にお電話してみてください。全国どこからでも最寄りの消費生活センターにつながります。携帯電話からでも大丈夫です。

<義援金名目詐欺>
一方、被災地だけでなく全国で注意が必要なケースとしては、義援金などを口実にした詐欺があります。

国民生活センターによりますと、今回の地震では、まだ実際の被害は確認されていませんが、疑わしい電話などが、すでに報告されています。
 
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長崎県では、ボランティアを名乗る女性から不審な電話があり「熊本地震の募金を集めている。1口3000円で、集金に行くので家族構成、名前、年齢を教えて欲しい」と言われた。
電話番号は非通知で、団体名も名乗らなかったので、不審に思って断ったというケースがありました。
また、やはり長崎県の60代の女性からは、自宅を訪問してきた不審な2人組が、被災者への寄付金を求めてきた。断ったらすぐに帰った、という情報が寄せられました。

<被災者支援名目 様々な詐欺の手口>
一方、過去の災害では、実際に現金をだまし取られる被害も起きています。
しかも、被災者を支援するという口実の詐欺は、義援金名目だけではありません。
70代の女性のケースです。
大手企業を名乗る男から電話があり、「あなたに老人ホームの入居権があたった。その権利を被災者に譲ってほしい。あなたの名義でしか買えないので、300万円立て替えて申し込んで欲しい」と言われた。
女性は、困っている人の役に立つなら、と考え、受け取りに来た男に300万円渡してしまいました。
すると今度は金融庁を名乗る男から「名義貸しは犯罪だ。懲役刑を回避するためには2000万円必要」などと電話があった、ということです。
 
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女性は、そこでおかしいと気づいて相談を寄せましたが、警察によりますと、今回の地震でも、こうした不審な電話が25日までに全国で7件かかってきているということです。
被災した人を支援したいという気持ちにつけこむ、悪質な手口です。
 
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東日本大震災では、義援金名目などの詐欺が、震災後1年で98件あり、被害金額は1億円あまりにのぼりました。
こうした詐欺は、お年寄りが狙われることが多いですから、ご家族も目配りをお願いしたいと思います。

<若者も狙われる>
災害に便乗した詐欺では、狙われるのは高齢者だけではありません。
メールやSNSを利用した詐欺では若い人が狙われます。

過去の地震のケースです。
17歳の男性は、揺れを感じた直後、スマートフォンで「地震速報」というタイトルのメールを受け取りました。
詳細情報はこちら、というアドレスをタップして開いたところ、突然、出会い系サイトにつながり、「登録されました。会費を支払って」と請求されました。

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他にも、タイトルが「義援金」「募金」といったケースもあります。
中には、画面に個体識別番号というのが表示される場合があり、自分の個人情報が知られてしまったと思って、支払いに応じてしまうケースもあります。
しかし、これはIPアドレスという、ネット上の住所のようなもので、実際に自分の名前や住所、電話番号などが知られてしまったわけではありません。

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ですから、こうした不審なメールは、とにかく無視するに限ります。
自分から電話やメールで連絡をとってしまうと、電話番号やメールアドレスを知られることにつながってしまいます。
自分からは絶対に連絡をとらないでほしいと思います。

<困ったな、と思ったら>
悪徳商法や詐欺に巻き込まれたかな、困ったな、と思ったときには、消費者ホットライン「188」に電話してみてください。
さらに、今回の地震に関する消費者トラブルについては、「熊本地震 消費者トラブル110番」という専用の相談窓口が、4月28日から設けられます。
電話番号はフリーダイヤル 
0120-7934-48。語呂合わせで、「なくそうよ心配」と覚えてください。
こちらは、沖縄を除く九州地方の方が対象で、相談時間は土日祝日を含む午前10時から午後4時までです。
 
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こうした被害に、いたずらに不安を感じる必要はありませんが、用心するにこしたことはありません。
正しい情報を知って、困ったらすぐに相談する、ということを心がけて欲しいと思います。

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